特許第5730202号(P5730202)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5730202伝動装置、特に自動車のクランクCVTのためのフリーホイール装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5730202
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】伝動装置、特に自動車のクランクCVTのためのフリーホイール装置
(51)【国際特許分類】
   F16D 41/06 20060101AFI20150514BHJP
【FI】
   F16D41/06 B
【請求項の数】14
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-525400(P2011-525400)
(86)(22)【出願日】2009年8月13日
(65)【公表番号】特表2012-502228(P2012-502228A)
(43)【公表日】2012年1月26日
(86)【国際出願番号】DE2009001155
(87)【国際公開番号】WO2010025698
(87)【国際公開日】20100311
【審査請求日】2012年8月10日
(31)【優先権主張番号】102008045907.0
(32)【優先日】2008年9月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512006239
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100061815
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】オスヴァルト フリートマン
【審査官】 河端 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−232386(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/089004(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内レース(3)と、
外レース(2)と、
前記外レース(2)と前記内レース(3)との間に配置された環状のケージ(4)と、
前記ケージ(4)内に保持されているとともに、前記内レース(3)と前記外レース(2)との間に形成された第1の締結間隙(14)内に進入離脱可能な第1の締結体(5)であって、ロック方向での前記内レース(3)に対する前記外レース(2)の相対回動時に前記第1の締結間隙(14)内に進入し、オーバーランニング方向での前記内レース(3)に対する前記外レース(2)の相対回動時に前記第1の締結間隙(14)から離脱する、第1の締結体(5)と、
前記外レース(2)と前記ケージ(4)との間に形成され、前記第1の締結間隙(14)に対して周方向にずれて位置する第2の締結間隙(13)内に進入離脱可能な第2の締結体(10)であって、ロック方向での前記内レース(3)に対する前記外レース(2)の相対回動時に前記第2の締結間隙(13)内に進入し、オーバーランニング方向での前記内レース(3)に対する前記外レース(2)の相対回動時に前記第2の締結間隙(13)から離脱する、第2の締結体(10)と、
一方の側で前記第2の締結体(10)に支持され、他方の側で前記ケージ(4)に支持され、前記第2の締結体(10)を前記第2の締結間隙(13)に向かって予め付勢するエネルギアキュムレータと、を備え、
前記第2の締結体(10)は、前記エネルギアキュムレータによって、前記第2の締結間隙(13)に向かって予め付勢されているとともに、前記第1の締結体(5)よりも小さな重量を有しており、これにより、ロック方向での前記内レース(3)に対する前記外レース(2)の相対回動時に、前記第2の締結体(10)がまず前記第2の締結間隙(13)内に押し込まれ、前記ケージ(4)がロック方向で前記外レース(2)の回動に従動し、次いで前記ケージ(4)により前記第1の締結体(5)が前記第1の締結間隙(14)内に押し込まれ、前記内レース(3)がロック方向で前記外レース(2)の回動に従動することを特徴とする、フリーホイール装置。
【請求項2】
前記エネルギアキュムレータが、圧縮ばね(11)の形態を有する、請求項1記載のフリーホイール装置。
【請求項3】
前記圧縮ばね(11)の他方の側が、前記ケージ(4)の盲孔(12)内に配置されている、請求項2記載のフリーホイール装置。
【請求項4】
前記盲孔(12)が、前記外レース(2)と前記ケージ(4)との間の空間内に突入する、前記ケージ(4)の部分領域(15)内に配置されている、請求項3記載のフリーホイール装置。
【請求項5】
前記ケージ(4)が、別のエネルギアキュムレータにより前記内レース(3)に関して緩衝されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のフリーホイール装置。
【請求項6】
前記別のエネルギアキュムレータが、一方の側で前記ケージ(4)に支持され、他方の側で前記内レース(3)に支持されている別の圧縮ばね(7)の形態を有する、請求項5記載のフリーホイール装置。
【請求項7】
前記別の圧縮ばね(7)の一方の側が、前記内レース(3)の盲孔(9)内に支持され、前記別の圧縮ばね(7)の他方の側が、前記ケージ(4)の別の盲孔(8)内に支持されている、請求項6記載のフリーホイール装置。
【請求項8】
前記ケージ(4)の前記別の盲孔(8)が、前記ケージ(4)と前記内レース(3)との間の空間内に突入する、前記ケージ(4)の別の部分領域(17)内に配置されている、請求項7記載のフリーホイール装置。
【請求項9】
前記内レース(3)の前記盲孔(9)が、前記ケージ(4)と前記内レース(3)との間の空間内に突入する、前記内レース(3)の部分領域(16)内に配置されている、請求項7又は8記載のフリーホイール装置。
【請求項10】
前記第1の締結体(5)及び/又は前記第2の締結体(10)が締結ローラである、請求項1から9までのいずれか1項記載のフリーホイール装置。
【請求項11】
前記第1の締結体(5)の数と前記第2の締結体(10)の数との間の比が任意に選択されている、請求項1から10までのいずれか1項記載のフリーホイール装置。
【請求項12】
前記第1の締結体(5)の寸法と前記第2の締結体(10)の寸法とが互いに異なる、請求項1から11までのいずれか1項記載のフリーホイール装置。
【請求項13】
前記第1の締結体(5)が、前記第2の締結体(10)より大きな直径を有する、請求項12記載のフリーホイール装置。
【請求項14】
クランクCVTにおいて使用される、請求項1から13までのいずれか1項記載のフリーホイール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝動装置、特に自動車のクランクCVTのためのフリーホイール装置に関する。
【0002】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第10243535号明細書において公知の無段階に調節可能な伝動装置は、互いに平行に伝動装置ハウジング内に回転可能に支承され配向されている駆動軸及び被動軸を備える。駆動軸と被動軸とは、駆動軸の偏心体装置と、被動軸に配置されるフリーホイール装置と、偏心体装置とフリーホイール装置とを結合するクランク機構とを介して互いに結合されている。偏心体装置は、軸方向で並んで駆動軸に配置されている複数の偏心体ユニットからなる。フリーホイール装置は、被動軸に軸方向で並んで配置されている複数のフリーホイールユニットからなる。各々の偏心体ユニットを形成するために、駆動軸は、駆動軸の回転軸線に対して偏心的にずらされたガイド領域を有する。ガイド領域の周面には、偏心部材が回動可能に支承されている。偏心部材には、無段階の伝動装置をクランクCVT(Continuous variable transmission:無段変速機)として構成した場合、少なくとも1つのコンロッドが回転可能に配置されている。駆動軸の切欠き内に配置された調節軸を回動させることにより、駆動軸の回転軸線に関する偏心部材の偏心の度合が変更される。
【0003】
被動軸に配置されるフリーホイールユニットは、それぞれ、被動軸の領域により形成される内レースと、外レースとの間の配置されている締結体を備える。外レース及び内レースの面は、締結間隙を形成し、この締結間隙内で締結体が、内レースと外レースとの間の一方向の相対回転方向においてこの回転を阻止可能であり、その結果、内レースと外レースとが連れ回るように、互いに調整されている。外レースと内レースとの間の他方向の相対回転方向において、締結体によるロック作用は生じない。個々の締結体は、ロック方向に力を加えられ、このことは、少なくとも1つのばね部材によって行うことができる。個々の締結体は、少なくとも1つのケージを介して、周方向で互いに位置決めされている。
【0004】
一般に、フリーホイールユニットの締結体は、締結体の10〜50倍の重量力に相当する力で締結間隙に向かって押圧される。このばね力は、締結体を永続的に外レースに押し付け、そこに摩擦損失をオーバーラン中に発生する。その際に発生する摩擦力は、オーバーランの時点で、締結体を締結間隙内に引き込む唯一の力であるために必要である。締結体として、有利には締結ローラが使用される。
【0005】
クランク伝動装置の場合、外レースは、係合の時点で、例えばコンロッドにより形成される冒頭で述べたクランク機構により際立った加速を被る。締結ローラのための所定のローラ質量においてこの加速を達成するためには、滑動時間、ひいては締結ローラが正しく係合するまでの時間遅れが可及的短くなるように、可及的高い力が支配していなければならない。このことから、係合時の外レースの加速に応じて締結体の約10〜50倍の重量力に相当する力が加えられなければならないことが生じる。
【0006】
本発明の課題は、滑動時間、ひいては締結体が外レースと内レースとの間の締結間隙に正しくあるいは有効に係合するまでの時間遅れが、締結体に作用する力が比較的小さい場合にも可及的短いフリーホイール装置を提供することにある。
【0007】
この課題は、フリーホイール装置、特にクランクCVTとの関連で使用するためのフリーホイール装置であって、内レースと、外レースと、外レースと内レースとの間に配置される環状のケージとを備え、ケージ内に締結体が保持されており(主フリーホイール)、締結体が、一方向での内レースに対する外レースの相対回動時に、それぞれ、内レースと外レースとの間に形成される締結間隙内に進入可能であり、他方向での内レースに対する外レースの相対運動時に、上記の締結間隙から離脱可能であるフリーホイール装置により解決される。本発明により、前置フリーホイールが設けられており、前置フリーホイールの締結体が、一方向での外レースと内レースとの間の相対運動時に、ケージと外レースとの間に形成される別の締結間隙内に進入可能であり、他方向での外レースと内レースとの間の相対運動時に、別の締結間隙から離脱可能である。その際、前置フリーホイールの別の締結体は、それぞれ、エネルギアキュムレータにより上記の別の締結間隙に向かって予め付勢される。この別の締結体は、上記の締結体よりも小さな重量を有する。好ましくは、前記エネルギアキュムレータが、一方の側で前記前置フリーホイールの前記別の締結体に支持され、他方の側で前記ケージに支持されている圧縮ばねの形態を有する。好ましくは、前記圧縮ばねの他方の側が、前記ケージの盲孔内に配置されている。好ましくは、前記盲孔が、前記外レースと前記ケージとの間の空間内に突入する、前記ケージの部分領域内に配置されている。好ましくは、前記ケージが、別のエネルギアキュムレータにより前記内レースに関して緩衝されている。好ましくは、前記別のエネルギアキュムレータが、一方の側で前記ケージに支持され、他方の側で前記内レースに支持されている別の圧縮ばねの形態を有する。好ましくは、前記別の圧縮ばねの一方の側が、前記内レースの盲孔内に支持され、前記別の圧縮ばねの他方の側が、前記ケージの別の盲孔内に支持されている。好ましくは、前記ケージの前記別の盲孔が、前記ケージと前記内レースとの間の空間内に突入する、前記ケージの別の部分領域内に配置されている。好ましくは、前記内レースの前記盲孔が、前記ケージと前記内レースとの間の空間内に突入する、前記内レースの部分領域内に配置されている。好ましくは、前記締結体及び/又は前記別の締結体が締結ローラである。好ましくは、前記締結体の数と前記別の締結体の数との比が任意に選択されている。好ましくは、前記締結体及び前記別の締結体の寸法がそれぞれ異なる。好ましくは、前記締結体が、前記別の締結体より大きな直径を有する。
【0008】
本発明の主な利点は、外レースと内レースとの間の締結間隙内の締結体により形成される本来のフリーホイールの上流に、専ら、主フリーホイールの締結体のための加速力を発生させる役割を有する前置フリーホイールが接続あるいは前置されることにある。この前置フリーホイールは、ケージと外レースとの間の比較的小さな締結体により形成される。前置フリーホイールのトルク容量は、その際、上記のフリーホイールよりも遙かに小さくてよい。前置フリーホイールについて、確かに、10〜50倍の重量力を含む上述の同じ法則が成立するが、重量力は、前置フリーホイールの締結体のより小さな質量に応じて、主フリーホイールの重量力より遙かに小さい。それゆえ、損失は、前置フリーホイールを有しない公知の通常のフリーホイールのほんの一部に相当するにすぎない。
【0009】
クランク伝動装置において、主な損失源は、フリーホイールのオーバーラン損失にあるものと認められるので、本発明により、総効率は前置フリーホイールにより明らかに改善可能である。
【0010】
本発明の有利かつ簡単な態様では、エネルギアキュムレータが、一方の側で前置フリーホイールの締結体に支持され、他方の側でケージに支持されている圧縮ばねの形態を有する。その際、圧縮ばねの他方の側は、構造的に特に有利には、ケージの盲孔内に配置されている。その際、盲孔は、外レースとケージとの間の空間内に突入する、ケージの部分領域内に配置されていてよい。それゆえ、ケージ及び部分領域は、一体的に製造可能である。
【0011】
本発明の別の有利な態様では、ケージが、減衰を行う別のエネルギアキュムレータにより内レースに関して緩衝されていてよい。その際、この別のエネルギアキュムレータは、有利には、一方の側でケージに支持され、他方の側で内レースに支持されている別の圧縮ばねの形態を有する。その際、構造的に特に簡単に、この別の圧縮ばねの一方の側は、内レースの盲孔内に支持され、この別の圧縮ばねの他方の側は、ケージの盲孔内に支持されている。ケージの盲孔は、ケージと内レースとの間の空間内に突入する、ケージの部分領域内に配置されていてよい。このケージの部分領域は、ケージと一体的に形成可能である。内レースの盲孔は、ケージと内レースとの間の空間内に突入する、内レースの部分領域内に配置されていてよい。この内レースの部分領域は、内レースと一体的に形成可能である。
【0012】
特に有利には、主フリーホイールの締結体及び/又は前置フリーホイールの締結体が締結ローラの形態を有する。主フリーホイールの締結体の数と前置フリーホイールの締結体の数との比は、要求に応じて任意に選択可能である。同様に、要求に応じて、主フリーホイールの締結体及び前置フリーホイールの締結体の寸法は、それぞれ異なっていてよい。主フリーホイールの締結体は、有利には、前置フリーホイールの締結体より大きな直径を有する。これにより、損失は、可及的小さく維持可能であり、総効率は、公知のフリーホイール装置に対して明らかに改善可能である。
【0013】
以下に、本発明及びその有利な実施の形態について図面を参照しながら詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るフリーホイール装置の断面図である。
図2図1に係るフリーホイール装置の一部分領域の拡大断面図である。
【0015】
図1に示すように、本発明に係るフリーホイール装置1は、自体公知の形式で、主として、外レース2と、有利には星形内側部材(Innenstern)として形成される内レース3と、ケージ4とを備える。ケージ4は、環状に形成されており、ケージ4の周囲に均等に分配され互いに間隔を置いて締結体を保持する。有利には、締結体は、締結ローラ5として形成されている。
【0016】
外レース2は、やはり自体公知の形式で、孔6を有していてよい。孔6は、クランクCVTとの関連でこのフリーホイール装置を使用する場合、コンロッド(図示せず)の一端に回転可能に結合するために役立つ。
【0017】
図1及び図2に示すように、外レース2と内レース3との間の締結間隙14内に配置される締結体5は、環状のケージ4内で保持される。締結体5は、外レース2及び内レース3と相俟って、公知のフリーホイール装置の通常のフリーホイールに相当する、以下に「主フリーホイール(Hauptfreilauf)」と呼ぶフリーホイールを形成する。
【0018】
図2に示すように、ケージ4と外レース2との間の他の締結間隙13内に、別の締結ローラ10が配置される。別の締結ローラ10は、本発明において、以下に「前置フリーホイール(Vorschaltfreilauf)」と呼ぶ別のフリーホイールを形成する。主フリーホイールの締結体5よりかなり小さく、それゆえに軽い前置フリーホイールの締結ローラ10は、それぞれ、圧縮ばね11により力を加えられて、締結間隙13内へと予め付勢される。圧縮ばね11は、有利にはケージ4の凹部又は盲孔12内に、一方の側で盲孔12の底に支持され、他方の側で締結ローラ10に支持されるように内蔵されている。盲孔12は、有利には、外レースとケージ4との間の空間内を延在する、ケージ4の部分領域15内に配置されている。締結体10として、有利にはやはり締結ローラが設けられている。
【0019】
つまり、本発明では、ロック時、まず前置フリーホイールが係合する。圧縮ばね11により付勢された小さな質量を有する締結体10は、締結間隙13内に押し込まれ、かつ永続的に外レース2の内面に当接している。ケージ4は、ロック方向で外レース2の回転に従動する。次に、主フリーホイールの締結体5が締結間隙14内に導入されるので、内レース3は、外レース2の回転に従動する。フリーホイールの締結ローラ5は、オーバーランニングプロセス中、外レース2に小さな力、例えば単倍の重量力で接触しているか、又はそれどころか遊びを有していることができる。
【0020】
クランク伝動装置との関連でこのフリーホイール装置を使用する場合、総効率は、本発明に係るフリーホイール装置の前置フリーホイールにより明らかに改善可能である。これは、クランク伝動装置のフリーホイール装置のオーバーラン損失が、この伝動装置の主たる損失であるからである。
【0021】
看取できるように、本発明の有利な実施の形態では、ケージ4は内レース3に関して、減衰がケージ4と内レース3との間で生じるように、周方向で緩衝されていてよい。このために圧縮ばね7が役立つ。圧縮ばね7は、一方ではケージ4に支持され、他方では内レース3に支持されている。有利には、圧縮ばね7の端部は、ケージ4の盲孔8あるいは内レース3の盲孔9内に配置されている。内レース3の盲孔9は、有利には、ケージ4と内レース3との間の空間内を延在する、内レース3の部分領域16に存在する。相応に、盲孔8は、ケージ4と内レース3との間の空間内を延在する、ケージ4の部分領域17に存在する。
【0022】
内レース3に対するケージ4のこの種の弾性支承の場合、力は、一般的な弾性支承力のほんの一部、例えば10分の1にすぎない。主フリーホイールと前置フリーホイールとの間の締結角度の差は、前置フリーホイールの締結体の載置箇所におけるケージ4の半径方向の可撓性により補償可能である。
【0023】
締結体5と別の締結体10とを、より良好な公差補償のために、互いに同心的に配置されている別個のケージ内に配置することも可能である。
【0024】
締結体5の数と別の締結体10の数との間の比は、任意に選択可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 フリーホイール装置
2 外レース
3 内レース
4 ケージ
5 締結体
6 孔
7 圧縮ばね
8 盲孔
9 盲孔
10 締結体
11 圧縮ばね
12 盲孔
13 締結間隙
14 締結間隙
15 部分領域
16 部分領域
17 部分領域
図1
図2