(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5730392
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】シリコン処理の装置および方法
(51)【国際特許分類】
C04B 41/88 20060101AFI20150521BHJP
【FI】
C04B41/88 V
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-522154(P2013-522154)
(86)(22)【出願日】2011年6月15日
(65)【公表番号】特表2013-535396(P2013-535396A)
(43)【公表日】2013年9月12日
(86)【国際出願番号】EP2011059888
(87)【国際公開番号】WO2012016747
(87)【国際公開日】20120209
【審査請求日】2013年2月4日
(31)【優先権主張番号】102010038914.5
(32)【優先日】2010年8月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512298708
【氏名又は名称】エスゲーエル カーボン ソシエタス ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】SGL Carbon SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ブルフ
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン ダイマー
【審査官】
植前 充司
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2008/0213155(US,A1)
【文献】
特開平11−106019(JP,A)
【文献】
特開昭50−025416(JP,A)
【文献】
米国特許第03859038(US,A)
【文献】
特開昭60−044414(JP,A)
【文献】
特開平08−319164(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0149308(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 41/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素を含む被加工物(1)をシリコン処理するシリコン処理装置であって、上記シリコン処理装置は、
入口(110)および出口(120)を有し、室内にシリコン処理機器(130)が設けられている加工室(100)と、
固定支持部(210)および搬送部(220)を有する搬送機器(200)と、を備え、
上記支持部は、上記入口(110)と上記シリコン処理機器(130)との間、および上記シリコン処理機器(130)と上記出口(120)との間に設けられており、
上記搬送部は、互いに平行して移動可能な2つのビーム(221、222)を含み、
上記支持部(210)および上記搬送部(220)は、それぞれ一対の溝(210a、220a)を有し、それぞれの対の2つの溝(210a、220a)が、上記搬送機器(200)の長手方向軸Lに対して互いに向かい合い、且つ、1または複数の被加工物(1)が取り付けられた棒状体(10)を支持するために設けられ、
上記搬送部(220)は、上記支持部(210)に載置された棒状体(10)を、長手方向軸Lに沿って、上記入口(110)から上記シリコン処理機器(130)へ、および、当該シリコン処理機器から上記出口(120)へと、同調して移動させるために、持ち上げ運動、送り運動、および降下運動を含む運動サイクルを繰り返し行うように作動可能となっており、上記シリコン処理機器(130)は、その中に2つの回転円筒(132)が設けられている槽(131)を含み、上記搬送機器(200)は、支持部(210)に載置されている棒状体(10)を、1つの運動サイクルにおいて、回転円筒(132)の間に載置し、続く運動サイクルにおいて、再び取り上げて支持部(210)に載置するように構成されていることを特徴とするシリコン処理装置。
【請求項2】
上記支持部(210)の溝対(210a)は、互いに同じ間隔で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシリコン処理装置。
【請求項3】
上記支持部(210)は、互いに平行なビーム(211、212)を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のシリコン処理装置。
【請求項4】
上記搬送部の第1のビーム(221)は、一方向に支持部(210)の第1のビーム(211)に接して延び、上記搬送部の第2のビーム(222)は、同じ方向に上記支持部の第2のビーム(212)に接して延びることを特徴とする請求項3に記載のシリコン処理装置。
【請求項5】
上記運動サイクルは、持ち上げ運動、送り運動、降下運動、および戻り運動をこの順に含む、閉じたサイクルであることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載のシリコン処理装置。
【請求項6】
入口(110)とシリコン処理機器(130)との間に存在する支持部(210)の第1の部分が、空間的に、シリコン処理機器(130)と出口(120)との間に存在する第2の部分の上方に配置されていることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載のシリコン処理装置。
【請求項7】
炭素を含む被加工物(1)のシリコン処理方法であって、上記シリコン処理方法は、
a)1または複数の被加工物(1)を棒状体(10)に取り付ける工程と、
b)シリコン処理の加工室の入口(110)と当該室内にあるシリコン処理機器(130)との間、および当該シリコン処理機器(130)とシリコン処理の加工室の出口(120)との間に延びる固定支持部(210)、および、互いに平行して移動可能な2つのビーム(221、222)を含む搬送部(220)を含む搬送機器(200)の一対の溝(210a、220a)の上に上記棒状体(10)を載置する工程と、
c)上記棒状体(10)が入口(110)からシリコン処理機器(130)の内部まで段階的に運搬されるように、当該棒状体(10)を、搬送部(220)により、1回または数回の持ち上げ、送り、および降下により支持部(210)の上に搬送する工程と、
d)シリコン処理機器(130)における、被加工物(1)のシリコン処理の工程と、
e)上記棒状体(10)がシリコン処理機器(130)から出口(120)まで段階的に運搬されるように、当該棒状体(10)を、搬送部(220)により、繰り返される持ち上げ、送り、および降下により支持部(210)の上に搬送する工程とを含み、上記シリコン処理機器(130)は、融解ケイ素で満たされた槽(131)を含み、上記シリコン処理機器(130)の内部への運搬は、棒状体(10)に取り付けられた被加工物(1)を、槽(131)内の回転円筒(132)の上に載置することを含むことを特徴とするシリコン処理方法。
【請求項8】
上記工程c)および上記工程e)において、持ち上げ運動、送り運動、および降下運動の運動サイクルが、互いに一致していることを特徴とする請求項7に記載のシリコン処理方法。
【請求項9】
上記運動サイクルは、搬送部(220)のビーム(221、222)の持ち上げ運動、送り運動、降下運動、および戻り運動をこの順に含む、閉じたサイクルであり、ビーム(221、222)の戻り運動の間に、上記棒状体(10)が支持部(210)の一対の溝(210a)に支持されていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のシリコン処理方法。
【請求項10】
上記工程a)は、被加工物(1)にある貫通開口部を通って、棒状体(10)を貫入することを含むことを特徴とする請求項7から9までのいずれか1項に記載のシリコン処理方法。
【請求項11】
ケイ素をはじく材料からなるスリーブが、棒状体(10)と被加工物(1)との間に配置されることを特徴とする請求項10に記載のシリコン処理方法。
【請求項12】
上記工程e)は、上記工程c)が行われる空間的領域の下方の空間的領域において行われることを特徴とする請求項7から11までのいずれか1項に記載のシリコン処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素を含む被加工物のシリコン処理のための装置および方法に関する。
【0002】
材料のシリコン処理のプロセスは、炭素を含む被加工物の安定性を向上させる表面処理方法である。基本となる反応は、被加工物内における炭素およびケイ素の、炭化ケイ素への融合である。
【0003】
炭素を含む原料をシリコン処理する方法は、例えばEP0956276A1により開示されている。上記方法によれば、シリコン処理すべき炭素を含む原料は、結合した粉末状のケイ素と共に加熱され、これにより、溶融したケイ素が被加工物に侵入し、且つ、その中で、少なくとも一部が反応して炭化ケイ素に変化する。しかしながら、上記方法は、バッチ式でのみ行いうるので、工業規模で使用するには限界がある。
【0004】
DE102006009388B4は、上記方法の改良を提案する。これにより開示された方法は、空間的に、複数の加工室で分けて行われる。各加工室は、それぞれ特定の温度および圧力に保たれている。これにより、シリコン処理すべき被加工物は、加熱、ケイ素との反応、および冷却のために、それぞれの加工室に次々に配置される。被加工物は、加工室から次の加工室に搬送されるので、第1の加工室には、さらに、新しい被加工物を運び入れることが可能である。これによって、処理能力は向上するが、その向上の程度は、限定的である。
【0005】
それ故に、本発明の課題は、連続的なプロセスの実施を可能にする、炭素を含む被加工物のシリコン処理の装置および方法を提供することにある。
【0006】
本発明によれば、上記課題は、請求項1の特徴を有する装置、および請求項8の特徴を有する方法により解決される。
【0007】
好ましい実施形態は従属請求項に規定される。
【0008】
本発明の実施形態によれば、炭素を含む被加工物のシリコン処理装置には、入口および出口を有しその室内にシリコン処理機器が設けられている加工室と、固定支持部および搬送部を有する搬送機器とが備えられている。上記支持部は、上記入口と上記シリコン処理機器との間、および上記シリコン処理機器と上記出口との間に設けられており、上記搬送部は、互いに平行して移動可能な2つのビームを含む。ここで、上記支持部および上記搬送部は、それぞれ一対の溝を有し、それぞれの対の2つの溝が、上記搬送機器の長手方向軸Lに対して互いに向かい合い、且つ、棒状体または被加工物自体を受け入れるために設けられる。さらに、上記搬送部は、上記支持部に載置された棒状体を、長手方向軸Lに沿って、上記入口から上記シリコン処理機器へ、および、当該シリコン処理機器から上記出口へと、同調して移動させるために、持ち上げ運動、送り運動、および降下運動を含む運動サイクルを繰り返し行うように作動可能となっている。
【0009】
従って、装置の核心部分は、シリコン処理機器自体と並んで、特別に設けられた搬送機器である。この搬送機器により、処理される被加工物は、断続的に、加工室内を通ってシリコン処理機器へと移動し、続いて、シリコン処理工程の後に、当該シリコン処理機器から離れていく。本発明の方法において上記装置を使用した場合、それぞれの運動サイクルにおいて、棒状体に取り付けられた1または複数の被加工物が、支持部に沿って、シリコン処理機器の方向に搬送され、それに引き続いて、シリコン処理機器から加工室の出口へ搬送される。このときに、搬送部の梁は、運動サイクルの持ち上げステップにおいて、下方から、支持部のそれぞれ一対の溝に載置されている棒状体若しくはキャリア、または、被加工物自体を把持する。上記棒状体は、従って、支持部のその一対の溝から持ち上げられ、搬送部の一対の溝の上に置かれる。続く送りステップでは、搬送部のビームの溝に載置されている棒状体は、入口‐シリコン処理機器‐出口の順により定義される進行方向に、所定の間隔をあけて搬送される。次に、上記棒状体は、降下ステップにおいて、再び支持部の上に載置される。しかしながら、このときは、上記棒状体は、元々それぞれの棒状体に割り当てられた溝の一対から、進行方向に離れたところに位置する溝、例えばそれぞれの進行方向に隣接する溝の一対に、載置される。この方法により、加工室を経由する、進行方向への、棒状体の段階的な運搬が達成される。
【0010】
運動サイクルと次の運動サイクルとの合間に、数分または数時間の休止があってもよい。当該休止の間、棒状体、および当該棒状体に取付けられた被加工物は支持部の上に置かれたままである。あるいは、前の運動サイクルにおいて、シリコン処理機器に運び入れられた棒状体は、当該休止の間に、本来のシリコン処理にかけられて、その後、次の運動サイクルにおいて、上記シリコン処理機器から運び出され、さらに、該搬送機器に沿って出口の方向に搬送される。それ故に、上記被加工物は、表面処理のために導入されたケイ素と接触させるためにシリコン処理機器内に置かれている時間に比べて、全体としてはるかに長い時間加工室に置かれる。上述の、入口からシリコン処理機器までの段階的な給送の間に、上記被加工物は、当該被加工物がシリコン処理機器に搬入される時に適切な温度となっているように、加工室内の約1300℃から1800℃までの高い温度により、徐々に加熱される。シリコン処理機器自体は、ケイ素が溶融状態でその中に入っているので、通常、加工室の最も熱い箇所である。しかしながら、予熱温度がシリコン処理温度より高く設定されるように、温度を制御することも可能である。逆に、被加工物は、加工室のシリコン処理機器から加工室の出口までの進路において冷却される。
【0011】
上記本発明の装置により、連続的なプロセスを実現することができる。この連続的なプロセスの有利な点は、被加工物について単位時間あたりの処理能力の向上を達成することができる点である。さらに、上記加工室を、バッチ毎に加熱したり冷却したりする必要はない。被加工物の加熱および冷却の処理は、少なくとも部分的に加工室内にて行われるために、先行技術として挙げられている、連続する複数の加工室は、必ずしも必要ではない。
【0012】
加工室内の温度状況および圧力状況を安定に保つために、入口および出口は、好ましくは、加工室内の状態を変更せずに、棒状体の上に備えられた被加工物の運び入れおよび運び出しを可能にするロックゲートの形で形成される。適合したロックゲートは、従来技術により知られているために、ここでは、その具体的な実施形態については詳しく説明しない。
【0013】
上記搬送機器は、容易な方法により、加工室内にて、棒状体に取り付けられた被加工物の段階的な移動を可能にする。搬送部のビームを使って下方から把持または載置することによる、運動サイクルの間の、支持部の一対の溝から搬送部の一対の溝への棒状体の移動、および、搬送部の一対の溝から支持部の一対の溝への棒状体の移動のために、搬送および載置のときの機械的負荷は小さくなる。それゆえ、上記搬送機器自体を、可動の機械的ロック部を有すること無く、加工室内の高温度領域に設けることができる。上記の簡単な機構により、加工室内の極端な温度条件下でも、搬送機器は摩耗耐性を有する。これに関連して補足すべきことは、加工室内にある上記搬送機器の部分が、搬送部の可動のビームおよび支持部に限られているのに対し、上記搬送機器の駆動部、制御部などのすべての重要な要素は、適切に加工室の外部に配置されていることである。搬送機器の加工室内に存在する部分は、損傷することなく高温に耐えられるように、例えばグラファイト、特に微粒子グラファイト、またはCFC‐部材から製造されうる。
【0014】
上記搬送部だけではなく、搬送機器の上記支持部も、2つの平行するビームの形で実現されていてもよい。搬送部のビームと対照的に、支持部のビームは、加工室内に動かない状態で固定されている。支持部のビームおよび搬送部のビームは、それぞれ、搬送機器の長手方向軸Lに沿って平行して並ぶ一対の溝を有する。本発明の一実施形態によれば、ここで、搬送部の第1のビームは、一方向に支持部の第1のビームに接して延び、搬送部の第2のビームは、同じ方向に支持部の第2のビームに接して延びる。すなわち、搬送部の1つのビームは、支持部の両方のビームの間で支持部の一方のビームに隣接し、他方で、搬送部の第2のビームは、支持部の他方のビームに隣接して、支持部のビームにはさまれた空間の外部に配置されている。この構成の有利な点は、支持部の一対の溝における2つの溝の間隔が、搬送部の一対の溝における2つの溝の間隔と同じであることである。従って、棒状体が溝内に載置される位置の間にある、各棒状体の範囲の大きさが常に同じであることにより、使用中に、棒状体にかかる負荷は一定である。
【0015】
上記運動サイクルは、特に、持ち上げ運動、送り運動、降下運動、および戻り運動をこの順に含む、閉じたサイクルであってもよい。ここで、搬送部のビームの戻り運動は、搬送部の溝の上に載置される棒状体がないときに起こる。それ故に、搬送部のビームは、略長方形の運動をし、これにより、各運動サイクルの後に、搬送部の出発点に戻ることができる。これにより、上記搬送部のビームは、そのたびに、支持部に対して、僅かに進行方向に移動する。ここで、"僅かに"との表現は、棒状体が入口からシリコン処理機器を経由して出口まで進む全距離に対する、各サイクルによる進行方向への動きに関する。この割合は、とりわけ20%より小さく、より好ましくは10%より小さい。
【0016】
本発明の好ましい他の実施形態では、入口とシリコン処理機器との間に存在する支持部の第1の部分が、空間的に、シリコン処理機器と出口との間に存在する第2の部分の上方に配置されている。そのことは、入口および出口が、加工室の同じ側に、例えば直接上下に配置されていることを意味する。本実施形態では、上記搬送機器が、棒状体を、まず入口からシリコン処理機器まで第1の方向に沿って移動させ、次に当該シリコン処理機器の下方に、およびさらなるステップにおいてシリコン処理機器から出口まで第2の方向に沿って移動させる。ここで、当該第2の方向は、例えば第1の方向と逆方向であってもよい。この実施形態の有利な点は、シリコン処理の工程(第2の部分)に続く冷却段階が、加温段階(第1の部分)に比べて、空間的により低い領域で起こるため、エネルギーを節約するように、既にシリコン処理した加工物から放射されている余熱を、搬入された被加工物の加熱工程の補助に用いることができる点である。
【0017】
上記シリコン処理機器は、例えばその中に2つの回転円筒が配設されている槽を含んでいてもよい。ここで、上記搬送機器は、支持部に載置されている棒状体を、1つの運動サイクルにおいて、回転円筒の間に載置し、続く運動サイクルにおいて、再び取り上げて支持部に載置するようになっている。上記実施形態は、被加工物が、回転円筒の回転による、槽中の融解ケイ素への当該被加工物の連続的な浸漬を容易にする略円板状の形を有する場合に、とりわけ好適である。勿論、搬送機器により供給された被加工物を融解ケイ素槽に浸漬するために、他の公知の機構を用いることは可能である。
【0018】
本発明において、"被加工物"という場合、当該用語は、シリコン処理するべき完成部品だけではなく、中間材料または未加工品も含む。
【0019】
本発明は、さらに、以下の工程を有する、炭素を含む被加工物のシリコン処理の方法に関する:a)1または複数の被加工物を棒状体に取り付ける工程;b)シリコン処理の加工室の入口と当該室内にあるシリコン処理機器との間、および当該シリコン処理機器とシリコン処理の加工室の出口との間に延びる固定支持部、および、互いに平行して移動可能な2つのビームを含む搬送部を含む搬送機器の一対の溝の上に上記棒状体を載置する工程;c)上記棒状体が入口からシリコン処理機器の内部まで段階的に運搬されるように、当該棒状体を、搬送部により、1回または数回の持ち上げ、送り、および降下により支持部の上に搬送する工程;d)シリコン処理機器における、被加工物のシリコン処理の工程;および、e)上記棒状体がシリコン処理機器から出口まで段階的に運搬されるように、当該棒状体を、搬送部により、繰り返される持ち上げ、送り、および降下により支持部の上に搬送する工程。
【0020】
したがって、上記方法は、上記装置を用いる連続的な方法である。上記搬送機器により、同時に複数の棒状体を搬送することが可能であるため、加工室内には、常に、処理の様々な段階にある複数の被加工物が存在する。実際には、被加工物を棒状体に取り付けるまたは固定する工程a)は、通常、加工室の外部において、例えば、ロックゲートの中で、上述したシリコン処理の加工室内の温度より低い温度において行われる。適合した配置において、被加工物が直接搬送機器の上に載置されうる場合には、棒状体を用いない構成も可能である。
【0021】
上記工程c)およびe)において、持ち上げ、送り、および降下の運動サイクルは、互いに同じであってもよい。これは、送りの長さと、持ち上げあるいは降下の高さが、各サイクルにおいて同じであることを意味する。すなわち、処理の全体にわたって、同様な運動が行われ、そのことは、プロセスの制御に関して、有利な点として容易さをもたらす。
【0022】
上述したように、上記運動サイクルは、搬送部のビームの持ち上げ運動、送り運動、降下運動、および戻り運動を、この順序で含む閉じたサイクルであってもよく、ここで、ビームの戻り運動のときに、棒状体が、支持部の一対の溝において支持されている。上記方法により、棒状体が支持部の上に載置されている間の"待ち時間"は、搬送部のビームを戻すために用いられうる。さらに、このような運動において、搬送部のビームは、それぞれの運動ごとに、短い距離のみの移動が必要であるために、受ける負荷が少ない。
【0023】
他の実施形態では、上記シリコン処理機器は、融解ケイ素で満たされた槽を含み、ここで、上記シリコン処理機器の内部への運搬は、棒状体を、槽内の回転円筒の上に載置することを含む。しかし、代替的に、上記棒状体は、浸漬のための他の手段により融解ケイ素に浸漬されてもよく、また、回転しない円筒の上に載置されてもよい。
【0024】
工程a)は、被加工物にある貫通開口部を通って、棒状体を貫入することを含む。すなわち、それぞれの被加工物は、いわば棒状体に"通されている"。ここで、被加工物および棒状体のサイズによって、複数の被加工物が並んで1つの棒状体に配置されていてもよい。上記方法により、本発明の方法において、被加工物の単位時間当たりの処理能力がより大きくなる。上記貫通開口部は、被加工物の本来の形状に基づくものであってもよいし、適合する箇所に、特に、棒状体の取付けのために空けておいたものであってもよい。
【0025】
上記被加工物が、棒状体に付着することを防ぐために、例えば、ケイ素をはじく材料からなるスリーブが、棒状体と被加工物との間に配置されうる。しかしながら、被加工物の粘着に対する、棒状体の含浸に係るすべての他の方法も、完成した加工物を棒状体から取り外すことを容易にするために用いられうる。
【0026】
上述したように、工程e)は、工程c)が行われる空間的領域の下方で行われてもよい。この方法により、処理工程e)にある、冷却過程中の被加工物の余熱は、処理工程c)にある被加工物の加熱に用いられうる。これによって、プロセスの経済性は、さらに促進される。
【0027】
本発明は、次に、より詳しく、添付した図面に基づいて、限定されない実施形態により説明される。図面は以下の事項を示す:
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の方法に用いられる、棒状体に備えられた被加工物の側面図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の、炭素を含む被加工物のシリコン処理のための装置の第1の実施形態を示す平面図を示す。
【
図4】
図4は、本発明の装置の代替的な実施形態を示す。
【0029】
図面においては、異なる図面における同一または対応する要素を示すために、同一の参照番号が用いられている。
【0030】
図1は、それぞれ1つの貫通開口部1aを有する被加工物1の例示的な配置を示す。当該被加工物は、当該貫通開口部により、棒状体10あるいは円形のビームに取付けられている。示されている図面は、本発明の方法によりシリコン処理される被加工物1の一例であるブレーキディスクである。しかしながら、勿論、他の被加工物および未加工品も、本発明の方法により表面加工されうる。その限定されない例は、板、管、棒状体、および他の形状のものである。
【0031】
本発明の方法の第1の処理工程a)では、被加工物1が、棒状体10に取付けられる。その場合、ここで示される実施形態では、被加工物1は、特定の固定具を必要とすることなく、棒状体に確実に取付けられている。シリコン処理の間に、被加工物1が棒状体10に付着することを防ぐために、当該棒状体には、例えば、付着防止コーティング、すなわち、例えば窒化ホウ素、窒化ケイ素、または類似の材料からなる、ケイ素をはじくコーティングが施されていてもよい。
【0032】
次に
図2には、本発明の装置の第1の実施形態が、平面図により示されている。上記図面は加工室100の内部を示す。たとえ当該加工室内部において、複数の処理工程、例えば本来のシリコン処理の前あるいは後の被加工物1の加熱および冷却が行われるとしても、加工室は、以下、シリコン処理加工室とも称される。
【0033】
加工室100は、本実施形態において、加工室100の内部を挟んで向かい合っている、1つの入口110および1つの出口120を含む。上記入口110と上記出口120との間には、ここでは、融解ケイ素によって満たされ、加熱されている槽131の形のシリコン処理機器130がある。重要な点は、ケイ素を液体状態に保つために、加工室100のこの部分において、十分に高い温度が維持されていることである。槽131の中には、回転円筒132、ここでは2つの回転円筒132が備えられており、当該回転円筒は、被加工物1を次々に、その周囲に沿って融解ケイ素に浸漬するために(処理工程d))、回転円筒の軸の周りに回転可能となっている。
【0034】
本発明の装置は、さらに、搬送機器200を含み、当該搬送機器が、第1のビーム211および第2のビーム212を有する支持部210を含む。上記ビーム211および212は、示されている通り、基本的に、互いに平行して上記搬送機器200の長手方向軸Lに沿って配置され、ここで、各ビーム211、212が溝210aを有する。このとき、第1のビーム211のそれぞれ1つの溝210aが、長手方向軸Lに対して向かい合って配置されている溝210aと共に、棒状体10を支持するための一対の溝を形成する。
【0035】
同様に、搬送機器200の搬送部220も、互いに平行して上記搬送機器200の長手方向軸Lに沿って配置されている第1のビーム221および第2のビーム220を含む。ここで、搬送部220の第1のビーム221は、第1の方向に(図面の左側において)、支持部210の第1のビーム211に隣接して配置されている。対応して、搬送部220の第2のビーム222は、第1の方向に(図面の左側において)、支持部210の第2のビーム212に隣接して配置されている。搬送部220のビーム221、222も、1組になって配置された、それぞれの溝220aを含む。
【0036】
図3および
図4に基づいて、被加工物1を棒状体10に取付けた後の本発明のさらなる処理方法について説明する。上記棒状体10は、既に搬送機器200の上に配置されて示され、ここで、配置の工程b)は、図示された加工室100の外部にて行われる。
【0037】
図3により明らかなことは、搬送機器200の支持部210および搬送部220がいずれも、2つの部分に分けられ、ここで、第1の部分において、シリコン処理機器130の空間的に手前で(図面の左側において)、棒状体10をシリコン処理機器に搬送する工程c)が行われることである。これにより、複数の棒状体10は、搬送方向に(直線の矢印)並べられて、搬送部220のビーム222の溝220aに載置されており、ここで、ビーム222が、支持部210のビーム212に対して、持ち上げられた位置にあることが分かる。上記ビーム222は、ビーム221(
図3および4に示されない)と共に、
図3および4において、左側の閉じた線により概略的に示されているような閉じた運動サイクルを実行する。これにより、それぞれの運動サイクルにおいて、各棒状体は、右に向かって、シリコン処理機器の槽131の方向に送られ、再び、支持部210の溝210aの上に載置される。
【0038】
図3の中心に示されている被加工物1は、シリコン処理の工程c)にあり、ここで、当該被加工物は、槽131中の融解ケイ素に浸漬するために、槽131の回転円筒132の上に載置される。当該被加工物は、工程c)の最後の運動サイクルにおいて、搬送機器200の搬送部220から当該回転円筒132の上に配置される。
【0039】
上記搬送機器200の第2の部分(
図3では、シリコン処理機器130の右側)において、棒状体10を、出口120(
図3に示されない)に搬送する工程e)が行われる。当該工程は、閉曲線矢印により
図3の右側に概略的に示されているように、工程c)と対応して行われる。ここで、搬送部220の一運動サイクルには、搬送方向への、一対の溝210aから隣接する一対の溝210aまでの間隔の搬送、またはその間隔の何倍にもわたる距離の搬送が含まれていてもよい。工程e)の間、被加工物1は、段階的にシリコン処理機器130から離れるときに、徐々に冷却される。
【0040】
図4には、
図3による実施形態の代替的な実施形態が示される。ここでは、工程d)にて発生した余熱をとりわけ合理的に用いることができる。本実施形態では、
図2および
図3に示す実施形態とは異なり、搬送機器200の第2の部分が、シリコン処理機器130の同じ側において、しかし、搬送機器200の第1の部分の下方に配置されている。
【0041】
図4においても、支持部210のビーム212、および搬送部220のビーム222のそれぞれが、それぞれの溝210a、220aと共に、閉じた運動サイクル(閉曲線矢印)の中にある状態で示され、この状態では、ビーム222は、ビーム212に対して、持ち上げられた位置にあり、したがって、被加工物1は、支持部210の上に載置されていない運動段階にある。
【0042】
本実施形態では、工程c)と工程d)との間に中間工程を設ける必要があり、当該中間工程では、そのときにシリコン処理機器130の槽131にある被加工物1が、その棒状体10と共に、下方に向かって、搬送機器200の第2の部分の上に搬送される。この搬送は、搬送部220のビーム221、222自体、または独立した機構(例えば下方へ搬送するための一対の追加ビーム)により行われてもよい。
【0043】
本発明の装置および本発明の方法により、公知の方法に比べて、使用される手段を減らし、被処理物の処理能力を向上させるシリコン処理を達成することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 被加工物、 1a 貫通開口部、 10 棒状体、 100 加工室、 110 入口、 120 出口、 130 シリコン処理機器、 131 槽、 132 回転円筒、 200 搬送機器、 210 支持部、 210a 溝対、 211 第1のビーム、 212 第2のビーム、 220 搬送部、 220a 溝対、 221 第1のビーム、 222 第2のビーム