(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の回転角度位置検出装置は、タレットの割り出し装置として特化されている。このため、分割数とは関係のない任意の回転角度位置に被検出物が配置されたときに信号を出力するような設定はできない。従って、特許文献1の回転角度位置検出装置を、カムによって反復的な動作を繰り返す工作機械等に搭載し、カムを回転させているカム軸が任意の回転角度位置に配置されたときに信号を出力させる用途に用いることはできない。
【0005】
本発明の課題は、かかる点に鑑みて、被検出物が任意に設定した回転角度位置に配置されたときに信号を出力することができる回転角度位置検出装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の回転角度位置検出装置は、絶対回転角度位置を出力するアブソリュートエンコーダーと、設定コマンドの入力を受け付ける入力部と、前記設定コマンドに基づいて検出回転角度範囲を設定し、前記絶対回転角度位置が前記検出回転角度範囲に含まれている場合に信号を出力する制御部と、前記信号を外部に出力するための出力部と、を有
し、前記出力部は、複数の出力ポートを備え、前記入力部は、基準設定コマンドを受け付け、前記制御部は、前記基準設定コマンドが受け付けられた時点における前記絶対回転角度位置を基準角度位置として取得する基準角度位置取得部と、前記基準角度位置が取得されると前記アブソリュートエンコーダーの原点角度位置と前記基準角度位置との角度差に基づいて前記検出回転角度範囲を前記基準角度位置を基準とする補正検出回転角度範囲に補正する補正部とを備え、前記設定コマンドに基づいて前記複数の出力ポートから前記信号を出力する1つの出力ポートを設定し、前記信号を設定された前記1つの出力ポートに出力するとともに、前記検出回転角度範囲が補正されると前記絶対回転角度位置が当該補正検出回転角度範囲に含まれている場合に前記信号を出力することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、設定コマンドによって検出回転角度範囲を任意に設定できる。従って、アブソリュートエンコーダーにより絶対回転角度位置が取得されている被検出物が任意の回転角度位置に配置されたときに信号を出力することができる。なお、絶対回転角度位置が検出回転角度範囲に含まれている場合には絶対回転角度位置と検出回転角度範囲が一致している場合も含まれる。
【0008】
また、本発明によれば、制御部からの信号を任意に設定した出力ポートから外部に出力できる。従って、例えば、複数の設定コマンドを用いて互いに重複しない複数の検出回転角度範囲を設定する場合において、被検出物の絶対回転角度位置が各検出回転角度範囲に含まれる毎に同一の出力ポートから信号を出力することが可能である。また、複数の設定コマンドを用いて互いに重複しない複数の検出回転角度範囲を設定する場合において、被検出物の絶対回転角度位置が各検出回転角度範囲に含まれる毎に異なる出力ポートから独立した信号を出力することも可能である。
さらに、本発明によれば、回転角度位置検出の基準となる基準角度位置を柔軟に設定できる。従って、回転角度位置検出の基準がアブソリュートエンコーダー元来の原点角度位置に固定されている場合と比較して、回転角度位置検出装置の設置が容易となる。
【0009】
本発明において、前記入力部は、前記設定コマンドとして、第1設定コマンドおよび第2設定コマンドを受け付け、前記第1設定コマンドは、前記検出回転角度範囲として第1検出回転角度範囲を設定するとともに、前記1つの出力ポートとして第1出力ポートを設定するものであり、前記第2設定コマンドは、前記検出回転角度範囲として前記第1検出回転角度範囲と少なくとも部分的に重複する第2検出回転角度範囲を設定するとともに前記1つの出力ポートとして前記第1出力ポートとは異なる第2出力ポートを設定するものであり、前記制御部は、前記信号として、前記絶対回転角度位置が前記第1検出回転角度範囲に含まれている場合に前記第1出力ポートに第1信号を出力するとともに、前記絶対回転角度位置が前記第
2検出回転角度範囲に含まれている場合に前記第2出力ポートに第2信号を出力するものとすることができる。このようにすれば、検出回転角度範囲としてオーバーラップしている複数の検出回転角度範囲を設定することができるとともに、被検出物の絶対回転角度位置が各検出回転角度範囲に含まれる場合に、検出回転角度範囲毎に異なる出力ポートから独立した信号を出力することができる。
【0011】
本発明において、回転角度位置検出装置の入力部に接続した外部の機器から検出回転角度範囲の設定を容易に行うためには、前記入力部は、第1入力ポートと第2入力ポートとを備え、前記制御部は、動作モードとして、前記設定コマンドに基づいて前記信号を出力する検出モードと前記検出回転角度範囲の設定が可能な設定モードとを備え、前記動作モードは、前記第1入力ポートに設定モード信号が入力されているときに前記設定モードに維持され、前記設定コマンドは、前記第1入力ポートに前記設定モード信号が入力されている間に、前記第2入力ポートで受け付けることが望ましい。この場合には、検出回転角度範囲の設定を行う外部の機器について、入力部に接続されると、その接続が解除されるまでの間、第1入力ポートに設定モード信号を入力し続けるものとしておく。また、この外部の機器について、第1入力ポートに設定モード信号を入力している間に、第2入力ポートに設定コマンドを入力するものとしておく。このようにすれば、外部の機器を入力部に接続するだけで制御部の動作モードを設定モードに移行させて、検出回転角度範囲を設定できる。
【0012】
本発明において、前記アブソリュートエンコーダーは、永久磁石と、磁気センサーを有するエンコーダー本体と、を備え、前記エンコーダー本体、前記制御部、前記入力部および前記出力部は、単一の筐体に搭載されていることが望ましい。このようにすれば、永久磁石を被検出物に取り付けることによって、被検出物の回転角度位置を非接触で検出できる。従って、装置の寿命が長い。また、エンコーダー本体、制御部、入力部および出力部が単一の筐体に搭載されているので、装置の小型化を図ることが可能であり、装置の設置も容易になる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、設定コマンドにより信号を出力する検出回転角度範囲を任意に設定できる。従って、被検出物が任意に設定された回転角度位置に配置されたときに回転角度位置検出装置から信号を出力できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る回転角度位置検出装置を説明する。
【0016】
図1(a)は本発明の回転角度位置検出装置が搭載された搬送機械の説明図であり、
図1(b)は本発明の回転角度位置検出装置の斜視図である。本例の回転角度位置検出装置1は、例えば、生産ラインにおいてワークWを搬送する搬送機械100に搭載されている。
図1(a)に示すように、搬送機械100は先端に把持装置101を搭載するアーム102を備えている。搬送機械100はPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ:図示せず)により駆動制御されて、ターンテーブル103上の待機位置Aに配置されたワークWを、作業台104上の加工位置Bに移動させる。
【0017】
搬送機械100のアーム102はカム(不図示)によって動作させられる。すなわち、アーム102は、カムを回転させるカム軸105が1回転する間に、待機位置Aに配置されたワークWを把持可能な搬送開始位置Mと、加工位置BにワークWを載置可能な搬送終了位置Nの間を所定の経路で往復移動させられる。カム軸105の回転によってアーム102が搬送開始位置Mに配置されると、PLCからの指令によって把持装置101が駆動され、把持装置101はワークWを把持する。その後、カム軸105の回転に伴ってアーム102が搬送終了位置Nに移動すると、PLCからの指令によって把持装置101が駆動され、把持装置101はワークWを開放する。これにより、ワークWは待機位置Aから加工位置Bに移動する。また、把持装置101がワークWを開放する開放動作を開始すると、その開放動作と並行してターンテーブル103が所定の角度だけ回転し、ターンテーブル103上の待機位置Aには次のワークWが配置される。しかる後に、カム軸105が回転してアーム102が元の搬送開始位置Mに戻り、次のワークWを把持可能な状態となる。その後、PLCによって把持装置101が駆動されて上記の搬送動作が繰り返される。
【0018】
ここで、回転角度位置検出装置1は、カム軸105が予め設定した回転角度範囲に位置したときに、アーム102の位置を確認するための信号を出力する。また、回転角度位置検出装置1は、カム軸105が予め設定した回転角度範囲に位置したときに、把持装置101やターンテーブル103を駆動するための信号を出力する。PLCは回転角度位置検出装置1から出力される信号に基づいて搬送機械100を駆動制御する。
【0019】
回転角度位置検出装置1は、
図1(b)に示すように、カム軸105に取り付けられた永久磁石2と、永久磁石2に僅かな隙間を開けて対向配置された装置本体3を備えている。永久磁石2は偏平な円柱形状をしており、カム軸105の端部に同軸に連結されている。永久磁石2において装置本体3と対向する円形平面は着磁面4である。着磁面4は周方向に2分割されており、一方がS極、他方がN極となっている。
【0020】
装置本体3は直方体形状の筐体5を備えている。永久磁石2と対向している筐体5の矩形端面はセンサー面6となっており、カム軸105の回転中心軸線L上に位置している。センサー面6を挟んだ両側に位置する筐体5の各側面部分には、それぞれ入力コネクター(入力部)7と出力コネクター(出力部)8が搭載されている。
【0021】
(制御系)
図2は回転角度位置検出装置1の制御系を示す概略ブロック図である。
図2に示すように、装置本体3は、CPUやRAMを備える制御部11を中心に構成されている。制御部11の入力側には入力コネクター7とエンコーダー本体12が接続されている。制御部11の出力側には出力コネクター8が接続されている。また、制御部11には書き換え可能な不揮発性のメモリー13が接続されている。制御部11、エンコーダー本体12およびメモリー13は筐体5に搭載されている。
【0022】
入力コネクター7は検出回転角度範囲などの設定を行う設定機器(外部の機器:図示せず)と回転角度位置検出装置1を通信可能に接続する入力インターフェースである。入力コネクター7は第1入力ポート15と第2入力ポート16を備えている。入力コネクター7は第1入力ポート15を介して設定機器からの設定モード信号を受け付け、第2入力ポート16を介して設定機器からの設定コマンドおよび基準設定コマンドを受け付ける。
【0023】
エンコーダー本体12は永久磁石2とともにアブソリュートエンコーダー10を構成している。エンコーダー本体12は永久磁石2の磁界の変化を検出する磁気センサー17と、磁気センサー17からの出力に基づいてカム軸105の絶対回転角度位置を出力する演算部18を備えている。なお、アブソリュートエンコーダー10としては、磁気センサー17を搭載するエンコーダー部が演算部18と別体に構成されているものを用いることもできる。
【0024】
出力コネクター8はPLCと回転角度位置検出装置1を通信可能に接続するための通信インターフェースである。出力コネクター8は第1〜第8出力ポート21〜28を備えている。出力コネクター8からはオンまたはオフの信号が出力される。各出力ポート21〜28からの信号はオープンコレクター出力である。
【0025】
制御部11は、入力コネクター7を介して設定機器から装置本体3に入力された設定コマンドに基づいて検出回転角度範囲と出力ポート21〜28を設定する。より具体的には、設定コマンドは、検出回転角度範囲を設定する検出回転角度範囲設定コマンドと、8つの出力ポート21〜28のうちの1つの出力ポート21〜28を選択する出力ポート設定コマンドを含んでいる。設定コマンドが装置本体3に入力されると、制御部11は検出回転角度範囲設定コマンドに基づいて検出回転角度範囲をメモリー13に記憶保持する。また、制御部11は出力ポート設定コマンドに基づいて出力ポート21〜28のうちの1つの出力ポートを選択し、選択した出力ポートと検出回転角度範囲とを対応付けてメモリー13に記憶保持する。これにより検出回転角度範囲と出力ポートが設定される。
【0026】
また、制御部11は、メモリー13を参照して、そこに記録保持された検出回転角度範囲および1つの出力ポートを取得し、エンコーダー本体12から出力されるカム軸105の絶対回転角度位置が取得した検出回転角度範囲に含まれているときに、取得した出力ポートにオンの信号を出力する。なお、絶対回転角度位置が検出回転角度範囲に含まれている場合には、絶対回転角度位置と検出回転角度範囲が一致している場合も含まれる。
【0027】
さらに、制御部11は、入力コネクター7を介して設定機器から装置本体3に基準設定コマンドが入力されたときに処理を行う基準角度位置取得部31と補正部32を備えている。基準角度位置取得部31は基準設定コマンドが装置本体3に入力された時点においてエンコーダー本体12から出力されているカム軸105の絶対回転角度位置を基準角度位置として取得する。補正部32は、基準角度位置が取得されると、アブソリュートエンコーダー10の元来の原点角度位置と取得した基準角度位置との角度差に基づいて検出回転角度範囲を補正する。すなわち、メモリー13に記憶保持されている検出回転角度範囲を、基準角度位置を基準とする補正検出回転角度範囲に補正する(書き換える)。
【0028】
検出回転角度範囲が補正されると、制御部11はメモリー13を参照したときに補正検出回転角度範囲を取得する。従って、制御部11は絶対回転角度位置が補正検出回転角度範囲に含まれている場合にオンの信号を出力するものとなる。
【0029】
ここで、制御部11は、動作モードとして、設定コマンドに基づいて信号を出力する検出モードと、検出回転角度範囲の設定が可能な設定モードを備えている。制御部11における通常の動作モードは検出モードであり、第1入力ポート15を介して設定機器から装置本体3に設定モード信号が入力される間だけ制御部11は設定モードに移行する。
【0030】
本例では、設定機器を入力コネクター7に接続すると、第1入力ポート15を介して設定機器から装置本体3に設定モード信号が入力され続けるようになっている。また、設定機器は、第1入力ポート15を介した設定モード信号の入力と並行して、第2入力ポート16を介して装置本体3に設定コマンド或いは基準設定コマンドを入力するようになっている。従って、設定機器が入力コネクター7に接続されると、制御部11は自動的に設定モードとなり、制御部11における検出回転角度範囲等の設定が可能となる。また、設定機器と入力コネクター7の接続が解除されると、第1入力ポート15への設定モード信号の入力がなくなるので、制御部11は自動的に検出モードへと移行する。
【0031】
(回転角度位置検出装置の設置)
回転角度位置検出装置1を設置する際には、まず、被検出物となる搬送機械100のカム軸105の端部に永久磁石2を取り付ける。次に、永久磁石2と対向する位置に装置本体3を配置するとともに、入力コネクター7に設定装置を接続する。また、出力コネクター8にPLCを接続する。
【0032】
設定装置が入力コネクター7に接続されると、第1入力ポート15を介して設定装置から装置本体3に設定モード信号が入力されるので、制御部11は設定モードに移行する。その後、第2入力ポート16を介して設定装置から装置本体3に設定コマンドが入力されると、制御部11は設定コマンドに基づいて検出回転角度範囲と出力ポート21〜28を設定する。
【0033】
本例では、設定コマンドとして以下の第1〜第5コマンドが入力されるものとする。第1設定コマンドは、検出回転角度範囲を355°〜5°として信号を第1出力ポート21から出力するものである。第2設定コマンドは検出回転角度範囲を0°〜15°として信号を第2出力ポート22から出力するものである。第3設定コマンドは検出回転角度範囲を175°〜185°として信号を第1出力ポート21から出力するものである。第4設定コマンドは検出回転角度範囲を180°〜195°として信号を第2出力ポート22から出力するものである。第5設定コマンドは検出回転角度範囲を190°〜220°として信号を第3出力ポート23から出力するものである。各設定コマンドの検出回転角度範囲および出力ポートは制御部11によってメモリー13に記憶保持される。
【0034】
次に、カム軸105の回転角度位置を所望の回転角度位置に調整し、設定装置から第2入力ポート16を介して基準設定コマンドを入力する。基準設定コマンドが装置本体3に入力されると、装置本体3が基準設定コマンドを受け付けた時点においてエンコーダー本体12から出力されているカム軸105の絶対回転角度位置が基準角度位置として取得される。また、取得された基準角度位置とアブソリュートエンコーダー10の元来の原点角度位置の角度差に基づいて検出回転角度範囲が補正される。すなわち、メモリー13に記憶保持されている各設定コマンドの検出回転角度範囲が基準角度位置を基準とする補正検出回転角度範囲に書き換えられる。
【0035】
その後に、設定装置と入力コネクター7の接続を解除する。これにより、制御部11の動作モードは設定モードから検出モードに移行する。制御部11が検出モードに移行した後にカム軸105が回転すると、エンコーダー本体12から出力されるカム軸105の絶対回転角度位置が各設定コマンドの検出回転角度範囲を補正した補正検出回転角度範囲に含まれる毎に設定された各出力ポート21〜23からオンの信号が出力されてPLCに入力される。
【0036】
なお、基準設定コマンドは設定装置から装置本体3へ何回入力してもよく、制御部11は、基準設定コマンドが入力される毎に設定コマンドに基づく検出回転角度範囲を補正検出回転角度範囲に補正する。
【0037】
(回転角度位置検出装置による信号出力動作)
次に、
図3を参照して、回転角度位置検出装置1による信号出力動作を説明する。
図3は回転角度位置検出装置1による信号出力動作の説明図である。
図3(a)〜(e)において、左側の図はカム軸105を回転中心軸線L方向の永久磁石2が取り付けられた側から見た状態を示している。右側のタイムチャートは第1〜第3出力ポート21〜23から信号が出力されるタイミングを示している。
【0038】
まず、カム軸105が基準角度位置(0°)から一方向へ回転を開始し、基準角度位置(0°)から5°回転するまでの間は、
図3(a)に示すように、エンコーダー本体12から出力されるカム軸105の絶対回転角度位置が第1設定コマンドの検出回転角度範囲(355°〜5°)を補正した補正検出回転角度位置に含まれている。従って、第1出力ポート21からオンの信号S1が出力される。ここで、カム軸105が基準角度位置(0°)に配置されているときには、
図1(a)に示すように、搬送機械100のアーム102は搬送開始位置Mに配置されており、把持装置101がターンテーブル103上の待機位置Aに配置されているワークWを把持可能な状態となっている。第1出力ポート21からのオンの信号S1は、PLCに入力されて、アーム102が搬送開始位置Mに配置されたことを確認する信号とされる。
【0039】
次に、カム軸105が基準角度位置(0°)から15°まで回転する間は、
図3(b)に示すように、エンコーダー本体12から出力されるカム軸105の絶対回転角度位置が第2設定コマンドの検出回転角度範囲(0°〜15°)を補正した補正検出回転角度位置に含まれる。従って、第2出力ポート22からオンの信号S2が出力される。ここで、カム軸105が基準角度位置(0°)から5°まで回転する間は、第1出力ポート21からオンの信号S1が出力され、第2出力ポート22からオンの信号S2が出力されている。
【0040】
第2出力ポート22からのオンの信号S2はアーム102の先端の把持装置101に把持動作を行わせるための信号となっている。すなわち、PLCは、アーム102が搬送開始位置Mに配置されると、第2出力ポート22からの信号に基づいて把持装置101を駆動してワークWを把持する把持動作を行わせる。これによりワークWは把持装置101に把持される。
【0041】
その後、カム軸105の回転に伴ってアーム102は搬送開始位置Mから搬送終了位置Nに向かって移動する。
【0042】
しかる後に、
図3(c)に示すように、カム軸105が基準角度位置(0°)から180°回転した回転角度位置に達すると、アーム102は搬送終了位置Nに配置される。すなわち、アーム102は把持していたワークWを作業台104上の加工位置Bに載置可能な位置に移動する。ここで、カム軸105が基準角度位置(0°)を基準として175°から185°まで回転する間は、エンコーダー本体12から出力されるカム軸105の絶対回転角度位置が第3設定コマンドの検出回転角度範囲(175°〜185°)を補正した補正検出回転角度位置に含まれている。従って、第1出力ポート21からオンの信号S3が出力される。第1出力ポート21からの信号は、PLCに入力されて、アーム102が搬送終了位置Nに配置されたことを確認する信号とされる。
【0043】
また、カム軸105が基準角度位置(0°)を基準として180°から195°まで回転する間は、エンコーダー本体12から出力されるカム軸105の絶対回転角度位置が第4設定コマンドの検出回転角度範囲(180°〜195°)を補正した補正検出回転角度位置に含まれる。従って、第2出力ポート22からオンの信号S4が出力される。ここで、カム軸105が基準角度位置(0°)を基準として180°から185°まで回転する間は、第1出力ポート21からオンの信号S3が出力され、第2出力ポート22からオンの信号S4が出力されている。
【0044】
第2出力ポート22からのオンの信号S4はアーム102の先端の把持装置101に開放動作を行わせるための信号となっている。すなわち、PLCは、アーム102が搬送終了位置Nに移動すると、第2出力ポート22からの信号に基づいて把持装置101を駆動してワークWを開放する開放動作を行わせる。これにより、ワークWは作業台104上の加工位置Bに載置される。
【0045】
また、カム軸105が基準角度位置(0°)を基準として190°から220°まで回転する間は、エンコーダー本体12から出力されるカム軸105の絶対回転角度位置が第5設定コマンドの検出回転角度範囲(190°〜220°)を補正した補正検出回転角度位置に含まれる。従って、第3出力ポート23からオンの信号S5が出力される。ここで、カム軸105が基準角度位置(0°)を基準として190°から195°まで回転する間は、第2出力ポート22からオンの信号S4が出力され、第3出力ポート23からオンの信号S5が出力されている。
【0046】
第3出力ポート23からのオンの信号S5はターンテーブル103を回転させるための信号となっている。すなわち、PLCは、把持装置101に開放動作を行わせるとともに、開放動作の途中で第3出力ポート23から出力される信号に基づいてターンテーブル103を所定の角度だけ回転させて、ターンテーブル103上の次のワークWを待機位置Aに配置する。
【0047】
その後、カム軸105が更に回転すると、アーム102は、搬送終了位置Nから搬送開始位置Mに向かって移動する。ここで、カム軸105が基準角度位置(0°)から360°回転して基準角度位置(0°)に戻ると、アーム102は搬送開始位置Mに配置される。また、把持装置101がターンテーブル103上の待機位置Aに配置されている次のワークWを把持可能な状態となる。ここで、カム軸105が基準角度位置(0°)を基準として355°から0°まで回転する間は、
図3(a)に示すように、エンコーダー本体12から出力されるカム軸105の絶対回転角度位置が第1設定コマンドの検出回転角度範囲(355°〜5°)を補正した補正検出回転角度位置に含まれている。従って、第1出力ポート21からオンの信号S1が出力される。第1出力ポート21からのオンの信号S1は、PLCに入力されて、アーム102が搬送開始位置Mに配置されたことを確認する信号とされる。しかる後に更にカム軸が回転を継続すると、上記の動作が繰り返される。
【0048】
(作用効果)
本例によれば、設定コマンドによって検出回転角度範囲を任意に設定できる。従って、アブソリュートエンコーダー10により絶対回転角度位置が取得されているカム軸105が任意に設定された回転角度位置に配置されたときに信号を出力することができる。
【0049】
また、本例では、第1設定コマンドと第3設定コマンドのように、或いは、第2設定コマンドと第4設定コマンドのように、複数の設定コマンドで互いに重複しない検出回転角度範囲を設定した場合には、カム軸105の回転角度位置が各検出回転角度範囲(補正検出回転角度範囲)に含まれる毎に同一の出力ポートから信号を出力することができる。
【0050】
さらに、本例では、第4設定コマンドと第5設定コマンドのように、複数の設定コマンドで部分的にオーバーラップしている2つの検出回転角度範囲を設定することができ、各検出回転角度範囲に含まれる毎に異なる出力ポートから独立した信号を出力することができる。
【0051】
また、本例では、基準設定コマンドによって、回転角度位置検出の基準となる基準角度位置(0°)を柔軟に設定できる。従って、回転角度位置検出の基準がアブソリュートエンコーダー10の元来の原点角度位置に固定されている場合と比較して、回転角度位置検出装置1の設置が容易となる。
【0052】
さらに、本例では、設定機器を入力コネクター7に接続すると、この接続が解除されるまで第1入力ポート15に設定モード信号が入力され続け、制御部11が設定モードに維持される。従って、制御機器を入力コネクター7に接続するだけで、検出回転角度範囲、出力ポートおよび基準角度位置の設定を行うことができる。また、設定機器の接続が解除されると、第1入力ポート15への設定モード信号の入力がなくなるので、制御部11は自動的に検出モードに復帰する。
【0053】
また、本例では、回転角度位置検出装置1からの信号がオープンコレクター出力となっているので、PLCとの接続が容易である。
【0054】
さらに、本例のアブソリュートエンコーダー10は、カム軸105の回転角度位置を非接触で検出できる。従って、回転角度位置検出装置1の寿命が長い。
【0055】
また、本例では、エンコーダー本体12、制御部11、メモリー13、入力コネクター7、出力コネクター8が単一の筐体5に搭載されているので、回転角度位置検出装置1の小型化を図ることができ、回転角度位置検出装置1の設置が容易である。
【0056】
(その他の実施の形態)
上記の例では、各出力ポート21〜28から出力される信号は、オープンコレクター出力であるが、オープンドレイン出力、TTL出力、電圧出力などとすることもできる。また、信号の出力に8つの出力ポート21〜28をパラレルに使用して、カム軸105の絶対回転角度範囲が検出回転角度範囲(補正検出回転角度範囲)に含まれているときに、出力コネクター8から8ビットの情報を出力するように構成することもできる。
【0057】
また、上記の例では、基準設定コマンドは、設定機器から入力コネクター7を介して装置本体3に入力されているが、装置本体3にプッシュ式のスイッチなどを搭載し、このスイッチの操作により制御部11に基準設定コマンドが入力されるようにしてもよい。この場合には、制御部11は、スイッチ操作によって基準設定コマンドが入力される毎に設定コマンドに基づく検出回転角度範囲を補正検出回転角度範囲に補正すればよい。
【0059】
なお、カムの回転によって反復的な動作を繰り返す工作機械やロボットに本発明の回転角度位置検出装置1を搭載して、カムを回転させるカム軸105が任意の回転角度位置に配置されたときに信号を出力させる用途に用いることができることは勿論である。また、回転角度位置検出装置1を工作機械のインデックステーブルやタレットの割り出しに用いることもできる。