(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、図面を参照して本発明に係るプッシュラッチの実施の一形態であるプッシュラッチ1について説明する。
プッシュラッチ1は「二つの対象物の一方(第二対象物)を他方(第一対象物)に係止した状態」を保持および解除するものである。
「二つの対象物」の例としては「家具の本体および当該本体に回動可能に連結された扉等が挙げられる。家具の例としては食器棚、タンス、テレビラック、システムキッチンの上方に設けられる棚、洗面台等が挙げられる。
【0019】
以下では説明の便宜上、
図1に示す「上下方向」、「前後方向」および「左右方向」を基準としてプッシュラッチ1の各部を構成する部材の形状を説明する。
図1に示す「上下方向」、「前後方向」および「左右方向」は互いに垂直である。
なお、プッシュラッチ1は向き(姿勢)を変えた場合でも使用することが可能であり、
図1に示す「上下方向」、「前後方向」および「左右方向」はプッシュラッチ1が使用される時の向き(姿勢)を限定するものではない。
【0020】
図1から
図5に示す如く、プッシュラッチ1は本体部材10、移動部材20、スプリング30、照明回路部材40および照明カバー部材50(スプリング30および照明回路部材40については
図5を参照)を具備する。
【0021】
以下では、
図5から
図12を用いて本体部材10について説明する。
本体部材10は本発明に係る本体部材の実施の一形態である。
本体部材10はプッシュラッチ1の主たる構造体を成す部材である。
図5に示す如く、本実施形態の本体部材10は胴体部材11、電池カバー部材14およびケース部材15を具備する。
【0022】
胴体部材11は本発明に係る胴体部材の実施の一形態である。
図5に示す如く、本実施形態の胴体部材11は胴体ベース部材12および胴体カバー部材13を具備する。
【0023】
以下では
図5から
図7を用いて胴体ベース部材12の詳細について説明する。
胴体ベース部材12は胴体部材11の下半部を成す部材である。本実施形態の胴体ベース部材12は樹脂材料を一体成形することにより製造される。
図6に示す如く、胴体ベース部材12には床部12a、第一壁部12b、第二壁部12c、照明カバー支持部12dおよび係止柱12m・12mが形成される。
【0024】
床部12aは胴体ベース部材12の主たる構造体を成す部分であり、上下一対の板面を有する板状の部分である。床部12aは胴体ベース部材12の最下部を成す。床部12aの右前部および左前部には係止爪12e・12eが形成される。
【0025】
第一壁部12bは前後一対の板面を有する板状の部分である。第一壁部12bの下端部は床部12aの前後方向における中央部に連なる。
第一壁部12bの上端部には半円状の切り欠き12fが形成される。
【0026】
第二壁部12cは前後一対の板状の部分(前壁部および後壁部)、および当該前後一対の板状の部分における左右両端部を繋ぐ左右一対の板状の部分(左壁部および右壁部)を有する。
第二壁部12cの下端部は床部12aの後半部に連なっており、第二壁部12cは第一壁部12bの後方かつ第一壁部12bから所定の距離を空けた位置に配置される。
第二壁部12cの前壁部の上端部かつ左半部となる位置、および第二壁部12cの前壁部の上端部かつ右半部となる位置には溝12g・12gが形成される。
第二壁部12cの前壁部の左右中央部には溝12hが形成される。また、溝12hの左右の端面にはそれぞれ係止突起12i・12iが形成される。
第二壁部12cの左壁部の下端部かつ前後中央部、および第二壁部12cの右壁部の下端部かつ前後中央部にはそれぞれ係止爪12j・12jが形成される。
第二壁部12cの後壁部の下端部かつ左右中央部には第二壁部12cの後壁部を前後に貫通する貫通孔12kが形成される。
【0027】
照明カバー支持部12dは円弧形状(リングを二つに割った形状)の部分であり、第二壁部12cの後部に連なる。
照明カバー支持部12dの内周面には係止溝12nが形成される。係止溝12nの底面には係止溝12nの長手方向に並んだ複数の突起12p・12p・・・が形成される。
【0028】
係止柱12m・12mは上下方向に延びた角柱形状の部分である。係止柱12m・12mは第一壁部12bと第二壁部12cの前壁部とで挟まれる位置に左右方向において互いに所定の間隔を空けて配置される。係止柱12m・12mの下端部はそれぞれ床部12aにおいて第一壁部12bと第二壁部12cの前壁部とで挟まれる部分に連なる。
【0029】
以下では
図5および
図8を用いて胴体カバー部材13の詳細について説明する。
胴体カバー部材13は胴体部材11の上半部を成す部材である。本実施形態の胴体カバー部材13は樹脂材料を一体成形することにより製造される。
図8に示す如く、胴体カバー部材13にはカバー部13a、一対のウイング部13b・13cおよび照明カバー支持部13dが形成される。
カバー部13aは胴体カバー部材13の主たる構造体を成す部分であり、概ね円筒を二分割し、下方に開口するとともに後方に膨らんだ形状を有する。
【0030】
カバー部13aには第一壁部13e、第二壁部13fおよび第三壁部13gが形成される。第一壁部13e、第二壁部13fおよび第三壁部13gはいずれも前後一対の板面を有する板状の部分である。
【0031】
第一壁部13eはカバー部13aの内部かつカバー部13aの前後略中央部となる位置に配置される。第一壁部13eの左右端部および上端部はカバー部13aの内周面に連なる。第一壁部13eの下端面の左右略中央部には半円状の切り欠き13hが形成される。
【0032】
第二壁部13fはカバー部13aの内部かつ第一壁部13eの後方となる位置に第一壁部13eから所定の距離を空けて配置される。第二壁部13fの左右端部および上端部はカバー部13aの内周面に連なる。第二壁部13fの下端面の左右略中央部には半円状の切り欠き13iが形成される。
【0033】
第三壁部13gはカバー部13aの内部かつカバー部13aの後端部となる位置(第二壁部13fの後方となる位置)に第二壁部13fから所定の距離を空けて配置される。第三壁部13gの左右端部および上端部はカバー部13aの内周面に連なる。第三壁部13gの下端面の左右略中央部には半円状の切り欠き13jが形成される。
【0034】
カバー部13aの左右端部および下端部となる位置には係止孔13k・13k・13m・13mが形成される。
カバー部13aの前端部には貫通孔13nが形成される。また、貫通孔13nの端面の下端部には係合溝13pが形成される。
カバー部13aの前半部かつ上半部となる位置には係合溝13qが形成される。
カバー部13aにおいて第二壁部13fおよび第三壁部13gで挟まれる位置には電池通過孔13rが形成される。
カバー部13aにおいて第二壁部13fおよび第三壁部13gで挟まれ、かつ電池通過孔13rの左右端部の下方となる位置には係止孔13s・13sが形成される。
【0035】
一対のウイング部13b・13cはそれぞれ上下一対の板面を有する板状の部分である。
ウイング部13bはカバー部13aの左下部に連なり、カバー部13aの左側方に突出している。ウイング部13cはカバー部13aの右下部に連なり、カバー部13aの右側方に突出している。
ウイング部13b・13cにはそれぞれ上下一対の板面を貫通する固定孔13t・13tが形成される。
【0036】
照明カバー支持部13dは円弧形状(リングを二つに割った形状)の部分であり、カバー部13aの後端部に連なる。
照明カバー支持部13dの内周面には係止溝13uが形成される。
【0037】
図5に示す如く、胴体カバー部材13は胴体ベース部材12の上部に装着される。
胴体カバー部材13が胴体ベース部材12に装着されたとき、胴体ベース部材12の係止爪12e・12eが胴体カバー部材13の係止孔13k・13kに係止されるとともに胴体ベース部材12の係止爪12j・12jが胴体カバー部材13の係止孔13m・13mに係止される(
図3参照)。
その結果、胴体カバー部材13は胴体ベース部材12の上部に相対移動不能かつ相対回転不能に固定される。
なお、係止爪12e・12e・12j・12jを胴体ベース部材12の左右中央部に傾斜するように弾性変形させることにより、係止爪12e・12e・12j・12jが係止孔13k・13k・13m・13mに係止された状態を解除し、胴体カバー部材13を胴体ベース部材12から取り外すことが可能である。
【0038】
図5に示す如く、胴体カバー部材13は胴体ベース部材12の上部に装着されたとき、胴体カバー部材13の第一壁部13eは胴体ベース部材12の第一壁部12bの上方に配置され、胴体カバー部材13の第二壁部13fは胴体ベース部材12の第二壁部12cの前壁部の上方に配置され、胴体カバー部材13の第三壁部13gは胴体ベース部材12の第二壁部12cの後壁部の上方に配置される。
その結果、胴体ベース部材12および胴体カバー部材13を合わせたもの、すなわち胴体部材11の内部には互いに区画されたラッチ機構収容室61、スイッチ収容室62および電池収容室63の三つの空間が形成される。
【0039】
ラッチ機構収容室61は胴体ベース部材12の床部12aおよび第一壁部12b、ならびに、胴体カバー部材13のカバー部13aおよび第一壁部13eにより囲まれる空間であり、胴体部材11の前半部に配置される。
【0040】
スイッチ収容室62は胴体ベース部材12の床部12a、第一壁部12bおよび第二壁部12cの前壁部、ならびに、胴体カバー部材13のカバー部13a、第一壁部13eおよび第二壁部13f、により囲まれる空間であり、胴体部材11の前後略中央部(ラッチ機構収容室61の後方)に配置される。
スイッチ収容室62は後で詳述する「ロッド部材44および可動端子部材45を合わせたもの」を収容するための空間である。
なお、「第一壁部12bに形成された切り欠き12fおよび第一壁部13eに形成された切り欠き13hを合わせたもの」である貫通孔により、ラッチ機構収容室61およびスイッチ収容室62は互いに連通している。
【0041】
電池収容室63は胴体ベース部材12の床部12aおよび第二壁部12c(第二壁部12cの前壁部、後壁部、左壁部および右壁部)、ならびに、胴体カバー部材13のカバー部13a、第二壁部13fおよび第三壁部13g、により囲まれる空間であり、胴体部材11の後半部(スイッチ収容室62の後方)に配置される。
電池収容室63は電池5・6を収容する空間である。電池5・6は本発明に係る電池の実施の一形態であり、いわゆるボタン電池(それぞれプラス極およびマイナス極を成す一対の盤面を有する概ね円盤形状の電池)である。本発明に係る電池はボタン電池に限定されず、他の形状の電池でも良い。本発明に係る電池は再充電不能な電池および再充電可能な電池の両方を含む。
電池収容室63は電池通過孔13rを通じて本体部材10の外部と連通している。電池通過孔13rは本体部材10が第一対象物に固定された状態で電池5・6が電池収容室63と本体部材10の外部との間を移動可能に通過するための孔である。
なお、「第二壁部12cの前壁部に形成された溝12hおよび第二壁部13fに形成された切り欠き13iを合わせたもの」である貫通孔により、スイッチ収容室62および電池収容室63は互いに連通している。
【0042】
図5に示す如く、胴体カバー部材13は胴体ベース部材12の上部に装着されたとき、胴体カバー部材13の照明カバー支持部13dは胴体ベース部材12の照明カバー支持部12dの上方に配置され、照明カバー支持部13dおよび照明カバー支持部12dを合わせたものはリング状の部分を成し、係止溝13uおよび係止溝12nを合わせたものはリング状の溝を成す。
【0043】
図2に示す固定孔13t・13tにそれぞれ図示せぬネジを貫装し、これらのネジを第一対象物(例えば、家具の本体)に形成されたネジ孔に螺装することにより、胴体カバー部材13、ひいてはプッシュラッチ1を第一対象物に固定することが可能である。
【0044】
以下では
図1、
図5および
図9を用いて電池カバー部材14の詳細について説明する。
図9に示す如く、電池カバー部材14は概ね背が低い(外径に比べて軸線方向の長さが短い)円筒を二分割した形状を有する。本実施形態の電池カバー部材14は樹脂材料を一体成形することにより製造される。
電池カバー部材14の左右端部には係止爪14a・14aが形成される。
図1および
図5に示す如く、電池カバー部材14は電池通過孔13rを覆うように胴体カバー部材13に装着される。電池カバー部材14が胴体カバー部材13に装着されたとき、係止爪14a・14aが係止孔13s・13sに係止されることにより、電池カバー部材14は胴体カバー部材13から脱落不能に固定され、電池通過孔13rは閉塞される。
なお、電池カバー部材14を左右方向に圧縮するように弾性変形させることにより、係止爪14a・14aが係止孔13s・13sに係止された状態を解除し、電池カバー部材14を胴体カバー部材13から取り外すことが可能である。
【0045】
ケース部材15は本発明に係るケース部材の実施の一形態である。
図5に示す如く、本実施形態のケース部材15は第一ケース部材16および第二ケース部材17を具備する。
【0046】
以下では
図10を用いて第一ケース部材16の詳細について説明する。
第一ケース部材16は前端面、後端面(後端面16m)、外周面および内周面を有し、前端面から後端面まで前後方向に貫通する貫通孔が形成され、内部に空間が形成される概ね円筒形状の部材である。
本実施形態の第一ケース部材16は樹脂材料を一体成形することにより製造される。
【0047】
第一ケース部材16の外周面の前端部には四つの突起16a・16a・16a・16aが形成される。四つの突起16a・16a・16a・16aは第一ケース部材16の外周面から半径方向(軸線方向(前後方向)に垂直な方向)かつ外向きに突出している。
四つの突起16a・16a・16a・16aは隣り合う突起16a・16a間の距離が第一ケース部材16の周方向において等間隔となるように(軸線方向(前後方向)から見て90°ずつ位相がずれるように)配置される。
【0048】
第一ケース部材16の外周面かつ四つの突起16a・16a・16a・16aよりも後方となる位置には四つの係止爪16b・16b・16b・16bが形成される。四つの係止爪16b・16b・16b・16bは第一ケース部材16の外周面から半径方向かつ外向きに突出している。
四つの係止爪16b・16b・16b・16bは隣り合う係止爪16b・16b間の距離が第一ケース部材16の周方向において等間隔となるように(軸線方向(前後方向)から見て90°ずつ位相がずれるように)、かつ、軸線方向(前後方向)から見て四つの突起16a・16a・16a・16aと重ならないように配置される。
【0049】
第一ケース部材16の内周面には四つの摺動溝16c・16c・16c・16cが形成される。摺動溝16c・16c・16c・16cは軸線方向(前後方向)に延びた溝であり、第一ケース部材16の前端面から後端面(後端面16m)まで切り通されている。
摺動溝16c・16c・16c・16cは隣り合う摺動溝16c・16c間の距離が第一ケース部材16の周方向において等間隔となるように(軸線方向(前後方向)から見て90°ずつ位相がずれるように)、かつ、軸線方向(前後方向)から見て四つの突起16a・16a・16a・16aに対応するように(突起16a・16a・16a・16aに重なるように)配置される。
【0050】
第一ケース部材16の後端面16mには第一凸部16d、第二凸部16e、第三凸部16fおよび第四凸部16gからなる四つの凸部、並びに、第一凹部16h、第二凹部16i、第三凹部16jおよび第四凹部16kからなる四つの凹部が形成される。
【0051】
第一凸部16d、第二凸部16e、第三凸部16fおよび第四凸部16gは後方から見て反時計回りに第一凸部16d→第二凸部16e→第三凸部16f→第四凸部16g→第一凸部16d→・・・の順に並び、かつ、隣り合う二つの凸部間の距離が第一ケース部材16の周方向において等間隔となるように(軸線方向(前後方向)から見て90°ずつ位相がずれるように)配置される。
第一凹部16h、第二凹部16i、第三凹部16jおよび第四凹部16kは後方から見て反時計回りに第一凹部16h→第二凹部16i→第三凹部16j→第四凹部16k→第一凹部16h→・・・の順に並び、隣り合う二つの凹部間の距離が第一ケース部材16の周方向において等間隔となるように(軸線方向(前後方向)から見て90°ずつ位相がずれるように)配置される。
また、第一凹部16hは第四凸部16gおよび第一凸部16dで挟まれる位置に配置され、第二凹部16iは第一凸部16dおよび第二凸部16eで挟まれる位置に配置され、第三凹部16jは第二凸部16eおよび第三凸部16fで挟まれる位置に配置され、第四凹部16kは第三凸部16fおよび第四凸部16gで挟まれる位置に配置される。
【0052】
第一凸部16d、第二凸部16e、第三凸部16fおよび第四凸部16gからなる四つの凸部の軸線方向(前後方向)における位置は同じである。
第一凹部16h、第二凹部16i、第三凹部16jおよび第四凹部16kからなる四つの凹部の軸線方向(前後方向)における位置は、第一凹部16hおよび第三凹部16jについては前方寄りであり、第二凹部16iおよび第四凹部16kは第一凹部16hおよび第三凹部16jよりも後方寄りである。
【0053】
以下では
図11および
図12を用いて第二ケース部材17の詳細について説明する。
第二ケース部材17は前端部が開口するとともに後端部に前後一対の板面を有する後板を備え、内部に空間が形成される概ね円筒形状の部材である。
本実施形態の第二ケース部材17は樹脂材料を一体成形することにより製造される。
【0054】
図11に示す如く、第二ケース部材17の外周面の前端部には四つの突起17a・17a・17a・17aが形成される。四つの突起17a・17a・17a・17aは第二ケース部材17の外周面から半径方向(軸線方向(前後方向)に垂直な方向)かつ外向きに突出している。
四つの突起17a・17a・17a・17aは隣り合う突起17a・17a間の距離が第二ケース部材17の周方向において等間隔となるように(軸線方向(前後方向)から見て90°ずつ位相がずれるように)配置される。
【0055】
第二ケース部材17の外周面かつ四つの突起17a・17a・17a・17aよりも後方となる位置には四つの係止孔17b・17b・17b・17bが形成される。四つの係止孔17b・17b・17b・17bは第二ケース部材17の外周面から内周面まで貫通している。
係止孔17b・17b・17b・17bは隣り合う係止孔17b・17b間の距離が第二ケース部材17の周方向において等間隔となるように(軸線方向(前後方向)から見て90°ずつ位相がずれるように)、かつ、軸線方向(前後方向)から見て四つの突起17a・17a・17a・17aに対応するように(突起17a・17a・17a・17aに重なるように)配置される。
【0056】
第二ケース部材17の外周面かつ四つの係止孔17b・17b・17b・17bよりも後方となる位置には四つの係止爪17c・17c・17c・17cが形成される。四つの係止爪17c・17c・17c・17cは第二ケース部材17の外周面から半径方向かつ外向きに突出している。
四つの係止爪17c・17c・17c・17cは隣り合う係止爪17c・17c間の距離が第二ケース部材17の周方向において等間隔となるように(軸線方向(前後方向)から見て90°ずつ位相がずれるように)、かつ、軸線方向(前後方向)から見て四つの突起17a・17a・17a・17aと重ならないように配置される。
【0057】
図12に示す如く、第二ケース部材17の外周面の前端部かつ下端部となる位置には係合突起17dが形成される。
【0058】
第二ケース部材17の後板にはロッド貫通孔17eが形成される。ロッド貫通孔17eは第二ケース部材17の後板の前後一対の板面を貫通する。
【0059】
第二ケース部材17の内周面の前後中途部には段差面17fが形成され、第二ケース部材17の内径は段差面17fを境界として前方側が大きく、後方側が小さくなっている。
図11の(a)および
図12の(b)に示す如く、段差面17fには第一凸部17g、第二凸部17h、第三凸部17iおよび第四凸部17jからなる四つの凸部、並びに、第一凹部17k、第二凹部17m、第三凹部17nおよび第四凹部17pからなる四つの凹部が形成される。
【0060】
図12の(b)に示す如く、第一凸部17g、第二凸部17h、第三凸部17iおよび第四凸部17jは前方から見て時計回りに第一凸部17g→第二凸部17h→第三凸部17i→第四凸部17j→第一凸部17g→・・・の順に並び、かつ、隣り合う二つの凸部間の距離が第二ケース部材17の周方向において等間隔となるように(軸線方向(前後方向)から見て90°ずつ位相がずれるように)配置される。
第一凹部17k、第二凹部17m、第三凹部17nおよび第四凹部17pは前方から見て時計回りに第一凹部17k→第二凹部17m→第三凹部17n→第四凹部17p→第一凹部17k→・・・の順に並び、隣り合う二つの凹部間の距離が第二ケース部材17の周方向において等間隔となるように(軸線方向(前後方向)から見て90°ずつ位相がずれるように)配置される。
また、第一凹部17kは第一凸部17gおよび第二凸部17hで挟まれる位置に配置され、第二凹部17mは第二凸部17hおよび第三凸部17iで挟まれる位置に配置され、第三凹部17nは第三凸部17iおよび第四凸部17jで挟まれる位置に配置され、第四凹部17pは第四凸部17jおよび第一凸部17gで挟まれる位置に配置される。
【0061】
以下では、ケース部材15の組み立て方法について説明する。
図5に示す如く、本実施形態では第一ケース部材16を第二ケース部材17の内部空間に収容し、第一ケース部材16を第二ケース部材17に固定することにより、ケース部材15が組み立てられる。
第一ケース部材16が第二ケース部材17の内部空間に収容されたとき、第一ケース部材16の突起16a・16a・16a・16aおよび第二ケース部材17の突起17a・17a・17a・17aは互いに係合し(
図4参照)、かつ、第一ケース部材16の係止爪16b・16b・16b・16bは第二ケース部材17の係止孔17b・17b・17b・17bに係止される。その結果、第二ケース部材17の内部空間に収容された第一ケース部材16は、第二ケース部材17に対して軸線(前後方向に平行な線)回りに相対回転することも軸線方向(前後方向)に相対移動することも出来ず、第二ケース部材17に固定されることとなる。
ケース部材15が組み立てられたとき、ケース部材15の内周面(厳密には、「第一ケース部材16の内周面」および「第二ケース部材17の内周面の後半部」を合わせたもの)にはカム溝15a(
図5参照)が形成される。本実施形態のカム溝15aは、第一ケース部材16の後端面16mを前側の壁面とし、第二ケース部材17の段差面17fを後側の壁面とし、第二ケースの内周面において段差面17fの前方側となる部分を底面とするリング状に繋がったノコギリ状の溝である(
図18参照)。
【0062】
以下では、
図5、および
図13から
図18を用いて移動部材20について説明する。
移動部材20は本発明に係る移動部材の実施の一形態である。
図5に示す如く、本実施形態の移動部材20は磁石部材21、一対のヨーク部材22・23、磁石カバー部材24、軸部材25およびカム部材26を具備する。
【0063】
以下では
図13を用いて磁石部材21の詳細について説明する。
本実施形態の磁石部材21は永久磁石からなり、上面、下面、前面、後面、左面および右面を有する直方体形状の部材である。
「永久磁石」は、自発的に(外部から磁場あるいは電流が供給されない状態で)磁化し、周囲に磁場を発生させる(ひいては、磁力を発生させる)性質を有する物体であり、通常は強磁性体からなる。永久磁石の具体例としては、アルニコ磁石、KS鋼、MK鋼、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム磁石等、既知の種々の磁石が挙げられる。
【0064】
以下では
図13を用いて一対のヨーク部材22・23の詳細について説明する。
ヨーク部材22・23はいずれも上下一対の板面、前後一対の端面(前端面および後端面)、左右一対の端面(左端面および右端面)を有する概ね矩形の板状の部材である。
ヨーク部材22の左前端部および右前端部には切り欠き22a・22aが形成され、ヨーク部材23の左前端部および右前端部には切り欠き23a・23aが形成される。
本実施形態の一対のヨーク部材22・23はいずれも冷間圧延鋼板の一種であるSPCC(JIS G 3141)の表面にメッキを施したものからなるが、一対のヨーク部材22・23を構成する材料はこれに限定されず、磁石部材21に吸着される材料でも良い。磁石部材21に吸着される材料の例としては、常磁性体(外部から磁場が作用しないときには磁化せず、外部から磁場が作用したときには磁化する材料)が挙げられる。
【0065】
以下では
図14を用いて磁石カバー部材24の詳細について説明する。
磁石カバー部材24は移動部材20の主たる構造体を成す部材の一つであり、後端部が開口するとともに前端部に前後一対の板面を有する前板を備える概ね円筒形状の部材である。
本実施形態の磁石カバー部材24は樹脂材料を一体成形することにより製造される。
【0066】
磁石カバー部材24の前板には上下一対の突出孔24a・24bが形成される。
突出孔24a・24bは磁石カバー部材24の前板の一対の板面を前後方向に貫通する。
【0067】
磁石カバー部材24の外周面には四つの摺動突起24c・24c・24c・24cが形成される。四つの摺動突起24c・24c・24c・24cは軸線方向(前後方向)に延びた形状の突起(突条)であり、隣り合う二つの摺動突起24c・24c間の距離が磁石カバー部材24の周方向において等間隔となるように(軸線方向(前後方向)から見て90°ずつ位相がずれるように)配置される。
【0068】
磁石カバー部材24の外周面の後半部には三つの係止孔24d・24d・24dが形成される。三つの係止孔24d・24d・24dは磁石カバー部材24の外周面から内周面まで半径方向(軸線方向に垂直な方向)に貫通する。
三つの係止孔24d・24d・24dは隣り合う二つの係止孔24d・24d間の距離が磁石カバー部材24の周方向において等間隔となるように(軸線方向(前後方向)から見て120°ずつ位相がずれるように)配置される。
【0069】
以下では
図15を用いて軸部材25の詳細について説明する。
軸部材25は移動部材20の主たる構造体を成す部材の一つであり、前端面、後端面、外周面および内周面を有する概ね円筒形状の部材である。
本実施形態の軸部材25は樹脂材料を一体成形することにより製造される。
【0070】
軸部材25の外周面の前端部には三つの係止爪25a・25a・25aが形成される。
三つの係止爪25a・25a・25aは軸部材25の外周面から半径方向(軸線方向に垂直な方向)かつ外向きに突出している。
三つの係止爪25a・25a・25aは隣り合う二つの係止爪25a・25a間の距離が軸部材25の周方向において等間隔となるように(軸線方向(前後方向)から見て120°ずつ位相がずれるように)配置される。
【0071】
軸部材25の外周面の後端部には三つの規制突起25b・25b・25bが形成される。
三つの規制突起25b・25b・25bは軸部材25の外周面から半径方向(軸線方向に垂直な方向)かつ外向きに突出している。
三つの規制突起25b・25b・25bは隣り合う二つの規制突起25b・25b間の距離が軸部材25の周方向において等間隔となるように(軸線方向(前後方向)から見て120°ずつ位相がずれるように)配置される。
【0072】
軸部材25には仕切り板25cが形成される。仕切り板25cは前後一対の板面を有する板状の部分である。仕切り板25cの前後左右の端部は軸部材25の内周面の前後略中央部に連なっており、仕切り板25cは軸部材25の内部空間(軸部材25の内周面で囲まれる空間)を前後二つに区画している。
【0073】
軸部材25には三つのリブ板25d・25d・25dが形成される。三つのリブ板25d・25d・25dは一対の板面を有する概ね矩形の板状の部分である。三つのリブ板25d・25d・25dは軸部材25の内部空間のうち仕切り板25cの前側の部分に配置される。三つのリブ板25d・25d・25dの一方の側端部は軸部材25の内周面に連なり、三つのリブ板25d・25d・25dの他方の側端部は互いに連結され、三つのリブ板25d・25d・25dの後端部は仕切り板25cの前側の板面に連なる。
このように、リブ板25d・25d・25dは仕切り板25cを補強する(仕切り板25cに後方から前方に向かって作用する力に抗する)ための構造体である。
【0074】
軸部材25には筒状突起25eが形成される。筒状突起25eは軸線方向(前後方向)に延びた円筒形状の部分であり、筒状突起25eの前端部は仕切り板25cの後側の板面の略中央部に連なっており、筒状突起25eの後端部は開口し、筒状突起25eには内部空間が形成される。
筒状突起25eの外周面の前後略中央部かつ上下端部となる位置には、係止孔25f・25fが形成される。係止孔25f・25fは筒状突起25eの外周面から内周面まで貫通している。
【0075】
以下では
図16を用いてカム部材26の詳細について説明する。
カム部材26は前端面、後端面、外周面および内周面を有する概ね円筒形状の部材である。本実施形態のカム部材26は樹脂材料を一体成形することにより製造される。
カム部材26の外周面にはカム突起26a・26bが形成される。
カム突起26a・26bはカム部材26の外周面から半径方向(軸線方向に垂直な方向)かつ外向きに突出している。
カム突起26a・26bは軸線方向(前後方向)から見て互いに180°位相がずれるように配置される。
【0076】
以下では、主に
図5を用いて移動部材20の組み立て方法について説明する。
本実施形態の移動部材20は、以下の(1−1)〜(1−3)の三つの手順を経て組み立てられる。
【0077】
(1−1)磁石部材21および一対のヨーク部材22・23が磁石カバー部材24に収容される。
【0078】
磁石カバー部材24に収容された一対のヨーク部材22・23の前端部は、それぞれ磁石カバー部材24の突出孔24a・24bを貫通し、磁石カバー部材24の前端面(磁石カバー部材24の前板における前側の板面)よりも前方となる位置に突出している。
なお、ヨーク部材22の切り欠き22a・22bは磁石カバー部材24の前板において突出孔24aの左右端部に隣接する部分に当接し、ヨーク部材23の切り欠き23a・23bは磁石カバー部材24の前板において突出孔24bの左右端部に隣接する部分に当接するので、一対のヨーク部材22・23が突出孔24a・24bを通過して磁石カバー部材24の外部に脱落することはない(
図13および
図14参照)。
【0079】
磁石カバー部材24に収容された一対のヨーク部材22・23は、磁石カバー部材24に収容された磁石部材21が発する磁力により磁石部材21に吸着される。
その結果、磁石部材21の上面がヨーク部材22の下側の板面が当接した状態が保持され、磁石部材21の下面がヨーク部材23の上側の板面が当接した状態が保持され、一対のヨーク部材22・23は磁化される。
【0080】
(1−2)カム部材26が軸部材25に嵌装される。
軸部材25に嵌装されたカム部材26は、軸部材25に対して、前後方向に平行な軸線回りに相対回転可能である。
また、軸部材25に嵌装されたカム部材26の後端面は軸部材25の規制突起25b・25b・25bに当接するので、カム部材26は軸部材25の後端部側から脱落することはない。
【0081】
(1−3)カム部材26を嵌装した軸部材25の前端部が、磁石部材21および一対のヨーク部材22・23を収容した磁石カバー部材24の後端部に嵌装される。
【0082】
軸部材25の前端部が磁石カバー部材24の後端部に嵌装されたとき、軸部材25の係止爪25a・25a・25aは磁石カバー部材24の係止孔24d・24d・24dに係止される(
図14および
図15参照)。
その結果、軸部材25は磁石カバー部材24に対して、前後方向に平行な軸線回りに相対回転不能、かつ、軸線方向(前後方向)に移動不能に固定される。
【0083】
軸部材25の前端部が磁石カバー部材24の後端部に嵌装されたとき、軸部材25の前端面(軸部材25の本体を成す円筒形状の部分の前端面、およびリブ板25d・25d・25dの前端面)は磁石カバー部材24に収容された磁石部材21の後面および一対のヨーク部材22・23の後端面に当接する。
その結果、磁石カバー部材24に収容された磁石部材21および一対のヨーク部材22・23は磁石カバー部材24の前板および軸部材25の前端部で挟まれることとなり、磁石部材21および一対のヨーク部材22・23は磁石カバー部材24に対して軸線方向(前後方向)に移動不能に支持され、ひいては磁石カバー部材24から脱落不能に支持される。
【0084】
軸部材25の前端部が磁石カバー部材24の後端部に嵌装されたとき、軸部材25に嵌装されたカム部材26の前端面は磁石カバー部材24の後端面に軽く当接する(
図5では、厳密には、カム部材26の前端面と磁石カバー部材24の後端面との間にかすかに隙間が存在する)。
その結果、カム部材26は、磁石カバー部材24および軸部材25(移動部材20の主たる構造体を成す部材)に対して、前後方向に平行な軸線回りに相対回転可能、かつ、軸線方向(前後方向)に移動不能に支持される。
【0085】
以下では、
図5を用いてスプリング30について説明する。
スプリング30は本発明に係る付勢部材の実施の一形態である。
スプリング30は金属材料(例えばバネ用鋼)からなる巻きバネであり、圧縮バネ(圧縮された状態で使用されるバネ)である。
【0086】
以下では、
図5および
図17を用いてラッチ機構70について説明する。
本実施形態の場合、
図17に示す如く、プッシュラッチ1の他の部分に先立って、ラッチ機構70を組み立てることが可能である。
ラッチ機構70はケース部材15(第一ケース部材16および第二ケース部材17)、移動部材20(磁石部材21、一対のヨーク部材22・23、磁石カバー部材24、軸部材25およびカム部材26)およびスプリング30(スプリング30は
図17では不図示)を具備する。
【0087】
以下では、主に
図5を用いてラッチ機構70の組み立て方法について説明する。
本実施形態のラッチ機構70は、以下の(2−1)〜(2−4)の四つの手順を経て組み立てられる。
【0088】
(2−1)移動部材20が組み立てられる。移動部材20の組み立て方法の詳細については先に説明したため、省略する。
【0089】
(2−2)第二ケース部材17の内部の空間にスプリング30が収容される。
第二ケース部材17に収容されたスプリング30の一端部(後端部)は、第二ケース部材17の後板に係る前側の板面においてロッド貫通孔17eの周縁となる部分に当接する。
【0090】
(2−3)移動部材20が第一ケース部材16に後方から前方に向かって貫装される。
移動部材20が第一ケース部材16に貫装されたとき、磁石カバー部材24の摺動突起24c・24c・24c・24cはそれぞれ第一ケース部材16の摺動溝16c・16c・16c・16cに嵌合する。
その結果、第一ケース部材16に貫装された移動部材20は、第一ケース部材16に対して前後方向に平行な軸線回りに相対回転不能であるが、軸線方向(前後方向)に移動可能である。
なお、第一ケース部材16に対する移動部材20の前方への移動は、カム部材26のカム突起26a・26bが第一ケース部材16の後端面16mに当接することにより規制される。
【0091】
(2−4)移動部材20が貫装された第一ケース部材16が、スプリング30が収容された第二ケース部材17に収容され、その結果としてケース部材15が組み立てられる。
ケース部材15の組み立て方法の詳細については先に説明したため、省略する。
ケース部材15が組み立てられたとき、第二ケース部材17の内部空間に収容された第一ケース部材16は、第二ケース部材17に対して軸線(前後方向に平行な線)回りに相対回転することも軸線方向(前後方向)に相対移動することも出来ず、第二ケース部材17に固定される。
【0092】
ケース部材15が組み立てられたとき、カム部材26のカム突起26a・26bはケース部材15の内周面に形成されるカム溝15a(
図5および
図18参照)に収容される。
また、ケース部材15が組み立てられたとき、スプリング30の他端部は軸部材25の仕切り板25cの後側の板面に当接し、スプリング30は軸線方向(前後方向)に圧縮されるように弾性変形する。
その結果、移動部材20は、スプリング30の付勢力(弾性変形したスプリング30が元の形状に戻ろうとする力)により、ケース部材15に対して前方に付勢される。
ここで、カム部材26のカム突起26a・26bはケース部材15の内周面に形成されるカム溝15a(
図5および
図18参照)に収容されているため、カム突起26a・26bはカム溝15aの前側の壁面(第一ケース部材16の後端面16m)に係止される。
従って、移動部材20はケース部材15(ひいては、本体部材10)に脱落不能に支持されることとなる。
【0093】
以下では
図1、
図5、
図18および
図19を用いてラッチ機構70の動作について説明する。
なお、以下では便宜上、ケース部材15(ひいては本体部材10)に対する移動部材20の移動方向として「移動部材20の突出方向」および「移動部材20の没入方向」を定義し、これらの方向を用いて説明する。
「移動部材20の突出方向」は、ケース部材15(ひいては、本体部材10)に対して移動部材20の先端部(前端部)が突出する方向(本実施形態では、前方)である。
「移動部材20の没入方向」は、ケース部材15(ひいては、本体部材10)に対して移動部材20の基端部(後端部)が没入する方向(本実施形態では、後方)である。
また、以下では便宜上、ケース部材15(ひいては本体部材10)に対する移動部材20の位置として、「移動部材20の突出位置」および「移動部材20の没入位置」を定義し、これらの位置を用いて説明する。
「移動部材20の突出位置」は移動部材20の先端部(前端部)がケース部材15(ひいては、本体部材10)から前方に突出した位置である(
図1および
図5参照)。
「移動部材20の没入位置」は「移動部材20の突出位置」に比べて移動部材20の没入方向(後方)に移動した位置である(
図19参照)。
【0094】
図18の(a)に示す如く、移動部材20が「移動部材20の突出位置」に配置されているとき、カム突起26aが第一凹部16hに嵌り、かつカム突起26bが第三凹部16jに嵌った状態で保持される。
より詳細には、移動部材20はスプリング30により移動部材20の突出方向(前方)に付勢され、カム突起26aは「後端面16mのうち第四凸部16gおよび第一凹部16hで挟まれた部分」および「後端面16mのうち第一凸部16dおよび第一凹部16hで挟まれた部分」に当接した状態で保持され、カム突起26bは「後端面16mのうち第二凸部16eおよび第三凹部16jで挟まれた部分」および「後端面16mのうち第三凸部16fおよび第三凹部16jで挟まれた部分」に当接した状態で保持される。
【0095】
図18の(b)に示す如く、「移動部材20の突出位置」に配置されている移動部材20に外力を作用させることによりスプリング30の付勢力に抗して移動部材20を移動部材20の没入方向(後方)に押し込んだとき、移動部材20は「移動部材20の突出位置」から「移動部材20の第一押し込み位置」に移動する。
より詳細には、移動部材20を移動部材20の没入方向(後方)に押し込んだとき、カム突起26a・26bはカム溝15aの内部を移動部材20の没入方向(後方)に移動し、カム突起26aは「段差面17fのうち第一凸部17gおよび第一凹部17kで挟まれた部分」に当接し、カム突起26bは「段差面17fのうち第三凸部17iおよび第三凹部17nで挟まれた部分」に当接する。
次に、カム突起26aは「段差面17fのうち第一凸部17gおよび第一凹部17kで挟まれた部分」に当接した状態を保持しつつ第一凹部17kに接近する方向に移動し、第一凹部17kに嵌った状態で保持される。
同様に、カム突起26bは「段差面17fのうち第三凸部17iおよび第三凹部17nで挟まれた部分」に当接した状態を保持しつつ第三凹部17nに接近する方向に移動し、第三凹部17nに嵌った状態で保持される。
なお、カム突起26a・26bが段差面17fに当接した状態を保持しつつそれぞれ第一凹部17k・第三凹部17nに接近する方向に移動するとき、カム部材26は移動部材20を構成する他の部材に対して前方から見て時計回りに回転する。
【0096】
図18の(c)に示す如く、「移動部材20の第一押し込み位置」に配置されている移動部材20に作用している外力を解除したとき、移動部材20は「移動部材20の第一押し込み位置」から「移動部材20の没入位置」に移動し、「移動部材20の没入位置」に配置された状態で保持される。
より詳細には、移動部材20に作用している外力を解除したとき、移動部材20はスプリング30の付勢力により移動部材20の突出方向(前方)に移動する。
その結果、カム突起26a・26bはカム溝15aの内部を移動部材20の突出方向(後方)に移動し、カム突起26aは「後端面16mのうち第一凸部16dおよび第二凹部16iで挟まれた部分」に当接し、カム突起26bは「後端面16mのうち第三凸部16fおよび第四凹部16kで挟まれた部分」に当接する。
次に、カム突起26aは「後端面16mのうち第一凸部16dおよび第二凹部16iで挟まれた部分」に当接した状態を保持しつつ第二凹部16iに接近する方向に移動し、第二凹部16iに嵌った状態で保持される。
同様に、カム突起26bは「後端面16mのうち第三凸部16fおよび第四凹部16kで挟まれた部分」に当接した状態を保持しつつ第四凹部16kに接近する方向に移動し、第四凹部16kに嵌った状態で保持される。
なお、カム突起26a・26bが後端面16mに当接した状態を保持しつつそれぞれ第二凹部16i・第四凹部16kに接近する方向に移動するとき、カム部材26は移動部材20を構成する他の部材に対して前方から見て時計回りに回転する。
【0097】
図10および
図18に示す如く、本実施形態では第一凹部16hおよび第三凹部16jは第二凹部16iおよび第四凹部16kよりも移動部材20の突出方向寄り(前方寄り)に形成されている。
そのため、カム突起26a・26bがそれぞれ第二凹部16iおよび第四凹部16kに嵌っているとき(移動部材20が「移動部材20の没入位置」に配置されているとき)よりもカム突起26a・26bがそれぞれ第一凹部16hおよび第三凹部16jに嵌っているとき(移動部材20が「移動部材20の突出位置」に配置されているとき)の方が移動部材20はケース部材15、ひいては本体部材10に対して移動部材20の突出方向(前方)に突出していることとなる。
【0098】
図18の(d)に示す如く、「移動部材20の没入位置」に配置されている移動部材20に外力を作用させることによりスプリング30の付勢力に抗して移動部材20を移動部材20の没入方向(後方)に押し込んだとき、移動部材20は「移動部材20の没入位置」から「移動部材20の第二押し込み位置」に移動する。
より詳細には、移動部材20を移動部材20の没入方向(後方)に押し込んだとき、カム突起26a・26bはカム溝15aの内部を移動部材20の没入方向(後方)に移動し、カム突起26aは「段差面17fのうち第二凸部17hおよび第二凹部17mで挟まれた部分」に当接し、カム突起26bは「段差面17fのうち第四凸部17jおよび第四凹部17pで挟まれた部分」に当接する。
次に、カム突起26aは「段差面17fのうち第二凸部17hおよび第二凹部17mで挟まれた部分」に当接した状態を保持しつつ第二凹部17mに接近する方向に移動し、第二凹部17mに嵌った状態で保持される。
同様に、カム突起26bは「段差面17fのうち第四凸部17jおよび第四凹部17pで挟まれた部分」に当接した状態を保持しつつ第四凹部17pに接近する方向に移動し、第四凹部17pに嵌った状態で保持される。
なお、カム突起26a・26bが段差面17fに当接した状態を保持しつつそれぞれ第二凹部17m・第四凹部17pに接近する方向に移動するとき、カム部材26は移動部材20を構成する他の部材に対して前方から見て時計回りに回転する。
【0099】
図18の(a)に示す如く、「移動部材20の第二押し込み位置」に配置されている移動部材20に作用している外力を解除したとき、移動部材20は「移動部材20の第二押し込み位置」から「移動部材20の突出位置」に移動し、「移動部材20の突出位置」に配置された状態で保持される。
より詳細には、移動部材20に作用している外力を解除したとき、移動部材20はスプリング30の付勢力により移動部材20の突出方向(前方)に移動する。
その結果、カム突起26a・26bはカム溝15aの内部を移動部材20の突出方向(後方)に移動し、カム突起26aは「後端面16mのうち第二凸部16eおよび第三凹部16jで挟まれた部分」に当接し、カム突起26bは「後端面16mのうち第四凸部16gおよび第一凹部16hで挟まれた部分」に当接する。
次に、カム突起26aは「後端面16mのうち第二凸部16eおよび第三凹部16jで挟まれた部分」に当接した状態を保持しつつ第三凹部16jに接近する方向に移動し、第三凹部16jに嵌った状態で保持される。
同様に、カム突起26bは「後端面16mのうち第四凸部16gおよび第一凹部16hで挟まれた部分」に当接した状態を保持しつつ第一凹部16hに接近する方向に移動し、第一凹部16hに嵌った状態で保持される。
なお、カム突起26a・26bが後端面16mに当接した状態を保持しつつそれぞれ第三凹部16j・第一凹部16hに接近する方向に移動するとき、カム部材26は移動部材20を構成する他の部材に対して前方から見て時計回りに回転する。
【0100】
以上の如く、「移動部材20の突出位置」に配置されている移動部材20に外力を作用させて移動部材を没入方向(後方)に押し込み、その後当該外力を解除する動作を行うことにより、移動部材20を「移動部材20の没入位置」に移動させることが可能である。
また、「移動部材20の没入位置」に配置されている移動部材20に外力を作用させて移動部材を没入方向(後方)に押し込み、その後当該外力を解除する動作を行うことにより、移動部材20を「移動部材20の突出位置」に移動させることが可能である。
【0101】
以下では、
図5、および
図20から
図28を用いて照明回路部材40について説明する。
図5、
図20および
図28に示す如く、照明回路部材40は基板41、LED42、抵抗43、ロッド部材44、可動端子部材45、第一電池側配線部材46、第二電池側配線部材47、第一発光側配線部材48および第二発光側配線部材49を具備する。
【0102】
以下では、
図21を用いて基板41、LED42および抵抗43の詳細について説明する。
【0103】
基板41は一対の板面および四つの端面を有する概ね矩形の板状の部材である。本実施形態の基板41は絶縁性の材料であるガラスエポキシ樹脂からなる。
基板41には一対の貫通孔41a・41aが形成される。貫通孔41a・41aは基板41の一対の板面を貫通する。
基板41の端面の一つの中央部には係止溝41bが形成される。
【0104】
LED(Light Emitting Diode)42は本発明に係る発光部材の実施の一形態である。
LED42は一対の端子(アノードおよびカソード)を有し、電力が供給される(アノードに正電圧が印可される)ことにより発光する。
なお、本発明に係る発光部材は本実施形態の如きLEDに限定されず、電力が供給されることにより発光するものであれば他の構成でも良い。本発明に係る発光部材の他の具体例としては豆電球が挙げられる。
LED42は基板41の一方の板面に固定される。
【0105】
抵抗43は一対の端子を有する。抵抗43は基板41の他方の板面に固定される。抵抗43の一方の端子ははんだ付けによりLED42のカソード(陰極)に電気的に接続される。
【0106】
以下では、
図22を用いてロッド部材44の詳細について説明し、
図23を用いて可動端子部材45の詳細について説明する。
ロッド部材44および可動端子部材45を合わせたものは本発明に係るスイッチ部材の実施の一形態である。
ロッド部材44は本発明に係るロッド部材の実施の一形態である。
可動端子部材45は本発明に係る可動端子部材の実施の一形態である。
なお、後で詳述するが、ロッド部材44および可動端子部材45を合わせたものは、移動部材20が「移動部材20の突出位置」に配置されている場合には電池収容室63に収容された電池5・6からLED42への電力の供給を可能とし、移動部材20が「移動部材20の没入位置」に配置されている場合には電池収容室63に収容された電池5・6からLED42への電力の供給を不能とする。
【0107】
図22に示す如く、ロッド部材44は前端面、後端面および外周面を有し、前後方向に延びるとともに前方に向かってテーパした(先細りした)概ね円柱形状の部材である。
本実施形態のロッド部材44は樹脂材料を一体成形することにより製造される。
ロッド部材44の前端部(一端部)には溝44aが形成される。溝44aはロッド部材44の前端面に開口し、ロッド部材44の外周面の前端部においてロッド部材44の外周面の左端部から右端部まで切り通されている。
ロッド部材44の外周面の前端部かつ上下端部には一対の係止突起44b・44bが形成される。
ロッド部材44の後端部(他端部)には溝44cが形成される。溝44cはロッド部材44の後端面に開口し、ロッド部材44の外周面の後端部においてロッド部材44の外周面の左端部から右端部まで切り通されている。
ロッド部材44の外周面の後端部かつ上下端部には一対の係止突起44d・44dが形成される。
【0108】
図23に示す如く、可動端子部材45は前後一対の盤面および外周面を有する概ね薄い円盤形状の部材である。本実施形態の可動端子部材45はオーステナイト系ステンレス鋼板に打ち抜き加工を施すことにより製造される。
なお、本発明に係る可動端子部材を構成する材料はオーステナイト系ステンレス鋼板に限定されず、導電性を有する材料であれば他の材料でも良い。
可動端子部材45には貫通孔45aが形成される。貫通孔45aは可動端子部材45の一対の盤面を前後方向に貫通する。
【0109】
以下では、
図24を用いて第一電池側配線部材46および第二電池側配線部材47の詳細について説明し、
図25を用いて第一発光側配線部材48および第二発光側配線部材49の詳細について説明する。
【0110】
第一電池側配線部材46、第二電池側配線部材47、第一発光側配線部材48および第二発光側配線部材49を合わせたものは、本発明に係る配線部材の実施の一形態である。
「第一電池側配線部材46、第二電池側配線部材47、第一発光側配線部材48および第二発光側配線部材49を合わせたもの」は電池収容室63に収容された電池5・6とLED42とを電気的に接続するものである。
【0111】
第一電池側配線部材46および第二電池側配線部材47を合わせたものは、本発明に係る電池側配線部材の実施の一形態である。
【0112】
第一発光側配線部材48および第二発光側配線部材49を合わせたものは、本発明に係る発光側配線部材の実施の一形態である。
【0113】
図24の(a)に示す如く、第一電池側配線部材46は電池側端子部46a、一対の延長部46b・46bおよび一対のスイッチ側端子部46c・46cを具備する。
電池側端子部46aは左右方向に延び、左右端部が上方に延びた形状を有する。
一対の延長部46b・46bは前後方向に延びた形状を有する。一対の延長部46b・46bの一端部(後端部)はそれぞれ電池側端子部46aの左上端部および右上端部に連なる。
一対のスイッチ側端子部46c・46cは左右方向に延びた形状を有する。一対のスイッチ側端子部46c・46cの一端部(外側の端部)はそれぞれ一対の延長部46b・46bの他端部(前端部)に連なる。一対のスイッチ側端子部46c・46cの中途部はわずかに屈曲しており、一対のスイッチ側端子部46c・46cの他端部(内側の端部)は一端部(外側の端部)よりもわずかに後方に配置される。
【0114】
図24の(b)に示す如く、第二電池側配線部材47は電池側端子部47a、延長部47bおよび発光側接続部47cを具備する。
電池側端子部47aは側面視で概ねU字形の形状を有する。
延長部47bは前後方向に延びた形状を有する。延長部47bの前端部は電池側端子部47aの後端部に連なる。
発光側接続部47cは後下方から前上方に延びた形状を有する。発光側接続部47cの後下部は延長部47bの後端部に連なる。
図28に示す如く、発光側接続部47cは基板41の他方の板面に固定される。また、発光側接続部47cははんだ付けにより抵抗43の他方の端子に電気的に接続される。
【0115】
図25の(a)に示す如く、第一発光側配線部材48はスイッチ側端子部48a、延長部48b、屈曲部48cおよび中継端子部48dを具備する。
スイッチ側端子部48aは上下方向に延びた形状を有する。スイッチ側端子部48aの中途部はわずかに屈曲しており、スイッチ側端子部48aの上端部はスイッチ側端子部48aの下端部よりもわずかに後方に配置される。
延長部48bは前後方向に延びた形状を有する。延長部48bの前端部はスイッチ側端子部48aの下端部に連なる。
屈曲部48cは一端部から中途部にかけて上方に延び、中途部から他端部にかけて後方に延びた形状を有する。屈曲部48cの一端部は延長部48bの後端部に連なる。
中継端子部48dは左右方向に延びた形状を有する。中継端子部48dの左右端部は中継端子部48dの中途部に対してわずかに屈曲しており、中継端子部48dの左右端部は中継端子部48dの中途部よりもわずかに上方に配置される。中継端子部48dの中途部は屈曲部48cの他端部(後端部)に連なる。
【0116】
図25の(b)に示す如く、第二発光側配線部材49は中継端子部49a、延長部49bおよび発光側接続部49cを具備する。
中継端子部49aは左右方向に延びた形状を有する。中継端子部49aの左右端部は中継端子部49aの中途部に対して上方に向かって湾曲しており、中継端子部49aの左右端部は中継端子部49aの中途部よりもそれぞれ左右上方に配置される。
延長部49bは上端部から中途部にかけて下方向に延び、中途部において屈曲し、延長部49bの中途部から下端部にかけて前下方に延びた形状を有する。延長部49bの下端部は中継端子部49aの中途部の後端部に連なる。延長部49bの上端部から中途部にかけての部分には前後方向に貫通する貫通孔49dが形成される。
発光側接続部49cは前上方から後下方に延びた形状を有する。発光側接続部49cの前上部は延長部49bの上端部に連なる。
図28に示す如く、発光側接続部49cは基板41の他方の板面に固定される。また、発光側接続部49cははんだ付けによりLED42のアノード(陽極)に電気的に接続される。
【0117】
本実施形態の第一電池側配線部材46、第二電池側配線部材47、第一発光側配線部材48および第二発光側配線部材49はいずれもオーステナイト系ステンレス鋼板を所定の形状に打ち抜き、適宜折り曲げることにより製造される。
なお、本発明に係る配線部材を構成する材料はオーステナイト系ステンレス鋼板に限定されず、導電性を有する材料であれば他の材料でも良い。
【0118】
以下では、
図26を用いて照明カバー部材50の詳細について説明する。
照明カバー部材50は前方に向かって開口する内部空間が形成され、後方に膨らんだ概ね半球状の部材である。本実施形態の照明カバー部材50は透明の樹脂材料を一体成形することにより製造される。
なお、本実施形態の照明カバー部材50を構成する材料は透明の樹脂材料であるが、光を透過可能な材料であれば他の材料でも良い。光を透過可能な材料の他の色の例としては半透明、着色された透明等が挙げられる。
また、照明カバー部材50に照明カバー部材50の内部から外部に光を照射可能な開口部(例えば、スリット、孔等)を形成した場合には、照明カバー部材50を構成する材料が光を透過しない材料であっても良い。
【0119】
照明カバー部材50の内周面の上下略中央部かつ左右半部となる位置にはそれぞれ係止突起51・51が形成される。係止突起51・51は前後方向に延びた形状を有し、係止突起51・51の後端部は照明カバー部材50の内周面に連なる。
照明カバー部材50の内周面の左右下部にはそれぞれ係止突起52・52が形成される。
照明カバー部材50の内周面の左右略中央部かつ下半部となる位置には係止突起53が形成される。係止突起53は前後方向に延びた形状を有し、係止突起53の後端部は照明カバー部材50の内周面に連なる。
照明カバー部材50の外周面の前端部(照明カバー部材50の外周面のうち、照明カバー部材50の開口部の近傍となる位置)かつ上半部となる位置には係止突起54が形成される。係止突起54は照明カバー部材50の開口部に沿って延びた形状(概ねリングを二分割した形状)を有する。
照明カバー部材50の外周面の前端部かつ下端部となる位置には係止突起55が形成される。係止突起55は照明カバー部材50の外周面から外側(本実施形態では、下方)に突出しており、かつ、内側(本実施形態では、上方)に傾倒するように弾性変形することが可能である。
【0120】
以下では、主に
図5、
図27および
図28を用いてプッシュラッチ1の組み立て方法について説明する。
本実施形態のプッシュラッチ1は、以下の(3−1)〜(3−9)の九つの手順を経て組み立てられる。
【0121】
(3−1)ラッチ機構70(
図17参照)が組み立てられる。ラッチ機構70の組み立て方法の詳細については先に説明したため、省略する。
【0122】
(3−2)
図5および
図27に示す如く、第一電池側配線部材46および第一発光側配線部材48が胴体ベース部材12に取り付けられる。
より詳細には、電池側端子部46aの前面を第二壁部12cの前壁部の後面に当接させ、一対の延長部46b・46bをそれぞれ溝12g・12gに嵌装し、一対のスイッチ側端子部46c・46cをそれぞれ第一壁部12bの後面と係止柱12m・12mとの隙間に嵌装することにより、第一電池側配線部材46は胴体ベース部材12に固定される。
また、延長部48bの後端部を貫通孔12kに貫装し、延長部48bの中途部を溝12hに嵌装して係止突起12i・12iを延長部48bの中途部に係止させることにより、第一発光側配線部材48は胴体ベース部材12に固定される。
【0123】
(3−3)照明サブアッシ80(
図28参照)が組み立てられる。
本実施形態では、照明サブアッシ80は基板41、LED42、抵抗43、第二電池側配線部材47および第二発光側配線部材49を具備する。
より詳細には、LED42、抵抗43、第二電池側配線部材47および第二発光側配線部材49を基板41に固定し、抵抗43の一方の端子とLED42のカソード(陰極)とをはんだ付けにより電気的に接続し、抵抗43の他方の端子と発光側接続部47cとをはんだ付けによりに電気的に接続し、LED42のアノード(陽極)と発光側接続部49cとをはんだ付けにより電気的に接続する。
【0124】
(3−4)照明サブアッシ80が照明カバー部材50に組み付けられる(
図5参照)。
より詳細には、照明カバー部材50の係止突起51・51をそれぞれ基板41の貫通孔41a・41a(
図21参照)に貫装し、基板41の係止溝41bを照明カバー部材50の係止突起53(より厳密には係止突起53のリブ)に係止し、照明カバー部材50の係止突起53の先端部(前端部)を第二発光側配線部材49の貫通孔49dに貫装し、第二発光側配線部材49の中継端子部49aの左右端部をそれぞれ照明カバー部材50の係止突起52・52に係止することにより、照明サブアッシ80は照明カバー部材50に固定される(
図21、
図25の(b)および
図26参照)。
なお、照明サブアッシ80が照明カバー部材50に固定されたとき、第二発光側配線部材49の中継端子部49aは照明カバー部材50の内周面の前端部(照明カバー部材50の内周面のうち、照明カバー部材50の開口部の近傍となる位置)に沿って当接する(
図5、
図25の(b)および
図26参照)。
【0125】
(3−5)
図28に示す如く、可動端子部材45がロッド部材44に組み付けられる。
より詳細には、溝44cの(上下方向の)幅を狭めるようにロッド部材44の後端部を弾性変形させつつ係止突起44d・44dが貫通孔45aを通過するまでロッド部材44の後端部を可動端子部材45の貫通孔45aに挿入し、その後ロッド部材44の後端部の弾性変形を解除する。
その結果、係止突起44d・44dは可動端子部材45に係止され、可動端子部材45はロッド部材44に対してロッド部材44の軸線方向(前後方向)に相対移動不能に固定される。
【0126】
(3−6)「可動端子部材45が組み付けられたロッド部材44」がラッチ機構70に組み付けられる(
図5参照)。
より詳細には、ロッド部材44の前端部を第二ケース部材17のロッド貫通孔17eを通してケース部材15の内部空間に挿入し、溝44aの(上下方向の)幅を狭めるようにロッド部材44の前端部を弾性変形させつつ係止突起44b・44bが係止孔25f・25fに対向する位置までロッド部材44の前端部を軸部材25の筒状突起25eの内部空間に挿入し、その後ロッド部材44の前端部の弾性変形を解除する。
その結果、係止突起44b・44bは係止孔25f・25fに係止され、固定される。
なお、本実施形態の場合、係止突起44b・44bの軸線方向(前後方向)の大きさを係止孔25f・25fの軸線方向(前後方向)の大きさよりも小さく設定し、係止突起44b・44bと係止孔25f・25fとの間に軸線方向(前後方向)のガタを形成することにより、ロッド部材44が移動部材20に対して軸線方向(前後方向)に当該ガタの大きさ分だけ相対移動可能としている。
このように構成することにより、仮にロッド部材44の後端部が他の部材(本実施形態の場合、電池5の前側の盤面)に当接してロッド部材44がそれ以上移動部材20の没入方向(後方)に移動不能となった場合であっても、移動部材20は当該ガタの大きさ分だけさらに移動部材20の没入方向に移動することが可能であり、ラッチ機構70の動作不良を防止することが可能である。
【0127】
(3−7)可動端子部材45、ロッド部材44およびラッチ機構70を合わせたもの(「可動端子部材45が組み付けられたロッド部材44」がラッチ機構70に組み付けられたもの)が胴体カバー部材13に組み付けられる(
図5参照)。
より詳細には、ラッチ機構70が胴体カバー部材13の貫通孔13nに前方から後方に向かって貫装される。
その結果、突起16a・16a・16a・16aおよび突起17a・17a・17a・17aがカバー部13aの前端面に係止され、係止爪17c・17c・17c・17cが係合溝13qおよびカバー部13aの前下端部に係止され、ラッチ機構70は胴体カバー部材13に対して軸線方向(前後方向)に相対移動不能に固定される(
図5、
図8、
図17参照)。
ラッチ機構70が貫通孔13nに貫装されたとき、係合突起17dが係合溝13pに係合することにより、ラッチ機構70は胴体カバー部材13に対して軸線回りに相対回転不能に支持される。(
図8、
図12参照)また、ロッド部材44の中途部は切り欠き13hに嵌合する(
図5参照)。
【0128】
(3−8)「可動端子部材45、ロッド部材44、ラッチ機構70および胴体カバー部材13を合わせたもの」および「照明サブアッシ80が組み付けられた照明カバー部材50」が、「第一電池側配線部材46および第一発光側配線部材48が取り付けられた胴体ベース部材12」に組み付けられる(
図5参照)。
より詳細には、照明カバー部材50の係止突起54を胴体カバー部材13の照明カバー支持部13dの係止溝13uに嵌合させ、かつ照明カバー部材50の係止突起55を胴体ベース部材12の照明カバー支持部12dの係止溝12nに嵌合させた状態で、胴体カバー部材13が胴体ベース部材12に固定される。胴体カバー部材13を胴体ベース部材12に固定する方法については先に説明したため、省略する。
【0129】
(3−9)電池5・6が電池収容室63に収容され、電池カバー部材14が胴体カバー部材13に装着される(
図5参照)。
より詳細には、電池6のプラス極(電池6の前側の盤面)が電池5のマイナス極(後側の盤面)に当接した状態で電池5・6が電池通過孔13rを通って本体部材10の外部から電池収容室63に収容され、その後、係止爪14a・14aが係止孔13s・13sに係止されることにより電池カバー部材14が胴体カバー部材13に固定され、電池カバー部材14により電池通過孔13rが閉塞される。
電池5・6が電池収容室63に収容されたとき、電池5のプラス極(電池5の前側の盤面)が第一電池側配線部材46の電池側端子部46a(の後面)に当接し、電池5のプラス極と第一電池側配線部材46とが電気的に接続される。
また、電池5・6が電池収容室63に収容されたとき、電池6のマイナス極(後側の盤面)が第二電池側配線部材47の電池側端子部47a(の前端部)に当接し、電池6のマイナス極と第二電池側配線部材47とが電気的に接続される(
図5、
図28参照)。
【0130】
以上の(3−1)〜(3−9)の九つの手順を経てプッシュラッチ1が組み立てられる。
【0131】
図5に示す如く、プッシュラッチ1の組み立てが完了したとき、以下の(4−1)から(4−8)の事項が成立する。
(4−1)ケース部材15は胴体部材11に固定される。
(4−2)LED42は照明カバー部材50を介して胴体部材11に設けられる。
(4−3)「第一電池側配線部材46、第二電池側配線部材47、第一発光側配線部材48および第二発光側配線部材49を合わせたもの」は胴体部材11に収容される。
(4−4)胴体部材11にはラッチ機構収容室61、スイッチ収容室62および電池収容室63が形成される。スイッチ収容室62は、ラッチ機構収容室61(胴体部材11においてケース部材15が固定される部分)と電池収容室63とで挟まれる位置に配置される。
(4−5)ロッド部材44および可動端子部材45を合わせたものは、本体部材10に収容されるとともに配線部材の中途部(本実施形態の場合、第一電池側配線部材46のスイッチ側端子部46c・46cと第一発光側配線部材48のスイッチ側端子部48aとの間となる位置)に配置される。
(4−6)ロッド部材の一端部(前端部)は移動部材20に固定され、ロッド部材の中途部はロッド貫通孔17eに貫装され、ロッド部材の他端部はスイッチ収容室62に配置される。
(4−7)プッシュラッチ1の電池側配線部材(第一電池側配線部材46および第二電池側配線部材47を合わせたもの)の一端部(第一電池側配線部材46のスイッチ側端子部46c・46c)がスイッチ収容室62に配置される。
プッシュラッチ1の電池側配線部材の中途部(第一電池側配線部材46の電池側端子部46aおよび第二電池側配線部材47の電池側端子部47a)がそれぞれ電池収容室63に収容された電池のプラス極およびマイナス極(直列に繋がれた電池5のプラス極および電池6のマイナス極)に接続される。
プッシュラッチ1の電池側配線部材の他端部(第二電池側配線部材47の発光側接続部47c)が(厳密には、抵抗43を介してLED42の一方の端子(カソード)に電気的に接続される。
(4−8)プッシュラッチ1の発光側配線部材(第一発光側配線部材48および第二発光側配線部材49を合わせたもの)の一端部(第一発光側配線部材48のスイッチ側端子部48a)がスイッチ収容室62に配置される。
プッシュラッチ1の発光側配線部材の他端部(第二発光側配線部材49の発光側接続部49c)がLED42の他方の端子(アノード)に電気的に接続される。
なお、本実施形態では、第一発光側配線部材48の中継端子部48dは第二発光側配線部材49の中継端子部49aに当接し、第一発光側配線部材48および第二発光側配線部材49は電気的に接続される。
【0132】
以下では、
図1、
図19および
図29を用いて、家具7に適用されたプッシュラッチ1の動作について説明する。
【0133】
図29に示す如く、家具7は本体7a、扉7b、ヒンジ7c、吸着板7dおよびプッシュラッチ1を具備する。
家具7は建物等の内部に設置され、物品等を収容する。
本体7aは本発明に係る第一対象物の実施の一形態である。本体7aは家具7の主たる構造体を成す部材である。本体7aの内部には物品等を収容するための空間である収容室8が形成される。収容室8は本体7aに形成された開口部を通じて本体7aの外部と連通している。
扉7bは本発明に係る第二対象物の実施の一形態である。扉7bは本体7aに形成された開口部を閉塞するための板状の部材である。
ヒンジ7cは扉7bの一端部(
図29の場合、右端部)を本体7aに回動可能、ひいては開閉可能に連結する部材である。
吸着板7dは扉7bの他端部かつ本体7aに形成された開口部に対向する位置(
図29の場合、左下端部)に固定される部材である。吸着板7dは磁石に吸着される材料(例えば、フェライト系ステンレス鋼)からなる。
図29において、プッシュラッチ1(より厳密には、プッシュラッチ1の本体部材10)は本体7aの収容室8の内部、かつ扉7bが閉じているときの吸着板7dに対向する位置(
図29の場合、収容室8の左下前端部)に配置された状態で本体7aに固定される。
【0134】
図29の(a)に示す如く、扉7bが閉じているとき、プッシュラッチ1の移動部材20は「移動部材20の没入位置(
図19参照)」に配置され、扉7bは移動部材20の先端部(前端部)に係止された状態が保持される。
より詳細には、扉7bに固定された吸着板7dが磁石部材21の磁力により移動部材20の先端部に吸着される(厳密には、磁石部材21の磁力を上回る外力が扉7bに作用しない限り、扉7bに固定された吸着板7dが移動部材20の先端部(前端部)に吸着された状態が保持される)。
【0135】
図29の(a)に示す状態から作業者が扉7bの他端部を後方に押した場合、作業者が扉7bの他端部を押す力(外力)が扉7bおよび吸着板7dを介して移動部材20に作用し、移動部材20は本体部材10に対して没入方向(後方)に押し込まれる。
その結果、移動部材20は突出方向(前方)に移動し、「移動部材20の突出位置(
図1参照)」に配置される。
また、移動部材20は、移動部材20の突出方向(前方)に移動するときのスプリング30の付勢力により、扉7bおよび吸着板7dを磁石部材21の磁力を上回る力で開く方向に押し出す。
その結果、
図29の(b)に示す如く、扉7bに固定された吸着板7dが磁石部材21の磁力に抗して移動部材20の先端部(前端部)から離間し、扉7bが移動部材20の先端部(前端部)に係止された状態が解除される。
【0136】
図29の(b)に示す状態から作業者が扉7bを後方に(閉じる方向に)押し、「移動部材20の突出位置」に配置されている移動部材20の先端部に扉7bに固定された吸着板7dを吸着させ、さらに扉7bを後方に押した場合、作業者が扉7bの他端部を押す力が扉7bおよび吸着板7dを介して移動部材20に作用し、移動部材20は本体部材10に対して没入方向(後方)に押し込まれる。
その結果、
図29の(a)に示す如く、移動部材20は没入方向(後方)に移動し、「移動部材20の没入位置(
図19参照)」に配置され、扉7bは移動部材20の先端部(前端部)に係止された状態が保持される。
【0137】
以下では、
図1、
図5、
図19、
図28および
図29を用いてラッチ機構70の動作(移動部材20の動作)と照明回路部材40の動作との関係について説明する。
【0138】
図19および
図28の(a)に示す如く、移動部材20が移動部材20の没入方向(後方)に移動して「移動部材20の没入位置」に配置されたとき、移動部材20に固定されているロッド部材44はロッド貫通孔17eを通って移動部材20の没入方向(後方)に移動し、可動端子部材45はスイッチ収容室62の内部で移動部材20の没入方向に移動する。
可動端子部材45が移動部材20の没入方向に移動することにより、可動端子部材45は第一電池側配線部材46のスイッチ側端子部46c・46cおよび第一発光側配線部材48のスイッチ側端子部48aの両方から離間する。
その結果、照明回路部材40および電池5・6が構成する電気回路(LED42を発光させるための回路)の中途部が遮断されることとなり、電池収容室63に収容された電池5・6の電力がLED42に供給されない。
従って、
図29の(a)に示す如く、扉7bが閉じている状態ではLED42は発光しない。
【0139】
図1、
図5および
図28の(b)に示す如く、移動部材20が移動部材20の突入方向(前方)に移動して「移動部材20の突出位置」に配置されたとき、移動部材20に固定されているロッド部材44はロッド貫通孔17eを通って移動部材20の突出方向(前方)に移動し、可動端子部材45はスイッチ収容室62の内部で移動部材20の突出方向に移動する。
可動端子部材45が移動部材20の突出方向に移動することにより、可動端子部材45は第一電池側配線部材46のスイッチ側端子部46c・46cおよび第一発光側配線部材48のスイッチ側端子部48aの両方に当接する。
その結果、照明回路部材40および電池5・6が構成する電気回路(LED42を発光させるための回路)が導通する(電気回路の中途部が遮断された状態から繋がった状態に切り替わる)こととなり、電池収容室63に収容された電池5・6の電力がLED42に供給される。
従って、
図29の(b)に示す如く、扉7bが閉じている状態ではLED42は発光し、LED42が発する光は照明カバー部材50を透過して収容室8の内部を照明する。
【0140】
以上の如くプッシュラッチ1を構成することは、以下の利点を有する。
すなわち、プッシュラッチ1はその動作と連動してプッシュラッチ1が固定された位置の周囲を照明することが可能である。
また、プッシュラッチ1を家具7の本体7aと扉7bとを係止する用途に用いた場合、照明が必要なとき(扉を開いているとき)にはLED42が発光し、照明が不要なとき(扉を閉じているとき)にはLED42が発光しないので、電池5・6の電力を効率良く使用し、電池5・6の電力の消耗を抑えることが可能である。
また、プッシュラッチ1は、完成した状態ではプッシュラッチとしての本来の機能を果たす部分、照明回路を構成する部分、ならびに、プッシュラッチの動作と連動して照明回路への電力の供給およびその遮断を行う部分(スイッチとしての機能を果たす部分)を一体化したものであるため、プッシュラッチ1を用いた場合には従来の場合(これらの別体となっている部分をそれぞれ第一対象物に固定する場合)に比べて煩雑な作業を省略することが可能である(プッシュラッチ1を第一対象物に容易に固定することが可能である)。
また、照明回路に電力を供給する供給源たる電池5・6をプッシュラッチ1の内部に収容することが可能であるため、外部の電力の供給源とプッシュラッチ1とを配線で繋ぐ作業が不要であり、この点からもプッシュラッチ1を第一対象物に固定する作業を省力化することが可能である。
また、プッシュラッチ1は、本体部材10に電池通過孔13rが形成され、本体部材10が第一対象物に固定された状態で電池5・6が電池通過孔13rを通過して電池収容室63と本体部材10の外部との間で移動可能であるため、プッシュラッチ1を第一対象物から取り外さずに電池5・6を交換することが可能であり、作業性に優れる。
また、プッシュラッチ1は、胴体部材11とケース部材15とを別部材し、かつ、移動部材20とロッド部材44とを別体とすることにより、プッシュラッチとしての基本的な機能を果たす部分(ここでは、ラッチ機構70)と、スイッチとしての機能を果たす部分その他の部分とを別々に組み立てることが可能である。従って、スプリング30の付勢力に起因してスイッチとしての機能を果たす部分その他の部分を組み立てる作業がしづらいといった事態を防止し、組み立て時の作業性に優れる。
【0141】
以下では、
図5を用いてLED42が照射する光の方向を変更する機能について説明する。
プッシュラッチ1の組み立てが完了した時点では、「照明サブアッシ80が組み付けられた照明カバー部材50(照明サブアッシ80および照明カバー部材50を合わせたもの)」は本体部材10に脱落不能に支持され、かつ本体部材10に対して軸線回りに(前後方向に平行な軸回りに)回転可能に支持される。
より詳細には、照明カバー部材50の係止突起54および係止突起55が「係止溝13uおよび係止溝12nを合わせたリング状の溝」に嵌合する。従って、照明カバー部材50は本体部材10に脱落不能に支持される。
また、係止突起54および係止突起55は「係止溝13uおよび係止溝12nを合わせたリング状の溝」の内部を当該溝の長手方向に移動することが可能である。従って、照明カバー部材50は本体部材10に対して軸線回りに回転可能に支持されることとなる。
また、照明サブアッシ80は照明カバー部材50に固定されているため、照明サブアッシ80が本体部材10に対して軸線回りに回転するときには照明サブアッシ80および照明カバー部材50が一体的に回転する。作業者はプッシュラッチ1の外部から照明カバー部材50を手で持ち、本体部材10に対して軸線回りに回転させることが可能である。
このように、照明サブアッシ80および照明カバー部材50を合わせたものを本体部材10に対して軸線回りに回転させることにより、LED42が照射する光の方向を変更することが可能である。
ひいては、プッシュラッチ1が固定される第一対象物の形状、用途、使用状況等に応じてLED42が照射する光の方向を変更することが可能であり、使い勝手が良い。
【0142】
なお、本実施形態では、本体部材10に対する照明サブアッシ80の軸線回りの回転角度が所定の範囲内である場合には、第二電池側配線部材47の電池側端子部47aが電池6のマイナス極に当接し、かつ第一発光側配線部材48の中継端子部48dが第二発光側配線部材49の中継端子部49aの左端部から右端部までのいずれかの部分に当接した状態が保持される。
【0143】
本実施形態では係止突起55が係止溝12nに形成された突起12p・12p・・・の間に嵌り込むことにより、本体部材10に対する照明カバー部材50の回転角度(ひいては、LED42が照射する光の方向)を段階的に調整することが可能である。
【0144】
本実施形態では照明カバー部材50の内部にLED42を収容したが、照明カバー部材50に開口部を形成し、当該開口部からLED42を突出させても良い。
【0145】
本実施形態では、移動部材20が「移動部材20の没入位置」に移動したとき、可動端子部材45が第一電池側配線部材46のスイッチ側端子部46c・46cおよび第一発光側配線部材48のスイッチ側端子部48aの両方から離間するが、可動端子部材45が第一電池側配線部材46のスイッチ側端子部46c・46cおよび第一発光側配線部材48のスイッチ側端子部48aのうちいずれか一方から離間する(他方とは当接した状態を保持する)構成としても良い。
【0146】
本実施形態のプッシュラッチ1の場合、第一ケース部材16の四つの突起16a・16a・16a・16aは軸線回りの位相が90°ずつ異なるが互いに同じ形状であり、かつ、第二ケース部材17の四つの突起17a・17a・17a・17aは軸線回りの位相が90°ずつ異なるが互いに同じ形状であるが、例えば突起16a・16a・16a・16aのうち一つの突起16aの形状を第一ケース部材16の周方向において大きくし、かつ第二ケース部材17の四つの突起17a・17a・17a・17aのうち一つの突起17aの形状を第二ケース部材17の周方向において小さくすることにより、第一ケース部材16を第二ケース部材17に固定する向き(位相)を一義的に(正しい向きに)定めることが可能である。
このように構成することにより、ケース部材15を組み立てるときに第一ケース部材16を第二ケース部材17に誤った向き(位相)で固定する(ケース部材15に形成されるカム溝15aの形状が想定した形状と異なる形状となってしまう)事態を容易に防止することが可能であり、作業性に優れる。
なお、第一ケース部材16を第二ケース部材17に固定する向き(位相)を一義的に(正しい向きに)定める方法は、上記方法に限定されない。例えば、第一ケース部材16と第二ケース部材17とが対向する部分に別途突起および当該突起が嵌合する溝を形成しても良い。
【0147】
本実施形態のプッシュラッチ1の場合、磁石カバー部材24の四つの摺動突起24c・24c・24c・24cは軸線回りの位相が90°ずつ異なるが互いに同じ形状であり、かつ、第一ケース部材16の四つの摺動溝16c・16c・16c・16cは軸線回りの位相が90°ずつ異なるが互いに同じ形状であるが、例えば摺動突起24c・24c・24c・24cのうち一つの摺動突起24cの形状を磁石カバー部材24の周方向において大きくし、かつ第一ケース部材16の四つの摺動溝16c・16c・16c・16cのうち一つの摺動溝16cの形状を第一ケース部材16の周方向において小さくすることにより、移動部材20をケース部材15に軸線方向(前後方向)に移動可能に支持する向き(位相)を一義的に(正しい向きに)定めることが可能である。
このように構成することにより、ラッチ機構70を組み立てるときに移動部材20をケース部材15に誤った向き(位相)で支持する(一対のヨーク部材22・23が左右に並んだ状態で移動部材20をケース部材15に支持する)事態を容易に防止することが可能であり、作業性に優れる。
【0148】
本実施形態のプッシュラッチ1は、移動部材20の外周面にカム突起26a・26bを本体部材10において形成し、移動部材20の外周面に対向する部分にリング状に繋がったノコギリ状のカム溝15aを形成し、カム突起26a・26bがカム溝15aの内部を移動することにより移動部材20が「移動部材20の突出位置」および「移動部材20の没入位置」の間で移動する形式のプッシュラッチであるが、本発明はこれに限定されず、いわゆるハートカム型のプッシュラッチも含む。
【0149】
本実施形態のプッシュラッチ1は磁力により第二対象物を第一対象物に係止する形式のプッシュラッチであるが、本発明はこれに限定されず、移動部材の先端部に単数または複数の突起(爪)が形成され、第二対象物に当該係止突起に係合する部材を設けることにより第二対象物を第一対象物に係止する形式のプッシュラッチも含む。
【0150】
本発明に係るプッシュラッチに耐震機能(プッシュラッチに振動が付与された場合には本体部材に対して移動部材を移動不能とする機能)を追加しても良い。