【実施例】
【0020】
「実験例1」
アルミナセメント100部に対して、表1に示す種類と量のポゾラン物質、さらに、アルミナセメントとポゾラン物質の合計100部に対して、骨材170部を加えドライモルタルとし、アルミナセメント組成物を調製した。
このアルミナセメント組成物100部に対して水を14部加え、モルタルを調製し、硬化前のモルタル表面に本発明の養生剤Aを1m
2当たり100gの割合で刷毛を用いて塗布した。さらに、この硬化体を用いてモルタルの耐硫酸性、保水率、初期ひび割れ抵抗性、および表層引張強度を測定した。
【0021】
(使用材料)
アルミナセメント:アルミナセメント1号、市販品
ポゾラン物質A:高炉水砕スラグ微粉末、ブレーン比表面積7000cm
2/g、市販品
ポゾラン物質B:フライアッシュ、ブレーン比表面積4000cm
2/g、市販品
ポゾラン物質C:メタカオリン、BET比表面積10m
2/g、市販品
ポゾラン物質D:シリカフューム、BET比表面積20m
2/g、市販品
ポゾラン物質E:ポゾラン物質A50部と、ポゾラン物質B50部の混合物、ブレーン比表面積6000cm
2/g、市販品
骨材:珪砂、商品名:N50号珪砂(最大粒径:1.2mm 日瓢礦業社製)
水:水道水
養生剤A:珪酸リチウム水溶液、商品名:リチウムシリケート1:4(SiO
2/Li
2Oモル比:4.0 固形分濃度:22.6% 本荘ケミカル社製)
【0022】
(試験方法)
耐硫酸性試験: 20℃/RH50%の恒温恒湿室において、練り混ぜたモルタルを10cm×10cm×10cmの型枠に打設し、24時間後に硬化体を脱型、材齢28日まで20℃/RH50%の恒温恒湿室において乾燥養生後、打設面のみを残し、耐酸性エポキシ樹脂で被覆した。温度20℃で5%硫酸水溶液中に28日間浸漬したときの打設面からの硫酸イオンの浸透深さを測定した。浸透深さの判定はフェノールフタレイン法で行った。
保水率:練り混ぜたモルタルをφ5×2.5cmに成形し、速やかにその質量を測定し、温度20℃、湿度60%の室内に24時間放置した後、再び質量を測定した。
保水率(%)=(24時間後の質量/成型直後の質量)×100
初期ひび割れ抵抗性:練り混ぜたモルタルを縦30cm×横30cm×厚さ6cmのコンクリート製平板に厚さ10mmとなるようにコテで塗り付け、温度5℃、湿度40%、平均風速2m/sの空間に放置し、1日後に発生した幅0.2mm以上のひび割れ全長さを測定した。
表層引張強度:練り混ぜたモルタルを縦30cm×横30cm×厚さ6cmのコンクリート製平板に厚さ10mmとなるようにコテで塗り付け、温度5℃、湿度40%、平均風速2m/sの空間に放置し、φ55mmのコアドリルで硬化したモルタルを下地コンクリートまで削孔し、エポキシ樹脂で引張試験用のアタッチメントを取り付け、所定の材齢となった時点で建研式引張試験機により測定した。得られた値を表層引張強度とした。
【0023】
【表1】
【0024】
表1より、本発明の養生剤は、特定のアルミナセメント組成物に対して、優れた養生効果を有し、耐硫酸性、保水率、表層引張強度および初期ひび割れ抵抗性が優れていることが判る。
【0025】
「実験例2」
アルミナセメント100部に対して、ポゾラン物質A100部、さらに、アルミナセメントとポゾラン物質の合計100部に対して、骨材170部を加えドライモルタルとし、アルミナセメント組成物を調製した。このアルミナセメント組成物100部に対して水を14部加え、モルタルを調製し、供試体を作製した。モルタル表面に表2に示す養生剤を1m
2当たり100gの割合で刷毛を用いて塗布したこと以外は実験例1と同様に行った。
【0026】
(使用材料)
養生剤B:珪酸リチウム水溶液、商品名:リチウムシリケート25(SiO
2/Li
2Oモル比:2.5 固形分濃度:22.6% 日産化学社製)
養生剤C:珪酸リチウム水溶液、商品名:リチウムシリケート75(SiO
2/Li
2Oモル比:7.5 固形分濃度:22.6% 日産化学社製)
【0027】
【表2】
【0028】
表2より、本発明の塗布養生剤は、優れた養生効果を有し、耐硫酸性、保水率、表層引張強度および初期ひび割れ抵抗性が優れていることが判る。
【0029】
「実験例3」
アルミナセメント100部に対して、ポゾラン物質A100部、さらに、アルミナセメントとポゾラン物質の合計100部に対して、骨材170部を加えドライモルタルとし、アルミナセメント組成物を調製した。このアルミナセメント組成物100部に対して水を14部加え、モルタルを調製し、供試体を作製した。モルタル表面に表2に示す養生剤を1m
2当たり100gの割合で刷毛を用いて塗布したこと以外は実験例1と同様に行った。
【0030】
(使用材料)
養生剤D:養生剤A100部と水200部の混合物(Li
2O含有量:0.8%、SiO
2含有量:6.7%)
養生剤E:養生剤A100部と水400部の混合物(Li
2O含有量:0.5%、SiO
2含有量:4.0%)
養生剤F:養生剤A100部と水900部の混合物(Li
2O含有量:0.2%、SiO
2含有量:2.0%)
養生剤G:養生剤A100部と水1900部の混合物(Li
2O含有量:0.1%、SiO
2含有量:1.0%)
【0031】
【表3】
【0032】
表3より、本発明の養生剤は、優れた養生効果を有し、耐硫酸性、保水率、表層引張強度および初期ひび割れ抵抗性が優れていることが判る。
【0033】
「実験例4」
アルミナセメント100部に対して、ポゾラン物質A100部、さらに、アルミナセメントとポゾラン物質の合計100部に対して、骨材170部を加えドライモルタルとし、アルミナセメント組成物を調製した。このアルミナセメント組成物100部に対して水を14部加え、モルタルを調製し、供試体を作製した。モルタル表面に養生剤Aを1m
2当たり表4に示す割合で刷毛を用いて塗布したこと以外は実験例1と同様に行った。
【0034】
【表4】
【0035】
表4より、本発明の塗布養生剤は、優れた養生効果を有し、耐硫酸性、保水率、表層引張強度および初期ひび割れ抵抗性が優れていることが判る。
【0036】
「実験例5」
アルミナセメント100部に対して、ポゾラン物質A100部、さらに、アルミナセメントとポゾラン物質の合計100部に対して、骨材170部を加えドライモルタルとしアルミナセメント組成物を調製した。このアルミナセメント組成物100部に対して水を14部加え、モルタルを調製し、供試体を作製した。表5に示した供試体作製後に経過した時間においてモルタル表面に養生剤Aを1m
2当たり100gの割合で刷毛を用いて塗布したこと以外は実験例1と同様に行った。なお、JISA 1147によって判定された始発時間は10時間20分であった。
【0037】
【表5】
【0038】
表5より、本発明の養生剤は、完全に硬化する前のフレッシュな状態のアルミナセメント組成物に塗布することで優れた養生効果を有し、耐硫酸性、保水率、表層引張強度および初期ひび割れ抵抗性が優れていることが判る。