(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
温度に応じて磁気モーメントを変化させるヒートアシスト領域と、固定された磁気モーメントを有するピン止め領域と、前記ヒートアシスト領域および前記ピン止め領域に挟まれた磁気トンネル接合(MTJ)を有する抵抗性検知素子(RSE)を提供するステップと、
前記ピン止め領域および、第1の温度における前記ヒートアシスト領域が、各々、ゼロの正味磁気モーメントを有している間に、スピン分極された電流を用いて前記MTJに第1の論理状態を書込むステップと、
前記ピン止め領域がゼロの正味磁気モーメントを有し、前記第1の温度よりも高い第2の温度における前記ヒートアシスト領域が非ゼロの正味磁気モーメントを生成するようにされている間、静磁場を用いて前記MTJに第2の論理状態を書込むステップとを備える、方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
図1は、本発明のさまざまな実施例に従って構成されて動作されるデータ記憶デバイス100の機能ブロック図を提供する。デバイス100は、トップレベルコントローラ(CPU)102、インターフェイス(I/F)回路104、不揮発性データ記憶アレイ106を含む。I/F回路104は、アレイ106とホストデバイスとの間でデータを転送するようにコントローラ102の指令の下で作動する。
【0011】
図2は、
図1のアレイ106において用いられ得るユニットセル100構成の機能ブロック図を表す。ユニットセル110は、スイッチングデバイス114に直列に接続された抵抗性検知素子(RSE)112を有する。スイッチングデバイス114は、セルへの通電を効果的に防ぐために、図示される開位置においてユニットセル110の抵抗を増加させるように機能する。閉位置は、ユニットセル110を通る読出電流および書込電流を許容する。
【0012】
図3は、120において例示のRSE構成を示す。RSE120は、バリア層128(たとえば酸化マグネシウム、MgO)によって隔てられた2つの強磁性層124,126から形成された磁気トンネル接合(MTJ)122を含むスピン注入ランダムアクセスメモリ(STRAM)セルとして構成される。MTJ122の抵抗は、強磁性層124,126の相対的な磁化方向に関連して定められる。磁化方向が同じ(平行)である場合、MTJは低抵抗状態(R
L)となる。磁化方向が反対(逆平行)である場合、MTJは高抵抗状態(R
H)になる。
【0013】
リファレンス層126の磁化方向は、リファレンス層をピン止め磁化層(たとえば永久磁石など)に連結することによって固定される。自由層124の磁化方向は、リファレンス層126における磁化によって分極された駆動電流を通過させることにより変わり得る。
【0014】
MTJ122によって記憶された論理状態を読出すため、比較的小さい電流がソース線(SL)とビット線(BL)との間でMTJを通過させられる。論理0の状態と論理1の状態の各々におけるMTJの低抵抗と高抵抗との差により、ビットラインにおける電圧が異なり得る。ビットラインにおける電圧は適切な検知増幅器を用いて検知され得る。スイッチングデバイス130は、読出動作および書込動作の間においてMTJ122への選択的なアクセスを許容する。スイッチングデバイス130は、メタルオキサイドセミコンダクタフィールドエフェクトトランジスタ(MOSFET)として特徴付けられ得る。示されるように、ワード線(WL)はトランジスタ130のゲート端子に接続される。
【0015】
動作可能ではあるものの、
図2,3において示されたようなユニットセルは、非対称の書込電流特性などの欠点を有し得る。たとえば、
図3におけるRSE120を逆平行高抵抗状態(ハードプログラミング方向)に設定するには、RSEを平行低抵抗状態(イージープログラミング方向)に設定するのに比べて大きな書込ドライバ力が必要とされ得る。書込電流フローの方向に関する、ユニットセル内でのRSEとスイッチングデバイスの相対的な順序もそのような非対称の書込特性に寄与し得る。
【0016】
したがって、本発明のさまざまな実施例は、一般的に、改善された書込特性を有する新規なメモリセル構造に向けられる。以下に説明するように、メモリセル構造は、ヒートアシスト領域を有するヒートアシスト領域、磁気トンネル接合(MTJ)、ピン止め領域を少なくとも有する抵抗性検知素子(RSE)を含む。スピン分極された電流を用いて第1の論理状態がMTJに書込まれている間、ピン止め領域およびヒートアシスト領域の各々は実質的にゼロの正味磁気モーメントを有する。
【0017】
さらに、静磁場を用いて第2の論理状態がMTJに書込まれているとき、ピン止め領域は実質的にゼロの正味磁気モーメントを有し、ヒートアシスト領域は非ゼロの正味磁気モーメントを有する。論理状態は、両方とも、メモリセルを同じ方向に通過する単極の書込電流を用いて書込まれる。
【0018】
図4は、さまざまな実施例に従って、
図2のユニットセル110において用いることができるRSE140の例示の構成を提供する。RSE140は、自由層144と第1バリア層146と、第2バリア層148とを含む磁気トンネル接合142によって特徴付けられる。いくつかの実施例において、自由層144は、磁気極性を維持することができる強磁性素材であり、第1バリア層146および第2バリア層148は酸化バリア層である。第1酸化層146および第2酸化層148はさまざまな素材から構成され得、酸化物に限定されない。すなわち、望まれざる磁気パルスから自由層144を遮蔽するために、磁気トンネル接合142において酸化物とは別のバリア素材が用いられ得る。
【0019】
さらに、RSE140の磁気トンネル接合142はヒートアシスト層150とピン止め層152との間に配置される。ヒートアシスト層150は、2つの対向する方向のどちらかにおけるモーメントを有する磁気極性を記憶することができる。一方、ピン止め層152は、一方向のモーメントを有する磁気極性を有する。いくつかの実施例において、磁気トンネル接合142上において正味ゼロの磁気モーメントを与えるために、ピン止め層152の磁気極性はヒートアシスト層150の磁気極性と反対である。ピン止め層152の磁気モーメントはヒートアシスト層150の磁気モーメントと反対である。
【0020】
さらに、任意にRSE140を選択することを許容するためにスイッチングデバイス154もまたRSE140に接続される。RSE140に対するスイッチングデバイスの位置は限定されず、本発明の精神から逸脱しない範囲で変更され得ることが理解され得る。
【0021】
なお、いくつかの実施例において、ヒートアシスト層150は第1の温度においてゼロの正味磁気モーメントを有するが、上昇した第2の温度において非ゼロの正味磁気モーメントを有する。
図4において示されるように、ヒートアシスト層150は、希土類遷移金属等の単一の強磁性素材およびTbCoFe等のそれらの合金であり得るが、これらに限定されない。しかしながら、
図5において示されるように、ヒートアシスト領域を形成するために複数のヒートアシスト層150が組合せて用いられ得る。
【0022】
図5は、本発明のさまざまな実施例に従うRSE160の例示の構造を示す。自由層164と第1および第2酸化層166および168を有する磁気トンネル接合162が示され、ピン止め領域170とヒートアシスト領域172との間に配置される。ピン止め領域170は、酸化層178によって接続された第1および第2ピン止め層174および176を含む。磁気トンネル接合162にゼロの正味磁気モーメントを与えるため、ピン止め層176および178は反対の磁気モーメントを有するように構成される。
【0023】
しかしながら、本発明の精神から逸脱しない範囲で任意の好ましい間隔素材を用いることができ、ピン止め層176とピン止め層178とを隔てる酸化素材の使用は必要ではない。同様に、第1のピン止め層176と第2のピン止め層178の特定の磁化方向は限定されず、ゼロの正味磁気モーメントを生み出す任意のさまざまな構成とすることができる。当業者はスイッチングデバイス184の位置がヒートアシスト領域172に隣接すると理解することができるが、本発明の精神に弊害をもたらすことなくピン止め領域170に隣接するように配置することも可能である。
【0024】
上述したように、ヒートアシスト領域172は、第1の温度において磁気トンネル接合162にゼロの正味磁気モーメントを与えるように構成された複数のヒートアシスト層180および182を含む。ピン止め領域170と同様に、ヒートアシスト層180および182は反対の磁気モーメントを生み出す磁気方向を有する。酸化物あるいは同種のバリア層184が磁気モーメントを隔てるためにヒートアシスト層180と182との間に配置されている。
【0025】
そのような訳で、RSE160は、ピン止め層176およびピン止め層174の両方の磁気モーメントのバランスと、ヒートアシスト層180およびヒートアシスト層182の両方の磁気モーメントのバランスとに起因して、ゼロの正味磁気モーメントを有する。一旦自由層164が磁気極性を有すると、RSE160の磁気状態が現れ、論理状態を読出すことができる。なお、合成フェリ磁性素材を用いて、1つの層が他のヒートアシスト層に比べて高いキュリー温度を有するように複数のヒートアシスト層が構成され得る。したがって、所定の温度において、ヒートアシスト層180および182の磁気モーメントは、ヒートアシスト領域172と同様に、温度によって望まれるように操作され得る。
【0026】
図6および7において、本発明のさまざまな実施例に従う代替的な構成で
図5のRSE160が一般的に記載される。
図6において示されるように、ヒートアシスト層180およびヒートアシスト層182の各々の磁気モーメントは、ヒートアシスト領域172と同じく、磁気トンネル接合162およびピン止め領域170の磁気モーメントに対して垂直である。この構成も、第2の温度において自由層164に論理状態を書込むために要求される電流の量を大幅に下げつつ、第1の温度において磁気トンネル接合にゼロの正味磁気モーメントを与える。
【0027】
対称的に、
図7において示されるように、ヒートアシスト領域172に対して垂直な異方性を有するように磁気トンネル接合162およびピン止め領域170が構成され得る。垂直な異方性にも拘らず、磁気トンネル接合162にもたらされる正味磁気モーメントは、第2の温度がヒートアシスト領域172に非ゼロの正味磁気モーメントを生成させ始めるまでゼロに保たれる。
【0028】
なお、
図6および7において記載されるRSE160の各々の領域の磁化方向は限定されない。たとえば、面内の磁化を有する、ヒートアシスト領域172に対して垂直な磁気モーメントをピン止め領域170が有する一方で、垂直な異方性を有するように磁気トンネル接合162が構成され得る。
【0029】
セルトランジスタの達成可能な最小サイズに関連するある問題がSTRAMセル(他の種類のRSEセルと同様に)について発見された。一般的に、セルトランジスタを損傷させずに書込動作を実行するのに必要な必須の書込電流密度とゲート制御電圧を受けることができるように十分に大きくセルトランジスタを構成することが望まれる。それと同時に、トランジスタは、しばしばセルのスケーラビリティの制約要素になり得ることから、トランジスタの大きさを小さくすることにより、メモリアレイの全体的な密度を増加させることを促進することができる。
【0030】
関連する問題は書込電流の非対称性である。STRAMセルは、しばしば、異なる論理状態を書込むためにセルを異なる方向に、書込電流が通過するように構成される。これは他の種類のRSEセルにとっても真実であり得る。たとえば、第1の方向に書込電流を適用することによってセルの抵抗を低くし、それによって第1の論理状態(たとえば論理0)を識別する。書込電流を逆の第2の方向に適用することによって、セルの抵抗を高くし、それによって逆の論理状態(たとえば論理1)を識別する。
【0031】
セルの構成に依存して、セルを一方の方向に書込むことが他方の方向に書込むことに比べて困難であり得る。複数の要因がそのような非対称性に寄与し得る。1つの要因は、書込電流を適用する方向についての磁気トンネル接合とスイッチングデバイス素子との相対的な順番に関連する。すなわち、書込電流が磁気トンネル接合を先に通過するか、あるいはスイッチングデバイスを先に通過するかに関連する。他の要因も磁気トンネル接合(または他の可変抵抗性要素)内の構成および層の順番に関連し得る。
【0032】
他の要因も、磁気トンネル接合(または別の可変抵抗性素子)内の層の構成と順番に関連し得る。
【0033】
図5の例示のRSE160について、スイッチングデバイス184よりも前に磁気トンネル接合162に書込電流が遭遇するような方向(この方向は「イージー」方向と呼ばれる)に電流が通過するとき、磁気トンネル接合162の状態を書込むことが比較的容易であることが予期される。一方、書込電流が磁気トンネル接合に遭遇するよりも前にトランジスタ(ドレインソース接合)を通過する場合、反対方向(この方向は「ハード」方向と呼ばれる)に書込むことはより困難になるであろう。
【0034】
したがって、以下に説明されるように、本発明のさまざまな実施例は、単方向かつ単極の電流と静磁場とを用いてさまざまな論理状態をRSEに書込むことを容易にするための新規の構造および技術を利用する。単一の電流、極性および方向をRSEに対して用いることにより、RSEおよびユニットセルの両方の書込電流の非対称性を完全に避けることができる。一方、論理状態をRSEに書込むのに静磁場を用いると、向上されたユニットセルのデグラデーションに起因して、データ記憶の改善された信頼性との組合せにおいて有利な電力消費を与え得る。
【0035】
図5のRSE160の例示の動作を与える
図8および9が参照される。
図8において、RSE160はスイッチング素子(トランジスタ)184と直列の可変抵抗として描かれる。スイッチングデバイス184とソース線とがヒートアシスト領域172と隣接して配置される一方で、ビット線はピン止め領域170に隣接して配置される。なお、ヒートアシスト領域172は、ゼロの正味磁気モーメントが生成される第1の温度において示される。
【0036】
ビット線からピン止め領域170に書込電流190が流れるとき、ピン止め領域170とヒートアシスト領域172の両方のバランスのとれた磁気モーメントに起因して、RSE160はゼロの正味磁気モーメントを有する。いくつかの実施例において、磁気トンネル接合162の自由層164の磁気方向を第1の極性にするために書込電流190がRSE160を通過するとき、書込電流190はスピン分極される。セットの大部分は、所定の論理状態に対応する、RSE160についての関連付けられた抵抗を有する。書込電流190がRSE160、スイッチングデバイス184およびソース線を通過した後、磁気モーメントに関してヒートアシスト領域172の磁気モーメントとピン止め領域170の磁気モーメントとはバランスがとれたままであるため、RSE160は自由層164からの一般的な磁気モーメントを被る。
【0037】
第2の論理状態をRSE160に書込むため、
図9は、静磁場192の生成と機能を記載する。RSE160に第2の論理状態を書込むことが望まれる場合、ヒートアシスト領域172が第2の温度まで加熱され、ヒートアシスト層180またはヒートアシスト層182のいずれか一方が修正された磁気モーメントを有する。ヒートアシスト領域172における磁気モーメントのバランスが崩れることにより、非ゼロの正味磁気モーメントと、磁気トンネル接合162の自由層164の極性を第2の論理状態に切換えるのに十分に強い静磁場とを生み出す。
【0038】
なお、静磁場192の生成と利用の間において、ピン止め領域170はゼロの正味磁気モーメントでバランスがとれたままである。ピン止め領域170のゼロの正味磁気モーメントにより、もしピン止め領域170の磁気モーメントが補われる必要があったとしたならば要求されるであろう強度よりも小さい強度で静磁場が自由層164の磁気極性を変えることができる。
【0039】
結果として、RSE160のさまざまな領域の正味ゼロの磁気モーメントにより、信頼性、能力および電力消費を改善することができる。単極性かつ一方向の書込電流を使用することにより、書込電流の非対称性を補うためにしばしば要求される複雑性を大幅に低減できる。一方、静磁場の使用によって、双方向の書込電流では実現し得なかった精度と低い電力消費を提供することができる。
【0040】
さらにまた、ヒートアシスト領域172を第2の温度まで加熱する態様は限定されない。すなわち、ヒートアシスト領域172の温度を上昇させ、静磁場を生成するのにさまざまな構成要素または手法が用いられ得る。さらに、ヒートアシスト領域172の温度を上昇させるのにRSE160全体に電流を通過させることは要求されない。たとえば、ヒートアシスト領域172は、磁気トンネル接合162およびピン止め領域170から独立して加熱され得る。したがって、ヒートアシスト領域172の制御および操作は、非ゼロの正味磁気モーメントを生み出し、静磁場に関連したさまざまな態様において促進され得る。
【0041】
抵抗性検知素子に論理状態を書込むのに双方向の書込電流を使用すると、高い電流消費、損なわれた信頼性、および複雑な書込電流非対称性補償回路などの多くの不利益があることが理解され得る。実際、反対方向に書込電流を抵抗性検知素子に通過させることの不正確さおよび不一致性を考慮すると、双方向の書込電流を使用することには利益よりも多くの不利益がある。
【0042】
したがって、本発明のさまざまな実施例は、一般的に、単極および一方向の書込電流の間は実質的にゼロの正味磁気モーメントを有するが、抵抗性検知素子に論理状態を書込むために静磁場が用いられるときに非ゼロの正味磁気モーメントを有する特定の領域を有する、正確かつ信頼性の高い抵抗性検知素子を提供するように動作する。抵抗性検知素子を反対方向に通過する書込電流の代わりに静磁場を用いることにより、電力消費を下げつつよりよい能力を得ることができる。
【0043】
前述の特徴および利点を説明するために
図10により例示の実施例が説明される。
図10は、半導体アレイに配置された、
図5から9によって説明されたような抵抗性検知素子のアレイ200を示す。より具体的には、
図10は、関連付けられたスイッチングデバイス(トランジスタ)240A−Cを各々が有する、202A−202Cで記された3つのSTRAMセルを記す。スイッチング素子は各々、望まれるとおりに特定の1つあるいはそれ以上の抵抗性検知素子を選択することができるワード線206に接続されかつワード線260によって制御される。
【0044】
そのようなセルの任意の数の列および行を有するようにアレイを拡張することができることが予期され、そのため、
図7における単純な2×2アレイは単なる説明の目的のためだけのものであり限定されない。アレイ上のワード線、ビット線およびソース線のさまざまな方向も例示に過ぎず、任意に配向され得る。抵抗性検知素子202A−Cの各々は、マルチプレクサ210に連結されたヒートアシスト線208にも接続される。ヒートアシスト線208は、電流を抵抗性検知素子の全体に通過させずに、抵抗性検知素子のヒートアシスト領域が第1の温度から第2の温度に加熱されることを許容する。
【0045】
しかしながら、ヒートアシスト線208の構成は限定されず、1つのヒートアシスト線208は、任意の数の抵抗性検知素子に接続されることができる。同様に、マルチプレクサ210の数および位置は
図10に示される構成に限定されない。たとえば、マルチプレクサ210は、抵抗性検知素子の各々の行または列に対して実装され得る。
【0046】
動作中、アレイ200は、抵抗性検知素子202A−Cの各々あるいはすべてに対してドライバ210から電圧を供給できる。いくつかの実施例において、各々の望まれたスイッチングデバイス204A−C上のゲートをワードライン206に動作させることによって選択された所定の数の抵抗性検知素子202A−Cにビット線214を通って供給される電圧をドライバ212は生成する。抵抗性検知素子を通った後、電圧は、グランド218までソース線216を通過し得る。
【0047】
なお、抵抗性検知素子202A−Cの静磁場書込能力により、反対方向(ソース線からビット線)に電流を抵抗性検知素子に通過させることができる第2の電圧ドライバは必要でない。しかしながら、ビット線214上に位置するドライバ212の構成は限定されず、本発明の精神から逸脱しない範囲で、ドライバ212とグランド218の位置を逆にすることができる。
【0048】
図11は、一方向書込動作230のフローチャートを提供し、一般的に、本発明のさまざまな実施例に従って実行されるステップの実例となり得る。ステップ232にて、少なくともヒートアシスト領域、ピン止め領域および磁気トンネル接合を有する抵抗性検知素子(RSE)が提供される。ステップ234にて、スピン分極された電流を用いて第1の論理状態がRSEに書込まれる。いくつかの実施例において、ヒートアシスト領域の温度は、実質的にゼロの正味磁気モーメントが生成される第1の温度である。同様に、ステップ234の間、ピン止め領域はゼロの正味磁気モーメントを有するものとして特徴付けられる。
【0049】
その後、非ゼロの正味磁気モーメントを与え、静磁場を生成するように、ステップ236においてRSEのヒートアシスト領域が活性化される。ステップ238において、静磁場は、RSEに第2の論理状態を書込むようにRSEの磁気トンネル接合をマイグレートする。そしてルーチンはステップ240において終了する。
【0050】
一方向書込動作230のさまざまなステップは限定されるものではなく、ステップは省略されたり、任意の数だけ繰返されたりし得る。すなわち、第2の論理状態を書込むことなく第1の論理状態がRSEに繰返し書込まれたり、その逆もあり得る。
【0051】
上記に説明したさまざまな実施例は、セルの抵抗性検知素子およびスイッチングデバイスの相対的な連続順序に基づいてハード方向およびイージー方向を識別するが、それは必ずしも限定されない。むしろ、さまざまなメモリセル構成は、代替的に、いくつかの別のセルの特徴に基づいて「イージー」および「ハード」方向を有し得ることが予期される。ここで開示されたさまざまな実施例は、セルの信頼性を損なわずに読出電流の対称性を得ることに関して、他の種類のメモリセルと同様に、同等に適していることが理解されるであろう。
【0052】
当業者に理解されるように、ここで説明されたさまざまな実施例は、速くかつ信頼性のある態様でデータを抵抗性検知素子に有利に書込むことをもたらす。単一の一方向書込電流を用いてさまざまな抵抗状態を書込む能力によって、電力消費を上げない一貫したデータ書込が可能となる。静磁場を用いて論理状態を抵抗性検知素子に書込むことにより、任意の電子データ記憶デバイスの効率と複雑性とを大幅に改善することができる。さらに、静磁場書込の動的性質は、書込電流駆動能力に関する増大された能力をもたらす。しかしながら、ここで述べられたさまざまな実施例は無数の潜在的なアプリケーションを有し、特定の電子メディアの分野あるいはデータ記憶デバイスの種類に限定されないことが理解されるであろう。
【0053】
上記の説明において本発明のさまざまな実施例の多数の特徴と利点が説明されたが、発明のさまざまな実施例の構成と機能との詳細と共に説明されたが、この詳細な説明は説明のためだけのものであり、詳細において、特に部品の構成および配置に関して、添付の特許請求の範囲に表わされた用語の広い一般的な意味によって示される最大の範囲で本発明の原則内で変更がなされ得ることが理解される。