特許第5730494号(P5730494)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5730494
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】パチンコ機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20150521BHJP
【FI】
   A63F7/02 312A
   A63F7/02 316D
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-53448(P2010-53448)
(22)【出願日】2010年3月10日
(65)【公開番号】特開2011-183052(P2011-183052A)
(43)【公開日】2011年9月22日
【審査請求日】2012年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笠原 豊
【審査官】 鹿戸 俊介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−164248(JP,A)
【文献】 特開2000−325556(JP,A)
【文献】 特開2004−000804(JP,A)
【文献】 特開2007−296268(JP,A)
【文献】 特開2007−236794(JP,A)
【文献】 特開2001−025535(JP,A)
【文献】 特開2006−014896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドレールによって区画された略円形状の遊技領域を有する遊技盤と、前記遊技領域の最下部位置に設けられたアウト口と、このアウト口の上方に近接配置された開閉扉を有するアタッカ装置とを備え、電子抽選の結果に基づいて前記開閉扉が回動して大入賞口を開放するパチンコ機において、
前記ガイドレールの下部滑走面に前記アウト口に向かって下り勾配で傾斜する誘導面が設けてあり、前記遊技盤の前面に前記下部滑走面に沿って左右方向へ延びる規制板を設け、この規制板を前記アウト口を包囲して前記開閉扉との間に延在させると共に該開閉扉よりも左右方向へ延出させ、前記規制板の板厚を前記アウト口の周囲から前記開閉扉の左右方向の両端部近傍に至る中央部で最大にして外側に向かって漸次薄くなるように設定し、かつ前記規制板の前記中央部を前記誘導面の奥部と平面的にオーバーラップさせると共に、該中央部を閉状態にある前記開閉扉よりも前方に突出させたことを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記アタッカ装置の上方に別のアタッカ装置を近接配置して一体化したアタッカユニットを具備しており、このアタッカユニットの前面下部に前記規制板が一体形成されていると共に、前記アタッカユニットの前面に遊技球を下段側の前記アタッカ装置に導く案内部材が左右に一つずつ突出形成されていることを特徴とするパチンコ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球を用いて遊技を行うパチンコ機に係り、特に、大当たり発生時に開放動作されるアタッカ装置を備えたパチンコ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機の中には、遊技盤の盤面をガイドレールによって略円形状の遊技領域に区画すると共に、この遊技領域に可変表示装置や始動入賞口やアタッカ装置等を配設し、遊技領域に向けて発射された遊技球が始動入賞口に入賞したことを契機に電子抽選を行い、その抽選結果に基づいて可変表示装置が図柄の変動表示および停止表示を行うようにした機種が存在する。電子抽選の抽選結果には当たりとハズレがあり、抽選結果が当たりの場合には、可変表示装置の表示画面に所定の特別図柄の組合せが表示され、通常モードから特別遊技モードへと移行する。この特別遊技モードでは、アタッカ装置の開閉扉が開放動作して大入賞口を露呈させるので、露呈した大入賞口に遊技球が入りやすくなって遊技者は多くの賞球を獲得できるようになる。なお、始動入賞口や大入賞口等のいずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球は、ガイドレールの湾曲した下部滑走面を滑走して遊技領域の最下部へ誘導された後、遊技領域の最下部位置に設けられたアウト口から遊技盤の裏面側に排出されるようになっている。このため、一般的にガイドレールの下部滑走面の最下位置にはアウト口に向かって下り勾配で傾斜する誘導面が設けられており、ガイドレールの最下位置まで滑走した遊技球が誘導面で斜め後方に方向転換されてアウト口へと導かれるようになっている。
【0003】
従来より、このようなパチンコ機において、2つのアタッカ装置を上下2段に積層配置し、これら両アタッカ装置を可変表示装置とアウト口との間のスペース内に配置することによって、遊技盤のスペースを節約して入賞態様に変化を持たせるようにしたダブルアタッカと呼ばれるアタッカ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−187309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで近年、可変表示装置はますます大型化される傾向にあり、このように大型の可変表示装置を遊技領域の中央部に配設しようとすると、それに伴って可変表示装置とアウト口との間のスペースが狭められてしまうため、アタッカ装置をアウト口に対して十分に離間させることが難しくなる。その結果、ガイドレールを滑走する遊技球が誘導面の左右両側に生じる段差によって跳ね上がったとき、その遊技球がアタッカ装置の開閉扉に衝突しやすくなり、本来閉じているはずのアタッカ装置が誤動作するという問題が発生する。特に、2つのアタッカ装置を上下2段に積層配置したダブルアタッカを採用した場合、下段側のアタッカ装置とアウト口との間の離反距離が極端に短くなるため、上記した問題は顕著なものとなる。
【0006】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、遊技球の跳ね上がりに起因するアタッカ装置の誤動作を防止することができるパチンコ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、ガイドレールによって区画された略円形状の遊技領域を有する遊技盤と、前記遊技領域の最下部位置に設けられたアウト口と、このアウト口の上方に近接配置された開閉扉を有するアタッカ装置とを備え、電子抽選の結果に基づいて前記開閉扉が回動して大入賞口を開放するパチンコ機において、前記ガイドレールの下部滑走面に前記アウト口に向かって下り勾配で傾斜する誘導面が設けてあり、前記遊技盤の前面に前記下部滑走面に沿って左右方向へ延びる規制板を設け、この規制板を前記アウト口を包囲して前記開閉扉との間に延在させると共に該開閉扉よりも左右方向へ延出させ、前記規制板の板厚を前記アウト口の周囲から前記開閉扉の左右方向の両端部近傍に至る中央部で最大にして外側に向かって漸次薄くなるように設定し、かつ前記規制板の前記中央部を前記誘導面の奥部と平面的にオーバーラップさせると共に、該中央部を閉状態にある前記開閉扉よりも前方に突出させる構成とした。
【0008】
このように構成されたパチンコ機では、ガイドレールの下部滑走面の背面側にアウト口に向かって延びる規制板が設けてあり、この規制板をアウト口を包囲して開閉扉との間に延在させると共に開閉扉よりも左右方向へ延出させ、規制板の板厚をアウト口の周囲から開閉扉の左右方向の両端部近傍に至る中央部で最大にして外側に向かって漸次薄くなるように設定し、かつ、規制板の中央部をガイドレールに設けた誘導面の奥部と平面的にオーバーラップさせると共に、該中央部を閉状態にある開閉扉よりも前方に突出させている。このため、ガイドレールの下部滑走面と誘導面との境界部に生じる楔状の段差のうち、最も段差の大きな誘導面の奥部が規制板の中央部によって上方から覆い隠される。したがって、ガイドレールの下部滑走面を滑走して誘導面へ向かう遊技球は、規制板によって段差の小さい誘導面の前方側へ位置規制された後、誘導面の下り勾配によってアウト口まで誘導されることとなり、ガイドレールを滑走する遊技球の段差での跳ね上がりが最小限に抑えられる。それゆえ、アウト口の真上にアタッカ装置を近接配置したとしても、アタッカ装置の開閉扉が遊技球の跳ね上がりによって誤動作してしまうことを防止できる。
【0009】
上記の構成において、アウト口の上方に配置されるアタッカ装置の数は特に限定されないが、上下2段のアタッカ装置を近接配置して一体化したアタッカユニットを具備しており、このアタッカユニットの前面下部に規制板が一体形成されていると共に、アタッカユニットの前面に遊技球を下段側のアタッカ装置に導く案内部材が左右に一つずつ突出形成されていることが好ましい。このような構成を採用すると、ダブルアタッカ構造のユニット体をアウト口の上方にコンパクトに配置することができると共に、下段側のアタッカ装置が開放動作されているときに、遊技球を左右一対の案内部材によって下段側のアタッカ装置に導くことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のパチンコ機は、遊技領域を区画するガイドレールの下部滑走面の背面側にアウト口に向かって延びる規制板が設けてあり、この規制板の板厚を中央部で最大にして外側に向かって漸次薄く設定すると共に、規制板の中央部をガイドレールに設けた誘導面の奥部と平面的にオーバーラップさせているため、ガイドレールの下部滑走面を滑走して誘導面へ向かう遊技球を規制板によって段差の小さい誘導面の前方側へ位置規制した後、誘導面の下り勾配を利用してアウト口まで誘導することができる。したがって、ガイドレールを滑走する遊技球の段差での跳ね上がりが最小限に抑えられ、アウト口の真上にアタッカ装置を近接配置したとしても、アタッカ装置の開閉扉が遊技球の跳ね上がりによって誤動作してしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態例に係るパチンコ機の外観を示す斜視図である。
図2図1のパチンコ機に備えられる遊技盤の正面図である。
図3図2の遊技盤に配置されたアタッカユニットの正面図である。
図4】該アタッカユニットの底面図である。
図5】該アタッカユニットの斜視図である。
図6図3のA−A線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示すように、本発明の実施形態例に係るパチンコ機Pは、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた本体枠2と、本体枠2の内側に収容された後述する遊技盤3と、本体枠2の前面に開閉自在に取り付けられたガラス扉4と、ガラス扉4の下側で本体枠2の前面に開閉自在に取り付けられた前面ボード5と、前面ボード5の右下隅部に取り付けられた発射ハンドル6等を具備しており、前面ボード5には遊技球を収容する受皿7が設けられている。ガラス扉4の中央部には透明なガラス板8が取り付けられており、遊技盤3の前面(盤面)はこのガラス板8を通して外部から目視可能となっている。また、ガラス扉4の上部にはスピーカ9が左右に1個ずつ取り付けられており、これらスピーカ9から遊技に関する様々な効果音を発するようになっている。
【0013】
図2に示すように、遊技盤3の前面(盤面)は上部ガイドレール10と下部ガイドレール11によって略円形状に区画された遊技領域12となっており、発射ハンドル6が遊技者によって任意角度に回転操作されると、図示せぬ発射装置が受皿7に保留された遊技球を遊技領域12に向けて連続的に打ち出すようになっている。遊技領域12の上部中央付近には中央役物ユニット13が配設されており、この中央役物ユニット13は、中央部に矩形状の開口14aを有する装飾枠14と、装飾枠14の上壁部に配設された可動役物装置15とを具備している。中央役物ユニット13の裏面側には液晶パネル(LCD)からなる可変表示装置16が配設されており、この可変表示装置16の表示画面は装飾枠14の開口14aから露出している。
【0014】
装飾枠14には上側ステージ17aと下側ステージ17bで構成される二段ステージ17が設けられており、上側ステージ17aは開口14aの下辺に沿って左右方向へ延びている。上側ステージ17aの中央部には誘導孔(図示せず)が形成されており、この誘導孔は下側ステージ17bの中央部下方に形成された導出口18に連通している。下側ステージ17bは上側ステージ17aの下面に沿って左右方向へ延びており、その中央部には前方側へ傾斜する溝(図示せず)が形成されている。また、装飾枠14の左側壁には中空構造のワープ通路14bが形成されており、このワープ通路14bの両端は遊技領域12と上側ステージ17aに向けて開口している。したがって、中央役物ユニット13の左側の遊技領域12を流下する遊技球がワープ通路14bに入球すると、その遊技球はワープ通路14bの内部を通って上側ステージ17aに排出された後、上側ステージ17a上を転動して誘導孔から導出口18へと導かれる。
【0015】
二段ステージ17の中央部の真下位置には上面に入賞孔を有する単純構造の第1始動入賞口19が配設されており、上側ステージ17a上を転動して導出口18から排出された遊技球や下側ステージ17b上を転動して溝から落下した遊技球が高い確率で第1始動入賞口19に入賞するようになっている。第1始動入賞口19の真下には第2始動入賞口20が近接配置されており、この第2始動入賞口20は一対の可動片を有する電動チューリップ構造の始動入賞口となっている。そして、これら始動入賞口19,20のいずれか一方に遊技球が入賞すると、それを契機として特別図柄に係る電子抽選が行われ、その抽選結果に基づいて可変表示装置16の表示画面上で演出用図柄の変動表示および停止表示が行われる。また、中央役物ユニット13の左側の遊技領域12には通過チャッカー21が配設されており、遊技球がこの通過チャッカー21を通過すると、それを契機として普通図柄に係る電子抽選が行われ、その抽選結果が当たりの場合に第2始動入賞口20の両可動片を一時的に開放して遊技球の入賞を許可するようになっている。
【0016】
可動役物装置15は前述した特別図柄に係る電子抽選の結果を役物の可動態様によって遊技者に示唆することができる装置であり、本実施形態例の場合、「金」文字を施した円盤状の役物22が用いられている。図示省略されているが、役物22は装飾枠14の右壁部内方に軸支されたアームの先端部に支持されており、例えばスーパーリーチ時にアームを軸部を中心に回転駆動すると、役物22が可変表示装置16の前面に沿って上下動するようになっている。
【0017】
さらに、第2始動入賞口20の真下位置にはアタッカユニット23が配設されており、このアタッカユニット23には第1アタッカ装置24と第2アタッカ装置25が上下二段に近接配置されている。アタッカユニット23の詳細な構造については後述するが、上段側の第1アタッカ装置24は、前面を横長形状に開口する大入賞口や、大入賞口に入賞した遊技球を検知するセンサユニットや、大入賞口の開口を開閉するアタッカ扉や、アタッカ扉を駆動するソレノイド等を具備しており、下段側の第2アタッカ装置25も同様に構成されている。これらアタッカ装置24,25は、第1および第2始動入賞口19,20のいずれか一方に遊技球が入賞することを契機に行われる特別図柄に係る電子抽選の結果、当たりとなって大当たり遊技状態(特別遊技モード)へ移行した場合に作動される装置である。具体的には、特別図柄の抽選結果が第1の大当たり(例えば通常大当たり)の場合、第1アタッカ装置24のアタッカ扉が複数回繰り返し開放動作してその大入賞口を露呈させ、特別図柄の抽選結果が第2の大当たり(例えば確変大当たり)の場合、第2アタッカ装置25のアタッカ扉が複数回繰り返し開放動作してその大入賞口を露呈させる。第1アタッカ装置24のアタッカ扉は1回の開放動作について例えば30秒経過するまで、あるいは遊技球が大入賞口に例えば10個入賞するまで開放状態を維持し、この間で1個の入賞に対して例えば12個を賞球として払い出し、かかる開放動作を例えば14回繰り返した後に大当たりが終了する。同様に、第2アタッカ装置25のアタッカ扉は1回の開放動作について例えば30秒経過するまで、あるいは遊技球が大入賞口に例えば10個入賞するまで開放状態を維持し、この間で1個の入賞に対して例えば15個を賞球として払い出し、かかる開放動作を例えば17回繰り返した後に大当たりが終了する。
【0018】
その他、遊技領域12内には、遊技球の払い出しのみを行う複数の一般入賞口26や、遊技球の流下経路を担う遊技釘27と風車28等が配設されており、いずれの始動入賞口19,20や一般入賞口26にも入賞しなかった遊技球は、遊技領域12の最下端部に設けられたアウト口29から遊技盤3の裏面側に排出されるようになっている。
【0019】
図3から図6に示すように、前記アタッカユニット23は、第1アタッカ装置24の大入賞口30aおよび第2アタッカ装置25の大入賞口30bが形成された合成樹脂製のユニットケース30と、ユニットケース30の前面にねじ止め等により固定された化粧板31と、上段側の大入賞口30aを開閉する第1アタッカ扉32と、下段側の大入賞口30bを開閉する第2アタッカ扉33と、第1アタッカ扉32を駆動するソレノイド34と、第2アタッカ扉33を駆動するソレノイド35と、上段側の大入賞口30aに入賞した遊技球を検知する図示せぬセンサユニットと、下段側の大入賞口30bに入賞した遊技球を検知するセンサユニット36等を具備している。なお、上段側の大入賞口30aと下段側の大入賞口30bはいずれも横長矩形状に形成されているが、左右方向の寸法は同じでなく、下段側の大入賞口30bの方が幾分長めに設定されている。
【0020】
ユニットケース30は遊技盤3に切り欠かれた空所内に収納されており、このユニットケース30に一体化された化粧板31の外縁部を遊技盤3の前面にねじ止めすることにより、アタッカユニット23は遊技盤3に固定されるようになっている。化粧板31は合成樹脂の成形品に金属メッキを施した板状部材であり、その下辺中央部にアウト口29の上縁部を規定する切欠き31aが形成されている。また、化粧板31の下辺部には規制板31bが一体形成されており、この規制板31bは下部ガイドレール11の滑走面の背面側に沿って円弧状に延びている。下部ガイドレール11の滑走面にはアウト口29に向かって下り勾配で傾斜する誘導面11aが形成されており、下部ガイドレール11の最下位置まで滑走した遊技球をこの誘導面11aで斜め後方に方向転換することにより、下部ガイドレール11を滑走する遊技球がアウト口29へ確実に導かれるようになっている。なお、下部ガイドレール11の滑走面に対して誘導面11aが奥傾斜となっている関係上、下部ガイドレール11の滑走面と誘導面11aとの境界部に側面視で楔状の段差が発生し、図6に示すように、この段差の高さは誘導面11aの手前側から奥側へ向かって次第に大きくなっている。
【0021】
規制板31bの板厚は切欠き31aの周囲を含む中央部が最大となっており、この中央部から左右両外側に向かって漸次薄くなるようなテーパ形状となっている(図4参照)。図6に示すように、規制板31bの中央部は誘導面11aの奥部と平面的にオーバーラップしており、ガイドレール11の滑走面と誘導面11aとの境界部に生じる段差のうち、最も段差の大きな誘導面11aの奥部は規制板31bの中央部によって上方から覆い隠されている。また、同図に示すように、規制板31bの中央部は閉状態にある第1アタッカ扉32および閉状態にある第2アタッカ扉33よりも前方に突出している
【0022】
第1アタッカ扉32は横長形状の板状体であり、その下端側に設けられた左右一対の軸部がユニットケース30と化粧板31との間に回転可能に支持されている。通常、第1アタッカ扉32は上段側の大入賞口30aを閉鎖する起立姿勢に保持されているが、ソレノイド34への通電によって手前側へ回動して大入賞口30aを開放する。第2アタッカ扉33も横長形状の板状体であり、その下端側に設けられた左右一対の軸部がユニットケース30と化粧板31との間に回転可能に支持されている。通常、第2アタッカ扉33は下段側の大入賞口30bを閉鎖する起立姿勢に保持されているが、ソレノイド35への通電によって手前側へ回動して大入賞口30bを開放する。前述したように、上段側の大入賞口30aに比べて下段側の大入賞口30bの方が幾分大きめに形成されているため、それに対応するように第1アタッカ扉32よりも第2アタッカ扉33の方が幾分大きめに形成されている。そして、下側の第2アタッカ扉33はアウト口29(切欠き31a)の真上の近接位置に配置されており、これら第2アタッカ扉33とアウト口29との間に規制板31bの中央部が延在している。また、化粧板31の前面には下段側の大入賞口30bに向かって傾斜する案内部材37が左右に一つずつ固着されており、第2アタッカ扉33が開放動作しているとき、これら案内部材37によって遊技球を第2アタッカ装置25の大入賞口30bに誘導できるようになっている。
【0023】
以上説明したように、本実施形態例に係るパチンコ機Pでは、遊技領域12の下側部分を区画する下部ガイドレール11の滑走面の背面側にアウト口29に向かって延びる規制板31bを立設し、この規制板31bの板厚を中央部で最大にして外側に向かって漸次薄く設定すると共に、規制板31bの中央部を下部ガイドレール11の最下位置に形成した誘導面11aの奥部と平面的にオーバーラップさせているため、下部ガイドレール11の滑走面と誘導面11aとの境界部に生じる楔状の段差のうち、最も段差の大きな誘導面11aの奥部が規制板31bの中央部によって上方から覆い隠されることになる。したがって、下部ガイドレール11の滑走面を滑走して誘導面11aへ向かう遊技球は、規制板31bのテーパー形状によって段差の小さい誘導面11aの前方側へ位置規制された後、誘導面11aの下り勾配によってアウト口29まで誘導されることなり、下部ガイドレール11を滑走する遊技球の段差での跳ね上がりが最小限に抑えられる。それゆえ、アウト口29の真上に第2アタッカ装置25を近接配置してあっても、第2アタッカ装置25の第2アタッカ扉33が遊技球の跳ね上がりによって不所望に開放してしまうという誤動作を防止できる。
【0024】
また、第1アタッカ装置24と第2アタッカ装置25を上下二段に近接配置したダブルアタッカ構造のアタッカユニット23を採用し、このアタッカユニット23の前面に固着された化粧板31の下辺部に規制板31bを一体形成すると共に、この化粧板31の前面に遊技球を下段側の第2アタッカ装置25に導く案内部材37を左右に一つずつ設けたので、ダブルアタッカ構造のアタッカユニット23をアウト口29の上方にコンパクトに配置することができると共に、第2アタッカ装置25の第2アタッカ扉33が開放動作されているときに、遊技球を左右一対の案内部材37によって第2アタッカ装置25の大入賞口30bに導くことができる。
【0025】
なお、上記実施形態例では、アタッカユニット23の前面に設けられた化粧板31の下辺部には規制板31bを一体形成した場合について説明したが、かかる規制板31bを化粧板31と別体の単一部品として構成することも可能である。
【0026】
また、上記実施形態例では、第1アタッカ装置24と第2アタッカ装置25を上下二段に近接配置したダブルアタッカ構造のアタッカユニット23を採用した場合について説明したが、本発明はアウト口29の上方にアタッカ装置を1つだけ配置したパチンコ機についても適用可能であり、その場合も、アタッカ装置をアウト口に近接配置できるため設計上の自由度が向上する。
【符号の説明】
【0027】
3 遊技盤
10 上部ガイドレール
11 下部ガイドレール
11a 誘導面
12 遊技領域
23 アタッカユニット
24 第1アタッカ装置
25 第2アタッカ装置
29 アウト口
30 ユニットケース
30a,30b 大入賞口
31 化粧板
31a 切欠き
31b 規制板
32 第1アタッカ扉(開閉扉)
33 第2アタッカ扉(開閉扉)
34,35 ソレノイド
37 案内部材
P パチンコ機
図1
図2
図3
図4
図5
図6