特許第5730478号(P5730478)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5730478
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】シャッター装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/82 20060101AFI20150521BHJP
【FI】
   E06B9/82 E
   E06B9/82 B
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2009-260946(P2009-260946)
(22)【出願日】2009年11月16日
(65)【公開番号】特開2011-106140(P2011-106140A)
(43)【公開日】2011年6月2日
【審査請求日】2012年11月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大館 一樹
(72)【発明者】
【氏名】増田 丈紀
(72)【発明者】
【氏名】坂入 慎也
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−076366(JP,A)
【文献】 特開2006−118232(JP,A)
【文献】 特許第3970908(JP,B2)
【文献】 特開2009−161968(JP,A)
【文献】 特許第3423839(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00− 9/92
E05F 15/00− 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自重により閉鎖動作する開閉体と、該開閉体の自重による閉鎖動作を制動する制動部と、該制動部の制動を解除させるように傾倒する制動操作部と、駆動源の駆動力でスライドするスライド部により前記制動操作部を制動解除するように押動する制動解除動作部と、入力される制動解除信号に基づく前記制動解除動作部の制動解除動作時に、該制動解除動作部に作用する負荷の変動を検知する負荷変動検知部と、検知される負荷変動が前記制動操作部の可動限界位置での負荷変動であることを検出して、可動限界信号を出力する可動限界検出部と、出力される可動限界信号に基づいて、前記制動解除動作部の制動解除動作を停止させるように制御する制御部と、を備え、
前記可動限界検出部は、前記制動解除動作部の始動時の負荷変動を除く最初の負荷変動であって、所定のしきい値を超える負荷変動を第1負荷変動として検出し、前記第1負荷変動の検出後の負荷変動であって、前記制動解除動作部の制動解除動作時の負荷変動を第2負荷変動として検出し、前記第2負荷変動の検出後の負荷変動であって、該第2負荷変動の最大値を超える負荷変動を可動限界位置での第3負荷変動として検出するように制御され、
前記第1負荷変動は、前記制動操作部が傾倒直前にたわみを生じている状態の前記駆動源の電流値変動であり、
前記第2負荷変動は、前記スライド部が前記制動操作部を押動して傾倒させている状態の前記駆動源の電流値変動であることを特徴とするシャッター装置。
【請求項2】
前記スライド部にはストッパー部が設けられ、前記スライド部がスライド方向に貫通するケーシングには接触板が設けられ、前記ストッパー部は、前記接触板に接触することにより、前記スライド部の過剰なスライドを規制することを特徴とする請求項1記載のシャッター装置。
【請求項3】
前記駆動源の回転力をスライド部に伝達する駆動伝達部を備え、この駆動伝達部には、前記制動解除動作部が前記制動部の制動を解除したときに、前記駆動源の逆回転を阻止することで前記スライド部を前記制動操作部の可動限界位置に保持するワンウェイクラッチを備え、制動復帰信号が入力されると、前記ワンウェイクラッチの逆回転阻止状態が解除され、前記スライド部が制動方向へスライドして、前記制動部が制動状態に復帰するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載のシャッター装置。
【請求項4】
前記スライド部には、前記制動操作部に接触して該制動操作部を押動する接触体が設けられ、この接触体は、前記スライド部に相対し、前記制動操作部の方向又はその逆方向へ移動して、前記制動操作部に対する接触位置の微調整を行うようになっていることを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載のシャッター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉体の自動閉鎖機能を有するシャッター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
開閉装置は、自重による閉鎖動作可能な開閉体と、この開閉体が自重による閉鎖動作しないように制動するとともに、制動解除する制動装置と、この制動装置の制動を解除させるための自動閉鎖装置とを備えたものが知られている。このような自動閉鎖装置を備えた開閉装置は、火災が発生したときに、制動装置の制動を解除させることによって、開閉体を自重により閉鎖動作させることにより、火災による延焼や延煙を防ぐようになっている。
【0003】
下記特許文献1に記載のものは、制動装置に備えられたブレーキ開放レバーを、自動閉鎖装置に備えられた閉鎖レバーが移動することによって制動解除方向に押動することでブレーキを開放するようになっている。また、移動中の制動解除動作部がマイクロスイッチをONすることにより、制動操作部がブレーキ開放位置まで押動されたとする信号が出力され、この信号に基づいて制動解除動作部を移動させる電動モータの駆動を停止させるように制御されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−76366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の従来技術によると、制動操作部のブレーキ開放位置で制動解除動作部を停止させる制御により、制動解除動作部の制動解除動作の精度を高めることが可能になる。しかしながら、制動解除動作部の移動量は、過剰な移動による制動操作部の変形や破損を防ぐことから高い精度で調整する必要があるため、この制動解除動作部の移動量の調整作業に相当の時間や高い技術が必要となる。また、制動装置によって制動操作部の制動解除位置が異なっている場合があるため、制動装置毎に制動解除動作部の移動量の調整を行わなければならない。すなわち、この制動解除動作部の移動量の調整が、開閉装置の施工効率を低下させる要因となっている。
【0006】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、制動解除動作部の移動量の調整を不要にできること、制動解除動作部の移動量の調整をしなくても制動解除動作部の過剰な移動を防ぐことができること、制動解除動作部の過剰な移動を防ぐことで制動操作部の変形や破損を防ぐこと、等が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明による開閉装置及び開閉装置の自動閉鎖制御方法は、以下の特徴を少なくとも具備するものである。
【0008】
自重により閉鎖動作する開閉体と、該開閉体の自重による閉鎖動作を制動する制動部と、該制動部の制動を解除させるように動作する制動操作部と、前記制動操作部に対して制動解除を行わせるように動作する制動解除動作部と、前記制動解除動作部の制動解除動作時に、該制動解除動作部に作用する負荷の変動を検知する負荷変動検知部と、検知される負荷変動が前記制動操作部の可動限界位置での負荷変動であることを検出して、可動限界信号を出力する可動限界検出部と、出力される可動限界信号に基づいて、前記制動解除動作部の制動解除動作を停止させるように制御する制御部と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
自重により閉鎖動作する開閉体と、該開閉体の自重による閉鎖動作を制動する制動部と、該制動部の制動を解除させるように動作する制動操作部と、前記制動操作部に対して制動解除を行わせるように動作する制動解除動作部と、前記制動解除動作部の動作を制御する制御部を備えた開閉装置の制御方法であって、前記制動解除動作部の制動解除動作時に、該制動解除動作部に作用する負荷の変動を検知する負荷変動検知工程と、検知される負荷変動が前記制動操作部の可動限界位置での負荷変動であることを検出して、可動限界信号を出力する可動限界検出工程と、出力される可動限界信号に基づいて、前記制動解除動作部の制動解除動作を停止させる制動解除動作停止工程と、を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このような特徴を有することで本発明は以下の効果を奏する。すなわち、制動解除動作部が制動操作部を可動限界位置まで動作させたときに、制動解除動作部に作用する負荷の変動を検出し、検出された負荷変動に基づいて制動解除動作部の制動解除動作を停止させるようにしたので、制動解除動作部の制動解除動作量が制動操作部の可動限界位置を越えるように調整されている場合に、制動解除動作部の動作量を制動操作部の可動限界位置を越えないようにする調整をしなくても、制動解除動作部を高い精度で制動解除動作させることができる。しかも、制動解除動作部の過剰な制動解除動作を防いで制動操作部の変形や破損を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】開閉装置の第1実施形態の概略構成図。
図2図1の要部拡大断面図。
図3】自動閉鎖装置の構成を示す断面図。
図4図3の(4)−(4)線断面図。
図5】制動解除状態の自動閉鎖装置の構成を示す断面図。
図6】他の実施形態の自動閉鎖装置の構成を示す断面図。
図7図6の(7)−(7)線断面図。
図8】制動解除状態の自動閉鎖装置の構成を示す断面図。
図9】自動閉鎖装置の構成を示すブロック図。
図10】制動状態から制動解除状態に至る電流値変動を示す波形図。
図11】制御部の制御方法を示すフローチャート。
図12】第2実施形態の制動状態から制動解除状態に至る電流値変動を示す波形図。
図13図12の要部を拡大した波形図。
図14】第2実施形態の制御部の制御方法を示すフローチャート。
図15】第3実施形態の制動状態から制動解除状態に至る電流値変動を示す波形図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の開閉装置は、建築物等の開口部や内部空間に配設され、これら開口部や内部空間を開閉するシャッター装置として適用可能であり、特に、火災が発生したときに開口部や内部空間を自動閉鎖して延焼や延煙を防ぐ防火シャッター装置に適用すると効果的である。
【0013】
また、本発明の開閉装置は、開閉体を巻取り軸に巻き取って収納するようにした形態や、開閉体を巻取り軸に巻取ることなく開放方向側に収納するようにした形態を含む。
【0014】
前述の開閉体は、特に、防火機能を備えた形態のものが好ましく、例えば、不燃性素材や熱変形し難い素材からなる複数のスラットやパネルを開閉方向へ連設してなる開閉体、同素材からなり、開口部や内部空間を全閉可能な面積のパネルからなる開閉体、不燃性、難燃性、耐火性を有するシートからなる開閉体等が挙げられる。
【0015】
可動限界検出部が可動限界位置を検出する制御として、例えば、制動解除動作部の始動時の負荷変動を除く負荷変動であって、所定のしきい値を超える負荷変動を可動限界位置での負荷変動として検出する制御が挙げられる。
【0016】
また、制動解除動作部の始動時の負荷変動を除く最初の負荷変動であって、所定のしきい値を超える負荷変動を第1負荷変動として検出し、第1負荷変動の検出後の負荷変動であって、制動解除動作部の制動解除動作時の負荷変動を第2負荷変動として検出し、第2負荷変動の検出後の負荷変動であって、第2負荷変動の最大値を超える負荷変動を可動限界位置での第3負荷変動として検出する制御が挙げられる。
【0017】
可動限界検出部が可動限界位置を検出する他の制御としては、例えば、所定時間内における所定の負荷変動であるときに、可動限界位置での負荷変動として検出する制御が挙げられる。
【0018】
このような制御では、検知される負荷変動が、無負荷の状態からの負荷変動であるときには、可動限界位置での負荷変動として検出しない制御をすることが好ましい。
【0019】
負荷変動検知部は、制動解除動作中に制動解除動作部に作用する負荷の変動を検知できるものであればよく、例えば、制動解除動作中に前記制動解除動作部に作用する負荷の変動に対応して変動する電流値を検知するものが挙げられる。
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の開閉装置1は、火災が発生したときに開口部や内部空間を自動閉鎖して延焼や延煙を防ぐ防火シャッター装置に適用した形態について説明する。なお、以下で例示する各実施形態は、開閉装置1及び開閉装置1の制御方法の一例を示すものであって、本発明を限定するものではない。
【0021】
本実施形態中において「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の開閉体A1の厚さ方向を意味する。また、「開閉体幅方向」とは、開閉体A1の開閉方向と直交する方向であって、開閉体A1の厚さ方向ではない方向を意味する。また、「開閉体開閉方向」とは、開閉体A1が開口部や空間を開閉するためにスライドする方向を意味する。
【0022】
図1は、第1実施形態の開閉装置1の概略構成図である。開閉装置1は、自動閉鎖装置10と、開閉体開閉方向(図示において上下方向)にスライドして開閉動作する開閉体A1と、開閉体幅方向(図示において左右方向)の端部を囲み開閉方向へ案内するガイドレールA2と、開閉体A1を巻き取り及び繰出しをする巻取装置A3と、巻取装置A3を収納する収納部A4とを備えている。
【0023】
開閉体A1は、横長略矩形状の防火加工が施された金属板を曲げ加工してなる複数のスラットA11を、開閉体開閉方向に並列させ、隣接するスラットA11同士の間で回動するように連設し、閉鎖方向端側のスラットA11の閉鎖方向端部に座板A12を接続して構成されている。
【0024】
ガイドレールA2は、開閉体1Aの幅方向側端部を囲む断面略コ字状の部材であり、開閉体A1によって着座される当接対象部位(例えば、床面や地面、枠部材等)と収納部A4との間にわたって配設されている。
【0025】
巻取り装置A3は、開閉体A1の巻取り及び繰り出しを行う巻取り軸A30と、巻取り軸A30をチェーン及びスプロケット等の動力伝達部A31を介して駆動回転させる開閉機2とを備えている。
【0026】
開閉機2には、開閉体A1の自重による巻取り軸A30の閉鎖方向の回転を制動する制動装置3が備えられている。
【0027】
制動装置3は、待機時に制動しているとともに、自動閉鎖装置10によって制動解除されるようになっており、この自動閉鎖装置10が、火災の発生時に出力される火災信号に基づいて、制動装置3による巻取り軸A30の制動を解除するようになっている。制動が解除された巻取り軸A30は、閉鎖方向に作用する開閉体A1の重さによって開閉体A1を閉鎖させる方向に回転するようになっている。前述の火災信号の出力は、火災探知装置から火災発生時に自動的に出力されるようにしてもよいし、火災発生時に人為的に出力するようにしてもよい。
【0028】
収納部A4は、下端部に開閉体A1を出没させるための開口部(図示せず)を有した箱状に形成されており、前述の開口部の縁部分が、全開時における開閉体A1の座板部材A12を当接させるためのまぐさ部(図示せず)となっている。
【0029】
図2は、開閉機2の構成図である。開閉機2は、ケーシングA5に内蔵され、このケーシングA5の上部には、自動閉鎖装置10が取り付けられている。
【0030】
開閉機2は、例えば、特開2009−79457号公報に開示されている構造のものを用いることができる。以下、この開閉機2の基本構成を説明する。本発明の開閉機2は、例示する形態のものに限らない(図示せず)。
【0031】
開閉機2は、巻取り軸A30を回転させるための巻き取り用駆動源20と、開閉体A1の自重による巻取り軸A30の回転を制動する制動装置3とが備えられている。巻き取り用駆動源20は、電動モータであって直流モータ又は交流モータである。駆動源20の回転子21の中心には駆動軸22が固定され、駆動軸22の回転力を、動力伝達部A31を介して巻取り軸A30へ伝達するように構成してある。
【0032】
制動装置3は、巻取り軸A30の回転を制動する制動部4と、制動部4の制動を解除する制動操作部5とを備えている。
【0033】
制動部4は、駆動軸22と同軸に配置されたブレーキ軸40と、駆動軸22に固定されたブレーキシュー41と、ブレーキ軸40に固定されてブレーキシュー41に接離するブレーキドラム42と、ブレーキドラム42をブレーキシュー41方向へ付勢するコイルスプリング43とを備えている。
【0034】
この制動部4は、コイルスプリング43の付勢力によってブレーキシュー41に対するブレーキドラム42の接触状態を保持することにより、開閉体A1の自重による巻取り軸A30の回転が作用する駆動軸22の回転を制動するようになっている。また、制動操作部5の制動解除操作によってブレーキシュー41からブレーキドラム42が離間することにより、開閉体A1の自重による巻取り軸A30の回転が作用する駆動軸22の制動を解除するようになっている。また、制動解除待機時には駆動軸22を制動しており、この駆動軸22の制動が解除されると、開閉体A1の自重により巻取り軸A30が閉鎖方向に回転し、開閉体A1が閉鎖方向にスライドして閉鎖状態となる。
【0035】
制動操作部5は、コイルスプリング43の付勢力に抗してブレーキドラム42をブレーキシュー41から離間させるものであり、先端がケーシングA5外に突出するように設けられている。
【0036】
制動操作部5は、ブレーキ軸40に対して揺動するように支持されており、ケーシングA5外に突出した部位に対して自動閉鎖装置10の制動解除動作部6による押動力が作用すると、制動操作部5が制動解除方向(図2における図示において右方向)に傾倒するようになっている。この制動操作部5の傾倒により、コイルスプリング43の付勢力に抗してブレーキ軸40が図面上右方向にスライドし、このブレーキ軸40のスライドにともなってブレーキドラム42がブレーキシュー41から離間して制動が解除されるようになっている。また、制動操作部5に対する自動閉鎖装置10の制動解除動作部6による押動が解除されると、コイルスプリング43の付勢力によるブレーキ軸40の図面上左方向へのスライドにともなって、ブレーキドラム42がブレーキシュー41に対して接触して制動状態に復帰するとともに、傾倒していた制動操作部5が制動状態へ復帰するようになっている。
【0037】
自動閉鎖装置10は、制動操作部5を押動するスライド部60を備えた制動解除動作部6を備えており、電力供給時にスライド部60がスライドして制動操作部5を押動するように配置されている。
【0038】
図3図5は、自動閉鎖装置10の構成図である。自動閉鎖装置10は、制動解除動作部6と、制動解除動作部6の動作を制御する制御回路部7とを備え、これら各部がケーシング100に内蔵されている。また、各種信号入力を行うための信号入力部200を備えている。
【0039】
制動解除動作部6は、ケーシング100の図示において左右の側壁101をスライド可能に貫通したスライド部60と、スライド部60をスライドさせるための駆動力を発生する駆動源61と、駆動源61の駆動力をスライド部60に伝達する駆動伝達部62と、を備えている。
【0040】
スライド部60は、スライドにより制動操作部5を押動するものであり、側壁101から突出した端部に押動部63を備えている。また、スライド部60は、駆動伝達部62の最下流部を構成するラック・ピニオンのラックに相当するものであり、スライド部60の上面部に歯部620が形成されている。このスライド部60の側面部には、スライド部60の過剰なスライドを規制するためのストッパー部60Aが突設されている。また、スライド部60とケーシング100にわたって引っ張りばね60Bが配設されており、この引っ張りばね60Bの付勢力により、制動解除方向へスライドしたスライド部60を制動方向に復帰させるようになっている。
【0041】
ストッパー部60Aは、スライド部60のスライド中にケーシング100に設けられた接触板102に接触することにより、スライド部60の過剰なスライドを止めるようになっている。また、スライド部60の側面部には、ストッパー部60Aを螺合支持する3個のねじ孔60Cが開孔されており、制動装置3の制動解除を行うスライド部60Aのスライド量に対応させてストッパー部60Aの位置を変更することができるようになっている。すなわち、このストッパー部60Aが、制御回路部7の故障等でスライド部60のスライド制御が不能になったときに、スライド部60のスライドを止めることによって、スライド部60の過剰なスライドによる制動操作部5及びスライド部60の破損や変形を防ぐようになっている。
【0042】
駆動源61は、DCモータが使用されている。この駆動源61は、入力される制動解除信号及び制動復帰信号に基づく制御回路部7の制御により、駆動及び駆動停止するようになっている。
【0043】
駆動伝達部61は、スライド部60に形成された歯部620と、歯部620に噛み合うピニオン621と、駆動源62の駆動をピニオン621のピニオン軸622に伝達する歯車列(図示せず)を内蔵したギアボックス623とを備えている。また、この駆動伝達部62には、制動解除動作部6が制動部4の制動を解除したときに、ピニオン621の逆回転を阻止するワンウェイクラッチ624、入力される制動復帰信号に基づく制御回路部7の制御により、ワンウェイクラッチ624の逆回転阻止状態を解除するソレノイド625、等を備えている。
【0044】
押動部63は、スライド部60の制動操作部5側の端部に設けられた支持板63Aと、支持板63Aに対して螺合取り付けされた接触体63Bとから構成されている。支持板63Aは、その側面部630がケーシング100の側壁101と平行となるように形成されている。接触体63Bは側面部630に対してスライド部60のスライド方向と平行として螺合された調整ボルト631と、調整ボルト631の位置を固定するロックナット632とから構成され、調整ボルト631のボルトヘッド部分が制動操作部5に接触するようになっている。接触体63Bは、調整ボルト631を回転させて前述のボルトヘッド部分を制動操作部5方向又はケーシング100方向に移動させることにより、制動操作部5に対する接触位置の微調整を行うようになっている。
【0045】
ストッパー部60Aは、図6図8に示すような取付け形態としてもよい。この形態のストッパー部60Aは、ケーシング100の図示において左側壁101から突出したスライド部60の側面部に突設され、スライド部60のスライドによって左側壁101に接触するようになっている。また、スライド部60の側面部には、ストッパー部60Aを螺合支持する3個のねじ孔60Bが開孔されており、ケーシング100の外側からストッパー部60Aの位置変更作業が行えるようになっている。すなわち、ストッパー部60Aの位置変更作業を、ケーシング100を開けることなく行うことができるので、この位置変更作業の迅速性の向上が期待できる。図中、符号60Dは、スライド部60の抜け止め用の突起であり、スライド部60の側面部に螺合取り付けされている。なお、図3図5示す形態と重複する部位についての説明は、同符号を付すことにより省略した。
【0046】
このような自動閉鎖装置10は、制動解除動作中の駆動源61に作用する負荷の変動を検出し、この検出結果に基づいて、制動操作部5の可動限界位置でスライド部60のスライドが停止するように駆動源61の駆動を停止させる制御をすることにより、スライド部60の過剰なスライドを防いで制動操作部5及びスライド部60の破損や変形を防ぐようになっている。
【0047】
本実施形態では、前述の負荷変動の検知を、制動解除動作中に駆動源61に作用する負荷変動に対応する電流値変動を検知することにより行うようにしている。
【0048】
以下、制動操作部5の可動限界位置で駆動源61の駆動を停止させる制御を具体的に説明する。図9は、制御回路部7を含む自動閉鎖装置10の構成を示すブロック図である。制御回路部7は、駆動スイッチ部70、負荷変動検知部71、可動限界検出部72、制動復帰操作部73、記憶部74、制御部75、CPU(図示せず)を備えている。
【0049】
駆動スイッチ部70は、制動解除信号が信号入力部200に入力されたときに駆動源61をONし、制動復帰信号が信号入力部200に入力されたときにONしている場合に駆動源61をOFFするものである。
【0050】
負荷変動検知部71は、駆動スイッチ部70のONと同時に駆動源61の電流値変動の検知を開始し、この検知中において、駆動源61の電流値変動をリアルタイムに検知し続けるようになっており、駆動スイッチ部70のOFFと同時に駆動源61の電流値変動の検知を終了するようにしたものである。また、負荷変動検知部71は、制動解除信号が信号入力部200に入力されたときに検知開始し、制動復帰信号が信号入力部200に入力されたときに検知終了するようにしたものとしてもよい。
【0051】
可動限界検出部72は、検知される電流値が所定のしきい値を超えたことを検出して、制動操作部5が可動限界位置に至ったと判定することで可動限界信号を出力するものである。
【0052】
制動復帰操作部73は、信号入力部200に入力された制動復帰信号に基づいて、ソレノイド625に対してワンウェイクラッチ624の逆回転阻止状態を解除する逆回転阻止解除信号を出力するようにしたものである。
【0053】
記憶部74は、前述のCPUが実行する各種プログラムや、各種アプリケーションプログラム、及び各種データ等を記憶したROM、駆動源61の駆動を停止させる可動限界を示すしきい値データや演算結果等を一時的に記憶するRAM等を備えており、制御部75の要求に基づいて各種プログラムや各種データの出し入れが行われる。
【0054】
制御部75は、自動閉鎖装置10の制動解除動作及び制動動作を制御するものであり、具体的には、駆動制御部9Aと、負荷変動検知制御部9Bと、可動限界検出制御部9Cと、制動状態復帰制御部9Dとを備えている。
【0055】
駆動制御部9Aは、信号入力部200に入力される制動解除信号に基づいて、駆動スイッチ部70をONする制御と、可動限界検出部72から出力される可動限界信号に基づいて、駆動スイッチ部70をOFFする制御とをするものである。
【0056】
負荷変動検知制御部9Bは、駆動スイッチ部70のONと同時に負荷変動検知部71に対して駆動源61の電流値変動の検知を開始させる制御と、駆動スイッチ部70のOFFと同時に負荷変動検知部71に対して駆動源61の電流値変動の検知を終了させる制御とをするものである。
【0057】
可動限界検出制御部9Cは、検知される電流値変動が、駆動源61の始動時の突入電流による電流値変動であるときに、可動限界検出部72に対して可動限界位置での電流値変動として検出させない制御と、可動限界検出部72に対して制動操作部5の可動限界位置での電流値変動を検出させる制御と、可動限界検出部72に対して検出した電流値変動に基づいて可動限界信号を出力させる制御とをするものである。
【0058】
制動復帰操作制御部9Dは、制動復帰操作部73に対して信号入力部200に入力された制動復帰信号に基づいて、ソレノイド625に対してワンウェイクラッチ624の逆回転阻止状態を解除する逆回転阻止解除信号を出力させる制御をするものである。
【0059】
図10は、本実施形態の可動限界検出制御部9Cの制御動作を説明する波形図である。この波形図は、駆動源61の始動時から制動操作部5が可動限界位置に至るときの駆動源61の電流値の変動を示している。この波形図では、駆動源61の始動時の電流値変動を表す突入電流波形a、スライド部60が制動操作部5を押動している状態の電流値変動を表す制動解除動作電流波形b、制動操作部5が可動限界に至った状態の電流値変動を表す可動限界電流波形cが形成されている。また、制動解除動作電流波形bの最大電流値付近で、より大きいしきい値dを設定している。このしきい値dの基準となる制動解除動作電流波形bの最大電流値は、制動解除動作電流波形b全体における最大電流値でもよいが、制動解除動作電流波形bの初期側の所定時間内の最大電流値とすることも可能である。なお、しきい値dは、制動解除動作電流波形bの最大電流値に、適度な所定のマージン値を加えることが好ましい。このマージン値は、しきい値dが制動解除動作電流波形bの最大電流値の誤差の影響を受けないようにできる条件内で、できるだけ小さい値に設定することが好ましい。また、しきい値dの基準となる値は、制動解除動作電流波形bの最小電流値とすることもできる。この場合についても、しきい値dは、制動解除動作電流波形bの最小電流値に、適度な所定のマージン値を加えるとよいが、このマージン値は、しきい値dが制動解除動作電流波形bの最大電流値がしきい値dを上回らないと想定される条件内で、できるだけ小さい値に設定することが好ましい。
【0060】
本実施形態の可動限界検出制御部9Cは、検知される電流値変動がしきい値dを超える変動となったときに可動限界検出部72に対して、制動操作部5の可動限界位置での電流値変動として検出させるとともに、検出した電流値変動に基づいて可動限界信号を出力させる制御をしている。したがって、制動操作部5が可動限界位置に至ったときに、制動操作部5に作用するスライド部60の押動を停止させることができる。また、突入電流波形aの電流値変動がしきい値dを超える変動であることから、検知された電流値変動が、駆動源61の始動時の電流値変動であるときに、可動限界検出部72に対して可動限界位置での電流値変動として検出させないようにする制御をしている。
【0061】
図11は、本実施形態の可動限界検出制御部9Cの制御方法を含むプログラムのフローチャートである。このプログラムは、信号入力部200に制動解除信号が入力されたときに起動するプログラムである(ステップS1)。
【0062】
入力された制動解除信号に基づいて、駆動制御部9Aが駆動スイッチ部70をONすることにより駆動源61の駆動が開始するとともに、スライド部60が制動解除方向にスライドして制動操作部5を押動して制動部4の制動を解除させる(ステップS2)。駆動スイッチ部70のONと同時に負荷変動検知部71が駆動源61の電流値変動の検知を開始する(ステップS3)。
【0063】
検知される電流値変動に基づいて、可動限界検出部72が制動操作部5の可動限界時に生じる可動限界電流変動であるか否かを検出し、検出された電流値変動が駆動源61の始動時の電流値変動である場合(ステップS4)、この電流値変動がしきい値dを超えるものであっても、可動限界電流値変動として検出しない。検出された電流値変動が可動限界電流値変動である場合(ステップS5)、可動限界信号を出力する(ステップS6)。出力された可動限界信号に基づいて、駆動制御部9Aが駆動スイッチ70をOFFすることにより駆動源61の駆動が停止し、この駆動停止に伴ってスライド部60のスライドが制動操作部5の可動限界位置で停止する(ステップS7)。
【0064】
駆動源61が駆動停止している状態では、ワンウェイクラッチ624によりスライド部60が制動操作部5の可動限界位置で保持されるが、このスライド部60の保持は、信号入力部200に制動復帰信号が入力されない限り継続する(ステップS8)。この制動復帰信号が入力されると、制動復帰操作部73がソレノイド625に対して、ワンウェイクラッチ624の逆回転阻止状態を解除する逆回転阻止解除信号を出力する(ステップS9)。この逆回転阻止解除信号に基づいて、ソレノイド625がワンウェイクラッチ624の逆回転阻止状態を解除すると、スライド部60が引っ張りばね60Bによって制動方向へスライドすることにより、制動部4が制動状態に復帰する(ステップS10)。
【0065】
本実施形態の開閉装置1によれば、可動限界検出部72が制動操作部5の可動限界位置での電流値変動を検出して、スライド部60のスライドを制動操作部5の可動限界位置で停止させるようにしているため、スライド部60が過剰にスライドすることがない。したがって、制動操作部5及びスライド部60の破損や変形を防ぐことができる。
【0066】
また、検知された動作電流値が、始動時の動作電流値であるときに、また、検知された電流値変動が、駆動源61の始動時の電流値変動であるときに、可動限界検出部72が可動限界位置での電流値変動として検出しないように制御しているとともに、ワンウェイクラッチ624により、スライド部60を制動操作部5の可動限界位置で保持しているので、スライド部60のスライドを制動操作部5が可動限界位置に至る前に停止させてしまうことを防ぐことができる。したがって、開閉体A1が閉鎖動作の途中で停止することなく全閉状態にすることができ、火災時の延焼や延煙を防ぐことができる。
【0067】
また、本発明の開閉装置1における自動閉鎖装置10によれば、スライド部60のスライド量の設定や自動閉鎖装置10の開閉機2に対する取付け位置の設定を、制動部4に対する制動解除を行える範囲内であれば自由に設定できる。したがって、自動閉鎖装置10の取付け作業の効率性を向上することができ、特に、自動閉鎖装置10を既設現場で交換を行う場合に、自動閉鎖装置10を効率よく取り付けることができる。
【0068】
次に、開閉装置1の第2実施形態を図12図14に基づいて具体的に説明する。
【0069】
なお、自動開閉装置10、開閉機2、可動限界検出制御部9Cを備えた制御部75の構成は、前述した第1実施形態と同構成であるので、これらの構成についての図示及び説明は省略する。
【0070】
図12及び図13は、本実施形態の可動限界検出制御部9Cの制御動作を説明する波形図である。この波形図は、駆動源61の始動時から制動操作部5が可動限界位置に至るときの駆動源61の電流値の変動を示している。この波形図では、駆動源61の始動時の電流値変動を表す突入電流波形a、駆動源61が定速に至った状態の電流値変動を表す定速電流波形b、制動操作部5が傾倒直前にたわみが生じている状態の電流値変動を表すたわみ電流波形c、スライド部60が制動操作部5を押動して傾倒させている状態の電流値変動を表す制動解除動作電流波形d、制動操作部5が可動限界に至った状態の電流値変動を表す可動限界電流波形eが形成されている。また、定速電流波形bの最大電流値付近で、より大きい第1しきい値fを設定し、制動解除動作電流波形dの最大電流値付近で、より大きい第2しきい値gを設定している。第1しきい値f(第2しきい値g)の基準となる定速電流波形b(制動解除動作電流波形d)の最大電流値は、定速電流波形b(制動解除動作電流波形d)全体における最大電流値でもよいが、定速電流波形b(制動解除動作電流波形d)の初期側の所定時間内の最大電流値とすることも可能である。なお、第1しきい値f(第2しきい値g)は、定速電流波形b(制動解除動作電流波形d)の最大電流値に、適度な所定のマージン値を加えることが好ましい。このマージン値は、第1しきい値f(第2しきい値g)が定速電流波形b(制動解除動作電流波形d)の最大電流値の誤差の影響を受けないようにできる条件内で、できるだけ小さい値に設定することが好ましい。また、第1しきい値f(第2しきい値g)の基準となる値は、定速電流波形b(制動解除動作電流波形d)の最小電流値とすることもできる。この場合についても、第1しきい値f(第2しきい値g)は、定速電流波形b(制動解除動作電流波形d)の最小電流値に、適度な所定のマージン値を加えるとよいが、このマージン値は、定速電流波形b(制動解除動作電流波形d)の最大電流値が第1しきい値f(第2しきい値g)を上回らないと想定される条件内で、できるだけ小さい値に設定することが好ましい。
【0071】
本実施形態の可動限界検出制御部9Cは、可動限界検出部72に対して、検知された電流値変動が第1しきい値fを超える電流値変動であるときに、第1電流値変動(第1負荷変動)として検出させる制御と、検知された負荷変動が図示するような平坦な制動解除動作電流波形dが形成される電流値変動であるときに第2電流値変動(第2負荷変動)として検出させる制御と、検知された電流値変動が第2しきい値gを超える変動であるときに、制動操作部5の可動限界位置での第3電流値変動(第3負荷変動)として検出させるとともに、検出した第3電流値変動に基づいて可動限界信号を出力させる制御をしている。したがって、制動操作部5が可動限界位置に至ったときに、制動操作部5に作用するスライド部60の押動を停止させることができる。
【0072】
また、本実施形態の可動限界検出制御部9Cは検知された電流値変動が、駆動源61の始動時の電流値変動であるときに、可動限界検出部72に対して第1電流値変動〜第3電流値変動として検出させないようにする制御をしている。したがって、スライド部のスライドを制動操作部5が可動限界位置に至る前に停止させてしまうことはない。
【0073】
図14は、本実施形態の可動限界検出制御部9Cの制御方法を含むプログラムのフローチャートである。このプログラムは、信号入力部200に制動解除信号が入力されたときに起動するプログラムである(ステップS1)。
【0074】
入力された制動解除信号に基づいて、駆動制御部9Aが駆動スイッチ部70をONすることにより駆動源61の駆動が開始するとともに、スライド部60が制動解除方向にスライドして制動操作部5を押動する(ステップS2)。駆動源61の駆動と同時に負荷変動検知部71が駆動源61の電流値変動の検知を開始する(ステップS3)。
【0075】
検知される電流値変動に基づいて、可動限界検出部72が第1電流値変動であるか否かを検出し、検出された電流値変動が駆動源61の始動時の電流値変動である場合(ステップS4)、この電流値変動が第1しきい値f及び第2しきい値gを超えるものであっても、第1電流値変動〜第3電流値変動として検出しない。
【0076】
検出された電流値変動が第1電流値変動である場合(ステップS5)、可動限界検出部72が第2電流値変動であるか否かを検出する(ステップS6)。検出された電流値変動が第2電流値変動である場合、可動限界検出部72が第3電流値変動であるか否かを検出する(ステップS7)。検出された電流値変動が第3電流値変動である場合、可動限界信号を出力する(ステップS8)。出力された可動限界信号に基づいて、駆動制御部9Aが駆動スイッチ70をOFFすることにより駆動源61の駆動が停止し、この駆動停止に伴ってスライド部60のスライドが制動操作部5の可動限界位置で停止する(ステップS9)。
【0077】
なお、ステップS9以降のフローチャートは、前述の第1実施形態のステップS7以降のフローチャートと同様であるので図示及び説明は省略する。
【0078】
本実施形態の開閉装置1によれば、前述の第1実施形態の開閉装置1と同様の作用効果を有し、更に、次の利点を有している。
【0079】
例えば、開閉機2の種類による制動操作部5の強度のバラツキや構造の違いから、しきい値を高めに設定する必要が生じる場合がある。特に、制動操作部5の強度が低く、可動限界位置での駆動源61の電流値変動が小さい場合には、この可動限界位置において設定したしきい値を超えない電流値変動となって、可動限界位置での電流値変動を検出できず、駆動源61を制動操作部5の可動限界位置で停止させることができないおそれがある。
【0080】
本実施形態の制御は、制動操作部5が傾倒直前にたわんでいる状態の第1電流値変動、スライド部60が制動操作部5を押動して傾倒させている状態の第2電流値変動、制動操作部5が可動限界に至った状態の第3電流値変動を順次検出し、第3電流値変動を検出することにより可動限界信号を出力するように制御しているので、制動操作部5の強度が低く、可動限界位置での駆動源61の電流値変動が小さいような場合でも、確実に可動限界位置での電流値変動を検出することができる。
【0081】
次に、開閉装置1の第3実施形態を図15に基づいて具体的に説明する。本実施形態の制御は、検知される電流値変動が、所定時間内において設定された所定の電流値変動であるときに可動限界位置での電流値変動として検出するようにしたものである。
【0082】
なお、自動開閉装置10、開閉機2、可動限界検出制御部9Cを備えた制御部75の構成は、前述した第1実施形態と同構成であるため、自動閉鎖装置10及び制御部の図示及び説明は省略する。また、可動限界検出制御部9Cの制御方法を含むプログラムのフローチャートは第1実施形態と同様であるので図示及び説明は省略する。
【0083】
図15は、駆動源61の始動時から制動操作部5が可動限界位置に至るときの駆動源61の電流値の変動を示す波形図である。この波形図では、駆動源61の始動時の電流値変動を表す突入電流波形a、スライド部60が制動操作部5を押動している状態の電流値変動を表す制動解除動作電流波形b、制動操作部5が可動限界に至った状態の電流値変動を表す可動限界電流波形cが形成されている。
【0084】
可動限界電流波形cは、制動操作部5が制動解除動作から可動限界に至ったときに、短時間で急激に電流値が上昇することを示している。すなわち、可動限界電流波形cが形成される、所定時間内における電流値変動を設定し、設定された所定時間内における電流値変動を、制動操作部5の可動限界位置での電流値変動として検出させるように制御することにより、スライド部60の過剰なスライドを防ぐことができる。また、突入電流波形aは、可動限界電流波形cと同様に、短時間で急激に電流値が上昇することを示している。そのため、始動時の電流値変動を可動限界での電流値変動として誤検出させないように、また、本実施形態の可動限界検出制御部9Cも、検知された電流値変動が、駆動源61の始動時の電流値変動であるときに、可動限界検出部72に対して可動限界での電流値変動として検出させないようにする制御をしている。
【0085】
本実施形態の開閉装置1によれば、前述の第1実施形態の開閉装置1と同様の作用効果を有する。
【0086】
可動限界位置を検出する制御の他の実施形態として、突入電流波形a、制動解除動作電流波形b、可動限界電流波形cの波形特徴や、突入電流波形a、定速電流波形b、たわみ電流波形c、制動解除動作電流波形d、可動限界電流波形eの波形の特徴を利用し、これらの波形が形成される、所定時間内における電流値変動を夫々設定し、これらの電流値変動を個別に検出することで、可動限界位置を特定することが挙げられる。
【0087】
可動限界位置を検出する制御の他の実施形態として、例えば、図3図5に示す自動閉鎖装置10のストッパー部60Aが接触板102に接触したときの負荷による電流値変動を検出する形態、図6図8に示す自動閉鎖装置10のストッパー部60Aがケーシング100の側壁102に接触したときの負荷による電流値変動を検出する制御が挙げられる。
【0088】
この検出形態では、ストッパー60Aが接触板102又は側壁101に接触した位置において、スライド部60が制動操作部5を可動限界位置まで押動するように調整されている。そして、スライド部60がスライドしてストッパー60Aが接触板102又は側壁101に接触したときの駆動源61の電流値変動を、制動操作部5の可動限界位置での電流値変動として検出させるように制御することにより、スライド部60の過剰なスライドを防ぐことができる。
【0089】
可動限界位置を検出する制御の他の実施形態として、例えば、負荷変動検知部71を圧力センサーとし、この圧力センサーでスライド部60のスライド時に作用する圧力値変動を検知し、この圧力値変動がしきい値を超えたときに、制動操作部5の可動限界位置での圧力値変動として検出する制御が挙げられる(図示せず)。
【0090】
前述の各実施形態で例示した自動閉鎖装置10は、スライド部60のスライドにより制動操作部5を押動して傾倒させるものであるが、本発明では、スライド部60のスライドにより制動操作部6を引き動かして傾倒させる形態を含む(図示せず)。また、本発明の自動閉鎖装置10は、例示した形態のものに限らず、駆動源61の駆動によりスライド部60がスライドして制動操作部5を傾倒させることができる形態であればよい(図示せず)。また、自動閉鎖装置10の機能と制動操作部5を開閉機2が内蔵されたケーシングA5に内蔵した形態にしてもよい(図示せず)。また、本発明は、シャッター装置以外にも開閉体が自重やばね力、磁力等により常時閉鎖側へ付勢された状態で制動され、制動操作部5に対する押動力作用により制動解除して自動閉鎖するオーバーヘッドドア装置、扉装置、引戸装置、折畳扉装置、防煙たれ壁装置、防煙たれ幕装置等の開閉装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0091】
1:開閉装置 10:自動閉鎖装置 A1:開閉体 3:制動装置 4:制動部
5:制動操作部 6:制動解除動作部 71:負荷変動検知部 72:可動限界検出部
75:制御部 d:しきい値 f:第1しきい値 g:第2しきい値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15