(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電気化学セルがアノードを含み、前記アノードは寸法安定性があり、かつ酸化ルテニウムで被覆されたチタンメッシュ、白金で被覆されたチタンメッシュ、及びカーボンから選択される、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
広く言えば、本明細書に記載されているのは、塩化リチウム含有溶液から炭酸リチウムを製造する方法である。
【0017】
本明細書で用いられる場合、ブライン溶液は、アルカリ及び/又はアルカリ土類金属塩の水溶液を表し、塩の濃度は、痕跡量から飽和点まで変わり得る。一般に、本明細書に記載されている方法に適するブラインは、アルカリ金属又はアルカリ土類の塩化物、臭化物、硫酸塩、水酸化物、硝酸塩などを含み得る水溶液、さらには天然のブラインである。ブラインは、天然の供給源、例えば、チリのブライン又はソルトン湖地熱資源ブライン、地熱ブライン、海水、鉱物ブライン(例えば、塩化リチウム又は塩化カリウムブライン)、アルカリ金属塩ブライン、並びに産業ブライン、例えば、鉱石浸出、選鉱などから回収される産業ブラインから得ることができる。本発明の方法は、人為的に調製された塩化リチウム溶液に、同じように適用できる。
【0018】
それゆえに、本発明の方法は、リチウムを含めた1価の陽イオン、多価陽イオン、1価の陰イオン、及び多価陰イオンを含む溶液からの炭酸リチウムの調製及び回収を含む。
【0019】
図1を参照すると、本発明の方法の一実施形態において、塩化リチウム含有溶液30が供給される。塩化リチウム含有溶液30は、約1重量%と42重量%の間で、好ましくは約10重量%を超え、より好ましくは約25重量%を超える濃度を有し得る。別の実施形態において、塩化リチウム含有流30は、約10重量%を超える濃度を有し得る。
【0020】
特定の実施形態において、塩化リチウム含有溶液30は、電気分解セル32に供給される前に、精製又は濃縮ステップを任意選択で経てもよい。特定の実施形態において、塩化リチウム含有溶液から、2価イオン及びシリカを除くことが望ましい。地熱ブラインを含めて、ブラインから塩化リチウムの分離及び精製する方法は、当技術分野において知られており、例えば、米国特許第4,036,713号及び米国特許第5,951,843号に記載されており、これらの各々は、その全体が、参照を通じて本明細書に組み込まれる。
【0021】
任意選択で、前記方法は、塩化リチウム流の濃度を増すためのステップを含み得る。具体的には、リチウム濃縮手段(示されていない)が、塩化リチウム含有溶液30の水の一部を、例えば蒸発によって、除去し、より高濃度の塩化リチウム溶液を生成するために利用され得る。例示的な濃縮手段には、電気透析、水蒸気蒸発、又は太陽熱蒸発が含まれ得る。濃縮ステップを用いる実施形態において、濃縮された塩化リチウム含有溶液30の全体としての濃度は、25重量%を超える塩化リチウムまで、好ましくは約42重量%の塩化リチウムまで、増大され得る。
【0022】
塩化リチウム含有溶液30は、電気化学セル32に供給され得るが、これは、水酸化リチウムの電気化学的調製のために、少なくとも1つのアノード、1つのカソード及び透過性膜を含み得る。大規模生産に適する電気化学セルは、会社、例えば、少数の例を挙げれば、DeNora、Chlorine Engineers、及びAsahi Glassから市販されている。詳細には、アノードで、塩化物イオンが塩素に酸化され、カソードで、水が水酸化物イオン及び水素ガスに還元される。特定の実施形態において、濃縮された塩化リチウム含有溶液30は、他のイオン、特に電気化学反応を妨げ得るイオンを実質的に含まない。任意選択で、塩化リチウム含有流30は、塩化リチウム含有溶液が、非リチウムイオン、特に電気化学反応を妨げ得る非リチウムイオンを実質的に含まないという条件で、最初にシリカ処理及びリチウムイオン封鎖ステップを経ることなく、電気化学反応へと直接供給され得る。特定の実施形態において、濃縮された塩化リチウム含有溶液30におけるナトリウム及び/又はカリウムイオンの濃度は、約5重量%未満、好ましくは約3重量%未満である。鉄、カルシウム、マグネシウムなどのような陽イオンは、存在するとしても、好ましくは約0.001重量%未満、より好ましくは0.005重量%未満、より一層好ましくは0.00001重量%未満の総濃度を有する。より高濃度の妨害イオンは、電気化学セルの運転を不可能にしないが、むしろ、セル構成要素の全体的な寿命及び/又は反応の全体的な有効性を低下させ得る。
【0023】
非リチウム妨害陽イオンの存在に関して上で言及したことと同様に、好ましくは、電気化学セル32は、約5重量%未満、好ましくは約3重量%未満、より一層好ましくは約1重量%未満の全非塩化物陰イオン含有量を有する。
【0024】
電気化学セル32のカソードは、ニッケル、触媒化ニッケルメッシュ、ステンレス鋼、被覆ステンレス鋼、軟鋼などを含めた、適切な如何なる材料であってもよい。他の例示的触媒には、混合ルテニウム化合物、白金、及び低い水素過電圧を有する他の類似の化合物が含まれ得る。カソードの全面積は、反応器の大きさ及び望みの製造量に基づいて調節され得る。電気化学セル32に供給されるカソード液は、電流を伝える十分なイオンを有する、如何なる適切な材料であってもよい。水を用いることもできるが、特定の実施形態では、炭酸リチウム又は水酸化リチウムの添加が、セルの運転に有益であり得る。
【0025】
電気化学セル32のアノードは、適切な材料、例えば、酸化ルテニウムで被覆されたチタンメッシュ、白金で被覆されたチタンメッシュ、カーボンなどのいずれかであり得る。好ましくは、アノードは、電力消費が少なくなるように、寸法安定性のあるアノードである。寸法安定性のあるチタンアノードは、チタン基材が耐腐食性であるので、塩素環境に特に適合している。アノードの全面積は、反応器の大きさ及び望みの製造量に基づいて調節され得る。電気化学セル32のアノード液は、約1重量%から飽和までの間、好ましくは5重量%と40重量%の間、より好ましくは約10重量%と35重量%の間の濃度を有する塩化リチウム溶液を含めて、適切な如何なる材料であってもよい。
【0026】
電気化学セル32の構築材料は、塩素、活性化された塩素、酸素含有塩素化学種、及びブライン溶液に存在し得る他の溶解した化学種に対して化学的な耐性のある如何なる材料であってもよい。電気化学セル32の例示的な構築材料には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、HALAR(エチレンとクロロトリフルオロエチレン(CTFE)の交互コポリマー)、及び他のフッ素化又は部分フッ素化物が含まれる。
因みに、HALARは商標名である。
【0027】
電気化学セル32の膜は、陽イオンを選択的に通し、陰イオンの通過を阻止する、適切な如何なる陽イオン選択性半透膜であってもよい。このような膜は当技術分野において知られている。例示的な膜の1つは、Nafion(E.I. DuPont de Nemours & Co.)、特に、Nafion 300、400、及び900/9000シリーズの材料である。他の適切な膜は、Flemionによって供給され得るが、適切な膜材料のいずれも、その材料が、塩素と水酸化リチウムの両方に化学的な耐性があるという条件で、使用できる。膜は、電気分解されるアノード液とカソード液の間に置かれ得る。
因みに、NafionとFlemionは商標名である。
【0028】
特定の実施形態において、前記方法は、塩化リチウム含有溶液30又はブラインを電気化学セル32に供給するステップの前に、1つ又は複数のフィルター又は分離−精製ステップを任意選択で含み得る。
【0029】
電気化学セル32の運転の間、約500と10,000A/m
2の間の電流密度が、約1.5と5ボルトの間の電圧で、適用され得る。好ましくは、約2000と7000A/m
2の間の電流密度が適用される。
【0030】
電気化学セル32は、約60と100℃の間、好ましくは約70と95℃の間、より好ましくは約90と95℃の間の温度で運転し得る。セル32は、大気圧で、又は大気圧より僅かに上で、運転し得る。
【0031】
電気化学セル32の運転は、水酸化リチウム溶液を生じ、また、塩素及び水素ガスの副生成物を生じ、これらは、それぞれ、ライン34及び35を通して、電気化学セルから除去され得る。
【0032】
電気化学セル32の効率は、少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%であり、より一層好ましくは約99.9%にまで達する。電気分解は、水酸化リチウム含有量が約17重量%に達するまで、連続的に運転され、この時点で、水酸化リチウム溶液は取り出され、炭酸化反応器に供給され得る。約17重量%を超える水酸化リチウム濃度で、溶液中の水酸化リチウムは析出し始め得る。電気化学セル32は、また、比較的低濃度の水酸化リチウム溶液を生成するように考案された条件下に運転されてもよく、この比較的低濃度の水酸化リチウム溶液は、炭酸化反応器へ、またそこからリサイクルされ得る。電気化学セル32は、また、水、低濃度水酸化リチウム、低濃度炭酸リチウム、又はこれらの組合せを、セルに供給するための供給ライン(示されていない)を備え得る。
【0033】
水酸化リチウム溶液36は、電気化学セル32から炭酸化反応器/吸収装置38へ供給され、例えば上向流方式の、二酸化炭素ガス44に、接触させられ得る。炭酸化反応器/吸収装置38は、水酸化リチウム36が反応器の最上部に供給され、反応器を通して下向き方式で流れることによって、上向きに流れている二酸化炭素ガス44(これは、炭酸化反応器/吸収装置38の最下部近くに導入され得る)に接触するように設計された、一連のトレイ又は他の類似の手段を含み得る。代わりとなる実施形態において、炭酸化反応器/吸収装置38は、液体と気体の混合を促進するように設計された、様々な混合手段を含み得る。任意選択で、炭酸化反応器/吸収装置38は、サーモスタット加熱を有するジャケット付きバッチ反応器であってもよい。反応は、炭酸リチウムの固体を生じる。炭酸リチウムスラリーの濃度は、好ましくは少なくとも約1.5重量%の炭酸リチウム、より好ましくは少なくとも約6重量%の炭酸リチウムである。二酸化炭素は、捕捉され、ライン42を通して、炭酸化反応器/吸収装置38にリサイクルされ得る。
【0034】
特定の実施形態において、炭酸リチウムは、水の中における塩化リチウムと炭酸ナトリウムとの反応によって生成され得るが、この場合、混合物は、撹拌しながら、好ましくは約90℃と95℃の間の温度に加熱される。この反応は固体の炭酸リチウム、及び塩化ナトリウム溶液を生成し、塩化ナトリウム溶液は、望みの炭酸リチウムの固体から、濾過によって分離できる。
【0035】
炭酸リチウム溶液40は、濾過手段46へ供給され得るが、この手段は、炭酸リチウム含有スラリー40を、水の流れ52(これは、任意選択で、濾過手段へ再供給され得る)と、固体炭酸リチウム生成物50に分離するように操作できる。濾過手段46は、例えば、一連のスクリーン又はフィルター、及び水供給源
20を含み得る。任意選択で、水は、ライン52を通してプロセスへリサイクルされ得る。任意選択で、炭酸リチウムは、遠心又はデカンテーションによる濃厚化によって、スラリーから濃縮され得る。濾過手段46によりスラリーから固体を分離する間に捕集された水は、電気化学セルに供給されてもよく、或いは、地熱井(well)又は地熱貯留槽(reservoir)に供給され得る。特定の実施形態において、炭酸リチウムの固体は、ベルト(band)フィルター上に保持され、洗浄ステップに供給されてもよく、そこでは、好ましくは約90℃と95℃の間の温度を有する、高温の水が、固体を洗浄するために用いられる。特定の実施形態において、濾過手段46を通じて捕集される水溶液は、約9を超えるpHを有し得るが、最もあり得ることとして、約10〜12の間のpHを有する。代わりに、約5と8.5の間のpHを実現するために、十分な酸が水溶液に添加されてもよく、この酸性化された水は、リチウム抽出プロセスに供給され得る。代わりに、この溶液は、電気分解セルのカソード側に、前もって中和することなく、直接、戻されてもよい。
【0036】
固体炭酸リチウム50は、乾燥ステーション54に供給され、これは、加熱手段、さらには、窒素又は他の不活性ガスをチャンバに供給するためのラインを、任意選択で含み得る。乾燥された炭酸リチウム生成物56は、次いで、さらなる用途のために、捕集され、容器に入れられ、輸送される。
【0037】
ここで、
図2を参照すると、炭酸リチウムの製造の別の実施形態が示されている。塩化リチウム流30は、炭酸ナトリウムと接触させられるが、この場合、炭酸ナトリウムは、水酸化ナトリウムが電気化学的に製造され、次に、これが炭酸化されて、炭酸ナトリウムを生じることによって調製される。
【0038】
上で記載された通りである電気化学セル32に、塩化ナトリウム流60が供給される。塩化ナトリウム流60は、電気分解を受けて、水酸化ナトリウム流62、並びに塩素及び水素ガス64を生成する。塩化ナトリウムの電気分解による水酸化ナトリウムの製造に対する反応条件は、当技術分野において知られている。
【0039】
特定の実施形態において、塩化ナトリウムの電気分解の効率は、少なくとも約70%、代わりに少なくとも約80%、代わりに少なくとも約90%、又は代わりに少なくとも約95%である。特定の実施形態において、水酸化ナトリウム溶液62は、少なくとも約10重量%、より好ましくは少なくとも約30重量%、最も好ましくは約35重量%の濃度で生成される。
【0040】
塩素及び水素ガス64、65を、燃焼させ、水で洗浄して、塩酸を生成し得るが、これは、プロセス内で使用しても、又は代わりに、精製し、圧縮し、市販してもよい。
【0041】
水酸化ナトリウム流62は、炭酸化反応器/吸収装置38に供給され、そこで、水酸化ナトリウム流は、例えば上向流方式の、二酸化炭素ガス44に接触させる。炭酸化反応器/吸収装置38は、水酸化ナトリウム流62が反応器の最上部に供給され、反応器を通して下向き方式で流れることによって、上向きに流れている二酸化炭素ガス44(これは、反応器の最下部近くに導入され得る)に接触して、炭酸ナトリウム溶液又はスラリー66を生じるように設計された、一連のトレイを含み得る。別の実施形態において、炭酸化反応器/吸収装置38は、液体と気体の混合を促進するように設計された様々な混合手段を含み得る。溶液の濃度は、好ましくは少なくとも15重量%の炭酸ナトリウム、より好ましくは少なくとも約25重量%の炭酸ナトリウムである。二酸化炭素は捕捉し、ライン42を通して、炭酸化反応器/吸収装置38にリサイクルし得る。
【0042】
炭酸ナトリウム溶液66は、反応器68に供給され、そこで、溶液を、塩化リチウム溶液30に接触させると、スラリー70が生成され、これは、炭酸リチウム及び塩化ナトリウム溶液を含む。炭酸ナトリウム溶液66と塩化リチウム溶液30を反応容器内で接触させるステップは、約60℃を超え、好ましくは約80℃を超え、より一層好ましくは約90と95℃の間の温度にあり得る。特定の実施形態において、反応容器68は、撹拌槽反応器である。代わりに、反応容器68は、標準的な晶析器であってもよい。炭酸ナトリウム溶液66と塩化リチウム溶液30を上記の条件で接触させることにより、結果として炭酸リチウムが析出物として生じ、塩化ナトリウムは水溶液中に残る。
【0043】
固体の炭酸リチウム及び塩化ナトリウム水を含むスラリー70は、分離装置72(これは、例えば、遠心機、沈殿槽、フィルター、スクリーンなどを含めて、固体を液体から分離するための様々な手段を含み得る)に供給されて、炭酸リチウム生成物の流れ74及び塩化ナトリウムブライン溶液76を生成する。生成物の品質の向上を達成するために、炭酸リチウムは、炭酸リチウム析出物の隙間の空間に捕捉されたナトリウム、カリウム、及び/又は塩化物イオンを除去するために、例えば、水、好ましくは高温の水による洗浄又は類似の手段によって、処理し得る。特定の実施形態において、分離装置手段72は、ベルトフィルター又は回転ドラムであってよく、残留塩化ナトリウムの除去のために、向流洗浄システムを通して、任意選択で供給されてもよい。分離装置手段72は、また、分離された固体炭酸リチウムの洗浄のために、水の入口73及び出口76を含み得る。分離装置手段72は、また、例えば、遠心機、加熱装置、送風機、プレスなどを含めて、乾燥及び/又は固体炭酸リチウムからの水の除去のための手段を含み得る。分離装置手段72は、水の除去のために、真空フィルターを含み得る。特定の実施形態において、洗浄のために用いられる水の量を最小限にしながら、同時に炭酸リチウムの純度を最大にするためにも、洗浄ステップを最適化することが望ましい。塩化ナトリウム溶液76は、ライン77を通して、電気分解のために電気化学セル32にリサイクルされ得る。炭酸リチウム生成物74は、約5重量%未満、好ましくは約2重量%未満、より一層好ましくは約0.5重量%未満の湿分含有量を有し得る。
【0044】
分離手段72からのブライン溶液76は、塩化ナトリウム及び炭酸リチウムを含み得る。一般に、前記プロセス及び洗浄プロセスにおいて利用される水の量に応じて、塩化ナトリウムと炭酸リチウムの比は、少なくとも約20:1、より好ましくは少なくとも約25:1、より一層好ましくは少なくとも30:1である。特定の実施形態において、ブライン溶液における塩化ナトリウムと炭酸リチウムの比は、約35:1であり得る。
【0045】
特定の実施形態において、ブライン溶液76は、塩酸(示されていない)により、約4未満、好ましくは約3未満のpHに、酸性化し、電気化学セル32にリサイクルし得る。塩酸は、電気化学セル32から供給され得る。
【0046】
図3に提示されている炭酸リチウムの製造方法は、このプロセスが、廃棄生成物の産出を排除する、又はほとんど排除するという理由で、利点がある。詳細には、特定の実施形態において、未使用の金属塩(例えば塩化ナトリウム)及び二酸化炭素のリサイクル、全収率は定量的である、又はほとんど定量的である。
【0047】
ここで
図3を参照すると、炭酸リチウムの製造のための別の代わりとなる実施形態が与えられている。この方法は、炭酸ナトリウムを生成させ、回収された塩化リチウムと反応させる単一ステップのプロセスであるが、追加のインプットを必要とし得るし、廃棄塩化リチウム流を生成し、これは、それに同伴する少量の炭酸リチウムを含み得る。
【0048】
水酸化ナトリウム溶液は、上に記載され、
図2に示されるように提供される。電気分解セル32へ、塩化ナトリウム流60が供給される。塩化ナトリウム流60は、電気分解されて、水酸化ナトリウム62、並びに塩素及び水素ガス64、65を生じる。
【0049】
水酸化ナトリウム流62は、混合器80に供給され、そこで、水酸化ナトリウム流は、塩化リチウム流30と一緒にされ、混合される。水酸化ナトリウム流62と塩化リチウム流30の混合は、知られている手段によって、例えば、撹拌機又は混合機によって、超音波により、又は類似のものによってであり得る。混合器80は、混合流82を生じ、これは、水溶液として水酸化ナトリウム及び塩化リチウムを含む。特定の実施形態において、塩化リチウム流30は、少なくとも約20重量%、より好ましくは少なくとも約28重量%、より一層好ましくは少なくとも約42重量%の濃度を有することが好ましいことであり得る。同様に、特定の実施形態において、水酸化ナトリウム流62は、少なくとも約15重量%、より好ましくは少なくとも約25重量%、より一層好ましくは約35重量%の濃度を有することが好ましいことであり得る。
【0050】
混合流82は、炭酸化反応器/吸収装置84に供給され、これは、混合流(塩化リチウム及び水酸化ナトリウムを含む)が、反応器の最上部に供給され、反応器を通して下向き方式で流れることによって、混合流が、上向きに流れている二酸化炭素ガス44(これは
、反応器の最下部近くに導入され得る)に十分に接触して、炭酸リチウムスラリー90を生成するように設計された、一連のトレイを含み得る。好ましくは、炭酸化反応器/吸収装置84は、約90℃と100℃の間の温度に保たれる。代わりとなる実施形態において、反応器84は、液体と気体の混合を促進するように設計された、様々な混合手段を含み得る。炭酸リチウムの濃度は、好ましくは少なくとも15重量%、より好ましくは少なくとも25重量%の炭酸リチウムである。二酸化炭素は、ライン42を通して、炭酸化反応器84にリサイクルされ得る。
【0051】
炭酸リチウム溶液90は、分離容器92に供給され、そこで、固体炭酸リチウムが、ライン94を通して生成される。塩化ナトリウム、及び可能性として少量の炭酸リチウムを含む溶液が、流れ96として生成される。
【0052】
炭酸ナトリウム溶液90(これは、固体炭酸リチウム及び塩化ナトリウム水を含む)は、分離手段92に供給されるが、これは、例えば、遠心機、沈殿槽、フィルター、スクリーンなどを含めて、液体から固体を分離するための様々な手段を含み得る。分離手段92は、また、分離された固体炭酸リチウムの洗浄のために、水の入口93及び出口(示されていない)を含み得る。分離手段92は、また、例えば、遠心機、加熱装置、送風機、プレスなどを含めて、固体炭酸リチウムの乾燥及び/又は水の除去のための手段を含み得る。固体炭酸ナトリウム生成物は、ライン94を通して捕集される。任意選択で、塩化ナトリウム流96の一部は、ライン97を通して、電気化学セル32にリサイクルされてもよい。任意選択で、塩化ナトリウム溶液は、リチウム抽出媒体の洗浄ステップにリサイクルされてもよい。特定の実施形態において、プロセスで必要とされる塩化ナトリウムは、地熱ブライン、Smackoverブライン、又は他のブラインからの塩化ナトリウムの選択的晶析によって生成され得る。
【0053】
特定の実施形態において、前記プロセスは、塩化ナトリウム溶液に含まれる炭酸リチウムの中和(例えば、有効量の塩酸又は類似の酸を添加することによる溶液の中和による)のための手段を含み得る。炭酸リチウムが効果的に除去され得る実施形態では、溶液は、電気化学セルにリサイクルされ得るが、それに炭酸リチウムが含まれていれば、電気化学セルの性能に問題を生じ得る。
【実施例】
【0055】
(例1)
水酸化ナトリウムの炭酸化
水酸化ナトリウムの炭酸化を、加熱システムを有する3リットルのジャケット付き反応器(Syrris Reactor Systems(英国)製)を用い、実施した。反応は、1リットルの水酸化ナトリウム溶液(9.5M、27.5%の固体)を用い、約95℃の温度で実施した。水酸化ナトリウムを確実に完全に変換するために、二酸化炭素は、3L/minの速度で、約1時間(合計で約8モルになる、約1.7モル当量)供給した。水酸化ナトリウム溶液の炭酸化の最後に、透明な炭酸ナトリウム溶液が得られ、この時点で、炭酸化反応を停止し、炭酸ナトリウム溶液の加熱を数分間続けた。この透明な溶液に、炭酸リチウムの種結晶を加え、その後、それを、塩化リチウム溶液(1000mL中、404gの塩化リチウム)と反応させた。実験の収率は95%であった。収率は、他の同様の反応では、実験条件に応じて変化があり、ある場合には、約100%のように高かった。分離された前記炭酸リチウムの純度は、洗浄前に、約96.6%であった。
【0056】
生成物の流れの最初の洗浄の前に、炭酸リチウムは、約78.4%の純度で、次の不純物を有していた:Na(71mg/kg)、Ca(2.8mg/kg)、Mg(2.1mg/kg)、Fe(0.3mg/kg)、Ba(0.1mg/kg)、Mn(0.08mg/kg)、及びSr(0.03mg/kg)。約2〜3体積当量の水で洗浄した後、ナトリウムの濃度は、検出できないレベルまで低下し、炭酸リチウムは、99%を超える純度で、次の不純物を有していた:Mg(5.9mg/kg)、Ca(2.9mg/kg)、Ba(0.4mg/kg)、Fe(0.4mg/kg)、Mn(0.07mg/kg)、及びSr(0.07mg/kg)。
【0057】
洗浄条件は、炭酸リチウム生成物に同伴される炭酸/塩化ナトリウムの量に影響を及ぼした。
【0058】
(例2)
電気分解プロセスにより、精製され濃縮されたLiCl溶液を、炭酸水素リチウムへの次の変換のために、LiOH濃厚溶液に変換する。電気化学セルの効率を決める制限要因は、膜を横断する水酸化物の逆移動の故に、カソード液における水酸化リチウムの濃度である。それゆえに、電位化学セルを、4つの異なる水酸化物濃度で運転して、水酸化リチウム濃度の影響を調べ、調製され得る最大濃度を決める実験を計画した。実験は、水酸化物濃度の関数として、透析過程の電流効率及びエネルギー利用を測定するように計画した。電気化学セル内で、加えられた場の下で、Li
+イオンは、アノード液からカソード液へ移動し、同時に、存在する水は、カソードで、H
2及びOH
−へと電気分解される。理論上は、外部回路を流れる各電子は、カソード液における1個のLiOH分子の増加に対応し、経時的に、LiOHの濃度は増加する。この過程における主要な非効率である、カソード液からアノード液へのOH
−イオンの逆移動は、カソード液のOH
−濃度に依存する。そのため、ここで報告する実験は、分かっている速度で水を添加することによって、カソード液のOH
−濃度を一定に保つ意図をもって行った。反応の効率は、理論上の添加と実際の水の添加速度を比較することによって求めた。
【0059】
(例3)
電気分解による、塩化リチウムからの水酸化リチウムの製造
【0060】
実験の構成
電気分解システムは、アノード液及びカソード液の流動システムを有する電気分解セルからなっていた。LiCl溶液の電気分解は、ICI製のFM01電気分解装置(塩素−アルカリ工業において工業的に用いられるFM21電気分解装置の縮尺モデル)を用いて実施した。この電気分解装置は、ランタンブレード型電極(アノード:酸化ルテニウムで被覆されたチタン;カソード:ニッケル)、及びNafion(登録商標)982膜を含んでいた。各電極の活性表面積は、約64cm
2(4×16cm)であり、セルギャップ(アノードからカソードまでの測定距離)は、約12〜13mmであった。FM01電気分解装置は、16cmの方向に平行な流れで(運転されることが意図されている、4cmの寸法に平行な流れの方向とは対照的に)、こうすることが、電極から生じる塩素及び水素ガスの処理を増進させたので、運転した。さらに、アノード液及びカソード液の流れは、通常、セルの対向する側面から供給されるが、本実験では、アノード液及びカソード液は、電気化学セルの同じ側から供給した。
【0061】
アノード液流システムは、供給槽、ポンプ、脱ガス槽、塩素スクラバー、及び捕集槽を含んでいた。約21重量%の濃度を有する塩化リチウム溶液を、アノード液供給槽に入れ、約90℃に加熱した。加熱した溶液を、約20cm
3/minの流量(約0.13cm/sの面速度に相当)で、1回通し方式で、セルのアノード室へポンプで送った。セルを出る際に、塩化リチウム溶液及び同伴される塩素ガス(アノードで生成される)は、塩素を除くために、脱ガス槽(これは、塩素スクラバーを装備していた)を通過させた。次いで、塩化リチウム溶液は、貯蔵のための捕集槽に、ポンプで送った。
【0062】
カソード液流システムは、供給槽、ポンプ、及び給水システムを含んでいた。水酸化リチウムを供給槽に入れ、約95℃に加熱し、再循環方式で、約50mL/minの流量(約0.33cm/sの面速度に相当)で、電気化学セルのカソード室に供給した。一定の水酸化リチウム濃度を保つために、蠕動運動型ポンプを用い、水を連続的にシステムに加えた。添加の速度は、水槽の重量低下によってモニターした。水酸化リチウムと空気からの二酸化炭素との反応を最小限にするために、カソード液再循環槽を通して、窒素をバブリングした。
【0063】
表1は、カソード液の濃度の影響を特定するための試験で用いた実験条件を要約する。
【表1】
【0064】
電気化学セルの運転の間、カソード液の入口及び出口、並びにアノード液の出口ポートで、30分毎に試料を採取した。セル電圧は、ハンドヘルドマルチメータを用い、セル端子でモニターした。入口と出口のカソード液の水酸化物濃度の間の差、及びセル電圧を、セルの効率及びエネルギー消費を計算するために用いた。
【0065】
結果
【0066】
カソード液の濃度に関する結果を、表2に要約し、
図4から7に示す。
図4は、電気分解、蒸発、及びLi
+陽イオンを伴う膜を横断する移動を含めた様々なメカニズムによって、水は消費される又はカソード液に付加され得るので、水酸化物濃度のリアルタイムの測定なしに、単に水の添加速度を調節することだけに基づいて、一定のLiOH濃度を維持することは難しいことを例示する。一般に、データは、LiOHの初期濃度が高いほど、水の添加を通じて濃度を一定に保つという仕事は、より困難であることを示唆する。
【0067】
セル電圧は、実験運転の全ての場合に、約4.3〜4.4Vに保った。
図5は、セル電圧が、水酸化物濃度に比較的依存しないことを示し、エネルギー消費が、電極の電気効率及び膜反応によって主に決定されていることを暗示する。この実験で用いたFM01電気分解装置におけるセルギャップ(12〜13mm)は、工業用セルで通常用いられるセルギャップ(2〜3mm)に比べて大きく、そのため、工業用セルは、ここで測定されたものより低いセル電圧を有すると予想され得る。
【0068】
図6は、電流効率が、水酸化リチウム濃度の増加と共に減少することを示す。いずれの1つの理論によっても拘束されようとは思わないが、この電流効率の減少は、水酸化リチウムの濃度が増加するにつれて、カソード液からアノード液への、膜を横断する水酸化物陰イオンの逆移動が増加することに起因し得ると考えられる。全ての実験は、同じ電流密度で実施され、セル電圧は、本質的に一定であったので、
図7に示すように、これは、また、エネルギー消費を増加させる結果になる。これらの実験は、電気化学セルにおける好ましい水酸化リチウム濃度が、約1〜2Mの間であり得ることを示唆する。
【0069】
表2は、試験結果を要約する。示されているように、水酸化リチウムの製造効率は、水酸化リチウムの濃度が低下するにつれて増加し、約1M(2.4重量%)の濃度を有する水酸化リチウム溶液では、約80〜88%に達する効率を有する。セル電圧は、水酸化リチウムの濃度に比較的依存せず、そのため、効率は、また、エネルギー必要量の決定要因になり、それは、約1Mの濃度で、約5kWh/(生成される1kgの水酸化リチウム)まで低下する。水酸化リチウム生成速度は、より低い水酸化リチウム初期濃度で最大である。
【表2】
【0070】
(例4)
炭酸化
【0071】
化学反応器
水酸化リチウムを、pH、温度、試薬添加、及び試料抽出を検知するための制御を有する3LのSyrris自動バッチ反応器システム(Syrris Ltd.(27 Jarman Way、英国))を用いて、炭酸化した。上で詳細に記載した電気分解の研究は、塩化リチウムの電気分解が、せいぜい1M(又は2.4wt%)の水酸化リチウム溶液を生成できるにすぎないことを示唆する。実際に、この濃度は、我々の実験条件下に、閉塞(clogging)の問題なしに、炭酸化の研究を実施するために理想的であることが見出された。
【0072】
炭酸化反応速度
水酸化リチウムの炭酸化反応速度は、反応が進むときに、pH及び溶液中の金属イオン濃度を(原子吸光を用い)モニターすることによって求めた。約84.0gの水酸化リチウム一水和物を、2000mLの水に溶かして、約1M(約2.4重量%)の濃度を有する溶液を調製した。30:70の水−グリコール混合物を用い、反応器のジャケットを加熱し、水酸化リチウム溶液の温度を約95℃に保った。炭酸化の間、機械的撹拌機で、溶液を250RPMで常に撹拌した。始めに、炭酸化ガス管を、カセイ溶液中、少なくとも6cmの深さに保ち、ガス流量を、流量計(Matheson Tri−Gas(米国))を用い、連続的にモニターした。炭酸化が進むにつれて、溶液のpHは僅かに増加し、反応の完了は、溶液のpHの急激な低下によって確定し、すぐ後で、反応器への二酸化炭素の流れを停止した。pHの低下は炭酸水素リチウムの生成と同時に起こり、炭酸水素リチウムは高温で不安定である。したがって、溶液の加熱/撹拌を続けて、炭酸リチウムに変換される炭酸水素リチウムを分解した。炭酸水素リチウムの分解は、pHの増加を生じ、pHは経時的に安定化した。反応の間、リチウムイオン濃度をモニターし、溶液の過度の炭酸化が炭酸水素塩の生成に導き得ることが示された。
【0073】
炭酸化の間、水酸化リチウム溶液への二酸化炭素の混合不足を補うために、僅かに過剰のモル数の二酸化炭素を水酸化リチウム溶液に添加した。炭酸化反応の完了後、炭酸リチウムの水への溶解度は温度上昇で減少するので、溶液を高温濾過した。濾過した固体は、最初、約60℃で約18時間乾燥し、次いで、固体中に存在し得る如何なる残留炭酸水素リチウムも炭酸リチウムに確実に変換されるように、約120℃で約24時間乾燥した。1モルの水酸化リチウム溶液を用い、僅かに異なる実験条件下に、炭酸リチウムの種結晶を用いる場合と用いない場合の両方で、炭酸化反応を数回繰り返した。結果は表3に示す。水酸化リチウム溶液に炭酸リチウム種結晶を入れることにより、収率が向上した。より大きな二酸化炭素流量(例えば、3L/min以上)で、炭酸化反応の収率は高いままであった。表3に示すように、二酸化炭素の供給は、約2L/minに保ったが、添加した二酸化炭素の全量は、約1.25と2.5モルの間(すなわち、0.625と1.25モル当量の間)で変化した。表3における実験1は、炭酸化容器への窒素ガスの添加を含んでいた。表3における実験3〜5は、約0.6重量%と1.2重量%の間の水酸化リチウム種結晶の添加を含んでいた。結果は、反応速度の増加により、反応器の大きさを小さくでき、それに関連する総コストを削減できることを示す。
【表3】
【0074】
本明細書に記載された方法は、リチウム濃度が低い又は高いブライン又は溶液、なおその上に、かなりの濃度の他のイオン(多価イオンを含めて)を含むブライン又は溶液から、リチウムを回収するのに適している。
【0075】
当技術分野において理解されるように、図には、装備又は装置の全ては示されていない。例えば、当業者は、様々な汚水槽(holding tank)及び/又はポンプが、本発明の方法において利用され得ることを認めるであろう。
【0076】
単数形(「a」、「an」及び「the」)は、前後の関係により、そうではないと明瞭に指示されるのでなければ、複数の指示対象を含む。
【0077】
「任意選択の」又は「任意選択で」は、続いて記載される事象又は状況が、起こることも起こらないこともあることを意味する。その記述は、その事象又は状況が起こる場合、及びそれが起こらない場合を含む。
【0078】
範囲は、本明細書において、1つの特定の概略値からとして、且つ/又は、別の特定の概略値までとして、表されていることがある。このような範囲が示されている場合、別の実施形態は、前記範囲内の全ての組合せに加えて、1つの特定の値から、且つ/又は、他の特定の値までであることが理解されるべきである。
【0079】
この出願を通して、特許又は出版物が参照されている場合、これらの参考文献が本明細書に記載されている陳述に矛盾する場合を除いて、本発明が関連する技術の現況をより完全に説明するために、これらの参考文献の開示は、それらの全体が、参照を通じて本出願に組み込まれるものとする。
【0080】
本明細書で用いられる場合、数値の範囲に関連して、繰り返し挙げられている約(about及びapproximately)という用語は、挙げられている範囲の上端及び下端の両方を含むと解釈されるべきである。
【0081】
本発明が詳細に説明されたが、様々な交換、置換及び変更が、本発明の原理及び範囲から逸脱することなく、本明細書において成され得ることが理解されるべきである。それゆえに、本発明の範囲は、以下の請求項及びそれらの適切な法的等価物によって定められるべきである。