(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
プリンタ装置が描画データから生成したプリント制御のためのプリントデータを入力し、この入力したプリントデータからプリント内容が反映されたビットマップデータを生成して展開するビットマップ生成・展開手段と、
展開された前記ビットマップデータから、用紙の余白部分にプリントされるプリント品質検査のための検査用キャラクタを読み取るキャラクタ読取手段と、
前記キャラクタ読取手段による検査用キャラクタの読み取り結果に基づいて前記用紙にプリントされるインクの位置ずれまたはページ単位のずれを判定するプリント品質判定手段と、
を備えることを特徴とするプリント検査装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インクジェットプリンタのプリント速度については高速化が推し進められているが、これに伴って次のような問題が生じている。カメラはラインごとに走査を行いながらプリントされた用紙を撮像していくのであるが、この走査速度には制約がある。このため、現状においては、カメラの走査速度が、プリント速度(すなわちプリント用紙の送り速度)に対応できていないような状況となっている。
【0005】
上記のような状況のもとで検査用のキャラクタ(文字等)を撮像しようとした場合には、走査線の間引きを行ったうえで撮像することが必要になる。しかし、走査線の間引きを行えば、撮像される画像は、走査線の間引き率に応じて垂直方向のサイズが短縮されてしまう。これは、撮像により得られたイメージ上でのキャラクタの縦横比が、現実に用紙にプリントされたキャラクタの縦横比に対して異なってしまうことを意味する。
【0006】
撮像画像からのキャラクタの判読のためには、例えば、予め静止状態の用紙を撮像して検査対象のキャラクタの読み込みを行い、この読み込みを行ったキャラクタに対応した判読値をティーチングして辞書を作成しておくようにする。そして、実際の検査時においては、撮像された画像データと辞書に登録された判読値とを照合することによりキャラクタを判読するようにされている。
【0007】
上記のキャラクタ判読手法の場合、辞書の判読値はプリントされたキャラクタが有する本来の縦横比に対応することになる。
正常にプリントされたキャラクタは、そのままの縦横比で撮像されることが前提となる。このために、高速プリント対策として走査線の間引きを行って撮像した場合には、撮像により得られたイメージ上のキャラクタと、用紙にプリントされたキャラクタとで互いの縦横比が異なってしまう。これにより、キャラクタの判読ができなくなるという問題を抱えることになる。
【0008】
なお、特許文献1に記載の技術もプリント速度の高速化に対応して、予め設定した項目に係わるすべての印字結果の検査を可能とするためのものである。しかし、特定の印字箇所をOCRカメラで撮像する構成を採っているため、さらなる高速化に対応しようとすれば、走査線の間引きが必要になる。したがって、特許文献1に記載の技術では、撮像されたキャラクタと印字されたキャラクタの縦横比の相違によって判読できなくなるという上記の問題を回避することはできない。
【0009】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、プリンタのプリント速度の高速化に係わらず、プリント品質検査のためのキャラクタを判読できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、プリンタ装置が描画データから生成したプリント制御のためのプリントデータを入力し、この入力したプリントデータからプリント内容が反映されたビットマップデータを生成して展開するビットマップ生成・展開手段と、展開された前記ビットマップデータから、
用紙の余白部分にプリントされるプリント品質検査のための検査用キャラクタを読み取るキャラクタ読取手段と
、前記キャラクタ読取手段による検査用キャラクタの読み取り結果に基づいて前記用紙にプリントされるインクの位置ずれまたはページ単位のずれを判定するプリント品質判定手段と、を備えることを特徴とするプリント検査装置である。
【0011】
また、本発明は、プリンタ装置とプリント検査装置とを備え、前記プリンタ装置は、描画データからプリント制御のためのプリントデータを生成するとともに、当該生成したプリントデータを前記プリント検査装置に対して出力するプリントデータ生成手段を備え、前記プリント検査装置は、前記プリントデータからプリント内容が反映されたビットマップデータを生成して展開するビットマップ生成・展開手段と、展開された前記ビットマップデータから
用紙の余白部分にプリントされるプリント品質検査のための検査用キャラクタを読み取るキャラクタ読取手段と
、前記キャラクタ読取手段による検査用キャラクタの読み取り結果に基づいて前記用紙にプリントされるインクの位置ずれまたはページ単位のずれを判定するプリント品質判定手段と、を備えることを特徴とするプリンタシステムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、プリンタのプリント速度の高速化に係わらずプリント品質検査のためのキャラクタを判読可能になるという効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[プリンタシステムの構成例]
図1は、本発明を実施するための形態(実施の形態)におけるプリンタシステム1の構成例を示す図である。この図に示されるように、本実施の形態のプリンタシステム1は、プリンタ10、検査装置20、ホストコンピュータ30および入力操作部40を備えて成る。
【0015】
ホストコンピュータ30は、起動中のアプリケーションによって、文書ファイルの内容に対応した描画データを生成し、この描画データを所定のインターフェースを介してプリンタ10に転送する。
【0016】
プリンタ10は、プリント用紙50に対してプリントを行う。なお、ここでのプリンタ10のプリント方式はインクジェット方式であることとする。この図に示されるプリンタ10は、プリントデータ生成部11、ヘッド12a〜12dおよび用紙搬送機構13を備えている。
【0017】
プリントデータ生成部11は、ホストコンピュータ30から転送された描画データからプリントデータを生成する。このプリントデータは、例えば、CMKYの各色に対応したドットデータとなる。ヘッド12a〜12dは、それぞれ、黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)および黄色(Y)に対応したインクを吐出するヘッドである。
【0018】
プリントデータ生成部11はプリント制御を実行する。すなわち、用紙搬送機構13を制御して所定の速度タイミングによりプリント用紙50を搬送させながら、生成したプリントデータに基づいてヘッド12a〜12dの各々から所定のタイミングでインクが吐出されるように制御する。これにより、プリント用紙50に対して、ホストコンピュータ30のアプリケーションで開かれている文書ファイルの内容がプリントされる。また、本実施の形態のプリントデータ生成部11は、所定のデータインターフェースを介して、生成したプリントデータを検査装置20に対して転送するようにもされている。
【0019】
検査装置20は、プリンタ10によるプリント品質を検査する。なお、インクジェット方式のプリンタに対応した検査内容としては、大きく2つに分けられる。1つはヘッドからのインク落ちによりプリント用紙に付着する汚れやインク詰まりによってプリントされなかった部分の検査である。また、もう1つは色ずれを対象とする検査である。プリンタ10のコントローラに相当するプリントデータ生成部11に何らかのトラブルが生じたことにより、このプリントデータ生成部11が生成したプリントデータの内容にエラーが生じる場合がある。このエラーを含んだプリントデータによりプリントが実行されれば後述するように色ずれが生じる。本実施の形態の検査装置20は、後者のプリンタデータのエラーにより発生する色ずれを検査対象とする。
【0020】
この図に示す検査装置20は、ビットマップ生成・展開部21、キャラクタ読取部22、プリント品質判定部23および検査基準データ保持部24とを備える。ビットマップ生成・展開部21は、プリントデータ生成部11から転送されたプリントデータを入力し、このプリントデータからプリント内容に応じたビットマップデータを生成し、内部のメモリに展開する。このように展開されたビットマップデータの画像内容は、例えばインク落ちやインク詰まりなどのトラブルが解消されることを前提とすれば、プリントデータ生成部11により生成されたプリントデータによってプリント用紙50にプリントされる結果と一致する。
【0021】
キャラクタ読取部22は、ビットマップ生成・展開部21にて展開されているビットマップデータから、例えばOCR処理によって検査用キャラクタを判読して読み取る。プリント品質判定部23は、検査用キャラクタの読み取り結果に基づいて、色ずれの発生状態を認識することができる。そして、これらの認識結果に基づいてプリント品質を判定する。
【0022】
検査基準データ保持部24は、次に説明する入力操作部40に対する操作によって登録される検査基準データを保持する部位であり、ハードウェアとしてはRAM、HDD、フラッシュメモリなどの記憶装置などが用いられる。
【0023】
入力操作部40は、作業者がキャラクタ読取部22に対して入力操作を行うために設けられる。本実施の形態において、作業者は、入力操作部40を操作することによって、予め、検査に際して基準となる検査基準データを登録しておくようにする。検査基準データ保持部24は、このように登録された検査基準データを保持する。この検査基準データとしては、検査用キャラクタがプリントされるべき正しい座標のデータや、これらの座標にプリントされるべきキャラクタが何であるのかを示すキャラクタ内容のデータなどとなる。例えば、
図2に示した管理番号61との対応であれば、上記キャラクタ内容のデータについて「100」の文字であることを示す文字コードのデータとすることが考えられる。
【0024】
[検査用キャラクタ例]
図2を参照して本実施の形態における検査用キャラクタの一例について説明する。この
図2にはプリント後の1ページ分のプリント用紙50Aが示されている。このプリント用紙50Aにおいては、主となる文書のプリント内容とともに、左下の余白部分において、それぞれ、検査用キャラクタとして、「100」と描かれた4つの管理番号61(C)、61(M)、61(K)、61(Y)がプリントされる。管理番号61(C)、61(M)、61(K)、61(Y)は、それぞれ、シアン、マゼンタ、黒、黄色のインクのみによって単色でプリントされる。
【0025】
管理番号61の各々が示す数字は、例えばプリント順に対応した連番となる。ここでは「100」となっているが、これは、
図2に示すプリント用紙50Aが100番目(100ページ目)にプリントされたものであることを示している。したがって、例えばこの
図2に示すプリント用紙50Aの次にプリントされたページであれば、管理番号61(C)、61(M)、61(K)、61(Y)は、それぞれ「101」となる。
【0026】
これらの管理番号61は、それぞれ、プリント用紙50Aの1ページ内においてプリントされるべき位置、すなわち座標が予め定められている。したがって、プリントデータ生成部11が正常にプリントデータを生成した場合には、管理番号61は、それぞれ、プリント順に応じた同じ番号を示す数字となり、かつ、プリント用紙50A上において予め定められた座標に対応した位置にてプリントされることになる。
【0027】
これに対して、プリントデータ生成部11にトラブルが生じてプリントデータの内容に誤りが生じた場合には、プリント結果にも不良が生じる。プリント結果の不良として、1つには、プリント用紙50Aにおいて或る色がずれてプリントされるという状態が発生し得る。このような「色ずれ」の状態を、ここでは「位置ずれ」という。この位置ずれを生じている色に対応する管理番号61は、プリント用紙50A上において定義された位置に対してずれてプリントされることになる。また、「色ずれ」の状態として、上記の位置ずれのほか、ページ単位でずれが発生する場合もある。このようなページ単位による「色ずれ」を、ここでは「ページずれ」という。ページずれが発生している色に対応する管理番号61が示す番号は、他のページずれしていない色の管理番号61が示す番号とは異なるものとなる。
【0028】
[本実施の形態における検査用キャラクタの読み取り処理]
例えば、特許文献1のようにプリント後のプリント用紙をカメラで撮像することによりプリント結果を得る構成では、プリント速度(プリント用紙送り速度)の高速化に対応して走査線を間引く必要がある。このため、撮像されたキャラクタの縦横比が本来のものとは異なることになり、キャラクタを判読できなくなるという問題につながっていた。このような問題を回避する対策としては、バーコードやOCR番号に対応した専用のリーダなどをプリンタシステムに追加することが考えられる。しかし、この場合には、専用リーダの追加によってプリンタシステムの規模が増大してしまうという問題を抱える。
【0029】
また、プリント後のプリント用紙をカメラで撮像したイメージからプリント品質を判定する構成では、前述のように、予めプリントされた用紙を撮像して読み込みを行ったキャラクタに対応した判読値をティーチングして辞書を作成することが行われる。しかし、辞書登録時のプリントの状態がその後において常に再現されないこともしばしばあり、そのままでは判読に誤りが生じる。このために、カメラで撮像したデータを補正する処理などを行う必要があり、さらに適切な補正結果と成るように調整することも必要になる。調整に際しては、そのための作業時間と作業用の用紙が消費されるために、作業効率やコスト面で不利となる。
【0030】
これに対して、本実施の形態のプリンタシステム1においては、カメラにより撮像されたプリント用紙50の画像に代えて、プリンタ10のプリントデータ生成部11が生成したプリントデータを取り込み、これをプリント結果として扱う。このプリントデータは、ホストコンピュータ30から入力した描画データを、プリンタ10におけるプリント処理に適合するように変換したものである。したがって、プリントデータ生成部11がプリントデータ生成処理を正常に実行していれば、生成されたプリントデータは、プリントすべき文書ファイルの内容を正しく反映していることになる。これに対して、プリントデータ生成部11のプリントデータ生成処理にエラーが発生していれば、生成されたプリントデータには、例えば
図2で説明した色ずれ(位置ずれ、ページずれ)などのプリント品質不良につながるデータ内容を有していることになる。このことは、プリントデータの内容は、色ずれに関してプリント用紙50にプリントされる結果をそのまま反映していることを意味している。
【0031】
前述のように、検査装置20において、プリントデータはビットマップに展開されたうえで管理番号61の読み取りが行われる。このように展開されたビットマップデータは、カメラにより撮像された画像のデータではなく、プリントデータを変換したものであるから、ビットマップデータ上の管理番号61は、用紙送り方向に対応するサイズが縮むことなく、元の縦横比を保っている。したがって、キャラクタ読取部22がビットマップデータから管理番号61を読み取るにあたり、判読ができなくなることはない。すなわち、本実施の形態においては、プリンタ10のプリント速度の高速化に係わらず、検査用キャラクタを安定して判読し、的確に読み取ることができる。これにより、専用リーダを設ける必要はなくなる。また、本実施の形態の構成であれば予め撮像したイメージに基づく判読値を登録するための辞書を用意する必要もなくなる。このため、検査時において撮像したイメージを補正する必要もなくなり、辞書登録や補正のための調整に費やす作業時間や用紙が節約され、省力化およびコスト削減が図られる。また、プリンタ10のプリント速度に係わらず安定して検査用キャラクタが判読可能となったことで、検査性能を考慮することなくプリンタ10の高速化を促進させることも可能となる。
【0032】
[プリント品質判定動作例]
そして、プリント品質判定部23は、キャラクタ読取部22による検査用キャラクタの読み取り結果を利用して、以下に説明するように位置ずれやページずれなどの色ずれに関するプリント品質の判定を行うことができる。
【0033】
図3は、プリント品質判定部23が行うプリント品質に関する判定動作例を模式的に示している。なお、ここでの説明にあたって、検査用キャラクタは
図2にて説明した管理番号61であるとする。この場合、検査基準データは、4色の管理番号61ごとに、これらがプリントされるべき正しい座標値のデータと、「100」の数字であることを示すデータとを含むものとする。
【0034】
図3(a)は、或る1色に対応する管理番号61に関して、検査基準データにより定義される座標範囲を波線により示している。この図に示すように、検査基準データにより定義される座標の集合によっては「100」という数字が形成される。また、ここでは、以降の説明の便宜上、検査基準データにより定義される「100」における座標のうち、「1」の数字部分における左上の角に対応する座標を(x1,y1)とする。
【0035】
図3(b)は、
図3(a)と同じ単色に対応するものとしてビットマップデータから判読された管理番号についてのビットマップデータ上の座標の集合範囲を示している。ここでは、管理番号「100」を形成するビットマップ上の座標のうち、「1」の数字部分における左上の角に対応する座標を(x2,y2)とする。プリント品質判定部23は、プリント品質の検査にあたり、例えば、上記
図3(a)の検査基準データと、
図3(b)の読み取り結果とを照合する。
【0036】
図3(c)は、読み取られた管理番号61の座標が正しかった場合の照合処理結果を模式的に示している。この場合、図示するように、同じ「100」の数字を形成する検査基準データが示す座標とビットマップデータからの読取部分の座標は一致することになる。この際、座標(x1,y1)と座標(x2,y2)は同じ値となる。このように、検査基準データの座標とビットマップデータからの読み取り部分の座標とが一致した場合には、実際のプリント結果も、色ずれが生じていない状態であるとみなすことができる。すなわち、この場合のプリント品質判定部23は、プリント品質が良好であると判定する。なお、搬送されるプリント用紙50のずれなどを考慮して、検査基準データが示す座標に対して一定のマージンを設定し、この設定されたマージンの範囲内に読取部分の座標が含まれていればプリント品質が良好であると判定するようにしてもよい。
【0037】
これに対して、
図3(d)に例示するように、読取部分として判読された数字は検査基準データと同じ「100」ではあるものの、検査基準データが示す座標と読取部分の座標とが一致せずにずれていたとする。このような照合結果となった場合、この管理番号61に対応する単色はページ内で位置ずれを生じた状態でプリント用紙50にプリントされているとみなすことができる。したがって、この場合のプリント品質判定部23は、位置ずれの発生によりプリント品質が不良であると判定する。
【0038】
また、
図3(e)に例示する状態では、座標(x1,y1)と座標(x2,y2)が同じ値となっている。これは、位置ずれに関しては発生していないことを示している。しかし、この場合には、検査基準データによると管理番号61として「100」の数字を示すべきであるのに係わらず、ビットマップデータから判読された数字は「101」であると判読されている。
【0039】
このような状態の場合、プリント品質判定部23は、検査基準データによりキャラクタ内容として示される「100」という数字と、ビットマップデータから判読した「101」という数字とを照合することで、両者が異なっていることを認識できる。そして、この認識結果は、この管理番号61に対応する色にページずれが発生している状態であるとみなすことができる。そこで、この場合のプリント品質判定部23は、ページずれが発生していることによりプリント品質が不良であると判定する。なお、ページずれの状態として、位置ずれとページずれが併発する可能性もあるが、上記の判定手法の説明から理解されるように、プリント品質判定部23は、位置ずれと色ずれが併合して発生している状態を判定することができる。また、本実施の形態の場合、ビットマップデータから安定してキャラクタが判読されることから、上記の判定結果についても高い信頼性が得られることになる。
【0040】
[プリンタシステムの処理手順例]
図4のフローチャートは、本実施の形態のプリンタシステム1におけるプリンタ10(プリントデータ生成部11)と検査装置20が実行する処理手順例を示している。まず、プリンタ10のプリントデータ生成部11は、ステップS101において、ホストコンピュータ30から送信される描画データを入力し、続くステップS102において、入力した描画データからプリントデータを生成する。
【0041】
次に、プリントデータ生成部11は、ステップS103において、上記ステップS102により生成したプリントデータを検査装置20に転送する。また、プリントデータ生成部11は、ステップS104において、上記ステップS102により生成したプリントデータを利用してプリント用紙50に対してプリントが行われるようにプリント制御を実行する。
【0042】
また、検査装置20におけるビットマップ生成・展開部21は、ステップS201において、上記ステップS103によってプリンタ10(プリントデータ生成部11)から転送されてくるプリントデータを入力する。そして、ビットマップ生成・展開部21は、ステップS202において、入力したプリントデータからビットマップデータを生成し、この生成したビットマップデータをメモリ上に展開する。すなわち、プリント結果をビットマップデータとしてメモリ上に展開する処理を行う。
【0043】
次に、検査装置20におけるキャラクタ読取部22は、展開されたビットマップデータから検査用キャラクタを判読して読み取る処理を実行する。この検査用キャラクタ読み取り処理に際しては、例えば、展開されたビットマップデータにおいて、検査基準データが示す検査用キャラクタの座標を中心として、その周囲における一定の座標範囲を処理対象とすればよい。
【0044】
次に、プリント品質判定部23は、ステップS204において、上記ステップS203により読み取った検査用キャラクタと、検査基準データ保持部24が保持する検査基準データとを利用して、
図3にて説明したプリント品質の判定処理を実行する。なお、プリント品質の判定結果に応じてプリンタシステム1において実行される基づく修正、調整のための動作は多様に考えることができる。
【0045】
[検査用キャラクタ:他の態様例]
例えば特許文献1に記載されるような構成の場合、カメラにより撮像されたイメージから的確に検査用キャラクタを読み取り可能とするために、検査用キャラクタのサイズを一定以上に大きくする必要がある。しかし、プリント用紙50には、本来、広告や帳票などの内容がプリントされるものであるために、たとえ余白部分であっても、同じプリント用紙50に検査用キャラクタが大きなサイズでプリントされれば見栄えがよくない。また、比較的狭い範囲の余白部分に検査用キャラクタをプリントしなければならないために、検査用キャラクタのサイズや位置についても制約が多い。
【0046】
これに対して本実施の形態の場合、プリントデータから展開したビットマップデータから検査用キャラクタの読み取りが行われるため、カメラにより撮像したイメージデータを用いる必要がない。そして、展開されたビットマップデータから検査用キャラクタを読み取るにあたっては、特に検査用キャラクタを大きくする必要もない。したがって、本実施の形態の場合には、例えば非常に小さなサイズの文字(マイクロ文字)も検査用キャラクタとして使用することができる。これにより、プリント用紙50上において検査用キャラクタをプリントする位置についての自由度は著しく高くなる。また、プリントされた内容の見栄えもよくすることができる。
【0047】
さらに、展開されたビットマップデータから検査用キャラクタを読み取る本実施の形態の構成のもとでは、上記の考え方を推し進めて、ドット単位を検査用キャラクタとして扱うことも可能となる。このようなドット単位を検査用キャラクタとした場合の一例を
図5に示す。なお、一例であるが、1つのドットのサイズは、600dpi(dot per inch)の場合に約42μmとなる。
【0048】
図5に示されるプリント用紙50Aにおいては、本来のプリント内容に加えて、紙面の左上、右上、左下および右下の角部近傍において、それぞれ、ドット71(M)、71(C)、71(Y)、71(K)が示されている。これらドット71(M)、71(C)、71(Y)、71(K)は、それぞれ、マゼンタ、シアン、黄色、黒のみのインクにより1ドット分だけプリントされた部分である。これらのドット71(M)、71(C)、71(Y)、71(K)がプリントされるべき座標は、いずれも、予め定められている。ここでは、ドット71(M)、71(C)、71(Y)、71(K)の各座標を、Pm(x、y)、Pc(x、y)、Py(x、y)、Pk(x、y)として示している。
【0049】
この場合の検査基準データは、座標Pm(x、y)、Pc(x、y)、Py(x、y)、Pk(x、y)の各々において、マゼンタ、シアン、黄色、黒のドットが位置すべきことを示す内容を有するものとなる。そして、キャラクタ読取部22は、
図4のステップS203における検査用キャラクタ読取処理として、これらのドット71(M)、71(C)、71(Y)、71(K)の読み取りを行う。この場合には、ドットについての色認識を行うことで検査用キャラクタの判読が行えたことになる。そして、ステップS204のプリント品質判定にあたっては、ドット71(M)、71(C)、71(Y)、71(K)ごとについて、ビットマップデータから読み取った座標と、検査基準データにおいて定義されている座標とを照合し、これらの座標の誤差に基づいて、例えば位置ずれが発生しているか否かを判定することができる。また、例えば、ドット71(M)、71(C)、71(Y)、71(K)がプリントされるべき座標について、ページごとに所定の順序で変更されるように定義しておく。このようにすれば、読み取りを行ったドット71の色と、基準データにより示される色とを照合することで、ページずれの判定を行うことが可能である。
【0050】
また、
図6は、検査用キャラクタをドットの集合により形成し、これを識別コードとして利用する例を示している。この図に示される検査用キャラクタである識別コード80は、所定の縦×横のドット数から成るマトリクスによりドット71(M)、71(C)、71(Y)、71(K)を配列して形成されている。そして、このドットマトリクスとして配列される上記4色のドット71の配列パターンごとに定義を与えることができる。このような識別コード80は、例えば管理番号の代替として用いることができる。この場合には、4色のドット71の所定の配列パターンごとに1つの管理番号が対応するように定義すればよい。また、識別コード80は、管理用バーコードの代替として用いることができる。また、プリント用紙50にプリントされるメインの内容が各種の帳票である場合には、所定の配列パターンごとに帳票の種別を定義することで帳票識別機能を与えることもできる。
【0051】
また、識別コードについては
図7のように形成することもできる。まず、
図7(a)に示す識別コード80Aは、所定の縦×横のドット数分による座標範囲において、所定パターンによりドット71を配置して形成されている。
【0052】
さらに、
図7(b)に示すようにキューマーク90を形成する領域内に識別コード80Aを配置するという態様も考えることができる。キューマーク90は、例えばページ単位でのプリントタイミングをプリンタ10が認識するために、プリント用紙50における所定位置に配置されるマークであり、例えば黒色で塗りつぶされた方形として形成される。このキューマーク90は、例えばプリンタ10が備えるキューマークセンサ(
図1においては図示せず)によって光学的に検知される。キューマーク90の領域内に識別コード80Aを配置する際には、識別コード80Aを形成する各色のドット71を拡散して配置させたパターンとしておけば、キューマークセンサには黒色ベタのキューマーク90であるとして認識させることができる。この
図7(b)のような態様とすれば、例えば人の視覚によっても識別コード80Aがキューマーク90に隠れて見えなくなるため、プリントされた紙面の見栄えがよくなる。
【0053】
このように、本実施の形態における検査用キャラクタとしての概念には、まず、管理番号61のような1以上の文字から成る文字列(数字も含む)を含めることができる。また、文字列以外に限定されるものではなく図柄なども含めることができる。さらに、
図6および
図7に例示したように、各インクの色によるドットを配列して成るドットパターンも含めることができる。
【0054】
また、上記実施の形態においては、作業者が入力操作部40に対する操作を行って検査基準データを検査装置20(検査基準データ保持部24)に登録することとしているが、例えばホストコンピュータ30がプリント対象の文書ファイルのデータに基づいて検査基準データを作成し、これをデータインターフェース経由で検査装置20に登録できるように構成することも考えられる。
【0055】
また、これまでの実施の形態において、プリンタ10はインクジェット方式であるとしていたが、インクジェット方式以外のプリント方式によるプリンタにも本実施の形態の構成を適用することができる。
【0056】
また、本発明の実施の形態において説明した処理手順は、これら一連の手順を有する方法として捉えることができる。また、これら一連の手順をコンピュータに実行させるためのプログラムまたはそのプログラムを記憶する記録媒体として捉えることができる。この記録媒体としては、例えば、ブルーレイディスク(Blu−ray Disc(登録商標))、DVD(Digital Versatile Disk)、HDD(ハードディスク)、メモリカード等を挙げることができる。