(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の携帯用電子機器及びこの携帯用電子機器に内蔵されるバッテリーは、一層の小型化、薄型化が進行している。このため、電気コネクタも一層の小型化が求められているが、電気コネクタを更に小型化するためには、サイズの小さなコンタクトでありながら、「変位量が大きく、柔らかく、しかもワイピング効果の大きいばね特性」とすることが要求されている。ここで、ワイピング効果とは、コンタクトの接点が相手側端子部を押圧する過程で端面を摺動し、相手側端子部の酸化皮膜を除去する、セルフクリーニング機能を持つことをいう。
しかしながら、特許文献1乃至3を含め当該要求に充分に応えることが可能な電気コネクタは見当たらない。
【0006】
例えば、特許文献1乃至3に記載の電気コネクタでは、電気コネクタの小型化に伴って小さなサイズのコンタクトを用いることになるため、「弾性変位量が大きく、かつ柔らかいばね特性」を得ることが困難になる。
なお、「弾性変位量が大きく、かつ柔らかいばね特性」を得ることに限れば、例えば、コンタクトを
図10に示すスネークばね(ある方向に湾曲した正湾曲部と逆方向に湾曲した逆湾曲部とを交互に有するばね)とすることによって可能である。しかしながら、スネークばねは、荷重方向(ばね長方向)に、「大きな変位量で、かつ柔らかく」弾性変位させることができるが、荷重方向と直角の方向への変位はほとんどなく、充分なワイピング効果を持たせることは困難である。
【0007】
図10は、固定された基部81に連設され、ガイド部82の内部に配置されたばね部80の変位特性を示す図である。ばね部80の自由端部先端近傍の先端部83に対してX方向の押圧力Gが印加された場合、ばね部80は、X方向(荷重方向)に弾性変位し、ばね部180の状態になる。このとき、先端部83は、X方向(荷重方向)に変位するが、Y方向(荷重方向と直角の方向)にはほとんど変位しない。
【0008】
本発明は、電気コネクタの更なる小型化のために、弾性変位量が大きく、柔らかく、しかもワイピング効果の大きいばね特性を有するコンタクトを備えた電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 導電性のコンタクトと、該コンタクトを包囲する絶縁性のハウジングとを備えた電気コネクタであって、コンタクトは、帯板状金属板を曲げ加工することにより形成されるとともに、ハウジングの後方に固定された基部と、該基部の一端からハウジングの前方に伸びた弾性変位可能なばね部とを備え、ばね部は、ハウジングの前面から外側前方に突出した接点部と、該接点部と基部の間に形成され、その頂部がハウジングの内面の近傍に位置する支点湾曲部とを備え、ハウジングは、その内面に、ばね部がハウジングの後方に向かって弾性変位するとき支点湾曲部に当接し支点湾曲部を所定の位置で係止するストッパを備え、接点部が相手側端子部を押圧しながら後退するとき、接点部は、支点湾曲部がストッパに当接するまではハウジングの後方に向かって直線状に後退し、支点湾曲部がストッパに当接した後は支点湾曲部を支点とした回転動作を行う電気コネクタ。
【0010】
(1)の電気コネクタによれば、ハウジングは、その内面に、ばね部がハウジングの後方に向かって弾性変位するとき支点湾曲部に当接し支点湾曲部を所定の位置で係止するストッパを備えている。従って、電子機器にバッテリーが装着されるとき、電気コネクタの接点部は相手側端子部を押圧しながら後退するが、支点湾曲部がストッパによって係止されるまでは、ばね部はハウジングの後方に向かって直線状に弾性変位する。
このとき、ばね部は、支点湾曲部を含めばね部全体を用いて弾性変位を行うことができるので、「大きな弾性変位量で、かつ柔らかいばね特性」にすることができる。
【0011】
一方、ばね部は、支点湾曲部がストッパによって係止された後は、ばね部の支点湾曲部から接点部までの部分のみを用いて弾性変位を行うことになり、支点湾曲部がストッパによって係止されるまで(ばね部全体を用いて弾性変位するとき)に比較して、より硬いばね特性に変化する。また、ばね部の支点湾曲部から接点部までの部分は、ストッパによって係止された支点湾曲部を支点として、相手側端子部からの押圧力によって接点部がハウジング側に後退する方向の回転動作を行う。接点部にはこの回転動作によって、荷重方向と直角の方向への変位が生まれ、接点部は、相手側端子部を押圧しつつ相手側端子部を摺動するので、ワイピング効果を有する。この接点部の荷重方向と直角の方向の変位は、支点湾曲部がストッパにより係止された後、すなわち、接点部の相手側端子部への荷重が大きくなってから、一気に生じるので大きなワイピング効果を得ることができる。
【0012】
このように、(1)の電気コネクタは、「弾性変位量が大きく、柔らかく、しかもワイピング効果の大きいばね特性」を有する。また、(1)の電気コネクタは、ストッパの位置を調整することによって、荷重方向の押圧力及び接点部の荷重方向と直角の方向の変位(ワイピング効果)を調整することができる。
また、回転動作を用いているので、低背でありながら、背方向に大きくワイピングすることができる。
【0013】
(2) (1)に記載の電気コネクタであって、ばね部は、ある方向に湾曲した正湾曲部と逆方向に湾曲した逆湾曲部とを交互に有する、電気コネクタ。
【0014】
(2)の電気コネクタによれば、ばね部を更に「大きな変位量で、かつ柔らかく」弾性変位させることができるので、更に好ましいばね特性を得ることができる。
【0015】
(3) (1)または(2)に記載の電気コネクタであって、ばね部は、接点部からばね部の自由端部側に連設されるとともに接点部より後方に配置された係合部を備え、ハウジングは、該ハウジングの前面に係合受部を備え、係合受部は、コンタクトをハウジングの後方よりハウジングに挿入するとき、接点部とは干渉せず、係合部とは干渉する位置に配置されていて、係合部は、コンタクトがハウジングに挿入されたとき、係合受部と係合しばね部に所定のプリロードを印加している電気コネクタ。
【0016】
(3)の電気コネクタによれば、ばね部は、接点部からばね部の自由端部側に連設されるとともに接点部より後方に配置された係合部を備え、ハウジングは、該ハウジングの前面に係合受部を備え、係合受部は、コンタクトをハウジングの後方よりハウジングに挿入するとき、接点部とは干渉せず、係合部とは干渉する位置に配置されていて、係合部は、コンタクトがハウジングに挿入されたとき、係合受部と係合しばね部に所定のプリロードを印加している。従って、電気コネクタを組み付けるとき、コンタクトをハウジングの後方より挿入することにより係合部を係合受部に係合させることができる。
従って、この電気コネクタを組み付けるとき、係合部を係合受部に別途係合させる工程を必要としない。また、コンタクトをハウジングに挿入したとき、係合部を係合受部に接触させた後、更に挿入する距離を大きくすればばね部に大きなプリロードを印加でき、小さくすればばね部に小さなプリロードを印加できるので、係合させるコンタクトのハウジングへの組み付け位置(挿入量)によって、ばね部のプリロードを調整できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電気コネクタの更なる小型化のために、弾性変位量が大きく、柔らかく、しかもワイピング効果の大きいばね特性を有するコンタクトを備えた電気コネクタを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る電気コネクタの外観形状を示す斜視図である。
図2は、
図1に示した電気コネクタのII−II線断面図であり、ばね部が弾性変位していない状態を示す断面図である。
図3は、その電気コネクタにおいてばね部が弾性変位した状態を示す断面図であり、
図4は、その電気コネクタにおいてばね部が更に弾性変位した状態を示す断面図である。
図5は、本発明に係る電気コネクタのハウジングを示し、(a)は正面図、(b)は背面図である。
図6は、本発明に係る電気コネクタのコンタクトを示し、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は背面図である。
図7は、そのコンタクトを示す斜視図である。
【0020】
図1に示す電気コネクタ50は、携帯電子機器側の回路基板とバッテリパックとを電気的に相互接続するための電力用コネクタに適用したものであり、
図2乃至4に示すように、携帯電子機器側の回路基板61と、バッテリパック51の電極端子(相手側端子)52とを電気的に相互接続するものであり、回路基板61上に実装された絶縁性のハウジング30と、このハウジング30にピッチ方向(Z方向)に所定ピッチで互いに並列に保持された複数(本実施形態にあっては3個)の導電性のコンタクト10と、を備えている。ハウジング30は、それぞれハウジング30の前後方向(X方向)に延びる、複数(本実施形態にあっては3個)のコンタクト収容孔33を備えている。
各コンタクト10は、上下方向(Y方向)に延びるとともに、コンタクト収容孔33から前方(−X方向)に突出した接点湾曲部22を備えている。接点湾曲部22は、バッテリパック51が装着されたとき、電極端子52と電気的に接続される接点部である。
【0021】
このうち、ハウジング30は、前面31及び後面32を有する略直方体状に形成され、絶縁性樹脂を成形することによって形成されている。ハウジング30には、コンタクト10を収容する複数(本実施形態にあっては3個)のコンタクト収容孔33が所定ピッチで形成されている。各コンタクト収容孔33は、ハウジング30の前面31及び後面32を貫通するように形成されている。
各コンタクト収容孔33は、何れも(本実施形態にあっては3個とも)同一形状に形成されている。コンタクト収容孔33は、上壁面33a、下壁面33b、対向する一対の上部側壁面33d、及び対向する一対の下部側壁面33cを有する。一対の上部側壁面33dは、上壁面33aから下側に伸び、お互いに略平行に対向している。一対の下部側壁面33cは、下壁面33bから上側に伸び、お互いに略平行に対向している。一対の上部側壁面33dの間の距離m2は、一対の下部側壁面33cの間の距離m1より大きい。
【0022】
上部側壁面33dと下部側壁面33cとの間には肩部33eが形成されていて、上部側壁面33dは、肩部33eを介して下部側壁面33cに接続されている。
一対の肩部33eは、その前面31側の端部に、肩部33eから上壁面33aに向かって上壁面33aとの間に所定の隙間を設けるように突出した一対の突出壁36をそれぞれ有する。一対の突出壁36は、上壁面33a、下壁面33b、対向する一対の上部側壁面33d、及び対向する一対の下部側壁面33cとともに、コンタクト収容孔33の前面31における前方開口部33fを画定している。前方開口部33fは、略T字形に形成されている。
【0023】
対向する一対の上部側壁面33dは、上壁面33aの近傍に、それぞれ溝部33hを有する。一対の溝部33hは、それぞれ溝部底面33kを有する。一対の溝部33hは、上壁面33aに隣接して、上壁面33aの端部が溝部33hの一方の側面となるように形成されていてもよい。
一対の溝部33hは、それぞれ幅Sに形成され、且つそれぞれの溝部底面33kの間は距離m3に形成されている。また、一対の溝部33hは、コンタクト収容孔33の後面32に開口しているが、前面31まで伸びていなくてもよい。
【0024】
上壁面33a、下壁面33b、一対の対向する上部側壁面33d、一対の対向する下部側壁面33c、及び一対の対向する溝部33h及びそれぞれの溝部底面33kは、コンタクト収容孔33の後面32に接続している。接続部は、それぞれ面取り部34を有する。
【0025】
コンタクト収容孔33は、下壁面33bに、上壁面33a方向に突出したストッパ35を備えている。ストッパ35は、前面31の側に急斜面35aを備え、後面32の側に緩斜面35bを備えている。急斜面35aは、下壁面33bに対して直角であってよい。また、ストッパ35は、下壁面33bと一体に成型されたものであってよい。
【0026】
一方、各コンタクト10は、略平板状の基部11と、基部11の一端から前方(−X方向)に伸びているばね部12とを備える。ばね部12は、基部11の一端から第1の湾曲部14を介して連設されている第1ばね部15と、第1ばね部15から第2の湾曲部16を介して連設されている第2ばね部17と、第2ばね部17から第3の湾曲部18を介して連設されている第3ばね部19と、第3ばね部19から第4の湾曲部20を介して連設されている第4ばね部21と、第4ばね部21から接点湾曲部22を介して連設されている第1の接続部23と、第1の接続部23から二股状に分岐した第2の接続部26を介して連設されている一対のカギ形部24とを含み、これらによって弾性変位可能なばね部12を構成している。カギ形部24は、ばね部12の自由端部先端近傍に配置されている。さらに、コンタクト10は、基部11の他端に連設されている端子部13を備える。
【0027】
第1ばね部15は、基部11の一端から第1の湾曲部14によって基部11の仮想延長面11aから遠ざかるように曲げられている(
図6(c)を参照)。
第2ばね部17は、第1ばね部15の一端から第2の湾曲部16によって曲げられて第1ばね部15に対向しつつ基部11の仮想延長面11aに向かって延びている。第3ばね部19は、第2ばね部17の一端から第3の湾曲部18によって曲げられて第2ばね部17に対向しつつ基部11の仮想延長面11aから遠ざかるように延びている。第4ばね部21は、第3ばね部19の一端から第4の湾曲部20によって曲げられて第3ばね部19から遠ざかるように前方に向かって延びている。
【0028】
第1の接続部23は、第4ばね部21の一端から接点湾曲部22によって曲げられて第3ばね部19に近づくように後方に向かって延びている。一対のカギ形部24は、第1の接続部23からピッチ方向(Z方向)に二股状に分岐した第2の接続部26によって曲げられて第3ばね部19に対向しつつ基部11の仮想延長面11aから遠ざかるように所定の長さだけ延びている。
この構成により、一対のカギ形部24は、ばね部12の自由端部先端近傍に配置され、接点湾曲部22は、コンタクト10の最も前方(−X方向)に配置されている。
また、第2の接続部26及び一対のカギ形部24は、第3の湾曲部18に近接している。
【0029】
第2の接続部26及び一対のカギ形部24は、ばね部12の自由端部先端から幅d3の矩形の切り欠き部28を有する。切り欠き部28は、一対のカギ形部24に沿って第2の接続部26に向かって上方に延びるとともに、第2の接続部26に沿って曲げられ第1の接続部23に向かって前方に所定の距離だけ延びている。
切り欠き部28は、近接する第3の湾曲部18に対向している。
【0030】
接点湾曲部22は、コンタクト10の前方を頂点とする2等辺三角形形状であってよい。接点湾曲部22は、接点湾曲部22の曲がり方向に沿って伸びるビード部27を備えていてよい。ビード部27は、接点湾曲部22の剛性(曲げ剛性及び捻り剛性)を高めるとともに、接点湾曲部22と電極端子52との接触面圧を高め、両者の電気的接続を確実にする。
【0031】
基部11は、それぞれピッチ方向(Z方向)に延びた一対の側部25を備える。一対の側部25のピッチ方向の両端には、それぞれピッチ方向に延びる突起部29が設けられている。突起部29は、その前方(−X方向)に緩やかな傾斜部29aを、その後方(X方向)に急な傾斜部29bを有する。
コンタクト10の各部は、厚みtに形成されている。
【0032】
以下、コンタクト10の各部のピッチ方向(Z方向)の幅(距離)につき説明する。
一対の側部25に設けられたそれぞれの突起部29の頂部間の幅d5は、コンタクト10のピッチ方向の最大幅を有し、一対のカギ形部24の幅(一対のカギ形部24の外側間の距離)である幅d4より大きい。
【0033】
一対のカギ形部24と上下方向(Y方向)反対側の第2の湾曲部16及び第4の湾曲部20の幅は、共に幅d7に設定されている。この幅d7は、前述の第3の湾曲部18の幅である幅d2と同じであってよい。
また、第1の湾曲部14、第2の湾曲部16、第3の湾曲部18及び第4の湾曲部20の幅は、全て同じ幅d7(幅d2)であってよい。
【0034】
第1ばね部15、第2ばね部17、第3ばね部19及び第4ばね部21の幅は、それらの一端が連設されている第1の湾曲部14、第2の湾曲部16、第3の湾曲部18及び第4の湾曲部20の幅より小さく形成されていてよく、それぞれ所望の曲げ剛性になるように構成されていてよい。第1ばね部15、第2ばね部17、第3ばね部19及び第4ばね部21の幅は、全て同じであってよい。
また、第1ばね部15、第2ばね部17、第3ばね部19及び第4ばね部21の幅は、前述の幅d7(幅d2)と同じであってもよい。
【0035】
切り欠き部28の幅(一対のカギ形部24の内側間の距離)である幅d3は、第2の接続部26及び一対のカギ形部24に近接している第3の湾曲部18の幅である幅d2より十分大きい。
【0036】
接点湾曲部22の幅d1は、接点湾曲部22から第4ばね部21を介して連設されている第4の湾曲部20の幅より小さい方が好ましい。
【0037】
以下、コンタクト10をハウジング30に組み付けて電気コネクタ50を形成する工程につき説明する。
【0038】
コンタクト10の製造は、厚みtを有する導電板を所定の帯長形状にプレスにより打ち抜いた後に、所定の曲げ加工を施すことによって行うことができる。
ハウジング30に組み付けられる前の段階では、コンタクト10の一対の側部25は、それぞれ、後方に延びた延長部25bに連設されている(
図6参照)。各コンタクト10の延長部25bは、お互いに連接されていて、複数(本実施形態にあっては3個)の導電性のコンタクト10をピッチ方向(Z方向)に所定ピッチで互いに並列に保持している。
【0039】
図8は、
図1に示した電気コネクタ50のII−II線断面図であり、ハウジング30にコンタクト10を挿入して電気コネクタ50を形成する工程を示す。
【0040】
延長部25bによってピッチ方向に所定ピッチで互いに並列に保持された複数(本実施形態にあっては3個)のコンタクト10は、ハウジング30に所定ピッチで形成されている複数(本実施形態にあっては3個)のコンタクト収容孔33に、ハウジング30の後面32の側から、延長部25bを保持されて一体に前方(A方向)に向かって挿入される。
各コンタクト10が各コンタクト収容孔33に挿入されるとき、各コンタクト10の基部11に設けられている一対の側部25は、ハウジング30の各コンタクト収容孔33に設けられた一対の溝部33hにそれぞれ係合される。
【0041】
一対の側部25に設けられたそれぞれの突起部29の頂部間の幅d5は、ハウジング30の対向する一対の溝部33hのそれぞれの溝部底面33kの間の距離m3よりわずかに大きく形成されている。従って、コンタクト10は、一対の側部25の突起部29をハウジング30の溝部底面33kに強く接触しながら挿入される。また、一対の溝部33hの幅Sは、コンタクト10の厚みtと同じに形成されている。このため、コンタクト10は、一対の側部25をハウジング30の一対の溝部33hの側面に強く接触しながら挿入される。
【0042】
第2の接続部26及び一対のカギ形部24の幅である幅d4は、コンタクト収容孔33の一対の上部側壁面33dの間の距離m2よりわずかに小さくなるように形成されている。
また、一対のカギ形部24と上下方向(Y方向)反対側の第2の湾曲部16及び第4の湾曲部20の幅である幅d7は、コンタクト収容孔33の一対の下部側壁面33cの間の距離m1よりわずかに小さくなるように形成されている。
従って、各コンタクト10が各コンタクト収容孔33に挿入されるとき、ばね部12はコンタクト収容孔33に干渉せず、コンタクト収容孔33から前方に突出する第4ばね部21、接点湾曲部22、第1の接続部23及び第2の接続部26は、コンタクト収容孔33の前方開口部33fに干渉しない。
また、各コンタクト10の第4ばね部21、接点湾曲部22、第1の接続部23及び第2の接続部26、及び一対のカギ形部24を各コンタクト収容孔33の後面32を通過させるとき、各コンタクト収容孔33の後面32部分には面取り部34が設けられているため、各コンタクト10と各コンタクト収容孔33との間に多少の位置の誤差があってもスムーズに通過できる。
【0043】
各コンタクト10は、各コンタクト収容孔33に挿入されると、第4の湾曲部20がコンタクト収容孔33の下壁面33bに設けられたストッパ35を乗り越える。更に挿入されると、一対のカギ形部24がコンタクト収容孔33に設けられた一対の突出壁36に当接する。
ここで、一対のカギ形部24の長さは、突出壁36と上壁面33aとの間の隙間より大きいため、一対のカギ形部24が突出壁36を通過することはできない。
【0044】
このとき、ばね部12の自由端部の接点湾曲部22、接点湾曲部22の一端に連設された第4ばね部21、接点湾曲部22の他端に連設された第1の接続部23及び第2の接続部26は、コンタクト収容孔33から前方に突出しており、第2の接続部26に連設された一対のカギ形部24は、コンタクト収容孔33の内部に位置する。
この状態において、一対のカギ形部24は、コンタクト収容孔33に設けられた一対の突出壁36に当接して前方(−X方向)への移動が阻止されており、コンタクト10をコンタクト収容孔33に対して更に挿入することによって、ばね部12にプリロードを印加することができる。コンタクト10は、ばね部12に所定のプリロードを付加する位置(所定の位置)まで挿入される(
図2参照)。
【0045】
すなわち、この電気コネクタ50を組み付けるとき、コンタクト10をハウジング30の後方より挿入するだけで、コンタクト10側の係合部である一対のカギ形部24を、ハウジング30側の係合受部である一対の突出壁36に係合させることができる。従って、この電気コネクタ50を組み付けるとき、コンタクト10側の係合部をハウジング30側の係合受部に別途係合させるための工程を必要としない。
【0046】
また、コンタクト10をハウジング30に挿入したとき、一対のカギ形部24を一対の突出壁36に接触させた後、その位置からコンタクト10を更に挿入する距離を大きくすることにより大きなプリロードをばね部12に印加でき、小さくすることにより小さなプリロードをばね部12に印加できる。従って、コンタクト10のハウジング30への挿入量(組み付け位置)を調整することによって、ばね部12に印加されるプリロードを調整できる。
【0047】
一対の側部25に設けられたそれぞれの突起部29は、前述の通り、その前方に緩やかな傾斜部29aを、その後方に急な傾斜部29bを有しているので(
図6及び7参照)、突起部29は、接触している溝部底面33kに対して前方に進むことはできるが、急な傾斜部29bが溝部底面33kに噛み込むため後方に戻ることが阻止される。すなわち、一対の側部25に接続された延長部25bを介して各コンタクト10をハウジング30に対して前方(A方向)に押圧することによって各コンタクト10をコンタクト収容孔33の所定の位置(所定のプリロードを付加する位置)に挿入すると、各コンタクト10はコンタクト収容孔33から容易に抜けない。従って、簡単な工程によって、各コンタクト10をハウジング30の所定の位置に固定することができる。
【0048】
各コンタクト10を各コンタクト収容孔33に所定の位置まで挿入した後、各コンタクト10は、図示しない切断治具によって切断部25aの位置で各コンタクト10を連結していた延長部25bから切り離され、電気コネクタ50の組み付けが完了する。
【0049】
次に、
図2乃至4を用いて、電気コネクタ50のばね部12が弾性変位する動作につき説明する。
【0050】
図2は、
図1に示した電気コネクタ50のII−II線断面図であり、ばね部12が弾性変位していない状態を示す。
前述の通り、ばね部12の自由端部の接点湾曲部22、接点湾曲部22の一端に連設された第4ばね部21、接点湾曲部22の他端に連設された第1の接続部23及び第2の接続部26は、コンタクト収容孔33から前方に突出しており、第2の接続部26に連設されている一対のカギ形部24は、コンタクト収容孔33の内部に配置されている。
この状態において、一対のカギ形部24は、コンタクト収容孔33に設けられた一対の突出壁36に当接して前方(−X方向)への移動が阻止されており、ばね部12には所定のプリロードが印加されている。
接点湾曲部22は、電気コネクタ50において最も前方に突出しており、F方向に接近するバッテリパック51の電極端子52に対向している。
【0051】
図3は、
図1に示した電気コネクタ50のII−II線断面図であり、ばね部12が弾性変位した状態を示す。これはバッテリパック51の回路基板61への装着途中の状態に対応する。
接点湾曲部22に接触したバッテリパック51の電極端子52からの押圧力がばね部12に印加されているプリロード以上になると一対のカギ形部24が一対の突出壁36から離れ、「接点湾曲部22、接点湾曲部22の一端に連設された第4ばね部21、及び接点湾曲部22の他端に連設された第1の接続部23、第2の接続部26及び一対のカギ形部24」は、一体となって、ばね部12の弾性変位によって後方(X方向)に後退する。
「接点湾曲部22、接点湾曲部22の一端に連設された第4ばね部21、及び接点湾曲部22の他端に連設された第1の接続部23、第2の接続部26及び一対のカギ形部24」が更に後退すると、第4の湾曲部20はコンタクト収容孔33の下壁面33bに設けられたストッパ35の急斜面35aに当接する。
【0052】
図4は、
図1に示した電気コネクタ50のII−II線断面図であり、ばね部12が更に弾性変位した状態を示す。これはバッテリパック51の回路基板61への装着を完了した状態に対応する。
図3に示すように、第4の湾曲部20は、ストッパ35の急斜面35aに当接した後、ストッパ35の位置で係止される。接点湾曲部22がF方向に進入するバッテリパック51の電極端子52から更に押圧力を受けると、「接点湾曲部22、接点湾曲部22の一端に連設された第4ばね部21、及び接点湾曲部22の他端に連設された第1の接続部23、第2の接続部26及び一対のカギ形部24」は、第4の湾曲部20を支点にして、接点湾曲部22が後退する方向(X方向)、すなわち
図4において時計周り方向の回転動作を行う。接点湾曲部22は、この回転動作により、F方向に進入するバッテリパック51の電極端子52に押圧力を付与しつつ後退する。
【0053】
このとき、接点湾曲部22と電極端子52との接触点C2は、
図4に重ねて示した、電極端子52に接触したばかりの時点の「接点湾曲部122、第4ばね部121、第1の接続部123、第2の接続部126及び一対のカギ形部124」に対する電極端子52の接触点C1に対して、Y方向に移動する。すなわち、バッテリパック51を回路基板61に装着するとき、バッテリパック51の電極端子52が接点湾曲部22に接触してからバッテリパック51が回路基板61に装着されるまでの間に、電極端子52から見た接点湾曲部22との接触点は、C1からC2まで距離L1だけ移動する。
【0054】
他方、接点湾曲部22から見た電極端子52との接触点は、電極端子52に接触したばかりの時点の「接点湾曲部122、第4ばね部121、第1の接続部123、第2の接続部126及び一対のカギ形部124」における電極端子52に対する接触点C3からC2まで距離L2だけ移動する。
【0055】
従って、バッテリパック51を回路基板61に装着するとき、バッテリパック51の電極端子52が接点湾曲部22に接触してからバッテリパック51が回路基板61に装着されるまでの間に、電極端子52から見た接点湾曲部22との接触点はC1からC2まで距離L1だけ移動するとともに、接点湾曲部22から見た電極端子52との接触点は接触点C3からC2まで距離L2だけ移動するため、充分なワイピング効果を有する。
【0056】
ここで、前述の通り、切り欠き部28の幅(第2の接続部26及び一対のカギ形部24の内側間の距離)である幅d3は、第2の接続部26及び一対のカギ形部24に近接している第3の湾曲部18の幅である幅d2より十分大きく構成されているので、第2の接続部26及び一対のカギ形部24は、接点湾曲部22が後退しても第3の湾曲部18に接触することはなく、バッテリパック51を回路基板61に装着するとき、電気コネクタ50の電気抵抗値が急激に変化することはない。
従って、
図4に示すように、バッテリパック51が回路基板61に装着されると、第2の接続部26及び一対のカギ形部24は、第3の湾曲部18に接触することなく、第3の湾曲部18の後方まで移動することができるため、接点湾曲部22の可動範囲を大きく設定することができる。
【0057】
第2の接続部26及び一対のカギ形部24の幅d4は、コンタクト収容孔33の一対の上部側壁面33dの間の距離m2よりわずかに小さくなるように形成され、また、一対のカギ形部24と上下方向(Y方向)反対側の第2の湾曲部16及び第4の湾曲部20の幅である幅d7は、コンタクト収容孔33の一対の下部側壁面33cの間の距離m1よりわずかに小さくなるように形成されているため、第2の接続部26及び一対のカギ形部24はコンタクト収容孔33の一対の上部側壁面33dによって、第2の湾曲部16及び第4の湾曲部20はコンタクト収容孔33の一対の下部側壁面33cによってそれぞれガイドされ、幅方向の動きを規制される。
従って、ばね部12が弾性変位するとき、切り欠き部28を含め、コンタクト10のばね部12の各部に、位置ずれ、傾き(X軸を中心としたロール及びY軸を中心としたヨー)が生じることがなく、電気コネクタは安定した性能を発揮できる。
【0058】
以上、バッテリパック51を回路基板61に装着するときにつき説明したが、バッテリパック51を回路基板61から取り外すとき、電気コネクタ50は、以上説明した動作を逆方向に行う。
すなわち、先ず「接点湾曲部22、接点湾曲部22の一端に連設された第4ばね部21、及び接点湾曲部22の他端に連設された第1の接続部23、第2の接続部26及び一対のカギ形部24」は、ストッパ35によって係止された第4の湾曲部20を支点にして、接点湾曲部22が前進する方向(−X方向)、すなわち
図4において反時計周り方向の回転動作を行う。接点湾曲部22は、この回転動作により、F方向と反対側に後退するバッテリパック51の電極端子52に押圧力を付与しつつ前進する。
第4の湾曲部20がストッパ35から離れると、「接点湾曲部22、接点湾曲部22の一端に連設された第4ばね部21、及び接点湾曲部22の他端に連設された第1の接続部23、第2の接続部26及び一対のカギ形部24」は、F方向と反対側に後退するバッテリパック51の電極端子52に押圧力を付与しつつ、一対のカギ形部24が一対の突出壁36に当接するまで、直線状に前進する。
【0059】
図9は、バッテリパック51を回路基板61に装着するとき、バッテリパック51の電極端子52が接点湾曲部22に接触してからバッテリパック51が回路基板61に装着されるまでの間の、電気コネクタ50の接点湾曲部22の接触点における荷重方向変位に対する荷重方向押圧力、及び荷重方向と直角方向の変位の変化を示す図である。
【0060】
(a)はストッパ35の位置を「ある位置」に設定した場合を示す。ここで、荷重方向とは、
図1乃至
図4におけるX方向をいう。
バッテリパック51の電極端子52が接点湾曲部22に接触してから電極端子52からの荷重方向の押圧力がプリロードP0を上回ると接点湾曲部22は後方に向かって後退する(
図2及び
図3参照)。このとき、前述の通り、接点湾曲部22は荷重方向(X方向)に直線状に後退する。
【0061】
第4の湾曲部20がストッパ35に当接すると(接点部の荷重方向変位=X1、荷重方向押圧力=P1に対応)、前述の通り、「接点湾曲部22、接点湾曲部22の一端に連設された第4ばね部21、及び接点湾曲部22の他端に連設された第1の接続部23、第2の接続部26及び一対のカギ形部24」は、第4の湾曲部20を支点とする回転動作を行う。回転動作においては、第4の湾曲部20の位置が固定されるため、ばね部12のうち弾性変位に有効な部分は第4の湾曲部20及び第4ばね部21のみとなるため、
図9の「接点部の荷重方向変位に対する荷重方向押圧力」のグラフの傾きは一旦増大する。その後、同グラフの傾きは、支点となる第4の湾曲部20と接点湾曲部22とを結ぶ第4ばね部21と荷重方向とのなす角度θが大きくなるのに従って次第に緩やかになる。「接点部の荷重方向変位=X2、荷重方向押圧力=P2」は、バッテリパック51が回路基板61に装着された状態を示す。
【0062】
他方、接点部の荷重方向変位に対する接点部の荷重方向と直角方向の変位(Y方向変位)は、第4の湾曲部20がストッパ35に当接すると(接点部の荷重方向変位=X1、接点部の荷重方向と直角方向の変位=0に対応)発生し始め、「接点部の荷重方向変位に対する接点部の荷重方向と直角方向の変位」のグラフの傾きは、回転動作の支点となる第4の湾曲部20と接点湾曲部22とを結ぶ第4ばね部21と荷重方向とのなす角度θが大きくなるのに従って、次第に大きくなる。「接点部の荷重方向変位=X2、接点部の荷重方向と直角方向の変位=Y2」は、バッテリパック51が回路基板61に装着された状態を示す。
【0063】
このように、電気コネクタ50は、バッテリパック51を回路基板61に装着するとき、第4の湾曲部20がストッパ35に当接するまでの間(接点部の荷重方向変位≦X1)、ばね部12の全体を用いて「大きな弾性変位量で、且つ柔らかいばね特性」にすることができ、第4の湾曲部20がストッパ35に当接した後(接点部の荷重方向変位>X1)、接点部の荷重方向と直角方向の変位を大きくすることが出来るので接点湾曲部22とバッテリパック51の電極端子52との間で大きなワイピング効果を得ることができる。従って、全体としてバランスの良い「弾性変位量が大きく、柔らかく、しかもワイピング効果の大きいばね特性」にすることができる。
また、電気コネクタ50では、接点部の荷重方向押圧力が最大の領域で接点部の荷重方向と直角方向の変位も最大になるので、好ましいワイピング効果を得ることができる。
【0064】
電気コネクタ50は、上下方向(Y方向)のサイズに関して、上方の第3の湾曲部18及び第1の湾曲部14から下方の第4の湾曲部20及び第2の湾曲部16までのばね部12の高さに、ばね12を収容するハウジング30の上壁面33a側の壁厚分及び下壁面33b側の壁厚分を加えたものでよいため、背低に構成することができ、回路基板61からの上方への突出高を低く抑えることができる。電気コネクタ50は、このような背低の形状でありながら、背方向(Y方向)のワイピングを行うことができるように構成されている。
【0065】
図9の(b)は、(a)と同じコンタクト10及びハウジング30を用いて、コンタクト10のハウジング30に対する固定位置(挿入量)のみ異なる位置(量)に設定した場合において、同様に、バッテリパック51を回路基板61に装着するとき、バッテリパック51の電極端子52が接点湾曲部22に接触してからバッテリパック51が回路基板61に装着されるまでの間の、電気コネクタ50の接点湾曲部22の接触点における荷重方向変位に対する荷重方向押圧力、及び荷重方向と直角方向の変位の変化を示す図である。
【0066】
この場合、バッテリパック51の電極端子52が接点湾曲部22に接触してから電極端子52からの荷重方向の押圧力がプリロードP5を上回ると接点湾曲部22はハウジング30に向かって後退する。
第4の湾曲部20がストッパ35に当接すると(接点部の荷重方向変位=X1、荷重方向押圧力=P6に対応)、同様に、「接点湾曲部22、接点湾曲部22の一端に連設された第4ばね部21、及び接点湾曲部22の他端に連設された第1の接続部23、第2の接続部26及び一対のカギ形部24」は、第4の湾曲部20を支点とする回転動作を行う。「接点部の荷重方向変位=X2、荷重方向押圧力=P7」は、バッテリパック51が回路基板61に装着された状態を示す。グラフ(P5、P6、P7)は、(a)のグラフ(P0、P1、P2)と同一形状であり、プリロード変化分だけ荷重方向押圧力の方向に移動したものである。
【0067】
他方、接点部の荷重方向変位に対する接点部の荷重方向と直角方向の変位(Y方向変位)は、(a)と同じである。
すなわち、電気コネクタ50は、同じコンタクト10及び同じハウジング30を用いて、コンタクト10のハウジング30に対する固定位置(挿入量)を調整することによって、容易にばね部12に印加するプリロードを調整することができる。
【0068】
図9の(c)は、(a)と同じコンタクト10を用いてハウジング30におけるストッパ35の位置のみを「別の位置」に配置した場合において、バッテリパック51を回路基板61に装着するとき、バッテリパック51の電極端子52が接点湾曲部22に接触してからバッテリパック51が回路基板61に装着されるまでの間の、電気コネクタ50の接点湾曲部22の接触点における荷重方向変位に対する荷重方向押圧力、及び荷重方向と直角方向の変位の変化を示す図である。
この場合、(a)の設定と同様に、バッテリパック51の電極端子52が接点湾曲部22に接触してから電極端子52からの荷重方向の押圧力がプリロードP0を上回ると接点湾曲部22は後方に向かって後退する。
【0069】
第4の湾曲部20がストッパ35に当接すると(接点部の荷重方向変位=X3、荷重方向押圧力=P3に対応)、同様に、「接点湾曲部22、接点湾曲部22の一端に連設された第4ばね部21、及び接点湾曲部22の他端に連設された第1の接続部23、第2の接続部26及び一対のカギ形部24」は、第4の湾曲部20を支点とする回転動作を行う。「接点部の荷重方向変位=X4、荷重方向押圧力=P4」は、バッテリパック51が回路基板61に装着された状態を示す。(c)の設定では、ストッパ35が(a)の設定に比べて、より前面31に近くに配置された場合に対応する。
このように、ストッパ35の位置を調整することにより、同じコンタクト10を用いながら、接点湾曲部22の直線的な後退から第4の湾曲部20を支点とした回転動作に移行するタイミングを調整でき、荷重方向押圧力の大きさ及びその発生パターンを調整することができる。
【0070】
他方、接点部の荷重方向変位に対する接点部の荷重方向と直角方向の変位(Y方向変位)は、「接点部の荷重方向変位=X4、接点部の荷重方向と直角方向の変位=Y4」はバッテリパック51が回路基板61に装着された状態を示す。(c)の設定では、(a)の設定に比べて、接点部の荷重方向と直角方向の、より大きな変位を発生させている。
このように、電気コネクタ50は、同じコンタクト10を用いながら、ハウジング30におけるストッパ35の形成位置を調整することにより、容易に、荷重方向押圧力の大きさ及びその発生パターン、及び接点部の荷重方向と直角方向の変位を調整することができる。
【0071】
電気コネクタ50は、同じコンタクト10を用いて、ハウジング30におけるストッパ35の位置を変化させる(調整する)こと、及びコンタクト10のハウジング30に対する固定位置(挿入量)を変化させる(調整する)ことを組み合わせて用いることもできる。この場合、容易に、ばね部12に印加するプリロード、荷重方向押圧力の大きさ及びその発生パターン、及び接点部の荷重方向と直角方向の変位を適宜調整することができる。
【0072】
以上、本発明の実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変形、変更または改良を加えることができ、そのような変形、変更または改良加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得る。
【0073】
例えば、上記実施形態では、基部11を上下方向(Y方向)に対して一対のカギ形部24及び第3の湾曲部18の側である上側としたが、基部を上下方向(Y方向)に対して一対のカギ形部24及び第3の湾曲部18と反対側である下側にしてもよい。この場合、基部は、下部側壁面33cに設けられた溝部に固定すればよい。
【0074】
また、上記実施形態では、ストッパ35は急斜面35aを備えているが、第4の湾曲部20がストッパ35に当接した後の第4の湾曲部20を支点とした「接点湾曲部22、接点湾曲部22の一端に連設された第4ばね部21、及び接点湾曲部22の他端に連設された第1の接続部23、第2の接続部26及び一対のカギ形部24」の回転動作をより滑らかにするために、急斜面35aの代わりにR面としてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、ばね部12は、ある方向に湾曲した正湾曲部と逆方向に湾曲した逆湾曲部とを交互に有する、所謂スネークタイプであるが、これ以外のタイプのばね部であってよい。