特許第5730387号(P5730387)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5730387-内燃機関用の燃料系 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5730387
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】内燃機関用の燃料系
(51)【国際特許分類】
   F02M 59/44 20060101AFI20150521BHJP
   F02M 59/36 20060101ALI20150521BHJP
   F02M 37/08 20060101ALI20150521BHJP
   F02M 55/02 20060101ALI20150521BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20150521BHJP
   F02M 63/00 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
   F02M59/44 J
   F02M59/36
   F02M37/08 B
   F02M55/02 330B
   F02M37/00 341D
   F02M63/00 P
【請求項の数】11
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-512946(P2013-512946)
(86)(22)【出願日】2011年6月9日
(65)【公表番号】特表2013-531164(P2013-531164A)
(43)【公表日】2013年8月1日
(86)【国際出願番号】EP2011059633
(87)【国際公開番号】WO2012004084
(87)【国際公開日】20120112
【審査請求日】2012年11月30日
(31)【優先権主張番号】102010026159.9
(32)【優先日】2010年7月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(73)【特許権者】
【識別番号】591006586
【氏名又は名称】アウディ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】AUDI AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ディアク ヘーフナー
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン トレスター
(72)【発明者】
【氏名】ベアント シュレーダー
(72)【発明者】
【氏名】ベアトルト プフール
(72)【発明者】
【氏名】マクシミリアン シュティヒルマイアー
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ライヒ
【審査官】 安井 寿儀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−325806(JP,A)
【文献】 特開平11−280604(JP,A)
【文献】 特表2001−506346(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 59/36
F02M 59/44
F02M 37/00
F02M 37/08
F02M 63/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの低圧噴射装置(42)に少なくとも間接的に燃料を圧送する低圧圧送装置(16)と、
駆動領域(26)と圧送領域(28)とを有し、少なくとも1つの高圧噴射装置(36)に少なくとも間接的に燃料を圧送する高圧圧送装置(24)と、を備える、内燃機関用の燃料系(10)であって、
燃料が、前記低圧圧送装置(16)から先ず前記高圧圧送装置(24)の駆動領域(26)に圧送され、そこから引き続き低圧噴射装置(42)に圧送されることを特徴とする、内燃機関用の燃料系。
【請求項2】
前記駆動領域(26)は、ハウジング内に凹部を備え、該凹部に、駆動軸および/または少なくとも1つの圧送要素が配置されている、請求項1記載の燃料系。
【請求項3】
前記圧送要素は、圧送ピストンである、請求項2記載の燃料系。
【請求項4】
前記高圧圧送装置(24)は、流量制御弁を備える、請求項1から3までのいずれか1項記載の燃料系。
【請求項5】
前記低圧圧送装置(16)は、電気駆動式の燃料ポンプを備える、請求項1から4までのいずれか1項記載の燃料系。
【請求項6】
前記電気駆動式の燃料ポンプ(16)は、燃料タンク(12)内に配置されている、請求項5記載の燃料系。
【請求項7】
電気式の前記燃料ポンプ(16)の圧送出力が可変である、請求項5または6記載の燃料系。
【請求項8】
流体的に前記高圧圧送装置(24)の駆動領域(26)と前記低圧噴射装置(42)との間に低圧レール(40)が配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の燃料系。
【請求項9】
流体的に前記高圧圧送装置(24)の圧送領域(28)と前記高圧噴射装置(36)との間に高圧レール(34)が配置されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の燃料系。
【請求項10】
前記燃料系が、燃料としてCNG又はLPGを用いた運転用に構成されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の燃料系。
【請求項11】
内燃機関の前記燃料系が、MPI装置を含む、請求項1から10までのいずれか1項記載の燃料系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載された内燃機関用の燃料系に関する。
【0002】
背景技術
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102007000878号明細書には、内燃機関用の燃料系が記載されており、そこでは、燃料が、低圧噴射装置によって吸気管に噴射可能であり、また高圧噴射装置によって直接に内燃機関の燃焼室にも噴射可能である。そのために低圧圧送装置は、燃料を燃料タンクから低圧噴射装置に圧送し、またそれ以外に高圧圧送装置にも圧送し、高圧圧送装置は、燃料を引き続き高圧レールに圧送し、そこから高圧噴射装置に圧送する。
【0003】
発明の開示
本発明の根底を成す課題は、請求項1の特徴部に記載された構成を有する燃料系により解決される。本発明の好適な態様は、従属請求項に記載されている。さらに本発明にとって重要な構成は、後述する実施の形態の説明および図面の記載から明らかであり、その際、各構成は、個別にみなしても任意の組み合わせでも本発明にとって重要なものである。
【0004】
本発明による燃料系の利点によれば、高圧圧送装置の駆動領域を、常時低圧圧送装置から圧送された燃料が通流する。これにより高圧圧送装置自体が高圧噴射装置に極少量の燃料しか圧送しないかまたは全く圧送しない場合でも、高圧圧送装置の機械要素が冷却され、潤滑される。これにより高圧圧送装置の耐用期間および運転信頼性が改善される。特に高圧圧送装置の、潤滑および冷却の不足により固着している圧送要素の特に深刻な状況を回避することができる。技術的に複雑な高圧圧送装置の分離も回避することができ、高圧圧送装置は、常に「連動」可能である。このことは、高圧圧送装置が機械式にたとえば内燃機関のカム軸により駆動される場合に好適である。常時連動する高圧圧送装置のさらなる利点によれば、高圧圧送装置の下流側に常時高圧が提供されるので、相応の運転方式変更時に瞬時に高圧の燃料を噴射することができ、したがって高圧噴射装置は、継続的に高圧レールを介して所定圧力で負荷を掛けることができ、これにより高圧圧送装置のいわゆる「押さえ要素」(たとえば弁ばね)に対して、押さえ力に関して好適な設計を選択することができる。
【0005】
本発明による燃料系の第1の好適な態様によれば、駆動領域が、ハウジング内に凹部を備えており、凹部に、駆動軸および/または少なくとも1つの圧送要素特に圧送ピストンが配置されている。そのような駆動領域は、低圧燃料が通流もしくは貫流することにより、特に確実に冷却され、潤滑される。
【0006】
さらに好適には、高圧圧送装置が、流量制御弁を備えている。そのような流量制御弁により、たとえば高圧圧送装置がピストンポンプである場合、高圧圧送装置の入口弁は、強制的に開放位置にもたらされる。高圧圧送装置の圧送ストロークの間に入口弁が開放されている時間長さに関して、圧送したい燃料量が調節可能である。特に入口弁が強制的に常時開放位置にもたらされる場合、そして高圧圧送装置から高圧噴射装置に燃料が全く圧送されない場合に、本発明による、高圧圧送装置の駆動領域を燃料が通流する構成により、駆動領域の効果的な冷却および潤滑が確実なものとなる。
【0007】
さらに提案されるように、低圧圧送装置は、電気駆動式の燃料ポンプを備えている。そのような燃料ポンプにより、高圧圧送装置の駆動領域の潤滑および冷却に必要な燃料を確実に提供することができる。その際、そのような電気駆動式の燃料ポンプは、直接に燃料系の燃料タンク内に配置することができ、これにより特に効率的な運転が実現される。低圧圧送装置により提供可能な典型的な系圧は、0.05MPa〜0.74MPaであり、それ以外では約1.00MPaである。
【0008】
本発明による燃料系の別の好適な態様によれば、電気式の燃料ポンプの圧送出力が可変である。これにより内燃機関の様々な燃料要求に対応できるだけでなく、高圧圧送装置の駆動領域の様々な潤滑および冷却要求にも対応できる。これにより電気式の燃料ポンプの不要に高い圧送圧が回避されるので、燃料は節約される。
【0009】
流体的に高圧圧送装置の駆動領域と低圧噴射装置との間に低圧レールが配置可能である。そのような低圧レールに、たとえば複数の低圧噴射装置が接続可能であり、低圧噴射装置は、たとえば内燃機関の各シリンダの対応する吸気管に燃料を噴射する。そのような低圧レールは、燃料用の中間貯蔵部を形成し、中間貯蔵部により、圧力脈動が均される。
【0010】
このことは、流体的に高圧圧送装置の圧送領域と高圧噴射装置との間に高圧レールが配置されている態様にも当てはまる。この場合、高圧レールに複数の高圧噴射装置が接続可能であり、高圧噴射装置は、たとえばそれぞれ高圧噴射装置に対応して配置された各燃料室に燃料を噴射する。
【0011】
好適には、燃料系は、内燃機関のCNG、LPG、および/またはMPI運転用に構成されている。CNGは、「圧縮天然ガス」を意味し、天然ガスを用いた内燃機関の運転を可能にする。LPGは、「液化石油ガス」を意味し、内燃機関は、特別なLPG自動車で運転可能である。MPIは、「マルチポイントインジェクション」を意味し、燃料は、内燃機関の様々な箇所(たとえば吸気管、直接に燃料室または同時に吸気管および燃焼室)に噴射される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】内燃機関の燃料系を示す図である。
【0013】
以下に、例示した図示の態様に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
図1において、内燃機関用の燃料系は、その全体を符号10で示している。燃料系10は、燃料容器12を備えており、燃料容器12内にタンク組込みユニット14が配置されている。タンク組込みユニット14は、電気式の燃料ポンプ16として構成された低圧圧送装置を備えている。
【0015】
低圧圧送装置16は、燃料を低圧燃料管路18に圧送する。低圧燃料管路18には、フィルタ20が配置されている。フィルタ20の下流側で、戻し管路22が、電気式の燃料ポンプ16に戻るように延在している。戻し管路22には、たとえば圧力制御弁または圧力制限弁が配置可能で、圧力制御弁または圧力制限弁は、低圧燃料管路18内の圧力を所定圧力に調節する。その弁は、図示していない。
【0016】
低圧燃料管路18は、内燃機関により機械式に駆動されるピストンポンプの構成をした高圧圧送装置24に通じている。高圧圧送装置24は、駆動領域26と圧送領域28とを備えている。駆動領域26は、高圧圧送装置24のハウジング(図示していない)内に凹部(図示していない)を備えており、凹部には、駆動軸および圧送要素たとえば圧送ピストンが配置されている。駆動軸は、たとえば偏心軸であり、偏心軸は、同様に内燃機関により機械式に駆動される。相応の支持部を介して、駆動軸はハウジング内で支持されている。
【0017】
圧送領域28は、図示していない入口弁と圧送室と出口弁とを備えている。入口弁を介して、燃料は、低圧燃料管路18および駆動領域26から圧送室に吸い込まれ、圧送室内でピストンを介して圧縮され、出口弁を介して高圧燃料管路30に吐出される。高圧燃料管路30は、絞り32を介して高圧レール34に通じており、高圧レール34には、複数の高圧噴射装置36が接続されている。
【0018】
前述のように、低圧燃料管路18は、駆動領域26に通じており、特に駆動軸および圧送要素が配置されたその凹部に通じている。そこから燃料は、高圧圧送装置24の圧送領域28の入口弁だけでなく、第2の低圧燃料管路38を介して低圧レール40にも到達する。低圧レール40には、4つの低圧噴射装置42が接続されている。
【0019】
燃料系10の運転は、電子式の開ループ・閉ループ制御装置44により開ループ制御されるかもしくは閉ループ制御される。たとえば開ループ・閉ループ制御装置44は、出力送信段46を介して低圧圧送装置16と接続されており、これにより低圧圧送装置16の圧送出力が可変である。さらに開ループ・閉ループ制御装置44は、同様に図示していない流量制御弁を操作する。流量制御弁は、たとえば電磁式の作動装置である。電磁式の作動装置により、高圧圧送装置24の圧送領域28の入口弁を強制的に開放状態で維持することができる。入口弁が高圧圧送装置24の圧送サイクルの間強制的に開放されている時間長さに関して、高圧圧送装置24の圧送出力が調節可能である。高圧圧送装置24から高圧レール34に燃料を圧送しない場合に、入口弁は、強制的にたとえば常に開放位置に維持される。
【0020】
さらに開ループ・閉ループ制御装置44により圧力制限弁48が操作される。圧力制限弁48は、高圧レール34を、戻し管路50を介して低圧燃料管路18と接続することができる。このようにして高圧レール34内の圧力を低下させることができる。開ループ・閉ループ制御装置44は、様々なセンサ(たとえば高圧レール34内の圧力を検出する圧力センサ52ならびに低圧レール40内の圧力を検出する圧力センサ54)から信号を受け取る。対応する測定および制御ラインは、図1において破線で示している。
【0021】
燃料系10は、以下のように作動する:低圧圧送装置16から、燃料が、低圧燃料管路18に圧送される。そこから燃料は、高圧圧送装置24の駆動領域26に到達し、これによりそこに存在する可動の構成要素が潤滑され、またこれにより駆動領域26全体が冷却される。駆動領域26から、燃料は、一方では第2の低圧燃料管路38に到達し、そこからさらに低圧レール40に到達する。そこから燃料は、低圧噴射装置42を介してたとえば内燃機関の各シリンダの吸気管に噴射される。さらに燃料は、高圧圧送装置24から高圧レール34に圧送され、高圧噴射装置36を介して直接に内燃機関のシリンダに圧送される。燃料が先ず駆動領域26を通って次に低圧噴射装置42にガイドされる間、高圧圧送装置24の駆動領域26の確実な潤滑および冷却が保証され、それも、高圧圧送装置24が流量制御弁の適切な操作に基づいて燃料を全く圧送しないか、または極めて少量しか圧送しない場合にも保証される。このような構成は、特にMPI運転、つまりマルチポイントインジェクション運転(Multipoint−Injection−Betrieb)において好適である。
図1