特許第5730377号(P5730377)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5730377
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】散気管及び散気管の洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/20 20060101AFI20150521BHJP
   B01F 3/04 20060101ALI20150521BHJP
   B01F 5/06 20060101ALI20150521BHJP
   B01F 15/00 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
   C02F3/20 D
   B01F3/04 A
   B01F5/06
   B01F15/00 D
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-234736(P2013-234736)
(22)【出願日】2013年11月13日
(65)【公開番号】特開2015-93253(P2015-93253A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2013年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100107478
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 薫
(72)【発明者】
【氏名】岡島 康信
(72)【発明者】
【氏名】南里 一生
【審査官】 長谷川 真一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−125781(JP,A)
【文献】 特開2011−092835(JP,A)
【文献】 特開2004−305886(JP,A)
【文献】 特開2006−015274(JP,A)
【文献】 特開2009−172582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 3/14−3/26
C02F 7/00
B01F 1/00−5/26
B01F 15/00−15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ形状の粘弾性体で構成され外周面と内周面との間を貫通する複数の散気孔スリットが形成された膜体と、前記膜体を内側から支持する管状の膜支持体と、を備え、前記膜支持体に供給された空気が前記膜体の前記散気孔スリットから放出される散気管であって、
前記膜支持体の管壁を貫通する貫通孔が前記膜支持体の上面側と下面側の領域に夫々形成され、少なくとも前記膜体のうち前記貫通孔が形成された上面側及び下面側の領域に対応する領域には前記散気孔スリットが形成されていないことを特徴とする散気管。
【請求項2】
前記貫通孔は前記膜支持体の上面側に複数形成され、各貫通孔が前記膜支持体の長さ方向に均等配置されるように形成されていることを特徴とする請求項1記載の散気管。
【請求項3】
前記膜支持体の下面側に形成される貫通孔は、その数が上面側に配置される貫通孔の数よりも少なく、且つ、開口面積の総和も上面側に配置される貫通孔の開口面積の総和よりも小さいことを特徴とする請求項2記載の散気管。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載の散気管の洗浄方法であって、
前記膜支持体の内部へのガスの供給を停止した状態で前記膜支持体の内部へ洗浄液を供給して散気管の内部を洗浄液で満たし、洗浄終了後に前記膜支持体の内部へのガスの供給を再開し、前記散気管の内部の洗浄液を前記散気孔スリットより排出させることを特徴とする散気管の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散気管及び散気管の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チューブ形状の粘弾性体で構成され外周面と内周面との間を貫通する複数の散気孔スリットが形成された膜体と、当該膜体を内側から支持する管状の膜支持体とを備えた散気管が汚水処理装置等に広く使用されている。
【0003】
特許文献1には、散気管内部への汚水等の逆流防止及び散気孔スリットの目詰まり防止を目的として、多数の切込み孔が形成されたゴムチューブが数個の孔が形成された空気管本体に嵌装された散気管が開示されている。当該散気管を構成する空気管本体の側部を含む周面に数個の孔が形成され、膜体の全領域に切込み孔でなる散気孔スリットが形成されている。
【0004】
特許文献2には、1つまたは均等に分布する複数の気流噴出孔が樹脂製の筒状芯部材の一端側にのみ形成され、当該芯部材を被覆する筒状の散気部材とで構成された散気管が開示されている。散気部材は多孔質のメンブレンゴム等で構成され、芯部材の一端側に形成された気流噴出孔から噴出した空気が芯部材と散気部材との間隙を伝って通流し、散気部材の微小な孔から放出されるように構成されている。
【0005】
特許文献3には、チューブ基材の基端側に装着された通気管に複数の通気口が形成され、チューブ基材及び通気管を被覆する弾性フィルムの周部に形成されたスリットから空気が放出される散気管が開示されている。特許文献2に開示された散気管と同様に、一端側に形成された通気口から噴出した空気がチューブ基材と弾性フィルムとの間隙を伝って弾性フィルムのスリットから放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平01−25679号公報
【特許文献2】特開2005−334847号公報
【特許文献3】特許第4781302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
チューブ形状の粘弾性体で構成された膜体を管状の膜支持体に嵌装することによって構成される散気管は、膜体に形成された散気孔スリットから汚泥等が流入することが無いと考えられているが、実際には膜支持体と膜体との隙間に通流する空気によって膨張収縮が繰り返され、その過程で一部の散気孔スリットから汚泥等が流入する場合があり、経年変化によって散気孔スリットの弾性力が低下すると汚泥等の流入量が増して散気孔スリットが閉塞する虞があった。
【0008】
また、上述した従来の散気管は、膜体のうち膜支持体に形成された貫通孔に対向する部位にまで散気孔が形成されているため、貫通孔から供給された空気の多くが近傍の散気孔から一気に噴出して、散気管の軸心方向に沿った均等な散気が困難になる場合があるという問題や、貫通孔の近傍の散気孔が大きく開口することで弾性力が低下し、開口するときに汚泥を引き込む虞があるという問題があった。
【0009】
ある程度の散気孔スリットが閉塞して散気性能が低下すると、散気性能を回復させるために膜支持体内に洗浄液を供給して散気孔スリットを洗浄する洗浄工程が実行される。しかし、洗浄後に膜支持体内に洗浄液が残った状態で空気を供給すると、膜支持体に残った洗浄液の影響により貫通孔からの空気の放出が妨げられ、散気孔スリットが洗浄されていても散気性能の早期の回復が妨げられるという問題もあった。
【0010】
本発明の目的は、上述した問題点に鑑み、膜支持体に洗浄液を供給して散気管を洗浄した直後であっても速やかに散気性能が回復し、しかも常に均等に散気できる散気管及び散気管の洗浄方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するため、本発明による散気管の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、チューブ形状の粘弾性体で構成され外周面と内周面との間を貫通する複数の散気孔スリットが形成された膜体と、前記膜体を内側から支持する管状の膜支持体と、を備え、前記膜支持体に供給された空気が前記膜体の前記散気孔スリットから放出される散気管であって、前記膜支持体の管壁を貫通する貫通孔が前記膜支持体の上面側と下面側の領域に夫々形成され、少なくとも前記膜体のうち前記貫通孔が形成された上面側及び下面側の領域に対応する領域には前記散気孔スリットが形成されていない点にある。
【0012】
膜支持体の貫通孔に対応する膜体の領域には散気孔スリットが形成されていないため、貫通孔から噴出したガス、例えば空気が散気孔スリットから直ちに放出されることがなく、膜支持体と膜体の間の隙間を通流して各散気孔スリットから放出されるので、特定の領域の散気孔スリットが大きく開口するようなことが無く、その結果、散気孔スリットが閉塞する可能性が極めて低くなる。
【0013】
さらに、洗浄のために膜支持体内に洗浄液が供給され、その後に空気の供給が再開された場合でも、空気圧によって膜支持体の下面側の貫通孔から洗浄液が流出し、膜体と膜支持体との隙間を流れて散気孔スリットから排水される。その間に、空気は膜支持体の上方に形成された空間に沿って軸心方向に供給され、膜支持体の上面側の貫通孔から上方に噴出し、膜体と膜支持体との隙間を通流して散気孔スリットから吐出されるので、速やかに散気性能が回復するようになる。
【0014】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、前記貫通孔は前記膜支持体の上面側に複数形成され、各貫通孔が前記膜支持体の長さ方向に均等配置されるように形成されている点にある。
【0015】
上述の構成によれば、膜支持体の長さ方向に均等配置された膜支持体の上面側の複数の貫通孔から噴出した空気が膜体と膜支持体との隙間に均一に広がり、膜体の各散気孔スリットから吐き出され、均質且つ均等分散した気泡が形成されるので、膜支持体の長さ方向に均一に散気することができるようになる。また散気管の洗浄のために膜支持体内に洗浄液が充満したとき、膜支持体の長さ方向に均等配置された膜支持体の上面側の複数の貫通孔から流出した洗浄液が膜体と膜支持体との隙間に均一に広がり、膜体の各散気孔スリットに洗浄液が供給されるので、膜支持体の長さ方向に均一な洗浄を行うことができる。
【0016】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第二特徴構成に加えて、前記膜支持体の下面側に形成される貫通孔は、その数が上面側に配置される貫通孔の数よりも少なく、且つ、開口面積の総和も上面側に配置される貫通孔の開口面積の総和よりも小さい点にある。
【0017】
上述の構成によれば、膜支持体の上面側に位置する膜体に働く水圧が膜支持体の下面側に位置する膜体に働く水圧よりも低いことに加えて、膜支持体内部に供給されるガスの供給圧力により膜支持体の上面側の貫通孔から噴出して膜体を押し上げる力が膜支持体の下面側の貫通孔から噴出して膜体を押し下げる力より大きくなり、膜支持体の上面側と膜体と間に安定して隙間が形成される。その結果、膜支持体の上面側の貫通孔から噴出したガスが膜体と膜支持体との隙間を経て各散気孔スリットから安定に気泡を吐出することができるようになる。
【0018】
本発明による散気管の洗浄方法の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第一から第三の何れかの特徴構成を備えた散気管の洗浄方法であって、前記膜支持体の内部へのガスの供給を停止した状態で前記膜支持体の内部へ洗浄液を供給して散気管の内部を洗浄液で満たし、洗浄終了後に前記膜支持体の内部へのガスの供給を再開し、前記散気管の内部の洗浄液を前記散気孔スリットより排出させる点にある。
【0019】
上述の構成によれば、先ず膜支持体の内部へのガスの供給を停止した状態で膜支持体の内部へ洗浄液を供給して散気管の内部を洗浄液で満たし、散気管を洗浄する。洗浄終了後に膜支持体の内部へのガスの供給を再開すると、膜支持体の下面側の貫通孔から洗浄液が流出し、膜体と膜支持体との隙間を経て散気孔スリットから被処理液中に排出される。そのため、膜支持体の内部の上側に通気空間が確保され、膜支持体の上面側の貫通孔から噴出したガスが膜体と膜支持体との隙間を経て散気孔スリットから気泡として吐出し、速やかに散気性能が回復する。
【発明の効果】
【0020】
以上説明した通り、本発明によれば、膜支持体に洗浄液を供給して散気管を洗浄した直後であっても速やかに散気性能が回復し、しかも常に均等に散気できる散気管及び散気管の洗浄方法を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】汚水処理設備の説明図
図2】膜分離装置の説明図
図3】膜カートリッジの説明図
図4】散気装置の平面図
図5】(a)は散気管の平面図、(b)は同側断面図
図6】(a)は散気管の平面図、(b)は同縦断面図、(c)は同底面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明による散気管及び散気管の洗浄方法を説明する。
図1に示すように、膜分離活性汚泥法が採用された汚水処理設備1は、前処理設備2と、流量調整槽3と、膜分離装置6が浸漬配置された膜分離槽4と、処理水槽5が設けられている。
【0023】
前処理設備2には被処理水となる原水に混入している夾雑物等の異物を除去するスクリーン2a等が設けられ、スクリーン2a等で異物が除去された原水が流量調整槽3に貯留される。原水の流入量が変動する場合であっても、流量調整槽3から一定流量の原水が膜分離槽4に安定供給されるようにポンプPやバルブ等の流量調整機構が設けられている。
【0024】
活性汚泥が充填された膜分離槽4では、活性汚泥による生物処理によって原水中の有機物質が分解され、膜分離装置6を介してろ過された透過水が処理水槽5に導かれて一時貯留され、その後放流等される。膜分離槽4で増殖した余剰汚泥は槽外に引き抜かれ、槽内は一定の汚泥濃度に保たれる。
【0025】
図2に示すように、膜分離装置6は、上下が開口した膜ケース7の内部に100枚の板状の膜カートリッジ8が、各膜面が縦姿勢となるように、かつ6mmから10mm程度(本実施形態では8mm)の一定間隔を隔てて配列されており、膜ケース7の下方に散気装置12を備えている。
【0026】
散気装置12は複数の散気孔スリットが形成された散気管13を備え、各散気管13は散気ヘッダー管14及び送風路15aを介して槽外に設置されたブロワ15に接続されている。また各散気管13は散気ヘッダー管14及び液供給路19aを介して槽外に設置された洗浄液供給装置19に接続されている。洗浄液供給装置19は一定量の洗浄液を供給するためのポンプやバルブ等の流量調整機構を備えている。
【0027】
膜カートリッジ8には集水管17を介して槽外に設置された差圧発生機構としてのポンプ18が接続され、槽内の被処理水が膜カートリッジ8の膜面を透過するように吸引濾過される。
【0028】
図3に示すように、膜カートリッジ8は、縦1000mm×横490mmのABS樹脂等の熱可塑性樹脂製のろ板9の表裏両面にろ過膜10が配置され、ろ過膜10の周縁の接合部11がろ板9に超音波や熱で融着接合され、または接着剤等を用いて接着接合されて構成されている。
【0029】
ろ過膜10は、例えばPET製の不織布である支持体10aに多孔性を有する樹脂が塗布及び含浸され、平均孔径が約0.2μmの微多孔性膜10bが形成された有機濾過膜である。
【0030】
ろ板9の表面には長手方向に沿って深さ2mm、幅2mm程度の溝部9bが複数本形成され、その上端部には各溝部9bを連通する水平溝部9cが形成されている。表裏両面に形成された水平溝部9cが連通孔9dを介して連通され、膜支持体9の上縁部に形成されたノズル9aに連通されている。
【0031】
図3に示すように、各ノズル9a図2参照)は、チューブ16を介して集水管17に接続され、集水管17にはポンプ18が接続され、ポンプ18で吸引された透過水が処理水槽5に移送されるように構成されている。
【0032】
このような膜分離装置6の散気装置12及びポンプ18を作動させることにより、ブロワ15から空気が供給された散気管13で発生した気泡が膜カートリッジ8に供給され、被処理水をろ過膜10でろ過して設定流量の透過水を得るろ過運転が実行される。そして、例えば定期的にまたはろ過運転中の吸引圧が高くなると、槽内の活性汚泥の性状を保ちつつろ過膜10のファウリングを防止するために、ポンプ18を停止させた状態で散気装置12のみ作動させるリラクゼーション運転が実行される。また、定期的にまたはリラクゼーション運転後の吸引圧が高くなると、集水管17を経由して各膜カートリッジ8に薬液を注入してろ過膜10を洗浄する薬液洗浄工程が実行される。
【0033】
次に散気装置12の構成について説明する。
図2及び図4に示すように、複数個の散気管13が互いに平行な状態で一定の間隔を隔てて並置され、各散気管13の一端部と他端部とに夫々散気ヘッダー管14が接続されている。2個の散気ヘッダー管14は側面に各散気管13に対応する複数個の筒状の接続口14aを備えている。接続口14aの外径は散気管13の内径と略等しい。散気管13の両端部を各散気ヘッダー管14の接続口14aに外嵌させることにより、散気管13が散気ヘッダー管14に接続固定される。
【0034】
散気ヘッダー管14の一端部14bに空気流入口及び洗浄液流入口が設けてあり、他端部は閉塞されている。空気流入口はブロワ15からの送風路15aの出口に接続され、洗浄液流入口は洗浄液供給装置19からの液供給路19aの出口に接続されている。
【0035】
図5(a),(b)に示すように、各散気管13は、円筒状の膜支持体20と、膜支持体20の外周面を覆うように装着された膜体21と、膜体21の両端部を締め付けて膜支持体20の外周面に固定する金属製(SUS304等)のバンド22とを備えている。図5(a)は平面図、図5(b)は側面断面図であり、図5(b)の左側が散気管13の上面側に対応し、図5(b)の右側が散気管13の下面側に対応する。
【0036】
図6(a),(b),(c)に示すように、膜支持体20の上面側中央には6個の貫通孔20aが管軸方向(長さ方向)に等間隔(100mm)で形成され、膜支持体20の下面側中央で管軸方向中心部には管軸方向に狭い間隔(20mm)で2個の貫通孔20aが形成されている。各貫通孔20aの孔径は5mmφである。従って、膜支持体20の下面側に形成される貫通孔20aの数(2個)は、上面側に配置される貫通孔20aの数(6個)よりも少なく、且つ、開口面積の総和も小さい。
【0037】
膜支持体20は肉厚4mm程度のABS樹脂製の管体で構成されている。膜体21はEPDM、ポリウレタン樹脂或いはシリコーンゴム等の粘弾性体で構成され、厚さは約1mmである。膜体21には、外周面と内周面との間を貫通するように刃物で切り込まれて長さ3mm程度の複数の散気孔スリット21aが形成されている。
【0038】
図5(b)に示すように、散気孔スリット21aは、散気管13の側面視で鉛直線から左右両側に約20度から70度程度の傾斜角度の範囲内で、散気管13の管軸方向で両側のバンド22位置よりも内側の範囲に形成されている。尚、図5(b)の補助線は正確な角度を示すものではない。
【0039】
そして、膜支持体20に形成された貫通孔20aに対応する領域に散気孔スリット21aが形成されないように設定されている。尚、貫通孔20aは膜支持体20の上面側または下面側に形成されていればよく、散気孔スリット21aの形成領域と重畳しない領域であれば、膜支持体20の上面側中央または下面側中央に形成されるように限定されるものではない。
【0040】
膜支持体20の両端部の外周面に環状凸部20bが形成されている。膜体21は膜支持体20の環状凸部20bに被さるように装着され、バンド22の位置は環状凸部20bよりも内側である。環状凸部20bにより、膜支持体20に対する膜体21及びバンド22のずれが防止される。
【0041】
膜支持体20の上面側中央の両端縁部に切欠20cが形成されている(図6(a)参照)。膜体21の両端縁部にも切欠21bが形成されている(図5(a)参照)。膜支持体20の外周面に膜体21を装着する際に、膜体21の各切欠21bを膜支持体20の各切欠20cに位置合わせることにより、散気孔スリット21aの位置が図5(b)に示す範囲に設定される。
【0042】
上述した散気装置12の構成により、各散気管13には両端から空気が供給されて膜支持体20内の空気圧が管軸方向で均一化されるとともに、膜支持体20の真上位置の6個の貫通孔20aが管軸方向で等間隔に配置されているので、膜支持体20の真上位置の6個の貫通孔20aから噴出した空気は均一化される。そのため、膜支持体20の上面側の膜体21が均一な圧力で押し上げられ、膜支持体20との間に膜支持体20の管軸方向で均一な隙間を形成する。
【0043】
膜支持体20の真上位置の6個の貫通孔20aから噴出した空気は、膜体21に当たった後、膜体21と膜支持体20との隙間を側方から下向きに流れ、膜体21の散気孔スリット21aから被処理液中に気泡として吐出する。ここで、散気孔スリット21aが水圧の低い散気管13の上面側及び上面側に近い位置に形成されているため、貫通孔20aから噴出した空気が散気孔スリット21aに直接当たる不都合を避けながら、効率よく散気孔スリット21aに到達し、管軸方向に均一で高い散気性能を実現することができる。
【0044】
散気装置12の散気性能が低下した場合、又は定期的に、洗浄液供給装置19から散気装置12に洗浄液を供給して洗浄する洗浄工程が実行される。洗浄工程では、先ず膜支持体20の内部への空気の供給を停止した状態で膜支持体20の内部へ洗浄液を供給して洗浄液で満たす。そして、所定時間静置し、さらに膜支持体20内部へ洗浄液を圧入、またはそれらの組み合わせにより、膜支持体20の内部に充満した洗浄液を各貫通孔20aから流出させ、膜体21と膜支持体20との隙間を通過させて散気孔スリット21aと接触させる。これにより、散気管13(特に散気孔スリット21a)が洗浄される。
【0045】
洗浄が終了した後は膜支持体20の内部への空気の供給を再開する。膜支持体20の内部へ供給された空気の圧力によって、膜支持体20内の洗浄液が下面位置の貫通孔20aから流出し、膜体21と膜支持体20との隙間を経て散気孔スリット21aから被処理液中に排出される。ここで、洗浄液は自重で膜支持体20内の下部に溜まるが、膜支持体20の下面側に形成された貫通孔20aから洗浄液を良好に排出することができる。
【0046】
膜支持体20内の洗浄液が排出される結果、膜支持体20内の上部に通気空間が確保され、上面側の貫通孔20aから噴出した空気が膜体21と膜支持体20との隙間を経て散気孔スリット21aから気泡として吐出される。膜支持体20の上面側に貫通孔20aが形成されているので、膜支持体20内の上部に僅かの通気空間が形成されると、速やかに散気孔スリット21aから気泡が吐出され、早期に散気管13の散気性能が回復する。
【0047】
上述した実施形態は本発明の一態様であり、該記載により本発明が限定されるものではなく、本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0048】
13:散気管
20:膜支持体
20a:貫通孔
21:膜体
21a:散気孔スリット
図1
図2
図3
図4
図5
図6