【実施例】
【0025】
次に実施例により、本発明をさらに詳しく説明する。
なお、実施例中における特性は、下記の方法により求めた。
【0026】
(1)通気性
JIS L 1096:8.27.1 A法(フラジール形法:試験差圧125Pa)に準じ測定を行い、次の基準で判定した。
1.0cc/cm
2/s以上 ○
0〜1.0cc/cm
2/s ×
【0027】
(2)洗濯耐久性
JIS L 0217:103法に準じ、10回の繰り返し洗濯処理を行ない、布帛の表面状態を観察し、次の基準で判定した。
外観検査:
変化無し ○
一部樹脂剥がれ・色落ち有り △
樹脂剥がれ・色落ち大 ×
性能評価:洗濯前後の上記(3)で測定される熱放射率の変化率が
10%未満 ○
10%以上20%未満 △
20%以上 ×
【0028】
(3)平均熱放射率
各色につき2箇所づつD and S AERD放射率計(Devices & Services社製)にて測定し、その平均値を算出した。
【0029】
(4)偽装性
試料を樹木の前に吊るし、背景との混和をA〜Cの条件で確認し、次の基準で偽装性を判定した。
識別困難 ○
偽装効果有り △
識別容易 ×
A.遠赤外線偽装性
検出波長8〜14μmの赤外線画像装置(遠赤外線カメラ)を用いて、100mの距離から観察し、上記基準にて判定した。
B.近赤外線偽装性
近赤外線カメラを用いて、100mの距離から観察し、上記基準にて判定した。
C.可視偽装性
目視で100mの距離から観察し、上記基準にて判定した。
【0030】
実施例1
総繊度83dtex、フィラメント数36本のポリエステル繊維100%からなる目付け65g/m
2の平組織の織物を常法により精練・熱セットした。しかる後、生アルミを粉砕して得たアルミ粒子の表面をアクリル樹脂への重合で被覆し、粒子径10〜16μmの被覆アルミニウム粒子を得た。これをウレタン−ポリエステル樹脂、ポリイソシアネート硬化剤と混合し、乾燥皮膜塗布量が9g/m
2となるように凸版印刷(フレキソ印刷)法により3度塗布し、乾燥した。次いで、アルミニウム含有樹脂層上に、淡緑色、濃緑色、茶色および黒色の顔料とビヒクルからなる4色のインキ組成液を用い、各色の膜厚が2〜5μmになるように凸版印刷(フレキソ印刷)法により塗布、乾燥し、迷彩模様を有する着色剤含有樹脂層を形成した。しかる後、パッド、ドライ、キュア法にて布帛に“アサヒガード”GS10(フッ素系撥水剤、旭硝子(株)製)の3%水溶液を付着率40%になる様に付与し、120℃で1分間乾燥した後、180℃で40秒間熱処理して撥水処理布帛を得た。
このようにして得られた偽装布帛の特性を後述の表1に示した。実施例1の偽装布帛は、森林に混和した可視・近赤外線偽装性および遠赤外線偽装性が認められ、通気性・洗濯耐久性とも優れていた。
【0031】
比較例1
実施例1と同一のポリエステル繊維100%からなる目付け65g/m
2の平組織の織物を常法により精練・熱セットした。しかる後、表面を被覆していない粒子径10〜16μmのアルミニウムをウレタン−ポリエステル樹脂、ポリイソシアネート硬化剤と混合し、乾燥皮膜塗布量が9g/m
2となるように凸版印刷(フレキソ印刷)法により3度塗布し、乾燥した。次いで、実施例1と同一の方法で着色剤含有樹脂層の形成、撥水加工を実施した。
このようにして得られた偽装布帛の特性を後述の表1に示した。比較例1の偽装布帛は、森林に混和した可視・近赤外線偽装性および遠赤外線偽装性が洗濯前では認められ、通気性も十分であったが、洗濯耐久性がなく、洗濯後の偽装性が不十分であった。
【0032】
比較例2
実施例1と同一のポリエステル繊維100%からなる目付け65g/m
2の平組織の織物を常法により精練・熱セットした。しかる後、表面をアクリル樹脂で被覆したアルミニウム箔を裁断して得たアルミニウム材料を得た。このアルミニウム材料は樹脂で被覆されていない部分が存在した。これをウレタン−ポリエステル樹脂、ポリイソシアネート硬化剤と混合し、乾燥皮膜塗布量が9g/m
2となるように凸版印刷(フレキソ印刷)法により3度塗布し、乾燥した。次いで、実施例1と同一の方法で着色剤含有樹脂層の形成、撥水加工を実施した。
このようにして得られた偽装布帛の特性を後述の表1に示した。比較例2の偽装布帛は、森林に混和した可視・近赤外線偽装性および遠赤外線偽装性が認められ、通気性も十分であったが、洗濯耐久性が満足するレベルにはなかった。
【0033】
比較例3
実施例1と同一のポリエステル繊維100%からなる目付け65g/m
2の平組織の織物を常法により精練・熱セットした。しかる後、実施例1と同一の方法でアクリル樹脂を被覆した粒子径52〜58μmのアルミニウムをウレタン−ポリエステル樹脂、ポリイソシアネート硬化剤と混合し、乾燥皮膜塗布量が9g/m
2となるように凸版印刷(フレキソ印刷)法により3度塗布し、乾燥した。次いで、実施例1と同一の方法で着色剤含有樹脂層の形成、撥水加工を実施した。
このようにして得られた偽装布帛の特性を後述の表1に示した。比較例3の偽装布帛は、森林に混和した可視・近赤外線偽装性および遠赤外線偽装性が洗濯前では認められ、通気性も十分であったが、洗濯耐久性がなく、洗濯後の偽装性が不十分であった。
【0034】
実施例2
実施例1と同一のポリエステル繊維100%からなる目付け65g/m
2の平組織の織物を常法により精練・熱セットした。しかる後、生アルミを粉砕して得たアルミ粒子の表面をアルコキシシランの加水分解反応によってシリカで被覆した後アクリル保護層の重合を施し、粒子径7〜13μmの被覆アルミニウム粒子を得た。しかる後、ウレタン−ポリエステル樹脂、ポリイソシアネート硬化剤と混合し、乾燥皮膜塗布量が3g/m
2となるように凸版印刷(フレキソ印刷)法により1度塗布し、乾燥した。次いで、実施例1と同一の方法で着色剤含有樹脂層の形成、撥水加工を実施した。
このようにして得られた偽装布帛の特性を後述の表1に示した。実施例2の偽装布帛は、森林に混和した可視・近赤外線偽装性および遠赤外線偽装性が認められ、通気性・洗濯耐久性とも優れていた。
【0035】
比較例4
実施例1と同一のポリエステル繊維100%からなる目付け65g/m
2の平組織の織物を常法により精練・熱セットした。しかる後、実施例2と同一の被覆アルミニウム粒子をウレタン−ポリエステル樹脂と混合し、塗布量が3g/m
2となるように凸版印刷(フレキソ印刷)法により1度塗布し、乾燥した。次いで、実施例1と同一の方法で着色剤含有樹脂層の形成、撥水加工を実施した。
このようにして得られた偽装布帛の特性を後述の表1に示した。比較例4の偽装布帛は、森林に混和した可視・近赤外線偽装性および遠赤外線偽装性が洗濯前では認められ、通気性も十分であったが、洗濯耐久性がなく、洗濯後の偽装性が不十分であった。
【0036】
実施例3
実施例1と同一のポリエステル繊維100%からなる目付け65g/m
2の平組織の織物を常法により精練・熱セットした。しかる後、生アルミを粉砕して得たアルミ粒子の表面をアルコキシシランの加水分解反応によってシリカで被覆し、粒子径10〜16μmの被覆アルミニウム粒子を得た。しかる後、ウレタン−ポリエステル樹脂、ポリイソシアネート硬化剤と混合し、乾燥皮膜塗布量が9g/m
2となるように凸版印刷(フレキソ印刷)法により3度塗布し、乾燥した。次いで、実施例1と同一の方法で着色剤含有樹脂層の形成、撥水加工を実施した。
このようにして得られた偽装布帛の特性を後述の表1に示した。実施例3の偽装布帛は、森林に混和した可視・近赤外線偽装性および遠赤外線偽装性が認められ、通気性・洗濯耐久性とも優れていた。
【0037】
比較例5
実施例1と同一のポリエステル繊維100%からなる目付け65g/m
2の平組織の織物を常法により精練・熱セットした。一方、ポリエステルフィルム上に離型層を介して真空蒸着により、アルミニウムの膜厚が0.05μmになるように蒸着加工を施した上に、接着層として5μmの膜厚を有するポリウレタン系樹脂を塗布した。しかる後、上記フィルム上に形成されたアルミニウム薄膜層を接着層を介してかかる織物表面に転写した。次いで、実施例1と同一の方法で着色剤含有樹脂層の形成、撥水加工を実施した。
このようにして得られた偽装布帛の特性を後述の表1に示した。比較例5の偽装布帛は、森林に混和した可視・近赤外線偽装性および遠赤外線偽装性が認められ、洗濯耐久性も十分であったが、通気性がなかった。
【0038】
比較例6
実施例1と同一のポリエステル繊維100%からなる目付け65g/m
2の平組織の織物を常法により精練・熱セットした。次いで、スパッタリング装置を用い、この織物の表面に、アルミニウムの膜厚が0.05μmになるように調整し、アルゴン雰囲気中で蒸着加工を施し、織物表面にアルミニウム薄膜層を形成した。次いで、実施例1と同一の方法で着色剤含有樹脂層の形成、撥水加工を実施した。
このようにして得られた偽装布帛の特性を後述の表1に示した。比較例6の偽装布帛は、森林に混和した可視・近赤外線偽装性および遠赤外線偽装性が洗濯前では認められ、通気性も十分であったが、洗濯耐久性がなく、洗濯後の偽装性が不十分であった。
【0039】
【表1】