(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5730477
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】シャッター構造
(51)【国際特許分類】
E06B 9/58 20060101AFI20150521BHJP
E06B 9/18 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
E06B9/58 A
E06B9/18
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2009-231178(P2009-231178)
(22)【出願日】2009年10月5日
(65)【公開番号】特開2011-80202(P2011-80202A)
(43)【公開日】2011年4月21日
【審査請求日】2012年8月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】竹内 優礼
【審査官】
家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−074335(JP,A)
【文献】
実開昭55−011404(JP,U)
【文献】
特許第2959165(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00−9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に開閉するシャッターカーテンと、シャッターカーテンの幅方向両端側をそれぞれ案内する案内部材と、シャッターカーテンを巻き取るドラムと、を含み、
シャッターカーテンの幅方向両端側は、シャッターカーテン開閉方向に沿って所定間隔を空けて設けられる複数個のシャッター面垂直方向拘束部材を含み、
各案内部材は、シャッターカーテンを受け入れる入口部を含み、
シャッター面垂直方向拘束部材と入口部との各係合は、シャッターカーテンの開閉動作を円滑案内すると共にシャッター面に垂直な方向のシャッターカーテンの動きを拘束し、
シャッターカーテン厚さ方向の寸法が前記入口部より幅広に形成される第1のリンクプレート及び第2のリンクプレートが、前記シャッター面垂直方向拘束部材を挟むようにして、前記第1のリンクプレートはシャッターカーテンの幅方向内側に、前記第2のリンクプレートはシャッターカーテンの幅方向外側にそれぞれ取り付けられ、
シャッター面垂直方向拘束部材の各々のシャッターカーテン厚さ方向の寸法は、シャッターカーテンの最大厚みと略同じかまたは小さいことを特徴とするシャッター構造。
【請求項2】
前記シャッター面垂直方向拘束部材が、前記入口部と接触して相対回動可能に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシャッター構造。
【請求項3】
案内部材の各々は、案内レールを含み、
シャッターカーテンの幅方向両端側は、シャッターカーテン開閉方向に沿って所定間隔を空けて設けられる複数個のシャッター面平行方向拘束部材を含み、
シャッター面平行方向拘束部材と案内レールとの係合は、シャッター面に平行かつ開閉方向に直交する方向のシャッターカーテンの動きを拘束することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシャッター構造。
【請求項4】
上下に開閉するシャッターカーテンと、当該シャッターカーテンの幅方向両端側をそれぞれ案内する案内部材と、前記シャッターカーテンを巻き取るドラムと、
前記シャッターカーテンの幅方向両端側において、シャッターカーテン開閉方向に沿って所定間隔を空けて複数個設けられ、シャッター面に垂直な方向の前記シャッターカーテンの動きを拘束するシャッター面垂直方向拘束部材と、
前記各案内部材に形成される前記シャッターカーテンを受け入れる入口部と、
前記シャッターカーテンの開閉動作方向において湾曲もしくは斜めになる部分と、
を備え、
前記シャッター面垂直方向拘束部材は、前記入口部と接触して相対回動可能に形成され、且つ、前記シャッター面垂直方向拘束部材の各々のシャッターカーテン厚さ方向の寸法は、シャッターカーテンの最大厚みと略同じかまたは小さいことを特徴とするシャッター構造。
【請求項5】
前記案内部材の各々に備えられる案内レールと、
前記シャッターカーテンの幅方向両端側において、シャッターカーテン開閉方向に沿って所定間隔を空けて設けられる複数個のシャッター面平行方向拘束部材と、
を備え、
前記シャッター面平行方向拘束部材と前記案内レールとの係合は、シャッター面に平行かつ開閉方向に直交する方向における前記シャッターカーテンの動きを拘束することを特徴とする請求項4に記載のシャッター構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、シャッター本来の機能である防犯性を備えつつ、密閉(スラット)タイプのシャッターでは得られにくい開放感を提供できるシャッターが注目を浴びている。
このシャッターは、一般にグリルシャッターあるいはパイプシャッターと呼ばれ、シャッターを閉めても内部が見通せるシースルー構造のために、建築意匠を考慮したビルの出入口、ディスプレイ効果を発揮すべきショーウインドや店舗の出入口、内部に明かりを多く取り入れたいガレージ等に広範囲に採用されている。
【0003】
以下、
図4〜9を参照してその施工例について簡潔に説明する。
図4に示すように、ビル出入口に設置した上下方向に開閉するグリルシャッターは、エスカレータの配置等を考慮して、シャッターカーテン巻き取り位置と、床面に対するシャッターカーテン下端の接地位置とが水平方向にオフセット(ずれ)している。
【0004】
詳細には、シャッター閉時(最下降時)のシャッターカーテンSC(またはシャッター面)は、ビル出入口の天井に設けたシャッター巻き取り装置51(ドラム53)から鉛直真下に延び、所定曲率(たとえば、R=3,000)で湾曲し、斜め(たとえば、傾斜30度)に大きく延びてから、今度は逆向きに湾曲し、最終的に鉛直真下に延びる、という曲面(軌道)を全体的に呈する。
【0005】
シャッターは、シャッター面に垂直な方向から見た
図5およびシャッター面に平行な方向から見た
図6に示すように、多数のパイプ55を所定間隔をあけて平行に配置して、左右両側をリンクプレート57で相互連結したシャッターカーテンSCから構成される(
図5では、片側のみを部分的に図示)。
【0006】
ビル側の、シャッター左右両側(シャッターカーテン幅方向両端側)に対応する箇所には、シャッターの開閉動作(上下動)を案内するための案内部材59が設置され、案内部材59の内部中央の一側面には、案内部材59の略全長に亘ってL字形の案内レール61が取り付けられる。
【0007】
シャッター左右両側には、シャッター面に平行かつ開閉方向に直交する方向(左右方向つまりシャッターカーテン幅方向)の案内部材59に相対した動きを拘束して揺れ等を軽減するために、案内部材59の案内レール61に対して接触(転動)する第1ローラ(シャッター面平行方向拘束ローラ)63が設けられる(
図7)。
【0008】
シャッター左右両側には、さらに、シャッター面に垂直な方向(左右方向および開閉方向に直交する方向)の動きを拘束して摩擦および騒音等を軽減するために、案内部材59の内部の対向する両側面に対して接触(転動)する第2ローラ(シャッター面垂直方向拘束ローラ)65が設けられる(
図8)。
【0009】
これらの第1ローラおよび第2ローラが存在することにより、オフセットした軌道(曲面)を描くシャッターカーテンを案内して開閉動作(上下動)させることができる。
【0010】
ところで、特許文献1には、シャッター面に平行な方向の動きを拘束するコロ(第1ローラに対応)を格子シャッター左右両側に取り付ける構造が開示されている。
特許文献2には、グリルシャッターを巻き取らずに収納する構造が開示されている。
特許文献3には、シャッター面に垂直な方向の動きを拘束するローラ(第2ローラに対応)をパイプシャッター左右両側に取り付ける構造が開示されている。
特許文献4には、交差する一組のローラ(第1ローラおよび第2ローラに対応)がシャッター下端の左右各側1箇所のみに実装された構造が開示されている。
【0011】
【特許文献1】特開昭58−58383号公報
【特許文献2】特開平9−177449号公報
【特許文献3】特開平9−328973号公報
【特許文献4】特開2000−265762号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
図9に示すように、シャッターカーテンは、シャッター巻き取り装置51内のドラム53に巻き取られると、ドラム53外周に渦巻き状に巻き付く。この際、シャッターカーテンの第2ローラ同士がぶつかる箇所とぶつからない箇所とが不規則に生じて、シャッターカーテンがドラム外周に歪(いびつ)な渦巻き状を呈して巻き付く。
【0013】
シャッター閉時に、このように歪に巻き付いたシャッターカーテンが巻き戻されると、シャッターカーテンが滑らかに下降せずに、いわゆるシャクリ(しゃっくりあるいはサクリ)現象が発生する。すなわち、下降速度が不規則・不定期に変化して、シャッターカーテンが息継ぎのような下降動作を行う。
【0014】
本発明は、このようなシャクリ現象の発生を著しく低減ないしは実質上なくすことができる新規かつ斬新なシャッター構造を提供することをその課題とする。
なお、特許文献1から4に記載の各構造にあっては、前提となるべき構成および要素を欠くために、そもそも本願発明の問題意識ないし課題が存在せず、当然ながら、解決手段の示唆も存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の第1態様のシャッター構造は、
シャッターカーテンと、シャッターカーテンの幅方向両端側をそれぞれ案内する案内部材と、を含み、
シャッターカーテンの幅方向両端側は、シャッターカーテン開閉方向に沿って所定間隔を空けて設けられる複数個のシャッター面垂直方向拘束部材を含み、
案内部材の各々は、シャッターカーテンを受け入れる狭幅入口部と、シャッターカーテン幅方向端部が位置する広幅中央部と、を含み、
シャッター面垂直方向拘束部材の各々は、狭幅入口部に対面する位置に位置するようにシャッターカーテンに設けられ、
シャッター面垂直方向拘束部材と狭幅入口部との係合は、シャッターカーテンの開閉動作を円滑案内すると共にシャッター面に垂直な方向のシャッターカーテンの動きを拘束することを特徴とする。
【0016】
本発明の第2態様のシャッター構造は、第1態様において、
案内部材の各々は、案内レールを含み、
シャッターカーテンの幅方向両端側は、カーテン長手方向に沿って所定間隔を空けて設けられる複数個のシャッター面平行方向拘束部材を含み、
シャッター面平行方向拘束部材と案内レールとの係合は、シャッター面に平行な方向のシャッターカーテンの動きを拘束することを特徴とする。
本発明の第3態様のシャッター構造は、第1または第2態様において、
シャッター面垂直方向拘束部材は、無給油ブッシュを含むことを特徴とする。
本発明の第4態様のシャッター構造は、第1態様から第3態様のいずれか1態様において、
シャッターカーテンは、幅方向に延びるパイプ状または棒状の部材を複数個、開閉方向に所定間隔で並べて構成されることを特徴とする。
【0017】
本発明の第5態様のシャッター構造は、
シャッターカーテンと、シャッターカーテンの幅方向両端側をそれぞれ案内する案内部材と、シャッターカーテンを巻き取るドラムと、を含み、
シャッターカーテンの幅方向両端側は、シャッターカーテン開閉方向に沿って所定間隔を空けて設けられる複数個のシャッター面垂直方向拘束部材を含み、
各案内部材は、シャッターカーテンを受け入れる入口部を含み、
シャッター面垂直方向拘束部材と入口部との各係合は、シャッターカーテンの開閉動作を円滑案内すると共にシャッター面に垂直な方向のシャッターカーテンの動きを拘束し、
シャッター面垂直方向拘束部材の各々のシャッターカーテン厚さ方向の寸法は、シャッターカーテンの最大厚みと略同じかまたは小さいことを特徴とする。
【0018】
本発明の第6態様のシャッター構造は、第5態様において、
シャッターカーテンの幅方向両端側には、リンクプレートが取り付けられ、
シャッター面垂直方向拘束部材の各々は、リンクプレートの幅Wと略同じかまたはそれより小さいことを特徴とする。
本発明の第7態様のシャッター構造は、第5または第6態様において、
案内部材の各々は、案内レールを含み、
シャッターカーテンの幅方向両端側は、シャッターカーテン開閉方向に沿って所定間隔を空けて設けられる複数個のシャッター面平行方向拘束部材を含み、
シャッター面平行方向拘束部材と案内レールとの係合は、シャッター面に平行かつ開閉方向に直交する方向のシャッターカーテンの動きを拘束することを特徴とする。
本発明の第8態様のシャッター構造は、第7態様において、
シャッター面垂直方向拘束部材は、無給油ブッシュを含み、
シャッター面平行方向拘束部材は、ローラを含むことを特徴とする。
本発明の第9態様のシャッター構造は、第5態様から第8態様のいずれか1態様において、
シャッターカーテンは、幅方向に延びるパイプ状または棒状の部材を複数個、開閉方向に所定間隔で並べて構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
上記従来の不都合を解消することができ、シャッターカーテンの開閉動作の静粛性および円滑性において飛躍的に優れたシャッター構造を提供することができる。本発明は、特に、シャッターカーテンが湾曲もしくは斜めになるシャッター構造に好適である。
本発明の上記および他の目的、特徴、および利点(効果)は、本発明の実施形態の説明および図面から当業者にとって明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明するが、本発明自体はそれに限定されないことは言うまでもない。
【0021】
なお、本実施形態のグリルシャッターのシャッターカーテンSCは、その中心線を境にして概ね対称な構造を有するので、説明および図を分かり易くする観点から、幅方向(左右)のいずれか一方側の要部構造についてのみ記載・図示する。
【0022】
また、説明の都合上、本グリルシャッターを、
図4に示すオフセットした施工先と同じ施工先に適用(設置)した態様について説明する。
したがって、シャッター面は、
図4に関して前述したように、シャッター巻き取り装置51から鉛直真下に延び、所定曲率(たとえば、R=3,000)で湾曲し、斜めに大きく延びてから、今度は逆向きに湾曲し、最終的に鉛直真下に延びる、というような曲面(軌道)になる。また、本実施形態においては、シャッターカーテンの開閉動作方向は湾曲しながら上下方向となる。
【0023】
さて、
図1および2を参照すると、本実施形態のグリルシャッターのシャッターカーテンSCは、基本的に、所定長さ(施工先の仕様による)の、たとえばステンレス製またはスチール製の所定外径(たとえば、外径19mm)の化粧パイプ5を所定間隔(たとえば、70mm)で化粧パイプ5の長手方向をシャッターカーテン幅方向として平行に並べて、両側を第1リンクプレート7で相互連結することにより構成される。
【0024】
この構成に加えて、第1リンクプレート7の外側には、化粧パイプ5の各々から突出する軸体9に、たとえば緩め(相対回動可能)に装着される円筒状の無給油ブッシュ11と、軸体9が貫通する第2リンクプレート13と、軸体9の各端部に装着されるエンドキャップ15とが配置される。軸体9は、化粧パイプ5および第1リンクプレート7も貫通している。シャッターカーテン幅方向のもう一端部側の構成も同じ構成となっている。軸体9の両端部にエンドキャップ15が固定されるため、軸体9、化粧パイプ5、第1リンクプレート7、無給油ブッシュ11、第2リンクプレート13、および、エンドキャップ15が互いにシャッターカーテン幅方向にずれることが規制され、開閉方向に並ぶ軸体9のシャッターカーテン幅方向の位置ずれが規制されるため、シャッター開閉方向に並ぶ各同じ種類の部材同士が幅方向にずれることが規制される。
【0025】
無給油ブッシュ11は、後述する案内部材25の幅の狭い入口部の対向する側面に接触(転動または摺動)して案内されることにより、シャッター面に垂直な方向(左右方向かつ開閉方向に直交する方向)のシャッターカーテンSCの動きを拘束して、摩擦および騒音等を軽減する機能(シャッター面垂直方向拘束部材)を奏する。なお、案内部材25の幅の狭い入口部と無給油ブッシュ11の形状・位置関係は、シャッターカーテンSCにおける無給油ブッシュ11の左右に配置される化粧パイプ5、第1リンクプレート7、無給油ブッシュ11、第2リンクプレート13、エンドキャップ15が案内部材25の幅の狭い入口部に接触することがないように適切に決定される。
【0026】
無給油ブッシュ11の外径Dは、化粧パイプ5の外径dよりも若干大きく、第1および第2リンクプレート7、13の軸体9が挿通する孔径よりも大きいが、第1および第2リンクプレート7、13の幅Wと略同じかまたはそれよりも小さく設定される。無給油ブッシュ11の内径は、軸体9の径よりも若干大きめの径とされる。
【0027】
第1リンクプレート7と、その長手方向前後に位置する無給油ブッシュ11と、対向する第2リンクプレート13とは、いわゆるローラチェーンの1ブロック(1スパン)のような矩形環状構造を構成する。
【0028】
第2リンクプレート13には、全てではなくシャッター開閉方向に連繋された内の1つ置きに、L字形のブラケット17がプレート面に垂直に外側に突出するように取り付けられ、ブラケット先端側には、たとえばボールベアリングから構成されるローラ19が取り付けられる。
【0029】
ローラ19は、後述する案内部材内25の案内レール27に接触(転動)して案内されることにより、シャッター面に平行な方向(左右方向)のシャッターカーテンSCの動きをカーテン両側から拘束して、カーテン自体の揺れ等を軽減する機能(シャッター面平行方向拘束部材)やシャッターカーテン幅方向への偏りを防ぐ機能を奏する。特に、シャッターカーテン幅方向への偏りを防ぐ機能は、案内部材25の幅の狭い入口部とこれに対向する無給油ブッシュ11とのシャッターカーテン幅方向の位置関係の変化を制限する作用も有する。このため、ローラ19は案内部材25では案内レール27に常に略接触状態にあることが好ましい。
【0030】
シャッターカーテンSCの長手方向自由端すなわち下端(
図1および2では、右側)には、床面FLに対する接地用の座板21が取り付けられる。
【0031】
シャッターカーテンSCの反対端すなわち上端(
図1および2では、左側)は、シャッター巻き取り装置51のモータ駆動式ドラム53(
図4)に取り付けられる。
【0032】
案内部材25は、前述した施工先(
図4に示す施工先)に設置され、無給油ブッシュ11、第2リンクプレート13、ブラケット17およびローラ19等を内部収容して、シャッターの開閉動作すなわちシャッターカーテンSCの上下動(
図1の矢印)を案内する機能を奏する(
図3)。
【0033】
案内部材25は、C形横断面を有する金属板の折り曲げ構造から成り、シャッターカーテンSCの湾曲面および/または傾斜面すなわち湾曲軌道および/または傾斜軌道を実現するために、長手方向に沿って同じような湾曲形態および/または傾斜形態を有し、内部の一側面に取り付けられるL字形の案内レール27も同じ形態を有する。
【0034】
案内部材25の内部中央は、幅の狭い入口部に対して幅が広く、ローラ19と案内レール27との接触(転動)を阻害しないように構成される。
【0035】
以上の構成を有する本実施形態の作用・効果について以下、簡潔に説明する。
【0036】
たとえば、シャッター閉時すなわち最下降時にあっては、シャッターカーテンSCは、
図4に示すように、ビル出入口の天井のシャッター巻き取り装置51から鉛直真下に延び、湾曲し、斜めに大きく延びてから、今度は逆向きに湾曲し、最終的に鉛直真下に延びる、という曲面(軌道)を全体的に呈する。
【0037】
この状態からシャッター巻き取り装置51を作動させて、シャッターカーテンSCを上昇させる場合、シャッターカーテンSCは、案内部材25によって極めて円滑に案内されて上方に引き上げられる。
【0038】
詳細には、シャッターカーテンSC左右の無給油ブッシュ11は、案内部材25の狭幅入口部の対向側面に接触(転動または摺動)して案内され、同時に、シャッターカーテンSC左右のローラ19は、案内部材25内の案内レール27に接触(転動)して案内される。
【0039】
換言すると、シャッター面に垂直な方向(左右方向に垂直な方向)、および、シャッター面に平行な方向(左右方向)の双方に関して、シャッターカーテンSCの動きが適切かつ良好に拘束(抑制)されつつ、シャッターカーテンSCの上昇(上動)が円滑に案内される。このため、揺れ(ガタつき)、騒音発生および摩滅等を著しく軽減できる。
【0040】
ここで、シャッター巻き取り装置51に注目すると、装置内のドラム53が作動(回転)して、ドラム53外周には、シャッターカーテンSCが巻き付いていく。このとき、第1および第2リンクプレート7、13の幅W方向に関して寸法Wよりも大きな部品・部分が取り付けられておらず、また、幅W方向外方に突び出る部品・部分が取り付けられていない。すなわち、無給油ブッシュ11は、ドラム53に巻き取られるシャッターカーテンSCの巻き取り曲率を不規則化させて騒音(たとえば、巻き戻し時のしゃくり音)を発生させる恐れのある外寸法(たとえば、寸法W)よりも小さい。
【0041】
このため、ドラム外周には、シャッターカーテンSCが、概ねピタリくっつくように、すなわち、ドラム側面から見て不規則な膨らみ等が生じることなく、整った渦巻き状に規則正しく巻き付いていく。そして、最終的に、天井側にシャッターカーテンSCが巻き上がることで、シャッター上昇が終了する。
【0042】
反対に、シャッター巻き取り装置51のドラム53の逆転によってシャッターカーテンSCを下降(下動)させる場合、シャッターカーテンSCは、案内部材25によって良好に案内されるために、極めて円滑にそして静かに下降する。
【0043】
しかも、ドラム外周に対して整った渦巻き状に規則正しく巻き付いているシャッターカーテンSCを巻き戻すことになるので、従来のグリルシャッターの場合と比較して、シャクリ音(騒音)の発生を飛躍的に低減ないしは実質上なくすことができる。
【0044】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の開示範囲内で、当業者によって各種の改変および変形が可能である。たとえば、無給油ブッシュ11に代えて、ボールベアリングやローラベアリングを採用できる。無給油ブッシュ11が円筒形状を有する代わりに、角状あるいは他の適当な立体形状にできる。無給油ブッシュ11と軸体9との嵌合については、緩めの装着に代えて、圧入(相対回動不能)にできる。
【0045】
設置先の仕様によっては、ローラ19(およびブラケット17)を設けない特殊なシャッターカーテンにすることができる。その場合、ローラ19に代わって、無給油ブッシュおよび案内部材(狭幅入口部)が、シャッター面に平行な方向のシャッターカーテンの動きを拘束できる構成を有することになる。
【0046】
なお、上記実施形態においては、
図4に示す通り湾曲して上下に開閉するシャッターについて記載したが、本発明は開閉方向が湾曲していないシャッターにも適用可能であり、また、開閉方向は、上下に限定されることなく、たとえば、
図4における左右方向や斜め方向に開閉するシャッターにも本発明を適用することができる。また、上記実施形態のようにシャッターカーテンが巻き取られて収納されるシャッターのほかに、シャッターカーテンが巻き取られずに収納されるシャッターに適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】本発明の実施形態のシャッターをシャッター面に垂直な方向から見た要部平面図である。
【
図2】
図1のシャッターをシャッター面に平行な方向から見た要部側面図である。
【
図3】案内部材と無給油ブッシュの関係を示す図である。
【
図4】施工例のグリルシャッターの全体側面図である。
【
図5】
図4のシャッターをシャッター面に垂直な方向から見た要部平面図である。
【
図6】
図4のシャッターをシャッター面に平行な方向から見た要部側面図である。
【
図7】案内部材と第1ローラの関係を示す図である。
【
図8】案内部材と第2ローラの関係を示す図である。
【
図9】シャッターカーテンが歪に巻き付いたドラムの側面図である。
【符号の説明】
【0048】
5 化粧パイプ
7 第1リンクプレート
9 軸体
11 無給油ブッシュ
13 第2リンクプレート
15 エンドキャップ
17 ブラケット
19 ローラ
21 座板
25、59 案内部材
27、61 案内レール
51 シャッター巻き取り装置
53 ドラム
55 パイプ
57 リンクプレート
63 第1ローラ
65 第2ローラ