(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
自重により閉鎖動作する開閉体と、該開閉体の自重による閉鎖動作を制動する制動部と、該制動部の制動を解除させるように動作する制動操作部と、駆動源の駆動力でスライドするスライド部により前記制動操作部を制動解除するように押動する制動解除動作部と、前記制動解除動作部の制動解除動作時に所定のしきい値を超える動作電流値が検出されたときに前記制動解除動作部の制動解除動作を停止させるように制御する制御部とを備えたシャッター装置において、前記動作電流値の大きさとして前記制動解除動作部の始動時における突入電流のピーク値を検出して、動作電流値信号を出力する動作電流値検出部を備え、前記制御部は、更に、出力される動作電流値信号に基づいて、前記しきい値を動作電流値の大きさ毎に対応するように設定されたしきい値に補正する制御を行うように構成され、
前記スライド部にはストッパー部が設けられ、前記スライド部がスライド方向に貫通するケーシングには接触板が設けられ、前記ストッパー部は、前記接触板に接触することにより、前記スライド部の過剰なスライドを規制することを特徴とするシャッター装置。
自重により閉鎖動作する開閉体と、該開閉体の自重による閉鎖動作を制動する制動部と、該制動部の制動を解除させるように動作する制動操作部と、駆動源の駆動力でスライドするスライド部により前記制動操作部を制動解除するように押動する制動解除動作部と、前記制動解除動作部の制動解除動作時に所定のしきい値を超える動作電流値が検出されたときに前記制動解除動作部の制動解除動作を停止させるように制御する制御部とを備えたシャッター装置において、前記動作電流値の大きさとして前記制動解除動作部の始動時における突入電流のピーク値を検出して、動作電流値信号を出力する動作電流値検出工程と、出力される動作電流値信号に基づいて、前記しきい値を動作電流値の大きさ毎に対応するように設定されたしきい値に補正するしきい値補正工程とを有しているしきい値補正方法であって、
前記スライド部にはストッパー部が設けられ、前記スライド部がスライド方向に貫通するケーシングには接触板が設けられ、前記ストッパー部は、前記接触板に接触することにより、前記スライド部の過剰なスライドを規制することを特徴とするシャッター装置のしきい値補正方法。
前記ストッパー部は、前記スライド部に対し、前記スライド方向の位置を変更できるように設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のシャッター装置又はシャッター装置のしきい値補正方法。
前記スライド部には、前記制動操作部に接触して該制動操作部を押動する接触体が設けられ、この接触体は、前記スライド部に相対し、前記制動操作部の方向又はその逆方向へ移動して、前記制動操作部に対する接触位置の微調整を行うように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載のシャッター装置又はシャッター装置のしきい値補正方法。
前記駆動源の回転力をスライド部に伝達する駆動伝達部を備え、この駆動伝達部には、前記制動解除動作部が前記制動部の制動を解除したときに、前記駆動源の逆回転を阻止することで前記スライド部を前記制動操作部の可動限界位置に保持するワンウェイクラッチを備え、制動復帰信号が入力されると、前記ワンウェイクラッチの逆回転阻止状態が解除され、前記スライド部が制動方向へスライドして、前記制動部が制動状態に復帰するようにしたことを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載のシャッター装置又はシャッター装置のしきい値補正方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の開閉装置は、建築物等の開口部や内部空間に配設され、これら開口部や内部空間を開閉するシャッター装置として適用可能であり、特に、火災が発生したときに開口部や内部空間を自動閉鎖して延焼や延煙を防ぐ防火シャッター装置に適用すると効果的である。
【0017】
また、本発明の開閉装置は、開閉体を巻取り軸に巻き取って収納するようにした形態や、開閉体を巻取り軸に巻取ることなく開放方向側に収納するようにした形態を含む。
【0018】
前述の開閉体は、特に、防火機能を備えた形態のものが好ましく、例えば、不燃性素材や熱変形し難い素材からなる複数のスラットやパネルを開閉方向へ連設してなる開閉体、同素材からなり、開口部や内部空間を全閉可能な面積のパネルからなる開閉体、不燃性、難燃性、耐火性を有するシートからなる開閉体等が挙げられる。
【0019】
また、本発明における動作電流値の大きさの検出は、前記制動解除動作部の始動時における突入電流のピーク値を検出することが好ましい。
【0020】
また、本発明における制動操作部の可動限界の検出は、しきい値の補正後に検知される電流値に基づいて、制動操作部の可動限界での動作電流値を検出させるように制限することが好ましい。
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の開閉装置1は、火災が発生したときに開口部や内部空間を自動閉鎖して延焼や延煙を防ぐ防火シャッター装置に適用した形態について説明する。なお、以下で例示する各実施形態は、開閉装置1及び開閉装置1の制御方法の一例を示すものであって、本発明を限定するものではない。
【0022】
本実施形態中において「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の開閉体A1の厚さ方向を意味する。また、「開閉体幅方向」とは、開閉体A1の開閉方向と直交する方向であって、開閉体A1の厚さ方向ではない方向を意味する。また、「開閉体開閉方向」とは、開閉体A1が開口部や空間を開閉するためにスライドする方向を意味する。
【0023】
図1は、開閉装置1の概略構成図である。開閉装置1は、自動閉鎖装置10と、開閉体開閉方向(図示において上下方向)にスライドして開閉動作する開閉体A1と、開閉体幅方向(図示において左右方向)の端部を囲み開閉方向へ案内するガイドレールA2と、開閉体A1を巻き取り及び繰出しをする巻取装置A3と、巻取装置A3を収納する収納部A4とを備えている。
【0024】
開閉体A1は、横長略矩形状の防火加工が施された金属板を曲げ加工してなる複数のスラットA11を、開閉体開閉方向に並列させ、隣接するスラットA11同士の間で回動するように連設し、閉鎖方向端側のスラットA11の閉鎖方向端部に座板A12を接続して構成されている。
【0025】
ガイドレールA2は、開閉体1Aの幅方向側端部を囲む断面略コ字状の部材であり、開閉体A1によって着座される当接対象部位(例えば、床面や地面、枠部材等)と収納部A4との間にわたって配設されている。
【0026】
巻取り装置A3は、開閉体A1の巻取り及び繰り出しを行う巻取り軸A30と、巻取り軸A30をチェーン及びスプロケット等の動力伝達部A31を介して駆動回転させる開閉機2とを備えている。
【0027】
開閉機2には、開閉体A1の自重による巻取り軸A30の閉鎖方向の回転を制動する制動装置3が備えられている。
【0028】
制動装置3は、待機時に制動しているとともに、自動閉鎖装置10によって制動解除されるようになっており、この自動閉鎖装置10が、火災の発生時に出力される火災信号に基づいて、制動装置3による巻取り軸A30の制動を解除するようになっている。制動が解除された巻取り軸A30は、閉鎖方向に作用する開閉体A1の重さによって開閉体A1を閉鎖させる方向に回転するようになっている。前述の火災信号の出力は、火災探知装置から火災発生時に自動的に出力されるようにしてもよいし、火災発生時に人為的に出力するようにしてもよい。
【0029】
収納部A4は、下端部に開閉体A1を出没させるための開口部(図示せず)を有した箱状に形成されており、前述の開口部の縁部分が、全開時における開閉体A1の座板部材A12を当接させるためのまぐさ部(図示せず)となっている。
【0030】
図2は、開閉機2の構成図である。開閉機2は、ケーシングA5に内蔵され、このケーシングA5の上部には、自動閉鎖装置10が取り付けられている。
【0031】
開閉機2は、例えば、特開2009−79457号公報に開示されている構造のものを用いることができる。以下、この開閉機2の基本構成を説明する。
【0032】
開閉機2は、巻取り軸A30を回転させるための巻き取り用駆動源20と、開閉体A1の自重による巻取り軸A30の回転を制動する制動装置3とが備えられている。巻き取り用駆動源20は、電動モータであって直流モータ又は交流モータである。駆動源20の回転子21の中心には駆動軸22が固定され、駆動軸22の回転力を、動力伝達部A31を介して巻取り軸A30へ伝達するように構成してある。
【0033】
制動装置3は、巻取り軸A30の回転を制動する制動部4と、制動部4の制動を解除する制動操作部5とを備えている。
【0034】
制動部4は、駆動軸22と同軸に配置されたブレーキ軸40と、駆動軸22に固定されたブレーキシュー41と、ブレーキ軸40に固定されてブレーキシュー41に接離するブレーキドラム42と、ブレーキドラム42をブレーキシュー41方向へ付勢するコイルスプリング43とを備えている。
【0035】
この制動部4は、コイルスプリング43の付勢力によってブレーキシュー41に対するブレーキドラム42の接触状態を保持することにより、開閉体A1の自重による巻取り軸A30の回転が作用する駆動軸22の回転を制動するようになっている。また、制動操作部5の制動解除操作によってブレーキシュー41からブレーキドラム42が離間することにより、開閉体A1の自重による巻取り軸A30の回転が作用する駆動軸22の制動を解除するようになっている。駆動軸22の制動が解除されると、開閉体A1の自重により巻取り軸A30が閉鎖方向に回転し、開閉体A1が閉鎖方向にスライドして閉鎖状態となる。
【0036】
制動操作部5は、コイルスプリング43の付勢力に抗してブレーキドラム42をブレーキシュー41から離間させるものであり、先端がケーシングA5外に突出するように設けられている。
【0037】
制動操作部5は、ブレーキ軸40に対して揺動するように支持されており、ケーシングA5外に突出した部位に対して自動閉鎖装置10の制動解除動作部6による押動力が作用すると、制動操作部5が制動解除方向(
図2における図示において右方向)に傾倒するようになっている。この制動操作部5の傾倒により、コイルスプリング43の付勢力に抗してブレーキ軸40が図面上右方向にスライドし、このブレーキ軸40のスライドにともなってブレーキドラム42がブレーキシュー41から離間して制動が解除されるようになっている。また、制動操作部5に対する自動閉鎖装置10の制動解除動作部6による押動が解除されると、コイルスプリング43の付勢力によるブレーキ軸40の図面上左方向へのスライドにともなって、ブレーキドラム42がブレーキシュー41に対して接触して制動状態に復帰するとともに、傾倒していた制動操作部5が制動状態へ復帰するようになっている。
【0038】
自動閉鎖装置10は、制動操作部5を押動するスライド部60を備えた制動解除動作部6を備えており、電力供給時にスライド部60がスライドして制動操作部5を押動するように配置されている。
【0039】
図3〜
図5は、自動閉鎖装置10の構成図である。自動閉鎖装置10は、制動解除動作部6と、制動解除動作部6の動作を制御する制御回路部7とを備え、これら各部がケーシング100に内蔵されている。また、各種信号入力を行うための信号入力部200を備えている。
【0040】
制動解除動作部6は、ケーシング100の図示において左右の側壁101をスライド可能に貫通したスライド部60と、スライド部60をスライドさせるための駆動力を発生する駆動源61と、駆動源61の駆動力をスライド部60に伝達する駆動伝達部62と、を備えている。
【0041】
スライド部60は、スライドにより制動操作部5を押動するものであり、側壁101から突出した端部に押動部63を備えている。また、スライド部60は、駆動伝達部62の最下流部を構成するラック・ピニオンのラックに相当するものであり、スライド部60の上面部に歯部620が形成されている。このスライド部60の側面部には、スライド部60の過剰なスライドを規制するためのストッパー部60Aが突設されている。また、スライド部60とケーシング100にわたって引っ張りばね60Bが配設されており、この引っ張りばね60Bの付勢力により、制動解除方向へスライドしたスライド部60を制動方向に復帰させるようになっている。
【0042】
ストッパー部60Aは、スライド部60のスライド中にケーシング100に設けられた接触板102に接触することにより、スライド部60の過剰なスライドを止めるようになっている。また、スライド部60の側面部には、ストッパー部60Aを螺合支持する3個のねじ孔60Cが開孔されており、制動装置3の制動解除を行うのに必要なスライド部60Aのスライド量(制動装置の機種等に応じて異なるスライド量)に対応させてストッパー部60Aの位置を変更することができるようになっている。すなわち、このストッパー部60Aが、制御回路部7の故障等でスライド部60のスライド制御が不能になったときに、スライド部60のスライドを止めることによって、スライド部60の過剰なスライドによる制動操作部5及びスライド部60の破損や変形を防ぐようになっている。
【0043】
駆動源61は、DCモータが使用されている。この駆動源61は、入力される制動解除信号及び制動復帰信号に基づく制御回路部7の制御により、駆動及び駆動停止するようになっている。
【0044】
駆動伝達部61は、スライド部60に形成された歯部620と、歯部620に噛み合うピニオン621と、駆動源62の駆動をピニオン621のピニオン軸622に伝達する歯車列(図示せず)を内蔵したギアボックス623とを備えている。また、この駆動伝達部62には、制動解除動作部6が制動部4の制動を解除したときに、ピニオン621の逆回転を阻止するワンウェイクラッチ624、入力される制動復帰信号に基づく制御回路部7の制御により、ワンウェイクラッチ624の逆回転阻止状態を解除するソレノイド625、等を備えている。
【0045】
押動部63は、スライド部60の制動操作部5側の端部に設けられた支持板63Aと、支持板63Aに対して螺合取り付けされた接触体63Bとから構成されている。支持板63Aは、その側面部630がケーシング100の側壁101と平行となるように形成されている。接触体63Bは側面部630に対してスライド部60のスライド方向と平行として螺合された調整ボルト631と、調整ボルト631の位置を固定するロックナット632とから構成され、調整ボルト631のボルトヘッド部分が制動操作部5に接触するようになっている。接触体63Bは、調整ボルト631を回転させて前述のボルトヘッド部分を制動操作部5方向又はケーシング100方向に移動させることにより、制動操作部5に対する接触位置の微調整を行うようになっている。
【0046】
ストッパー部60Aは、
図6〜
図8に示すような取付け形態としてもよい。この形態のストッパー部60Aは、ケーシング100の図示において左側壁101から突出したスライド部60の側面部に突設され、スライド部60のスライドによって左側壁101に接触するようになっている。また、スライド部60の側面部には、ストッパー部60Aを螺合支持する3個のねじ孔60Bが開孔されており、ケーシング100の外側からストッパー部60Aの位置変更作業が行えるようになっている。すなわち、ストッパー部60Aの位置変更作業を、ケーシング100を開けることなく行うことができるので、この位置変更作業の迅速性の向上が期待できる。図中、符号60Dは、スライド部60の抜け止め用の突起であり、スライド部60の側面部に螺合取り付けされている。なお、
図3〜
図5示す形態と重複する部位についての説明は、同符号を付すことにより省略した。
【0047】
このような自動閉鎖装置10は、制動解除動作中の駆動源61の電流値の変動を検出し、検出した電流値が所定のしきい値を超えたときに、制動操作部5の可動限界位置でスライド部60のスライドが停止するように駆動源61の駆動を停止させる制御と、前述のしきい値を、
図15に示すような開閉装置1の周囲温度の変化により変動する駆動源61の電流値に対応するしきい値に補正する制御とをすることにより、駆動源61の電流値の変動にかかわらず、スライド部60の過剰なスライドを防いで制動操作部5及びスライド部60の破損や変形を防ぐようしたものである。
【0048】
以下、制動操作部5の可動限界位置で駆動源61の駆動を停止させる制御を具体的に説明する。
図9は、制御回路部7を含む自動閉鎖装置10の構成を示すブロック図である。制御回路部7は、駆動スイッチ部70、動作電流値検知部71、動作電流値検出部72、可動限界検出部73、制動復帰操作部74、記憶部75、制御部76、CPU(図示せず)を備えている。
【0049】
駆動スイッチ部70は、制動解除信号が信号入力部200に入力されたときに駆動源61をONし、制動復帰信号が信号入力部200に入力されたときにONしている場合には駆動源61をOFFするものである。
【0050】
動作電流値検知部71は、駆動スイッチ部70のONと同時に駆動源61の動作電流値の検知を開始し、この検知中において、駆動源61の電流値変動をリアルタイムに検知し続けるようになっており、駆動スイッチ部70のOFFと同時に駆動源61の動作電流値の検知を終了するようにしたものである。また、動作電流値検知部71は、制動解除信号が信号入力部200に入力されたときに検知開始し、制動復帰信号が信号入力部200に入力されたときに検知終了するようにしたものとしてもよい。
【0051】
本実施形態の動作電流値検出部72は、検知された動作電流値に基づいて、駆動源61の始動時における突入電流値のピーク値を検出して、ピーク信号を出力するものである。
【0052】
可動限界検出部73は、検知される動作電流値が所定のしきい値を超えたことを検出して、制動操作部5が可動限界位置に至ったとする可動限界信号を出力するものである。
【0053】
制動復帰操作部74は、信号入力部200に入力された制動復帰信号に基づいて、ソレノイド625に対してワンウェイクラッチ624の逆回転阻止状態を解除する逆回転阻止解除信号を出力するようにしたものである。
【0054】
記憶部75は、前述のCPUが実行する各種プログラムや、各種アプリケーションプログラム、及び各種データ等を記憶したROM、しきい値を突入電流値のピーク値毎に対応するように設定されたしきい値データや演算結果等を一時的に記憶するRAM等を備えており、制御部76の要求に基づいて各種プログラムや各種データの出し入れが行われる。
【0055】
前述のしきい値データは、周囲温度の変化によって変化する駆動源1の各動作電流値に対応するように夫々設定されたしきい値のデータであり、出力されたピーク信号に基づいて対応するしきい値が読み出される。
【0056】
前述のしきい値の設定は、任意の温度毎の動作電流値に対応するしきい値を夫々設定することが挙げられるが、動作電流値の変化は、
図12に示す波形A、B、C、D、Eのように、低温側の変化が大きく高温側の変化が小さいことが示されている。すなわち、前述のしきい値の設定は、制動操作部5の可動限界で駆動源61を駆動停止させることができる範囲において、低温側では温度差を小さくして多くの動作電流値に対応するしきい値を設定し、高温側では温度差を大きくして低温側よりも少ない動作電流値に対応するしきい値を設定することが好ましい。このしきい値の設定は、例示した設定方法に限定するものではなく、制動操作部5の可動限界で駆動源61を駆動停止させることができる範囲において任意に設定できる。
【0057】
制御部76は、自動閉鎖装置10の制動解除動作及び制動動作を制御するものであり、具体的には、駆動制御部9Aと、動作電流値検知制御部9Bと、可動限界検出制限制御部9Cと、動作電流値検出制御部9D、しきい値補正制御部9E、可動限界検出制御部9Fと、制動状態復帰制御部9Gとを備えている。
【0058】
駆動制御部9Aは、信号入力部200に入力される制動解除信号に基づいて、駆動スイッチ部70をONする制御と、可動限界検出部73から出力される可動限界信号に基づいて、駆動スイッチ部70をOFFする制御をするものである。
【0059】
動作電流値検知制御部9Bは、駆動スイッチ部70のONと同時に動作電流値検知部71に対して駆動源61の動作電流値の検知を開始させる制御と、駆動スイッチ部70のOFFと同時に動作電流値検知部71に対して駆動源61の動作電流値の検知を終了させる制御とをするものである。
【0060】
可動限界検出制限制御部9Cは、駆動スイッチ部70のONと同時に、しきい値の補正前に、所定のしきい値を超える動作電流値の検出が行われないように制限する制御と、しきい値の補正後に前記制限を解除する制御とをするものである。
【0061】
動作電流値検出制御部9Dは、動作電流値検出部72に対して、検知される動作電流値が突入電流のピーク値であることを検出させてピーク値信号を出力させる制御をするものである。
【0062】
しきい値補正制御部9Eは、出力されるピーク値信号に基づいて、記憶部75に記憶されたしきい値データから対応するしきい値データを読み出して、このしきい値データに基づいてしきい値を補正する制御をするものである。
【0063】
可動限界検出制御部9Fは、可動限界検出部73に対して、検知される動作電流値が始動時の突入電流値であることを検出させる制御と、しきい値の補正後に検知される動作電流値に基づいて、制動操作部5の可動限界での動作電流値を検出させる制御と、検出した動作電流値に基づいて可動限界信号を出力させる制御とをするものである。
【0064】
制動復帰操作制御部9Gは、制動復帰操作部74に対して、信号入力部200に入力された制動復帰信号に基づいて、ソレノイド625に対してワンウェイクラッチ624の逆回転阻止状態を解除する逆回転阻止解除信号を出力させる制御をするものである。
【0065】
図10は、本実施形態の動作電流値検出制御部9D、しきい値補正制御部9E、可動限界検出制御部9Fの制御動作を説明する波形図である。この波形図は、駆動源61の始動時から制動操作部5が可動限界位置に至るときの駆動源61の動作電流値の変動を示している。この波形図では、駆動源61の始動時の動作電流値を表す突入電流波形a、スライド部60が制動操作部5を押動している状態の動作電流値を表す制動解除動作電流波形b、制動操作部5が可動限界に至った状態の動作電流値を表す可動限界電流波形cが形成されている。また、制動解除動作電流波形bの最大電流値付近にしきい値dを設定している。
【0066】
この波形は、周囲温度の変化による駆動源1の動作電流値の変化で、突入電流波形a、制動解除動作電流波形b、可動限界電流波形cが、2点鎖線で示すように形成される。このとき、しきい値dがもとの位置(実線で示す位置)である場合、制動操作部5が可動限界に至った後も駆動源61が駆動することで、スライド部60を過剰にスライドさせてしまうことになる。
【0067】
このような波形の変化に対応するために、動作電流値検出制御部9Dが、動作電流値検出部72に対して、検知される動作電流値が突入電流のピーク値であることを検出させてピーク値信号を出力させ、しきい値補正制御部9Eが出力されたピーク値信号に基づいてしきい値dを補正する制御をしている。すなわち、可動限界検出制御部9Fが動作電流値検出部72に対して、補正された新たなしきい値d(2点鎖線で示す)においてこのしきい値dを超えた動作電流値であることを検出させることができる。したがって、駆動源61の動作電流値が変化しても、制動操作部5が可動限界位置に至ったときに、制動操作部5に作用するスライド部60の押動を停止させることができる。
【0068】
また、本実施形態では、突入電流波形aの動作電流値がしきい値dを超える変動であることから、駆動スイッチ部70のONの後、しきい値の補正前に可動限界検出制限制御部9Cが、可動限界検出部73に所定のしきい値を超える動作電流値の検出を行わないように制限する制御と、しきい値の補正後にしきい値補正制御部9Eが補正終了信号を出力する制御と、出力される補正終了信号に基づいて、可動限界検出制限制御部9Cが可動限界検出部73の制限解除をする制御とをしている。すなわち、可動限界検出部73がしきい値を超える突入電流を可動限界での動作電流として検出しないようにしているので、スライド部60のスライドを制動操作部5が可動限界位置に至る前に停止させてしまうことはない。
【0069】
図11は、本実施形態の動作電流値検出制御部9D、しきい値補正制御部9E、可動限界検出制御部9Fの制御方法を含むプログラムのフローチャートである。このプログラムは、信号入力部200に制動解除信号が入力されたときに起動するプログラムである(ステップS1)。
【0070】
入力された制動解除信号に基づいて、駆動制御部9Aが駆動スイッチ部70をONすることにより駆動源61の駆動が開始され(ステップS2)、駆動スイッチ部70のONと同時に動作電流値検知部71が駆動源61の動作電流値の検知を開始する(ステップS3)。このとき、可動限界検出部73は、しきい値の補正が終了するまで、検知される動作電流値に基づく、制動操作部5の可動限界での動作電流値を検出しないように制限されている(ステップS4)
【0071】
検知される動作電流値に基づいて、動作電流値検出部72が、駆動源61の始動時における突入電流値のピーク値を検出し(ステップS5)、ピーク値信号を出力する(ステップS6)。出力されたピーク値信号に基づいて、対応するしきい値データが読み出されるとともに、しきい値の補正が行われる(ステップS7)。このしきい値の補正後に、制動操作部5の可動限界での動作電流値を検出しないようにした制限が解除される(ステップS8)。
【0072】
制限が解除されると、可動限界検出部73が、検知される動作電流値に基づいて可動限界動作電流値を検出し(ステップS9)、可動限界信号を出力する(ステップS10)。出力された可動限界信号に基づいて、駆動制御部9Aが駆動スイッチ70をOFFすることにより駆動源61の駆動が停止し、この駆動停止に伴ってスライド部60のスライドが制動操作部5の可動限界位置で停止する(ステップS11)。
【0073】
駆動源61が駆動停止している状態では、ワンウェイクラッチ624によりスライド部60が制動操作部5の可動限界位置で保持されるが、このスライド部60の保持は、信号入力部200に制動復帰信号が入力されない限り継続する(ステップS12)。この制動復帰信号が入力されると、制動復帰操作部74がソレノイド625に対して、ワンウェイクラッチ624の逆回転阻止状態を解除する逆回転阻止解除信号を出力する(ステップS13)。この逆回転阻止解除信号に基づいて、ソレノイド625がワンウェイクラッチ624の逆回転阻止状態を解除すると、スライド部60が引っ張りばね60Bによって制動方向へスライドすることにより、制動部4が制動状態に復帰する(ステップS14)。
【0074】
本実施形態の開閉装置1によれば、駆動源61の動作電流値に変化があっても、しきい値dを変化した動作電流値に対応するしきい値に補正することができる。そして、この補正したしきい値において、制動操作部5の可動限界位置での動作電流値を検出することができるので、スライド部60の過剰なスライドを防ぐことができる。したがって、制動操作部5及びスライド部60の破損や変形を防ぐことができる。
【0075】
また、検知された動作電流値が、始動時の動作電流値であるときに、この動作電流値を可動限界検出部73が可動限界位置での動作電流値として検出しないように制限しているとともに、ワンウェイクラッチ624により、スライド部60を制動操作部5の可動限界位置で保持しているため、スライド部60のスライドを制動操作部5が可動限界位置に至る前に停止させてしまうことを防ぐことができる。したがって、開閉体A1が閉鎖動作の途中で停止することなく全閉状態にすることができ、火災時の延焼や延煙を防ぐことができる。
【0076】
また、本発明の開閉装置1における自動閉鎖装置10によれば、スライド部60のスライド量の設定や自動閉鎖装置10の開閉機2に対する取付け位置の設定を、制動部4に対する制動解除を行える範囲内であれば自由に設定できる。したがって、自動閉鎖装置10の取付け作業の効率性を向上することができ、特に、自動閉鎖装置10を既設現場で交換を行う場合に、自動閉鎖装置10を効率よく取り付けることができる。
【0077】
前述の実施形態で例示した開閉装置1は、自動閉鎖装置10がスライド部60のスライドにより制動操作部5を押動して傾倒させるようにしたものであるが、本発明では、スライド部60のスライドにより制動操作部6を引き動かして傾倒させる形態を含む(図示せず)。また、本発明の自動閉鎖装置10は、例示した形態のものに限らず、駆動源61の駆動によりスライド部60がスライドして制動操作部5を傾倒させることができる形態であればよい(図示せず)。また、自動閉鎖装置10の機能と制動操作部5を開閉機2が内蔵されたケーシングA5に内蔵した形態にしてもよい(図示せず)。また、本発明は、シャッター装置以外にも開閉体が自重やばね力、磁力等により常時閉鎖側へ付勢された状態で制動され、制動操作部5に対する押動力作用により制動解除して自動閉鎖するオーバーヘッドドア装置、扉装置、引戸装置、折畳扉装置、防煙たれ壁装置、防煙たれ幕装置等の開閉装置にも適用できる。