【実施例】
【0015】
−実施例1−
図1は、実施例1に係る電磁加速装置101の給電端側を示す外観図である。
この電磁加速装置101は、平行に並ぶ一対の導電レール3,5とそれらの間の加速空間(
図3の19)に装填された電機子4とからなるレールガン15を、8機、円環状に等間隔(=360°/8=45°間隔)で且つ各レールガン15の一対の導電レール3,5が放射状に並ぶように配置し、各レールガン15の外側の導電レール3に同方向の電流が流れるように各レールガン15を接続線6,6,6,6,6,6,6で直列に接続し、その直列回路にパルス電源1とスイッチ2から給電するようにした構成である。
【0016】
各レールガン15の外側の導電レール3は、絶縁筒26を介して堅牢な金属筒枠22に固定されている。また、各レールガン15の内側の導電レール5は、絶縁層36を介して堅牢な金属芯32に固定されている。また、各レールガン15の間には、絶縁仕切り31がそれぞれ介設されている。
【0017】
図2は、実施例1に係る電磁加速装置101の出射端側を示す外観図である。
各レールガン15の導電レール3,5の出射端間には、短絡インダクタンス23がそれぞれ接続されている。
【0018】
図3は、
図2のA−B端面図である。
各レールガン15の方向は平行である。
【0019】
具体例を示すと、導電レール3,5はサイズ55mm×55mm×3mの銅製であり、一対の導電レール3,5の間隔は35mmである。電機子4はサイズ55mm×55mm×35mmの銅製である。金属筒枠22は、外径約80cmの鉄製円筒である。金属芯32は、直径約20cmの鉄製円柱である。
【0020】
図4は、実施例1に係る電磁加速装置101における磁力線を示す説明図である。
スイッチ2を閉じると、各レールガン15の導電レール3,5及び電機子4に電流Iが流れる。各レールガン15の外側の導電レール3に流れる電流Iの方向は一致している。従って、各レールガン15の内側の導電レール5に流れる電流Iの方向も一致している。この結果、各レールガン15の加速空間19を結ぶ円周上で同方向で互いに強め合った磁力線14が発生する。
【0021】
実施例1に係る電磁加速装置101によれば、各レールガン15において磁力線14の強さが同じになるため、速度差なく、8個の電機子4を一斉に打ち出すことが出来る。また、各レールガン15が発生する磁力線が互いに強め合うため、効率良く、8個の電機子4を一斉に打ち出すことが出来る。また、標的までの距離に拘わらず、8機のレールガン15が並ぶ円環の大きさの円環状に並んで、8個の電機子4が標的に到達しうる。
【0022】
なお、実際には、電機子4に例えばプラスチック製の飛翔体が取り付けられ、その飛翔体が各レールガン15から射出されることになる。
【0023】
−実施例2−
図5は、実施例2に係る電磁加速装置102における磁力線を示す説明図である。
この電磁加速装置102は、実施例1における8機のレールガン15を4機に減らした構成である。
【0024】
実施例2に係る電磁加速装置102によれば、一斉に打ち出す電機子4の数を4個にすることが出来る。
但し、実施例1に係る電磁加速装置101に比べると、磁力線を発生するレールガン15の数が減ると共に隣接するレールガン15の間に存在するは空間から磁力線が外側へ漏れてしまうため、磁力線14が弱くなり、加速力は低下する。
【0025】
−実施例3−
図6は、実施例3に係る電磁加速装置103の給電端側を示す外観図である。
この電磁加速装置103は、平行に並ぶ一対の導電レール3,5とそれらの間の加速空間(
図8の19)に装填された電機子4とからなるレールガン15を、4機、円環状に等間隔(=360°/4=90°間隔)で且つ各レールガン15の一対の導電レール3,5が放射状に並ぶように配置すると共に、それらレールガン15の中間に、一対の導電レール3,5と同形状の平行な一対の導体辺をレールガン15の出射端側で短絡した構造の1回巻コイル25をそれぞれ配置し、各レールガン15の外側の導電レール3及び各1回巻コイル25の外側の導体辺に同方向の電流が流れるように各レールガン15及び1回巻コイル25を接続線6,6,6,6,6,6,6で直列に接続し、その直列回路にパルス電源1とスイッチ2から給電するようにした構成である。
【0026】
各レールガン15の外側の導電レール3及び各1回巻コイル25の外側の導体辺は、絶縁筒26を介して堅牢な金属筒枠22に固定されている。また、各レールガン15の内側の導電レール5及び各1回巻コイル25の内側の導体辺は、絶縁層36を介して堅牢な金属芯32に固定されている。また、各レールガン15及び各1回巻コイル25の間には、絶縁仕切り31がそれぞれ介設されている。
【0027】
図7は、実施例3に係る電磁加速装置103の出射端側を示す外観図である。
各レールガン15の導電レール3,5の出射端間には、短絡インダクタンス23がそれぞれ接続されている。
各1回巻コイル25の一対の導体辺は、レールガン15の出射端側で短絡辺により短絡されている。
【0028】
図8は、
図7のA−B端面図である。
各レールガン15及び各1回巻コイル25の方向は平行である。
【0029】
具体例を示すと、導電レール3,5はサイズ55mm×55mm×3mの銅製であり、一対の導電レール3,5の間隔は35mmである。電機子4はサイズ55mm×55mm×35mmの銅製である。1回巻コイル25の導体辺はサイズ55mm×55mm×3mの銅製であり、一対の導体辺の間隔は35mmであり、短絡辺のサイズは55mm×55mm×35mmの銅製である。金属筒枠22は、外径約80cmの鉄製円筒である。金属芯32は、直径約20cmの鉄製円柱である。
【0030】
図9は、実施例3に係る電磁加速装置103における磁力線を示す説明図である。
スイッチ2を閉じると、各レールガン15の導電レール3,5及び電機子4及び各1回巻コイル25に電流Iが流れる。各レールガン15の外側の導電レール3及び各1回巻コイル25の外側の導体辺に流れる電流Iの方向は一致している。従って、各レールガン15の内側の導電レール5及び各1回巻コイル25の内側の導体辺に流れる電流Iの方向も一致している。この結果、各レールガン15の加速空間19及び各1回巻コイル25の一対に導体辺間の空間を結ぶ円周上で同方向で互いに強め合った磁力線14が発生する。
【0031】
実施例3に係る電磁加速装置103によれば、各レールガン15において磁力線14の強さが同じになるため、速度差なく、4個の電機子4を一斉に打ち出すことが出来る。また、各レールガン15及び各1回巻コイル25が発生する磁力線が互いに強め合うため、効率良く、4個の電機子4を一斉に打ち出すことが出来る。また、標的までの距離に拘わらず、4機のレールガン15が並ぶ円環の大きさの円環状に並んで、4個の電機子4が標的に到達しうる。さらに、電機子4を打ち出さないがレールガン15と同等の磁力線を発生する1回巻コイル25を混在させるため、一斉に打ち出す電機子4の数を減らすことが出来ると共に磁力線が弱くなるのを回避することが出来る。
【0032】
実施例3のようにレールガン15及び1回巻コイル25を同数交互に並べる構造が対称性に優れるが、必ずしも交互に並べる必要は無く、変形例として、例えばレールガン15を7機とし且つ1機を1回巻コイル25としてもよいし、レールガン15を3機とし且つ5機を1回巻コイル25としてもよい。
【0033】
また、3個以上の電機子4を一斉に打ち出す必要が無い用途では、レールガン15を2機とし且つ6機を1回巻コイル25としたり、レールガン15を1機のみとし且つ他の7機をすべて1回巻コイル25として使用することも出来る。
【0034】
−実施例4−
図10は、実施例4に係る電磁加速装置104の給電端側を示す外観図である。
この電磁加速装置104は、平行に並ぶ一対の導電レール3,5とそれらの間の加速空間(
図12の19)に装填された電機子4とからなるレールガン15を、4機、円環状に等間隔(=360°/4=90°間隔)で且つ各レールガン15の一対の導電レール3,5が放射状に並ぶように配置し、各レールガン15の外側の導電レール3に同方向の電流が流れるように各レールガン15を接続線6,6,6で直列に接続し、その直列回路にパルス電源1とスイッチ2から給電するようにし、さらに、各レールガン15の外側を取り囲む導電体筒27を設けた構成である。
【0035】
各レールガン15の外側の導電レール3及び各1回巻コイル25の外側の導体辺は、絶縁筒26及び導電体筒27を介して堅牢な金属筒枠22に固定されている。また、各レールガン15の内側の導電レール5は、絶縁層36を介して堅牢な金属芯32に固定されている。また、各レールガン15の間には、絶縁仕切り31がそれぞれ介設されている。
【0036】
図11は、実施例4に係る電磁加速装置104の出射端側を示す外観図である。
各レールガン15の導電レール3,5の出射端間には、短絡インダクタンス23がそれぞれ接続されている。
【0037】
図12は、
図11のA−B端面図である。
各レールガン15の方向は平行である。
【0038】
具体例を示すと、導電レール3,5はサイズ55mm×55mm×3mの銅製であり、一対の導電レール3,5の間隔は35mmである。電機子4はサイズ55mm×55mm×35mmの銅製である。金属筒枠22は、外径約80cmの鉄製円筒である。金属芯32は、直径約20cmの鉄製円柱である。導電体筒27は厚さ約5mmの銅製円筒である。
【0039】
図13は、実施例4に係る電磁加速装置104における磁力線を示す説明図である。
スイッチ2を閉じると、各レールガン15の導電レール3,5及び電機子4に電流Iが流れる。各レールガン15の外側の導電レール3に流れる電流Iの方向は一致している。従って、各レールガン15の内側の導電レール5に流れる電流Iの方向も一致している。この結果、各レールガン15の加速空間19を結ぶ円周上で同方向で互いに強め合った磁力線14が発生する。
【0040】
先に実施例2で説明したように、導電体筒27が無ければ、隣接するレールガン15の間の空間から磁力線14が外側へ漏れてしまう。しかし、この実施例4では、レールガン15の外側に導電体筒27を配置したので、外側への磁力線14の漏れを抑制することが出来る。
【0041】
実施例4に係る電磁加速装置103によれば、各レールガン15において磁力線14の強さが同じになるため、速度差なく、4個の電機子4を一斉に打ち出すことが出来る。また、各レールガン15が発生する磁力線が互いに強め合うため、効率良く、4個の電機子4を一斉に打ち出すことが出来る。また、標的までの距離に拘わらず、4機のレールガン15が並ぶ円環の大きさの円環状に並んで、4個の電機子4が標的に到達しうる。さらに、レールガン15の外側への磁力線14の漏れを導電体筒27により抑制できるため、一斉に打ち出す電機子4の減らすことが出来ると共に磁力線が弱くなるのを回避することが出来る。
【0042】
−実施例5−
図14は、実施例5に係る電磁加速装置105における
図3相当図である。
この電磁加速装置105は、実施例1における8機のレールガン15の方向を平行にせず、各レールガン15の方向を延長したときに給電端側の一点で収束するような方向とした構成である。すなわち、8機のレールガン15が円環状に等間隔で並んでいるが、その円環の大きさが給電端側から射出端側へかけて大きくなっている。これ以外の構成は実施例1と同じである。
【0043】
実施例5に係る電磁加速装置105によれば、一斉に打ち出された8個の電機子4が、レールガン15が並ぶ円環の大きさより大きい円環状に並んで飛翔する。飛翔する8個の電機子4が形成する円環の大きさは、飛翔距離が長いほど大きくなる。
【0044】
−実施例6−
図15は、実施例6に係る電磁加速装置106における
図3相当図である。
この電磁加速装置106は、実施例1における8機のレールガン15の方向を平行にせず、各レールガン15の方向を延長したときに出射端側の一点で収束するような方向とした構成である。すなわち、8機のレールガン15が円環状に等間隔で並んでいるが、その円環の大きさが給電端側から射出端側へかけて小さくなっている。これ以外の構成は実施例1と同じである。
【0045】
実施例6に係る電磁加速装置106によれば、一斉に打ち出された8個の電機子4が、レールガン15が並ぶ円環の大きさより小さい円環状に並んで飛翔する。飛翔する8個の電機子4が形成する円環の大きさは、標的までの距離が長いほど小さくなり、ある距離で1点に集中する。
【0046】
−他の実施例−
(1)中棒(シャフト)を中心軸として親骨(リブ)を開閉しうる傘のような機構を用いて、3機以上のレールガン15の方向を中心軸Axに対して対称に可変とするのが好ましい。
(2)実施例1〜6では、3機以上のレールガン15を直列接続しているので、全てのレールガン15に同じ大きさの電流Iを供給でき、電流調整回路は1つで済む。他方、各レールガン15に個々に電流調整回路を設け且つ3機以上のレールガン15を並列接続してもよい。この場合、電流調整によって各レールガン15の電機子4の速度を個々に微調整可能となる。
(3)レールガン15の数は3機以上なら任意である。