特許第5730383号(P5730383)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5730383
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】地図情報を表示するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 17/05 20110101AFI20150521BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20150521BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20150521BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
   G06T17/05
   G01C21/26
   G09B29/00 A
   G09B29/10 A
【請求項の数】16
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2013-503015(P2013-503015)
(86)(22)【出願日】2010年10月4日
(65)【公表番号】特表2013-527952(P2013-527952A)
(43)【公表日】2013年7月4日
(86)【国際出願番号】EP2010064765
(87)【国際公開番号】WO2011124276
(87)【国際公開日】20111013
【審査請求日】2013年10月1日
(31)【優先権主張番号】61/322,325
(32)【優先日】2010年4月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】307043223
【氏名又は名称】トムトム インターナショナル ベスローテン フエンノートシャップ
(73)【特許権者】
【識別番号】512261827
【氏名又は名称】トムトム ソフトウェア リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TOMTOM SOFTWARE LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(72)【発明者】
【氏名】パレット, ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】ボッシュカー, ブレヒト
【審査官】 千葉 久博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−287973(JP,A)
【文献】 特開2008−181168(JP,A)
【文献】 特開2008−128928(JP,A)
【文献】 特開2007−219511(JP,A)
【文献】 特開2007−199331(JP,A)
【文献】 特開2007−170834(JP,A)
【文献】 特開2006−259035(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0213111(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0067750(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0192053(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02138926(EP,A1)
【文献】 国際公開第2008/041338(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00,11/60,17/05
G01C 21/00−21/36,23/00−25/00
G09B 23/00−29/14
G06T 15/00−15/87
G09G 5/00−5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する方法であって、
平面内に1つ以上のシースルー形状(22)を有する前方レイヤをレンダリングするステップと、
前記前方レイヤの後方に位置し、かつ、当該平面上に、前記前方レイヤの平面内の前記1つ以上のシースルー形状と重なり合うと共に所定の特徴に対応する1つ以上の画像領域(23)を有する後方レイヤをレンダリングするステップと
を含み、
前記画像が表示されると、前記後方レイヤ上の前記1つ以上の画像領域(23)は、前記前方レイヤ内の前記シースルー形状(22)を通して見られ
前記前方レイヤと前記後方レイヤとは互いに奥行き間隔によって距離をとり、前記後方レイヤは、前記画像領域(23)を取り囲む境界領域(24)をさらに含んでおり、前記画像が表示されると、少なくとも一部の前記境界領域は前記シースルー形状(22)を通して見られることを特徴とする方法。
【請求項2】
タイルベースの地図情報レンダリングを使用して、地図情報を表示するステップと、
前記地図情報を表示する少なくとも1つのタイルが表示されるように、
平面内に1つ以上のシースルー形状(22)を有する前方タイル(20)をレンダリングするステップと、
前記前方タイルの後方に位置し、かつ、当該平面上に、前記前方タイルの平面内の前記1つ以上のシースルー形状と重なり合うと共に所定の特徴に対応する1つ以上の画像領域(23)を有する1つ以上の後方タイル(21)をレンダリングするステップと
をさらに含み、
前記地図情報が表示されると、前記1つ以上の後方タイル上の前記1つ以上の画像領域(23)は、前記前方タイル内の前記シースルー形状(22)を通して見られ
前記前方タイルと前記後方タイルとは互いに奥行き間隔によって距離をとり、前記後方レイヤは、前記画像領域(23)を取り囲む境界領域(24)をさらに含んでおり、前記地図情報が表示されると、少なくとも一部の前記境界領域は前記シースルー形状(22)を通して見られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
表示される前記画像に、3つ以上のレイヤ又は複数のタイルの3つ以上のレイヤをレンダリングするステップをさらに含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項4】
2つ以上の異なる透明性レベル(61,62)を用いて、レイヤ又はタイル内のシースルー形状をレンダリングするステップをさらに含むことを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記シースルー形状の本体に、異なる透明性レベルで、レイヤ又はタイル内の前記シースルー形状のエッジをレンダリングするステップをさらに含むことを特徴とする請求項乃至の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記画像が表示されている間に、前記前方レイヤ又は前記前方タイルに関連して後方レイヤ又は後方タイルの位置を変更するステップをさらに含むことを特徴とする請求項乃至の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
誤った画像領域が前記シースルー形状を通して見られることを回避するためのユーザの視距離の機能として、前記前方レイヤ又は前記前方タイルと、前記後方レイヤ又は前記後方タイルとの間の距離を変更するステップをさらに含むことを特徴とする請求項乃至の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
画像を表示する装置であって、
平面内に1つ以上のシースルー形状を有する前方レイヤと、前記前方レイヤの後方に位置し、かつ、当該平面上に、前記前方レイヤの平面内の前記1つ以上のシースルー形状と重なり合うと共に所定の特徴に対応する1つ以上の画像領域を有する後方レイヤをレンダリングする手段を備え、
前記画像が表示されると、前記後方レイヤ上の前記1つ以上の画像領域は、前記前方レイヤ内の前記シースルー形状を通して見られ
前記前方レイヤと前記後方レイヤとは互いに奥行き間隔によって距離をとり、前記後方レイヤは、前記画像領域(23)を取り囲む境界領域(24)をさらに含んでおり、前記画像が表示されると、少なくとも一部の前記境界領域は前記シースルー形状(22)を通して見られることを特徴とする装置。
【請求項9】
ナビゲーション装置又は地図作成装置をさらに備え、
前記ナビゲーション装置又は前記地図作成装置は、
デジタル地図をユーザに表示するためのディスプレイ(240)と、
デジタル地図データにアクセスし、タイルベースの地図情報レンダリングを使用して、デジタル地図を前記ディスプレイ上に表示させるように構成されたプロセッサ(210)と
を備え、
前記プロセッサは、
前記地図情報を表示するタイルが表示されるように、
平面内に1つ以上のシースルー形状(22)を有する前方タイル(20)をレンダリングし、
前記前方タイルの後方に位置し、かつ、当該平面上に、前記前方タイルの平面内の前記1つ以上のシースルー形状(22)と重なり合うと共に所定の特徴に対応する1つ以上の画像領域(23)を有する1つ以上の後方タイル(21)をレンダリングする手段を備え、
前記地図情報が表示されると、前記1つ以上の後方タイル上の前記1つ以上の画像領域は、前記前方タイル内の前記シースルー形状(22)を通して見られ
前記前方タイルと前記後方タイルとは互いに奥行き間隔によって距離をとり、前記後方レイヤは、前記画像領域(23)を取り囲む境界領域(24)をさらに含んでおり、前記地図情報が表示されると、少なくとも一部の前記境界領域は前記シースルー形状(22)を通して見られることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
平面内に1つ以上のシースルー形状を有する前方レイヤと、前記前方レイヤの後方に位置し、かつ、当該平面上に、前記前方レイヤの平面内の前記1つ以上のシースルー形状と重なり合う1つ以上の画像領域を有する後方レイヤをレンダリングする前記手段、及び、前記地図情報を表示するタイルが表示されるように、平面内に1つ以上のシースルー形状(22)を有する前方タイル(20)をレンダリングし、前記前方タイルの後方に位置し、かつ、当該平面上に、前記前方タイルの平面内の前記1つ以上のシースルー形状(22)と重なり合う1つ以上の画像領域(23)を有する1つ以上の後方タイル(21)をレンダリングする前記手段は、
表示される前記画像に、3つ以上のレイヤ又は複数のタイルの複数のレイヤをレンダリングする手段を備えることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
平面内に1つ以上のシースルー形状を有する前方レイヤと、前記前方レイヤの後方に位置し、かつ、当該平面上に、前記前方レイヤの平面内の前記1つ以上のシースルー形状と重なり合う1つ以上の画像領域を有する後方レイヤをレンダリングする前記手段、及び、前記地図情報を表示するタイルが表示されるように、平面内に1つ以上のシースルー形状(22)を有する前方タイル(20)をレンダリングし、前記前方タイルの後方に位置し、かつ、当該平面上に、前記前方タイルの平面内の前記1つ以上のシースルー形状(22)と重なり合う1つ以上の画像領域(23)を有する1つ以上の後方タイル(21)をレンダリングする前記手段は、
2つ以上の異なる透明性レベル(61,62)を用いて、前記前方レイヤ又は前記前方タイル内のシースルー形状をレンダリングする手段を備えることを特徴とする請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
平面内に1つ以上のシースルー形状を有する前方レイヤと、前記前方レイヤの後方に位置し、かつ、当該平面上に、前記前方レイヤの平面内の前記1つ以上のシースルー形状と重なり合う1つ以上の画像領域を有する後方レイヤをレンダリングする前記手段、及び、前記地図情報を表示するタイルが表示されるように、平面内に1つ以上のシースルー形状(22)を有する前方タイル(20)をレンダリングし、前記前方タイルの後方に位置し、かつ、当該平面上に、前記前方タイルの平面内の前記1つ以上のシースルー形状(22)と重なり合う1つ以上の画像領域(23)を有する1つ以上の後方タイル(21)をレンダリングする前記手段は、
前記シースルー形状の本体に、異なる透明性レベルで、タイル内の前記シースルー形状のエッジをレンダリングする手段を備えることを特徴とする請求項9乃至11の何れか1項に記載の装置。
【請求項13】
平面内に1つ以上のシースルー形状を有する前方レイヤと、前記前方レイヤの後方に位置し、かつ、当該平面上に、前記前方レイヤの平面内の前記1つ以上のシースルー形状と重なり合う1つ以上の画像領域を有する後方レイヤをレンダリングする前記手段、及び、前記地図情報を表示するタイルが表示されるように、平面内に1つ以上のシースルー形状(22)を有する前方タイル(20)をレンダリングし、前記前方タイルの後方に位置し、かつ、当該平面上に、前記前方タイルの平面内の前記1つ以上のシースルー形状(22)と重なり合う1つ以上の画像領域(23)を有する1つ以上の後方タイル(21)をレンダリングする前記手段は、
前記画像が表示されている間に、前記前方レイヤ又は前記前方タイルに関連して後方レイヤ又は後方タイルの位置を変更する手段を備えることを特徴とする請求項9乃至12の何れか1項に記載の装置。
【請求項14】
平面内に1つ以上のシースルー形状を有する前方レイヤと、前記前方レイヤの後方に位置し、かつ、当該平面上に、前記前方レイヤの平面内の前記1つ以上のシースルー形状と重なり合う1つ以上の画像領域を有する後方レイヤをレンダリングする前記手段、及び、前記地図情報を表示するタイルが表示されるように、平面内に1つ以上のシースルー形状(22)を有する前方タイル(20)をレンダリングし、前記前方タイルの後方に位置し、かつ、当該平面上に、前記前方タイルの平面内の前記1つ以上のシースルー形状(22)と重なり合う1つ以上の画像領域(23)を有する1つ以上の後方タイル(21)をレンダリングする前記手段は、
誤った画像領域が前記シースルー形状を通して見られることを回避するためのユーザの視距離の機能として、前記前方レイヤ又は前記前方タイルと、前記後方レイヤ又は前記後方タイルとの間の距離を変更することを特徴とする請求項9乃至13の何れか1項に記載の装置。
【請求項15】
請求項乃至14の何れか1項に記載の装置を備える携帯ナビゲーションデバイス(PND)、又は、一体型ナビゲーションシステム。
【請求項16】
請求項1乃至の何れか1項に記載の方法の各ステップを実行するコンピュータで読取可能なプログラム命令を含むプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションデバイス、ならびに、ナビゲーション地図など、地図情報を表示するための方法及び装置に関する。本発明の例示的実施形態は、ポータブルナビゲーションデバイス(いわゆるPND)に関し、特に、全地球測位システム(GPS)信号受信及び処理機能性を含むPNDに関する。他の実施形態は、より一般的には、経路計画及び好ましくはナビゲーションの機能性をも提供するために、地図情報を表示するように、かつ/又は、ナビゲーションソフトウェアを実行するように構成される、あらゆるタイプの処理デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(全地球測位システム)信号受信及び処理機能性を含むポータブルナビゲーションデバイス(PND)は、周知であり、車載又は他の車両ナビゲーションシステムとして広く採用されている。
【0003】
一般的に言えば、現代のPNDは、プロセッサ、メモリ(揮発性及び不揮発性のうち少なくとも一方であり、一般的にはその双方)、ならびに、前記メモリ内に格納された地図データを備える。プロセッサ及びメモリは協働して、ソフトウェアオペレーティングシステムが確立されうる実行環境を提供し、加えて、PNDの機能性を制御できるように、かつ、様々な他の機能を提供するために、1つ以上の追加のソフトウェアプログラムが提供されることは、一般的である。
【0004】
典型的には、これらのデバイスは、ユーザがデバイスと対話し、かつデバイスを制御できるようにする、1つ以上の入力インタフェース、及び、それを用いて情報がユーザに中継されうる、1つ以上の出力インタフェースをさらに備える。出力インタフェースの例示的な例には、視覚的ディスプレイ及び可聴出力用スピーカが含まれる。入力インタフェースの例示的な例には、オン/オフ動作又はデバイスの他の特徴を制御するための1つ以上の物理的ボタン(ボタンは必ずしもデバイス自体にある必要はなく、デバイスが車両に内蔵されている場合、ハンドル上にあってもよい)、及び、ユーザの発話を検出するためのマイクロホンが含まれる。特定の好ましい構成では、出力インタフェースディスプレイは、それを用いてユーザが触れることでデバイスを操作することができる、入力インタフェースをさらに提供するように、(タッチセンシティブオーバーレイを用いて、又は他の方法で)タッチセンシティブディスプレイとして構成されてもよい。
【0005】
このタイプのデバイスはまた、それを用いて電力及び任意選択でデータ信号を装置に送信し、装置から受信することができる、1つ以上の物理コネクタインタフェースを含むことも多く、また、任意選択で、セルラー電気通信、ならびに、例えば、Wi−Fi、Wi−Max GSM(登録商標)など、他の信号及びデータネットワークを介した通信を可能にするための、1つ以上の無線送信機/受信機を含むことも多くなる。
【0006】
このタイプのPNDデバイスは、それを用いて、場所データを含む衛星放送信号が受信され、かつ、その後にデバイスの現在地を決定するために処理されうる、GPSアンテナをも含む。
【0007】
PNDデバイスはまた、現在の角加速度及び直線加速度を決定するために、また、GPS信号から導出された場所情報と共に、デバイス及びしたがってデバイスが搭載される車両の速さ及び相対変位を決定するために処理されうる信号を生成する、電子ジャイロスコープ及び加速度計をも含んでもよい。典型的には、そのような特徴は、車載ナビゲーションシステムに備えられることが最も一般的であるが、PNDデバイスに備えることが好都合である場合、そのようにしてもよい。
【0008】
そのようなPNDの有用性は、主に、第1の場所(典型的には、出発地又は現在地)と第2の場所(典型的には、目的地)の間の経路を決定するそれらの能力に表れる。これらの場所は、デバイスのユーザによって、例えば、郵便番号、通りの名称及び番地、以前に格納された「周知」の目的地(有名な場所、市営の場所(運動場もしくは水泳プールなど)又は他の着目地点など)、ならびに、お気に入りの目的地又は最近訪れた目的地など、幅広い種類の異なる方法のいずれかによって入力することができる。
【0009】
典型的には、PNDは、地図データから出発地の住所の場所と目的地の住所の場所の間の「最善」又は「最適」な経路を計算するためのソフトウェアによって、可能にされる。「最善」又は「最適」な経路は、所定の基準に基づいて決定され、必ずしも最速又は最短の経路である必要はない。それに沿って運転者を案内するための経路の選択は、非常に高度である可能性があり、選択される経路では、既存の予測された、動的にかつ/又は無線で受信された交通及び道路情報、道路速度に関する履歴情報、ならびに、道路の選択肢を決定する要因に対する運転者自身の好みを考慮に入れてもよい(例えば、運転者は、経路が高速道路又は有料道路を含むべきでないことを指定してもよい)。
【0010】
加えて、デバイスは、道路及び交通状況を継続的に監視し、状況変化によりとられるべき残りの行程に対して経路を変更することを提案又は選択してもよい。様々な技術(例えば、携帯電話データ交換、固定カメラ、GPSフリートトラッキング)に基づく、リアルタイム交通監視システムは、交通の遅れを識別し、その情報を通知システムに供給するために、使用されている。
【0011】
このタイプのPNDは、典型的には、車両のダッシュボード又はフロントガラスに搭載されてもよいが、車両のラジオの内蔵コンピュータの一部として、又は、実際には車両自体の制御システムの一部として形成されてもよい。ナビゲーションデバイスはまた、PDA(ポータブルデジタルアシスタント)、メディアプレーヤ、携帯電話、その他など、ハンドヘルドシステムの一部であってもよく、これらの場合、ハンドヘルドシステムの標準の機能性は、経路計算及び計算された経路に沿ったナビゲーションを共に行うために、ソフトウェアをデバイスにインストールすることによって拡張される。
【0012】
経路計画及びナビゲーション機能性はまた、適切なソフトウェアを実行するデスクトップ又はモバイルコンピューティングリソースによって提供されてもよい。例えば、Royal Automobile Club(RAC)は、http://www.rac.co.ukにおいて、オンライン経路計画及びナビゲーション設備を提供し、この設備により、ユーザは出発地点及び目的地を入力することができ、その後、ユーザのPCが接続されるサーバは、経路(経路の方位はユーザによって指定されてもよい)を計算し、地図を生成し、選択された出発地点から選択された目的地までユーザを案内するための完全なナビゲーション命令のセットを生成する。この設備はまた、計算された経路の擬似3次元レンダリング、及び、ユーザが経路に沿って移動することをシミュレートし、かつ、それにより計算された経路のプレビューをユーザに提供する、経路プレビュー機能性をも提供する。
【0013】
PNDの状況では、経路が計算された後、ユーザは、ナビゲーションデバイスと対話して、任意選択で提案された経路のリストから、所望の計算された経路を選択する。任意選択で、ユーザは、例えば、特定の経路、道路、場所又は基準が特定の行程に対して回避されるべきであるか、又は必須であることを指定することによって、経路選択処理に介入し、又は、経路選択処理を誘導してもよい。PNDの経路計算態様は、1つの主な機能を形成し、そのような経路に沿ったナビゲーションは、もう1つの主な機能である。
【0014】
計算された経路に沿ったナビゲーション中に、そのようなPNDが、選択された経路に沿って、その経路の終点、すなわち所望の目的地まで、ユーザを案内するための視覚及び/又は可聴命令を提供することは、通常である。また、PNDがナビゲーション中に画面上に地図情報を表示することも、通常であり、そのような情報は、表示された地図情報がデバイスの現在地、及び、したがって、デバイスが車載ナビゲーションに使用されている場合はユーザ又はユーザの車両の現在地を表すように、画面上で定期的に更新される。
【0015】
画面上に表示されたアイコンは典型的に、デバイスの現在地を示し、デバイスの現在地付近の現在の道路及び周囲の道路の地図情報と共に中央に置かれ、他の地図の特徴もまた表示される。加えて、ナビゲーション情報は、任意選択で、表示された地図情報の上、下又は片側のステータスバーに表示されてもよく、ナビゲーション情報の例には、ユーザによって選ばれる必要のある現在の道路から次の進路変更までの距離が含まれ、その進路変更の性質は、場合によっては、例えば、左折又は右折など、特定のタイプの進路変更を示唆するさらなるアイコンによって表現される。ナビゲーション機能はまた、それによってユーザが経路に沿って案内されうる可聴命令の内容、継続時間及びタイミングをも決定する。理解されるように、「100m先で左折」など、単純な命令が、かなりの処理及び解析を必要とする。上述のように、デバイスとのユーザ対話は、タッチスクリーンによって行われてもよく、又は、加えてもしくは別法として、ステアリングコラム搭載リモコンによって、音声起動によって、もしくは、任意の他の適切な方法によって行われてもよい。
【0016】
デバイスによって提供されたさらなる重要な機能は、自動経路再計算であり、ユーザがナビゲーション中に事前に計算された経路から外れ(偶然又は意図的に)、代わりの経路の方がより好都合となることをリアルタイムの交通状況が指示し、デバイスがそのような状況を自動的に認識することを適切に可能にされる場合、又は、ユーザが何らかの理由で能動的にデバイスに経路再計算を行わせる場合のものである。
【0017】
ユーザにより定義された基準で経路を計算できることもまた知られており、例えば、ユーザは、景色のよい経路がデバイスによって計算されることを好んでもよく、又は、交通渋滞が起こる可能性が高いか、起こることが予想されるか、もしくは現在起こっているあらゆる道路を回避することを望んでもよい。デバイスソフトウェアは次いで、様々な経路を計算し、例えば、景色が美しい所としてタグが付けられた着目地点(POIとして知られる)を経路に沿って最も多く含む経路により有利に重み付けするか、又は、特定の道路上で起こっている交通状況を示す格納情報を使用して、起こる可能性のある渋滞もしくはそのために起こる遅滞のレベルに関して、計算された経路を順序付けるようになる。他のPOIに基づく、及び、交通情報に基づく、経路計算及びナビゲーション基準もまた可能である。
【0018】
経路計算及びナビゲーション機能は、PNDの全体的な有用性にとって必須であるが、デバイスを純粋に情報表示のために使用すること、すなわち、デバイスの現在地に関連する地図情報のみが表示され、経路が全く計算されておらず、ナビゲーションが現在、デバイスによって全く実行されていない「フリードライビング」のために使用することは、可能である。そのような動作モードは、それに沿って移動することが望ましい経路をユーザが既に知っており、かつ、ナビゲーション支援を必要としないとき、適用可能であることが多い。
【0019】
上述のタイプのデバイス、例えば、TomTom International B.V.によって製造かつ供給されたGO 950 LIVEモデルは、ユーザがある位置から別の位置までナビゲートできるようにするための、信頼できる手段を提供する。
【0020】
上記から理解されるように、そのようなナビゲーションデバイスの動作の重要な態様は、デバイスによるユーザへの地図情報の表示である。これは、例えば、フレーム毎にベクトルデータに基づいて、シーン全体をレンダリングすることによって、行われうる。
【0021】
もう1つの知られている技術は、地図情報を(3D世界において)タイル毎に表現すること、すなわち、地図の3D「世界」のビュー(当技術分野で知られているように、次いで、表示のために2D画面空間に変換されるようになる)を、1つ以上のタイルとして表現することであり、各タイルは、表示される地図の3D世界のビュー内で、地図の一部又は全部を表現するものである。
【0022】
そのような構成では、タイルを、当技術分野で知られているように、様々な解像度で格納かつ表示して(ミップマップ)、生成されたタイルの格納要件を減らしながら、さらなる視覚的改善を提供することができる。異なる解像度のタイルをまたオーバーレイかつフィルタリングして、ミップマップ間のよりシームレスな移行を提供することもできる。
【0023】
そのようなタイルベースの地図及び道路網レンダリングは、2次元及び3次元の両方で道路網及び地理的データを表示するための、効率的かつ強力な方法である。タイルベースのレンダリングは、大抵のモバイルグラフィックスレンダリングサブシステム(典型的には、PND内で使用されるようになる(かつ、当技術分野で知られているように、ハードウェア又はソフトウェア又は両方で実装されうる)ものである)において、許容可能なフレームレートを得るために処理することができるジオメトリの量が限られていること、及び、デスクトップグラフィックスアクセラレータで見られるより強力な特徴の多くが、まだモバイル空間に達していないことを考えれば、特に効率的である。
【0024】
しかし、表示されるあらゆるものは、当然、タイル自体の中(及び、したがってタイル自体と同一平面上)に埋め込まれなければならず、又は、余分なジオメトリの形(例えば、ビル)でタイルの上に追加される必要がある点で、タイルベースの解決策には制限がある。前者は典型的には、道路には十分であり、後者はビルに十分であるが、出願人は、タイルベースの方法が、それらの現在の形式においては、水面特徴(運河、川、その他)及び/又はより低い道路部分など、地表レベルより下(もしくは、それより上)にある特徴、すなわち、実際には、地表レベルより低いかもしくは高いところに表現されうる任意の「野外」の特徴を表示するためには、それほどよく適していないことを理解している。
【0025】
例えば、そのような特徴を地表の平面と同一平面上(すなわち、「その中」)にレンダリングすることはできるが、それでは、所望の視覚的品質が得られないことが多い。
【0026】
別法として、タイルジオメトリを修正することによって、例えば、タイルをより小さいタイル及び/もしくは三角形に細分し、かつ、これらを下げるかもしくは上げることによって、又は、例えば、三角形の頂点が正しい高さ又は奥行きに配置される、三角形のメッシュを使用することによって、そのような特徴を得ることができる。しかし、これにより、格納かつ処理される必要のあるジオメトリの量が大幅に増大し、一般には、性能の低下及び格納コストの上昇につながる。
【0027】
より小さい特徴に対しては、(ハードウェア支援)バンプマッピングなどの技術を使用することができる。新しいハードウェア上で、頂点又はジオメトリシェーダなど、グラフィックスアクセラレータの特徴を使用して、グラフィックスアクセラレータに供給されたジオメトリを修正することができる。加えて、エッジ検出及び押し出しなどの技術を使用して、境界効果をシミュレートすることができる。
【0028】
しかし、特にモバイルデバイス上では、そのような技術は、必要とされたジオメトリの量により効率的でないか、又は、必要なハードウェアの特徴が、そのデバイス内で使用されるグラフィックスレンダリングサブシステム内で欠けていることにより、不可能であるかのいずれかでありうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
出願人は、したがって、ナビゲーションデバイスにおける地図情報の表示を改善する余地が残っていると考える。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明の第1の態様によれば、タイルベースの地図情報レンダリングを使用して、地図情報を表示する方法が提供され、この方法は、
地図情報を表示するタイルが表示されるように、
そのタイルの平面内に1つ以上のシースルー形状を有する、前方タイルをレンダリングするステップ、及び、
前方タイルの後方に位置し、かつ、当該平面上に、前方タイルの平面内の1つ以上のシースルー形状と重なり合う1つ以上の画像領域を有する、1つ以上の後方タイルをレンダリングするステップとを含み、地図情報が表示されると、1つ以上の後方タイル上の画像領域が前方タイル内のシースルー形状を通して見られるようになる。
【0031】
本発明の第2の態様によれば、ナビゲーション装置又は地図作成装置が提供され、この装置は、
デジタル地図をユーザに表示するためのディスプレイと、
デジタル地図データにアクセスし、タイルベースの地図情報レンダリングを使用して、デジタル地図をディスプレイ上に表示させるように構成されたプロセッサとを備え、プロセッサが、
地図情報を表示するためにタイルが表示されるように、
そのタイルの平面内に1つ以上のシースルー形状を有する、前方タイルをレンダリングする手段と、
前方タイルの後方に位置し、かつ、当該平面上に、前方タイルの平面内の1つ以上のシースルー形状と重なり合う1つ以上の画像領域を有する、1つ以上の後方タイルをレンダリングする手段を備え、地図情報が表示されると、1つ以上の後方タイル上の画像領域が前方タイル内のシースルー形状を通して見られるようになることによって、特徴付けられる。
【0032】
本発明では、表示されるべき地図情報は、1つ以上のシースルー形状が設けられている前方タイルをレンダリングすること、及び、前方タイルの後方にある1つ以上のさらなるタイルをレンダリングして、実質的に、前方タイル内のシースルー形状を(追加の視覚情報で)「埋める」ことによって、レンダリングされる。特に、後方タイルは、その上に、表示された画像内の前方タイル(複数可)内のシースルー形状を通して見られるようになる画像領域を有する。
【0033】
以下でさらに論じるように、出願人は、これが、例えば、水面特徴、ビル、ビルの窓、その他など、所与の平面より上又は下に位置する特徴をより現実的にレンダリングするが、例えば、モバイルデバイスなど、より制限された(例えば、グラフィックスジオメトリが制限された)デバイス上で使用するために適切である、より効率的な方法で行うための技術を提供できることを理解している。
【0034】
さらに、本技術の視覚的品質は、例えば、ゲームで使用される、より複雑な方法(例えば、頂点カウントの増加、バンプマッピングなど)に完全に匹敵できるものではないことがあるが、例えば、タイルベースの地図表示の視覚的品質を向上させるための、比較的高速かつ効率的な方法を提供することができる。
【0035】
したがって、本発明は、組み込みグラフィックスハードウェアによく適しており、その理由は、本発明が、ジオメトリの限定的な増大のみで、又は、ジオメトリを増大せずに(例えば、既存の頂点バッファオブジェクトを再利用することによって)、所望の効果を作り出すことができるからである。本発明は、したがって、PND用の現在及び(近い)将来のシステムオンチップ構成で使用するためによく役立つものであり、その理由は、それに含まれるグラフィックスレンダリングサブシステムのタイプは典型的には、効率的に処理できるジオメトリの量がかなり限られているからである。
【0036】
そうは言うものの、以下でさらに論じるように、本発明は、ポータブルでより制限されたデバイスにのみ適用可能ではなく、望むなら、より強力なグラフィックスレンダリングサブシステムに対してもまた有利に使用されうる。
【0037】
上記から理解されるように、レンダリングされ、本発明のこれらの態様において言及されているタイルは、地図情報を3D空間内で表現するタイルであり、したがって、表示のために画面空間内で2Dシーンをレンダリングするときに使用される「タイル」ではなく、むしろ、実際に表示されると、次いで2D画面空間へ投影されるようになる、3D世界内のタイルである。このように、本明細書におけるタイルベースのレンダリングへの言及は、文脈上異なる解釈を明らかに要する場合を除き、表示されるべき画像(例えば、地図情報)が3D「世界」空間内で1つ以上のタイルとして表現される構成を指すように意図され、そのタイルは次いで、表示のために2D「画面」空間内に投影される。
【0038】
同様に、「前方」タイル及び「後方」タイルへの言及は、3D世界空間内のタイルの相対的位置を指すように意図され、例えば、「前方」タイルが当の3D世界空間タイル位置にとって最も前方のタイルであることも、また、同様に、「後方」タイルがそのタイル位置にとって最も後方のタイルであることも、必要としない。(しかし、そうは言うものの、言うまでもなく、最も前方のタイル及び最も後方のタイルが共に3D世界空間内の任意の所与の位置にあることになり、ただ1つの前方及び後方タイルが3D世界空間内の所与の位置にある場合には、前方タイル及び後方タイルは、そのとき最も前方のタイル及び最も後方のタイルとなる。)このように、一般に、文脈上異なる解釈を要する場合を除き、「前方」タイル及び「後方」タイルへの言及は、各対のタイルのうち前方及び後方へのタイルを指すものであり、必ずしも任意の所与の位置の最も前方のタイル及び最も後方のタイルを指すわけではない。
【0039】
前方タイル及び後方タイルのレンダリング順序は、望むように選択することができる(すなわち、前方タイルが最初にレンダリングされるか、後方タイルが最初にレンダリングされるかであるが、好ましい実施形態では、その順序は後方から前である(ペインタのアルゴリズム)ので、前方タイル(複数可)のシースルーでない部分が奥のタイル(複数可)を覆うようになることにも留意されたい。
【0040】
本発明の技術は、例えば、表示されている画像の性質に応じて、表示された地図情報(表示されている画像)の望まれるだけの数のタイル(タイル位置)に対して使用されてもよい。したがって、例えば、本発明の技術を使用してレンダリングされる画像の単一のタイル位置のみがあってもよく、又は、そのようにレンダリングされる複数のタイル(タイル位置)があってもよく、実際には、より典型的にはそうでありうる(これは、例えば、水面特徴など、表示されている画像(地図)の複数のタイルを通過する特徴がある場合となる)。本発明の技術を使用してレンダリングされないあらゆるタイルは、通常の方法でレンダリングされてもよい。
【0041】
本発明の方法でレンダリングされるべきである前方タイル毎に、単一又は複数の後方タイルがあってもよい(逆の場合も同じ(単一の後方タイルに対して複数の前方タイル))。1つの好ましい実施形態では、本発明の方法でレンダリングされる「前方」タイル毎に、単一の後方タイルがある。
【0042】
前方タイルは、例えば、「地表」を表現してもよく、その場合、例えば、適切にテクスチャリングされるべきであり、シースルー形状は次いで、水面特徴、トンネル、切り通し、その他など、地下レベルの特徴の位置を表現するようになる。前方タイルが、ビルの屋根など、「地表」より上のレベルの特徴を表現することもまた可能となる。この場合、シースルー形状は、例えば、道路、野原、その他など、地表レベルの特徴の位置を表現することができる。
【0043】
前方タイルが、地表ではなく、ビル又は他の物体の側面(例えば、水平ではなく、垂直の平面)など、ある他の平面を表現することもまた可能となる。この場合、前方タイルを使用して、例えば、シースルー形状をそのとき、例えば、ビルの窓及び/又は出入り口の位置として、ビルの外面をレンダリングすることができる。
【0044】
1つ以上の後方タイル(前方タイルの後方にあるタイル)は、したがって、トンネル、水面特徴、その他などの地下レベルの特徴、地表レベルの特徴、又は、垂直平面内の特徴など、前方タイルの後方に位置し、かつ、前方タイル内のシースルー形状によって形成された「ギャップ」を通して見られるべきである、適切な特徴を適宜表現するべきである。
【0045】
後方タイル(又は、後方タイルの積み重ね)内の画像領域は、したがって、前方タイル(又は、タイルの積み重ね)内のシースルー形状を「通して」見られるべきである、関連のある特徴を表現するか、又は示すべきである。したがって、これらの画像領域は、水面特徴、トンネル、切り通し、ビルの窓、道路、野原、庭などのうち、1つ以上を表現することが好ましい。画像領域は、それに対応して、画像がレンダリングされるとき、一般に、前方タイル内のシースルー領域と重なり合う(一致する)ように構成されるべきである。したがって、好ましい実施形態では、後方タイル(複数可)内の画像領域(複数可)は一般に、前方タイル内の対応するシースルー形状(複数可)と同様のサイズになる(合致する)ようにレンダリングされる。後方タイル上の画像領域は、前方タイル上の対応するシースルー形状と同じサイズ、形状及び位置を後方タイル上で有することが最も好ましい。
【0046】
特に好ましい実施形態では、後方タイル(複数可)は、前方タイル内のシースルー形状を通して見られるように意図される画像領域が、異なる外観を有する他の領域によって縁取られ、かつ/又は、囲まれるように、レンダリングされる。後方タイル内の画像領域は、画像領域に対する境界を表現するさらなる領域によって縁取られ、前方タイル及び後方タイルは、画像が表示されると、境界領域もまた、少なくとも部分的には、前方タイル内のシースルー形状(複数可)を通して見られるように、レンダリング(構成)されることが最も好ましい。これは次いで、後方タイル内の画像領域に対する境界効果を比較的簡単に与えることができる。
【0047】
したがって、特に好ましい実施形態では、後方タイルは、対応する前方タイル内のシースルー形状を通して見られるべきである所定の特徴に対応する画像領域であって、その領域に対する、好ましくは対照的な、境界を表現する(かつ、好ましくは、前方タイルを通して同様に可視となるように位置付けられる)色及び/又はテクスチャによって縁取られた画像領域を含む。
【0048】
そのような境界効果は、表示の視覚的品質をかなり高めることができる。特に、出願人は、前方タイルを通して見られるようになる画像領域に対する対照的な境界を設けることによって、見る人にとって、その境界領域が、表示された画像内の前方タイルと後方タイルの間に伸び、それにより、表示された画像内で拡張された奥行きの印象を与える(かつ、実質的に、前方タイルと後方タイルの間の「ギャップ」を埋める)表面又はエッジであることが、分かりやすくなることを理解している。
【0049】
このように、後方タイル上の境界及び画像領域の配置は、画像が表示されると、境界が後方タイル上の画像領域と前方タイル上の画像の間に現れるようにするべきである。境界は、したがって、前方タイル内のシースルー形状のエッジと、後方タイル上の画像領域の間に現れるべきである。
【0050】
境界は、画像が表示されると、後方タイル内の画像領域のどこにでも見られる必要はない(かつ、実際には、見られないことが好ましい)ことも理解されたい。むしろ、境界は、当の視方向にとって適切となるように見られることが好ましく、例えば、また好ましくは、見る者から見て画像領域の遠い側で見られ、見る者から見て画像領域の近い側では見られない(前方タイルによって遮られるようになる場合)。これにより、後方タイル内の画像領域が前方タイルに対して異なるレベルにあるかのように見える、視覚的効果が高まる。
【0051】
後方タイル上の画像領域が、例えば、前方タイル上の対応するシースルー形状と同じサイズ、形状及び位置を後方タイル上で有する場合、3D世界空間内で前方タイルの後方に後方タイルを有することによって、画像領域を囲む境界は、画像が表示のために2D画面空間に投影されるとき、適切に見られるべきである。
【0052】
境界(領域)はまた、それに応じて、好ましくは、後方タイル上の画像領域に対して対照的な色又は陰となるようにレンダリングされる。境界(領域)は、画像領域より暗い、例えば、黒、又は濃い青、又は濃い灰色であることが好ましい。
【0053】
画像領域及び境界などは、任意の適切な技術を使用して、例えば、特定のテクスチャをタイルの関連のある領域に適用することによって、レンダリングされてもよい。
【0054】
1つ以上の後方タイルは、前方タイルの後方に(すなわち、それとは異なる平面に)あるべきであり、好ましくは、適切な方法で、対応する前方タイルの後方でずれて、表示された画像の品質をさらに高めるようにする。好ましい実施形態では、例えば、地図情報表示の場合、(3D空間内の)タイル間の垂直のずれが使用され、その理由は、それにより、次いで、本発明によってもたらされた奥行き効果があらゆる視方向から作用できるようになるからである。この場合、後方タイル(複数可)は、3D世界内で前方タイルより下となる。他の構成では、例えば、ビルの外面など、垂直表面を表示するとき、(3D空間内の)タイル間の水平のずれが使用されてもよく、また、使用されることが好ましい。
【0055】
1つの好ましい実施形態では、単一のレイヤの前方タイル及び単一のレイヤの後方タイルがある。しかし、3つ以上のタイル「レイヤ」を有すること、すなわち、前方タイルの後方に異なる奥行きの複数の後方タイルがあるようにすることもまた可能となる。この場合、中間後方タイル(すなわち、最後の「奥の」タイルではない)は、前方タイル内のシースルー形状を通して見られるべきである画像領域、及び、シースルー形状を共に有して、中間後方タイルより下である後方タイル内の画像領域が、中間後方タイル(及び前方タイル)を通して見えるようにしてもよい。
【0056】
異なる相対的な奥行きでタイル(タイルレイヤ)を積み重ねることによって、異なる(かつ複数の)レベルの特徴及び境界を得ることができる。
【0057】
このように、好ましい実施形態では、1つもしくは複数のシースルー形状を有する前方タイルと、より高いレイヤのタイル(前方タイルなど)内のシースルー領域を通して見られるべき画像領域、及び、シースルー領域を共に有して、より低いレイヤのタイルが見えるようにする、1つもしくは複数のレイヤの中間タイルと、前方及び中間タイル(タイルレイヤ)内のシースルー領域を通して見られるべき画像領域を有する、1つ以上の奥のタイルとが、レンダリングされる。
【0058】
また、例えば、複数のレイヤのタイルがある場合、すべてのタイルレイヤが異なる相対的「奥行き」にあるとは限らない(例えば、すべての後方タイルレイヤがそうであるとは限らない)こともまた可能となる。実際には、好ましい実施形態では、タイルレイヤの奥行きは、視角、地図のエリア、見られている物などに基づいて変更される。
【0059】
タイル(前方及び中間後方タイル)内のシースルー形状を、任意の適切な所望の方法で設けることができる。上述のように、シースルー形状の目的は、タイルの後方にある後方タイル(複数可)内の特徴が、表示された画像内で見えるようにすることである。したがって、例えば、実質的に、平面内でシースルー形状を設ける(平面内でシースルー領域を残す)ことができる、任意の適切なレンダリング技術を使用することができる。
【0060】
1つの好ましい実施形態では、シースルー形状は、アルファテクスチャ(透明性)を使用することによって、レンダリングされる。したがって、透明性要素が、シースルー形状が現れるべきタイルのエリアに適用される。これにより、次いで、見る者が、透明なエリアを通して、下のタイルまで「見通す」ことができるようになる。この技術は、アルファテクスチャが、表示されているタイル又は画像に対して他の方法で既に可能にされている場合に、特に適切でありうるものであり、その理由は、その場合、本発明の目的でアルファテクスチャを使用することに関連する追加の格納コストが生じないからである。
【0061】
好ましい実施形態では、シースルー形状はまた、又はその代わりに、タイルの平面から切り抜かれる(すなわち、実質的に、タイル内に「ギャップ」を残すようになる)。これは、ステンシリング又はシザリングを使用して、タイルからそれらの形状を切り抜くことにより、行われてもよい(かつ、行われることが好ましい)。ステンシルマスクは、ある余分なランタイムの格納を必要とすることがあるが、色情報は格納される必要がなく、ビット地図又はグレースケール画像のみが格納される必要があるので、これは実に効率的でありうる。さらに、ステンシリング動作は典型的には、グラフィックスレンダリングサブシステムハードウェアにおいて実装されるので、典型的には、わずかなコストのみで得られる。ステンシリングを使用することは、アルファテクスチャを使用するコストが望ましくないであろう場合に、有利でありうる。
【0062】
望むなら、ピクセルシェーディングなど、他の技術もまた、又はその代わりに、タイル内のシースルー形状を設けるために使用することができる。
【0063】
シースルー形状は、完全に透明であってもよく、又は、部分的にのみ透明になるように、もしくはそれら2つの組み合わせになるようにレンダリングされてもよい。例えば、トンネルをレンダリングするためのシースルー形状は、トンネルの入口で完全に透明になるように、しかし、トンネルが実際に地下であるところでは半透明のみになるように、レンダリングされてもよい。このように、特に好ましい実施形態では、タイル内のシースルー形状を、様々な、かつ/又は、異なる透明性レベルを使用して、レンダリングすることができる。
【0064】
特に好ましい実施形態では、シースルー形状のエッジは、シースルー形状の本体に対して異なる透明性により、かつ、好ましくは、シースルー形状の本体よりも透明度が低くなるようにレンダリングされる。例えば、半透明性を、タイル内のシースルー形状のエッジに適用することによって、表示された画像内で硬い線を回避することができる。
【0065】
いくつかの他の技術もまた、表示された画像の品質を高めるために使用されることが好ましい。
【0066】
例えば、好ましい実施形態では、後方タイルは、それらの対応する前方タイルに対して拡大されることが好ましい。これは、世界のエッジで生じた視覚的アーチファクトを補償する助けとなりうる(が、これは、連続的な景色においてはあまり頻繁に起こるべきではない)。
【0067】
同様に、好ましい実施形態では、対応する前方タイルに対する後方タイルの位置(例えば、ずれ)は、例えば、前方タイルに対する2つ(又はそれより多い)位置の間で、例えば、フレーム毎に変動するように、使用中に(画像が表示されているとき)変わることが可能であり、また、変わることが好ましい。これを使用して、例えば、水面をレンダリングするとき、潮又は波の効果を与えることができる。
【0068】
好ましい実施形態では、使用可能である場合、ピクセルシェーディング動作が使用されて、表示されている画像の質が高められ、好ましくは、前方タイルを通して見られるようになるタイルの画像領域に効果が適用される。例えば、ピクセルシェーディング動作を使用して、水面特徴をレンダリングするとき、太陽光及び/又は波の反射をシミュレートして、より現実的な水面効果を作り出すことができる。これらの動作は、比較的少数の後方の(より低い)レイヤのタイル上で行われるのみでよい場合があるので、これは、シーン内のすべてのタイルに対してシェーダプログラムを可能にすることよりも、効率的でありうる。
【0069】
好ましい実施形態では、前方タイル及びその(すぐ)後方であるタイルなど、隣接したタイルレイヤの間の奥行き間隔(距離)は、誤った画像領域が前方タイル内のシースルー形状を通して可視となることを回避するように、設定又は構成される。出願人は、ある場合においては、例えば、前方タイルと後方タイルの間の距離が長過ぎるか、又は、前方タイル内の「ギャップ」の間の空間が小さ過ぎるとき、後方タイル内の隣接した(すなわち、誤った)画像領域の特徴は、特に、より奥行きのない視角では、前方タイル内の所与のシースルー形状を通して可視になりうることを理解している。しかし、出願人は、これを、前方タイル及び後方タイルの(平面)の間の間隔を減らすことによって阻止できることをさらに理解している。
【0070】
特に好ましいこのような構成では、レンダリングされたタイルレイヤの間の距離(タイルレイヤがレンダリングされるときの、タイルレイヤのための奥行きの値の差)が、好ましくは自動的に選択され、また、当のタイルの視距離に応じて自動的に減らされることが好ましい(視距離は、直線として測定され、ユーザの視点(すなわち、ユーザの目)から、タイルがある空間内の(仮想の)点までの距離である)。出願人は、見る者からの距離が増すにつれて、視角が減る傾向があることを理解している。したがって、視距離が増すにつれて、自動的にタイル間隔を減らすことは、所望の効果を達成するための有効かつ効率的な機構を提供する。
【0071】
これらの実施形態の特に好ましい構成では、システムは、タイルレイヤ間隔がゼロである、かつ/又は、特定の、好ましくは所定の、ゼロの範囲内であるとき、後方タイルを省略する(レンダリングしない)ように構成される。(この場合、そうでない場合は後方タイル(複数可)上で表示されていなかったであろう(視覚)情報が、代わりに前方タイルに含まれるべきである。)
この問題を小さくするためのもう1つの機構は、そのような状況を検出し、例えば、領域の面内の距離を(限度内で)人為的に増して、その効果を打ち消すことである。
【0072】
好ましい実施形態では、一対の前方タイル及び後方タイルのうち、後方タイルが前方タイルに対して傾けられ、好ましくは、(画像に向かって見る位置から見て)タイルの遠い側を、タイルのより近い側に対して上に傾けることによって行われる。これもまた、後方タイル内で隣接した画像領域の望ましくない可視性を低減する助けとなりうる。
【0073】
また、後方タイルをこのように傾けることを使用して、例えば、トンネルの入口及び出口を表示することもできる。この場合、所与の前方タイルは、その後方に配置された2つの後方タイルを有してもよく、好ましい実施形態ではそうであり、上に傾けられて前方タイルに当たる(かつ、したがって、トンネルの入口又は出口を描く)もの、及び、前方タイルに対して平らに位置する(かつ、したがって、トンネルの本体を描く)ものである。
【0074】
したがって、特に好ましい実施形態では、前方タイルの後方にあるタイルを、前方タイルに(それらの前にあるタイルに)対して傾けられるように(それらの平面が前方タイルの平面に対して傾けられるように)レンダリングすることができる。
【0075】
好ましい実施形態では、後方タイルがスケーリングされ、かつ/又は、必要に応じて、異なるジオメトリ及び/又はテクスチャを使用して、後方タイルがつながっている(接触する)ようにする。これは、可視のギャップがタイル間に生じることを回避する助けとなりうる。同様にこれを回避する助けとするために、前方タイル平面と後方タイル平面の間の距離もまた、又はその代わりに、減らすことができる。
【0076】
上記から理解されるように、本発明は、ビルの屋根、水面特徴及びトンネルなど、地表より上又は下に現れる(地表の「外面」に現れる)特徴を表示することに特に適しているが、本発明は、他の特徴をレンダリングするために、かつ、特に、平面の表面が奥行きの外観を有する必要がある場合(例えば、雲のレイヤなど)は常に、同様に使用されうる。
【0077】
地図表示のためのこの一例は、例えば、都市エリアを表示するときの、ビルの外面であろう。本発明を使用して、例えば、そのような表示のために従来使用されるテクスチャの典型的な使用と比較して、ビルの外面のより現実的な表示を与えることができる。また、(特に、オフィスビルの)ビルの外面のレンダリングは典型的には繰り返しテクスチャを使用するので、本発明は、この場合、単一の窓に対して定義された前方タイルテクスチャ及び後方タイルテクスチャを使用すること、及び、それらのテクスチャをビルの外面に渡って繰り返し、それにより、その使用を大変効率的にすることによって、実装されうるものであり、かつ、実装されることが好ましい。
【0078】
本発明の技術は同様に、ビルの屋根をシミュレートするために使用されてもよく、そのように使用されることが好ましい。
【0079】
本発明の、その態様及び実施形態のいずれにおける原理も、いかなる形式の地図作成又はナビゲーション装置に対しても、かつ、いかなる所望の適切な形式の地図情報の表示に対しても適用可能である。好ましい実施形態では、この装置はナビゲーション装置である。1つの特定の有用性の分野は、ポータブルナビゲーションデバイス(PND)に関する。実施形態では、したがって、地図作成又はナビゲーション装置は、ポータブルナビゲーションデバイス(PND)である。さらなる態様によれば、本発明は、説明された本発明の態様又は実施形態のいずれかによる装置を備える、ポータブルナビゲーションデバイス(PND)を提供する。したがって、本発明の実施形態では、この方法は、ポータブルナビゲーションデバイスの地図作成又はナビゲーションシステムを操作する方法である。PNDは、PNDに特有の1つ以上の他の特徴を含んでもよく、含むことが好ましく、この特徴は、ユーザが装置及び/もしくはデバイスと対話し、ならびに/又は、それを制御することができるように構成された、入力インタフェースなどであり、そうであることが好ましい。
【0080】
本発明はまた、一体ナビゲーションシステムの一部として提供されるナビゲーション装置にも適用可能である。例えば、この装置は、車載一体型ナビゲーションシステムの一部を形成してもよい。本発明のもう1つの態様によれば、本発明は、説明された本発明の態様又は実施形態のいずれかによるナビゲーション装置を備える、ナビゲーションシステムを提供する。したがって、本発明の実施形態では、この方法は、ナビゲーションシステムのナビゲーション装置を操作する方法である。ナビゲーションシステムは、一体型車載ナビゲーションシステムであってもよい。
【0081】
その実装にかかわらず、本発明のナビゲーション装置は、プロセッサ、メモリ、及び、上記メモリ内に格納されたデジタル地図データを備えてもよい。プロセッサ及びメモリは協働して、ソフトウェアオペレーティングシステムが確立されうる実行環境を提供する。1つ以上の追加のソフトウェアプログラムが、この装置の機能性を制御できるようにするため、かつ、様々な他の機能を提供するために、提供されてもよい。本発明のナビゲーション装置は、好ましくは、GPS(全地球測位システム)信号受信及び処理機能性を含んでもよい。この装置は、それを用いて情報がユーザに中継されうる、1つ以上の出力インタフェースを備えてもよい。出力インタフェース(複数可)には、視覚的ディスプレイに加えて、可聴出力のためのスピーカが含まれうる。この装置は、この装置のオン/オフ動作又は他の特徴を制御するために、1つ以上の物理的ボタンを含む、入力インタフェースを備えてもよい。
【0082】
他の実施形態では、地図作成又はナビゲーション装置が、特定の地図作成又はナビゲーションデバイスの一部を形成しない処理デバイスのアプリケーションを用いて、実装されてもよい。例えば、本発明は、地図作成又はナビゲーションソフトウェアを実行するように構成された、適切なコンピュータシステムを使用して実装されてもよい。このシステムは、モバイルもしくはポータブルコンピュータシステム、例えば、携帯電話もしくはラップトップであってもよく、又は、デスクトップシステムであってもよい。
【0083】
実際には、本発明はまた、望むなら、デスクトップシステムなど、よりハイエンドなシステムにおいても有利に使用されうる。例えば、ハイエンドシステム上で、高性能グラフィックスアクセラレータは、高度な頂点モデルを使用して、ビルの外面を詳細にレンダリングできることがあるが、本発明の技術は、例えば、高レベルの詳細及び精度がそれほど重要ではないことがある、見る者から離れている画像の領域に対して使用されてもよく、画像のより近い領域に対しては、「フル」3Dの、高度に詳細な、高度な頂点モデルがなお使用され、それにより、相対的効率と所望の画像品質の間のトレードオフを可能にしてもよい。
【0084】
本発明を、特にタイルベースの地図情報レンダリングを参照して上述したが、本発明の技術は、地図情報をレンダリングするための他の技術に、かつ、実際には、望むなら、他の画像のレンダリングに適用されてもよい。
【0085】
例えば、本発明の技術を同様に使用して、ベクトルグラフィックス又は三角形メッシュなどを使用して地図をレンダリングするとき、拡張された地図情報表示を提供することができる。この場合、本発明の技術は、例えば、画像を地図情報の3D世界表現における前方及び後方の「レイヤ」として表現することによって、実装されるようになり、上述の方法で、前方レイヤは、その中に設けられたシースルー形状を有し、1つ以上の後方レイヤは次いで、前方レイヤ内のシースルー形状を通して見られるべき適切な画像領域及び境界領域を有する。(したがって、実質的に、これらのレイヤは上述のタイルに対応するようになる。)
同様に、この技術を、地図情報以外の画像をレンダリングするとき、使用することができる。例えば、上述のように、本発明は、ビルを表示するときに有利に使用されてもよく、これは単に地図情報に関連する必要はなく、他の状況においては、例えば、ゲーム又は他の応用例では、ビルの表示に対して使用することができる。
【0086】
したがって、本発明のさらなる態様によれば、画像を表示する方法が提供され、この方法は、
そのレイヤの平面内に1つ以上のシースルー形状を有する、前方レイヤをレンダリングするステップと、
前方レイヤの後方に位置し、かつ、当該平面上に、前方レイヤの平面内の1つ以上のシースルー形状と重なり合う1つ以上の画像領域を有する、後方レイヤをレンダリングして、画像が表示されると、後方レイヤ上の画像領域が前方レイヤ内のシースルー形状を通して見られるようにするステップとを備える。
【0087】
本発明のさらなる態様によれば、画像を表示するための装置が提供され、この装置は、
そのレイヤの平面内に1つ以上のシースルー形状を有する前方レイヤと、前方レイヤの後方に位置し、かつ、当該平面上に、前方レイヤの平面内の1つ以上のシースルー形状と重なり合う1つ以上の画像領域を有する、後方レイヤとをレンダリングして、画像が表示されると、後方レイヤ上の画像領域が前方レイヤ内の1つ以上のシースルー形状を通して見られるようにする手段を備える。
【0088】
当業者には理解されるように、本発明のこれらの態様及び実施形態は、適宜、本明細書で説明された本発明の好ましい特徴及び任意選択の特徴のうち、任意の1つ以上を含んでもよく、含むことが好ましい。したがって、例えば、シースルー領域が、上述の方法でレイヤ内に設けられてもよく、後方(より低い)レイヤ内の画像領域は、好ましくは、それらの領域を囲む適切な境界を備え、また、例えば、上述のように、複数のレイヤのタイルの使用と類似の方法で、複数のレイヤがあってもよい。同様に、異なるレイヤは、それぞれのタイルを備えることが好ましく、表示されるべき画像は、地図情報を表現することが好ましい。
【0089】
本発明による方法は、少なくとも部分的には、ソフトウェア、例えば、コンピュータプログラムを使用して実装されてもよい。本発明はまた、したがって、本発明の態様又は実施形態のいずれかによる方法を行うように実行可能なコンピュータ可読命令を備える、コンピュータプログラムにも及ぶ。
【0090】
本発明は、それに対応して、データ処理手段を備えるシステム又は装置を操作するために使用されるとき、上記データ処理手段と共に、上記装置又はシステムに本発明の方法のステップを実行させる、そのようなソフトウェアを備える、コンピュータソフトウェアキャリアにまで及ぶ。このようなコンピュータソフトウェアキャリアは、ROMチップ、CD ROMもしくはディスクなど、非一時的な物理記憶媒体であってもよく、又は、ワイヤを介した電子信号、光信号、もしくは衛星その他などへの無線信号など、信号であってもよい。
【0091】
明記されない場合、その態様のいずれかにおける本発明は、本発明の他の態様又は実施形態について説明された特徴のいずれか又はすべてを、それらが相互に排他的でない限り、含んでもよいことは理解されよう。特に、この方法で、かつ、この装置によって行われうる動作の様々な実施形態を説明したが、これらの動作のいずれか1つもしくは複数、又はすべてが、望むように、適宜、任意の組み合わせにおいて、この方法で、かつ、この装置によって行われうることは理解されよう。
【0092】
これらの実施形態の利点を以下に示し、これらの実施形態の各々のさらなる詳細及び特徴は、添付の従属請求項、及び、他の場合には以下の詳細な説明において規定される。
【0093】
添付の図面を参照して、本発明の教示の様々な態様、及び、それらの教示を具体化する構成を、以下に例示的な例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0094】
添付の図面を参照して本発明の実施形態の詳細な説明を一例として次に示す。
図1】全地球測位システム(GPS)の概略図である。
図2】ナビゲーションデバイスを提供するように構成された電子コンポーネントの概略図である。
図3】ナビゲーションデバイスが無線通信チャネルを介して情報を受信することができる方法の概略図である。
図4a】ナビゲーションデバイスの例示的斜視図である。
図4b】ナビゲーションデバイスの例示的斜視図である。
図5a】、
図5b】本発明のレンダリング技術を概略的に示す図である。
図6】本発明のレンダリング技術を実装するための好ましい実施形態を概略的に示す図である。
図7a】、
図7b】本発明の好ましい実施形態において使用するためのさらに好ましい技術を例示する図である。
図8】本発明の好ましい実施形態において使用するためのさらに好ましい技術を例示する図である。
図9】本発明の技術を使用してレンダリングされた例示的画像を示す図である。
図10a】、
図10b】本発明による、さらに好ましいレンダリング技術及び画像を例示する図である。
図11】本発明による、さらに好ましいレンダリング技術及び画像を例示する図である。
図12】本発明による、さらに好ましいレンダリング技術及び画像を例示する図である。
図13a】、
図13b】本発明による、さらに好ましいレンダリング技術及び画像を例示する図である。
図14】本発明のさらに好ましい実施形態を例示する図である。
図15】本発明のさらに好ましい実施形態を例示する図である。
図16】本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0095】
類似の参照番号は、図面全体を通じて類似の特徴に対して使用される。
【0096】
本発明の好ましい実施形態を、次に、特にPNDを参照して説明する。しかし、本発明の教示はPNDに限定されず、その代わりに、地図情報を表示するように(かつ、好ましくは、経路計画及びナビゲーション機能性を提供するためにナビゲーションソフトウェアを実行するように)構成される、いかなるタイプの処理デバイスにも例外なく適用可能であることに留意されたい。したがって、本出願に関連して、ナビゲーションデバイスは、PNDとして実施されるか、車両に内蔵されたナビゲーションデバイスとして実施されるか、実際には経路計画及びナビゲーションソフトウェアを実行するコンピューティングリソース(デスクトップもしくはポータブルパーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話、又はポータブルデジタルアシスタント(PDA)など)として実施されるかにかかわらず、いかなるタイプの経路計画及びナビゲーションデバイスをも(限定なしに)含むように意図されることになる。
【0097】
また、本発明の教示は、ユーザがある地点から別の地点までナビゲートする方法についての命令を求めていないが、単に所与の場所のビューを提供されることを望む状況においても有用であることも、以下から明らかとなるであろう。そのような状況において、ユーザによって選択された「目的地」の場所は、ユーザがそこからナビゲートを開始することを望む、対応する出発地を有する必要がないため、それゆえに、本明細書における「目的地」の場所又は実際には「目的地」のビューへの言及は、経路の生成が不可欠であること、「目的地」までの移動が起こらなければならないこと、又は、実際には目的地の存在が対応する出発地の指示を必要とすることを意味すると解釈されるべきではない。
【0098】
上記の条件を考慮して、図1は、ナビゲーションデバイスによって使用可能な全地球測位システム(GPS)の一例の図を例示する。そのようなシステムは知られており、様々な目的に使用される。一般に、GPSは、連続的な位置、速度、時間、及び、いくつかの例では方向情報を無数のユーザに対して決定可能な、衛星無線ベースのナビゲーションシステムである。以前はNAVSTARとして知られていたが、GPSは、極めて正確な軌道で地球の周りを回る複数の衛星を組み込む。これらの正確な軌道に基づいて、GPS衛星は、それらの場所を任意の数の受信ユニットへ中継することができる。
【0099】
GPSデータを受信する能力を特別に備えるデバイスがGPS衛星信号に対する無線周波数の走査を開始するとき、GPSシステムが実装される。GPS衛星から無線信号を受信すると、デバイスは、複数の異なる従来の方法のうち1つを用いて、その衛星の正確な場所を決定する。デバイスは、ほとんどの場合、少なくとも3つの異なる衛星信号を取得するまで、信号の走査を継続するようになる(位置は、通常は2つの信号のみでは決定されないが、他の三角測量技術を使用して2つの信号のみで決定することができることに留意されたい)。幾何学的三角測量を実装すると、受信機は、3つの既知の位置を利用して、衛星に対するそれ自体の2次元位置を決定する。これは、知られている方法で行うことができる。加えて、第4の衛星信号を取得することにより、受信デバイスは、同じ幾何学計算によって、知られている方法でその3次元位置を計算できるようになる。位置及び速度データは、無数のユーザによって連続的にリアルタイムで更新することができる。
【0100】
図1に示すように、GPSシステムの全体が、参照番号100によって示される。複数の衛星120は、地球124の周囲の軌道上にある。各衛星120の軌道は、他の衛星120の軌道と必ずしも同期するとは限らず、実際には非同期である可能性が高い。GPS受信機140は、様々な衛星120からスペクトル拡散GPS衛星信号160を受信するように示される。
【0101】
各衛星120から連続的に送信されるスペクトル拡散信号160は、極めて正確な原子時計により達成される非常に正確な周波数標準を利用する。各衛星120は、そのデータ信号送信160の一部として、その特定の衛星120を示すデータストリームを送信する。GPS受信デバイス140が三角測量によりその2次元位置を計算するために、GPS受信デバイス140は一般に、少なくとも3つの衛星120からスペクトル拡散GPS衛星信号160を取得することを、当業者には理解されたい。追加の信号を取得すると、結果として、合計4つの衛星120からの信号160となり、GPS受信デバイス140は、その3次元位置を、知られている方法で計算することが可能となる。
【0102】
図2は、本発明の好ましい実施形態によるナビゲーションデバイス200の電子コンポーネントの、ブロックコンポーネント形式における例示的表現である。ナビゲーションデバイス200のブロック図は、ナビゲーションデバイスのすべてのコンポーネントを含むものではなく、コンポーネントの多くの例を表すのみであることに留意されたい。
【0103】
ナビゲーションデバイス200は、筐体(図示せず)内に位置する。筐体は、入力デバイス220及び表示画面240に接続されたプロセッサ210を含む。入力デバイス220には、キーボードデバイス、音声入力デバイス、タッチパネル、及び/又は、情報を入力するために利用される任意の他の知られている入力デバイスが含まれてもよく、表示画面240には、例えば、LCDディスプレイなど、任意のタイプの表示画面が含まれてもよい。特に好ましい構成では、入力デバイス220及び表示画面240は、タッチパッド又はタッチスクリーン入力を含む、一体型の入力及び表示デバイスに一体され、ユーザは、複数の表示選択肢のうちの1つを選択するか、又は、複数の仮想ボタンのうちの1つを作動させるために、表示画面240の一部分に触れるのみでよいようになる。
【0104】
ナビゲーションデバイスは、出力デバイス260、例えば、可聴出力デバイス(例えば、ラウドスピーカ)を含んでもよい。出力デバイス260は、ナビゲーションデバイス200のユーザのために可聴情報を生成することができるので、入力デバイス220もまた、入力音声コマンドを受信するためのマイクロホン及びソフトウェアを含んでもよいことを、同様に理解されたい。
【0105】
ナビゲーションデバイス200では、プロセッサ210は、接続225を介して入力デバイス220に動作可能に接続され、かつ、入力デバイス220から入力情報を受信するように設定され、また、表示画面240及び出力デバイス260のうちの少なくとも1つに、情報を出力するために、出力接続245を介して動作可能に接続される。さらに、プロセッサ210は、接続235を介してメモリリソース230に動作可能に結合され、接続275を介して入出力(I/O)ポート270との間で情報を送受信するようにさらに適合され、I/Oポート270は、ナビゲーションデバイス200の外部のI/Oデバイス280に接続可能である。メモリリソース230は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの揮発性メモリ、及び、不揮発性メモリ、例えば、フラッシュメモリなどのデジタルメモリを備える。外部I/Oデバイス280には、例えば、イヤホンなどの外部聴音デバイスが含まれてもよいが、これに限定されない。I/Oデバイス280への接続はさらに、例えば、ハンズフリー動作のため及び/もしくは音声起動動作のため、イヤホンもしくはヘッドホンへの接続のため、ならびに/又は、例えば、携帯電話への接続のための、カーステレオユニットなど、任意の他の外部デバイスへの有線又は無線接続であってもよく、携帯電話接続を使用して、ナビゲーションデバイス200とインターネット、もしくは、例えば、任意の他のネットワークの間のデータ接続を確立し、かつ/又は、インターネット、もしくは、例えば、ある他のネットワークを介したサーバへの接続を確立することができる。
【0106】
図2は、接続255を介した、プロセッサ210とアンテナ/受信機250の間の動作可能な接続をさらに例示し、アンテナ/受信機250は、例えば、GPSアンテナ/受信機であってもよい。参照番号250で示されるアンテナ及び受信機は、例示のために概略的に結合されるが、アンテナ及び受信機は、別々に位置するコンポーネントであってもよく、アンテナは、例えば、GPSパッチアンテナ又はヘリカルアンテナであってもよいことは理解されよう。
【0107】
さらに、図2に示す電子コンポーネントが従来の方法で電源(図示せず)により電力を供給されることは、当業者には理解されよう。当業者には理解されるように、図2に示すコンポーネントの異なる構成が本出願の範囲内で考えられる。例えば、図2に示すコンポーネントは、有線及び/又は無線接続などを介して互いに通信していてもよい。したがって、本出願のナビゲーションデバイス200の範囲は、ポータブル又はハンドヘルドナビゲーションデバイス200を含む。
【0108】
加えて、図2のポータブル又はハンドヘルドナビゲーションデバイス200は、例えば、自転車、オートバイ、自動車又は船などの車両に、知られている方法で接続又は「ドッキング」されうる。そのようなナビゲーションデバイス200は次いで、ポータブル又はハンドヘルドナビゲーションとして使用するために、ドッキング場所から取り外し可能である。
【0109】
次に図3を参照すると、ナビゲーションデバイス200は、デジタル接続(例えば、知られているBluetooth技術によるデジタル接続など)を確立するモバイルデバイス(図示せず)(携帯電話、PDA、及び/又は、携帯電話技術による任意のデバイスなど)を介して、サーバ302との「モバイル」又は電気通信ネットワーク接続を確立してもよい。その後、そのネットワークサービスプロバイダを通じて、モバイルデバイスは、サーバ302との(例えば、インターネットを通じた)ネットワーク接続を確立することができる。したがって、「モバイル」ネットワーク接続は、ナビゲーションデバイス200(単体で、かつ/又は、車両内で移動するとき、モバイルでありうるものであり、多くの場合、モバイルである)とサーバ302の間に確立されて、情報のための「リアルタイム」又は少なくとも非常に「最新」のゲートウェイが提供される。
【0110】
例えば、インターネット(ワールドワイドウェブなど)を使用して、モバイルデバイス(サービスプロバイダを介する)と、サーバ302などの別のデバイスの間にネットワーク接続を確立することは、知られている方法で行われうる。これには、例えば、TCP/IP階層プロトコルの使用が含まれうる。モバイルデバイスは、CDMA、GSM(登録商標)、WAN、その他など、任意の数の通信規格を利用することができる。
【0111】
したがって、例えば、携帯電話、又は、ナビゲーションデバイス200内の携帯電話技術を介した、データ接続を介して達成される、インターネット接続が利用されてもよい。この接続では、サーバ302とナビゲーションデバイス200の間のインターネット接続が確立される。これは、例えば、携帯電話又は他のモバイルデバイス及びGPRS(汎用パケット無線サービス)接続を通じて行われうる(GPRS接続は、通信事業者によって提供されるモバイルデバイス用高速データ接続であり、GPRSは、インターネットに接続するための方法である)。
【0112】
ナビゲーションデバイス200はさらに、モバイルデバイスとのデータ接続を完了し、例えば、既存のBluetooth技術によって、知られている方法でインターネット及びサーバ302とのデータ接続を最終的に完了することができ、データプロトコルは、例えば、GSM(登録商標)規格のためのデータプロトコル規格であるGPRSなど、任意の数の規格を利用することができる。
【0113】
ナビゲーションデバイス200は、ナビゲーションデバイス200自体の中に、それ自体の携帯電話技術を含んでもよい(例えば、アンテナを含み、又は、任意選択で、ナビゲーションデバイス200の内部アンテナを使用する)。ナビゲーションデバイス200内の携帯電話技術は、上記で明記したような内部コンポーネントを含んでもよく、かつ/又は、例えば、必要な携帯電話技術及び/もしくはアンテナを完備した挿入可能なカード(例えば、加入者識別モジュールもしくはSIMカード)を含んでもよい。したがって、ナビゲーションデバイス200内の携帯電話技術は、任意のモバイルデバイスの方法と同様の方法で、例えば、インターネットを介して、ナビゲーションデバイス200とサーバ302の間でネットワーク接続を同様に確立することができる。
【0114】
GPRS電話設定では、携帯電話の機種、製造業者などの絶え間なく変わる範囲で正しく動作するために、Bluetooth(登録商標)対応のナビゲーションデバイスが使用されてもよく、機種/製造業者固有の設定は、例えば、ナビゲーションデバイス200に格納されてもよい。この情報のために格納されたデータは、更新されうる。
【0115】
図3では、ナビゲーションデバイス200は、いくつかの異なる構成のうちいずれかによって実装されうる汎用通信チャネル318を介して、サーバ302と通信中であるとして示される。通信チャネル318を介した接続がサーバ302とナビゲーションデバイス200の間に確立されるとき、サーバ302及びナビゲーションデバイス200は通信することができる(そのような接続は、モバイルデバイスを介したデータ接続、インターネットを介したパーソナルコンピュータを介した直接接続などでありうることに留意されたい)。
【0116】
サーバ302は、例示されないことがある他のコンポーネントに加えて、メモリ306に動作可能に接続され、かつ、有線又は無線接続314を介して大容量データ記憶デバイス312にさらに動作可能に接続される、プロセッサ304を含む。プロセッサ304はさらに、通信チャネル318を介してナビゲーションデバイス200と情報の送受信を行うために、送信機308及び受信機310に動作可能に接続される。送受信される信号には、データ、通信及び/又は他の伝搬信号が含まれてもよい。送信機308及び受信機310は、ナビゲーションシステム200のための通信設計において使用される通信要件及び通信技術に従って、選択又は設計されてもよい。さらに、送信機308及び受信機310の機能は、信号トランシーバに結合されてもよいことに留意されたい。
【0117】
サーバ302は、大容量記憶デバイス312にさらに接続され(又は、大容量記憶デバイス312を含み)、大容量記憶デバイス312は、通信リンク314を介してサーバ302に結合されてもよいことに留意されたい。大容量記憶デバイス312は、ナビゲーションデータ及び地図情報のストアを含み、また、サーバ302とは別個のデバイスであってもよく、又は、サーバ302に組み込まれてもよい。
【0118】
ナビゲーションデバイス200は、通信チャネル318を通じてサーバ302と通信するように適合され、図2に関して上述したように、プロセッサ、メモリなどを含み、ならびに、通信チャネル318を通じて信号及び/又はデータを送受信するための送信機320及び受信機322を含み、これらのデバイスは、サーバ302以外のデバイスと通信するためにさらに使用されうることに留意されたい。さらに、送信機320及び受信機322は、ナビゲーションデバイス200のための通信設計において使用される通信要件及び通信技術に従って、選択又は設計され、送信機320及び受信機322の機能は、単一のトランシーバに結合されてもよい。
【0119】
サーバメモリ306に格納されたソフトウェアは、プロセッサ304のための命令を提供し、サーバ302がナビゲーションデバイス200にサービスを提供できるようにする。サーバ302によって提供される1つのサービスは、ナビゲーションデバイス200からの要求を処理すること、及び、ナビゲーションデータを大容量データ記憶312からナビゲーションデバイス200へ送信することを含む。サーバ302によって提供されるもう1つのサービスは、所望のアプリケーションのための様々なアルゴリズムを使用して、ナビゲーションデータを処理すること、及び、これらの計算の結果をナビゲーションデバイス200へ送信することを含む。
【0120】
通信チャネル318は一般に、ナビゲーションデバイス200及びサーバ302を接続する伝搬媒体又はパスを表す。サーバ302及びナビゲーションデバイス200は共に、通信チャネルを通じてデータを送信するための送信機、及び、通信チャネルを通じて送信されたデータを受信するための受信機を含む。
【0121】
通信チャネル318は、特定の通信技術に限定されない。加えて、通信チャネル318は、単一の通信技術に限定されず、すなわち、チャネル318は、様々な技術を使用するいくつかの通信リンクを含んでもよい。例えば、通信チャネル318は、電気通信、光通信及び/又は電磁通信などのためのパスを提供するように適合されうる。したがって、通信チャネル318には、以下のもの、すなわち、電気回路、ワイヤ及び同軸ケーブルなどの電気導体、光ファイバケーブル、コンバータ、無線周波数(RF)波、大気、空間などのうち、1つ又はそれらの組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。さらに、通信チャネル318には、例えば、ルータ、リピータ、バッファ、送信機及び受信機など、中間デバイスが含まれてもよい。
【0122】
1つの例示的構成では、通信チャネル318には、電話及びコンピュータネットワークが含まれる。さらに、通信チャネル318は、無線周波数、マイクロ波周波数、赤外線通信、その他など、無線通信に適応可能であってもよい。加えて、通信チャネル318は、衛星通信に適応することができる。
【0123】
通信チャネル318を通じて送信される通信信号には、所与の通信技術のために必要とされうるか、又は望まれうるような信号が含まれるが、それらに限定されない。例えば、これらの信号は、時分割多元接続(TDMA)、周波数分割多元接続(FDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、グローバルシステムフォーモバイルコミュニケーションズ(GSM(登録商標))、その他など、セルラー通信技術において使用されるように適合されてもよい。デジタル信号及びアナログ信号は共に、通信チャネル318を通じて送信されうる。これらの信号は、通信技術にとって望ましい可能性のあるような、変調信号、暗号化信号及び/又は圧縮信号であってもよい。
【0124】
サーバ302には、無線チャネルを介してナビゲーションデバイス200によってアクセス可能なリモートサーバが含まれる。サーバ302には、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)などに位置する、ネットワークサーバが含まれてもよい。
【0125】
サーバ302には、デスクトップ又はラップトップコンピュータなど、パーソナルコンピュータが含まれてもよく、通信チャネル318は、パーソナルコンピュータとナビゲーションデバイス200の間に接続されたケーブルであってもよい。別法として、パーソナルコンピュータは、ナビゲーションデバイス200とサーバ302の間に接続されて、サーバ302とナビゲーションデバイス200の間にインターネット接続を確立してもよい。別法として、インターネットを介してナビゲーションデバイス200をサーバ302に接続するために、携帯電話又は他のハンドヘルドデバイスが、インターネットへの無線接続を確立してもよい。
【0126】
ナビゲーションデバイス200は、情報ダウンロードを介してサーバ302から情報を提供されてもよく、情報は、自動的に、もしくはユーザがナビゲーションデバイス200をサーバ302に接続する際に、周期的に更新されてもよく、かつ/又は、例えば、無線モバイル接続デバイス及びTCP/IP接続を介して、サーバ302とナビゲーションデバイス200の間でより絶え間ない、もしくは頻繁な接続が行われる際に、より動的であってもよい。多くの動的計算のために、サーバ302内のプロセッサ304が、大量の処理要求に対処するために使用されてもよいが、ナビゲーションデバイス200のプロセッサ210もまた、しばしば、サーバ302への接続に関係なく、多くの処理及び計算を扱うことができる。
【0127】
図2で上述したように、ナビゲーションデバイス200は、プロセッサ210、入力デバイス220、及び、表示画面240を含む。入力デバイス220及び表示画面240は、例えば、タッチパネル画面を通じて、情報の入力(直接入力、メニュー選択などを介する)、及び、情報の表示を共に可能にするために、一体型の入力及び表示デバイスに一体される。このような画面は、当業者には周知であるように、例えば、タッチ入力LCD画面であってもよい。さらに、ナビゲーションデバイス200はまた、例えば、オーディオ入出力デバイスなど、任意の追加の入力デバイス220及び/又は任意の追加の出力デバイス260を含んでもよい。
【0128】
図4A及び図4Bは、ナビゲーションデバイス200の斜視図である。図4Aに示すように、ナビゲーションデバイス200は、一体型の入力及び表示デバイス290(例えば、タッチパネル画面)と、図2の他のコンポーネント(内蔵GPS受信機250、マイクロプロセッサ210、電源、メモリシステム230などが含まれるが、これらに限定されない)とを含む、ユニットであってもよい。
【0129】
ナビゲーションデバイス200は、アーム292上に位置してもよく、アーム292自体は、吸着カップ294を使用して、車両のダッシュボード/窓/その他に固定されてもよい。このアーム292は、ナビゲーションデバイス200がドッキングされうるドッキングステーションの一例である。
【0130】
図4Bに示すように、ナビゲーションデバイス200は、例えば、ナビゲーションデバイス200をアーム292にスナップ接続することによって、ドッキングステーションのアーム292にドッキング、又はそうでない場合は接続されうる。ナビゲーションデバイス200は次いで、図4Bの矢印で示すように、アーム292上で回転可能であってもよい。ナビゲーションデバイス200とドッキングステーションの間の接続を解除するために、例えば、ナビゲーションデバイス200上のボタンが押されてもよい。ナビゲーションデバイスをドッキングステーションに対して結合かつ分離するための他の同様の適切な構成は、当業者には周知である。
【0131】
上述のように、本実施形態のナビゲーションデバイス200の動作の重要な態様は、その表示画面240上で地図情報をユーザに表示することである。地図情報は、例えば、ユーザの入力に応答して、プロセッサ210の制御下で表示されるようになる。これを容易にするため、プロセッサ210には、適切なグラフィックスコマンド、及び、プロセッサ210によって生成されたデータに応答して、所望の画像を表示のためにレンダリングする、グラフィックスプロセッサが含まれる。
【0132】
多数のナビゲーションデバイスと共通して、本実施形態のナビゲーションデバイス200は、表示画面240上で地図情報をユーザに表示するためのタイルベースの道路網レンダリングを使用する。したがって、プロセッサ210のグラフィックスプロセッサは、地図情報を3D空間内のタイルとして描くことによって表示されるように、地図情報をレンダリングし、そのタイルは次いで、画像が実際に表示されると、2D画面空間へ投影される。
【0133】
本実施形態は、とりわけ、水面特徴など、基準面より上かつ/又は下である特徴の改善された表示を提供することができる、このようなタイルベースの道路網レンダリングのための改善された方法を提供する。
【0134】
図5は、本実施形態の改善された技術を例示する。図5aは、地面と(タイル10の平面と)同一平面上にレンダリングされている水面特徴11(この例では、川)を含む、3D世界空間タイル10を示す。これは、味気ない及び非現実的な外観を与えることができる。図5bは、同じ画像であるが、本発明によってレンダリングされたものを示す。見て分かるように、これは、当のタイルのための改善された外観を提供する。
【0135】
図5bに示すように、画像をレンダリングするために、2つの重なり合う(かつ、実質的に一致する)タイルが実際に3D(「世界」)空間内で生成され、前方タイル20、及び、前方タイルの後方に(下に)ある後方タイル21である。
【0136】
また、水面特徴11に対応するシースルー形状22が、前方タイル20内に設けられ、水面特徴11の所望の位置で、それを通して後方タイル21を見ることができる、前方タイル20内のギャップを残すようにする。後方タイル21は次いで、ある位置で水面特徴11を表現する画像領域23を含むようにレンダリングされ、それが前方タイル20内のシースルー形状(ギャップ)22を通して見られるようにする。画像領域23は、同じく前方タイル内のギャップ22を通して可視となるように位置する、境界色又はテクスチャ24によって縁取られる。
【0137】
この効果は、画像が表示されると、後方タイル21上の水面特徴23及びその境界24が、前方タイル20内のギャップ22を通して見られ、かつそれより下であり、それにより、例えば、図5aに示すような、水面特徴11がタイル10と同一平面上にレンダリングされる構成と比較して、図5bに示すように、拡張された外観を提供することである。
【0138】
図6は、図5bに示された画像をレンダリングするための適切な機構を示す。
【0139】
図6に示すように、前方タイル20は、適切なテクスチャによりレンダリングされて、この例では、「地表」が描かれ、次いで、ステンシルマスク30を使用して、水面特徴11を表現する形状22がその地表レベルのタイル20から切り抜かれる。(地表レベルのタイル20内のシースルー形状22を設けるための他の構成を、望むなら使用することができる。例えば、アルファテクスチャ(透明性の設定)を使用して、前方タイル内のシースルー形状を設け、見る者が下のタイルまで見通すことができるようにすること、又は、実際には、ピクセルシェーディング技術など、より高度な方法をこのために使用することが可能となる。)
後方タイル21が次いでレンダリングされ、その上に、水面特徴のための境界を表現する色又はテクスチャ24によって囲まれた、所定の水面特徴11を表現する画像領域23を描画しているようにする。この後方タイル21は、図5bに示すように、前方タイル20の後方に、それに対してわずかにずれて現れるようにレンダリングされ、後方タイル21上の水面特徴及びその対応する境界が、前方タイル20内のシースルー形状22を通して見えるようにする。このように、水面特徴11の、見た目により魅力的な描写を達成することができる。
【0140】
前方タイル及び後方タイルは、それらの位置を3D世界空間内で適切に(すなわち、地図の3D世界空間の描写において、一方のタイルが適切な量だけ他方のタイルの後方(下)になるように)設定することによって、互いに前方かつ後方になるようにレンダリングされる。
【0141】
本実施形態では、図7aに示すように、後方タイル21が前方タイル20に対して拡大される。これは、外界とのエッジで生じうる視覚的アーチファクト31を補償する助けとなる(図7bを参照)。
【0142】
本実施形態では、前方タイルと後方タイルの間の間隔を、視距離に応じて自動的に減らすことができる。これは、後方タイル21内で隣接した画像領域23の特徴が前方タイル内の所与のシースルー形状(ギャップ)22を通して見られる可能性を回避する助けとなる。
【0143】
このような誤った表示の可能性は、視角αが小さいとき、発生する可能性がより高い(地図が平らに傾けられる(まっすぐな上から下へのビューとは対照的に)とき、又は、視距離が増すことにより、発生する)ので、タイル間の距離dをより許容可能な値に減らすことによって、阻止することができる。また、見る者からの距離が増すにつれて、視角が減るので、タイル間の間隔dを視距離に応じて減らすことは、この問題を回避するための比較的簡単な方法である。
【0144】
図8は、これを例示し、2つのタイル20、21の間の距離をd1からd2へと減らして、見る者35が、後方タイル21内で隣接した画像領域23を見ることを回避することを示す。(タイルの間の間隔dがゼロに近づくとき、より低いタイル21は省略されうる(かつ、そうである場合、関連のある後方タイル(複数可)特徴(複数可)は、その代わりに「前方」タイル上で示されるべきである)。)
可視の隣接した領域を誤って表示することを回避するための他の構成もまた、又は代わりに、望むなら使用することができる。例えば、(見る者から見て)遠い側を上に移動させることによって(すなわち、図8の後方タイル21の右側36を、そのタイルの左側37に対して上に移動させることによって)、後方タイルを傾けることができる。
【0145】
図9は、水面特徴をレンダリングするときの、本発明の使用のさらなる例を示す。図9に示す画像の各々において、後方タイル上に示された境界24によって囲まれた水面特徴23があり、地表レベルを描く前方タイル20内の対応するシースルー形状22を通して可視である。
【0146】
水面特徴を表示するために使用されることに加えて、本実施形態を、トンネルなど、他の地下レベルの特徴を表示するために有利に使用することができる。この場合、様々なテクスチャ又は透明性レベルを前方タイル内のシースルー形状に適用することによって、例えば、トンネルをレンダリングするための効率的な方法を得ることができる。
【0147】
図10aは、トンネル構成を示し、トンネル60は、前方タイル内の完全に透明なシースルー形状を用いて、かつ、適切なトンネル、道路表面及び境界画像を後方タイル上にレンダリングすることによって描かれる。(この構成をまた、例えば、地表レベルより低いが、なお野外にある道路を示すために使用することもできる。)
好ましいトンネル描写を、前方タイル内のシースルー形状をトンネル出口及び入口で完全に透明になるように、しかし、トンネルが実際に地下であるところでは半透明になるようにレンダリングすることによって、達成することができる。図10bは、これを示す。この場合、前方タイル内のシースルー形状は、図示のようにトンネル入口61で完全に透明になるように、しかし、トンネルが実際に地下であるところでは半透明62になるようにレンダリングされる。
【0148】
トンネルの入口又は出口のレンダリングのさらなる改善は、後方タイルを分割し、1つの部分を上に傾けて、例えば、トンネル入口(又は出口)で前方タイルに当たるようにすることによって、ジオメトリの最小限の増大のみで達成することができる。図11は、この構成を例示し、対応する前方タイル72の後方に配置された2つの後方タイル70、71を示し、これらの後方タイルのうち一方70が上に傾けられて前方タイル72に当たる(その後方タイル70上で、トンネル入口(又は出口)が適切にレンダリングされるようになる)。(図4では、明確にするために、小さいギャップが2つのタイルレイヤの間に示されるが、実際には、後方タイル70は、好ましくは上に傾いて、そのエッジで前方タイル72に接触するようになるべきであることに留意されたい。)
本実施形態の技術を同様に使用して、ビルの屋根など、地上レベルの特徴を表示することができる。図12は、これを例示し、前方タイル上で高くされたビル80を示し、前方タイルのシースルー領域81が次いで、水面、道路、その他など、対応する地表レベルの特徴を示すように配置される。
【0149】
地表の地形における、湾入などの特徴を効率的にレンダリングできることに加えて、本実施形態を、他の平面の表面が奥行きの外観を有する必要がある、他の場合に使用することができる。1つのそのような典型的ナビゲーション関連の例は、都市エリアのビルのレンダリングである。この場合、本実施形態のレンダリング技術を、例えば、ビルの外面に窓をレンダリングするときに使用して、それにより、より現実的なレンダリング効果を与えることができる。
【0150】
図13は、これを例示する。図13aは、本発明の技術を使用せずに、単一のテクスチャをビルの外面に適用することによってレンダリングされたビルを示す。図13bは、本発明の技術を使用してレンダリングされた、対応する画像を示し、すなわち、前方タイルが、窓の位置にシースルー形状を有する正面のビルの外面を示し、後方タイルが、その上にレンダリングされた境界によって囲まれた窓を描く適切な画像領域を有する。
【0151】
この実施形態では、ビルの外面が繰り返しテクスチャを使用し、次いで、単一の窓のための前方タイルテクスチャ及び奥のタイルテクスチャを作成すること、ならびに、ビルの外面全体に渡ってこれらのタイル構成を繰り返すことによって、ビルがレンダリングされてもよい。
【0152】
本実施形態を、2つのレベルのタイルを使用して上記で例示したが、複数のレイヤ又はレベルのタイルを積み重ねることが可能となる。これを使用して、異なるタイプ及び/又は異なる相対的な奥行きの境界を与えることができる。
【0153】
図14は、これを例示し、3つのレイヤのタイル20、21及び40の使用を示す。これを使用して、例えば、水面特徴及びビルの屋根を共に表示することができる。
【0154】
図15は、アムステルダム駅付近のウォーターフロントの画像を示し、この画像は、3つのレイヤのタイルを使用してレンダリングされたものであり、高くされたビルを示すための前方タイルレイヤ50、地表レベルの特徴を示す中間後方タイルレイヤ51、及び、次いで、低くされた水表面を示す奥の後方タイルレイヤ52である。この場合、中間後方タイル51(真ん中のレイヤのタイル)は、前方タイル内のシースルー形状を通して見られるように意図される画像領域と、それ自体のシースルー形状を通して見られるように意図される画像領域とを共に有して、画像がレンダリングされるとき、奥の後方タイル52内の水面特徴が見えるようにする。
【0155】
様々な修正及び他の構成を、望むなら、本実施形態及び本発明で使用することができる。
【0156】
例えば、ナビゲーションデバイス200のグラフィックスハードウェアがピクセルシェーディング動作をサポートする場合、これらの動作を使用して、タイルの全体の視覚的品質をさらに高めることができる。例えば、ピクセルシェーディング動作を使用して、反射された太陽光又は波の効果をシミュレートして、現実的な水面効果を作り出すことができる。例えば、水面をレンダリングするとき、前方タイルに対する、水面特徴を含む後方タイルのずれを変化させて、例えば、潮又は波の効果を作り出すこともまた可能となる。
【0157】
タイル内のシースルー形状のエッジを、半透明になるようにレンダリングすることもまた可能となる。半透明性を、タイル内のシースルー形状のエッジに適用することによって、レンダリングされた画像内で硬い線を回避することができる。
【0158】
出願人は、本発明が高度又は地形モデルに単純に適用された場合、「ギャップ」が隣接した後方タイルの間に生じる可能性がありうることを、さらに理解している。図16は、これを例示する。ギャップ75のサイズは、タイル20、21の間の角度、及び、前方タイル平面と後方タイル平面の間の距離の両方によって決まるようになる。さらに、前方タイルと後方タイルの間の間隔が、隣接したタイルでは同じでない場合、ギャップがまた発生することがある。そのようなギャップの効果を、後方タイルをスケーリングすることによって、及び/又は、異なるジオメトリ及び/又はテクスチャを使用して、それらが接触するようにレンダリングすることによって、及び/又は、後方タイルから前方タイルまでの距離を減らすことによって、打ち消すことができる。
【0159】
当業者には理解されるように、上記の例を、3D世界空間における単一のタイル位置のレンダリングを主に参照して説明したが、本発明は、表示されている画像内で望まれるだけの数のタイル位置に対して使用されてもよい。実際には、本発明は典型的には、例えば、川など、所与の水面特徴が通過する、一連のつながったタイルに対して使用されてもよい。画像を構成する残りのタイルは、通常の方法でレンダリングされてもよい。
【0160】
本発明を、ポータブルナビゲーションデバイスにおけるその使用を特に参照して上述した(かつ、当業者には理解されるように、本発明は、モバイル又は組み込みシステムなど、グラフィカル機能が制限されたシステムにおいて、特定の応用例及び利点を有する)が、本発明を、ハイエンドシステムでも有利に使用することができる。例えば、都市の3Dビューは、何百ものビルを含むことがあり、高性能グラフィックスアクセラレータは、高度な頂点モデルを使用して、それらのビルを詳細にレンダリングできることがあるが、本発明の技術は、詳細が典型的には見る者にとってより近い画像の部分よりも重要ではない、見る者からさらに離れた多数のジオメトリに対して、より効率的でありうる。これらのより近い部分に対しては、フル3Dの、高度に詳細な、高度な頂点モデルをなお使用して、それにより、性能及び品質のバランスを取ることができる。
【0161】
この技術をまた使用して、例えば、表示された画像のための独特の「特徴的な」外観を得ること、及び/又は、よりよいユーザ体験を提供することもでき、その理由は、詳細を省略し、それにより、全体的に「目でより見やすい」ようになりうる絵を作成することができるからである。
【0162】
上記から理解されるように、本発明は、例えば、タイルベースの地図表示の視覚的品質を向上させるための、比較的高速かつ効率的な方法を提供し、とりわけ、組み込みグラフィックスハードウェアに特に適しており、その理由は、本発明が、ジオメトリの限定的な増大のみで、又は、ジオメトリを増大せずに適切な効果を作り出すことができるからである。本発明をまた、より強力なグラフィックスアクセラレータと共に使用してもよく、その理由は、本発明を使用して、格納かつレンダリングする必要のあるジオメトリの量を減らすことができるからである。
【0163】
本発明を、例えば、水面特徴、ビルの屋根、トンネルなど、又は、特定の基準面より上又は下にある任意の他の特徴をレンダリングするために使用してもよい。
【0164】
これは、本発明の好ましい実施形態では、少なくとも、前方タイルを1つ以上のシースルー形状と共にレンダリングして、それを通して特徴が見える領域を設けること、及び、次いで、前方タイルの後方に現れ、かつ、前方タイル内のシースルー領域(形状)を通して見られるべきである必要な特徴を示す画像領域を有する、1つ以上の後方タイルをレンダリングすることによって、達成される。好ましい実施形態では、後方タイルの画像領域は適切な境界特徴によって囲まれ、画像がレンダリングされるとき、水面特徴など、所望の画像領域、及び、適切な境界が共に、前方タイルを通して見られるようにする。
【0165】
このように、好ましい実施形態では、シースルー形状は、レンダリングされている前方タイル内に設けられ、境界効果は次いで、タイル又はタイルのセットを、前方タイルの後方にわずかにずらしてレンダリングすること、ならびに、それらのタイルを、所定の水面、窓又は他のテクスチャ、及び、境界を表現する色又はテクスチャで満たして、それらが前方タイル内の形状を通して見られるようにすることによって、作り出される。
【0166】
本発明の様々な態様及び実施形態をこれまで説明したが、本発明の範囲は、本明細書で示された特定の構成に限定されず、その代わりに、添付の特許請求の範囲の範囲内に入る、すべての構成、ならびに、それらに対する変更及び改変を包含するように広がることも理解されよう。
【0167】
例えば、前述の詳細な説明で説明した実施形態はGPSを参照するが、ナビゲーションデバイスは、GPSに代わるものとして(又は、実際にはGPSに加えて)いかなる種類の位置検知技術を利用してもよいことに留意されたい。例えば、ナビゲーションデバイスは、欧州のGalileoシステムなど、他のグローバルナビゲーション衛星システムの使用を活用してもよい。同様に、ナビゲーションデバイスは、衛星ベースのものに限定されず、地上ビーコン、又は、デバイスがその地理的な場所を決定できるようにする任意の他の種類のシステムを使用して、容易に機能することができる。
【0168】
好ましい実施形態はソフトウェアによって特定の機能性を実装することができるが、その機能性はハードウェアのみで(例えば、1つ以上のASIC(特定用途向け集積回路)によって)、又は、実際にはハードウェア及びソフトウェアの混合によって、同様に実装可能であることもまた、当業者にはよく理解されよう。
【0169】
最後に、添付の特許請求の範囲は、本明細書で説明された特徴の特定の組み合わせを示すが、本発明の範囲は、以下で特許請求の範囲に記載される特定の組み合わせに限定されず、その代わりに、その特定の組み合わせが現時点で添付の特許請求の範囲において特に列挙されているかどうかにかかわらず、本明細書で開示された特徴又は実施形態のいかなる組み合わせをも包含するように広がることにも留意されたい。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6
図7a
図7b
図8
図9
図10a
図10b
図11
図12
図13a
図13b
図14
図15
図16