(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
可撓性カテーテルであって、近位区分、生体の体腔内に挿入するための遠位端、及び前記カテーテルの前記遠位端に配置され、前記体腔内の組織に接触するように構成された遠位先端部を有する、可撓性カテーテルと、
前記遠位先端部が前記組織と係合する際の前記遠位先端部に対する機械的力を感知するための圧力検出器であって、磁界発生器と位置センサーとの組み合わせを具備する、圧力検出器と、
前記組織を焼灼するために、前記組織に所定用量のエネルギーを適用するアブレータと、
前記機械的力の規模を決定するため、かつ前記所定用量のエネルギー、及び前記機械的力の前記規模を使用して焼灼体積を計算するために、前記圧力検出器によって生成される信号に反応するコントローラと、
前記組織のマップ、及び前記組織の前記計算された焼灼体積の指標を表示するように動作する、前記コントローラに連結されたモニターとを含む、焼灼装置。
前記コントローラが、前記所定用量のエネルギーの適用の前に、前記モニターに前記機械的力に基づいて予測される焼灼体積の指標を表示させるように動作する、請求項1に記載の焼灼装置。
前記所定用量のエネルギーが、ある電力レベル、及びある適用時間で供給され、前記コントローラが、前記電力レベル、前記機械的力、及び前記適用時間の関数として前記組織の前記焼灼体積を計算するように動作する、請求項1に記載の焼灼装置。
前記組織内の温度を感知するための、前記カテーテルの前記遠位端中の温度センサーを更に含み、前記コントローラは、前記温度に応答して前記焼灼の速度を制御するように動作する、請求項5に記載の焼灼装置。
前記コントローラが、前記所定用量のエネルギーの適用の前に、前記モニターに前記機械的力に基づいて予測される焼灼体積の指標を表示させるように動作する、請求項8に記載の焼灼装置。
前記所定用量のエネルギーが、ある電力レベル、及びある適用時間で供給され、前記コントローラが、前記電力レベル、前記機械的力、及び前記適用時間の関数として前記組織の前記焼灼体積を計算するように動作する、請求項8に記載の焼灼装置。
前記組織内の温度を感知するための、前記カテーテルの前記遠位端中の温度センサーを更に含み、前記コントローラは、前記温度に応答して前記焼灼の速度を制御するように動作する、請求項13に記載の焼灼装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の説明において、本発明の種々の原理の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細を記載する。しかしながら、これらの詳細全てが、必ずしも常に、本発明を実践する上で必要であるわけではないことが当業者には明らかであろう。この場合、一般概念を不必要に不明確にすることのないよう、公知の回路、制御論理、及び従来のアルゴリズム及びプロセスに関するコンピュータプログラム命令の詳細は詳細には示されていない。
【0017】
ここで図面を参照し、
図1を最初に参照すると、これは生体の心臓12に焼灼手術を行うための、システム10の模式図であり、これは、開示される本発明の実施形態に従って構成され、動作する。システムは、操作者16によって経皮的に、患者の血管系を通じて、心室、又は心臓の血管構造に挿入される、カテーテル14を含む。典型的には医師である、操作者16は、カテーテル遠位先端部18を心臓の焼灼目標部位と接触させる。次いで、その開示が本明細書に参考により組み込まれる、米国特許番号第6,226,542号及び同第6,301,496号、並びに同一出願人による米国特許第6,892,091号に開示されている方法に従って、電気的活性マップが準備され得る。
図1に関して記載される実施形態は、主に心臓焼灼と関連するが、本発明の原理は、必要な変更を加えて、他のカテーテル、及びプローブに、加えて心臓以外の身体組織に応用することができる。
【0018】
電気的活性マップの評価により異常であると判定された領域は、例えば、高周波エネルギーを心筋に印加する、遠位先端部18の1つ以上の電極に、カテーテル内のワイヤを通して高周波電流を通過させる工程により、熱エネルギーを適用して焼灼できる。エネルギーは組織に吸収され、電気的興奮性が恒久的に失われる温度(一般的には約50℃)に組織を加熱する。成功すると、この手技により、心臓組織に非導電病変が形成され、不整脈を生じる異常な電気経路を崩壊させる。あるいは、その開示が参考として本明細書に組み込まれる米国特許出願公開番号第2004/0102769号に開示される、超音波エネルギーなど、焼灼エネルギーを適用する他の既知の方法を使用することができる。本発明の原理は、異なる心室、及び洞調律のマッピング、並びに多くの異なる心不整脈が存在する場合に適用することができる。
【0019】
カテーテル14は通常、ハンドル20を備え、このハンドルを好適に制御することによって、操作者16が、切除のために所望に応じて、カテーテルの遠位端を操縦、位置決定、配向することを可能にする。操作者16を支援するために、カテーテル14の遠位部は、コンソール24に位置した位置決定プロセッサ22に信号を提供する、位置センサー(図示せず)を収容する。通常、コンソール24は、焼灼発電機25を収容する。カテーテル14は、任意の公知の焼灼技術を使用して、心臓に例えば高周波エネルギー、超音波エネルギー及びレーザーエネルギーのような切除エネルギーを伝達するように構成してもよい。このような方法は、同一出願人による米国特許第6,814,733号、同第6,997,924号、及び同第7,156,816号に開示されており、これらは参考として本明細書に組み込まれる。
【0020】
位置決定プロセッサ22は、カテーテル14の位置、及び方位座標を測定する、システム10の位置決定サブシステムの要素である。
【0021】
一実施形態では、位置決定サブシステムは、その近隣の既定作業体積内に磁界を生成し、カテーテルでこれらの磁界を感知することによって、カテーテル14の位置、及び方位を決定する、磁気位置トラッキング装置を含む。磁気位置トラッキング装置は典型的には、磁界生成コイル28などのような外部ラジエータのセットを含み、これらは患者の体外の固定された既知の位置にある。磁気生成コイル28は、磁気発生器(図示されない)によって駆動され、これは典型的にはコンソール24内に位置し、磁界、典型的には電磁界を、心臓12の近隣に生成する。
【0022】
別の実施形態において、カテーテル14内のラジエータ(コイルなど)が電磁界を生成し、これが被験者体外のセンサー(図示なし)に検出される。
【0023】
この目的に使用可能ないくつかの位置トラッキング技術が、前述の米国特許第6,690,963号、及び同一出願人による米国特許第6,618,612号及び同第6,332,089号、並びに米国特許出願公開第2004/0147920号及び同第2004/0068178号に開示されており、これらの開示は参考として全体が本明細書に組み込まれる。
図1に図示される位置決定サブシステムは磁界を利用しているが、下記に説明される方法は、例えば電磁界、音波、又は超音波測定に基づくシステムなど、他の任意の好適な位置決定システムを使用して実施できる。好適な市販の位置決定サブシステムは、Biosense Webster,Inc.,3333 Diamond Canyon Road,Diamond Bar,CA 91765から入手可能なCARTO XP EP Navigation and Ablation Systemである。
【0024】
上述のように、カテーテル14はコンソール24に接続され、これにより操作者16がカテーテル14の機能を観察及び調節できるようになっている。コンソール24は、好ましくは適切な信号処理回路を有するコンピューターであるプロセッサを含む。プロセッサは、モニター30を駆動するように接続されている。信号処理回路は、典型的には、カテーテル14内で遠位に位置する上記のセンサー、及び複数の感知電極(図示されない)によって生成される信号を含む、カテーテル14からの信号を、受信し、増幅し、フィルタリングし、デジタル化する。コンソール24がデジタル化された信号を受信し、これを使用してカテーテル14の位置及び方位を計算し、電極からの電気信号を解析する。この解析から導かれた情報は、心臓の不整脈領域の場所特定、又は治療的焼灼の促進などの診断目的のため、心臓12又は肺静脈心門などの構造の少なくとも一部の電気生理学的マップを作成するために使用され得る。
【0025】
単純化のため図には示されていないが、通常、システム10には他の要素も含まれる。例えば、システム10は、1つ以上の体表面電極からの信号を受信するように接続されてECG同期信号をコンソール24に供給する、心電図(ECG)モニターを含んでもよい。また、上述のように、システム10は、通常、対象の身体の外面に取り付けられた、外部から貼付された基準パッチ、又は心臓12に対して固定位置に維持された、心臓12の中に挿入され内部に配置されたカテーテルのどちらかの上に基準位置センサーを含む。カテーテル14の位置を基準カテーテルの位置と比較することによって、心臓の動きとは関係なく、心臓12に対するカテーテル14の座標が決定される。あるいは、他のいずれかの好適な方法が心臓の動きを補うために使用され得る。それでもなお、位置決定サブシステムは、カテーテル14のエネルギー伝達構成要素が、焼灼される組織と実際に接触していることを保証することはできない。
【0026】
ここで
図2を参照すると、これは、カテーテル14(
図1)の遠位端33の切り取り図であり、本発明の実施形態に従うカテーテルの構造の詳細を示す。
図2に図示されるカテーテルは圧力変換器を含み、これは、参考として本明細書に組み込まれる同一出願人による米国特許出願公開第2009/0093806号により完全に開示される。圧力変換器の他の既知の種類は、
図2に関して記載される圧力変換器と置換され得る。
【0027】
カテーテル14は可撓性挿入管54を含み、遠位区分72は接合部56において挿入管54の残部に接続される。挿入管が、可撓性の絶縁材料60、例えばCelcon(商標)、又はTeflon(商標)によって被覆される。接合部56の領域も同様に柔軟な絶縁材料によって被覆され、絶縁材料は材料60と同じであるか、又は接合部の妨害のない屈曲、及び圧縮を可能にするために特別に適合されていてもよい(カテーテルの内部構造を曝露するために、この材料は
図2からは切り取られている)。遠位先端部18は、少なくとも部分的に、典型的には白金/イリジウム合金のような金属性材料により作製される電極50により被覆され得る。別の方法としては、当業者により自明な、他の適切な材料を使用することができる。遠位区分72は、典型的には、近位区分74と比較して、比較的剛性である。
【0028】
遠位区分72は、弾性部材58によって、近位区分74に接続される。
図2では、弾性部材58はコイルばねの形態を有するが、他の種類の弾性構成要素がこの目的のために代替的に使用され得る。例えば、弾性部材58はポリマー、例えば、シリコーン、ポリウレタン、又は望ましい可撓性、及び強度特性を有する他のプラスチックを含み得る。弾性部材58は、遠位区分72に、又は遠位先端部18に対して直接加えられる力に反応する、遠位区分72と近位区分74との間の相対的な運動の範囲を限定されたものにする。焼灼操作の間に遠位先端部が心内膜に対して押し付けられる時に、そのような力が引き起こされる。焼灼の間の、遠位先端部と心内膜の良好な電気的接触のための所望される圧力は、約20〜30グラムである。この実施形態における弾性部材58として機能するばねは、例えば、望ましい圧力に反応して、例えば、約1〜2mmの遠位端33の軸方向の変位(すなわち、カテーテル14の軸に沿った、横方向の運動)、及び30°までの、近位区分74に対する遠位区分72の角偏向を可能にするように構成され得る。
【0029】
上記のように、遠位区分72は、磁気位置センサー62を含む。位置センサー62は、1つ以上の小型コイルを含んでもよく、典型的には異なる軸に沿って配置される多数のコイルを含む。あるいは、位置センサー62は、例えば、ホール効果センサー、又は磁気抵抗センサーなどの別の種類の磁気センサーを含み得る。磁界生成コイル28(
図1)によって生成される磁界により、位置センサー62は、磁界生成コイル28の固定座標軸に対する、位置センサー62の位置、及び方位の指標である振幅を有する、電気信号を生成する。位置決定プロセッサ22(
図1)は、カテーテル14を通るワイヤ(この図には図示されない)を介してこれらの信号を受信し、上記で引用された特許、及び特許出願に記載されるように、この固定座標軸における遠位先端部18の位置、及び方位を導き出すために、信号を処理する。カテーテル14の位置感知、及びマッピング機能のいくらかは、Biosense Webster,Incによって市販されるNOGA−STARカテーテル、及びCARTO(商標)システムにおいて実施される。
【0030】
加えて、カテーテル14は、遠位先端部18付近に小型磁界発生器64を含み、これは、カテーテル14を通じてコンソール24から伝達される電流によって駆動される(
図1)。時間、及び/又は周波数において、磁界発生コイル28(
図1)と区別可能な磁界を生成するように、電流が生成される。例えば、磁界発生器64に供給される電流は、約16kHz〜25kHzの範囲の、選択された周波数で生成されてもよく、一方で磁界生成コイル28は、異なる周波数で駆動される。加えて、又はあるいは、磁界発生コイル28、及び磁界発生器64の動作は、時分割多重方式であり得る。
【0031】
磁界発生器64によって生成される磁界により、位置センサー62内の1つ以上のコイルが、磁界発生器64の駆動周波数において電気信号を生成する。これらの信号の振幅は、遠位先端部18の近位区分74に対する位置、及び方位によって変化する。位置決定プロセッサ22(
図1)は、軸方向の変位、及び近位区分74に対する遠位先端部18の角偏向の規模を決定するためにこれらの信号を処理する。位置センサー62は、カテーテル14の遠位端、及び遠位先端部の6つの位置、及び方位座標(X、Y、Z方向、及びピッチ、揺れ(yaw)並びに回転方位)を決定し得る。この目的のために、位置決定センサーにおいて、少なくとも2つの感知コイルが典型的に必要とされる。本実施形態において、位置測定の正確性と確実性を改善するために、3つの感知コイル76が使用されている。あるいは、1つの感知コイルのみが使用された場合、システム10は、5つの位置、及び方位座標(X、Y、Z方向、並びにピッチ、及び揺れ)のみを決定することができる場合がある。変位、及び偏向の読み取り値はそれぞれ、十分の数ミリメートル、及び約1°以内の正確性であるべきであり、
図2に図示されるように、位置センサー62中に3つのコイル76を、好ましくは相互に垂直に含むことが望ましい。
【0032】
一定の固定座標軸(図示されない)に関する位置センサー62の位置を決定することができるので、遠位先端部18の近位区分74に対する相対運動を計算することが可能である。これは、弾性部材58の変形、及び角偏向の測定を提供する。一般的に、変形は、弾性部材58に対して加えられる機械的力に比例し、この力は、遠位先端部18が接触する心臓組織によって、遠位先端部18に加わる力とおよそ同等である。したがって、磁界発生器64と位置センサー62の組み合わせは、カテーテル14の遠位先端部18上の心内膜組織によって加わるおよその圧力(又は同様に、電極50により心内膜組織に加わる圧力)を決定するための、圧力感知システムとして機能する。
【0033】
ここで
図3を参照すると、これは、本発明の実施形態に従って、心臓12の心内膜70と接触するカテーテル14の遠位端33の模試図である。遠位先端部18によって心内膜70に対して加えられる圧力は心内膜組織を僅かに変形させ、それによって電極50が比較的広い領域にわたって組織と接触する。電極50は心内膜70と、正面ではなく角度82で係合し、遠位区分72は接合部56で曲がり、カテーテルの挿入管に対して曲げ角度84を形成する。この屈曲は、電極と心内組織の間の最適な接触を容易にする。
【0034】
図2に戻ると、位置プロセッサ22(
図1)は、遠位先端部18によって心内膜70(
図3)に加えられる圧力の指標を導き出すために、発生器64の磁界に反応して位置センサー62によって生成される信号を受信、及び処理する。上記のように、良好な焼灼のために、約20〜30グラムの圧力が望ましい。より低い圧力は、電極50と心内膜組織との間の不十分な接触が存在し得ることを意味する。結果として、心臓内部の血液によって、熱エネルギーの多く、又は全てが奪われる場合があり、組織は不十分に焼灼されるか、又は全く焼灼されない。より高い圧力は、電極が心内膜組織を強く押しすぎていることを意味する。この種類の過剰な圧力は、組織における空洞化を生じ、広範囲の組織損傷、場合によっては更に心臓壁の穿孔に繋がる場合がある。
【0035】
一定の固定座標軸に対する、位置センサー62の座標を決定することが可能である。磁界発生器64が少なくとも2つのコイルを有する実施形態では、位置センサー62の軸の互いに対する方向的配置を決定し、それによって曲げ角度84(
図3)を計算することも可能である。
【0036】
移動と偏移の組み合わされた検知のおかげで、電極が心内膜と真正面から係合しているか斜めに係合しているかに関わらず、この圧力検知システムは圧力を正確に示す。例えば、圧電性のセンサーとは異なり、圧力表示は温度変化には無反応であり、またドリフトがない。
【0037】
変位、及び偏向の規模がベクトル加法によって組み合わされて、遠位先端部18の近位区分74に対する運動の合計的な規模を提供する。3つのコイルが存在する場合、システムは6つの段階の自由度で、遠位区分72、及び遠位先端部18の位置を決定することができる。力ベクトル78、80が次に計算され得るが、ベクトル80は、心臓壁12に垂直な成分の規模を表す。各カテーテルに関して、力と偏向との間の関係が事前に較正されてもよく、較正表が構成されて、次に力の測定に使用される。
【0038】
再び
図1を参照すると、コンソール24は測定された圧力の指標を操作者16に出力し、圧力が低すぎるか、又は高すぎる場合にアラームを発することがある。任意により、心内膜70(
図3)に対する圧力が望ましい範囲内にあるときのみ電極50(
図2)に電力を供給するように、焼灼発電機25が連結されていてもよい。あるいは、又は加えて、メカニズムが遠位区分72を心内膜70(
図3)に適切な位置で、適切な接触圧力で係合させることを確実にするため、上記でより完全に記載されるようにカテーテル14を動かし、操作するための自動メカニズムの閉ループ制御で、圧力指標が使用されてもよい。
【0039】
システム10(
図1)の実施形態において、高周波電力が、本明細書における方法、及びシステムに関して説明されるが、他の形態のエネルギー、すなわち、同一出願人による米国特許出願公開番号第2006/0287648号に記載される、レーザー、マイクロ波技術、及び高密度焦点式超音波エネルギーが組織に供給されてもよい。
【0040】
積P
*Fは、組織の焼灼の速度の良好な指標を提供し、ここでPは高周波電力を表し、Fはカテーテルによって心臓の心内膜表面に対して加えられる力のベクトルの規模を表す。操作者は、焼灼の速度を制御するために、成分パラメーターP、及びFのいずれか、又は両方を増加、又は低減させてもよい。組織特性、及び安全性の配慮により決定される最大値までの、焼灼される組織の合計体積Vは、積とおよそ比例する。
V≒k(P
*F
*T) (1),
式中、Tは高周波電力適用の持続時間であり、kは比例定数である。
【0041】
ここで
図4を参照すると、これは開示される本発明の実施形態に従う、心臓焼灼手術の態様を例示する、心臓の合成マップ86である。手術は、心室90内の手術位置において心臓カテーテル88によって適用されるべき必要な力を予測する目的のために、実際的であっても、仮想的であってもよい。矢印92、94は、2つの異なる力ベクトルを表し、矢印の長さは存在する力の規模に対応する。ある供給量のエネルギー、例えば、高周波電流は、既定の電力レベルにおいて、焼灼損傷部を生成するために十分な時間にわたり適用されるべきである。予測される、小さい円形焼灼ゾーン96、及び大きい円形焼灼ゾーン98は、それぞれ短い矢印92、及び長い矢印94に対応する。
【0042】
加えて、又はあるいは、適用される力、及び高周波電力が既知である場合、焼灼ゾーンの大きさが予測されて、動態的に表示され得る。焼灼の完全性は、時間の変化によって計算され、焼灼ゾーン96、98の視覚的特性を変化させることによって、手術中に進行が表示される。焼灼体積は、積P
*Fに比例して経時的に増加する。
【0043】
同様に、焼灼ゾーンの所望の大きさを固定することにより、必要とされる力が、所定の高周波電力、及び適用時間において、又は適用時間、及び高周波電力の異なる組み合わせにおける所定の合計エネルギー量に関して必要な力が計算され得る。
【0044】
マップ86を使用して、推定焼灼体積の単純明快な測定値が操作者に提供され、これは、ほぼリアルタイムで容易かつ正確に測定され得る。
【0045】
ここで
図5を参照すると、これは、開示される本発明の実施形態に従う組織焼灼体積の推定、及びマッピングの方法のフローチャートである。この方法は、プローブと焼灼されるべき組織部位との間の接触により生じる機械的力の決定を必要とする。この方法は、カテーテル14を使用してシステム10(
図1)によって行われ得る。しかしながら、圧力を測定することができる他の方法、例えば、その開示が参考として本明細書に組み込まれる同一出願人による米国特許出願公開番号第2007/0060832号に開示されるものなど、インピーダンスに基づく測定が適用され得る。あるいは、機械的力を決定するために好適な光学的、又は超音波技術が使用されてもよい。
【0046】
プロセスは最初の工程100で始まる。心臓は従来的にカテーテルを挿入され、カテーテルは、組織焼灼が必要とされる所望の位置まで進められる。
【0047】
次に、工程102では、心臓カテーテルを、一般的に
図3に示されるように垂直以外の接触角度で、心内膜表面と接触させる。
【0048】
次に、工程104では、カテーテルによって心内膜に適用される機械的力、又は所望の力ベクトルが決定される。偏向角度、例えば、角度82(
図3)は、カテーテル内の位置センサーによって提供される情報を使用して、自動的に決定され得る。
【0049】
次に、工程106では、焼灼電力、例えば、高周波電力は、現行の医療処置に関して決定される。
【0050】
次に、工程108では、推定焼灼時間が暫定的に選択され、これが適用されるエネルギー量を設定する。あるいは、工程106、108が修正されて、それぞれ焼灼時間を設定し、電力レベルを推定する。この工程において、コントローラが、このエネルギー量、及び機械的力において予測される焼灼体積の指標を報告してもよく、これによって操作者を補助し得る。
【0051】
次に、工程110において、工程104、及び工程108において設定される条件に従って、焼灼によって生成される損傷部の大きさが計算される。
【0052】
操作は今度は決定工程112に進み、現在の損傷部の大きさが許容可能であるかどうかが決定される。決定工程112における決定が可であれば、次に操作は最終工程114へと進み、ここで電力、典型的には高周波電力が適用され、焼灼が実行される。焼灼中、
図4に図示されるように現在の焼灼組織体積が、計算された焼灼体積が達成されるまで、動態的に表示される。操作者は、電力を変化させて、適用時間を制御してもよい。加えて、又はあるいは、操作者は、カテーテルの位置を調節して心内膜組織に適用される機械的力を変化させてもよい。
【0053】
決定工程112における決定が不可である場合、次に操作は工程108に戻り、ここで焼灼時間が再推定される。
【0054】
典型的には、焼灼によってつくられる損傷部の大きさは既知である。このような場合、工程108、工程110、及び決定工程112によって規定されるループが、許容可能な大きさが決定されるまで自動的に反復され得る。
【0055】
あるいは、損傷部の大きさは、任意工程116において等式の関係を使用して直接計算されてもよく、次に最終工程114で焼灼が実行される。このような場合、工程108、工程110、及び決定工程112は省略され得る。
【0056】
この方法の別の実施形態では、提示される電力、及び提示される適用時間のデータが入力として受信され得、組織との接触の異なる機械的力において焼灼体積が計算される。
【0057】
別の実施形態
図6を参照すると、これはカテーテル14(
図1)の遠位端33の切り取り図であり、これは、開示される本発明の実施形態に従って構成され、動作する。この実施形態は
図2と同様であるが、ただしここでは遠位区分72は従来的な温度センサー118を含み、これは手術部位における組織の温度の異常な上昇を感知することができる。モニター30(
図1)の温度センサー118の出力を表示するか、又は好適な可聴警告を提供することによって、計算された焼灼体積外の炭化、又は危険な温度上昇を防ぐために、組織の温度に反応するように焼灼の速度が制御され得る。
【0058】
合計の経過時間ではなく、実際的な焼灼時間のみが考慮されるよう、温度を勘案するように等式が修正され得る。焼灼時間は、既定の力の閾値を超える接触力が確保され、温度が既定の温度の閾値を超える場合にのみ実行するように規定され得る。あるいは、焼灼時間は、既定の力の閾値を超える接触力が確保され、温度が既定の温度の閾値を超える場合にのみ実行するように規定され得る。
【0059】
等式1は、焼灼時間を勘案するために、いくつかの方法で修正され得る。以下の実施例は実用的近似であり、ここでは、明確に表すために様々な一次、及び二次補正は示されていない。以下の提供される閾値が好適である。
V≒k
*(P
*F
*T(F>F
閾値)) (2)
V≒k
*(P
*F
*T(F>F
閾値、t>t
閾値)) (3)
V≒k
*(P
*F
*T(t>t
閾値)) (4)
式中、F
閾値=5gr、及びt
閾値=47℃焼灼電力は、示される条件が一致する時間間隔においてのみ適用される。
【0060】
本発明は、上に具体的に図示及び説明されたものに限定されないことを、当業者は理解するであろう。むしろ、本発明の範囲は、上記に述べた様々な特徴の組み合わせ及び副次的組み合わせの両方、並びに、上記の記載を読めば当業者であれば想到されるであろう、従来技術には含まれないそれらの変形例及び改変例を含むものである。
【0061】
〔実施の態様〕
(1) プローブを生体の身体内に挿入する工程と、
前記身体内の組織と接触するように前記プローブを推進する工程と、
前記プローブが前記組織に対して加える機械的力を決定する工程と、
特定用量のエネルギーを、ある適用時間にわたり、ある電力レベルで前記組織に適用してこれを焼灼する工程とを含み、前記用量の前記適用時間、及び前記電力レベルの少なくとも一方は前記機械的力に依存する、焼灼方法。
(2) 前記特定用量のエネルギーを適用する前に、前記電力レベル、前記適用時間、及び前記機械的力において予測される焼灼体積の指標を報告する工程を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記プローブが、遠位端、及び軸を有し、かつ前記プローブを推進する工程が、前記軸に対して前記遠位端の角偏向を形成する工程を含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記電力レベル、前記機械的力、及び前記適用時間の関数として前記組織の焼灼体積を計算する工程を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記焼灼体積の視覚的指標を表示する工程と、
前記視覚的指標に応答して、前記電力レベル、前記機械的力、及び前記適用時間の少なくとも1つを変化させることにより前記焼灼体積を制御する工程とを更に含む、実施態様4に記載の方法。
(6) 前記電力レベル、及び前記機械的力の関数として焼灼の速度を計算する工程と、
前記電力レベル、及び前記機械的力の少なくとも一方を変化させることによって前記焼灼の速度を制御する工程とを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記焼灼の速度の視覚的指標を表示する工程を更に含み、前記焼灼の速度の制御が前記視覚的指標に応答して実行される、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記組織の温度をモニタリングする工程を更に含み、前記焼灼の速度の制御が前記温度に応答して実行される、実施態様6に記載の方法。
(9) 可撓性カテーテルであって、近位区分、生体の体腔内に挿入するための遠位端、及び前記カテーテルの前記遠位端に配置され、前記体腔内の組織に接触するように構成された遠位先端部を有する、可撓性カテーテルと、
前記遠位先端部が前記組織と係合する際の前記遠位先端部に対する機械的力を感知するための圧力検出器と、
前記組織を焼灼するために、前記組織に所定用量のエネルギーを適用するアブレータと、
前記機械的力の規模を決定するため、かつ前記所定用量のエネルギー、及び前記機械的力の前記規模を使用して焼灼体積を計算するために、前記圧力検出器によって生成される信号に反応するコントローラと、
前記組織のマップ、及び前記組織の前記計算された焼灼体積の指標を表示するように動作する、前記コントローラに連結されたモニターとを含む、焼灼装置。
(10) 前記コントローラが、前記所定用量のエネルギーの適用の前に、前記モニターに前記機械的力に基づいて予測される焼灼体積の指標を表示させるように動作する、実施態様9に記載の焼灼装置。
【0062】
(11) 前記コントローラが、前記所定用量のエネルギーを規定するために提示される電力レベル、及び提示される適用時間を含む操作者の入力を受信し、前記操作者の入力を使用して提示される焼灼体積を計算し、前記モニターに前記提示される焼灼体積を使用して前記指標を表示させるように動作する、実施態様9に記載の焼灼装置。
(12) 前記所定用量のエネルギーが、ある電力レベル、及びある適用時間で供給され、前記コントローラが、前記電力レベル、前記機械的力、及び前記適用時間の関数として前記組織の前記焼灼体積を計算するように動作する、実施態様9に記載の焼灼装置。
(13) 前記コントローラが、前記電力レベル、及び前記機械的力の少なくとも一方を変化させることによって焼灼の速度を制御するように動作する、実施態様12に記載の焼灼装置。
(14) 更に、前記コントローラが、前記モニターに前記焼灼の速度の視覚的指標を表示させるように動作する、実施態様13に記載の焼灼装置。
(15) 前記組織内の温度を感知するための、前記カテーテルの前記遠位端中の温度センサーを更に含み、前記コントローラは、前記温度に応答して前記焼灼の速度を制御するように動作する、実施態様13に記載の焼灼装置。
(16) 可撓性カテーテルであって、近位区分、生体の体腔内に挿入するための遠位端、及び前記カテーテルの前記遠位端に配置され、前記体腔内の組織に接触するように構成された遠位先端部を有する、可撓性カテーテルと、
前記遠位先端部を前記カテーテルの前記近位区分に連結し、前記遠位先端部と前記組織との係合に反応して変形するように構成される弾性部材と、
前記遠位先端部の、前記カテーテルの前記近位区分に対する位置を感知し、前記弾性部材の変形、及び方位に応じた変化に応答して信号を生成するための、前記カテーテル内の位置センサーと、
前記組織を焼灼するために、前記組織に所定用量のエネルギーを適用するアブレータと、
前記位置センサーによって生成される前記信号を使用して前記カテーテルの前記遠位端の変形、及び方位座標を決定するように動作するコントローラであって、更に前記信号に反応して前記カテーテルの前記遠位端と前記組織との間に加わる機械的力を決定し、前記所定用量のエネルギー、及び前記機械的力を使用して焼灼体積を計算するように動作する、コントローラと、
前記組織のマップ、及び前記組織の前記計算された焼灼体積の指標を表示するように動作する、前記コントローラに連結されたモニターとを含む、焼灼装置。
(17) 前記コントローラが、前記所定用量のエネルギーの適用の前に、前記モニターに前記機械的力に基づいて予測される焼灼体積の指標を表示させるように動作する、実施態様16に記載の焼灼装置。
(18) 前記遠位先端部が、前記近位区分に対する角偏向を形成するように適合される、実施態様16に記載の焼灼装置。
(19) 前記コントローラが、前記所定用量のエネルギーを規定するために提示される電力レベル、及び提示される適用時間を含む操作者の入力を受信し、前記操作者の入力を使用して提示される焼灼体積を計算し、前記モニターに前記提示される焼灼体積を使用して前記指標を表示させるように動作する、実施態様16に記載の焼灼装置。
(20) 前記所定用量のエネルギーが、ある電力レベル、及びある適用時間で供給され、前記コントローラが、前記電力レベル、前記機械的力、及び前記適用時間の関数として前記組織の前記焼灼体積を計算するように動作する、実施態様16に記載の焼灼装置。
【0063】
(21) 前記コントローラが、前記電力レベル、及び前記機械的力の少なくとも一方を変化させることによって焼灼の速度を制御するように動作する、実施態様20に記載の焼灼装置。
(22) 更に、前記コントローラが、前記モニターに前記焼灼の速度の視覚的指標を表示させるように動作する、実施態様21に記載の焼灼装置。
(23) 前記組織内の温度を感知するための、前記カテーテルの前記遠位端中の温度センサーを更に含み、前記コントローラは、前記温度に応答して前記焼灼の速度を制御するように動作する、実施態様21に記載の焼灼装置。