【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明の第1の態様によれば、タイルベースの地図情報レンダリングを使用して、地図情報を表示する方法が提供され、この方法は、
地図情報を表示するタイルが表示されるように、
そのタイルの平面内に1つ以上のシースルー形状を有する、前方タイルをレンダリングするステップ、及び、
前方タイルの後方に位置し、かつ、当該平面上に、前方タイルの平面内の1つ以上のシースルー形状と重なり合う1つ以上の画像領域を有する、1つ以上の後方タイルをレンダリングするステップとを含み、地図情報が表示されると、1つ以上の後方タイル上の画像領域が前方タイル内のシースルー形状を通して見られるようになる。
【0031】
本発明の第2の態様によれば、ナビゲーション装置又は地図作成装置が提供され、この装置は、
デジタル地図をユーザに表示するためのディスプレイと、
デジタル地図データにアクセスし、タイルベースの地図情報レンダリングを使用して、デジタル地図をディスプレイ上に表示させるように構成されたプロセッサとを備え、プロセッサが、
地図情報を表示するためにタイルが表示されるように、
そのタイルの平面内に1つ以上のシースルー形状を有する、前方タイルをレンダリングする手段と、
前方タイルの後方に位置し、かつ、当該平面上に、前方タイルの平面内の1つ以上のシースルー形状と重なり合う1つ以上の画像領域を有する、1つ以上の後方タイルをレンダリングする手段を備え、地図情報が表示されると、1つ以上の後方タイル上の画像領域が前方タイル内のシースルー形状を通して見られるようになることによって、特徴付けられる。
【0032】
本発明では、表示されるべき地図情報は、1つ以上のシースルー形状が設けられている前方タイルをレンダリングすること、及び、前方タイルの後方にある1つ以上のさらなるタイルをレンダリングして、実質的に、前方タイル内のシースルー形状を(追加の視覚情報で)「埋める」ことによって、レンダリングされる。特に、後方タイルは、その上に、表示された画像内の前方タイル(複数可)内のシースルー形状を通して見られるようになる画像領域を有する。
【0033】
以下でさらに論じるように、出願人は、これが、例えば、水面特徴、ビル、ビルの窓、その他など、所与の平面より上又は下に位置する特徴をより現実的にレンダリングするが、例えば、モバイルデバイスなど、より制限された(例えば、グラフィックスジオメトリが制限された)デバイス上で使用するために適切である、より効率的な方法で行うための技術を提供できることを理解している。
【0034】
さらに、本技術の視覚的品質は、例えば、ゲームで使用される、より複雑な方法(例えば、頂点カウントの増加、バンプマッピングなど)に完全に匹敵できるものではないことがあるが、例えば、タイルベースの地図表示の視覚的品質を向上させるための、比較的高速かつ効率的な方法を提供することができる。
【0035】
したがって、本発明は、組み込みグラフィックスハードウェアによく適しており、その理由は、本発明が、ジオメトリの限定的な増大のみで、又は、ジオメトリを増大せずに(例えば、既存の頂点バッファオブジェクトを再利用することによって)、所望の効果を作り出すことができるからである。本発明は、したがって、PND用の現在及び(近い)将来のシステムオンチップ構成で使用するためによく役立つものであり、その理由は、それに含まれるグラフィックスレンダリングサブシステムのタイプは典型的には、効率的に処理できるジオメトリの量がかなり限られているからである。
【0036】
そうは言うものの、以下でさらに論じるように、本発明は、ポータブルでより制限されたデバイスにのみ適用可能ではなく、望むなら、より強力なグラフィックスレンダリングサブシステムに対してもまた有利に使用されうる。
【0037】
上記から理解されるように、レンダリングされ、本発明のこれらの態様において言及されているタイルは、地図情報を3D空間内で表現するタイルであり、したがって、表示のために画面空間内で2Dシーンをレンダリングするときに使用される「タイル」ではなく、むしろ、実際に表示されると、次いで2D画面空間へ投影されるようになる、3D世界内のタイルである。このように、本明細書におけるタイルベースのレンダリングへの言及は、文脈上異なる解釈を明らかに要する場合を除き、表示されるべき画像(例えば、地図情報)が3D「世界」空間内で1つ以上のタイルとして表現される構成を指すように意図され、そのタイルは次いで、表示のために2D「画面」空間内に投影される。
【0038】
同様に、「前方」タイル及び「後方」タイルへの言及は、3D世界空間内のタイルの相対的位置を指すように意図され、例えば、「前方」タイルが当の3D世界空間タイル位置にとって最も前方のタイルであることも、また、同様に、「後方」タイルがそのタイル位置にとって最も後方のタイルであることも、必要としない。(しかし、そうは言うものの、言うまでもなく、最も前方のタイル及び最も後方のタイルが共に3D世界空間内の任意の所与の位置にあることになり、ただ1つの前方及び後方タイルが3D世界空間内の所与の位置にある場合には、前方タイル及び後方タイルは、そのとき最も前方のタイル及び最も後方のタイルとなる。)このように、一般に、文脈上異なる解釈を要する場合を除き、「前方」タイル及び「後方」タイルへの言及は、各対のタイルのうち前方及び後方へのタイルを指すものであり、必ずしも任意の所与の位置の最も前方のタイル及び最も後方のタイルを指すわけではない。
【0039】
前方タイル及び後方タイルのレンダリング順序は、望むように選択することができる(すなわち、前方タイルが最初にレンダリングされるか、後方タイルが最初にレンダリングされるかであるが、好ましい実施形態では、その順序は後方から前である(ペインタのアルゴリズム)ので、前方タイル(複数可)のシースルーでない部分が奥のタイル(複数可)を覆うようになることにも留意されたい。
【0040】
本発明の技術は、例えば、表示されている画像の性質に応じて、表示された地図情報(表示されている画像)の望まれるだけの数のタイル(タイル位置)に対して使用されてもよい。したがって、例えば、本発明の技術を使用してレンダリングされる画像の単一のタイル位置のみがあってもよく、又は、そのようにレンダリングされる複数のタイル(タイル位置)があってもよく、実際には、より典型的にはそうでありうる(これは、例えば、水面特徴など、表示されている画像(地図)の複数のタイルを通過する特徴がある場合となる)。本発明の技術を使用してレンダリングされないあらゆるタイルは、通常の方法でレンダリングされてもよい。
【0041】
本発明の方法でレンダリングされるべきである前方タイル毎に、単一又は複数の後方タイルがあってもよい(逆の場合も同じ(単一の後方タイルに対して複数の前方タイル))。1つの好ましい実施形態では、本発明の方法でレンダリングされる「前方」タイル毎に、単一の後方タイルがある。
【0042】
前方タイルは、例えば、「地表」を表現してもよく、その場合、例えば、適切にテクスチャリングされるべきであり、シースルー形状は次いで、水面特徴、トンネル、切り通し、その他など、地下レベルの特徴の位置を表現するようになる。前方タイルが、ビルの屋根など、「地表」より上のレベルの特徴を表現することもまた可能となる。この場合、シースルー形状は、例えば、道路、野原、その他など、地表レベルの特徴の位置を表現することができる。
【0043】
前方タイルが、地表ではなく、ビル又は他の物体の側面(例えば、水平ではなく、垂直の平面)など、ある他の平面を表現することもまた可能となる。この場合、前方タイルを使用して、例えば、シースルー形状をそのとき、例えば、ビルの窓及び/又は出入り口の位置として、ビルの外面をレンダリングすることができる。
【0044】
1つ以上の後方タイル(前方タイルの後方にあるタイル)は、したがって、トンネル、水面特徴、その他などの地下レベルの特徴、地表レベルの特徴、又は、垂直平面内の特徴など、前方タイルの後方に位置し、かつ、前方タイル内のシースルー形状によって形成された「ギャップ」を通して見られるべきである、適切な特徴を適宜表現するべきである。
【0045】
後方タイル(又は、後方タイルの積み重ね)内の画像領域は、したがって、前方タイル(又は、タイルの積み重ね)内のシースルー形状を「通して」見られるべきである、関連のある特徴を表現するか、又は示すべきである。したがって、これらの画像領域は、水面特徴、トンネル、切り通し、ビルの窓、道路、野原、庭などのうち、1つ以上を表現することが好ましい。画像領域は、それに対応して、画像がレンダリングされるとき、一般に、前方タイル内のシースルー領域と重なり合う(一致する)ように構成されるべきである。したがって、好ましい実施形態では、後方タイル(複数可)内の画像領域(複数可)は一般に、前方タイル内の対応するシースルー形状(複数可)と同様のサイズになる(合致する)ようにレンダリングされる。後方タイル上の画像領域は、前方タイル上の対応するシースルー形状と同じサイズ、形状及び位置を後方タイル上で有することが最も好ましい。
【0046】
特に好ましい実施形態では、後方タイル(複数可)は、前方タイル内のシースルー形状を通して見られるように意図される画像領域が、異なる外観を有する他の領域によって縁取られ、かつ/又は、囲まれるように、レンダリングされる。後方タイル内の画像領域は、画像領域に対する境界を表現するさらなる領域によって縁取られ、前方タイル及び後方タイルは、画像が表示されると、境界領域もまた、少なくとも部分的には、前方タイル内のシースルー形状(複数可)を通して見られるように、レンダリング(構成)されることが最も好ましい。これは次いで、後方タイル内の画像領域に対する境界効果を比較的簡単に与えることができる。
【0047】
したがって、特に好ましい実施形態では、後方タイルは、対応する前方タイル内のシースルー形状を通して見られるべきである所定の特徴に対応する画像領域であって、その領域に対する、好ましくは対照的な、境界を表現する(かつ、好ましくは、前方タイルを通して同様に可視となるように位置付けられる)色及び/又はテクスチャによって縁取られた画像領域を含む。
【0048】
そのような境界効果は、表示の視覚的品質をかなり高めることができる。特に、出願人は、前方タイルを通して見られるようになる画像領域に対する対照的な境界を設けることによって、見る人にとって、その境界領域が、表示された画像内の前方タイルと後方タイルの間に伸び、それにより、表示された画像内で拡張された奥行きの印象を与える(かつ、実質的に、前方タイルと後方タイルの間の「ギャップ」を埋める)表面又はエッジであることが、分かりやすくなることを理解している。
【0049】
このように、後方タイル上の境界及び画像領域の配置は、画像が表示されると、境界が後方タイル上の画像領域と前方タイル上の画像の間に現れるようにするべきである。境界は、したがって、前方タイル内のシースルー形状のエッジと、後方タイル上の画像領域の間に現れるべきである。
【0050】
境界は、画像が表示されると、後方タイル内の画像領域のどこにでも見られる必要はない(かつ、実際には、見られないことが好ましい)ことも理解されたい。むしろ、境界は、当の視方向にとって適切となるように見られることが好ましく、例えば、また好ましくは、見る者から見て画像領域の遠い側で見られ、見る者から見て画像領域の近い側では見られない(前方タイルによって遮られるようになる場合)。これにより、後方タイル内の画像領域が前方タイルに対して異なるレベルにあるかのように見える、視覚的効果が高まる。
【0051】
後方タイル上の画像領域が、例えば、前方タイル上の対応するシースルー形状と同じサイズ、形状及び位置を後方タイル上で有する場合、3D世界空間内で前方タイルの後方に後方タイルを有することによって、画像領域を囲む境界は、画像が表示のために2D画面空間に投影されるとき、適切に見られるべきである。
【0052】
境界(領域)はまた、それに応じて、好ましくは、後方タイル上の画像領域に対して対照的な色又は陰となるようにレンダリングされる。境界(領域)は、画像領域より暗い、例えば、黒、又は濃い青、又は濃い灰色であることが好ましい。
【0053】
画像領域及び境界などは、任意の適切な技術を使用して、例えば、特定のテクスチャをタイルの関連のある領域に適用することによって、レンダリングされてもよい。
【0054】
1つ以上の後方タイルは、前方タイルの後方に(すなわち、それとは異なる平面に)あるべきであり、好ましくは、適切な方法で、対応する前方タイルの後方でずれて、表示された画像の品質をさらに高めるようにする。好ましい実施形態では、例えば、地図情報表示の場合、(3D空間内の)タイル間の垂直のずれが使用され、その理由は、それにより、次いで、本発明によってもたらされた奥行き効果があらゆる視方向から作用できるようになるからである。この場合、後方タイル(複数可)は、3D世界内で前方タイルより下となる。他の構成では、例えば、ビルの外面など、垂直表面を表示するとき、(3D空間内の)タイル間の水平のずれが使用されてもよく、また、使用されることが好ましい。
【0055】
1つの好ましい実施形態では、単一のレイヤの前方タイル及び単一のレイヤの後方タイルがある。しかし、3つ以上のタイル「レイヤ」を有すること、すなわち、前方タイルの後方に異なる奥行きの複数の後方タイルがあるようにすることもまた可能となる。この場合、中間後方タイル(すなわち、最後の「奥の」タイルではない)は、前方タイル内のシースルー形状を通して見られるべきである画像領域、及び、シースルー形状を共に有して、中間後方タイルより下である後方タイル内の画像領域が、中間後方タイル(及び前方タイル)を通して見えるようにしてもよい。
【0056】
異なる相対的な奥行きでタイル(タイルレイヤ)を積み重ねることによって、異なる(かつ複数の)レベルの特徴及び境界を得ることができる。
【0057】
このように、好ましい実施形態では、1つもしくは複数のシースルー形状を有する前方タイルと、より高いレイヤのタイル(前方タイルなど)内のシースルー領域を通して見られるべき画像領域、及び、シースルー領域を共に有して、より低いレイヤのタイルが見えるようにする、1つもしくは複数のレイヤの中間タイルと、前方及び中間タイル(タイルレイヤ)内のシースルー領域を通して見られるべき画像領域を有する、1つ以上の奥のタイルとが、レンダリングされる。
【0058】
また、例えば、複数のレイヤのタイルがある場合、すべてのタイルレイヤが異なる相対的「奥行き」にあるとは限らない(例えば、すべての後方タイルレイヤがそうであるとは限らない)こともまた可能となる。実際には、好ましい実施形態では、タイルレイヤの奥行きは、視角、地図のエリア、見られている物などに基づいて変更される。
【0059】
タイル(前方及び中間後方タイル)内のシースルー形状を、任意の適切な所望の方法で設けることができる。上述のように、シースルー形状の目的は、タイルの後方にある後方タイル(複数可)内の特徴が、表示された画像内で見えるようにすることである。したがって、例えば、実質的に、平面内でシースルー形状を設ける(平面内でシースルー領域を残す)ことができる、任意の適切なレンダリング技術を使用することができる。
【0060】
1つの好ましい実施形態では、シースルー形状は、アルファテクスチャ(透明性)を使用することによって、レンダリングされる。したがって、透明性要素が、シースルー形状が現れるべきタイルのエリアに適用される。これにより、次いで、見る者が、透明なエリアを通して、下のタイルまで「見通す」ことができるようになる。この技術は、アルファテクスチャが、表示されているタイル又は画像に対して他の方法で既に可能にされている場合に、特に適切でありうるものであり、その理由は、その場合、本発明の目的でアルファテクスチャを使用することに関連する追加の格納コストが生じないからである。
【0061】
好ましい実施形態では、シースルー形状はまた、又はその代わりに、タイルの平面から切り抜かれる(すなわち、実質的に、タイル内に「ギャップ」を残すようになる)。これは、ステンシリング又はシザリングを使用して、タイルからそれらの形状を切り抜くことにより、行われてもよい(かつ、行われることが好ましい)。ステンシルマスクは、ある余分なランタイムの格納を必要とすることがあるが、色情報は格納される必要がなく、ビット地図又はグレースケール画像のみが格納される必要があるので、これは実に効率的でありうる。さらに、ステンシリング動作は典型的には、グラフィックスレンダリングサブシステムハードウェアにおいて実装されるので、典型的には、わずかなコストのみで得られる。ステンシリングを使用することは、アルファテクスチャを使用するコストが望ましくないであろう場合に、有利でありうる。
【0062】
望むなら、ピクセルシェーディングなど、他の技術もまた、又はその代わりに、タイル内のシースルー形状を設けるために使用することができる。
【0063】
シースルー形状は、完全に透明であってもよく、又は、部分的にのみ透明になるように、もしくはそれら2つの組み合わせになるようにレンダリングされてもよい。例えば、トンネルをレンダリングするためのシースルー形状は、トンネルの入口で完全に透明になるように、しかし、トンネルが実際に地下であるところでは半透明のみになるように、レンダリングされてもよい。このように、特に好ましい実施形態では、タイル内のシースルー形状を、様々な、かつ/又は、異なる透明性レベルを使用して、レンダリングすることができる。
【0064】
特に好ましい実施形態では、シースルー形状のエッジは、シースルー形状の本体に対して異なる透明性により、かつ、好ましくは、シースルー形状の本体よりも透明度が低くなるようにレンダリングされる。例えば、半透明性を、タイル内のシースルー形状のエッジに適用することによって、表示された画像内で硬い線を回避することができる。
【0065】
いくつかの他の技術もまた、表示された画像の品質を高めるために使用されることが好ましい。
【0066】
例えば、好ましい実施形態では、後方タイルは、それらの対応する前方タイルに対して拡大されることが好ましい。これは、世界のエッジで生じた視覚的アーチファクトを補償する助けとなりうる(が、これは、連続的な景色においてはあまり頻繁に起こるべきではない)。
【0067】
同様に、好ましい実施形態では、対応する前方タイルに対する後方タイルの位置(例えば、ずれ)は、例えば、前方タイルに対する2つ(又はそれより多い)位置の間で、例えば、フレーム毎に変動するように、使用中に(画像が表示されているとき)変わることが可能であり、また、変わることが好ましい。これを使用して、例えば、水面をレンダリングするとき、潮又は波の効果を与えることができる。
【0068】
好ましい実施形態では、使用可能である場合、ピクセルシェーディング動作が使用されて、表示されている画像の質が高められ、好ましくは、前方タイルを通して見られるようになるタイルの画像領域に効果が適用される。例えば、ピクセルシェーディング動作を使用して、水面特徴をレンダリングするとき、太陽光及び/又は波の反射をシミュレートして、より現実的な水面効果を作り出すことができる。これらの動作は、比較的少数の後方の(より低い)レイヤのタイル上で行われるのみでよい場合があるので、これは、シーン内のすべてのタイルに対してシェーダプログラムを可能にすることよりも、効率的でありうる。
【0069】
好ましい実施形態では、前方タイル及びその(すぐ)後方であるタイルなど、隣接したタイルレイヤの間の奥行き間隔(距離)は、誤った画像領域が前方タイル内のシースルー形状を通して可視となることを回避するように、設定又は構成される。出願人は、ある場合においては、例えば、前方タイルと後方タイルの間の距離が長過ぎるか、又は、前方タイル内の「ギャップ」の間の空間が小さ過ぎるとき、後方タイル内の隣接した(すなわち、誤った)画像領域の特徴は、特に、より奥行きのない視角では、前方タイル内の所与のシースルー形状を通して可視になりうることを理解している。しかし、出願人は、これを、前方タイル及び後方タイルの(平面)の間の間隔を減らすことによって阻止できることをさらに理解している。
【0070】
特に好ましいこのような構成では、レンダリングされたタイルレイヤの間の距離(タイルレイヤがレンダリングされるときの、タイルレイヤのための奥行きの値の差)が、好ましくは自動的に選択され、また、当のタイルの視距離に応じて自動的に減らされることが好ましい(視距離は、直線として測定され、ユーザの視点(すなわち、ユーザの目)から、タイルがある空間内の(仮想の)点までの距離である)。出願人は、見る者からの距離が増すにつれて、視角が減る傾向があることを理解している。したがって、視距離が増すにつれて、自動的にタイル間隔を減らすことは、所望の効果を達成するための有効かつ効率的な機構を提供する。
【0071】
これらの実施形態の特に好ましい構成では、システムは、タイルレイヤ間隔がゼロである、かつ/又は、特定の、好ましくは所定の、ゼロの範囲内であるとき、後方タイルを省略する(レンダリングしない)ように構成される。(この場合、そうでない場合は後方タイル(複数可)上で表示されていなかったであろう(視覚)情報が、代わりに前方タイルに含まれるべきである。)
この問題を小さくするためのもう1つの機構は、そのような状況を検出し、例えば、領域の面内の距離を(限度内で)人為的に増して、その効果を打ち消すことである。
【0072】
好ましい実施形態では、一対の前方タイル及び後方タイルのうち、後方タイルが前方タイルに対して傾けられ、好ましくは、(画像に向かって見る位置から見て)タイルの遠い側を、タイルのより近い側に対して上に傾けることによって行われる。これもまた、後方タイル内で隣接した画像領域の望ましくない可視性を低減する助けとなりうる。
【0073】
また、後方タイルをこのように傾けることを使用して、例えば、トンネルの入口及び出口を表示することもできる。この場合、所与の前方タイルは、その後方に配置された2つの後方タイルを有してもよく、好ましい実施形態ではそうであり、上に傾けられて前方タイルに当たる(かつ、したがって、トンネルの入口又は出口を描く)もの、及び、前方タイルに対して平らに位置する(かつ、したがって、トンネルの本体を描く)ものである。
【0074】
したがって、特に好ましい実施形態では、前方タイルの後方にあるタイルを、前方タイルに(それらの前にあるタイルに)対して傾けられるように(それらの平面が前方タイルの平面に対して傾けられるように)レンダリングすることができる。
【0075】
好ましい実施形態では、後方タイルがスケーリングされ、かつ/又は、必要に応じて、異なるジオメトリ及び/又はテクスチャを使用して、後方タイルがつながっている(接触する)ようにする。これは、可視のギャップがタイル間に生じることを回避する助けとなりうる。同様にこれを回避する助けとするために、前方タイル平面と後方タイル平面の間の距離もまた、又はその代わりに、減らすことができる。
【0076】
上記から理解されるように、本発明は、ビルの屋根、水面特徴及びトンネルなど、地表より上又は下に現れる(地表の「外面」に現れる)特徴を表示することに特に適しているが、本発明は、他の特徴をレンダリングするために、かつ、特に、平面の表面が奥行きの外観を有する必要がある場合(例えば、雲のレイヤなど)は常に、同様に使用されうる。
【0077】
地図表示のためのこの一例は、例えば、都市エリアを表示するときの、ビルの外面であろう。本発明を使用して、例えば、そのような表示のために従来使用されるテクスチャの典型的な使用と比較して、ビルの外面のより現実的な表示を与えることができる。また、(特に、オフィスビルの)ビルの外面のレンダリングは典型的には繰り返しテクスチャを使用するので、本発明は、この場合、単一の窓に対して定義された前方タイルテクスチャ及び後方タイルテクスチャを使用すること、及び、それらのテクスチャをビルの外面に渡って繰り返し、それにより、その使用を大変効率的にすることによって、実装されうるものであり、かつ、実装されることが好ましい。
【0078】
本発明の技術は同様に、ビルの屋根をシミュレートするために使用されてもよく、そのように使用されることが好ましい。
【0079】
本発明の、その態様及び実施形態のいずれにおける原理も、いかなる形式の地図作成又はナビゲーション装置に対しても、かつ、いかなる所望の適切な形式の地図情報の表示に対しても適用可能である。好ましい実施形態では、この装置はナビゲーション装置である。1つの特定の有用性の分野は、ポータブルナビゲーションデバイス(PND)に関する。実施形態では、したがって、地図作成又はナビゲーション装置は、ポータブルナビゲーションデバイス(PND)である。さらなる態様によれば、本発明は、説明された本発明の態様又は実施形態のいずれかによる装置を備える、ポータブルナビゲーションデバイス(PND)を提供する。したがって、本発明の実施形態では、この方法は、ポータブルナビゲーションデバイスの地図作成又はナビゲーションシステムを操作する方法である。PNDは、PNDに特有の1つ以上の他の特徴を含んでもよく、含むことが好ましく、この特徴は、ユーザが装置及び/もしくはデバイスと対話し、ならびに/又は、それを制御することができるように構成された、入力インタフェースなどであり、そうであることが好ましい。
【0080】
本発明はまた、一体ナビゲーションシステムの一部として提供されるナビゲーション装置にも適用可能である。例えば、この装置は、車載一体型ナビゲーションシステムの一部を形成してもよい。本発明のもう1つの態様によれば、本発明は、説明された本発明の態様又は実施形態のいずれかによるナビゲーション装置を備える、ナビゲーションシステムを提供する。したがって、本発明の実施形態では、この方法は、ナビゲーションシステムのナビゲーション装置を操作する方法である。ナビゲーションシステムは、一体型車載ナビゲーションシステムであってもよい。
【0081】
その実装にかかわらず、本発明のナビゲーション装置は、プロセッサ、メモリ、及び、上記メモリ内に格納されたデジタル地図データを備えてもよい。プロセッサ及びメモリは協働して、ソフトウェアオペレーティングシステムが確立されうる実行環境を提供する。1つ以上の追加のソフトウェアプログラムが、この装置の機能性を制御できるようにするため、かつ、様々な他の機能を提供するために、提供されてもよい。本発明のナビゲーション装置は、好ましくは、GPS(全地球測位システム)信号受信及び処理機能性を含んでもよい。この装置は、それを用いて情報がユーザに中継されうる、1つ以上の出力インタフェースを備えてもよい。出力インタフェース(複数可)には、視覚的ディスプレイに加えて、可聴出力のためのスピーカが含まれうる。この装置は、この装置のオン/オフ動作又は他の特徴を制御するために、1つ以上の物理的ボタンを含む、入力インタフェースを備えてもよい。
【0082】
他の実施形態では、地図作成又はナビゲーション装置が、特定の地図作成又はナビゲーションデバイスの一部を形成しない処理デバイスのアプリケーションを用いて、実装されてもよい。例えば、本発明は、地図作成又はナビゲーションソフトウェアを実行するように構成された、適切なコンピュータシステムを使用して実装されてもよい。このシステムは、モバイルもしくはポータブルコンピュータシステム、例えば、携帯電話もしくはラップトップであってもよく、又は、デスクトップシステムであってもよい。
【0083】
実際には、本発明はまた、望むなら、デスクトップシステムなど、よりハイエンドなシステムにおいても有利に使用されうる。例えば、ハイエンドシステム上で、高性能グラフィックスアクセラレータは、高度な頂点モデルを使用して、ビルの外面を詳細にレンダリングできることがあるが、本発明の技術は、例えば、高レベルの詳細及び精度がそれほど重要ではないことがある、見る者から離れている画像の領域に対して使用されてもよく、画像のより近い領域に対しては、「フル」3Dの、高度に詳細な、高度な頂点モデルがなお使用され、それにより、相対的効率と所望の画像品質の間のトレードオフを可能にしてもよい。
【0084】
本発明を、特にタイルベースの地図情報レンダリングを参照して上述したが、本発明の技術は、地図情報をレンダリングするための他の技術に、かつ、実際には、望むなら、他の画像のレンダリングに適用されてもよい。
【0085】
例えば、本発明の技術を同様に使用して、ベクトルグラフィックス又は三角形メッシュなどを使用して地図をレンダリングするとき、拡張された地図情報表示を提供することができる。この場合、本発明の技術は、例えば、画像を地図情報の3D世界表現における前方及び後方の「レイヤ」として表現することによって、実装されるようになり、上述の方法で、前方レイヤは、その中に設けられたシースルー形状を有し、1つ以上の後方レイヤは次いで、前方レイヤ内のシースルー形状を通して見られるべき適切な画像領域及び境界領域を有する。(したがって、実質的に、これらのレイヤは上述のタイルに対応するようになる。)
同様に、この技術を、地図情報以外の画像をレンダリングするとき、使用することができる。例えば、上述のように、本発明は、ビルを表示するときに有利に使用されてもよく、これは単に地図情報に関連する必要はなく、他の状況においては、例えば、ゲーム又は他の応用例では、ビルの表示に対して使用することができる。
【0086】
したがって、本発明のさらなる態様によれば、画像を表示する方法が提供され、この方法は、
そのレイヤの平面内に1つ以上のシースルー形状を有する、前方レイヤをレンダリングするステップと、
前方レイヤの後方に位置し、かつ、当該平面上に、前方レイヤの平面内の1つ以上のシースルー形状と重なり合う1つ以上の画像領域を有する、後方レイヤをレンダリングして、画像が表示されると、後方レイヤ上の画像領域が前方レイヤ内のシースルー形状を通して見られるようにするステップとを備える。
【0087】
本発明のさらなる態様によれば、画像を表示するための装置が提供され、この装置は、
そのレイヤの平面内に1つ以上のシースルー形状を有する前方レイヤと、前方レイヤの後方に位置し、かつ、当該平面上に、前方レイヤの平面内の1つ以上のシースルー形状と重なり合う1つ以上の画像領域を有する、後方レイヤとをレンダリングして、画像が表示されると、後方レイヤ上の画像領域が前方レイヤ内の1つ以上のシースルー形状を通して見られるようにする手段を備える。
【0088】
当業者には理解されるように、本発明のこれらの態様及び実施形態は、適宜、本明細書で説明された本発明の好ましい特徴及び任意選択の特徴のうち、任意の1つ以上を含んでもよく、含むことが好ましい。したがって、例えば、シースルー領域が、上述の方法でレイヤ内に設けられてもよく、後方(より低い)レイヤ内の画像領域は、好ましくは、それらの領域を囲む適切な境界を備え、また、例えば、上述のように、複数のレイヤのタイルの使用と類似の方法で、複数のレイヤがあってもよい。同様に、異なるレイヤは、それぞれのタイルを備えることが好ましく、表示されるべき画像は、地図情報を表現することが好ましい。
【0089】
本発明による方法は、少なくとも部分的には、ソフトウェア、例えば、コンピュータプログラムを使用して実装されてもよい。本発明はまた、したがって、本発明の態様又は実施形態のいずれかによる方法を行うように実行可能なコンピュータ可読命令を備える、コンピュータプログラムにも及ぶ。
【0090】
本発明は、それに対応して、データ処理手段を備えるシステム又は装置を操作するために使用されるとき、上記データ処理手段と共に、上記装置又はシステムに本発明の方法のステップを実行させる、そのようなソフトウェアを備える、コンピュータソフトウェアキャリアにまで及ぶ。このようなコンピュータソフトウェアキャリアは、ROMチップ、CD ROMもしくはディスクなど、非一時的な物理記憶媒体であってもよく、又は、ワイヤを介した電子信号、光信号、もしくは衛星その他などへの無線信号など、信号であってもよい。
【0091】
明記されない場合、その態様のいずれかにおける本発明は、本発明の他の態様又は実施形態について説明された特徴のいずれか又はすべてを、それらが相互に排他的でない限り、含んでもよいことは理解されよう。特に、この方法で、かつ、この装置によって行われうる動作の様々な実施形態を説明したが、これらの動作のいずれか1つもしくは複数、又はすべてが、望むように、適宜、任意の組み合わせにおいて、この方法で、かつ、この装置によって行われうることは理解されよう。
【0092】
これらの実施形態の利点を以下に示し、これらの実施形態の各々のさらなる詳細及び特徴は、添付の従属請求項、及び、他の場合には以下の詳細な説明において規定される。
【0093】
添付の図面を参照して、本発明の教示の様々な態様、及び、それらの教示を具体化する構成を、以下に例示的な例として説明する。