(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被取付体へ取付可能で、剛性を有するポリマー材料から長尺状に形成され、長手方向に沿って形成された空洞を内部に有する本体部材と、前記本体部材よりも硬度が低い弾性ポリマー材料から形成され、前記本体部材の縁に接合されると共に、前記縁に沿って長手方向に延びる細長い部分を有するクッション部材とを一体的に備えた車両用複合成形品の製造方法であって、
前記空洞を囲む周壁の一つの表面に、前記周壁から離れる方向に向けて突出して形成された少なくとも一つの突出部を除去することによって前記周壁に前記空洞と外気とを連通する貫通穴が形成された前記本体部材を準備する工程と、
前記クッション部材を成形するための開閉可能な射出成形型を用い、該射出成形型が開いているときに前記本体部材を前記射出成形型にセットする工程と、
前記射出成形型を閉じて、前記本体部材を前記射出成形型内に固定すると共に前記本体部材と前記射出成形型の内部に形成された成形型面とで前記クッション部材を成形する成形キャビティを前記本体部材の長手方向の少なくとも一部に形成し、前記貫通穴を前記成形キャビティと連通させる工程と、
前記射出成形型を閉じた後に、射出ゲートから加熱溶融した前記弾性ポリマー材料を射出して、前記弾性ポリマー材料の一部を前記成形キャビティに流入させて充填することにより前記クッション部材を成形すると共に、前記弾性ポリマー材料の一部を前記貫通穴から前記空洞に流入させて充填し前記空洞を塞ぐ充填部を形成する工程と、
を含むことを特徴とする車両用複合成形品の製造方法。
被取付体へ取付可能で、剛性を有するポリマー材料から長尺状に形成され、長手方向に沿って形成された空洞を内部に有する本体部材と、前記本体部材よりも硬度が低い弾性ポリマー材料から形成され、前記本体部材の縁に接合されると共に、前記縁に沿って長手方向に延びる細長い部分を有するクッション部材とを一体的に備えた車両用複合成形品の製造方法であって、
前記空洞を囲む周壁の一つの表面に、前記周壁から離れる方向に向けて突出し、前記周壁と接合している根元部を有し、該根元部で破断可能な少なくとも一つの突出部を有する本体部材を準備する工程と、
前記本体部材の成形後に前記突出部を前記根元部で破断することによって前記周壁に前記空洞と外気とを連通する貫通穴を形成する工程と、
前記クッション部材を成形するための開閉可能な射出成形型を用い、該射出成形型が開いているときに前記本体部材を前記射出成形型にセットする工程と、
前記射出成形型を閉じて、前記本体部材を前記射出成形型内に固定すると共に前記本体部材と前記射出成形型の内部に形成された成形型面とで前記クッション部材を成形する成形キャビティを前記本体部材の長手方向の少なくとも一部に形成し、前記貫通穴を前記成形キャビティと連通させる工程と、
前記射出成形型を閉じた後に、射出ゲートから加熱溶融した前記弾性ポリマー材料を射出して、前記弾性ポリマー材料の一部を前記成形キャビティに流入させて充填し前記クッション部材を成形すると共に、前記弾性ポリマー材料の一部を前記貫通穴から前記空洞に流入させて充填し前記空洞を塞ぐ充填部を形成する工程と、
を含むことを特徴とする車両用複合成形品の製造方法。
被取付体へ取付可能で、剛性を有するポリマー材料から長尺状に形成され、長手方向に沿って形成された空洞を内部に有する本体部材と、前記本体部材よりも硬度が低い弾性ポリマー材料から形成され、前記本体部材の縁に接合されると共に、前記縁に沿って長手方向に延びる細長い部分を有するクッション部材とを一体的に備えた車両用複合成形品の製造方法であって、
本体部材を成形するための開閉可能な第1の射出成形型を用い、該第1の射出成形型を閉じて、前記第1の射出成形型の内部に形成された成形型面で第1の成形キャビティを形成する工程と、
前記射出成形型を閉じた後に、射出ゲートから加熱溶融した前記ポリマー材料を前記第1の成形キャビティに充填し、さらに前記ポリマー材料の内部に流体を注入して前記空洞を形成することによって本体部材を成形すると共に、前記空洞を囲む前記本体部材の周壁の一つの表面に、前記周壁から離れる方向に向けて突出し、前記周壁と接合している根元部を有し、該根元部で破断可能な少なくとも一つの突出部を成形する工程と、
前記本体部材の成形後に前記突出部を前記根元部で破断することによって前記周壁に前記空洞と外気とを連通する貫通穴を形成する工程と、
前記クッション部材を成形するための開閉可能な第2の射出成形型を用い、該第2の射出成形型が開いているときに前記本体部材を前記第2の射出成形型にセットする工程と、
前記第2の射出成形型を閉じて、前記本体部材を前記第2の射出成形型内に固定すると共に前記本体部材と前記第2の射出成形型の内部に形成された成形型面とで前記クッション部材を成形する第2の成形キャビティを前記本体部材の長手方向の少なくとも一部に形成し、前記貫通穴を前記第2の成形キャビティと連通させる工程と、
前記第2の射出成形型を閉じた後に、射出ゲートから加熱溶融した前記弾性ポリマー材料を射出して、前記弾性ポリマー材料の一部を前記第2の成形キャビティに流入させて充填し前記クッション部材を成形すると共に、前記弾性ポリマー材料の一部を前記貫通穴から前記空洞に流入させて充填し前記空洞を塞ぐ充填部を形成する工程と、
を含むことを特徴とする車両用複合成形品の製造方法。
前記突出部を成形する工程において、前記周壁の裏面よりも空洞側に向けてへこんだ凹部を形成し、前記突出部を前記凹部の底面から突出する形状に成形することを特徴とする、請求項3に記載の車両用複合成形品の製造方法。
前記本体部材の前記貫通穴とは異なる位置に、前記空洞と外気とを連通させる連通穴が形成されており、前記クッション部材を成形する工程において、前記貫通穴からは前記弾性ポリマー材料が空洞内に流入し、前記連通穴からは空洞内の気体が外部に排出されることを特徴とする請求項3乃至8のいずれか一項に記載の車両用複合成形品の製造方法。
前記連通穴が、前記本体部材を成形する工程において前記空洞を形成する前記流体の注入穴及び排出穴の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項9又は10に記載の車両用複合成形品の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1の技術によって得られる複合成形品は第1成形体の内部に空洞部を有するため周壁が薄く、第1成形体が硬質合成樹脂で形成されている場合には特に低温下における耐衝撃性が低くなり割れ易い。このため、破損時に破片が飛び散り、例えば、この複合成形品を使用した車両の乗員や歩行者が怪我をする虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題を解決することを目的として、内部に空洞を有する本体部材にクッション部材を射出成形して一体化した
車両用複合成形品であって、耐衝撃性の良好な
車両用複合成形品及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の(1)〜(13)の各特徴を有する
車両用複合成形品の製造方法および当該製造方法により製造される
車両用複合成形品を提供する。
(1)
被取付体へ取付可能で、剛性を有するポリマー材料から長尺状に形成され、長手方向に沿って形成された空洞を内部に有する本体部材と、前記本体部材よりも硬度が低い弾性ポリマー材料から形成され、前記本体部材の縁に接合されると共に、前記縁に沿って長手方向に延びる細長い部分を有するクッション部材とを一体的に備えた
車両用複合成形品の製造方法であって、前記空洞を囲む周壁の一つの表面に、前記周壁から離れる方向に向けて突出して形成された少なくとも一つの突出部を除去することによって前記周壁に前記空洞と外気とを連通する貫通穴が形成された前記本体部材を準備する工程と、前記クッション部材を成形するための開閉可能な射出成形型を用い、該射出成形型が開いているときに前記本体部材を前記射出成形型にセットする工程と、前記射出成形型を閉じて、前記本体部材を前記射出成形型内に固定すると共に前記本体部材と前記射出成形型の内部に形成された成形型面とで前記クッション部材を成形する成形キャビティを前記本体部材の長手方向の少なくとも一部に形成し、前記貫通穴を前記成形キャビティと連通させる工程と、前記射出成形型を閉じた後に、射出ゲートから加熱溶融した前記弾性ポリマー材料を射出して、前記弾性ポリマー材料の一部を前記成形キャビティに流入させて充填し前記クッション部材を成形すると共に、前記弾性ポリマー材料の一部を前記貫通穴から前記空洞に流入させて充填し前記空洞を塞ぐ充填部を形成する工程と、を含む
車両用複合成形品の製造方法。
(2)
被取付体へ取付可能で、剛性を有するポリマー材料から長尺状に形成され、長手方向に沿って形成された空洞を内部に有する本体部材と、前記本体部材よりも硬度が低い弾性ポリマー材料から形成され、前記本体部材の縁に接合されると共に、前記縁に沿って長手方向に延びる細長い部分を有するクッション部材とを一体的に備えた
車両用複合成形品の製造方法であって、前記空洞を囲む周壁の一つの表面に、前記周壁から離れる方向に向けて突出し、前記周壁と接合している根元部を有し、該根元部で破断可能な少なくとも一つの突出部を有する本体部材を準備する工程と、前記本体部材の成形後に前記突出部を前記根元部で破断することによって前記周壁に前記空洞と外気とを連通する貫通穴を形成する工程と、前記クッション部材を成形するための開閉可能な射出成形型を用い、該射出成形型が開いているときに前記本体部材を前記射出成形型にセットする工程と、前記射出成形型を閉じて、前記本体部材を前記射出成形型内に固定すると共に前記本体部材と前記射出成形型の内部に形成された成形型面とで前記クッション部材を形成する成形キャビティを前記本体部材の長手方向の少なくとも一部に形成し、前記貫通穴を前記成形キャビティと連通させる工程と、前記射出成形型を閉じた後に、射出ゲートから加熱溶融した前記弾性ポリマー材料を射出して、前記弾性ポリマー材料の一部を前記成形キャビティに流入させて充填し前記クッション部材を成形すると共に、前記弾性ポリマー材料の一部を前記貫通穴から前記空洞に流入させて充填し前記空洞を塞ぐ充填部を形成する工程と、を含む
車両用複合成形品の製造方法。
(3)
被取付体へ取付可能で、剛性を有するポリマー材料から長尺状に形成され、長手方向に沿って形成された空洞を内部に有する本体部材と、本体部材よりも硬度が低い弾性ポリマー材料から本体部材の縁に接合されるとともに、縁に沿って長手方向に延びる細長い部分を有するクッション部材とを一体的に備えた
車両用複合成形品の製造方法であって、本体部材を成形するための開閉可能な第1の射出成形型を用い、該第1の射出成形型を閉じて、第1の射出成形型の内部に形成された成形型面で第1の成形キャビティを形成する工程と、射出成形型を閉じた後に、射出ゲートから加熱溶融したポリマー材料を第1の成形キャビティに充填し、さらにポリマー材料の内部に流体を注入して空洞を形成することによって本体部材を成形すると共に、空洞を囲む本体部材の周壁の一つの表面に、周壁から離れる方向に向けて突出し、周壁と接合している根元部を有し、該根元部で破断可能な少なくとも一つの突出部を成形する工程と、本体部材の成形後に突出部を根元部で破断することによって周壁に空洞と外気とを連通する貫通穴を形成する工程と、クッション部材を成形するための開閉可能な第2の射出成形型を用い、該第2の射出成形型が開いているときに本体部材を第2の射出成形型にセットする工程と、第2の射出成形型を閉じて、本体部材を第2の射出成形型内に固定すると共に本体部材と第2の射出成形型の内部に形成された成形型面とでクッション部材を形成する第2の成形キャビティを本体部材の長手方向の少なくとも一部に形成し、貫通穴を第2の成形キャビティと連通させる工程と、第2の射出成形型を閉じた後に、射出ゲートから加熱溶融した弾性ポリマー材料を射出して、弾性ポリマー材料の一部を第2の成形キャビティに流入させて充填しクッション部材を成形すると共に、弾性ポリマー材料の一部を貫通穴から空洞に流入させて充填し空洞を塞ぐ充填部を形成する工程と、を含む
車両用複合成形品の製造方法。
【0008】
上記(1)〜(3)のいずれかの製造方法によれば、製造された
車両用複合成形品は、クッション部材を形成する弾性ポリマー材料が本体部材に形成された貫通穴から本体部材の内部に形成された空洞に流動して空洞を塞ぐように充填されているため、耐衝撃性に優れる。また、上記製造方法によれば、成形品が破損した際にも本体部材が破損して飛び散ることを抑制することができる。
さらに、上記(1)〜(3)のいずれかの製造方法によれば、弾性ポリマー材料が本体部材の貫通穴から空洞内に流動するため、他の部分に過大な圧力が加わることを抑制でき、弾性ポリマーを射出成形する際に本体部材が破損することを防止することができる。
【0009】
(4)
上記(3)の製造方法における突出部を成形する工程において、周壁の裏面よりも空洞側に向けてへこんだ凹部を形成し、突出部を凹部の底面から突出する形状に成形する
車両用複合成形品の製造方法。
このような製造方法によれば、突出部の除去がし易く貫通穴を安定して形成することができる。
【0010】
(5)
上記(3)または(4)の製造方法における突出部を成形する工程において、突出部を円柱形状に成形し、凹部を円形に成形する
車両用複合成形品の製造方法。
このような製造方法によれば、どの方向からも突出部を除去することができ除去作業が容易になる。
【0011】
(6)
上記(5)の製造方法における突出部を成形する工程において、凹部の直径よりも、突出部の直径が小さくなるように成形する
車両用複合成形品の製造方法。
このような製造方法によれば、突出部を変位させ易いので、突出部の除去が容易になる。
【0012】
(7)
上記(6)の製造方法における突出部を成形する工程において、凹部と突出部とを同心になるように成形する
車両用複合成形品の製造方法。
このような製造方法によれば、凹部の中心に貫通穴を形成することができるので、貫通穴の形成が安定する。
【0013】
(8)
上記(3)から(7)のいずれかの製造方法により製造される
車両用複合成形品は、被取付体に取り付けられたとき被取付体の第1の部分に対向する第1の縁と、第1の部分と異なる位置にある第2の部分に対向する第2の縁とを有し、第2の成形キャビティは第1の縁を成形するキャビティと第2の縁を形成するキャビティ、及び第1縁成形キャビティと第2縁成形キャビティとを連結する連結流路を備え、貫通穴が連結流路と連通するように形成されており、クッション部材を成形する工程において、連結流路から貫通穴を介して空洞に弾性ポリマー材料が流入するようにした
車両用複合成形品の製造方法。
このような製造方法によれば、一工程の射出成形で第1の縁及び第2の縁の両方にクッション部材を成形することができ、さらに同じ工程で本体部材内の空洞に弾性ポリマー材料を流入させることができる。このため、第1の縁及び第2の縁の両方にクッション部材が形成され、かつ空洞が弾性ポリマー材料によって充填され塞がれている
車両用複合成形品を効率よく製造することができる。
【0014】
(9)
上記(3)から(7)のいずれかの製造方法により製造される
車両用複合成形品は、本体部材の貫通穴とは異なる位置に、空洞と外気とを連通させる連通穴が形成されており、クッション部材を成形する工程において、貫通穴からは弾性ポリマー材料が空洞内に流入し、連通穴からは空洞内の気体が外部に排出されるようにした
車両用複合成形品の製造方法。
このような製造方法によれば、弾性ポリマー材料が空洞内に流入する際に空洞内に存在する気体を外部に排出することができるため、空洞内に弾性ポリマー材料をスムーズに流入させることができる。また、空洞内に気体が残存することを防止することができる。
【0015】
(10)
上記(9)の製造方法において、連通穴は少なくとも2箇所に形成されており、貫通穴は連通穴の間に形成されるようにした
車両用複合成形品の製造方法。
このような製造方法によれば、弾性ポリマー材料の流入時に効率よく空洞内の気体を外部に排出することができる。
【0016】
(11)
上記(9)または(10)の製造方法において、連通穴が、本体部材を成形する工程において空洞を形成する流体の注入穴及び排出穴の少なくともいずれかとなるようにした
車両用複合成形品の製造方法。
このような製造方法によれば、本体部材を成形する際に形成される注入穴及び排出穴を連通穴として利用できるため、連通穴を別途設ける必要がない。
【0017】
(12)
上記(3)から(11)のいずれかの製造方法において、貫通穴を形成する工程に治具を用いる
車両用複合成形品の製造方法。
このような製造方法によれば、効率的に
車両用複合成形品を成形することができ、また、本体部材の成形からクッション部材の成形を自動化することもできる。
【0018】
(13)
上記(3)から(12)のいずれかの製造方法によって製造される
車両用複合成形品。
このような
車両用複合成形品は、良好な耐衝撃性を有し、効率よく製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を、車両のフロントピラーに沿って装着されるピラーモールディング(以下、「ピラーモール」という)に適用して具体化した一実施例を説明する。
【0021】
まず、
図1乃至
図4に基づいてピラーモール8の概略構成を説明する。
【0022】
図1及び
図2に示すように、ピラーモール8(
車両用複合成形品)は、モール本体10(本体部材)、第1のクッション部材50、および第2のクッション部材60を有し、フロントピラー2と窓板6との間に装着されている。このピラーモール8は、フロントピラー2および窓板6の各被取付体にクッション性を有する第1のクッション部材50および第2のクッション部材60が弾接することによって、各被取付体が傷つくのを防ぐとともに、車両の走行中に振動に起因する異音の発生を防止している。また、車両走行時には、ピラーモール8のモール本体10の裏面と第1のクッション部材50との間に構成された凹部で雨水を堰き止めて下方に流下させるか上方に向けて流す。これにより、雨水がピラーモール8を乗り越えて(横切って)車両の側方の窓板(サイドガラス)に向けて流れるのが防止されるので、乗員の側方の視界を確保することができる。
【0023】
図1及び
図2に示すように、長尺なピラーモール8は車体パネルの一部であるルーフパネル1とフロントピラー2にわたって形成される窓開口縁3(被取付体の第1の部分)に沿って装着される。この窓開口縁3は、アウターパネル2aと、この窓開口縁3の周縁部に沿って形成される側部フランジ4と、この側部フランジ4から内向きに略直角状に折り曲げられて張り出された底フランジ5とを備えている。窓開口縁3の窓開口部3aを塞ぐ透明なガラス板や樹脂板等からなる窓板6(被取付体の第2の部分)には、この窓板6の裏面6bの周縁部に沿って弾性体からなるダムラバー7が接着されている。そして窓板6は、窓開口縁3に嵌め込まれると共に、ダムラバー7を底フランジ5に押し当てて弾性的に変形させた状態で接着剤兼シーラント(図示しない)によって窓開口縁3に固着されている。
【0024】
図2に示すように、モール本体10は、窓開口縁3や窓板6へ取り付け可能である。また、モール本体10は、ピラーモール8が車体に取り付けられたとき車外側を向いて配置される表面33および車内側を向いて配置される裏面34、35を有する。さらに、モール本体10は、ピラーモール8が車体に取り付けられたとき窓板6の車外側面6aに対向する第1の縁30と、窓開口縁3の側部フランジ4又はフロントピラー2の車外側面に対向する第2の縁40とを有する。そして、第1の縁30と第2の縁40との間の内部には、これら両縁30、40間の距離よりも小さい内形(幅)を有する空洞16がモール本体10の内部に長手方向に沿って形成されている。
【0025】
このモール本体10の空洞16は、空洞16を囲む周壁17で形成され、周壁17は裏面側をなす裏壁17a、裏壁17aと対向する表壁17b、および裏壁17aと表壁17bとを接続する一対の側壁17c、側壁17cとからなる。
【0026】
また、空洞16はクッション部材9を形成する材料と同じ材料によって全長に亘って満たされており、空洞16の内部に充填部80を形成している。
【0027】
ピラーモール8が車体に取り付けられた状態において、第1のクッション部材50は、窓板6の車外側面6aに弾接する。また、第2のクッション部材60は、被取付体としての車体パネル、すなわち、窓開口縁3の側部フランジ4の頂部あるいはこの頂部に連続するフロントピラー2の車外側面に弾接する。
【0028】
また、モール本体10の裏面34側からは、長手方向に沿って連続的に突出するリブ部20が形成されている。なお、リブ部20は、本例に替えて、モール本体10の裏面34側から断続的に突出するように形成されてもよい。
【0029】
図5に示すように、モール本体10のリブ部20は長手方向の上下及び中間の複数箇所において、夫々板状の取付リブ部21及び第1乃至第3の補強リブ22、23、24を形成している。取付リブ部21はモール本体10を車体パネルに取り付けるために形成され、第1補強リブ22はピラーモール8全体の長手方向における剛性(曲がりにくさ)を向上させるために形成される。
【0030】
図5に示すように、第2補強リブ23の長手方向における中央部分には、この第2補強リブ23が延びる長手方向から内方(
図5に示す内向き方向)にオフセットして回避リブ25が形成されている。また、この回避リブ25の側面を後述する第2の射出成形型200の射出通路280の一側壁として使用するようになっている。また、回避リブ25の根元部分には、第1のクッション部材50と第2のクッション部材60とを横断面方向(ピラーモール8の長手方向と直交する方向)に連結する連結部70を成形するための連結穴26が形成されている(
図3および
図8参照)。
【0031】
また、第3補強リブ24は、後述するクッション部材の射出成形の際にモール本体10を第2の射出成形型200に固定するために形成されている。第3補強リブ24の先端は他の補強リブより長く延出して形成されていても良い。なお、この延長部分は、第1のクッション部材50、第2のクッション部材60等のクッション部材を成形した後、切断等で除去しても良い。
【0032】
また、
図3に示すように、周壁17の裏壁17aには、空洞16に向けて円形にへこんだ凹部13が形成されている。そして、この凹部13の底面14には、貫通穴15が形成されている。この貫通穴15は、後述の突出部11を除去することによって形成される。
【0033】
また、
図5に示すように、モール本体10の裏面には、後述するガスアシスト射出成形によりモール本体10を成形する際にガス(流体)を注入するガス注入穴18とガスを排出するガス排出穴19とが形成されている。ガス注入穴18は、モール本体10の長手方向の一方の端部に形成されている。また、ガス排出穴19は、モール本体10の長手方向の他方の端部(ガス注入穴18がある端部とは反対側の端部)に形成されている。
【0034】
図4及び
図5に示すように、ピラーモール8は、モール本体10の少なくとも外面にクッション部材9を射出成形してモール本体10とクッション部材9とを一体化したものであり、クッション部材9がモール本体10の長手方向の外周を取り囲むようにモール本体10の外周縁に沿って一体的に設けられている。
【0035】
また、
図4及び
図5に示すように、モール本体10の長手方向における下側の端部には、端末覆い部67が形成されている。この端末覆い部67は、モール本体10の長手方向における下側の端部を覆うと共に第1のクッション部材50の下端部及び第2のクッション部材60の下端部を連結している。
また、モール本体10の長手方向における上側の端部には、端末クッション部68が形成されている。この端末クッション部68は、モール本体10の長手方向における上側の端部を覆うとともに、第1のクッション部材50の上端部及び第2のクッション部材60の上端部を連結している。
端末覆い部67、端末クッション部68は、第1のクッション部材50及び第2のクッション部材60と同一の熱可塑性ポリマー材料によって形成されており、これら両クッション部材50、60と同時に射出成形によって成形されている。
【0036】
モール本体10は、クッション部材9よりも硬質で剛性を有するモール本体成形用の熱可塑性ポリマー材料(ポリマー材料)で成形されている。モール本体10を成形する熱可塑性ポリマー材料としては、例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリルエチレンプロピレンスチレン樹脂(AES樹脂)、硬質又は半硬質のポリ塩化ビニル樹脂(rigid PVC樹脂)、ポリカーボネート樹脂(PC樹脂)、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)、ポリエチレン樹脂(PE樹脂)、ポリスチレン樹脂(PS樹脂)、ポリアミド樹脂(PA樹脂)等の熱可塑性合成樹脂が用いられる。
【0037】
一方、クッション部材9は、モール本体10よりも軟質のクッション部材成形用の熱可塑性ポリマー材料(弾性ポリマー材料)で成形されている。クッション部材9を成形する熱可塑性ポリマー材料としては、例えば、軟質のポリ塩化ビニル樹脂(plasticized PVC樹脂)、塩素化エチレンコポリマー、エチレンビニルアセテート(EVA)、オレフィン系又はスチレン系の熱可塑性エラストマー等の熱可塑性合成樹脂が用いられる。また、これらのクッション部材成形用の熱可塑性ポリマー材料の硬度は、好ましくはJISA60〜80である。
なお、この硬度は、JISK6273に基づきタイプAデュロメータを用いて測定される。
【0038】
さらに、モール本体10とクッション部材9の成形材料は、SP(溶解度パラメータ)値が互いに同一か近似のものを選択して用いると、クッション部材9の射出成形の際に両方の成形材料が溶け合って熱溶着する。但し、モール本体10の表面にモール本体10とクッション部材9の成形材料を接着する接着剤層を予め形成して、両方の成形材料が接着剤層を介して接着されるようにしておけば、どのような成形材料の組み合わせを選択しても良い。
【0039】
この実施例1において、モール本体10は、AES樹脂からガスアシスト射出成形されている。また、クッション部材9はスチレン系の熱可塑性エラストマーからモール本体10の長手方向に沿って射出成形されている。
【0040】
なお、本実施例において、ピラーモール8を車両に取り付けたときに重力方向で上方になる側及び下方になる側をそれぞれ上方及び下方という。また、長手方向とはピラーモール8の長手方向を指し、長手方向に直交する方向を幅方向という。
【0041】
次に、
図6乃至
図12に基づいてピラーモール8の製造方法について説明する。
【0042】
まず、モール本体10を成形するためのモール本体成形工程を
図6及び
図7に基づいて説明する。
図6及び
図7に示すように、モール本体10を射出成形するための開閉可能な第1の射出成形型100には、モール本体成形用キャビティ110(第1の成形キャビティ)が設けられている。また
図7に示すように、第1の射出成形型100には、モール本体成形用キャビティ110内にモール本体成形用の熱可塑性ポリマー材料を射出する射出ゲート120が設けられている。さらに、この射出ゲート120近傍に、モール本体成形用キャビティ110内に空洞形成用の高圧ガスを注入するガス注入部130が設けられている。
また、モール本体成形用キャビティ110は、突出部11を成形する突出部成形用キャビティ111を備えている。
更に、モール本体成形用キャビティ110内に射出されたモール本体成形用の熱可塑性ポリマー材料がもっとも遅く到達する部分(モール本体成形用キャビティ110の長手方向で射出ゲート120と反対側の端部)に排出流路141を介して連通する排出用キャビティ142が設けられている。この排出用キャビティ142を形成する内壁面の一部は、移動可能なスライドコア150で形成されている。
上述のような第1の射出成形型を閉じることによって、モール本体成形用キャビティ110を形成する。
【0043】
モール本体成形用キャビティ110を形成した後、モール本体10の成形を行う。
射出成形機(図示せず)から射出されて加熱溶融したモール本体成形用の熱可塑性ポリマー材料は、ランナー160→
ランナー170→射出ゲート120→モール本体成形用キャビティ110及び突出部成形用キャビティ111→排出用キャビティ142の経路で流動し、高圧ガス供給源180(例えば高圧ガスポンプ)から圧送された高圧ガスは、ガス注入部130→モール本体成形用キャビティ110及び除去予定部成形用キャビティ111→排出用キャビティ142の経路で流動するようになっている。尚、高圧ガスを注入する位置は、適宜変更しても良く、例えば、ランナー160や射出ノズル(図示せず)等から高圧ガスを注入するようにしても良い。
【0044】
このモール本体成形工程では、第1の射出成形型100のモール本体成形用キャビティ110内にモール本体成形用の熱可塑性ポリマー材料(例えば熱可塑性合成樹脂)を射出して充填すると共に空洞形成用の流体(例えば窒素ガス)を注入するガスアシスト射出成形(後述)を行うことで空洞16を有するモール本体10を成形する。これにより、ヒケの発生を防止したモール本体10を容易に成形することができる。
【0045】
図8及び
図9に示すように、モール本体10の空洞16を囲む周壁17の裏壁17aには、空洞16側に向けて円形にへこんだ凹部13が形成されている。また、凹部13の底面14からは、円柱状の突出部11が、モール本体10の裏面34に対して垂直に突出している。
この突出部11は、空洞16から離れる方向に突出して形成されており、その根元部の断面形状は、凹部13の形状と同心の円形である。また、突出部11の断面の直径は、凹部13の直径よりも小さい。このように、突出部11が円柱状であり、円形の凹部13と突出部11の断面とが同心に形成されていることによって、成形時や破断時に方向の制約がなく、製品や治具の設計、後述する突出部11の除去(破断)作業の自由度が高くなる。
【0046】
また、突出部11の内部には、空洞16が入り込んで突出部11内の空洞16aを形成している。これは、裏壁17aに突出部11が形成されている接合部分では他の部分よりもポリマー材料が冷えにくく、高圧ガスが注入されたときにガスが突出部11側に入り込むことによって形成される形状である。この突出部11内の空洞16aが形成されていることによって、突出部11の接合部分において裏壁17aが薄くなるため突出部11を接合部分で容易に破断させ除去することができる。さらに、突出部11内の空洞16aは、突出部11の突出方向において、凹部13の底面14を超えて形成されていると、より容易に突出部11を破断させて除去し、より確実に貫通穴15を形成することができ好ましい。
【0047】
なお、円柱状とは部分的な円錐形状(
図8参照)も含むものとするが、突出部11の形状は円柱状に限らず、半円柱状、四角柱、四角錐、三角柱、三角錐などでも良く、破断に必要で成形可能な任意の形状及び長さに設定することができる。また、凹部13の形状も円形に限られず、突出部11の破断のし易さや成形のし易さ等を考慮して任意の形状に形成することができる。さらに凹部13の深さは、裏壁17aを貫通せず、且つ突出部11を折る際に邪魔にならない程度の深さに設定することができる。
【0048】
また、モール本体10に形成される突出部11は、突出部11の破断によって形成される貫通穴15が、モール本体10が後述する第2の射出成形型200内の所定位置に載置固定されたときにクッション部材成形用キャビティ210(第2の成形キャビティ)と連通する位置(第2の射出成形型200の型面で塞がれない位置)に形成されることが好ましい。また、突出部11は、長手方向において少なくとも1箇所形成される。突出部11の形成位置や個数は、製品の形状、熱可塑性ポリマー材料の流動性、射出ゲートの位置等によって適宜設定することができる。なお、貫通穴15は、後述するようにクッション部材成形用熱可塑性ポリマー材料を空洞16に流入させる穴として使用しても良いが、空洞16に熱可塑性ポリマー材料を流入させるときに空洞16内の気体を外に排出する穴として使用しても良い。
【0049】
なお、ガスアシスト射出成形は以下のようにして行うことができる。
第1の射出成形型100を閉じた後、射出ゲート120からモール本体成形用キャビティ110内に加熱溶融したモール本体成形用の熱可塑性ポリマー材料を射出して、モール本体成形用キャビティ110内に加熱溶融したモール本体成形用の熱可塑性ポリマー材料を充填し、モール本体成形用キャビティ110内全体にモール本体成形用の熱可塑性ポリマー材料が満たされた後、モール本体成形用の熱可塑性ポリマー材料の射出を停止する。
【0050】
更に、モール本体成形用キャビティ110内に充填されたモール本体成形用の熱可塑性ポリマー材料が固化する前(少なくとも横断面における厚肉の中心部が軟化している状態のとき)に、モール本体成形用キャビティ110内に充填されたモール本体成形用の熱可塑性ポリマー材料内にガス注入部130から高圧ガスを注入する。これにより、モール本体10を成形する熱可塑性ポリマー材料のうちのガス注入部130に対応する位置に、ガスを注入するガス注入穴18が形成される。
【0051】
モール本体成形用の熱可塑性ポリマー材料内に注入された高圧ガスが膨張してモール本体成形用の熱可塑性ポリマー材料の内部に空洞16を形成しながら進行するため、モール本体成形用キャビティ110内のモール本体成形用の熱可塑性ポリマー材料の一部が排出用キャビティ142へ排出される。尚、排出用キャビティ142の容積をモール本体10の空洞16の容積よりも大きく設定しておくことで、高圧ガスが少なくとも排出流路141まで進行して少なくとも排出流路141まで空洞16が連続して形成される。これにより、モール本体10を成形する熱可塑性ポリマー材料のうちの排出流路141に対応する位置に、ガスを排出する排出穴19が形成される(いわゆるフルショット法)。
【0052】
なお、本発明のモール本体10は、上述したフルショット法によっても成形可能だが、他の方法によって成形することもできる。例えば、いわゆるショートショット法によってモール本体10を成形することもできる。この場合には、成形用キャビティ内に加熱溶融した熱可塑性ポリマー材料を射出して、熱可塑性ポリマー材料の射出量(充填量)が成形用キャビティの容積よりも少ない所定量(成形用キャビティの容積の概ね75〜90%の量)に達した時点で、モール本体成形用の熱可塑性ポリマー材料の射出を停止する。そして、成形用キャビティ内に充填された熱可塑性ポリマー材料が固化する前に、成形用キャビティ内に充填された熱可塑性ポリマー材料内に高圧ガスを注入する。
【0053】
以上のようにして、ガスアシスト射出成形を行った後、高圧ガスの圧力を保ったままモール本体成形用キャビティ110内のモール本体成形用の熱可塑性ポリマー材料を冷却固化させることで、内部に空洞16を有するモール本体10を成形する。そして、モール本体成形用キャビティ110内のモール本体成形用の熱可塑性ポリマー材料が固化した後、第1の射出成形型100を開いて、モール本体10を取り出す。
【0054】
また、取り出したモール本体10には、ガス注入部130に対応する位置に形成されたガス注入穴18が空洞16と外部とを連通する連通穴として残される。必要に応じてガス注入穴18の部分を所定形状に切断する。更に、モール本体10に連結した排出材料部分(排出用キャビティ142に排出されたポリマー材料で成形された部分)を切断することで、排出流路141に対応する位置に形成されたガス排出穴19が空洞16と外部とを連通する連通穴として残される。尚、排出用キャビティ142を設けない射出成形型を用いてショートショット法でモール本体10を成形した場合には、モール本体10にガス排出穴19が形成されないため、所定位置に工具で穴を開けて連通穴を形成してもよい。
【0055】
次に、貫通穴15を形成する工程を
図10に基づいて説明する。
上述のような突出部11が形成されたモール本体10を第1の射出成形型100から取り出した後、突出部11を除去することによって周壁17の裏壁17aに空洞16と外気とを連通させる貫通穴15が形成される。
突出部11は、治具を用いて突出部11全体を変位させて根元から破断させる(折り取る)ようにして除去することが好ましいが、手作業で折り取っても良く、ニッパーなどで根元から切り取っても良い。
また、第1の射出成形型100に突出部11を破断させる機構を設けて、モール本体部12を第1の射出成形型100から取り出すのと同時に突出部11を破断させても良い。
【0056】
次に、
図11及び
図12に基づいてクッション部材を成形する工程を説明する。
開閉可能な第2の射出成形型200は、射出成形型200内にモール本体10を載置した状態で該射出成形型200を閉じたときに、モール本体10の表裏両面(クッション部材9が成形される部分以外の部分)を挟持してモール本体10を固定すると共に、射出成形型200の成形面とモール本体10の外面の一部とによってクッション部材成形用キャビティ210、210(第2部材成形用キャビティ)がモール本体10の横断面の外周部にそれぞれ形成されるようになっている。
【0057】
図12に示すように、第2の射出成形型200には、モール本体10の回避リブ25に対応する位置でクッション部材9の連結部70と成る部分を成形するキャビティである連結流路290が形成されている。この連結流路290の近傍には、クッション部材成形用キャビティ210内にクッション部材成形用の熱可塑性ポリマー材料を射出する射出ゲート220が設けられている。射出成形機のノズル(図示せず)から射出されて加熱溶融したクッション部材成形用の熱可塑性ポリマー材料は、ランナー260→
ランナー270→射出ゲート220→射出通路280→クッション部材成形用キャビティ210の経路で流動するようになっている。また、射出ゲート220から射出された溶融材料は、一方のクッション部材成形用キャビティ210に充填され、連結流路290を通って他方のクッション部材成形用キャビティ210に流れる。これによって溶融材料が各成形用キャビティ210、210に夫々不足なく充填される。
【0058】
尚、射出ゲート220を設ける位置は適宜変更しても良く、例えば連結流路290の中央付近、すなわち、クッション部材9の連結部70の中央部付近に対応する位置に射出ゲート220を設けたり、モール本体10に形成された貫通穴15の直上になる位置に射出ゲート220を設けたりしてもよい。或は、モール本体10のパネル装着用のリブ部20の側方に射出ゲート220を設けるようにしても良い。更に、射出ゲート220は、1箇所に限定されず、クッション部材成形用キャビティ210の長手方向に沿って所定間隔で複数箇所に設けるようにしても良い。また、連結流路290(連結部70)も長手方向に沿って複数個所に設けるようにしても良い。
【0059】
そして、ピラーモール8を製造する場合には、前述したモール本体成形工程(第1部材準備工程)を実行してモール本体10を射出成形した後、クッション部材9を射出成形するための第2の射出成形型200が開いているときに該射出成形型32内の所定位置にモール本体10を載置(セット)する載置工程を実行する。
【0060】
この後、第2の射出成形型200を閉じて、該射出成形型200でモール本体10の表裏両面(クッション部材9が成形される部分以外の部分)を挟持してモール本体10を固定すると共に、射出成形型32の内面の一部の成形面とモール本体10の外面の一部とによってクッション部材成形用キャビティ210を形成するキャビティ形成工程を実行する。
【0061】
この後、第2の射出成形型200のクッション部材成形用キャビティ210内に加熱溶融したクッション部材成形用の熱可塑性ポリマー材料(例えば熱可塑性合成樹脂)を射出して充填することでクッション部材9を固着させてモール本体10とクッション部材9とを一体化したピラーモール8を形成するクッション部材成形工程(第2部材成形工程)を実行する。
【0062】
このクッション部材成形工程では、射出ゲート220からクッション部材成形用キャビティ210内に加熱溶融したクッション部材成形用の熱可塑性ポリマー材料(弾性ポリマー材料)を射出して、クッション部材成形用キャビティ210内に加熱溶融したクッション部材成形用の熱可塑性ポリマー材料を充填する。そして、射出成形された熱可塑性ポリマー材料の熱及び圧力の少なくともいずれかによってクッション部材9をモール本体10と一体的に接合する。そして、モール本体10の所定位置にクッション部材9を成形する。
【0063】
このクッション部成形工程において、射出ゲート220から射出されたクッション部材成形用の熱可塑性ポリマー材料は、クッション部材成形用キャビティに充填されると共に、周壁17に形成されてクッション部材成形用キャビティと連通している貫通穴15を介して空洞16内にも流入する。空洞16内に流入したクッション部材成形用熱可塑性ポリマー材料は、空洞16内の気体をモール本体10の両端末に形成されたガス注入穴18及びガス排出穴19へ押し出しつつ、空洞16の全長に亘って充填される。
【0064】
この後、第2の射出成形型200を開いて、モール本体10とクッション部材9とを一体化したピラーモール8を取り出す取り出し工程を実行する。これにより、ピラーモール8の製造が完了する。
【0065】
上記実施例によれば、空洞16の全長に亘ってモール本体10よりも軟質の材料が充填され、良好な耐衝撃性を有するピラーモール8を容易に製造することができる。
【0066】
また、上記実施例では、モール本体10の外周全体を取り囲むようにクッション部材9を環状に設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、モール本体10の幅方向の片側の周壁17に沿ってクッション部材9を設けるようにしても良い。また、クッション部材9を成形する前にモール本体10の表面に塗装等の着色やクリアーの表面処理を施すようにしても良い。
【0067】
また、モール本体10を上記実施例のような一連の工程で成形せずに、突出部11を除去する前の状態、または突出部11が除去されて貫通穴15が形成された状態のモール本体10を外部から購入するなどして予め準備してもよい。この場合、前述したモール本体成形工程や貫通穴を形成する工程を省略することができる。
【0068】
その他、本発明は、車両のフロントピラーに沿って装着されるピラーモールディングに限定されず、例えば、センターピラーやリアピラーに沿って装着されるピラーモールディング、側部車体パネルに装着されるボディサイドモールディング、ホイールアーチに沿って装着されるホイールアーチモールディング(マッドガードを含む)、ドア開口窓の下縁に沿って装着されるベルトモールディング等、内部に空洞を有する第1部材の外面に第2部材を射出成形した一体化した
車両用複合成形品であれば、本発明を適用して実施できる。
【0069】
本出願は、2010年7月8日出願の日本国特許出願(特願2010−167546)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。