(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、車両にはドアミラーが設けられ、ドアミラーにサイドターンランプを取り付けたものが実用化されている。この種のランプはドアミラーに組み込むものであるため、小型化することが要望され、光源としてLEDが用いられている(例えば、特許文献1)。
【0003】
図9は、従来のドアミラーターンランプ100を示すものである。
ドアミラーターンランプ100は、ドアミラー本体に設置するハウジング102と、ハウジング102の前方を覆うアウタレンズ103と、ハウジング102とアウタレンズ103との間に設けたフレキシブル基板105上に設けたLED光源106と、インナーレンズ104とからなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来のドアミラーターンランプ100はドアミラー2に取付た状態において、
図10に示すように車両前方方向から車両側面方向に回りこむように、ドアミラー2の下側に位置するものとされ、必然的に横長の形状のものが必要とされる。そのため、ドアミラーターンランプ100を薄く横長に形成することが求められる。そこで、横長に形成し、且つ、薄型化するためにフレキシブル基板105を用いているが、フレキシブル基板105に搭載したLED光源106の放熱性を高めることは難しい。また、フレキシブル基板は高価なため、コストアップを招くという問題がある。さらに、部品取付作業が面倒かつ煩雑なものとなり、コストアップを招くという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、構造の簡略化、部品点数の低減を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るドアミラーは、
透光性の樹脂カバーと、LED光源を配設する灯室と、樹脂カバーと接合するハウジングとを有するドアミラーランプであって、
前記ハウジングは、ドアミラー取付状態においてドアミラー側方側に向かって前面を開口し、灯室内に位置す
る階段状折れ曲がり部と、当
該階段状折れ曲がり部に設けたメッシュ状リブと、給電用金属板取付ボスと、前記LED搭載基板取付ボスおよび端子孔とを備え、
前記灯室内には、前記LED光源と、LED搭載基板と、一対の給電用金属板を収納し、
前記LED搭載基板は
プリント基板であり、その一方の表面上に設けたLED光源実装部と、第1の表面の裏面に設けた金属板接触部と、を有し、
前記給電用金属板の夫々は、前記金属板接触部に面接触する平坦部と、前記ハウジングの段差部に取り付ける取付孔と、ピン端子部を設けたソケット側取付孔とを備え、前記基板取付部、段差取付孔およびソケット側取付孔は一列に整列しており、
前記LED搭載基板取付部にはメッシュ状リブを一体に形成し、
前記メッシュ状リブに、前記給電用金属板を介して前記LED搭載基板が取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明に係るドアミラーは、
上記したドアミラーランプを設けたドアミラーであって、
前記LED光源が、ドアミラー側面に位置し、
前記ハウジングの前記給電用金属板取付ボス,前記LED搭載基板取付ボスおよびメッシュ状リブ部に対応する領域に対応する開口背面側は、空気層と接しており、
前記空気層は、前記ドアミラーのミラーの可動領域と連通している空間と直接にまたはドアミラー本体ハウジングを介して接していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明とすることにより、LED搭載基板を折り曲げたコネクタ端子部を有する給電用金属板を直接接するようにして取り付けることで、ドアミラーランプの構造を簡略化し、部品点数の低減を図ることが可能となる。
【0010】
請求項2の発明とすることにより、ドアミラーランプの構造を簡略化し、部品点数の低減を図ってドアミラーランプをドアミラー側面に設けることができ、これにより狭い側面に光照射面を設けて視認性を向上させることが可能となる。
請求項3の発明とすることにより、ドアミラーランプの強度を向上させることができ、ランプの薄肉化とコストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態であるドアミラーランプについて
図1〜
図9を参照しながら説明する。
【0013】
図1から
図3は本発明に係るドアミラーランプの取付状態を説明するもので、
図1が概略斜視図、
図2が
図1のドアミラーランプの拡大斜視図である。
図3は、
図2のドアミラーランプのカバーを外した状態を示す概略斜視図である。
なお、以後の説明および図面において車両進行方向をx方向、車両上部方向をz方向、車両進行方向右側をy方向、左側を−y方向として表すものとし、
図1は運転者から見て右側のドアミラーを示している。
【0014】
ドアミラーランプ1は、例えば
図1に示すように車両のドア3に取り付けるドアミラー2に設置するランプであって、ドアミラー2に固定される。ドアミラー2は、ドアミラーハウジング4の中に、車両後方、即ち−x方向に可動可能なミラーを備える。また、ドアミラー2の車両前方側(x方向)にはドアミラーカバー5が取付られており、さらにドアミラーランプ1に給電するための図示しないソケットがドアミラー2内部に設けてある。また、ドアミラーランプ1は
図4に示すガスケット45を介してドアミラー2に固定する。
【0015】
ここまでの構成は、従来のドアミラーランプと同一であるが、本発明においては、ドアミラー2の最も車両外側のドアミラー側面2aに沿ってドアミラーランプ1を配設している。また、ドアミラーハウジング5に設けた側面切り欠き部5aに発光面1aが位置するものとし、縦長形状としている。さらに、ドアミラーランプ1は、内部にLED光源31を搭載したLED搭載基板30を備え、LED搭載基板30はコネクタ端子部43を有する給電用金属板40と電気的および機械的に固定されている。
【0016】
以下、ドアミラーランプ1について、
図4から
図8を用いて詳細に説明する。
図4はドアミラーランプの構成を示す分解斜視図、
図5はドアミラーランプの発光面側から見た斜視図、
図6は
図5のドアミラーランプのレンズカバーを取り外した状態を示す斜視図、
図7は
図2のA−A線に沿った縦方向の概略断面図、
図8は
図7のB−B線に沿った横方向の概略断面図であり、
図8において符号Mで示す範囲がドアミラーのミラーの可動範囲である。
図9は、ドアミラーランプの裏面側から見た斜視図である。
【0017】
ドアミラーランプ1は、例えば、ドアミラーサイドターンランプであって車両が曲がる方向を光の点滅によって表示する機能を果たすものである。また、欧州規格などの規格に適合するように形成され、その配光範囲は、例えば、上下方向±15°、左右方向5°〜60°において0.6cd〜200cdの光度を満たすようにしている。具体的には、LED光源31およびプリズムレンズ21により配光が制御されている。
【0018】
ドアミラーランプ1は、ハウジング10と、その前面開口11を覆い灯室50を形成するレンズカバー20と、灯室50内に設けたLED光源31とを備え、LED光源31は、LED搭載基板30上に搭載され、給電用金属板40を通して、ドアミラーランプ1の外部から給電される。
【0019】
ハウジング10は、非透光性の樹脂からなり、レンズカバー20と当接する周縁シール部17と、周縁シール部17で囲まれた階段状折れ曲がり部12と、ハウジング裏面側に設けたコネクタ部18および取付孔19を備えた薄型な形状に一体に成型される。また、階段状折れ曲がり部12の灯室50側となる面には、上部平坦面13a、中間平坦面13bおよび下部平坦面13cの3つの平坦面13とそれらの間の傾斜面により階段状とされ、縦方向(z方向)における強度を高めている。
【0020】
また、上部平坦面13aにはメッシュ状リブ16が設けられている。メッシュ状リブの上に給電用金属板40が当接して設置される。中間平坦面13bには中間平坦面ボス14bが形成されている。下部平坦面13cには下部平坦面ボス14cおよび端子孔14dが形成されている。端子孔14dに後述するコネクタ端子部43を挿入する。
【0021】
給電用金属板40は、鉄系の金属材料よりなり表面に亜鉛メッキなどの防錆処理がなされた1mm前後の厚みを有する厚板基板からなる。鉄系の金属材料とすることで、銅を主成分とする金属基板に比べて強度を向上させることができ、さらにコストを低減することができる。厚みは、強度の点から0.8mmよりも厚いほうが好ましく、加工精度および重量の点から2mmを超えない範囲が好ましい。給電用金属板40は、階段状折れ曲がり部12に対応する折れ曲がり形状に折り曲げにより形成されている。金属板平坦面41は、ハウジングの平坦面13の3つの平坦面に夫々対応する上部金属板平坦面41a、中間金属板平坦面41b、下部金属板平坦面41cの3つの平坦面と、それらの間の金属板傾斜面を有する。中間金属板平坦面41bおよび下部金属板平坦面41cには、中間平坦面ボス14bおよび下部平坦面ボス14cに嵌合するボス孔42を有する。上部金属板平坦面41aには、2個のカシメ部44がレンズカバー20側となる面側に形成されている。
【0022】
また、給電用金属板40は、正極用および負極用の2種類からなり、一対の給電用金属板40,40を備える。下部金属板平坦面41cには、その一部をハウジング10の背面側に折り曲げて、コネクタ端子部43を形成している。コネクタ端子部43は、コネクタ部18内に挿入されて図示しないソケットと電気的に接続する。
【0023】
LED搭載基板30は、プリント基板などの材料により形成され、図示しない配線パターンがその表面に形成されている。レンズカバー20側となる表面上には、LED光源31が実装され、本実施形態においては2個の面実装タイプの発光ダイオードが半田などの公知の材料にて電気的および機械的に固定される。また、LED搭載基板30のLED光源31実装部とLED搭載基板の縁との間には4箇所の取付孔32が形成され、2個の取付孔に前記した給電用金属板40の2個のカシメ部44が挿入され、挿入後に折り曲げてカシメることによりLED実装基板30と給電用金属板40が一体化される。なお、必要に応じてLED搭載基板には、抵抗や保護ダイオードなどのほかの電子部品を搭載する。
【0024】
カシメ部44のカシメは次の順序にて行なう。最初にハウジング10に給電用金属板40,40を設置する。このとき、給電用金属板40,40に設けたリブ孔42,42,42,42がハウジングに設けた給電用金属板取付ボス14に嵌合するようにして取り付けることで位置決めがなされる。次いで、LED光源31を実装したLED搭載基板30を取り付ける。このとき、カシメ部44は直線状にレンズカバー20側に折り曲げた形状とされ、カシメ部44が取付孔32に差し込まれるようにする。また、搭載基板ボス孔33がにLED搭載基板取付ボス15に嵌合することにより所定の位置決めがなされる。次いで、カシメ部44をカシメて折り曲げることによりLED搭載基板30と一対の給電用金属板40,40を一体化する。
【0025】
また、カシメ部44をカシメたときには、
図4および
図6に示すようにカシメ部44の先端側がLED搭載基板30の表面とほぼ平行になるように折り曲げを行い、
図8に示すようにLED搭載基板30のレンズカバー20側の表面に設けた図示しない配線パターンと電気的に接続する。なお、
図4および
図6において、カシメ部44は折り曲げた状態を示しており、
図6では給電用金属板40の配設状態をわかりやすくるために、LED搭載基板30を透明なものとして図示している。また、カシメ部44とLED搭載基板30のレンズカバー20側の表面に設けた図示しない配線パターンとの電気的な接続を確実にするため、半田などの導電性材料により両者を接続して併用することが好ましい。
【0026】
また、LED搭載基板30と給電用金属板40をカシメ部にて一体化したときには、上部金属板平坦面41aが、
図8に示すようにLED搭載基板30の裏面(LED光源31を搭載していない側)の裏面側面接触部34と面接触する。面接触することで、LED搭載基板30と給電用金属板40との熱伝導が向上する。
【0027】
さらに、上部金属板平坦面41aを設けるハウジングの上部平坦面13aには、メッシュ状リブ16が形成されている。メッシュ状リブ16は格子状に立設した複数のリブからなり、その上面に給電用金属板40が載置される。メッシュ状リブ16を形成しない均一な平坦面の場合に比べてハウジング10の熱上昇を抑制することができる。また、メッシュ状リブ16の一部は、給電用金属板40を介してLED搭載基板30で覆われ、一部は給電用金属板40を介すことなくてLED搭載基板30で覆われる。これにより、LED搭載基板30のLED光源31を実装した部分の裏面側にメッシュ状リブ16により囲われた空間17aが形成されることになる。ハウジング10との間に空気室となる空間17aを有することになり、ハウジング10の上部平坦面13aに対応する位置の裏面側に伝わる熱を低減することができる。
【0028】
給電用金属板40およびLED搭載基板30の、ハウジング10への工程は、前記した下部平坦面ボス14cおよびLED搭載基板取付ボス15によりなされる。具体的には、ボス14c,15を熱してた状態で圧力を加えてボスを変形させて給電用金属板40およびLED搭載基板30を固定する熱カシメを行なう。なお、熱カシメは、下部平坦面ボス14cおよびLED搭載基板取付ボス15の合計4箇所で行ない、上部平坦面ボス14aおよび中間平坦面ボス14bは位置決め用のボスとして機能するが、これに限るものではない。
【0029】
レンズカバー20は、透明な樹脂性材料により形成され、例えばアクリルやポリカーボネートなどの樹脂材料により成型する。レンズカバー2の周囲にはシール脚22が形成され、ハウジング10の周縁シール部17と溶着して一体化する。シール脚22は、ハウジング10の前面開口11に向かっており、レンズカバー20はお碗形状となる。このお碗形状のレンズカバー20のシール脚22を周縁シール部17に溶着することで、ドアミラーランプ1の強度を向上させることができる。
【0030】
特に、階段状折れ曲がり部12および給電用金属板40にて強度を向上させ、さらに、シール脚22にて階段状折れ曲がり部12および給電用金属板40にて向上させた強度の方向と異なる方向の強度を向上させている。それゆえ、曲面、折れ曲がり面および肉厚金属により強度を向上しているので、レンズカバー20およびハウジング10の材料自体の厚みを薄く成型することが可能となり、強いてはドアミラーランピ1の軽量化を図ることができる。
【0031】
また、レンズカバー20の一部は表面側に突出する凸部を形成し、当該凸部が発光面1aとなる。発光面1aはドアミラー側面2aと意匠的にマッチングするようにされており、本実施形態では連続する曲面となるように形成されている。発光面1aの内面、即ち灯室50と接する側の表面にはプリズムレンズ21が形成されている。プリズムレンズ21はLED光源44から照射される光を所定の配光パターンが得られるように屈折させるレンズ素子を形成するものであり、本実施形態では微小なプリズムを多数形成している。なお、図面においてはプリズムレンズ21が微小であるため断面図において直線にて図示している。
【0032】
叙述のごとく構成された本発明の実施形態のドアミラーランプを製造する際には、汎用のプリント基板などのLED搭載基板30、2種類の折り曲げた給電用金属板40、ハウジング10およびレンズカバー21を用意するのみでよく、部品点数が少ない。また、その組み付け作業も、ハウジング10に給電用金属板40を所定位置に取り付け、その上にLED搭載基板を設置し、カシメ固定を行ない、ボスを熱カシメした後に、レンズカバーにてシールすれば良い。それぞれの部品はハンドリングが容易な大きさとされ、取扱い性にも優れ、組み付け性も向上する。したがって、組み付け作業も容易に行なうことができ、総じてコストを低減することができる。また、コネクタ部18も一体に形成され、その端子も別体に用意する必要がない。さらに、本実施の形態では、ドアミラー側面2aに設置しているので、LED光源31をLED搭載基板30の同一平面上に同じ光軸方向を向いて取り付け、その上に設けるプリズムレンズとの組み合わせで所定の配光を得ることができる。したがって、従来のように異なる光軸方向となるように、別々の向きに配置する煩雑さも解消される。
【0033】
また、上記したドアミラーランプ1をドアミラー2に取り付ける場合には、
図3および
図3に示したように一体化したドアミラーランプ1をドアミラー側面2aの位置となるミラーハウジング4の切り欠き部4aにドアミラーカバー5側から嵌め込む。このとき、レンズカバー20の発光面1aとなる周囲にガスケット45を両面テープなどで固定しておき、それを嵌め込むことでミラーハウジング4との水密性を保つことができる。その後に、
図2に示すようなドアミラーカバー5を図示しないシールパッキンを介して固定することで組み付けが完了する。なお、ドアミラーランプ1に接続する電源用端子は、ミラーハウジング4とドアミラーカバー5の間の空間に図示しないソケットを用意しておき、コネクタ部18に取り付けることで必要な電気的な配線が終了する。
【0034】
ドアミラーランプ1はドアミラー側面2aに位置し、LED搭載基板30はドアミラー側面2aの車両上下方向(z方向)と平行に長辺が位置するように矩形形状にて配置される。また、LED光源31も、車両上下方向(z方向)と平行に並んで配置する。したがって、狭いドアミラー側面2aに発光面1aを設けることができる。この狭いドアミラー側面2aにドアミラーランプ1を設けることで、車両側方方向のみでなく、車両進行方向および車両進行方向と反対方向にも光を照射することが可能となる。それゆえ、欧州規格などの規格に適合するように形成することが可能となり、例えば、その配光範囲として上下方向±15°、左右方向5°〜60°において0.6cd〜200cdの光度を満たすことができる。また、給電用金属板40が水平方向と平行な方向に配設される。したがって、ドアミラーランプ1をドアミラー2に組み付ける際の強度を給電用金属板により高めているので、組み付け時に変形や歪が生じないようにすることができる。さらに給電用金属板40とドアミラー2内部に収納されるミラーの可動範囲とほぼ平行となるので、給電用金属板40を介して放熱されるLED光源31からの熱を、ドアミラー側面2a側からおよびミラー側の両方から外部に放熱することができる。
【0035】
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。例えば、ドアミラーランプをダミラーカバーに設けたり給電用金属板を3枚用いるなどとしたドアミラーランプにも適用できる。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。