特許第5730273号(P5730273)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日本製鋼所の特許一覧

<>
  • 特許5730273-電磁加速装置 図000002
  • 特許5730273-電磁加速装置 図000003
  • 特許5730273-電磁加速装置 図000004
  • 特許5730273-電磁加速装置 図000005
  • 特許5730273-電磁加速装置 図000006
  • 特許5730273-電磁加速装置 図000007
  • 特許5730273-電磁加速装置 図000008
  • 特許5730273-電磁加速装置 図000009
  • 特許5730273-電磁加速装置 図000010
  • 特許5730273-電磁加速装置 図000011
  • 特許5730273-電磁加速装置 図000012
  • 特許5730273-電磁加速装置 図000013
  • 特許5730273-電磁加速装置 図000014
  • 特許5730273-電磁加速装置 図000015
  • 特許5730273-電磁加速装置 図000016
  • 特許5730273-電磁加速装置 図000017
  • 特許5730273-電磁加速装置 図000018
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5730273
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月3日
(54)【発明の名称】電磁加速装置
(51)【国際特許分類】
   F41B 6/00 20060101AFI20150514BHJP
【FI】
   F41B6/00
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-257010(P2012-257010)
(22)【出願日】2012年11月26日
(65)【公開番号】特開2014-105885(P2014-105885A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2013年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100095511
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 紳志郎
(72)【発明者】
【氏名】阿曽 良之
【審査官】 志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04987821(US,A)
【文献】 米国特許第04677895(US,A)
【文献】 米国特許第07398722(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行に並ぶ一対の導電レール(3,5)とそれらの間の加速空間(19)に装填された電機子(4)とからなるレールガン(15)を、3機以上、円環状に等間隔で且つ各レールガン(15)の導電レール(3,5)が前記円環の半径方向に並ぶように配置し、各レールガン(15)の加速空間(19)を結ぶ円周上で同方向に磁力線を発生するように各レールガン(15)に給電する給電手段(1,2,6)を接続すると共に、前記平行に並ぶ一対の導電レール(3,5)と同形状の平行な一対の導体辺をレールガン(15)の出射端側で短絡した構造の1回巻コイル(25)を混在させて配置し、それら1回巻コイル(25)が各レールガン(15)の磁力線と同方向に磁力線を形成するように各1回巻コイル(25)に給電するように前記給電手段(1,2,6)を接続したことを特徴とする電磁加速装置(103)
【請求項2】
請求項1に記載の電磁加速装置において、導電体筒(27)の内部空間に前記各レールガン(15)を配置したことを特徴とする電磁加速装置(104)
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電磁加速装置において、各レールガン(15)の方向が平行であることを特徴とする電磁加速装置(103,104)
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の電磁加速装置において、前記各レールガン(15)の方向が、各レールガン(15)の方向を延長したときに給電端側の一点または出射端側の一点で収束するような方向であることを特徴とする電磁加速装置(105,106)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電磁加速装置に関し、さらに詳しくは、速度差なく3個以上の飛翔体を一斉に打ち出すことが出来る電磁加速装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図16図17に示す如き電磁加速装置500が知られている(非特許文献1参照)。
【0003】
図16の電磁加速装置500は、水平方向に平行に並ぶ一対の導電レール3,5とそれらの間の加速空間19に装填された電機子4とからなるレールガン15を、3機、垂直方向に3段に配置して、各レールガン15の加速空間19を結ぶ直線上で同方向に磁力線を発生するように各レールガン15を接続線6,6で直列接続し、その直列回路にパルス電源1とスイッチ2から電流Iを供給するようにした構成である。
【0004】
図17に示すように、各レールガン15が発生する磁力線が互いに強め合って一つの磁力線14を形成するため、効率良く、3個の電機子4を一斉に打ち出すことが出来る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Program and Abstract Booklet of 16th International Symposium on Electromagnetic Launch Technology, Beijing, May 15 - 19, 2012, EMI, #058, #061 p.135 - 136
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の電磁加速装置500において、上段のレールガン15では中段のレールガン15からの磁力線の寄与が大きいが、下段のレールガン15からの磁力線の寄与は小さい。また、下段のレールガン15では中段のレールガン15からの磁力線の寄与が大きいが、上段のレールガン15からの磁力線の寄与は小さい。他方、中段のレールガン15では上段および下段のレールガン15の磁力線の寄与が両方とも大きい。このため、中段のレールガン15における磁力線が上段および下段のレールガン15における磁力線よりも強くなる。
この結果、上段および下段のレールガン15における電機子4よりも中段のレールガン15における電機子4の加速力が強くなり、速度差が生じてしまう問題点がある。
そこで、この発明は、速度差なく3個以上の電機子を一斉に打ち出すことが出来る電磁加速装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の観点では、本発明は、平行に並ぶ一対の導電レール(3,5)とそれらの間の加速空間(19)に装填された電機子(4)とからなるレールガン(15)を、3機以上、円環状に等間隔で且つ各レールガン(15)の導電レール(3,5)が前記円環の半径方向に並ぶように配置し、各レールガン(15)の加速空間(19)を結ぶ円周上で同方向に磁力線を発生するように各レールガン(15)に給電する給電手段(1,2,6)を接続したことを特徴とする電磁加速装置(101,102,103,104,105,106)を提供する。
上記第1の観点による電磁加速装置では、各レールガン(15)における磁力線の強さが同じになるため、速度差なく3個以上の電機子(4)を一斉に打ち出すことが出来る。また、各レールガン(15)が発生する磁力線が互いに強め合うため、効率良く、3個以上の電機子(4)を一斉に打ち出すことが出来る。
なお、レールガン(15)が2機以下であれば、速度差の問題は生じない。
【0008】
第2の観点では、本発明は、前記第1の観点による電磁加速装置において、前記平行に並ぶ一対の導電レール(3,5)と同形状の平行な一対の導体辺をレールガン(15)の出射端側で短絡した構造の1回巻コイル(25)を混在させて配置し、それら1回巻コイル(25)が各レールガン(15)の磁力線と同方向に磁力線を形成するように各1回巻コイル(25)に給電するように前記給電手段(1,2,6)を接続したことを特徴とする電磁加速装置(103)を提供する。
一斉に打ち出す電機子(4)の数を減らすためにレールガン(15)の数を減らすと、磁力線が弱くなり、加速力が低下する。
これに対して、上記第2の観点による電磁加速装置では、電機子(4)を打ち出さないがレールガン(15)と同等の磁力線を発生する1回巻コイル(25)を混在させるため、一斉に打ち出す電機子(4)の数を減らすことが出来ると共に磁力線が弱くなるのを回避することが出来る。
【0009】
第3の観点では、本発明は、前記第1または第2の観点による電磁加速装置において、導電体筒(27)の内部空間に前記各レールガン(15)を配置したことを特徴とする電磁加速装置(104)を提供する。
隣接するレールガン(15)の間には空間が存在するため、その空間から磁力線が外側へ漏れてしまう。
これに対して、上記第3の観点による電磁加速装置では、レールガン(15)の外側に配置した導電体筒(27)により外側への磁力線の漏れを抑制することが出来る。
【0010】
第4の観点では、本発明は、前記第1から第3のいずれかの観点による電磁加速装置において、各レールガン(15)の方向が平行であることを特徴とする電磁加速装置(101,102,103,104)を提供する。
上記第4の観点による電磁加速装置では、一斉に打ち出す電機子(4)が、標的までの距離に拘わらず、レールガン(15)が並ぶ円環の大きさの円環状に並んで、標的に到達しうる。
【0011】
第5の観点では、本発明は、前記第1から第3のいずれかの観点による電磁加速装置において、前記各レールガン(15)の方向が、各レールガン(15)の方向を延長したときに給電端側の一点または出射端側の一点で収束するような方向であることを特徴とする電磁加速装置(105,106)を提供する。
上記第5の観点による電磁加速装置では、一斉に打ち出す電機子(4)が、標的までの距離に応じて、レールガン(15)が並ぶ円環の大きさより大きくなるか又は小さくなった円環状に並んで、標的に到達しうる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電磁加速装置によれば、3個以上の電機子を一斉に効率的に且つ速度差なく打ち出すことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1に係る電磁加速装置の給電端側を示す外観図である。
図2】実施例1に係る電磁加速装置の出射端側を示す外観図である。
図3図2のA−B端面図である。
図4】実施例1に係る電磁加速装置の磁力線を示す説明図である。
図5】実施例2に係る電磁加速装置の給電端側を示す外観図である。
図6】実施例3に係る電磁加速装置の給電端側を示す外観図である。
図7】実施例3に係る電磁加速装置の出射端側を示す外観図である。
図8図7のA−B端面図である。
図9】実施例3に係る電磁加速装置の磁力線を示す説明図である。
図10】実施例4に係る電磁加速装置の給電端側を示す外観図である。
図11】実施例4に係る電磁加速装置の出射端側を示す外観図である。
図12図11のA−B端面図である。
図13】実施例4に係る電磁加速装置の磁力線を示す説明図である。
図14】実施例5に係る電磁加速装置の図3相当図である。
図15】実施例6に係る電磁加速装置の図3相当図である。
図16】従来例に係る電磁加速装置の給電端側から見た斜視図である。
図17】従来例に係る電磁加速装置の磁力線を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0015】
−実施例1−
図1は、実施例1に係る電磁加速装置101の給電端側を示す外観図である。
この電磁加速装置101は、平行に並ぶ一対の導電レール3,5とそれらの間の加速空間(図3の19)に装填された電機子4とからなるレールガン15を、8機、円環状に等間隔(=360°/8=45°間隔)で且つ各レールガン15の一対の導電レール3,5が放射状に並ぶように配置し、各レールガン15の外側の導電レール3に同方向の電流が流れるように各レールガン15を接続線6,6,6,6,6,6,6で直列に接続し、その直列回路にパルス電源1とスイッチ2から給電するようにした構成である。
【0016】
各レールガン15の外側の導電レール3は、絶縁筒26を介して堅牢な金属筒枠22に固定されている。また、各レールガン15の内側の導電レール5は、絶縁層36を介して堅牢な金属芯32に固定されている。また、各レールガン15の間には、絶縁仕切り31がそれぞれ介設されている。
【0017】
図2は、実施例1に係る電磁加速装置101の出射端側を示す外観図である。
各レールガン15の導電レール3,5の出射端間には、短絡インダクタンス23がそれぞれ接続されている。
【0018】
図3は、図2のA−B端面図である。
各レールガン15の方向は平行である。
【0019】
具体例を示すと、導電レール3,5はサイズ55mm×55mm×3mの銅製であり、一対の導電レール3,5の間隔は35mmである。電機子4はサイズ55mm×55mm×35mmの銅製である。金属筒枠22は、外径約80cmの鉄製円筒である。金属芯32は、直径約20cmの鉄製円柱である。
【0020】
図4は、実施例1に係る電磁加速装置101における磁力線を示す説明図である。
スイッチ2を閉じると、各レールガン15の導電レール3,5及び電機子4に電流Iが流れる。各レールガン15の外側の導電レール3に流れる電流Iの方向は一致している。従って、各レールガン15の内側の導電レール5に流れる電流Iの方向も一致している。この結果、各レールガン15の加速空間19を結ぶ円周上で同方向で互いに強め合った磁力線14が発生する。
【0021】
実施例1に係る電磁加速装置101によれば、各レールガン15において磁力線14の強さが同じになるため、速度差なく、8個の電機子4を一斉に打ち出すことが出来る。また、各レールガン15が発生する磁力線が互いに強め合うため、効率良く、8個の電機子4を一斉に打ち出すことが出来る。また、標的までの距離に拘わらず、8機のレールガン15が並ぶ円環の大きさの円環状に並んで、8個の電機子4が標的に到達しうる。
【0022】
なお、実際には、電機子4に例えばプラスチック製の飛翔体が取り付けられ、その飛翔体が各レールガン15から射出されることになる。
【0023】
−実施例2−
図5は、実施例2に係る電磁加速装置102における磁力線を示す説明図である。
この電磁加速装置102は、実施例1における8機のレールガン15を4機に減らした構成である。
【0024】
実施例2に係る電磁加速装置102によれば、一斉に打ち出す電機子4の数を4個にすることが出来る。
但し、実施例1に係る電磁加速装置101に比べると、磁力線を発生するレールガン15の数が減ると共に隣接するレールガン15の間に存在するは空間から磁力線が外側へ漏れてしまうため、磁力線14が弱くなり、加速力は低下する。
【0025】
−実施例3−
図6は、実施例3に係る電磁加速装置103の給電端側を示す外観図である。
この電磁加速装置103は、平行に並ぶ一対の導電レール3,5とそれらの間の加速空間(図8の19)に装填された電機子4とからなるレールガン15を、4機、円環状に等間隔(=360°/4=90°間隔)で且つ各レールガン15の一対の導電レール3,5が放射状に並ぶように配置すると共に、それらレールガン15の中間に、一対の導電レール3,5と同形状の平行な一対の導体辺をレールガン15の出射端側で短絡した構造の1回巻コイル25をそれぞれ配置し、各レールガン15の外側の導電レール3及び各1回巻コイル25の外側の導体辺に同方向の電流が流れるように各レールガン15及び1回巻コイル25を接続線6,6,6,6,6,6,6で直列に接続し、その直列回路にパルス電源1とスイッチ2から給電するようにした構成である。
【0026】
各レールガン15の外側の導電レール3及び各1回巻コイル25の外側の導体辺は、絶縁筒26を介して堅牢な金属筒枠22に固定されている。また、各レールガン15の内側の導電レール5及び各1回巻コイル25の内側の導体辺は、絶縁層36を介して堅牢な金属芯32に固定されている。また、各レールガン15及び各1回巻コイル25の間には、絶縁仕切り31がそれぞれ介設されている。
【0027】
図7は、実施例3に係る電磁加速装置103の出射端側を示す外観図である。
各レールガン15の導電レール3,5の出射端間には、短絡インダクタンス23がそれぞれ接続されている。
各1回巻コイル25の一対の導体辺は、レールガン15の出射端側で短絡辺により短絡されている。
【0028】
図8は、図7のA−B端面図である。
各レールガン15及び各1回巻コイル25の方向は平行である。
【0029】
具体例を示すと、導電レール3,5はサイズ55mm×55mm×3mの銅製であり、一対の導電レール3,5の間隔は35mmである。電機子4はサイズ55mm×55mm×35mmの銅製である。1回巻コイル25の導体辺はサイズ55mm×55mm×3mの銅製であり、一対の導体辺の間隔は35mmであり、短絡辺のサイズは55mm×55mm×35mmの銅製である。金属筒枠22は、外径約80cmの鉄製円筒である。金属芯32は、直径約20cmの鉄製円柱である。
【0030】
図9は、実施例3に係る電磁加速装置103における磁力線を示す説明図である。
スイッチ2を閉じると、各レールガン15の導電レール3,5及び電機子4及び各1回巻コイル25に電流Iが流れる。各レールガン15の外側の導電レール3及び各1回巻コイル25の外側の導体辺に流れる電流Iの方向は一致している。従って、各レールガン15の内側の導電レール5及び各1回巻コイル25の内側の導体辺に流れる電流Iの方向も一致している。この結果、各レールガン15の加速空間19及び各1回巻コイル25の一対に導体辺間の空間を結ぶ円周上で同方向で互いに強め合った磁力線14が発生する。
【0031】
実施例3に係る電磁加速装置103によれば、各レールガン15において磁力線14の強さが同じになるため、速度差なく、4個の電機子4を一斉に打ち出すことが出来る。また、各レールガン15及び各1回巻コイル25が発生する磁力線が互いに強め合うため、効率良く、4個の電機子4を一斉に打ち出すことが出来る。また、標的までの距離に拘わらず、4機のレールガン15が並ぶ円環の大きさの円環状に並んで、4個の電機子4が標的に到達しうる。さらに、電機子4を打ち出さないがレールガン15と同等の磁力線を発生する1回巻コイル25を混在させるため、一斉に打ち出す電機子4の数を減らすことが出来ると共に磁力線が弱くなるのを回避することが出来る。
【0032】
実施例3のようにレールガン15及び1回巻コイル25を同数交互に並べる構造が対称性に優れるが、必ずしも交互に並べる必要は無く、変形例として、例えばレールガン15を7機とし且つ1機を1回巻コイル25としてもよいし、レールガン15を3機とし且つ5機を1回巻コイル25としてもよい。
【0033】
また、3個以上の電機子4を一斉に打ち出す必要が無い用途では、レールガン15を2機とし且つ6機を1回巻コイル25としたり、レールガン15を1機のみとし且つ他の7機をすべて1回巻コイル25として使用することも出来る。
【0034】
−実施例4−
図10は、実施例4に係る電磁加速装置104の給電端側を示す外観図である。
この電磁加速装置104は、平行に並ぶ一対の導電レール3,5とそれらの間の加速空間(図12の19)に装填された電機子4とからなるレールガン15を、4機、円環状に等間隔(=360°/4=90°間隔)で且つ各レールガン15の一対の導電レール3,5が放射状に並ぶように配置し、各レールガン15の外側の導電レール3に同方向の電流が流れるように各レールガン15を接続線6,6,6で直列に接続し、その直列回路にパルス電源1とスイッチ2から給電するようにし、さらに、各レールガン15の外側を取り囲む導電体筒27を設けた構成である。
【0035】
各レールガン15の外側の導電レール3及び各1回巻コイル25の外側の導体辺は、絶縁筒26及び導電体筒27を介して堅牢な金属筒枠22に固定されている。また、各レールガン15の内側の導電レール5は、絶縁層36を介して堅牢な金属芯32に固定されている。また、各レールガン15の間には、絶縁仕切り31がそれぞれ介設されている。
【0036】
図11は、実施例4に係る電磁加速装置104の出射端側を示す外観図である。
各レールガン15の導電レール3,5の出射端間には、短絡インダクタンス23がそれぞれ接続されている。
【0037】
図12は、図11のA−B端面図である。
各レールガン15の方向は平行である。
【0038】
具体例を示すと、導電レール3,5はサイズ55mm×55mm×3mの銅製であり、一対の導電レール3,5の間隔は35mmである。電機子4はサイズ55mm×55mm×35mmの銅製である。金属筒枠22は、外径約80cmの鉄製円筒である。金属芯32は、直径約20cmの鉄製円柱である。導電体筒27は厚さ約5mmの銅製円筒である。
【0039】
図13は、実施例4に係る電磁加速装置104における磁力線を示す説明図である。
スイッチ2を閉じると、各レールガン15の導電レール3,5及び電機子4に電流Iが流れる。各レールガン15の外側の導電レール3に流れる電流Iの方向は一致している。従って、各レールガン15の内側の導電レール5に流れる電流Iの方向も一致している。この結果、各レールガン15の加速空間19を結ぶ円周上で同方向で互いに強め合った磁力線14が発生する。
【0040】
先に実施例2で説明したように、導電体筒27が無ければ、隣接するレールガン15の間の空間から磁力線14が外側へ漏れてしまう。しかし、この実施例4では、レールガン15の外側に導電体筒27を配置したので、外側への磁力線14の漏れを抑制することが出来る。
【0041】
実施例4に係る電磁加速装置103によれば、各レールガン15において磁力線14の強さが同じになるため、速度差なく、4個の電機子4を一斉に打ち出すことが出来る。また、各レールガン15が発生する磁力線が互いに強め合うため、効率良く、4個の電機子4を一斉に打ち出すことが出来る。また、標的までの距離に拘わらず、4機のレールガン15が並ぶ円環の大きさの円環状に並んで、4個の電機子4が標的に到達しうる。さらに、レールガン15の外側への磁力線14の漏れを導電体筒27により抑制できるため、一斉に打ち出す電機子4の減らすことが出来ると共に磁力線が弱くなるのを回避することが出来る。
【0042】
−実施例5−
図14は、実施例5に係る電磁加速装置105における図3相当図である。
この電磁加速装置105は、実施例1における8機のレールガン15の方向を平行にせず、各レールガン15の方向を延長したときに給電端側の一点で収束するような方向とした構成である。すなわち、8機のレールガン15が円環状に等間隔で並んでいるが、その円環の大きさが給電端側から射出端側へかけて大きくなっている。これ以外の構成は実施例1と同じである。
【0043】
実施例5に係る電磁加速装置105によれば、一斉に打ち出された8個の電機子4が、レールガン15が並ぶ円環の大きさより大きい円環状に並んで飛翔する。飛翔する8個の電機子4が形成する円環の大きさは、飛翔距離が長いほど大きくなる。
【0044】
−実施例6−
図15は、実施例6に係る電磁加速装置106における図3相当図である。
この電磁加速装置106は、実施例1における8機のレールガン15の方向を平行にせず、各レールガン15の方向を延長したときに出射端側の一点で収束するような方向とした構成である。すなわち、8機のレールガン15が円環状に等間隔で並んでいるが、その円環の大きさが給電端側から射出端側へかけて小さくなっている。これ以外の構成は実施例1と同じである。
【0045】
実施例6に係る電磁加速装置106によれば、一斉に打ち出された8個の電機子4が、レールガン15が並ぶ円環の大きさより小さい円環状に並んで飛翔する。飛翔する8個の電機子4が形成する円環の大きさは、標的までの距離が長いほど小さくなり、ある距離で1点に集中する。
【0046】
−他の実施例−
(1)中棒(シャフト)を中心軸として親骨(リブ)を開閉しうる傘のような機構を用いて、3機以上のレールガン15の方向を中心軸Axに対して対称に可変とするのが好ましい。
(2)実施例1〜6では、3機以上のレールガン15を直列接続しているので、全てのレールガン15に同じ大きさの電流Iを供給でき、電流調整回路は1つで済む。他方、各レールガン15に個々に電流調整回路を設け且つ3機以上のレールガン15を並列接続してもよい。この場合、電流調整によって各レールガン15の電機子4の速度を個々に微調整可能となる。
(3)レールガン15の数は3機以上なら任意である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の電磁加速装置は、例えば衝撃試験に利用できる。
【符号の説明】
【0048】
1 パルス電源
2 スイッチ
3,5 導電レール
4 電機子
6 接続線
14 磁力線
15 レールガン
19 加速空間
22 金属筒枠
23 短絡用インダクタンス
25 1回巻コイル
26 絶縁筒
27 導電体筒
31 絶縁仕切り
32 金属芯
36 絶縁層
101〜106,500 電磁加速装置
Ax レールガンの並びが形成する円環の中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17