特許第5730003号(P5730003)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5730003
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】流体回転車
(51)【国際特許分類】
   F03B 17/06 20060101AFI20150514BHJP
   F03B 13/26 20060101ALI20150514BHJP
   F03D 1/04 20060101ALI20150514BHJP
【FI】
   F03B17/06
   F03B13/26
   F03D1/04 B
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-283532(P2010-283532)
(22)【出願日】2010年12月20日
(65)【公開番号】特開2012-132335(P2012-132335A)
(43)【公開日】2012年7月12日
【審査請求日】2013年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】310023461
【氏名又は名称】株式会社ベルシオン
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100087893
【弁理士】
【氏名又は名称】中馬 典嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100086726
【弁理士】
【氏名又は名称】森 浩之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木政彦
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/016360(WO,A2)
【文献】 特開2006−257886(JP,A)
【文献】 米国特許第04533297(US,A)
【文献】 特開昭62−288373(JP,A)
【文献】 特開2006−307821(JP,A)
【文献】 特開2005−120865(JP,A)
【文献】 特開2006−152957(JP,A)
【文献】 特開2010−261350(JP,A)
【文献】 特開2011−7147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 17/06
F03B 13/26
F03D 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱体に、水平に支持された軸受筐体の内部に横架され、後端部を軸受筐体の後方へ突出させた主軸の後端部に、複数の揚力型ブレードを備える翼車を設け各揚力型ブレードは、翼根から先端にかけて次第に弦長を長くし、最大弦長部分から先端へかけて細くするとともに、上流側で回転軸心線に対して、後縁方向へ斜め向きに傾斜する傾斜部とされ軸受筐体の外周に、放射方向へ突出し、前後方向を向く複数の板状支持体をもって案内環を設け、この案内環は、前部の直径より後部の直径を小さくしたものとし、かつ縦断端面は、平坦な外周面に対して、内周面は前縁部を内方へ膨出させた湾曲面として、案内環の後端縁をブレードから離間させ、案内環の内外周面の前後に沿う延長線が、交叉してブレードの傾斜部に当るように対向させたことを特徴とする流体回転車。
【請求項2】
前記軸受筐体の前面に、前頭部を中心として、左右端部を、流体により揺動可能とした防塵網を設けてなることを特徴とする請求項1に記載の流体回転車。
【請求項3】
前記軸受筐体を略紡錘形とし、その前縁周面に立設した支柱体を昇降可能に発電筐体に取付け発電筐体の底部をフロートとしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の流体回転車。
【請求項4】
前記軸受筐体の、支柱体を外し、かつ案内環の上面に携帯用の把持体を付設して、携帯可能としたことを特徴とする請求項1に記載の流体回転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体回転車に係り、特に流体の流速を高めて、翼車の回転効率を高めるようにした、流体回転車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の水力発電機は、ダムの貯水を大きな落差で落下させて、縦軸翼車を回転させるようになっているものが一般的であり、この水力発電機は、水中にそのまま設置されている。
また、水力発電機を用水路に配置し、水力発電機の直前における水路を隘路として、流速を早めるようにしたものが、例えば特許文献1で知られている。
更に、送風機のファンをリングで囲んだものが、特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−236118号公報
【特許文献2】特開2002−295864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の水力発電機においては、翼車のブレードが、主軸に対して大きく捻れているため、高速回転に伴い、主軸周りにおいてキャビテーションが生じ、乱流により回転速度が抑制され、また翼車のブレードの回転方向における幅、すなわち弦長が大で、回転抵抗が大となり、高速回転しにくいという問題がある。
水力発電機の直前において、水路を隘路としたものにおいては、出水路の断面積が小となり、水の利用量が限定される。特許文献2のリングは、水滴の飛散を防止するためのものである。
本発明は、流体回転車において、流体の流速を高めて翼車の回転効率を高めることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の具体的な内容は、次の通りである。
【0006】
(1) 支柱体に、水平に支持された軸受筐体の内部に横架され、後端部を軸受筐体の後方へ突出させた主軸の後端部に、複数の揚力型ブレードを備える翼車を設け各揚力型ブレードは、翼根から先端にかけて次第に弦長を長くし、最大弦長部分から先端へかけて細くするとともに、上流側で回転軸心線に対して、後縁方向へ斜め向きに傾斜する傾斜部とされ軸受筐体の外周に、放射方向へ突出し、前後方向を向く複数の板状支持体をもって案内環を設けこの案内環は、前部の直径より後部の直径を小さくしたものとし、かつ縦断端面は、平坦な外周面に対して、内周面は前縁部を内方へ膨出させた湾曲面として、案内環の後端縁をブレードから離間させ、案内環の内外周面の前後に沿う延長線が、交叉してブレードの傾斜部に当るように対向させた流体回転車。
【0007】
(2) 前記軸受筐体の前面に、前頭部を中心として、左右端部を流体により揺動可能とした防塵網を設けてなる前記(1)に記載の流体回転車。
【0008】
) 前記軸受筐体を略紡錘形とし、その前縁周面に立設した支柱体を昇降可能に発電筐体に取付け発電筐体の底部をフロートとした前記(1)又は(2)に記載の流体回転車。
【0009】
) 前記軸受筐体の、支柱体を外し、かつ案内環の上面に携帯用の把持体を付設して、携帯可能とした前記(1)に記載の流体回転車。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、次のような効果が奏せられる。
【0011】
前記(1)に記載の発明においては、翼車のブレードの前方に、案内環を離間して配置してあり、案内環の内周面の前部の直径よりも、後部の直径を小としてあるので、案内環を通過する流体は、案内環内で圧縮される。
従って案内環から後方へ出る流体は、流体圧の差によって勢いよく後方へ拡散される。
また、翼車のブレードの翼端に、前方を向く傾斜部を形成し、この傾斜部の最大弦長部より先に、案内環の後端面が離間して対面しているため、案内環の内外周面の前後に沿って、勢いよく通過する流体は、その傾斜部に当って、最大弦長部で受け止められ、梃子の原理でブレードは勢いよく回転する。
【0012】
前記(2)に記載の発明においては、軸受筐体の前面に、前頭部を中心として左右端部を流体により揺動可能とした防塵網を設けてあるので、水流によって防塵網の左右が揺動して、付着しようとする塵埃を振払って除去する。
【0013】
前記(3)に記載の発明においては、軸受筐体を略紡錘形とし、その前縁周面に立設した支柱体を、昇降可能に発電筐体に取り付け、発電筐体の底部をフロートとしたので、発電筐体を水面に浮設することができる。
一般の水路では、水深がそれぞれ異なるが、支柱体を昇降可能として発電筐体に取付けたので、水路の水深に合わせて、軸受筐体を配設することができる
【0014】
前記(4)に記載の発明においては、軸受筐体の、支柱体を外し、かつ案内環の上面に携帯用の把持体を付設してあるので、ピクニックや緊急時に、携帯して、用水路や河川において、容易に発電させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る流体回転車の実施例1の正面図である。
図2図1における中央縦断側面図である。
図3図1に示す流体回転車の翼車におけるブレードの拡大正面図である。
図4図3の右側面図である。
図5図3の平面図である。
図6図3におけるVI−VI線横断平面図である。
図7図3におけるVII−VII線横断平面図である。
図8図3におけるVIII−VIII線横断平面図である。
図9図1図8に示すブレード周りの水流の状態を示す平面図である。
図10】本発明に係る流体回転車の実施例2の一部縦断側面図である。
図11図10に示す流体回転車を用水路に設置した状態を示す側面図である。
図12】本発明に係る流体回転車の実施例3の側面図である。
図13】本発明に係る流体回転車の実施例4の側面図である。
図14】本発明に係る流体回転車の実施例5の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を、実施例を参照して説明する。
【実施例1】
【0017】
図1に示す本発明の実施例1に係る流体回転車1は、水流によって作動させられるもので、図2に示すように、前後方向を向く紡錘形の軸受筐体2の内部に、前後方向を向く主軸3が、軸受2Aを介して横架されている。
主軸3の後端部は、軸受筐体2の後端から後方へ突出されている。
【0018】
軸受筐体2の前部上面に、管状の支体4を立設してあり、その内部には、軸受4Aをもって枢支した、縦方向を向く伝動軸5が設けられている。
主軸3の前端と伝動軸5の下端には、それぞれ互いに噛合する傘歯車6A、6Bを固着して、伝動手段6を形成してある。
【0019】
主軸3の後端には、翼車7のハブ8を固着してある。翼車7は、ハブ8から放射方向を向く複数(図で5枚)の揚力型ブレード9(以下単にブレードという)を備えている。 ブレード9は、正面視において、翼根から先端へかけて次第に弦長を大きくし、翼端付近に最大弦長部9Bが位置するように形成し、最大弦長部9Bから翼端へかけて、やや先細に形成してある。
【0020】
ブレード9の側面形は、図4に示すように、翼根から翼端へかけて、前面線9eと背面線9fとは平行で、回転軸心線Sと直交している。また最大弦長部9Bを基点として、翼端部を前面方向へ傾斜する傾斜部9Aとしてある。
この傾斜部9Aの傾斜角度は、図4においては、前面線9eに対して35度〜45度としてある。
【0021】
この傾斜部9Aは、図5における前縁9Cと後縁9Dを結ぶ翼弦線に対して、直角方向へ傾斜している。回転方向に対してキャンバが、後縁9Dを背面方向へ10度傾斜している時には、傾斜部9Aの先端が向く方向は、回転軸心線Sに対して、後縁方向へ10度斜め向きに傾斜する。
【0022】
ブレード9の翼端を、上向きとした状態におけるブレード9は、平面視において、図5図6に示すように、背面9Fは、回転軸心線Sに対して直交し、かつ平坦面としてある。ブレード9の前面9Gは、回転方向の前端縁9Cに近い部分に、最大翼厚部9Eを有し、ここから後縁9Dにかけて、次第に背面9F方向へ薄くなるように傾斜する傾斜面としてある。
【0023】
図1図2に示すように、軸受筐体2の外周後端部に、複数の板状支持体11を介して、案内環10を、軸受筐体2を囲むように、かつ後端部がブレード9と接しないようにして設けてある。板状支持体11は、軸受筐体2から放射方向を向き、かつ軸心方向へ向けて固定してある。
【0024】
案内環10の外周面の直径は、前縁よりも後縁へ向かって、漸次小径となっており、かつ、その内周面10Aは、図2に示すように、前部から後部へかけて、その延長線が、ブレード9の傾斜部9Aの前面に当るように傾斜している。
【0025】
上記の構成において、前方から案内環10に当るA矢示の水流は、後縁がやや小径となっている案内環10の内周面10Aで加圧されて、ブレード9に向かって流れる。
各ブレード9に当る水流は、前向き傾斜部9Aにおける傾斜面を滑り、最大弦長部9Bに高速で集合し、後方、すなわち図6におけるZ矢示方向へ通過するので、回転効率は高まる。
【0026】
この場合、ブレード9の翼端部が、案内環10の中に位置しているものは、案内環10内を、高速で通過しようとする流体の進路を阻むことになり、特に高速回転をすると、ブレード9による遮蔽壁が、案内環10の中に形成されることになる。
【0027】
その点、案内環10の後端面とブレード9の翼端前面とは、適度な間隔で前後に離間しているため、案内環10の内周面10Aに沿って通過する流体10aは、後方へ怒濤のように流れることができ、その勢いで、翼車7は高速回転させられる。
【0028】
特に、案内環10の内周面10Aに沿って通過する水流10a(図2)は、案内環10の、後縁の直径が小となっているため、圧縮されて、他の部分よりも水圧が高まり、かつ案内環10の後縁から、常圧の後方へ出るときに、水流10aは、図2で示すように、遠心後方向へ拡散するため、流体は外周方向へ勢いよく拡散する。
【0029】
この流体圧の高い水流10aは、ブレード9の前向き傾斜部9Aの前面で、最大弦長部9Bに当るので、翼車7の回転効率が高まる。
すなわち、最大弦長部9Bは翼端にあり、ここに多量の流水が当ると、その動圧により、梃子の原理で主軸3の回転効率が高められる。
【0030】
また流水は、物体の外形に沿って流れるため、案内環10の傾斜した外周面に沿う流水も、内周面に沿う流水と交叉して、直進する水流よりも加速され、ブレード9の最大弦長部9Bに当る。
【0031】
図2に示すように、軸受筐体2の側面形は、前部の直径が大で、後端へかけて次第に小径に形成してあるので、この軸受筐体2の周面に沿って流れる流水は、コアンダ効果によって次第に加速されて、ブレード9の翼根部に当る。この流水は、図8におけるX矢示流となって、ブレード9を回転方向へ押す。
【0032】
ブレード9の前面9Gに当たるA矢示水流は、翼端方向へ拡散するが、翼根部、中間部、翼端においては、それぞれ図6図7図8に示すように、X矢示、Y矢示、Z矢示流となって、ブレード9を回転方向へ押す。
【0033】
図9は、図6図8における流体の方向を示すものである。ブレード9の翼長は、翼根から翼端へかけて長くしてあるので、回転時におけるブレード9の周速は、翼根よりも翼端の方が速くなり、その表面を滑るX流、Y流、Z流の流体も、それに比例して早くなる。例えば、図9に示すX流に比して、Z流は3.5倍以上速くなる。
【0034】
図9におけるX矢示、Y矢示、Z矢示の流体による、ブレード9に対する作用の反作用として、ブレード9は左方、すなわち回転方向へ回転させられる。ブレード9の回転に伴って、ブレード9の前縁9Cは、B矢示方向の相対流を受け、B矢示水流は、ブレード9の前縁において、ブレード9の表裏に分岐する。
【0035】
図9における、ブレード9の背面9Fに沿うb矢示水流は、回転軸心線Sと直交方向に進む。ブレード9の前面9Gに沿う水流は、最大翼厚部9B部が前面にあり、背面よりもb矢示水流の流れる距離が長くなるため、背面9Fよりも前面9Gの水流が高速となり、流体圧は低下する。
【0036】
従って、前面9Gを通過する水流は、最大翼厚部9Bを通過すると共に、後縁9Dへ向けて高速となり、流体圧が小となって通過し、X矢示、Y矢示、Z矢示水流となる。 周囲よりも負圧となるこのX矢示、Y矢示、Z矢示流に対して、常圧のA矢示流が、流体圧の差でブレード9の前面9Gの後部に集合して当り、ブレード9の回転効率を高める。
【0037】
このように、ブレード9の最大弦長部9Bを基点として、前向き傾斜部9Aを形成し、かつ、案内環10のやや小径となっている後端部を、傾斜部9Bのやや前向で、傾斜部9Bに対向させてあるため、流体圧の差で拡散する力を利用して、ブレード9は高速回転をする。
これにより、同じ流体を利用しても、流体回転車1の高速回転をさせることができ、水力や風力を広い分野で、活用する事ができる。
【実施例2】
【0038】
図10は、流体回転車1の実施例2の側面図である。前例と同じ部材には、同じ符号を付して説明を省略する。
図10において、前記した流体回転車1の軸受筐体2の前部に、取付部材12Cを介して、軸受筐体2の板状支持体11に、着脱可能の防塵網12を装着してある。
【0039】
防塵網12は、前後2重とし、前網12Aは中心から放射方向を向く長杆12aの簾とし、後網12Bは、同じく間隙を狭くした長杆12aの簾としてある。前網12Aは、後端部を前後方向を向く圧縮バネ12Dにより支持され、水中で、波により前頭部12Eを中心に、前後左右に揺動させて、付着した塵を振払うようになっている。
【0040】
なお図10において、管状の支体4の上部には、発電筐体14を装着してある。符号13は、案内環10と発電筐体14の後部とを連結する補助支柱である。発電筐体14の中に発電機15を配設してあり、図示しない傘歯車を介して、主軸に連携した伝動軸5の上端を、回転体17に固定した発電部16の中央部へ、貫通させて固定してある。 回転体17の中には、発電部16における、発電コイル18に対応する磁石19を配設してある。符号20は蓄電池である。
【0041】
このように形成された流体回転車1を、例えば図11に示すように、用水路21の両岸に跨って架設した支持橋22から吊設して、翼車7を水中に沈設させておくと、図2におけるA矢示流は、案内環10の内周面10Aにおける傾斜面で圧縮され、高速でブレード9の傾斜部9Aに衝突し、最大弦長部9Bに集合して、翼車7を効率良く回転させる。
【0042】
翼車7の回転に伴い、図2における主軸3の回転力は、伝動軸5を介して、発電機15の回転体17を回転させる。これによって、回転体17における磁石19の磁束が、間欠的に下の発電コイル18に作用して発電し、蓄電池20に蓄電される。
【0043】
常に水が流れている用水路21に、流体回転車1を、適度の間隔置きに列設することによって、一つの用水路21に、流体回転車1を多数設置して、大量の発電をさせることができる。
【0044】
この場合、流体回転車1のやや上流において、用水路21に塵埃除去装置23を配設しておけば、流体回転車1の防塵網12をなくすことができる。用水路21の大きさや断面形によって、流体回転車1の大きさや設置個所を設定する。
【実施例3】
【0045】
図12は、流体回転車1の実施例3の側面図である。前例と同じ部材には同じ符号を付して、説明を省略する。この実施例は、発電筐体14を船型とし、底部をフロート14Dとして、水面に浮かべるものである。符号14Aは、アンカー兼舵板である。支持体4を昇降可能にすることにより、翼車7の水没の深さを調節することができる。
【0046】
発電筐体14の上部に設けた係留部14Bに、ワイヤ14Cを連結し、ワイヤ14Cの先端部を、水中に設けた図示しない係留柱に係留しておく。
例えば、潮流のある海中に、図示しない係留柱を立設し、これに係留すると、上げ潮にも対応することができ、舵板14Aによって発電筐体14を、海流の向きに対応させることができる。
【実施例4】
【0047】
図13は、流体回転車1の実施例4を示す側面図である。前例と同じ部材には、同じ符号を付して説明を省略する。この実施例は、軸受筐体2内に、主軸3と連結した発電機15を配設し、把持体24により携帯可能にしたものである。
【0048】
発電機15は、発電部16と主軸3の先端部に固定した回転体17とで構成してある。回転体17には磁石19が装着され、その磁石19と対応するように、発電部16には発電コイル18を配設している。符号15Aは、発電機15に連結する導電コード、25は支持脚である。
【0049】
これにより、翼車7の直径を、例えば10cm〜20cmの小径として、野山に携帯し、谷川や小川などの水中に設置するだけで、容易に発電させることができる。
従って、キャンピング、登山、災害用、林業用、農業用、軍事用など、広範囲の利用が可能となる。また、風のある所に置いて、風上に軸受筐体2の前端部を対面させると、風力発電も可能となる。
【実施例5】
【0050】
図14は、実施例5の流体回転車1を示す側面図である。前例と同じ部位には、同じ符号を付して説明を省略する。
この実施例5は、軸受筐体2の前部に、垂直の回転受体26を装着したものである。回転受体26を、陸地に立設した支柱27に装着すると風車となる。
【0051】
風向が変ると、軸受筐体2の後部にある案内環10が、方向舵の役割を果たし、軸受筐体2の後部が旋回して、翼車7の前面は風上を向く。水中においては、水流の向きの変化に対応して、案内環10は方向舵の役割を果たす。
【0052】
なお、実施例1〜実施例6の、それぞれの好ましい部分を、適宜組合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
翼車の回転効率が高いので、産業用動力、水力発電機、風力発電機など広い分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1.流体回転車
2.軸受筐体
2A.軸受
2B.蓋体
3.主軸
4.支柱体
4A.軸受
5.伝動軸
6.伝動手段
6A.6B.傘歯車
7.翼車
8.ハブ
9.ブレード
9A.前向傾斜部
9B.最大弦長部
9C.前縁
9D.後縁
9E.最大翼厚部
9F.背面
9G.前面
9e.前面線
9f.背面線
10.案内環
10A.内周面
10a.水流
11.板状支持体
12.防塵網
12a.長杆
12A.前網
12B.後網
12C.取付部材
12D.バネ
12E.前頭部
13.補助支柱
14.発電筐体
14A.舵板
14B.係留部
14C.ワイヤ
14D.フロート
15.発電機
15A.コード
16.発電部
17.回転体
18.発電コイル
19.磁石
20.蓄電池
21.用水路
22.支持橋
23.塵埃除去装置
24.把持体
25.支持脚
26.回転受体
27.支柱
S.回転軸心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14