特許第5730220号(P5730220)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5730220
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】表面洗浄のプロセス
(51)【国際特許分類】
   F28G 9/00 20060101AFI20150514BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20150514BHJP
   F24F 1/00 20110101ALN20150514BHJP
【FI】
   F28G9/00 M
   B08B3/02 F
   !F24F1/00 391Z
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-554094(P2011-554094)
(86)(22)【出願日】2010年3月5日
(65)【公表番号】特表2012-520441(P2012-520441A)
(43)【公表日】2012年9月6日
(86)【国際出願番号】US2010026285
(87)【国際公開番号】WO2010104750
(87)【国際公開日】20100916
【審査請求日】2013年1月22日
(31)【優先権主張番号】12/403,711
(32)【優先日】2009年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507248837
【氏名又は名称】ナルコ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムンク ステファン
【審査官】 松井 裕典
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/025766(WO,A1)
【文献】 特開平11−023190(JP,A)
【文献】 特開昭52−093805(JP,A)
【文献】 特表平10−512361(JP,A)
【文献】 特開2005−291609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28G 9/00
B08B 3/00
F24F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
60から600PSIである使用圧力および1米国液量ガロン/分以下の使用流量で、洗浄が必要な表面へ化学洗浄剤を散布器から散布するステップと、
30から600PSIである使用圧力および1米国液量ガロン/分以下の使用流量で、前記表面へ水または水洗溶液を散布器から散布し、前記表面を水洗するステップと、
所定の使用圧力および使用流量で、前記表面へ殺生物剤または制生物剤溶液の少なくとも一方を散布器から散布するステップと、を包含する、室内用エアハンドリングシステムの構成部品の表面の洗浄方法。
【請求項2】
0.25米国液量ガロン/分から0.5米国液量ガロン/分の使用流量で前記表面が洗浄される、請求項1の方法。
【請求項3】
0.1米国液量ガロン/分から1米国液量ガロン/分までの使用流量で前記表面が洗浄される、請求項1の方法。
【請求項4】
0.25米国液量ガロン/分から1米国液量ガロン/分までの使用流量で前記表面が洗浄される、請求項1の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、洗浄のための装置、システム、および方法に関連する。より詳しく述べると本発明は、例えば使用中に埃、煙、糸くず、泥、他の空中成分が表面に付着することで、これらの表面の洗浄の必要性が生じる、空気ハンドラシステム、特にこれらのシステムに関連するコイルおよびフィンに関連する表面などの表面を洗浄するための装置、システム、および方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
概して、埃、糸くず、花粉、水分、煙、臭気、菌類、カビ、および/またはその他など、多数の種類の汚染物質、汚染菌、および/または他の空中成分の担体として大気が作用する。大気中を移動する際に、多様な製品(つまり窓、車など)に関連する多数の表面に空中成分が付着することがある。そのため製品は、ある時点で洗浄される(つまり窓拭き、洗車など)。
【0003】
空中成分、特に空中の病原体は、室内空気の品質問題に関して政府、業界、医療機関、およびメディアから大きな注目を集めている。概して、HVACシステムなど一般的な空気ハンドラシステムは、加熱冷却交換を行う媒体としてコイルおよびフィンを使用する。加熱および冷却移動を行うためコイルおよびフィンの表面に空気が導入される。しかし、埃、糸くず、煙、臭気、菌類、カビ、および/またはその他の物質などの空中成分が、使用中に空気ハンドラシステムなどの表面に付着することがある。付着した物質は、空気システムの効率を低下させてエネルギーコストを上げる。
【0004】
さらに、空気システムの効率低下は、空気品質に悪影響を与える。これに関して、臭気、カビ、菌類胞子、および/またはその他が部屋や建物に拡散する、またレジオネラ菌など無数の病原体の温床を生む高い可能性が存在する。ゆえに、空気システムが定期的に洗浄されない場合には、屋内空気品質が低下してしまう。
【0005】
空気システムのコイルおよびフィンは現在、酸性、アルカリ性、または中性のクリーナで洗浄される。ハンドポンプ式ガーデンスプレーおよびホースは、最もよく使用される形のクリーナ散布器である。酸性およびアルカリ性のクリーナはコイルおよびフィンに対して腐食性であり、時間とともに深刻なダメージを与える。いずれにしても、これらのタイプのクリーナは一般的に、汚れのひどい空気システムに使用される。頑固な付着物の洗浄を助けるため、金属製のフィン用熊手およびブラシが使用されることも多い。しかし、これは空気システムにさらなるダメージを与えかねない。
【0006】
ハンドポンプ式ガーデンスプレーおよびその他に代わるものは、高圧(600PSI以上など)の洗浄用散布器である。このような高圧では、空気システムのコイル、フィン、およびその他がやはりダメージを受ける。さらに、周知のコイル洗浄プロセスでは、使用後に大量の大掃除が必要であり、準備および操作に時間を浪費する、および/または労働集約的である。一般的に毎分1ガロンを超える流量で使用される大量の水および溶液が、その原因の一部である。空気システムは一般的に乗員、管理者、その他の視界に入らないので特に、これは定期的洗浄の阻害要因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6062486号明細書
【特許文献2】米国特許第7507299号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そのため、空気ハンドラシステムに関連する表面、特にそのコイルおよびフィンの洗浄を向上させるなど、表面洗浄を向上させる必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本クレームに記載の発明の第一の面は、ポンプと、約600PSI以下である使用圧力および約1ガロン/分以下である使用流量で一種以上の洗浄剤を表面に散布するためポンプに接続された散布器とから成る、表面を洗浄するための装置である。
【0010】
本クレーム記載発明の第二の面は、約600PSI以下の使用圧力で作動するポンプと、約1ガロン/分以下である使用流量で流体を流出させるためポンプに接続された散布器と、使用圧力および使用流量で散布器を通して表面に散布される供給水と、使用圧力および使用流量で散布器を通して表面に散布される供給洗浄剤と、を具備する表面洗浄システムである。
【0011】
本クレーム記載発明の第三の面は洗浄プロセスであり、この洗浄プロセスは、約600 PSI以下である使用圧力で洗浄が必要な表面に化学洗浄剤を散布するステップと、使用圧力で供給される水で表面を水洗するステップと、を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態による洗浄装置およびシステムの斜視図である。
図2図1に示された洗浄装置およびシステムの別の斜視図である。
図3】本発明の別の実施形態による洗浄装置およびシステムの斜視図である。
図4図3の洗浄装置およびシステムの着脱式洗浄剤部分の斜視図である。
図5】本発明のさらなる実施形態による洗浄装置およびシステムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は概して、使用中に埃、煙、糸くず、他の空中成分が表面に付着することでこれらの表面の洗浄を必要にする、空気ハンドラシステムと関連する表面、特にこれらのシステムに関連するコイルおよびフィンなどの表面を洗浄するための装置、システム、および方法に関連する。
【0014】
工業目的、商業目的、住宅目的、および/またはその他に使用されるものを含む多様な種類の製品、機器、およびその他と関連する多数の種類の表面を洗浄するのに、本発明が効果的に使用される。例えば本発明は、使用中に付着した埃、花粉、カビ、および/またはその他などの空中成分を収集できるHVACシステムなどの空気ハンドラシステム、特にコイルおよびフィンを洗浄するのに効果的に使用される。適切に洗浄されない場合、これらのシステムの熱伝達効率に悪影響を与える。さらにこれは、不潔な空気システムは空中の病原体の温床として作用するので、空気システムを使用する部屋または建物へ空中病原体が伝達される可能性を高める。
【0015】
化学クリーナ、殺生物剤、制生物剤、および/またはその他などの洗浄剤が、一般的な洗浄プロセスと比較して低い圧力および低い流量で散布されるのと同時に、一般的な洗浄プロセス時間の2から3倍など高い洗浄速度であっても良好な洗浄を行えることを、出願人らは発見した。低い圧力および流量では、使用される水および/または洗浄溶液は少量で済む。これに関して、高圧システムおよび/または高い流量を使用できる一般的な洗浄プロセスと比較して、本発明の洗浄装置、システム、および方法の動作と関連する面倒は少ない。こうして本発明は、ホテル客室および/またはその他の空気システムの洗浄など、室内用途に非常に適している。こうして、空気システムのコイル、フィン、および他の関連部品は良好に短時間で洗浄され、長時間にわたって清潔さを保つ。さらに、労力、エネルギー、水/製品、設備休止時間が大幅に削減される。重要なのは、屋内の空気品質が向上して空気ハンドラシステムの寿命が長くなる一方で、臭気、空中病原体、および/またはその他の、空気システム内での伝達が、皆無とはならなくても著しく減少することである。
【0016】
本発明は、上記のような空気システム洗浄にその使用および用途が限定されないことを認識すべきである。本発明は、屋内および屋外での使用を含む多様で適当な用途に適用される。例えば、大型ごみ収容容器の保守、排水管の保守、ダクトの洗浄、および/またはその他に、本発明を使用することが可能である。上述したように、本発明は、埃、泥、花粉、カビ、および/またはその他など、収集された空中成分を除去して表面を洗浄するのに使用される。加えて本発明は、空気、水、および/または他の媒体の中を伝達されてから洗浄対象の表面に付着する多様な成分および物質の洗浄に適用される。
【0017】
上述したように、本発明は、低い使用圧力および流量で洗浄剤溶液による有効な洗浄を行う。一実施形態において使用圧力は約600平方インチ当たりポンド(「PSI」)以下であって、約60PSIから約600PSIまで、好ましくは約100PSIから約600PSIまでなど、この範囲内で規定される適当な圧力を含む。流量に関しては、本発明は一実施形態において、約1毎分ガロン(「ガロン/分」)未満である使用流量を含み、約0.1ガロン/分から約1.0ガロン/分、好ましくは約0.25ガロン/分から約0.5ガロン/分など、この範囲内で規定される適当な流量を含む。
【0018】
これらの使用圧力および流量では、適当な方法で表面を洗浄するためいくつかの適当な種類および量の洗浄剤が散布される。洗浄剤は例えば、化学洗浄剤、殺生物剤、制生物剤、脱臭剤、消毒剤、および/または他の適当な薬剤を含む。化学洗浄剤は、市販されているか適当に製造される界面活性剤ベースのクリーナなどの適当な種類の化学クリーナを含む。界面活性剤は、陰イオン性、陽イオン性、および他の適当な形、帯電および/または中性といった適当な形を含む。
【0019】
洗浄用途に応じて、溶液状の化学クリーナ剤が多様なpHレベルで洗浄の必要な表面に散布される。化学洗浄溶液は、後で詳述するように水または他の水性媒体により化学濃縮クリーナを指定希釈度で希釈することにより製造される。一実施形態において化学洗浄溶液は、約2.0から約14.0までの範囲であるpHを有し、この範囲内で規定される適当なpHを含む。本発明の洗浄装置およびシステムは、アルカリ性の化学洗浄溶液、pH調整された化学洗浄溶液、酸性の化学洗浄溶液、および/またはその他を使用できる。一実施形態において、アルカリ性の化学洗浄溶液は約8.0から約12.5までの範囲のpHを有し、pH調整された化学洗浄溶液は約5.0から約10.0までの範囲のpHを有し、酸性の化学洗浄溶液は約2.0から約4.0までの範囲のpHを有する。しかし、用途に応じて、適当な一つまたはいくつかのpHレベルで界面活性剤ベースクリーナが洗浄中に散布されてもよいことを認識すべきである。
【0020】
化学洗浄剤およびその溶液に加えて、本発明では、殺生物剤、制生物剤、その溶液、およびその他を使用することがある。殺生物剤、制生物剤、およびその他は、細菌、カビ、およびその他の成長を抑制する洗浄剤を含み、Ondeo Nalcoから入手可能なCoilClearTMなど市販の製品、または適当に製造された製品を含む。化学洗浄剤、殺生物剤、および制生物剤は、他の付加的洗浄剤(つまり脱臭剤、消毒剤、およびその他)に加えて、適当な種類の製品、例えば適当な市販の製品または適当な方法で製造される製品を含む。例えば、化学クリーナは、洗浄プロセスを促進するため、水性溶剤、油性溶剤、および/またはその他などの溶剤を含む。溶剤および/または他の付加的洗浄成分の量および種類は、市販の化学洗浄製品とともに使用される溶剤の量および種類など、当該技術分野で周知である。
【0021】
表面への散布に先立って、上記の水性溶液などの溶液が洗浄剤から生成される。これに関して、液体、粉末、およびその他などの濃縮状の洗浄剤が、水または他の適当な水性液体に適当な希釈度で分散および混合されて溶液が生成される。一実施形態では、希釈度は約1:4から約1:256までの範囲である。
【0022】
本発明の装置およびシステムは、いくつかの種類の適当な構成要素も含む。上記のような有効使用圧力および流量で溶液状の洗浄剤を散布するのに有効に使用される可動式および内蔵式の装置およびシステムを本発明が提供することが好ましい。一実施形態において本発明は、洗浄剤、水供給源、希釈ユニット、散布器、ポンプ、ホース、継手、および/または他の適当な洗浄要素など、本発明の様々な要素を装備する内蔵式の可動式カートを含む。可動式カートまたは他の適当な手段は、様々な洗浄要素を適当な形で装備する。
【0023】
使用時には、上記のように洗浄の必要のある表面への散布に先立って、水性溶液などの溶液が洗浄剤から生成される。準備が整えば、洗浄剤溶液は使用状態にある。一実施形態において洗浄プロセスは、上記のような使用圧力および流量での化学洗浄溶剤の散布を含む。次に、使用圧力および流量で、水などの適当な量の水洗溶液により表面が水洗される。
【0024】
水洗プロセスに続いて、殺生物剤および/または制生物剤溶液が使用圧力および流量で散布されるとよい。殺生物剤および/または制生物剤は、上記のように細菌、カビ、および/またはその他の成長を抑制するように作用する。加えて殺生物剤/制生物剤は本質的に、洗浄の間の時間枠を有効に拡大するように表面をコーティングする作用を行う。これに関して、殺生物剤/制生物剤コーティングは、空中成分および/またはその他の付着に対して表面が影響を受けないようにすることができる。洗浄プロセスは、適当な方法および適当な条件下で実行されればよいことを認識すべきである。上述したプロセスは、上記のように空気ハンドラシステムのコイル、フィン、および他の関連部品の洗浄に適用される。しかし、本発明の洗浄プロセスは多様で適当な用途に使用される、および/または使用のため変形されてもよい。
【0025】
別の実施形態において、この方法論は、約30から約600PSIまでの使用圧力および約1ガロン/分以下の使用流量で供給される水または水洗溶液により空気ハンドラシステム表面の水洗を行う。
【0026】
別の実施形態では、約.25ガロン/分から約0.5ガロン/分までの使用流量で表面が洗浄される。
【0027】
別の実施形態では、約0.1ガロン/分から約1ガロン/分までの使用流量で表面が洗浄される。
【0028】
別の実施形態では、約.25ガロン/分から約1ガロン/分までの使用流量で表面が洗浄される。
【0029】
限定ではなく例として、本発明の例を以下に提示する。
【0030】
例1:室内ユニット
一実施形態において、本発明は、ホテル客室、オフィス、住居、および/またはその他など室内使用に非常に適した効果的洗浄を提供できる。図1および2に示されているように、本発明の洗浄装置およびシステム10は、適当な金属およびその合金および/または他の適当な材料で製作されるフレーム14を含むカート12を含む。カート12は、フレーム14に接続された一対の車輪16も含む。こうしてカート12は、その使用中に一つの洗浄作業から次の作業へ容易に移動できる。
【0031】
上記のように、可動式カート12は洗浄要素を装備することで、内蔵式ユニットとなっている。図1および2に示されているように、可動式カート12は、第1洗浄溶剤容器18と、第2洗浄溶剤容器20と、第1洗浄濃縮剤容器22と、第2洗浄濃縮剤容器24と、ポンプ(不図示)と、希釈ユニット(不図示)と、ポンプおよび希釈システムのためのハウジング26と、散布器28とを装備している。ポンプは、電気ポンプまたはバッテリ式ポンプなど、適当な市販のポンプでよい。
【0032】
第1および第2洗浄溶剤容器18,20は、図1および2に示されたようなバスケット30など、カートに接続された手段の中に保持されている。バスケット30は、図1および2に示されたようなワイヤバスケット構造など、適当な形で構成されるとよい。第1および第2洗浄濃縮剤容器22,24は、図1および2に示されているようにカートに装着された保持手段に配置されている。保持手段は、図1および2に示されているような矩形ボックス構成32など適当な設計の構造を持ち、金属、合金、およびその他など適当な材料から製作される。別の保持手段は反対側でカートに装着され、バスケット30の上に配置されている。図1および2に示されているように、保持手段は、適当な材料で製作されたワイヤバスケット構成33を含む。保持手段33は、後述のように水洗水を収容する容器を支持するのに使用される。
【0033】
ハウジング26は、可動式カート12の上部34に装着されているが、適当な箇所に装着されてもよい。ハウジング26は、ポンプおよび希釈システムを包囲している。ハウジング26は、希釈システムと関連するいくつかのバルブ35を含む。バルブ35は、第1洗浄濃縮剤36、第2洗浄濃縮剤38、そして水洗水容器41に格納されている水洗水40との流体連通状態にある。バルブ35は、図1に示されているように、所望の製品または水洗水の流れを調整するのに使用される。バルブ35には、適当な市販のバルブが使用可能である。
【0034】
インライン水コネクタ42は、洗面台水栓、屋外水栓、またはその他などの水供給源(不図示)へホースまたはその他(不図示)を介して接続される。これに関して、水供給源からの水は、使用前に、洗浄溶剤を用意するためと、水洗容器41に水洗水40を充填するために使用される。
【0035】
概して、水供給源から第1および第2洗浄溶剤容器18,20へ移送管(完全には示されていない)の中を移動する水の液圧力は、真空を発生させ、各洗浄濃縮剤を吸引して吐出し水供給源からの水と混合させることで、各洗浄溶剤容器に格納される洗浄溶剤を生成する。一実施形態では、洗浄濃縮剤が約5ガロン/分の流量で各洗浄濃縮剤容器から吸引されて水供給源からの水と混合される。
【0036】
図2に示されているように、ハウジング26は、ポンプ、希釈ユニット、および/または他の構成部品のためのオン・オフスイッチ44を含む。本発明の洗浄装置およびシステム10は、バッテリまたは他の可搬式電源により給電される、および/または外部電源により給電される。図2に示されているように、ハウジングは、ポンプを介した化学洗浄溶剤、殺生物剤/制生物剤溶液、および水洗水の流れを使用中に制御する三つの別々のバルブ46を備える。
【0037】
散布器28は、ホース47を介してハウジング26の中のポンプに装着されている。図1および2に示されているように、散布器28は、表面へ散布される際に洗浄溶液の流れを調整するように端部54に接続されたノズル52を備える円筒部50に接続されたハンドル48を含むスプレーガンの形である。円筒部は、適当な材料で製作され、剛性、半剛性、または可撓性の部品に形成される。
【0038】
一実施形態において、ポンプ流量およびスプレーノズル52は、室内使用に適用されるように、約0.25ガロン/分以下など、約1ガロン/分以下、好ましくは約0.5ガロン/分以下に使用流量を調整するように調節される。使用中にポンプは、約100PSI以下の圧力で作動する。洗浄濃縮剤容器の中の濃縮物、洗浄溶剤容器の中の溶液、そして水洗水容器41の中の水40は、多数のホースを介して、ハウジング26に包囲されたポンプおよび希釈システムとの流体連通状態にある。これらの使用圧力および流量では、ホテル客室または他の包囲空間における洗浄空気ハンドラシステムなどの屋内使用において、本発明は理想的である。これに関して、一般的にこのような屋内空気ハンドラユニットを備える滴受け、排水管、またはその他などの空気ハンドラシステムの水保管容量を超えないか実質的に超えない量となるように、最少量の洗浄溶液および/または水を使用しながら、本発明は、コイルおよびフィンなど不潔な表面の有効な洗浄を提供する。
【0039】
図1に示されているように、化学洗浄濃縮剤60は第1洗浄濃縮剤容器22に格納され、濃縮殺生物剤および/または制生物剤58は第2洗浄濃縮剤容器24に格納され、化学溶液64は第1洗浄溶剤容器18に格納され、殺生物剤および/または制生物剤溶液62は第2洗浄溶剤容器20に格納される。容器は適当な材料により、適当な形状のサイズと適当な容量のための収容力を持つように製作される。図1および2に示されているように、濃縮物容器、化学洗浄溶液容器、および水洗水容器は、適当な材料で製作され、適当な方法でサイズおよび形状が決められ、約0.5ガロンから約5ガロンまでのサイズ範囲であって、洗浄および水洗水溶液容器のための約2.5ガロン以下など、この範囲内で規定される適当な容積サイズを含むことが好ましい。濃縮物容器は概して、約1ガロン以下など、洗浄溶液容器よりも収容力が少ない。
【0040】
例2:着脱式ユニット
一実施形態において、本発明は、一つ以上の着脱式洗浄要素を備える可動式洗浄装置およびシステム100を提供する。図3および4に示されているように、本発明は、容易に接近できない屋上または他の屋外および/または屋内箇所に設けられる空気ハンドラシステム、または高圧で洗浄される必要のあるコイルまたは大型/奥行のあるコイルの洗浄など、屋外使用および屋内使用に適した洗浄装置およびシステム100を提供する。この用途では、使用圧力および流量は比較的低いレベルに維持されるが、屋外使用では特に、例1で上述した使用圧力および流量と比較すると上昇している。一実施形態において、使用圧力は約100PSIから約600PSIまでの範囲であり、使用流量は約.5ガロン/分以下である。
【0041】
さらに、着脱式ユニット100は、洗浄作業が屋根または他の高い位置で実施される場合には特に使用を促進するはずである着脱式の構造を提供する。図3および4に示されているように、本発明は、金属、合金、およびその他を含む適当な材料から概して製作されるフレーム104を含む可動式カート102を含む。例1の可動式カート102の設計と同じように、二つの車輪106がフレーム104に装着されている。
【0042】
可動式カート102は、フレーム104の下部108に装着されたプラットフォーム107も含む。プラットフォーム107は、木材、金属、プラスチック、およびその他など適当な材料で製作され、適当な方法でフレーム104に装着されるとよい。プラットフォーム107にはハウジング110が設けられ、本発明の洗浄装置およびシステム100に給電するためポンプおよび他の関連電子機器(不図示)をハウジング110が包囲している。
【0043】
可動式カート102は、バスケット112がフレーム104に着脱式に取り付けられるようにするハンドル114を備えるバスケット112も含む。しかし、バスケット112は、何らかの適当な方法で着脱式に取り付けられればよい。バスケット112は、図3および4に示されているように洗浄濃縮剤の重量を支えるのに充分な強度を持つ金属ワイヤ材料またはその他など適当な材料で製作されるとよい。洗浄濃縮剤は、第1容器116に格納された化学濃縮物115と、第2容器120に格納された殺生物剤/制生物剤118とを含む。別の実施形態では、大量の洗浄濃縮物115を必要とする用途のために存在する容器116が二つ設けられるとよい。容器は、約16オンスから約5ガロンまでの範囲など、適当なサイズおよび形状を含むとよい。ハンドル114はさらに、ハンドル114の両側にアーム部119を備える。アーム部119は、第1および第2容器の洗浄濃縮剤との流体連通状態にあるホース122を支持するのに使用される。
【0044】
ポンプ(不図示)には、カート102に支持されたホース126を介して散布器124も装着されている。中の流れを調整するためノズル134を備える端部132まで延在する円筒部130に接続されたハンドル128を散布器124が含むという点で、散布器124は上記のものと設計が類似している。加えて散布器124は、ハンドル128またはその付近に装着されたコネクタ136を備える。コネクタ136は、使用中に散布器124と洗浄濃縮剤との間の流体接続を可能にする。コネクタは、接続を容易にする簡易コネクタまたはその他など、適当なタイプのコネクタを含むとよい。
【0045】
これに関して、散布器124を通る水の流れを規定流量にするように、ポンプが一つまたはいくつかの使用圧力で作動する。ハウジング110を通してポンプに接続された屋外水栓など、外部水供給源(不図示)から水が提供される。水が散布器124を流れると、洗浄濃縮剤が容器から吸引されてから吐出され水と混合される。洗浄濃縮剤は、コネクタ136に接続された時にホース122を介して散布器に接続される。これは、洗浄される表面への散布のための洗浄溶剤となる。洗浄溶液中の濃縮物と水との希釈度は、計量先端部または他の適当な整流手段(不図示)により調整されるとよい。計量先端部は、濃縮物容器と散布器との間の適当な位置でホースの一部に接続されるとよい。
【0046】
使用時には、図4に示されているように、洗浄目的のため、バスケット112がカートから取り外されて、屋上などの高いエリアへ運ばれるとよい。こうしてユーザは、洗浄される機器およびその表面の位置および箇所に応じて、大きな柔軟性を与えられる。
【0047】
上記のように、本発明は、空気ハンドラシステムと関連するコイル、フィン、および他の同様の部品の洗浄など、多数の用途において洗浄目的で使用可能である。一般的な条件下で洗浄に要する時間量の少なくとも五分の一から少なくとも二分の一など、本発明は少ない時間での強力洗浄を提供すると確信している。これは、少量の水および洗浄溶液を使用して行われ、ゆえに、コイル洗浄およびこれに関連する排水能力に関して屋内使用中には特に重要である、使用中の水の流出および溢流の危険を最少にする。使用後の大掃除に必要な時間が少なくなるので、これは洗浄作業の間の「休止時間」を短縮する。本発明は可動式および内蔵式の構造であって準備状態で用意されるので、準備時間も最短となる。また、エネルギーコストの著しい削減が実現する。さらに、使用圧力および流量により、HVACユニットのコイルおよびフィンなど、洗浄される表面へダメージを与える可能性を最少にするか、効果的に皆無とすることで、資本設備の寿命を延長する。
【0048】
本発明は、上記のような一般的な表面洗浄作業と比較して少量の水および洗浄溶液を使用しながら、洗浄能力の向上を示す。例えば、空気ハンドラ洗浄作業に適用される際の洗浄装置、システム、およびプロセスは、使用中にレジオネラ菌および/または空中病原体の危険を低下させ、空気システム(つまりHVACシステム)での生体物質の発生および使用中にこれから発せられる臭気を著しく減少させ、効果的に皆無とすることができる。
【0049】
上記のように、洗浄装置、システム、およびプロセスは、様々な種類および量の洗浄要素を含み、その例が上で詳述され、図1〜4に示されている。しかし、図1〜4に図示されたものなど、これらの例に本発明が限定されないことを認識すべきである。これに関して、上記のような本発明の構造、設計、用途からの適当な変形および変更を本発明が含んでもよい。
【0050】
例えば、本発明の装置およびシステム150の別の図が図5に示されている。示されたこの構成は、上述され、さらに図1〜4に図示された室内および/または屋外構成の代替物として使用可能である。この構成において、システムおよび装置150は、上記の水洗水容器よりも大きな収容力を持つ水容器152を含む。一実施形態では、水容器152は約6ガロン以下である容積容量を含む。水容器152は、図5に示されているように可動式カート156の下部に装着されたプラットフォーム154の上に配置される。可動式カート156は適当な設計を含み、上記のような適当な材料から製作されるとよい。例えば、図5に示されているように可動式カート156は、カート156の後部に設けられた一対の車輪158と、カート158の前部に装着された固定目的の支持構造160とを含む。支持構造160は、必要であれば可動性を高めるため、一組以上の車輪で置き換えられてもよい。これに関して、カート156は、固定目的の一つ以上の車輪に装着されたブレーキ機構を含んでもよい。
【0051】
保持手段160は、水容器の上の箇所でカートに装着されているが、適当な箇所に適当な方法で装着されてもよい。上記のように保持手段160は適当な材料で製作されるとよい。図5に示されているように、保持手段160は、化学洗浄濃縮剤164を収容する第1濃縮物容器162と、濃縮殺生物剤/制生物剤168を含む第2濃縮物容器166とを保持するように作用する。一つ以上の追加の濃縮物容器が使用され、適当な方法でカートに装着されてもよい。多様なタイプの化学クリーナ、殺生物剤、制生物剤、および/またはその他が、上記のように使用可能である。
【0052】
ハウジング170は洗浄濃縮物の上に位置する箇所でカートに装着されているが、適当な箇所に取り付けられてもよい。ハウジング170はポンプ(不図示)を包囲し、使用中に装置およびシステムで流体連通を確立するのに必要ないくつかのバルブ、継手、および/またはその他のコネクタ(不図示)をさらに含む。上述のように可搬式バッテリおよび/または外部電源により給電されるオン・オフスイッチなどの電子機器をハウジング170が含んでもよい。代替例として、本発明のシステムおよび装置に流体連通を設けるのに必要なバルブ構成とは別に、ポンプがハウジングに収納されてもよい。図5に示されたシステムおよび装置は、上記のように散布器(不図示)その他を含むいくつかの付加的な他の要素を含むとよい。散布器はポンプに接続され、上記のように洗浄の必要のある表面へ水および/または洗浄溶液を散布するのに使用される。
【0053】
使用時には、容積容量など必要な量の水が水容器に充填される。次に、洗浄目的でカートが部屋または他のエリアへ移動される。上記のように約100PSI以下などの使用圧力でポンプが作動する。洗浄を必要とする表面に、化学クリーナが溶液状で散布される。これに関して、化学洗浄濃縮物を分散させて、ポンプにより発生される圧力下で水容器から流出する供給水とこれを混合することにより、化学クリーナ溶液が生成される。本発明のシステムおよび装置のバルブ構成に応じて、適当な方法で混合が行われるとよい。薬剤をポンプに流体接続するホース上など適当な箇所に配置された計量先端部または他の同様の手段により、溶液中の薬剤の量が調整される。上記のように、適当な希釈度で溶液が混合される。混合されてしまうと、さらに上述したように適当な使用流量で流出する流れを制御する散布器を介して、化学溶液が表面に散布される。
【0054】
化学クリーナ溶液が散布された後、使用圧力および流量で水容器からの水により表面が水洗されるように、バルブ構成が調節し直される。水洗サイクルの完了後に、殺生物剤/制生物剤が溶液状で表面に散布されるように、バルブ構成が適当な方法で再び調節し直される。洗浄用途に応じて、図5に示された洗浄システムおよび装置の設定およびその適当な変形は、室内使用に適用される図1〜4、特に図1および2に示された設定と比較すると好適である。図5の設定では、一つの作業から次の作業へ(つまり一つの部屋から次の部屋へ)カートで運ばれる容器が少なくなる。さらに、水容量が多くなる。これは、供給水の量が一定であって、これを収容する容器のサイズに左右される場合には特に、洗浄プロセスを容易にする。ゆえに、ホテル客室または他の部屋空間など、洗浄が行われる部屋またはエリアの外側にある供給源からの水の再充填の必要のため、休止時間が最短となる。
【0055】
本発明の他の様々な洗浄要素は、用途に応じて適当な方法で構築される。例えば、洗浄される表面への接近を良好かつ容易にするように、ノズルがいくつかの適当な方法で構成されるとよい。これに関して、ノズルまたは散布器の他の適当な端部が、略直線経路、または45°から180°など様々な度数の湾曲経路で構成されてもよい。湾曲した構成は、接近性の低い場所での本発明の使用を容易にできる。
【0056】
上述した現在好適な実施形態の様々な変更および変形は当該技術分野の当業者には明らかであることを理解すべきである。本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、また付随する長所を縮小することなく、このような変更および変形が可能である。そのため、このような変更および変形は、添付の請求項に包含されるものとする。