【実施例】
【0013】
(パチンコ機)
実施例に係るパチンコ機Pは、
図1に示すように、前後に開口する矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に縦置き姿勢で設置される固定枠としての外枠Aの開口前面側に、遊技盤Dを着脱可能に保持する本体枠としての中枠Bが、開閉および着脱可能に組み付けられている。そして、前記遊技盤Dの裏側に、所定条件の成立(後述する始動入賞装置20へのパチンコ球の入賞)を契機として演出用の図柄を変動表示させて図柄変動演出を行なう図柄表示装置(表示装置)Hが着脱可能に配設されている。また、前記中枠Bの前面側には、前記遊技盤Dを透視保護するガラス板や透明な合成樹脂材により形成された透視保護板26で前後に開口する窓部を覆うよう構成された装飾枠としての前枠Cが開閉可能に組み付けられると共に、該前枠Cの下方にパチンコ球を貯留する下球皿Fが前記中枠Bに組み付けられる。更に、前記前枠Cの下部位置に、パチンコ球を貯留する上球皿Eが一体的に組み付けられており、前枠Cの開閉に合わせて上球皿Eも一体的に開閉するよう構成される。
【0014】
前記中枠Bの右下方位置には、該中枠Bに配設された打球発射装置(図示せず)を作動する操作ハンドルGが設けられており、該操作ハンドルGの操作により打球発射装置が作動することで、前記上球皿Eに貯留されたパチンコ球が所定間隔で1球ずつ前記遊技盤Dに向けて連続的に発射されるようになっている。なお実施例では、前記図柄表示装置Hとして、各種図柄を表示可能な液晶パネルからなる表示演出部H1を備えて該表示演出部H1を収容ケースに収容した液晶表示装置が採用されるが、これに限られるものではなく、ドラム式の図柄表示装置やドットマトリックス式の図柄表示装置等の図柄を停止および変動表示可能な従来公知の表示装置を採用し得る。また、前記上球皿Eは、前記前枠Cと別体に形成して中枠Bに対して開閉可能に組み付けるようにしてもよい。
【0015】
(遊技盤)
前記遊技盤Dは、
図2および
図5に示すように、アクリルやポリカーボネート等の光透過性の合成樹脂製板やベニア等の木製合板を材質とし、前記中枠Bに設けた遊技盤保持部(図示せず)の内縁形状に整合する外縁形成された略矩形の平板状に形成され、その前側には前記打球発射装置から打ち出されたパチンコ球が流下する遊技領域10が設けられると共に、その後側には
図3および
図4に示す設置部材30が配設されている。また、前記遊技盤Dの前側には、左下部から右上部にかけて円弧状に延在する外レール11と、この外レール11の内側に中央下部から左上部にかけて並べて配置された内レール12と、外レール11の右上部から内レール12の下部までの間に右方へ凹む湾曲形状に構成された盤面飾り部材13等が配設されており、両レール11,12および盤面飾り部材13で囲まれた内側が前記遊技領域10として構成されている。これにより、前記打球発射装置から発射されたパチンコ球は、外レール11と内レール12との間を通って遊技領域10の左上部に打ち出された後、該遊技領域10内を流下する。但し、前記内レール12の延在長を大きく設定して、前記外レール11および該内レール12で遊技領域10を形成するように構成してもよい。
【0016】
前記遊技盤Dには、中央に大きな貫通口14が形成され(
図4参照)、演出領域として前後に開口した表示窓口28Aが形成された枠状装飾部材28が、該貫通口14の開口縁を覆うように配設されている。この枠状装飾部材28には、遊技盤Dの前側に露出する部分に、前記設置部材30の後側に着脱可能に配設された前記図柄表示装置H(
図4参照)の表示演出部H1で表示される図柄変動演出の内容に合わせた装飾が施されている。そして、
図2に示すように、前記枠状装飾部材28の表示窓口28Aには、前記設置部材30の後側に配設された図柄表示装置Hの表示演出部H1や、該設置部材30の前側に配設される後述の可動演出装置40や、照明装置を内部に備えた第1および第2の装飾部材35,36等が臨むように構成されている。
【0017】
前記遊技盤Dには、前記貫通口14の真下における左右中央に第1装着口(図示せず)が開設され、
図2に示すように、この第1装着口内の上方には始動入賞装置20が前側から配設されると共に、該第1装着口内の下方には特別入賞装置21が前側から配設され、特別入賞装置21が始動入賞装置20の真下に位置している。前記始動入賞装置20は、第1始動入賞口20Aと、該第1始動入賞口20Aの真下に設けた第2始動入賞口20Bとを備えており、両始動入賞口20A,20Bの何れかにパチンコ球が入賞すると、これを契機として前記図柄表示装置Hが図柄変動演出を行なうようになっている。また、前記貫通口14の左下方(第1装着口の左側)に第2装着口(図示せず)が開設され、
図2に示すように、この第2装着口には、複数(実施例では3つ)の入賞口22Aが配列された普通入賞具22が配設されている。なお、遊技盤Dの前面における前記遊技領域10内には、多数の球案内釘23や回転球案内具24等が配設されている。
【0018】
前記始動入賞装置20、特別入賞装置21および普通入賞具22には、各々に入賞したパチンコ球を検知する球検知スイッチが個別に配設され、各球検知スイッチからの球検知信号が、当該パチンコ機Pを総合的に制御する主制御装置(図示せず)に入力される。前記主制御装置は、前記始動入賞装置20の球検知スイッチからの検出信号を受けると、大当たり抽選を行なうと共に、前記設置部材30の後側に取り付けられた統括制御装置(図示せず)に制御信号を出力して前記図柄表示装置Hに図柄変動演出を行なわせると共に、前記中枠Bの後側に配設された払出制御装置(図示せず)に制御信号を出力して、球払出装置(図示せず)に所定数の賞球を払い出させる。そして、前記主制御装置における前記大当たり抽選の結果として大当たりが発生する場合には、図柄表示装置Hの表示演出部H1での図柄変動演出の後に、該表示演出部H1に所定の図柄組合わせで図柄が停止表示され、前記特別入賞装置21の開閉扉21Aが開放位置に姿勢変位して多数のパチンコ球の入賞が可能となる。また主制御装置は、前記特別入賞装置21の球検知スイッチからの検出信号を受けると、前記払出制御装置に制御信号を出力して前記球払出装置に所定数の賞球を払い出させる。更に主制御装置は、前記普通入賞具22の球検知スイッチからの検出信号を受けると、前記払出制御装置に制御信号を出力して前記球払出装置に所定数の賞球を払い出させる。
【0019】
(設置部材)
前記設置部材30は、
図3および
図4に示すように、前方に開放する略矩形のケース状に一体成形された合成樹脂製の部材であって、前側の開放端を遊技盤Dの後面に突き合わせて該遊技盤Dに取り付けられる。この設置部材30は、遊技盤Dの後面に対して後方から所要の間隔で平行に対向して該遊技盤Dの後面を構成する設置壁部31と、この設置壁部31の周縁から前方へ延出形成された外周壁部32と、この外周壁部32の前端から外方に向けて屈曲した形状に形成された取付板部33等を備えている。すなわち設置部材30は、外周壁部32で囲われて遊技盤D側に開放する前部開口が矩形状に形成されると共に、取付板部33の外周縁が、遊技盤Dの外周縁より一回り小さい形状および大きさで形成されている。このような設置部材30は、取付板部33を遊技盤Dの後面にネジ止めすることで該遊技盤Dに固定され、遊技盤Dの後面から離間した設置壁部31の前側に、前記可動演出装置40や、各装飾部材35,36や、各種付属部品の設置を可能とする空間SPを画成する。
【0020】
前記設置部材30の設置壁部31には、
図3および
図4に示すように、前後に貫通する表示開口(表示部)34が形成されており、該設置壁部31の後側には、該表示開口34に前記表示演出部H1を臨ませた状態で前記図柄表示装置Hが着脱可能に取り付けられる。この図柄表示装置Hは、前記表示演出部H1を構成する液晶パネルが収容ケースに収容されたユニット部材であって、該収容ケースの後面には、該図柄表示装置Hの表示演出部H1の表示制御を行なう表示制御装置と、当該パチンコ機Pの遊技演出を統括的に制御する前記統括制御装置が配設される。統括制御装置には、前記図柄表示装置H、前記前枠Cに配設された照明装置や前記中枠Bに配設されたスピーカ等が電気的に接続されており、該統括制御装置から出力される制御信号に基づいて各装置が作動制御される。また統括制御装置には、設置壁部31の前側に配設された前記各装飾部材35,36や前記可動演出装置40等が電気的に接続されており、該統括制御装置から出力される制御信号に基づいて装飾部材35,36および可動演出装置40の作動が制御される。なお実施例では、前記設置壁部31について、表示開口34の上側部分を上板部31A、表示開口34の右側部分を右板部31B、表示開口34の左側部分を左板部31Cと各々指称する。
【0021】
実施例のパチンコ機Pでは、
図3および
図4に示すように、前記設置壁部31における右板部31Bの前面に第1装飾部材35が配設され、左板部31Cの前面上部に第2装飾部材36が配設されている。そして、右板部31Bの上部および左板部31Cの上部には、左右対称形状に構成された2基の可動演出装置40,40が、上板部31Aにおける表示開口34の上縁に延出するように配設されている。また、前記設置壁部31の上板部31A、右板部31Bおよび左板部31C等には、複数の可動演出装置や装飾部材等が配設される。
【0022】
(可動演出装置)
次に、前記実施例の可動演出装置40につき、図面を引用して説明する。設置部材30の設置壁部31に配設された2基の各可動演出装置40,40は、左右対称形状に形成されて、構成部材および基本的構成は同じである。従って、設置壁部31の左板部31Cの上部に配設された正面左側の可動演出装置40を図示しながら説明し、右板部31Bの上部に配設された正面右側の可動演出装置40については、左側の可動演出装置40と同一部材、部位については同一の符号で指示する。
【0023】
前記可動演出装置40は、
図4〜
図6に示すように、前記設置壁部31に固定される装置本体44と、この装置本体44に配設された演出部材41と、この演出部材41を駆動する駆動機構75とを備えている。前記演出部材41は、前記装置本体44に回転可能に配設された主可動部材42と、主可動部材42に取付けられた複数(実施例では4個)の従可動部材43(第1従可動部材43A、第2従可動部材43B、第3従可動部材43C、第4従可動部材43D)とを備えている。前記可動演出装置40は、
図2および
図6(a)に示す通常位置においては、主可動部材42が略水平右方(右側の可動演出装置40は略水平左方)へ延出した状態となり、
図5および
図6(b)に示す作動位置においては、主可動部材42が右下がり(右側の可動演出装置40は左下がり)へ延出した状態となるよう構成されている。また、各従可動部材43A,43B,43C,43Dは、主可動部材42に対し垂下した状態で配設されている。
【0024】
(装置本体)
前記装置本体44は、
図6〜
図8に示すように、本体部材45と、本体部材45の後側に組付けられ、該本体部材45との間に右方へ開口する第1空間46Aを画成する後ケース部材46と、前記本体部材45の前側に組付けられ、本体部材45との間に第2空間47Aを画成する前カバー部材47とを備え、ネジ等により前記設置壁部31の左板部31Cの前側に固定される。前記本体部材45は、左右の中央を境とした右側部分が、主可動部材42を姿勢変位可能に支持する支持部48とされ、上方へ突出した左側部分が、該主可動部材42を姿勢変位させる駆動機構75を取付ける機構設置部49とされている。前記第1空間46Aには、前記主可動部材42の左側部分が収容されるようになっており、前記第2空間47Aには、後述する駆動機構75の連係部材78が配設されるようになっている。なお、前記本体部材45の後面には、前記後ケース部材46をビス固定するための複数の第1ボス50が後方へ突出して形成されると共に(
図8参照)、該本体部材45の前面には、前記前カバー部材47をビス固定するための複数の第2ボス51が前方へ突出して形成されている(
図7参照)。
【0025】
前記本体部材45の支持部48には、
図7および
図8に示すように、前記主可動部材42を回転自在に支持する円形の第1回転支持孔52が形成される。また、前記機構設置部49の上側部分には、駆動機構75を構成する駆動手段としての電磁ソレノイド76が取付けられると共に、該機構設置部49の下側部分には、前後に貫通すると共に上下方向に長く開口した貫通口53が形成されている。前記貫通口53には、前記主可動部材42に設けられた連係ピン68が、後側から遊嵌状態で挿通されて本体部材45の前側へ突出するようになっている。
【0026】
前記後ケース部材46は、
図6および
図7に示すように、前方へ延出したリブ54が外周部に形成され、前記本体部材45の支持部48および機構設置部49の下側部分を覆う形状に形成されている。そして後ケース部材46には、前記主可動部材42を回転自在に支持する円形の第2回転支持孔55が、前記第1回転支持孔52の後方において同一軸線上に位置するように形成されている。また、前記前カバー部材47には、
図6および
図7に示すように、上方および前後に開口した凹部56が上部に形成され、前記電磁ソレノイド76のプランジャ77および該プランジャ77に連結された前記連係部材78との干渉が回避されるように構成されている。
【0027】
(主可動部材)
前記演出部材41の主可動部材42は、
図6〜
図8に示すように、左右に細長いレバー部材60と、該レバー部材60に前側から取り付けられる装飾カバー部材61とを備えている。前記レバー部材60は、前記装置本体44の第1空間46A内に収容される揺動本体部62と、この揺動本体部62から右方へ延出するレバー部63とを備えている。前記揺動本体部62の前記レバー部63側には、前方へ延出する第1支持軸64および後方へ延出する第2支持軸65が、前後方向において同一軸線上に位置するように設けられている。前記第1支持軸64は、リング状のスリーブ66を介して前記第1回転支持孔52に後方から嵌合し、前記第2支持軸65は、リング状の別のスリーブ66を介して前記第2回転支持孔55に前方から嵌合するようになっており、これら第1支持軸64および第2支持軸65が各々第1回転支持孔52および第2回転支持孔55に嵌合することで、レバー部材60が装置本体44に回転可能に支持されている(
図6参照)。なお、第1支持軸64および第2支持軸65は、揺動本体部62に一体に形成された円筒ボス状をなしているが、揺動本体部62とは別体に形成されて該揺動本体部62を前後に貫通する単一の軸部材であってもよい。
【0028】
前記レバー部63は、
図6〜
図8に示すように、揺動本体部62側の基端部から先端部に向けて上下幅が不均一でかつ下方へ僅かに湾曲した形状に形成されており、基端部側から先端部側へ所要間隔毎に複数(実施例では4個)の支持孔67(以降、基端部側から第1支持孔67A、第2支持孔67B、第3支持孔67C、第4支持孔67Dという)が形成されている。第1〜第4の各支持孔67A,67B,67C,67Dには、
図8に示すにように、前記装飾カバー部材61の後側に後方へ突出して形成された4個の支持ピン70(第1支持ピン70A,第2支持ピン70B,第3支持ピン70C,第4支持ピン70D)の各々が、前方から対応的に嵌合するようになっている。前記第1〜第4の各支持ピン70A,70B,70C,70Dには、後述するように、前記4個の各従可動部材43A,43B,43C,43Dが個別に回転可能に枢支されるようになっている。前記第1〜第4の各支持孔67A,67B,67C,67Dは、
図6(b)に示すように、前記第1〜第4の各支持ピン70A,70B,70C,70Dの形成位置に合わせて一直線状には配置されておらず、前記通常位置においては、第1支持孔67Aおよび第4支持孔67Dを結ぶ直線に対して第2支持孔67Bおよび第3支持孔67Cは下方に位置し、かつ第2支持孔67Bより第3支持孔67Cが下方に位置している(
図6(b)参照)。
【0029】
前記レバー部材60の揺動本体部62には、
図7および
図8に示すように、前面における前記第1支持軸64から左方へ離間した位置に、前方へ延出する前記連係ピン68が突設されている。この連係ピン68は、前記本体部材45に設けた前記貫通口53を介して該本体部材45の前方へ延出し、駆動機構75における後述する連係部材78に連係されるようになっている。また、前記揺動本体部62の後側には、バランスウェイト69が装着される。前記バランスウェイト69は、前記第1ボス50および第2ボス51を挟んで右側に位置する前記レバー部63と、該レバー部63に配設される前記第1〜第4の各従可動部材43A,43B,43C,43Dと、前記装飾カバー部材61とを合わせた合計重量に対し、前記第1支持軸64および第2支持軸65の左側に位置する揺動本体部62の方が適宜重くなるよう調整するためのものである。従って主可動部材42は、第1支持軸64および第2支持軸65を介して前記装置本体44に支持された状態において、前記電磁ソレノイド76の非励磁状態では前記通常位置に姿勢変位するよう構成されている。
【0030】
(装飾カバー部材)
前記装飾カバー部材61は、
図6〜
図8に示すように、前記レバー部材60のレバー部63の前側にネジ等により取付けられ、該レバー部を前側から被覆する形状およびサイズに形成されている。そして、装飾カバー部材61の後面には、前述したように、前記4個の支持ピン70(第1〜第4の各支持ピン70A,70B,70C,70Dが、後方へ延出した状態で設けられている。また、装飾カバー部材61の前面は、メッキや塗装等の加飾が施されている。
【0031】
(駆動機構)
前記駆動機構75は、前記電磁ソレノイド76と、この電磁ソレノイド76のプランジャ77における先端フランジ部77Aに連結された連係部材78とを備えている。前記電磁ソレノイド76は、前記プランジャ77に圧縮コイルバネ79が装着されており、非励磁状態では該圧縮コイルバネ79の付勢力によりプランジャ77がケースから延出し、励磁状態では該圧縮コイルバネ79の付勢力に抗して該プランジャ77がケース内に後退するよう構成されている。このような電磁ソレノイド76は、プランジャ77を下方に向けた倒立状態で前記機構設置部49に固定される。前記連係部材78は、
図6〜
図8に示すように、前方へ延出して前記プランジャ77に連結される連結部78Aと、この連結部78Aの後縁から下方へ延出して前記本体部材45の前側に位置する連係部78Bとからなる。前記連係部78Bには、前記主可動部材42の揺動本体部62に設けた前記連係ピン68が係合する連係孔80が、横長に開口形成されている。
【0032】
従って、前記駆動機構75の電磁ソレノイド76が非励磁状態では、
図6(a)に示すように、プランジャ77が圧縮コイルバネ79の付勢力により下方へ延出して連係部材78が下方へ移動することで、該連係部材78に連係された前記連係ピン68が下方へ押し下げられ、これにより第1ボス50および第2ボス51を介して前記装置本体44に支持された主可動部材42は、前記レバー部63の先端側が上方へ移動するように回転変位して通常位置に姿勢保持されるようになっている。また、前記駆動機構75の電磁ソレノイド76が励磁された場合には、
図6(b)に示すように、プランジャ77が圧縮コイルバネ79の付勢力に抗して上方へ移動して連係部材78が上方へ移動することで、該連係部材78に連係された前記連係ピン68が上方へ引っ張られ、これにより前記装置本体44に支持された主可動部材42は、前記レバー部63の先端側が下方へ移動するように回転変位して作動位置に姿勢変位される。従って、電磁ソレノイド76の励磁、非励磁を短いサイクルで繰り返してプランジャ77の出没を繰り返すことで、主可動部材42が前記第1支持軸64および第2支持軸65を中心として揺動するようになる。
【0033】
(従可動部材)
前記4個の各従可動部材43(43A,43B,43C,43D)は、
図6〜
図9に示すように、上下および左右に各々角張った略菱形形状に形成された本体部85と、該本体部85の上側角部に上方へ突出するように連設された支持部86とを備えている。前記本体部85は、その前面85Aは中央部が最も前方へ突出する凸形状に形成されていると共に(
図7参照)、該本体部85の後面85Bは前方へ窪んだ凹形状に形成されている(
図8参照)。本体部85の前面85Aには複数の光拡散面が形成されており、該本体部85の前側からの光を拡散させながら乱反射するようになっている。また、本体部85は透明の合成樹脂材で形成されると共に、該本体部85の後面85Bには複数の光拡散面が形成されており、本体部85の後側からの光を拡散させながら前面85A側へ透過させ得るようになっている。なお実施例では、各従可動部材43A,43B,43C,43Dが、外形形状、外形サイズおよび重さが同じものが採用されているが、これら従可動部材43A,43B,43C,43Dは、外形形状、外形サイズやデザイン等が夫々異なるものであってもよいことは勿論である。
【0034】
前記第1〜第4の各従可動部材43A,43B,43C,43Dは、
図9に示すように、本体部85の左側部および右側部に、隣り合う従可動部材43と接触する接触面87が設けられている(以降、左側部に設けられた接触面を「左接触面87A」、右側部に設けられた接触面を「右接触面87B」と指称する)。前記左接触面87Aおよび右接触面87Bは、上下方向の略中央部に、隣り合う従可動部材43側へ突出する角部90が形成されている。そして前記左接触面87Aは、
図9に示すように、角部90より前記揺動中心側に位置する第1左接触面88Aと、該角部90の前記支持ピン(揺動中心)70とは反対側に位置する第2左接触面89Aとを備えている。また前記右接触面87Bは、
図9に示すように、角部90より前記揺動中心側に位置する第1右接触面88Bと、該角部90の前記支持ピン(揺動中心)70とは反対側に位置する第2右接触面89Bとを備えている。そして、当該従可動部材43の垂下した自然停止状態において、前記第1左接触面88Aおよび第1右接触面88Bは、支持ピン70に近づくにつれて隣り合う従可動部材43から離れる向きに傾斜するよう形成され、また前記第2左接触面89Aおよび第2右接触面89Bは、該支持ピン70から離れるにつれて隣り合う従可動部材43から離れる向きに傾斜するよう形成されている。なお、第1従可動部材43Aおよび第4従可動部材43Dは、一方の側部だけが隣り合う従可動部材と接触するが、デザイン上、第2従可動部材43Bおよび第3従可動部材43Cと同形状に形成され、左接触面87Aおよび右接触面87Bを夫々備えている。
【0035】
前記支持部86は、前後に開口するように貫通した支持孔86Aが形成され、この支持孔86Aには、当該従可動部材43の揺動中心である前記支持ピン70が前側から挿通するようになっている。前記支持孔86Aは、その内径が前記支持ピン70の外径より僅かに大きく設定されており、支持ピン70は支持孔86Aに遊嵌状態で挿通される。これにより各従可動部材43A,43B,43C,43Dは、支持部86の支持孔86Aに挿通された支持ピン70A,70B,70C,70Dを中心として左右方向への回転が許容され、該支持ピン70A,70B,70C,70Dを中心として揺動することが可能となっている。
【0036】
前記第1〜第4の各従可動部材43A,43B,43C,43Dは、前記主可動部材42の揺動に伴う慣性力により、前記各支持ピン70A,70B,70C,70Dを中心として左右方向へ回転して揺動するようになっている(
図6(b)に実線および2点鎖線で表示)。そして、隣り合って配設される第1従可動部材43Aと第2従可動部材43B、隣り合って配設される該第2従可動部材43Bと第3従可動部材43C、隣り合って配設される該第3従可動部材43Cと第4従可動部材43Dは、主可動部材42の揺動に伴ってお互いが相対的に近接するよう揺動した際に接触可能な位置で隣り合うよう配設されている。なお、前述したように、第1〜第4の各支持ピン70A,70B,70C,70Dが横に直線状に配置されていないから、主可動部材42の通常位置においては、第3従可動部材43Cが最も低い位置となり、第4従可動部材43D、第2従可動部材43B、第1従可動部材43Aの順で高い位置となる(
図6(a))。そして、第1〜第4の各従可動部材43A,43B,43C,43Dは、主可動部材42の揺動中心である各ボス50,51からの配設距離が異なるため、該主可動部材42の通常位置と作動位置との間の揺動に対して上下方向の移動距離が異なり、第4従可動部材43Dの上下移動距離が最も大きく、第1従可動部材43Aの上下移動距離が最も小さい。従って、主可動部材42の作動位置においては、第3従可動部材43Cおよび第4従可動部材43Dが略同じ高さで最も低い位置となり、第2従可動部材43B、第1従可動部材43Aの順で高い位置となる(
図6(b))。
【0037】
(隣り合う従可動部材の揺動態様)
次に、前記主可動部材42の揺動に伴う隣り合う前記各従可動部材43A,43B,43C,43Dの接触を伴う揺動態様につき、
図10および
図11を引用して説明する。なお、隣り合う第1従可動部材43Aと第2従可動部材43Bとの揺動態様、第2従可動部材43Bと第3従可動部材43Cとの揺動態様、第3従可動部材43Cと第4従可動部材43Dとの揺動態様は、基本的に同じ関係が成立し得るよう構成されているので、ここでは第1従可動部材43Aと第2従可動部材43Bとの揺動態様について説明する。
【0038】
隣り合う前記第1従可動部材43Aおよび前記第2従可動部材43Bは、
図10および
図11に示すように、第1従可動部材43Aの右接触面87Bおよび第2従可動部材43Bの左接触面87Aが、両従可動部材43A,43Bの揺動に伴う左接触面87Aおよび右接触面87Bの移動領域が重なる部分(
図10および
図11に網掛け表示した部分)に位置する場合に、両従可動部材43A,43Bの揺動中心を通る基準線SLに対する左接触面87Aおよび右接触面87Bの角度変化が一致するよう形成されている。これにより、第1従可動部材43Aおよび第2従可動部材43Bが相対的に近づくように揺動する際に、第1従可動部材43Aの右接触面87Bと第2従可動部材43Bの左接触面87Aの移動領域が重なる部分において第1従可動部材43Aおよび第2従可動部材43Bが接触した場合には、該第1従可動部材43Aの右接触面87Bと該第2従可動部材43Bの左接触面87Aとが面接触するようになると共に、一方の従可動部材の前記角部90が他方の従可動部材の接触面87に尖った向きで接触することが防止されるようになっている。
【0039】
更に、前記第1従可動部材43Aの右接触面87Bにおける第1右接触面88Bおよび第2右接触面89Bと前記第2従可動部材43Bの左接触面87Aにおける第1左接触面88Aおよび第2左接触面89Aとは、一方の従可動部材の角部90の移動軌跡MLが他方の従可動部材の角部90の移動軌跡MLよりも下方に位置する範囲において、該角部90の移動軌跡MLが下方に位置する従可動部材の第1左接触面88Aまたは第1右接触面88Bの前記基準線SLに対する角度変化が、隣り合う他方の従可動部材の第2左接触面89Aまたは第2右接触面89Bの基準線SLに対する角度変化と一致するよう形成される。このことについて、次に具体的に説明する。
【0040】
(第1従可動部材が第2従可動部材と相対的に近接するよう揺動する場合)
前記第1従可動部材43Aが自然停止状態から前記第2従可動部材43B側へ揺動する場合では、
図10および
図12に示すように、第1従可動部材43Aの角部90の移動軌跡MLが第2従可動部材43Bの角部90の移動軌跡MLよりも上方に位置する。従って、角部90の移動軌跡MLが下方に位置する第2従可動部材43Bの第1左接触面88Aの前記基準線SLに対する角度変化が、第1従可動部材43Aの第2右接触面89Bおよび第2従可動部材43Bの第1左接触面88Aの移動領域が重なる部分(
図10および
図11に網掛け表示した部分)に位置において、第1従可動部材43Aの第2右接触面89Bの該基準線SLに対する角度変化と一致する。すなわち、前記第1従可動部材43Aが前記第2従可動部材43B側へ揺動して、該第1従可動部材43Aの第2右接触面89Bが該第2従可動部材43Bの第1左接触面88Aに前記移動領域が重なる部分において接触している間は、第1従可動部材43Aの第2右接触面89Bと第2従可動部材43Bの第1左接触面88Aとの角度変化が一致するから、第1従可動部材43Aの該第2右接触面89Bと第2従可動部材43Bの該第1左接触面88Aとが面接触しながら摺接し得るよう構成される。
【0041】
そして、前記第1従可動部材43Aの第2右接触面89Bが前記第2従可動部材43Bの第1左接触面88Aに接触する瞬間では、
図10に1点鎖線および2点鎖線で示すと共に
図12(a)に示すように、第1従可動部材43Aの第2右接触面89Bの前記基準線SLに対する角度と第2従可動部材43Bの第1左接触面88Aの該基準線SLに対する角度が略一致している。これにより、前記第1従可動部材43Aの角部90が前記第2従可動部材43Bの第1左接触面88Aの面方向に沿って移動するようになり、第1従可動部材43Aの角部90が第2従可動部材43Bの第1左接触面88Aに対して尖った向きで接触することが防止されると共に、第2従可動部材43Bの角部90も第1従可動部材43Aの第2右接触面89Bの面方向に沿って移動するようになり、第2従可動部材43Bの角部90が第1従可動部材43Aの第2右接触面89Bに対して尖った向きで接触することが防止される。また、前記第1従可動部材43Aの第2右接触面89Bが前記第2従可動部材43Bの第1左接触面88Aに接触した後に、該第2右接触面89Bおよび第1左接触面88Aが摺接している間においても、第1従可動部材43Aの角部90が第2従可動部材43Bの第1左接触面88Aの面方向に沿って移動するようになり、第1従可動部材43Aの角部90が第2従可動部材43Bの第1左接触面88Aに対して尖った向きで接触することが防止されると共に、第2従可動部材43Bの角部90が第1従可動部材43Aの第2右接触面89Bの面方向に沿って移動するようになり、第2従可動部材43Bの角部90が第1従可動部材43Aの第2右接触面89Bに対して尖った向きで接触することも防止される。
【0042】
(第2従可動部材が第1従可動部材と相対的に近接するよう揺動する場合)
前記第2従可動部材43Bが自然停止状態から第1従可動部材43A側へ揺動する場合では、
図10および
図13に示すように、第2従可動部材43Bの角部90の移動軌跡MLと第1従可動部材43Aの角部90の移動軌跡MLとが交差する位置まで揺動する間では、第2従可動部材43Bの角部90の移動軌跡MLが第1従可動部材43Aの角部90の移動軌跡MLよりも下方に位置する。従って、角部90の移動軌跡MLが下方に位置する第2従可動部材43Bの第1左接触面88Aの前記基準線SLに対する角度変化が、第1従可動部材43Aの第2右接触面89Bおよび第2従可動部材43Bの第1左接触面88Aの移動領域が重なる部分(
図10および
図11に網掛け表示した部分)に位置において、第1従可動部材43Aの第2右接触面89Bの該基準線SLに対する角度変化とが一致する。すなわち、
図13(a)に示すように、前記第2従可動部材43Bが前記第1従可動部材43A側へ揺動して該第2従可動部材43Bの第1左接触面88Aが該第1従可動部材43Aの第2右接触面89Bに前記移動領域が重なる部分において接触している間、換言すると第2従可動部材43Bの角部90の移動軌跡MLと第1従可動部材43Aの角部90の移動軌跡MLとが交差する位置までは、第2従可動部材43Bの第1左接触面88Aと第1従可動部材43Aの第2右接触面89Bとの角度変化が一致するから、第2従可動部材43Bの第1左接触面88Aと第1従可動部材43Aの第2右接触面89Bとは、面接触しながら摺接し得るよう構成される。
【0043】
また、前記第2従可動部材43Bの角部90の移動軌跡MLと前記第1従可動部材43Aの角部90の移動軌跡MLとが交差する位置を越えて該第2従可動部材43Bが更に揺動すると、
図11および
図13(c)に示すように、第2従可動部材43Bの角部90の移動軌跡MLが第1従可動部材43Aの角部90の移動軌跡MLよりも上方に位置するようになる。従って、角部90の移動軌跡MLが下方に位置する第1従可動部材43Aの第1左接触面88Aの前記基準線SLに対する角度変化が第1従可動部材43Aの第1右接触面88Bおよび第2従可動部材43Bの第2左接触面89Aの移動領域が重なる部分(
図10および
図11に網掛け表示した部分)に位置において、第2従可動部材43Bの第2左接触面89Aの該基準線SLに対する角度変化とが一致する。すなわち、
図13(c)に示すように、前記第2従可動部材43Bが前記第1従可動部材43A側へ揺動して該第2従可動部材43Bの第2左接触面89Aが該第1従可動部材43Aの第1右接触面88Bに接触している間、換言すると第2従可動部材43Bの角部90の移動軌跡MLと第1従可動部材43Aの角部90の移動軌跡MLとが交差する位置を越えると、第2従可動部材43Bの第2左接触面89Aと第1従可動部材43Aの第1右接触面88Bとの角度変化が一致するから、第2従可動部材43Bの第2左接触面89Aと第1従可動部材43Aの第1右接触面88Bとは面接触しながら摺接し得るよう構成される。
【0044】
そして、前記第2従可動部材43Bの第1左接触面88Aが前記第1従可動部材43Aの第2右接触面89Bに接触する瞬間では、
図10に1点鎖線および2点鎖線で示すと共に
図13(a)に示すように、第2従可動部材43Bの第1左接触面88Aの前記基準線SLに対する角度と第1従可動部材43Aの第2右接触面89Bの該基準線SLに対する角度が略一致している。これにより、前記第2従可動部材43Bの角部90が前記第1従可動部材43Aの第2右接触面89Bの面方向に沿って移動するようになり、第2従可動部材43Bの角部90が第1従可動部材43Aの第2右接触面89Bに対して尖った向きで接触することが防止されると共に、第1従可動部材43Aの角部90も第2従可動部材43Bの第1左接触面88Aの面方向に沿って移動するようになり、第1従可動部材43Aの角部90が第2従可動部材43Bの第1左接触面88Aに対して尖った向きで接触することも防止される。また、前記第2従可動部材43Bの第1左接触面88Aが前記第1従可動部材43Aの第2右接触面89Bに接触した後に、該第1左接触面88Aおよび第2右接触面89Bが摺接している間においても、第2従可動部材43Bの角部90が第1従可動部材43Aの第2右接触面89Bの面方向に沿って移動するようになり、第2従可動部材43Bの角部90が第1従可動部材43Aの第2右接触面89Bに対して尖った向きで接触することが防止される。更に、第1従可動部材43Aの角部90が第2従可動部材43Bの第1左接触面88Aの面方向に沿って移動するようになるから、第1従可動部材43Aの角部90が第2従可動部材43Bの第1左接触面88Aに対して尖った向きで接触することも防止される。
【0045】
また、
図11に1点鎖線および2点鎖線で示すと共に
図13(c)に示すように、前記第2従可動部材43Bの角部90の移動軌跡MLと前記第1従可動部材43Aの角部90の移動軌跡MLとが交差する位置を越えて該第2従可動部材43Bが更に揺動し、前記第2従可動部材43Bの第2左接触面89Aが前記第1従可動部材43Aの第1右接触面88Bに接触した後に、該第2左接触面89Aおよび第1右接触面88Bが摺接している間においても、第2従可動部材43Bの角部90が第1従可動部材43Aの第1右接触面88Bの面方向に沿って移動するようになり、第2従可動部材43Bの角部90が第1従可動部材43Aの第1右接触面88Bに対して尖った向きで接触することが防止される。更に、第1従可動部材43Aの角部90が第2従可動部材43Bの第2左接触面89Aの面方向に沿って移動するようになるから、第1従可動部材43Aの角部90が第2従可動部材43Bの第2左接触面89Aに対して尖った向きで接触することが防止される。
【0046】
(実施例の作用)
前述のように構成された実施例のパチンコ機Pでは、前記遊技盤Dの遊技領域10へ打ち出されたパチンコ球が前記始動入賞装置20の第1始動入賞口20Aまたは第2始動入賞口20Bに入賞して、該始動入賞装置20に配設された球検知スイッチによる球検知信号を前記主制御装置が受けると、該主制御装置は、大当たり抽選を行なうと共に、前記統括制御装置に制御信号を出力して前記図柄表示装置Hの表示演出部H1において図柄変動演出を行なわせる。そして主制御装置は、前記大当たり抽選の結果として大当たりが発生すると、前記統括制御装置を介して図柄表示装置Hの表示演出部H1に所定の図柄組合わせで図柄を停止表示させ、前記特別入賞装置21の開閉扉21Aを開放動作させて入賞口を開放させる。また前記統括制御装置は、前記主制御装置からの制御信号に基づき、前記可動演出装置40を含む各可動演出装置や、前記第1および第2の各装飾部材35,36や、その他の遊技部品を、前記図柄表示装置Hの表示演出部H1での図柄演出内容に合わせて総合的に作動制御する。
【0047】
前記可動演出装置40は、前記統括制御装置による前記駆動機構75の電磁ソレノイド76の励磁制御が行なわれない場合は、該電磁ソレノイド76のプランジャ77が圧縮コイルバネ79の付勢力により下方へ延出することで、前記演出部材41の主可動部材42は、
図2および
図6(a)に示す前記通常位置に停止保持される。そして、主可動部材42に配設された第1〜第4の各従可動部材43A,43B,43C,43Dは、垂直下方へ垂下した自然停止状態に停止している。
【0048】
前記可動演出装置40は、前記統括制御装置により前記駆動機構75の電磁ソレノイド76の励磁制御が行なわれると、該電磁ソレノイド76のプランジャ77が圧縮コイルバネ79の付勢力に抗して上方へ後退することで、前記演出部材41の主可動部材42は、
図5および
図6(b)に示す前記作動位置に移動する。そして、主可動部材42に配設された第1〜第4の各従可動部材43A,43B,43C,43Dは、該主可動部材42の揺動に伴う慣性力により、各支持ピン70A,70B,70C,70Dを中心として回転して左右方向へ揺動する。更に可動演出装置40は、統括制御装置により電磁ソレノイド76の励磁・非励磁制御が短いサイクルで連続して行なわれると、主可動部材42が通常位置と作動位置との間を上下に揺動するため、第1〜第4の各従可動部材43A,43B,43C,43Dの左右方向への揺動振幅量が大きくなり、第1従可動部材43Aと第2従可動部材43Bとが接触し、第2従可動部材43Bと第3従可動部材43Cとが接触すると共に、第3従可動部材43Cと第4従可動部材43Dとが接触する。
【0049】
前記第1従可動部材43Aと前記第2従可動部材43Bとが接触する際には、第1従可動部材43Aの右接触面87Bにおける第2右接触面89Bと第2従可動部材43Bの左接触面87Aにおける第1左接触面88Aとが接触するか(
図12参照)、または第1従可動部材43Aの右接触面87Bにおける第1右接触面88Bと第2従可動部材43Bの左接触面87Aにおける第2左接触面89Aとが接触する(
図13参照)。このとき、第1従可動部材43Aの第2右接触面89Bと第2従可動部材43Bの第1左接触面88Aとが接触する際には、これら第2右接触面89Bおよび第1左接触面88Aの移動領域が重なる部分において、該第1従可動部材43Aの第2右接触面89Bの角度変化と第2従可動部材43Bの第1左接触面88Aとの角度変化とが一致する。従って、第1従可動部材43Aと第2従可動部材43Bとは面接触しながら摺接するようになり、第1従可動部材43Aの角部90が第2従可動部材43Bに尖った向きで接触することが防止されると共に第2従可動部材43Bの角部90も第1従可動部材43Aに尖った向きで接触することが防止される。一方、第1従可動部材43Aの第1右接触面88Bと第2従可動部材43Bの第2左接触面89Aとが接触する際には、これら第1右接触面88Bおよび第2左接触面89Aの移動領域が重なる部分において、該第1従可動部材43Aの第1右接触面88Bの角度変化と第2従可動部材43Bの第2左接触面89Aの角度変化とが一致する。従って、第1従可動部材43Aと第2従可動部材43Bとは面接触しながら摺接するようになり、第1従可動部材43Aの角部90が第2従可動部材43Bに尖った向きで接触することが防止されると共に第2従可動部材43Bの角部90も第1従可動部材43Aに尖った向きで接触することが防止される。従って、主可動部材42の揺動により第1従可動部材43Aと第2従可動部材43Bとが互いに接触しても、両従可動部材43A,43Bが破損し難く、両従可動部材43A,43Bに擦傷等が形成され難い。
【0050】
また、前記第2従可動部材43Bと前記第3従可動部材43Cとが接触する際には、第2従可動部材43Bの右接触面87Bにおける第1右接触面88Bと第3従可動部材43Cの左接触面87Aにおける第2左接触面89Aとが接触するか、または第2従可動部材43Bの右接触面87Bにおける第2右接触面89Bと第3従可動部材43Cの左接触面87Aにおける第1左接触面88Aとが接触する。このとき、第2従可動部材43Bの第1右接触面88Bと第3従可動部材43Cの第2左接触面89Aとが接触する際には、これら第1右接触面88Bおよび第2左接触面89Aの移動領域が重なる部分において、該第2従可動部材43Bの第1右接触面88Bの角度変化と第3従可動部材43Cの第2左接触面89Aの角度変化とが一致する。また、第2従可動部材43Bの第2右接触面89Bと第3従可動部材43Cの第1左接触面88Aとが接触する際には、これら第2右接触面89Bおよび第1左接触面88Aの移動領域が重なる部分において、該第2従可動部材43Bの第2右接触面89Bの角度変化と第3従可動部材43Cの第1左接触面88Aの角度変化とが一致する。従って、第2従可動部材43Bと第3従可動部材43Cとは、面接触しながら摺接するようになるから、主可動部材42の揺動により第2従可動部材43Bと第3従可動部材43Cとが互いに接触しても、両従可動部材43B,43Cが破損し難く、両従可動部材43B,43Cに擦傷等が形成され難い。
【0051】
また、前記第3従可動部材43Cと前記第4従可動部材43Dとが接触する際には、第3従可動部材43Cの右接触面87Bにおける第1右接触面88Bと第4従可動部材43Dの左接触面87Aにおける第2左接触面89Aとが接触するか、または第3従可動部材43Cの右接触面87Bにおける第2右接触面89Bと第4従可動部材43Dの左接触面87Aにおける第1左接触面88Aとが接触する。このとき、第3従可動部材43Cの第1右接触面88Bと第4従可動部材43Dの第2左接触面89Aとが接触する際には、これら第1右接触面88Bおよび第2左接触面89Aの移動領域が重なる部分において、該第3従可動部材43Cの第1右接触面88Bの角度変化と第4従可動部材43Dの第2左接触面89Aの角度変化とが一致する。また、第3従可動部材43Cの第2右接触面89Bと第4従可動部材43Dの第1左接触面88Aとが接触する際には、これら第2右接触面89Bおよび第1左接触面88Aの移動領域が重なる部分において、該第3従可動部材43Cの第2右接触面89Bの角度変化と第4従可動部材43Dの第1左接触面88Aの角度変化とが一致する。従って、第3従可動部材43Cと第4従可動部材43Dとは、常に面接触しながら摺接するようになるから、主可動部材42の揺動により第3従可動部材43Cと第4従可動部材43Dとが互いに接触しても、両従可動部材43C,43Dが破損し難く、両従可動部材43C,43Dに擦傷等が形成され難い。
【0052】
なお、前記主可動部材42の通常位置と作動位置との間における姿勢変化により、前記第1従可動部材43Aと前記第2従可動部材43Bとの相対高さ、第2従可動部材43Bと前記第3従可動部材43Cとの相対高さ、第3従可動部材43Cと前記第4従可動部材43Dとの相対高さが夫々変化する。このため、前記第1従可動部材43Aと前記第2従可動部材43Bとの接触タイミング、第2従可動部材43Bと前記第3従可動部材43Cとの接触タイミング、第3従可動部材43Cと前記第4従可動部材43Dとの接触タイミングは、主可動部材42の姿勢変化によって夫々変化するが、隣り合う一方の従可動部材における右接触面87Bの第1右接触面88Bと他方の従可動部材43における左接触面87Aの第2左接触面89Aとが接触し、隣り合う一方の従可動部材における右接触面87Bの第2右接触面89Bと他方の従可動部材43における左接触面87Aの第1左接触面88Aとが接触する関係は変わらない。
【0053】
前述のように構成された実施例の可動演出装置40によれば、該可動演出装置40を構成する前記第1〜第4の各従可動部材43(43A,43B,43C,43D)において、隣り合う一方の従可動部材43の接触面87および他方の従可動部材43の接触面87は、両従可動部材43,43の姿勢変位に伴う一方の従可動部材43の接触面87および他方の従可動部材43の接触面87の移動領域が重なる部分において角度変化が一致するよう形成されているから、両従可動部材43,43が相対的に近接するよう揺動した際には両接触面87,87が面接触するようになる。従って、隣り合う従可動部材43,43が揺動して接触した際の両従可動部材43,43に加わる衝撃が緩和されて、従可動部材43,43の破損や擦傷等が発生し難くなり、当該可動演出装置40の装飾性が低下することが防止されると共に、パチンコ機Pの品質低下も防止し得る。
【0054】
そして、前記第1〜第4の各従可動部材43(43A,43B,43C,43D)は、略菱形形状に形成することで、自然停止状態において左側部に設けられた左接触面87Aおよび右側部に設けられた右接触面87Bを、角部90より支持ピン70側に位置して、該支持ピン70に近づくにつれて隣り合う従可動部材43から離れる向きに傾斜する第1左接触面88Aおよび第1右接触面88Bと、該角部90の支持ピン70とは反対側に位置して、該支持ピン70から離れるにつれて隣り合う従可動部材43から離れる向きに傾斜する第2左接触面89Aおよび第2右接触面89Bとで構成した。しかも、各従可動部材43の第1左接触面88Aおよび第2左接触面89Aと、第1右接触面88Bおよび第2右接触面89Bは、角部90の移動軌跡MLが下方に位置する従可動部材43の第1左接触面88Aまたは第1右接触面88Bの前記基準線SLに対する角度変化が、隣り合う従可動部材43の第2左接触面89Aまたは第2右接触面89Bの基準線SLに対する角度変化と一致するよう形成したから、隣り合う両従可動部材43,43が接触する際には一方の従可動部材43の第1左接触面88Aまたは第1右接触面88Bと他方の従可動部材43の第2右接触面89Bまたは第2左接触面89Aとが面接触することが可能となり、接触により両従可動部材43,43に加わる衝撃を適切に緩和し得る。
【0055】
また、実施例の可動演出装置40は、主可動部材42の揺動に伴う慣性力により揺動される第1〜第4の各従可動部材43A,43B,43C,43Dの姿勢変位が不規則であるから、各従可動部材43A,43B,43C,43Dの揺動による装飾性が向上して、図柄表示装置Hの表示演出部H1での表示演出の演出効果をより一層高めることができる。
【0056】
(変更例)
本発明に係る遊技機の可動演出装置は、実施例に例示の形態に限らず種々の変更が可能である。
(1)実施例では、第1〜第4の4個の従可動部材43を主可動部材42に配設した構成の可動演出装置40を例示したが、従可動部材43の配設数は4個に限定されず、2個以上であればよい。また、従可動部材43の形状も、実施例に例示した略菱形形状に限定されない。
(2)実施例では、支持軸を中心として回転することで揺動するレバータイプの主可動部材42を例示したが、この主可動部材42は、スライドレール等に沿って直線状に往復スライドすることで揺動するスライドタイプであってもよい。また、主可動部材42の形状も、実施例に例示した形状に限定されない。
(3)従可動部材43は、支持ピン70を中心として回転することで揺動するタイプに限らず、往復スライドすることで揺動するタイプ等であってもよい。
(4)可動演出装置40の配設位置は、設置部材30の設置壁部31の右板部31Bまたは左板部31Cに取付けられて表示開口34の外周部上側に臨むように配設されるものに限らず、設置壁部31の上板部31Aやその他の部位、また遊技盤Dの遊技領域10等に配設されるものであってもよい。
(5)主可動部材42を揺動させる駆動手段は、電磁ソレノイドに限らず、電動モータや流体圧シリンダ等であってもよい。
(6)実施例では、遊技機としてのパチンコ機を示したが、遊技機はパチンコ機に限られるものではなく、アレンジボール機等であってもよい。