(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5730462
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】白髪を処理するための、メラニン形成細胞内のグルタチオンレベルを増大させることが可能な化合物の使用
(51)【国際特許分類】
A61K 8/46 20060101AFI20150521BHJP
A61K 8/11 20060101ALI20150521BHJP
A61K 8/14 20060101ALI20150521BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20150521BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
A61K8/46
A61K8/11
A61K8/14
A61K8/49
A61Q5/00
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2007-547566(P2007-547566)
(86)(22)【出願日】2005年12月20日
(65)【公表番号】特表2008-525387(P2008-525387A)
(43)【公表日】2008年7月17日
(86)【国際出願番号】FR2005003196
(87)【国際公開番号】WO2006070101
(87)【国際公開日】20060706
【審査請求日】2008年12月18日
【審判番号】不服2013-8904(P2013-8904/J1)
【審判請求日】2013年5月15日
(31)【優先権主張番号】0413756
(32)【優先日】2004年12月22日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・コモ
【合議体】
【審判長】
松浦 新司
【審判官】
小久保 勝伊
【審判官】
関 美祝
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2004/024108(WO,A1)
【文献】
特表2006−510591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
白髪の進展を抑制および/または制限および/または阻止するための、ケルセチンを除き、リポ酸、オルティプラッツ、カーウェオール、カフェストール、カフェストール/カーウェオール混合物、アンジェリカラクトン、硫化ジアリル、およびイソチオシアン酸ベンジルから選択される、GSHのレベルを増大させることが可能な化合物の化粧品としての使用。
【請求項2】
白髪混じりの頭髪および/または体毛の自然な色素沈着を維持および/または再生するための、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
GSHレベルを増大させることが可能な前記化合物の使用が局所または経口経路で投与されることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
白髪の進行を抑制、制限または阻止すること、および頭髪および/または体毛の自然な再色素沈着を維持および/または促進するための化粧品組成物であって、ケルセチンを除き、リポ酸、オルティプラッツ、カーウェオール、カフェストール、カフェストール/カーウェオール混合物、アンジェリカラクトン、硫化ジアリル、およびイソチオシアン酸ベンジルから選択される、GSHのレベルを増大させることが可能な少なくとも1つの化合物を、頭皮の落屑状態に対処するための薬剤および/または色素沈着促進活性を有する植物抽出物から選択される他の活性薬剤と組み合わせて化粧品として許容可能な媒体中に含む組成物。
【請求項5】
前記化合物がリポ酸、オルティプラッツ、カーウェオール、カフェストール、アンジェリカラクトン、硫化ジアリル、およびイソチオシアン酸ベンジルから選択されることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
オルティプラッツ、カーウェオール、カフェストール、アンジェリカラクトン、およびイソチオシアン酸ベンジルから選択され、GSHのレベルを増大させることが可能な少なくとも1つの化合物を、毛髪の再生育を促進する薬剤と組み合わせて化粧品として許容可能な媒体中に含む、白髪の進行を抑制、制限または阻止すること、および頭髪および/または体毛の自然な再色素沈着を維持および/または促進するための化粧品組成物。
【請求項7】
GSHレベルを増大させることが可能な前記化合物がミクロスフィア、ナノスフィア、オレオソーム、またはナノカプセルなどのコーティング中にカプセル化されることを特徴とする、請求項4から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
頭皮および/または毛髪で覆われた皮膚の領域への局所適用に適していることを特徴とする、請求項4から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
白髪の進行を抑制、制限または阻止すること、および頭髪および/または体毛の自然な再色素沈着を維持および/または促進するための白髪の美容処理の方法であって、GSHレベルを増大させることが可能な化合物を含む請求項4から8のいずれか一項に記載の組成物が経口投与されるかまたは処理対象の領域に局所適用されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白髪を処理するための、毛包のメラニン形成細胞内のグルタチオン(GSH)レベルを増大させることが可能な化合物の化粧品としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
毛包は真皮の深層へと延びる表皮の管状の陥入部である。底部または毛球自体が皮膚の乳頭状突起が見出される陥入部を含む。毛球の底部は細胞増殖の区域であり、毛髪を構成する角化細胞の前駆体がここで見出される。これらの前駆体から派生する上行性の細胞は毛球の頂上部分で徐々に角化し、角化細胞のこの集団が毛幹を形成する。
【0003】
頭髪および体毛の色は特に、メラニンの2つの群、すなわちユーメラニン(茶色および黒色の色素)とフェオメラニン(赤色および黄色の色素)の変化する量および比での存在によって決まる。頭髪および体毛の色素沈着は毛包の毛球におけるメラニン形成細胞の存在を必要とする。これらのメラニン形成細胞は活性な状態にあり、すなわちこれらはメラニンを合成する。これらの色素は毛幹を形成するための角化細胞へと送られ、結果として色素沈着した頭髪または体毛の成長につながる。この構造はこれ以降「色素沈着の毛包単位」と呼ばれる。哺乳類では、メラニン形成は少なくとも3つの酵素、すなわちチロシナーゼ、ドーパクロムトウトメラーゼ(TRP-2、チロシナーゼ関連タンパク質2)、およびDHICAオキシダーゼ(TRP-1、チロシナーゼ関連タンパク質1)を含む。チロシナーゼはメラニンの生合成を開始する酵素である。これはまた、メラニン形成を制限する酵素でもあると記載されている。TRP-2はドーパクロムの5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸(DHICA)への互変異性化を触媒する。TRP-2の不在下では、ドーパクロムは自然発生的な脱炭酸反応を受けて5,6-ジヒドロキシインドール(DHI)を形成する。DHICAおよびDHIは両方共に色素の前駆物質であり、TRP-1はDHICAを酸化してキノンの誘導体を形成する(Pawelek JM and Chakraborty AK.The enzymology of melanogenesis.In:Nordlund JJ,Boissy RE,Hearing VJ,King RA,Ortonne J-P.The Pigmentary System:Physiology and Pathophysiology.New York:Oxford University Press;1998.p.391-400)。
【0004】
3つの酵素、チロシナーゼ、TRP-2およびTRP-1はメラニン形成に特異的に含まれるように思われる。さらに、これら3つの酵素の活性はユーメラニンの生合成の最大活性にとって必要であることが記載されている。
【0005】
頭髪および体毛はあるサイクルを経る。このサイクルは成長段階(成長期)、退行段階(退行期)、および休止段階(休止期)であり、この後に新たな成長期が進展する。この毛髪のサイクルが理由で、表皮の色素沈着単位とは異なり、色素沈着の毛包単位もやはり周期的に更新されるはずである。
【0006】
白髪(毛髪の自然な白毛化)は毛髪のメラニン形成細胞の特異的で漸進的な枯渇と結び付けられ、これは毛球のメラニン形成細胞およびメラニン形成細胞の前駆細胞の両方に影響を及ぼす(Commo et al.Br J Dermatol 2004;150;435-443)。毛包に存在する他の細胞型は影響を受けない。さらに、メラニン形成細胞のこの枯渇は表皮では観察されない。毛包内のメラニン形成細胞およびメラニン形成細胞の前駆体のこの漸進的で特異的な枯渇の原因は現在の段階では突き止められていない。
【0007】
したがって、白髪に対処するために、ヒト毛包のメラニン形成細胞の消失、毛球の活性メラニン形成細胞および毛包の頂上領域の休止状態のメラニン形成細胞の両方に影響を及ぼす過程に対処することが必要であると考えられる。
【0008】
本出願者は既に酵素TRP-2への処置によって毛髪の白毛化に対処するための手段を記載した(国際公開第03/103568号)。
【0009】
意外であり、予期しなかったが、酵素TRP-2の発現がGSHの発現と相関付けられ、全くのところ、TRP-2の発現がメラニン形成細胞内のGSHレベルの増大を誘発することを本出願者らは今では見出している。したがって、TRP-2を発現しないメラニン形成細胞(例えば毛髪のメラニン形成細胞の前駆体)では酵素TRP-2を発現するメラニン形成細胞(例えば皮膚のすべてのメラニン形成細胞)と比較して低いGSHレベルが存在することが実証された。
【0010】
このようにして、本出願者は今では白髪の処理のための新たな標的を確認しており、メラニン形成細胞内のGSHレベルを増大させることが可能な化合物が、文献に記載されているそれらの色素脱失効果とは反対に、毛髪の色素沈着の回復につながることを実証した。
【0011】
この使用は、メラニン形成細胞内のGSHレベルを増大させることで知られているリポ酸、ヒドロクマリンなどの化合物(Yamamura et al.2002、Lin et al.2002)が、メラニンの合成を制限し、したがって皮膚の色素沈着を低下させる薬剤として、GSHがメラニンの合成に好ましくないという実証(Del Marmol et al.1993、Jara et al.1988)と一致するように記載されていることを考えると性質的に特に意外である。
【特許文献1】国際公開第03/103568号
【特許文献2】欧州特許出願公開第0375520号
【特許文献3】仏国特許出願公開第0015686号
【特許文献4】仏国特許出願公開第0101438号
【特許文献5】欧州特許出願公開第0641557号
【特許文献6】欧州特許出願公開第0705593号
【特許文献7】欧州特許出願公開第0780115号
【特許文献8】仏国特許出願公開第0113337号
【特許文献9】欧州特許出願公開第1010413号
【特許文献10】欧州特許出願公開第1010414号
【特許文献11】欧州特許出願公開第1010415号
【特許文献12】欧州特許出願公開第1010416号
【特許文献13】欧州特許出願公開第1013338号
【特許文献14】欧州特許出願公開第1016453号
【特許文献15】欧州特許出願公開第1018363号
【特許文献16】欧州特許出願公開第1020219号
【特許文献17】欧州特許出願公開第1025898号
【特許文献18】欧州特許出願公開第1120101号
【特許文献19】欧州特許出願公開第1120102号
【特許文献20】欧州特許出願公開第1129684号
【特許文献21】欧州特許出願公開第1160005号
【特許文献22】欧州特許出願公開第1172077号
【特許文献23】欧州特許出願公開第0447318号
【特許文献24】欧州特許出願公開第0557489号
【特許文献25】米国特許第4139619号
【特許文献26】米国特許第4596812号
【特許文献27】国際公開第96/09048号
【特許文献28】欧州特許出願公開第0648488号
【特許文献29】欧州特許出願公開第0964852号
【特許文献30】欧州特許出願公開第1068858号
【特許文献31】仏国特許出願公開第2768343号
【特許文献32】仏国特許出願公開第2782920号
【非特許文献1】Pawelek JM and Chakraborty AK.The enzymology of melanogenesis.In:Nordlund JJ,Boissy RE,Hearing VJ,King RA,Ortonne J-P.The Pigmentary System:Physiology and Pathophysiology.New York:Oxford University Press;1998.p.391-400
【非特許文献2】Commo et al.Br J Dermatol 2004;150;435-443
【非特許文献3】Commo et al.Pigment Cell Res.2004;17:488-497
【非特許文献4】Scharf G et al.Nutr Cancer.2003;45(1):74-83
【非特許文献5】Huber WW et al.EnvironMol Mutagen.2004;44(4):265-276
【非特許文献6】Sheen LY et al.Food Chem Toxicol 1996;34(10):971-978
【非特許文献7】Gupta E et al.Clin Cancer Res.1995;1(10):1133-1138
【非特許文献8】Pak B.J. et al.Melanoma Res.2000;10:499
【非特許文献9】Vaux D.L.&Strasser A.,1996,Proc.Natl.Acad.Sci.93:2239-2244
【非特許文献10】Gavrieli Y et al.J Cell Biol 1992;119:493-501
【非特許文献11】Bandyopadhyay D et al.Experimental Gerontology 2001;36:1265-1275
【非特許文献12】Dimri GP et al.PNAS 1995;92:9363-9367
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の主題は、毛髪のメラニン形成細胞内のGSHレベルを増大させることが可能な化合物の、白髪の進行を抑制、制限または阻止すること、および頭髪および/または体毛の自然な再色素沈着を維持および/または促進することを可能にする薬剤としての使用に関する。
【0013】
特に、本発明の主題は、白髪の進展を抑制および/または制限および/または阻止するための、GSHのレベルを増大させることが可能な化合物の使用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
GSHのレベルを増大させることが可能な化合物は、例えば、GSHの合成を誘発する化合物、あるいはその消費を制限する化合物であり、これらは特に以下の方法によって同定することができる。
a. メラニン形成細胞の培養、例えばCommo et al.Pigment Cell Res.2004;17:488-497の文献に記載されるようにして得られる皮膚または毛髪のメラニン形成細胞の一次培養
b. GSHレベルを増大させる特性を試験することが望ましい化合物の培地への添加
c. この化合物を活性にさせるためにメラニン形成細胞を十分に長い期間のインキュベーション
d. GSHレベルの測定
e. GSHレベルを増大させる化合物の選択
【0015】
GSHレベルを増大させる化合物を選択する方法の特定の実施形態では、細胞の培養はインキュベータ内で37℃、5% CO
2で実施される。
【0016】
特に、工程(a)は以下のプロトコールに従って実施することができる。メラニン形成細胞をM2を有するD0培地(PromoCell,Heidelberg,D)に播種する。これは、例えば、Commo et al.Pigment Cell Res.2004;17:488-497の文献に記載されるようにして得られる毛髪または皮膚のメラニン形成細胞の一次培養であってもよい。細胞を、処理の前に12時間から72時間の間この培養培地中で維持する。
【0017】
工程(b)は以下のプロトコールに従って実施することができる。メラニン形成細胞を、GSHレベルを増大させる特性を試験することが望ましい化合物を有する培地中でこの特性を明らかにするのに必要な時間処理する。この時間は概して12時間から72時間の間である。
【0018】
GSHレベルを測定するための工程(d)は、例えばHPLC法によって実施することができる。この測定の特定の実施形態では、培養および処理された細胞から抽出された遊離アミノ酸(AA)をHITACHI L-8500アミノ酸分析装置の補助で分析する。この方式では、遊離アミノ酸はリチウム塩を主成分とする溶離液でイオン交換カラムで分離し、次いでニンヒドリンとの反応の後に比色法によって分析する。
【0019】
GSH分析はまた、例えばモノクロロビメイン(monochlorobimane)(Molecular Probes,USA)などの細胞内蛍光GSHプローブの補助で蛍光法によって実施することもできる。
【0020】
あるいは、GSH分析はBioxytech GSH-400比色分析キット(Calbiochem,USA)などの市販のキットの補助で実施することもできる。
【0021】
本発明の主題はまた、白髪混じりの頭髪および/または体毛の自然な色素沈着を維持するためにGSHレベルを増大させることが可能な化合物の使用に関する。
【0022】
GSHレベルを増大させることが可能な化合物は特にリポ酸、オルティプラッツ、カーウェオール、カフェストール、アンジェリカラクトン(angelicalactone)、硫化ジアリル、およびイソチオシアン酸ベンジルから選択することができる(Scharf G et al.Nutr Cancer.2003;45(1):74-83、Huber WW et al.EnvironMol Mutagen.2004;44(4):265-276、Sheen LY et al.Food Chem Toxicol 1996;34(10):971-978、Gupta E et al.Clin Cancer Res.1995;1(10):1133-1138)。
【0023】
GSHレベルを増大させることが可能な化合物はN-アセチルシステインまたはケルセチンではないことが好ましい。
【0024】
本発明の主題はまた、白髪に対処するための組成物であって、N-アセチルシステインおよびケルセチンを除く、上記で規定されたようなGSHのレベルを増大させることが可能な少なくとも1つの化合物を、頭皮の落屑状態に対処するための薬剤および/または色素沈着促進活性を備えた植物抽出物から選択される他の活性薬剤と組み合わせて化粧品として許容可能な媒体中に含む。GSHレベルを増大させることが可能なこの化合物はリポ酸、オルティプラッツ、カーウェオール、カフェストール、アンジェリカラクトン(angelicalactone)、硫化ジアリル、およびイソチオシアン酸ベンジルから選択されることが好ましい。
【0025】
本発明はまた、白髪に対処するための組成物であって、オルティプラッツ、カーウェオール、カフェストール、アンジェリカラクトン(angelicalactone)、およびイソチオシアン酸ベンジルから選択される、GSHのレベルを増大させることが可能な少なくとも1つの化合物を、毛髪の再生を促進するための薬剤と組み合わせて化粧品として許容可能な媒体中に含む組成物に関する。
【0026】
本発明による組成物は、GSHレベルを増大させることが可能な化合物を体積当たり重量で0.001%と10%の間、好ましくは体積当たり重量で0.01%と50%の間、さらに好ましくは体積当たり重量で0.1%と1%の間の量で含む。
【0027】
本発明による組成物は、経口投与してもよく、または皮膚(体毛で覆われる領域のうちのいずれかの皮膚領域)および/または頭皮に局所適用してもよい。
【0028】
経口によると、本発明による組成物は、GSHレベルを増大させることが可能な(複数の)化合物を、場合によって風味を付けた水溶液または水-アルコール溶液などの食用流動物の溶液中に含んでいてもよい。これらは摂食可能な固体の賦形剤の中に組み入れることもでき、例えば顆粒、丸薬、錠剤、または糖衣錠の形で供給されてもよい。これらはまた、場合によっては摂食可能なカプセル内にそれ自体パッケージ化される摂食流動物の溶液中に入れてもよい。
【0029】
投与形態に応じて、本発明の組成物は、通常的に特に美容術で使用される任意の生薬の形で提供してもよい。本発明の好ましい組成物は頭皮および/または皮膚への局所投与に適した化粧品組成物である。
【0030】
局所的投薬に関すると、本発明に従って使用することができる組成物は特に水性、水-アルコール性または油性の溶液またはローションもしくは美容液タイプの分散液の形、水性の相の中に油性の相を分散させること(O/W)、またはその逆(W/O)によって得られるミルクタイプの液体もしくは半液体稠度のエマルジョンの形、またはクリームまたは水性ゲルまたは無水物タイプの軟稠度のサスペンジョンまたはエマルジョンの形、または場合によってはマイクロカプセルまたは微粒子の形、またはイオンおよび/または非イオンタイプの小胞性分散液の形であってよい。したがって、膏薬、チンキ剤、クリーム、軟膏、粉末、貼付剤、含浸パッド、溶液、エマルジョンもしくは小胞性分散液、ローション、ゲル、噴霧剤、サスペンジョン、シャンプー、エアロゾル、または発泡体の形で供給することができる。これらは無水性であっても含水性であってもよい。これらはまた、石鹸または固形石鹸を構成する固体の調製物で構成されていてもよい。
【0031】
これらの組成物は慣例の方法に従って調製される。
【0032】
本発明に従って使用することができる組成物は特に毛髪の手入れの組成物であってもよく、特にシャンプー、調髪ローション、トリートメントローション、整髪クリームもしくはゲル、場合によっては毛染めシャンプーの形の毛髪染料(特に酸化性毛髪染料)の組成物、毛髪用の再構築ローション、またはマスクであってもよい。
【0033】
本発明による化粧品組成物はクリーム、毛髪ローション、シャンプーまたはコンディショナーであることが好ましい。
【0034】
本発明に従って使用することができる組成物の様々な成分の量は目される分野で習慣的に使用されるものである。
【0035】
本発明に従って使用することができる組成物がエマルジョンであるとき、脂肪相の比率は組成物の総重量に相対して重量で5%から80%、好ましくは5%から50%の範囲にあることが考えられ得る。エマルジョンの形態の組成物に使用される油分、ワックス、乳化剤および乳化補助剤は美容分野で習慣的に使用されるものから選択される。乳化剤および乳化補助剤は組成物の総重量に相対して重量で0.3%から30%、好ましくは重量で0.5%から20%の範囲の比率で組成物の中に存在する。このエマルジョンは脂質の小胞を追加的に含んでいてもよい。
【0036】
本発明に従って使用することができる組成物が油性のゲルまたは溶液であるとき、脂肪相は組成物の総重量の90%を超えていてもよい。
【0037】
本発明の変形例では、組成物はGSHレベルを増大させることが可能な化合物がミクロスフィア、ナノスフィア、オレオソーム、またはナノカプセルなどのコーティングの中にカプセル化されるようにされ、このコーティングはGSHレベルを増大させることが可能な化合物の化学的性質に従って選択される。
【0038】
例を挙げると、ミクロスフィアは欧州特許出願公開第0375520号に記載された方法に従って調製することができる。
【0039】
ナノスフィアは水性のサスペンジョンの形で提供することができ、仏国特許出願公開第0015686号および仏国特許出願公開第0101438号に記載された方法に従って調製することができる。
【0040】
オレオソームは、水性の相に分散させられて薄層状の液晶コーティングを設けられた油性の小球によって形成される水中油滴型エマルジョンから成る(欧州特許出願公開第0641557号、および欧州特許出願公開第0705593号参照)。
【0041】
GSHレベルを増大させることが可能な化合物はまた、シリコーン系界面活性剤から得られる薄層状のコーティングから成るナノカプセルの中にカプセル化することもでき(欧州特許出願公開第0780115号参照)、ナノカプセルは水中に分散可能なスルホン酸ポリエステルを主成分として調製することもできる(仏国特許出願公開第0113337号参照)。
【0042】
GSHレベルを増大させることが可能な化合物はまた、サイズに関係なくカチオン性の油性小球の表面で錯体を形成することもできる(欧州特許出願公開第1010413号、欧州特許出願公開第1010414号、欧州特許出願公開第1010415号、欧州特許出願公開第1010416号、欧州特許出願公開第1013338号、欧州特許出願公開第1016453号、欧州特許出願公開第1018363号、欧州特許出願公開第1020219号、欧州特許出願公開第1025898号、欧州特許出願公開第1120101号、欧州特許出願公開第1120102号、欧州特許出願公開第1129684号、欧州特許出願公開第1160005号、および欧州特許出願公開第1172077号参照)。
【0043】
GSHレベルを増大させることが可能な化合物は最後に、ナノカプセルまたは薄層状のコーティングを設けられたナノ粒子の表面で錯体を形成することもでき(欧州特許出願公開第0447318号および欧州特許出願公開第0557489号参照)、この表面にカチオン性界面活性剤(カチオン性界面活性剤に関して上記で引用された参考文献参照)を含む。
【0044】
特に、GSHレベルを増大させることが可能な化合物を含むコーティングが10μm以下の直径を有するような組成物が好ましい。コーティングが球状の小胞を形成しないとき、直径という用語は小胞の最大寸法を意味すると理解される。
【0045】
知られている方式では、本発明による組成物は親水性または親油性のゲル化剤、親水性または親油性の添加剤、防腐剤、酸化防止剤、溶剤、香料、増量剤、スクリーニング剤、臭気吸収剤および着色剤などの美容分野で通例の佐剤を含んでいてもよい。これらの様々な佐剤の量は美容分野で習慣的に使用される量であり、例えば組成物の総重量の0.01%から10%である。その性質によって決まるこれらの佐剤は脂肪相、水性の相、および/または脂質の小球の中に導入することができる。本発明に使用することができる油分またはワックスとして、無機の油(流動パラフィン)、植物油(シアバターの液体画分、ヒマワリ油)、動物油(ペルヒドロスクアレン)、合成油(ピュアセリン油)、シリコーン油またはワックス(シクロメチコーン)、およびフッ素化油(ペルフルオロポリエーテル)、蜜蝋、カルナバワックスまたはパラフィンワックスを挙げることができる。これらの油に脂肪アルコールおよび脂肪酸(ステアリン酸)を添加することも可能である。本発明で使用することができる乳化剤として、例えばステアリン酸グリセリル、ポリソルベート60、Tefose(登録商標)63の品名でGattefosse社で販売されているPEG-6/PEG-32/ステアリン酸グリコール混合物を挙げることができる。
【0046】
本発明で使用することができる溶剤として低級アルコール、特にエタノールおよびイソプロパノール、プロピレングリコールを挙げることができる。
【0047】
本発明で使用することができる親水性ゲル化剤として、カルボキシビニルポリマー(カルボマー)、アクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマーなどのアクリル系コポリマー、ポリアクリルアミド、ヒドロキシプロピルセルロースなどの多糖類、天然ゴムおよび粘土を挙げることができ、本発明で使用することができる親油性ゲル化剤として、ベントン(bentones)などの修飾した粘土、ステアリン酸アルミニウムなどの金属脂肪酸塩および疎水性のシリカ、エチルセルロース、ポリエチレンを挙げることができる。
【0048】
本発明に従って使用することができる組成物は、GSHレベルを増大させることが可能な少なくとも1つの化合物を他の活性薬剤と組み合わせてもよい。これらの活性薬剤の中でも、例を挙げると
・皮膚細胞の分化および/または増殖および/または色素沈着を調節する薬剤であって、例えばレチノールとそのエステル、ビタミンDとその誘導体、エストラジオールなどのエストロゲン、POMC誘導体などのcAMP調節因子、アデノシンもしくはフォルスコリンとその誘導体、プロスタグランジンとその誘導体、トリヨードトリオニンとその誘導体などの薬剤、
・抽出物がイソフラボンを含むことも含まないこともあり得るが、アヤメ科または大豆の抽出物などの植物抽出物、
・微生物抽出物、
・αトコフェロールまたはそのエステル、スーパーオキシドジスムターゼまたはその擬似体、ある種の金属キレート剤またはアスコルビン酸とそのエステルなどの抗フリーラジカル薬剤、
・ある種の含硫アミノ酸、13-cis-レチノイン酸、酢酸シプロテロンなどの抗脂漏剤、
・頭皮の落屑状態に対処するための、ピリチオン亜鉛、二硫化セレン、クリンバゾール、ウンデシレン酸、ケトコナゾール、ピロクトンオラミン(オクトピロクス)またはシクロピロクトン(シクロピロクス)などの他の薬剤、
を挙げることができ、特に、毛髪再成長を刺激し、および/または毛髪損失の低速化を促進する活性薬剤であってもよく、限定はされないが特に、
・ニコチン酸のエステルであって、特にニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸ベンジル、およびニコチン酸メチルもしくはヘキシルなどのC
1〜C
6ニコチン酸アルキルを含むエステル、
・米国特許第4139619号および米国特許第4596812号に記載された2,4-ジアミノ-6-ピペリジノピリミジン3-オキシドまたは「ミノキシジル」、国際公開第96/09048号に記載されたアミネキシルまたは2,4-ジアミノピリミジン3-オキシドなどのピリミジンの誘導体、
・欧州特許出願公開第0648488号に本出願者によって記載されたようなリポキシゲナーゼ阻害剤または毛髪の再生育を促進するシクロオキシダーゼ誘発剤、
・マクロライド、ピラノシドおよびテトラサイクリン、および特にエリスロマイシンといった抗菌剤、
・シンナリジン、ニモジピン、およびニンフェジピンなどのカルシウム拮抗物質、
・エストリオールまたは類似体、またはチロキシンとその塩といったホルモン、
・オキセンドロン、スピロノラクトン、ジエチルスチルベストロール、およびフルタミドなどの抗男性ホルモン物質、
・本出願者によって欧州特許出願公開第0964852号および欧州特許出願公開第1068858号に記載されたような5-α-レダクターゼのステロイド系または非ステロイド系阻害剤または場合によってフィナステロイド、
・クロマカリムおよびニコランジルなどのATP依存性カリウムチャンネル作用物質、
・色素沈着促進活性を備えた植物抽出物であって、例えば仏国特許出願公開第2768343号に記載されたキクの抽出物および仏国特許出願公開第2782920号に記載されたワレモコウ属植物の抽出物、
を挙げることができる。
【0049】
GSHレベルを増大させることが可能な化合物は頭皮の落屑状態に対処するための薬剤、毛髪の再生育を促進する薬剤、および色素沈着の促進活性を備えた植物抽出物から選択される他の活性薬剤と組み合わされることが好ましい。
【0050】
本発明の他の主題は白髪の美容処理のための方法に関し、GSHレベルを増大させることが可能な少なくとも1つの化合物を含む上記に規定されたような組成物が処理されるべき領域に投与または適用されることを特徴とする。
【0051】
本発明はまた、灰色もしくは白色の頭髪および/または体毛の自然な色素沈着を維持することを目的とする、美容処理の方法に関し、GSHレベルを増大させることが可能な少なくとも1つの化合物を含む上記に規定されたような組成物が処理されるべき領域に適用されることを特徴とする。
【0052】
白髪を処理するため、および灰色もしくは白色の頭髪および/または体毛の色素沈着のための方法はまた、GSHレベルを増大させることが可能な少なくとも1つの化合物を含む組成物を摂取する工程から成ることが可能である。
【0053】
処理されるべき領域は、例であって限定はされないが、頭皮、眉、口髭、および/または顎鬚、および毛で覆われる皮膚のいずれかの領域であることが考えられ得る。
【0054】
さらに特定すると、白髪の美容処理のため、および灰色もしくは白色の頭髪および/または体毛の自然な色素沈着のための方法は、GSHレベルを増大させることが可能な少なくとも1つの化合物を含む組成物を適用することにある。
【0055】
白髪に対処するためおよび/または灰色もしくは白色の頭髪および/または体毛の自然な色素沈着を維持するための美容処理の方法は、例えば、夜にこの組成物を毛髪および頭皮に適用し、一晩この組成物を保持し、場合によっては朝に洗い流すかまたはこの組成物の助けを借りて毛髪を洗い、洗い流す前に数分間接触を続けることにあることも考えられ得る。本発明による組成物は、場合によってはリンス用毛髪ローションの形で、またはさらにはシャンプーの形で適用されるときに特に有利であることが立証された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
(実施例1:TRP-2の発現に応じたメラニン形成細胞内のGSHの分析)
(A.TRP-2陽性およびTRP-2陰性のメラニン形成細胞系の産生)
A1:TRP-2タンパク質のクローニング
Genebank D17547配列に従いプローブ5'-GGAGATGGTGAGAAGCGCTAC-3'および5'-GCGGAAACTACAGCTAAGCAT-3'を用いて、TRP-2タンパク質をコードするメッセンジャーRNAの全領域を、皮膚のメラニン形成細胞の一次培養物から抽出されたメッセンジャーRNAからRT-PCR技術によってクローンニングする。得られたPCR産物を、真核細胞発現ベクター中へのクローニングのための制限部位に相当するヌクレオチド配列を含むプローブ: 5'-AGGGATCCATGAGCCCCCTTTGGTGGGGGTTT-3'および5'-GGAATTCAGCACCCTAGGCTTC-3'を用いて、再びクローニングする。使用される発現ベクターはpCDNA3.1(+)である。次いで、TRP-2タンパク質をコードする領域を含むベクターをコンピテント細菌から産生し、次いで精製し、このベクターをpCDNA-TRP2と呼ぶ。
A2:TRP-2陽性のメラノーマ系の産生
in vitroで構成的にTRP-2タンパク質を弱く発現するメラノーマ型WM35(Pak BJ et al.Melanoma Res.2000;10:499)の細胞(野生型の系)にプラスミドpCDNA-TRP2をトランスフェクトする。次いで、安定にトランスフェクトした細胞をジェネテシン(G418)による処理で選択する。次いで、得られたクローンを単離および増幅する。
【0057】
B:ウェスタンブロット法による、選択された様々なクローンにおけるTRP-2の差別的発現の確認(Commo et al;Pigment Cell Res 2004;17;488-497参照)
各々のクローンの培養物を、タンパク質抽出およびウェスタンブロット法に適した同じ溶解緩衝剤で溶解する。様々な抽出物中のTRP-2レベルを8μgのタンパク質抽出物からウェスタンブロット法によって判定する。ウェスタンブロット(Maniatis et al.のプロトコール参照)を、以下の抗体、すなわちDr VJ Hearing(NIH,Bethesda,USA)によって提供されたポリクローナル抗体αPEP8hおよびモノクローナル抗体Vim3B4(Cymbus,UK)αビメンチンで作製する。
図1は、クローンC2、C4およびC8がクローン7および野生型(wt)の系に比べてより多くのTRP-2タンパク質を発現することを示している。
【0058】
C:TRP-2陽性およびTRP-2陰性のクローンにおけるGSHの分析
試験された各々のクローンに関して、細胞を2×10
4cells/cm
2の割合で播種する。次いで、細胞培養物をpH2の溶解緩衝剤を用いて溶解する。抽出された遊離アミノ酸(AA)を自動式HITACHI L-8500アミノ酸分析装置を用いて分析する。このようにして、遊離のAAを、リチウム塩をベースとする溶離液によりイオン交換カラムで分離し、次いで、ニンヒドリンとの反応の後に比色法によってアッセイする。各々の抽出物において、測定されたGSHレベルを、AAの合計(プロリン(P)、グリシン(G)、アラニン(A)、バリン(V)、システイン(C)、メチオニン(M)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、チロシン(Y)、フェニルアラニン(F)、リジン(K)、ヒスチジン(H)、アルギニン(R))に対して表して、サンプルを正規化した。
図2は、クローンC2、C4およびC8がクローンC7および野生型の系より高いGSHレベルを有することを示している。
【0059】
(実施例2:TRP-2(-)のメラニン形成細胞のGSHレベルを増大させるかまたはその生存率の低下を制限する化合物の効果の例)
この分析の原理は以下の通りである。
a. TRP-2を発現する細胞型とTRP-2を発現しない細胞型の2つの細胞型の培養。実施例1Aで使用された方法と類似の方法に従ってTRP2(+)細胞とTRP2(-)細胞をそれぞれ作り出した。これらは任意の細胞型、好ましくはメラニン形成細胞であってよい。
b. GSHの蓄積を促進することが可能な化合物のTRP2(-)細胞培地への添加。
c. 細胞内のGSHレベルの増大を可能にするのに十分長い期間の培養物のインキュベーション。
d. アポトーシスまたは老化を誘発する条件への細胞の曝露。
e. アポトーシスまたは老化の測定。
f. GSHの蓄積を促進し、TRP2(-)細胞を保護することを可能にする化合物の選択。
【0060】
本方法の特定の実施形態では、細胞の培養はインキュベータ内で37℃、5%CO
2で実施される。
【0061】
特に、工程(a)は以下のプロトコールに従って実施することができる。細胞を、M2を有するD0培地(PromoCell,Heidelberg,D)に5×10
4cells/cm
2の密度で播種する。これらの細胞を、処理の前に12時間から72時間の間この培養培地中で維持する。
【0062】
工程(b)は以下のプロトコールに従って実施することができる。これらの細胞を、試験化合物を有する培地中でこの特性を明らかにするのに必要な時間処理する。この時間は概して12時間から72時間の間である。
【0063】
工程(d)を実施するために、TRP2(+)細胞とTRP2(-)細胞を、培養物中でアポトーシスまたは老化を誘発する条件に曝露する。これは、例えばシスプラチン(Pak B.J. et al.,2000,Melanoma Res.10:499-505)またはオキサリプラチンによる処理、アドリアマイシン、ジヒドロキシフェニルアラニン、パラコート、パラセタモール、4-ヒドロキシエストラジオール、あるいは4-ヒドロキシアニソールなどの毒性薬剤または毒性分子の前駆体化合物による処理、紫外線、酸化ストレス(H
2O
2、マレイン酸ジエチル)(Vaux D.L.&Strasser A.,1996,Proc.Natl.Acad.Sci.93:2239-2244参照)への曝露であってもよい。
【0064】
工程(e)を実施するために、以下の方法を使用してアポトーシスまたは老化を明らかにすることが可能である。
・アポトーシス応答は細胞のアポトーシスを明らかにすることを可能にする任意の方法によって判定することができ、例えば、アガロースゲル電気泳動の後のDNAの断片の同定、「TUNNEL」法(Gavrieli Y et al.J Cell Biol 1992;119:493-501)によるDNA断片の標識、アネキシンV(ApoAlertアネキシンVアポトーシスキット(1996)CLONTECHniques XI(3);9-11(BD Biosciences,Belgium))の露呈、細胞質内ヌクレオソームの分析(細胞死検出キットElisaPlus(1-774-425,Roche,Germany))、細胞の生存率の測定である。
・老化応答は細胞の老化を明らかにすることを可能にする任意の方法によって判定することができ、例えば、テロメアの短縮の判定、テロメラーゼの活性の測定(TRAPese kit,Intergen)、サイクリンEのレベルの低下の判定、リン酸化タンパク質Rbのレベルの低下の判定(Bandyopadhyay D et al.Experimental Gerontology 2001;36:1265-1275)、ベータガラクトシダーゼ活性の測定(Dimri GP et al.PNAS 1995;92:9363-9367)である。
【0065】
本ケースでは、一方ではカフェストール/カーウェオール混合物、他方ではオルティプラッツが野生型の系WM35内のTRP-2の弱い発現を、これらの細胞がH
2O
2ストレスに曝露されるときにこの細胞系を保護することによって補償できるかについて測定を実施した。
【0066】
TRP-2を極めて弱く発現し(Pak BJ et al.Melanoma Res.2000;10:499)、本試験で「野生型の」系と呼ばれるヒトメラニン形成細胞系WM35、およびWM35に由来し、高度にTRP-2を発現し、本試験では「クローン2」と呼ばれる、トランスフェクションによって得られた細胞系(実施例1のポイントAおよびB参照)を用いて試験を実施した。この試験を実施するために、細胞を2.5×10
4cells/wellの密度で播種し、その後、評価対象の化合物、
a. カフェストールとカーウェオールを4μg/ml含む1:1の混合物、
b. 50μMのオルティプラッツ、
で処理する。24時間後、これらの細胞をH
2O
2により誘発されるストレスに曝露する。2',7'-ジクロロジヒドロフルオレセインジアセテート(H
2DCFDA:D399,Molecular Probes)を用いて、ストレスの24時間後に細胞の生存率を測定する。
【0067】
得られた結果(表1と2、および
図3と4)は野生型の系の、一方ではカフェストール/カーウェオール混合物、他方ではオルティプラッツによる処理がH
2O
2誘発ストレスに対する細胞の感受性を制限することを示している。したがってこれらの結果は、処理後に野生型の感受性がクローン2系の感受性に匹敵するようになることを示している。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
TRP-2を弱く発現するかまたは発現しないメラニン形成細胞の、一方ではカフェストール/カーウェオール混合物、他方ではオルティプラッツによる処理がH
2O
2誘発ストレスに対する感受性の点から見てTRP-2の弱い発現を補償すること、したがって弱い、またはゼロのTRP-2発現レベルを有するメラニン形成細胞に有益であると結論付けられることが可能である。
【0071】
(実施例3:組成物)
・毛髪ローション
ドーパクロムトウトメラーゼの代謝経路に作用することが可能な化合物:0.5g、
プロピレングリコール:20g、
95%エタノール:30g、
水:(適量)100g。
【0072】
このローションは、少なくとも10日間、好ましくは1から2ヶ月について処理対象の領域、好ましくは頭皮全体に適用される。白色もしくは灰色の毛髪の外観の減少および白髪の色素沈着をこのケースでは観察する。
【0073】
・トリートメントシャンプー
ドーパクロムトウトメラーゼの代謝経路に作用することが可能な化合物:1.5g、
ポリグリセリル3-ヒドロキシアリールエーテル:26g、
Hercules社によりKlucell Gの品名で売られているヒドロキシプロピルセルロース:2g、
防腐剤:(適量)、
95%エタノール:50g、
水:(適量)100g。
【0074】
このシャンプーは、約1分間の保持時間で各々の洗髪に使用される。2ヶ月程度の長期の使用は白髪の漸進的な色素沈着につながる。このシャンプーは、毛髪の白髪化を遅らせるために予防的に使用されることも可能である。
【0075】
・トリートメントゲル
ドーパクロムトウトメラーゼの代謝経路に作用することが可能な化合物:0.75g、
ユーカリのエッセンシャルオイル:1g、
エコノゾール:0.2g、
ラウリルポリグリセリル6セテアリルグリコエーテル:1.9g、
防腐剤:(適量)、
BF Goodrich社により売られているカルボポル934P:0.3g、
中和剤:(適量)pH7、
水:(適量)100g。
【0076】
このゲルは、処理対象の領域に1日に2回(朝と晩)、最後にマッサージを伴って適用される。3ヶ月の服用後に、処理された領域の体毛または頭髪の色素沈着を観察する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【
図1】実施例1に記載のメラニン形成細胞系WM35-wt(野生型)、C2、C4、C7、およびC8(感染処理および選択処理されたクローン)に対する抗TRP-2および抗ビメンチン抗体によるウェスタンブロットを表わす図であり、クローンC2、C4、およびC8のみがTRP-2を発現することがこのウェスタンブロットから明らかである。
【
図2】メラニン形成細胞系WM35-wt(野生型)、C2、C4、C7、およびC8において分析されたアミノ酸(実施例1、部分C参照)の選択の合計全体にわたるGSHの比を表わす柱状グラフである。
【
図3】TRP-2を弱く発現するかまたは発現しない野生型のメラニン形成細胞(菱形)、TRP2(+)のメラニン形成細胞(四角形)、カフェストールとカーウェオールの組合せで処理されたTRP-2を弱く発現するかまたは発現しない野生型のメラニン形成細胞(三角形)の細胞生存率に対する酸化ストレス(H
2O
2)の影響を表わす図である。
【
図4】TRP-2を弱く発現するかまたは発現しない野生型のメラニン形成細胞(菱形)、TRP2(+)のメラニン形成細胞(四角形)、オルティプラッツで処理されたTRP-2を弱く発現するかまたは発現しない野生型のメラニン形成細胞(三角形)の細胞生存率に対する酸化ストレス(H
2O
2)の影響を表わす図である。