(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1には、アンダーストロークの補正に関する記載はない。また、特許文献1の電子部品実装機によると、吸着ノズルの下降量の補正に、ラインセンサ、装着力測定素子という二つのセンサが必要である。このため、補正作業が複雑である。また、補正作業に時間がかかる。
【0010】
本発明の電子部品実装機および部品高さ測定方法は、上記課題に鑑みて完成されたものである。本発明は、簡単に電子部品の部品高さを測定可能な電子部品実装機および部品高さ測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記課題を解決するため、本発明の電子部品実装機は、基板の上面の高度である基板上面高度と略等しい検出高度において検出対象物の接触を検出する上向きの検出面を有する高度センサと、電子部品を吸着する下向きの吸着面を有し、該電子部品を該基板の該上面に装着する吸着ノズルと、該吸着ノズルを下降させ、該吸着面を該検出面に接触させることにより、該吸着面の高度である吸着面高度と、該検出高度つまり該基板上面高度と、を一致させる吸着面接触ステップと、該吸着面に該電子部品が吸着された状態で該吸着ノズルを下降させ、該電子部品の下面を該検出面に接触させることにより、該電子部品の該下面の高度である部品下面高度と、該検出高度つまり該基板上面高度と、を一致させる部品下面接触ステップと、該吸着面接触ステップにおける該吸着ノズルの下降量と、該部品下面接触ステップにおける該吸着ノズルの下降量と、の差分から、該電子部品の高さを算出する部品高さ算出ステップと、を実行する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
ここで、「基板上面高度と略等しい検出高度」とは、制御部が吸着面接触ステップと部品下面接触ステップと部品高さ算出ステップとを実行しても、電子部品の吸着から装着までのサイクルタイムに影響しない程度の高度差を、検出高度が含んでいてもよいことをいう。
【0013】
本発明の電子部品実装機は、高度センサと、吸着ノズルと、制御部と、を備えている。高度センサは、上向きの検出面を備えている。検出面は、基板の上面の高度である基板上面高度と略等しい検出高度において、検出対象物(吸着面接触ステップにおいては吸着ノズルの吸着面、部品下面接触ステップにおいては電子部品の下面)の接触を検出することができる。
【0014】
制御部は、吸着面接触ステップと、部品下面接触ステップと、部品高さ算出ステップと、を実行する。吸着面接触ステップにおいては、電子部品未吸着の状態で吸着ノズルを下降させ、吸着ノズルの吸着面を検出面に接触させる。部品下面接触ステップにおいては、電子部品吸着済みの状態で吸着ノズルを下降させ、電子部品の下面を検出面に接触させる。部品高さ算出ステップにおいては、上記二つのステップ間における吸着ノズルの下降量の差分から、電子部品の部品高さ(電子部品の上下方向厚さ)を算出する。
【0015】
本発明の電子部品実装機によると、単一のセンサ(高度センサ)を用いて電子部品の部品高さを算出することができる。また、算出された部品高さを参照して、電子部品を基板に装着する際の吸着ノズルの下降量(装着ストローク)を決定することができる。このため、オーバーストロークやアンダーストロークの状態になることを、簡単に抑制することができる。
【0016】
また、部品高さ算出ステップにおいては、吸着面接触ステップにおける吸着ノズルの下降量と、部品下面接触ステップにおける吸着ノズルの下降量と、の差分から電子部品の部品高さを算出している。このため、仮に高度センサが検出誤差を有する場合であっても、差分を算出することにより、当該誤差を相殺することができる。したがって、本発明の電子部品実装機によると、部品高さの算出精度が高くなる。
【0017】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、複数の前記電子部品が収容された部品供給部材が交換可能に配置される部品供給装置を備え、前記制御部は、該部品供給部材の交換後に、前記部品下面接触ステップおよび前記部品高さ算出ステップを実行する構成とする方がよい。
【0018】
同じ部品供給部材に収容された複数の電子部品間においては、部品高さがばらつきにくい。これに対して、異なる部品供給部材に収容された複数の電子部品間においては、部品高さがばらつきやすい。この点に鑑み、本構成では、部品供給部材を交換するタイミングで、部品下面接触ステップおよび部品高さ算出ステップを実行している。
【0019】
本構成によると、電子部品の部品高さが変化しやすいタイミングで、部品高さ、つまり電子部品を基板に装着する際の吸着ノズルの下降量を補正することができる。このため、生産開始時に限って部品下面接触ステップおよび部品高さ算出ステップを実行する場合と比較して、電子部品の装着精度が向上する。また、電子部品を装着する度に逐一部品下面接触ステップおよび部品高さ算出ステップを実行する場合と比較して、基板の生産性が向上する。
【0020】
(3)好ましくは、上記(2)の構成において、前記吸着ノズルの前記吸着面に対する前記電子部品の吸着状態を撮像するパーツカメラを備え、前記制御部は、前記部品下面接触ステップの前後のうち少なくとも一方の機会に、該パーツカメラにより該吸着面に対する該電子部品の吸着状態を確認する吸着状態確認ステップを実行する構成とする方がよい。
【0021】
吸着状態確認ステップを実行すると、吸着面に対する電子部品の吸着状態(例えば、位置ずれの有無など)を確認することができる。すなわち、吸着面の所定の位置に所定の状態で電子部品を吸着させることができる。このため、部品下面接触ステップ前に吸着状態確認ステップを実行すると、部品下面接触ステップにおける吸着ノズルの下降量の検出精度が向上する。また、部品下面接触ステップ後に吸着状態確認ステップを実行すると、電子部品の装着精度が向上する。
【0022】
(4)上記課題を解決するため、本発明の部品高さ測定方法は、基板の上面の高度である基板上面高度と略等しい検出高度において検出対象物の接触を検出する上向きの検出面を有する高度センサに対して、下向きの吸着面を有する吸着ノズルを下降させ、該吸着面を該検出面に接触させることにより、該吸着面の高度である吸着面高度と、該検出高度つまり該基板上面高度と、を一致させる吸着面接触ステップと、該高度センサに対して、該吸着面に電子部品が吸着された状態で該吸着ノズルを下降させ、該電子部品の下面を該検出面に接触させることにより、該電子部品の該下面の高度である部品下面高度と、該検出高度つまり該基板上面高度と、を一致させる部品下面接触ステップと、該吸着面接触ステップにおける該吸着ノズルの下降量と、該部品下面接触ステップにおける該吸着ノズルの下降量と、の差分から、該電子部品の高さを算出する部品高さ算出ステップと、を有することを特徴とする。
【0023】
ここで、「基板上面高度と略等しい検出高度」とは、本発明の部品高さ測定方法が実行されても、電子部品の吸着から装着までのサイクルタイムに影響しない程度の高度差を、検出高度が含んでいてもよいことをいう。
【0024】
本発明の部品高さ測定方法は、吸着面接触ステップと、部品下面接触ステップと、部品高さ算出ステップと、を有している。吸着面接触ステップにおいては、電子部品未吸着の状態で吸着ノズルを下降させ、吸着ノズルの吸着面を検出面に接触させる。部品下面接触ステップにおいては、電子部品吸着済みの状態で吸着ノズルを下降させ、電子部品の下面を検出面に接触させる。部品高さ算出ステップにおいては、上記二つのステップ間における吸着ノズルの下降量の差分から、電子部品の部品高さ(電子部品の上下方向厚さ)を算出する。
【0025】
本発明の部品高さ測定方法によると、単一のセンサ(高度センサ)を用いて電子部品の部品高さを算出することができる。また、算出された部品高さを参照して、電子部品を基板に装着する際の吸着ノズルの下降量(装着ストローク)を決定することができる。このため、オーバーストロークやアンダーストロークの状態になることを、簡単に抑制することができる。
【0026】
また、部品高さ算出ステップにおいては、吸着面接触ステップにおける吸着ノズルの下降量と、部品下面接触ステップにおける吸着ノズルの下降量と、の差分から電子部品の部品高さを算出している。このため、仮に高度センサが検出誤差を有する場合であっても、差分を算出することにより、当該誤差を相殺することができる。したがって、本発明の部品高さ測定方法によると、部品高さの算出精度が高くなる。
【0027】
(5)好ましくは、上記(4)の構成において、複数の前記電子部品が収容された部品供給部材が交換可能に配置される部品供給装置において、該部品供給部材の交換後に、前記部品下面接触ステップおよび前記部品高さ算出ステップは実行される構成とする方がよい。
【0028】
本構成によると、電子部品の部品高さが変化しやすいタイミングで、部品高さ、つまり電子部品を基板に装着する際の吸着ノズルの下降量を補正することができる。このため、生産開始時に限って部品下面接触ステップおよび部品高さ算出ステップを実行する場合と比較して、電子部品の装着精度が向上する。また、電子部品を装着する度に逐一部品下面接触ステップおよび部品高さ算出ステップを実行する場合と比較して、基板の生産性が向上する。
【0029】
(6)好ましくは、上記(5)の構成において、前記部品下面接触ステップ前後のうち少なくとも一方の機会に、前記吸着ノズルの前記吸着面に対する前記電子部品の吸着状態を確認する吸着状態確認ステップを有する構成とする方がよい。
【0030】
吸着状態確認ステップを実行すると、吸着面に対する電子部品の吸着状態(例えば、位置ずれの有無など)を確認することができる。すなわち、吸着面の所定の位置に所定の状態で電子部品を吸着させることができる。このため、部品下面接触ステップ前に吸着状態確認ステップを実行すると、部品下面接触ステップにおける吸着ノズルの下降量の検出精度が向上する。また、部品下面接触ステップ後に吸着状態確認ステップを実行すると、電子部品の装着精度が向上する。
【発明の効果】
【0031】
本発明によると、簡単に電子部品の部品高さを測定可能な電子部品実装機および部品高さ測定方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の電子部品実装機および部品高さ測定方法の実施の形態について説明する。
【0034】
<電子部品実装機の機械的構成>
まず、本実施形態の電子部品実装機の機械的構成について説明する。
図1に、本実施形態の電子部品実装機の上面図を示す。
図2に、同電子部品実装機の右側面図を示す。
図3に、
図2の枠III内の拡大図を示す。
【0035】
図1〜
図3に示すように、本実施形態の電子部品実装機1は、ベース2と、XYロボット3と、基板搬送部4と、基板バックアップ部5と、高度センサ6f、6rと、部品供給装置7f、7rと、パーツカメラ8f、8rと、リボルバヘッド9と、制御部と、を備えている。
【0036】
[ベース2]
ベース2は、床面に配置されている。ベース2の上面には、前後一対のX方向ガイドレール20f、20rが配置されている。X方向ガイドレール20f、20rは、左右方向に延在している。X方向ガイドレール20f、20rは、装着ヘッド32をX方向に案内する、X方向ガイド部としての機能を有している。
【0037】
[XYロボット3]
XYロボット3は、X方向移動部30と、Y方向移動部31と、装着ヘッド32と、を備えている。X方向移動部30は、前後一対の脚部300f、300rと、移動部本体301と、を備えている。X軸モータ(図略)の駆動力により、脚部300f、300rは、X方向ガイドレール20f、20rに対して、左右方向に摺動可能である。X軸モータは、吸着ノズルを左右方向に駆動する、X方向駆動部としての機能を有している。移動部本体301は、脚部300f、300r間に架設されている。移動部本体301の右面には、上下一対のY方向ガイドレール302U、302Dが配置されている。Y方向ガイドレール302U、302Dは、装着ヘッド32をY方向に案内する、Y方向ガイド部としての機能を有している。Y軸モータ(図略)の駆動力により、Y方向移動部31は、Y方向ガイドレール302U、302Dに対して、前後方向に摺動可能である。Y軸モータは、吸着ノズルを前後方向に駆動する、Y方向駆動部としての機能を有している。
【0038】
図4に、本実施形態の電子部品実装機の装着ヘッドの透過斜視図を示す。
図5に、同装着ヘッドの左右方向断面図を示す。
図4、
図5に示すように、装着ヘッド32は、ブラケット部320と、Z軸モータ321と、ボールねじ部322と、ナット部323と、ヘッド本体324と、ノズル回転用ギア部325と、フック回転用ギア部326と、を備えている。
【0039】
ブラケット部320は、Y方向移動部31の右面に固定されている。ブラケット部320には、収容孔320aが穿設されている。収容孔320aの内周面には、上下一対の軸受部320bが配置されている。Z軸モータ321は、ブラケット部320の上面に配置されている。Z軸モータ321は、吸着ノズル91を上下方向に駆動する、Z方向駆動部としての機能を有している。ボールねじ部322は、Z軸モータ321の駆動軸に連結されている。ボールねじ部322は、上下方向に延在している。ボールねじ部322の外周面には、螺旋状のねじ部が形成されている。ボールねじ部322は、ヘッド本体324を上下方向に案内する、Z方向ガイド部としての機能を有している。ナット部323の内周面には、螺旋状のねじ部が形成されている。ナット部323は、多数のボール(図略)を介して、ボールねじ部322に螺合されている。ボールねじ部322が軸周りに回転することにより、ナット部323は上下方向に移動可能である。
【0040】
ヘッド本体324は、スプライン軸部324aと、ノズル取付部324bと、を備えている。スプライン軸部324aは、上下方向に延在している。スプライン軸部324aの上端は、ナット部323に取り付けられている。スプライン軸部324aは、ナット部323に対して軸周りに回転可能である。スプライン軸部324aの外周面には、軸方向に延びる直線状のスプライン部が形成されている。スプライン軸部324aは、収容孔320aに挿通されている。ノズル取付部324bは、スプライン軸部324aの下端に配置されている。ノズル取付部324bには、吸着ノズル91を一つ、または複数備えるノズル部材(例えば、後述するリボルバヘッド9)が、交換可能に取り付けられている。
【0041】
ノズル回転用ギア部325は、ギア本体325aと、スプライン筒部325bと、ガイド筒部325cと、を備えている。スプライン筒部325bは、上下方向に延在している。スプライン筒部325bの内周面には、軸方向に延びる直線状のスプライン部が形成されている。スプライン筒部325bは、軸受部320bとスプライン軸部324aとの間に配置されている。スプライン筒部325bとスプライン軸部324aとは噛合している。ギア本体325aは、スプライン筒部325bの下端に配置されている。ギア本体325aとノズル駆動ギア部325d(
図4参照)とは噛合している。ノズル駆動ギア部325dには、第一θ軸モータ(図略)から駆動力が伝達される。第一θ軸モータの駆動力により、ギア本体325aつまりノズル回転用ギア部325は、軸受部320bに対して、軸周りに回転可能である。第一θ軸モータは、吸着ノズルを水平面内で回転させる、θ方向駆動部としての機能を有している。ガイド筒部325cは、ギア本体325aの下面に配置されている。
【0042】
フック回転用ギア部326は、ギア本体326aと、フック326bと、を備えている。ギア本体326aは、ガイド筒部325cの外周面に環装されている。ギア本体326aとフック駆動ギア部326c(
図4参照)とは噛合している。フック駆動ギア部326cには、第二θ軸モータ(図略)から駆動力が伝達される。第二θ軸モータの駆動力により、ギア本体326aつまりフック回転用ギア部326は、ガイド筒部325cに対して、軸周りに回転可能である。第二θ軸モータは、フック326bを水平面内で回転させる、θ方向駆動部としての機能を有している。フック326bは、ギア本体326aの下面に配置されている。フック326bは、下方に延在している。
【0043】
[リボルバヘッド9]
リボルバヘッド9は、ヘッド本体90と、合計12個の吸着ノズル91と、合計12個のレバー部92と、合計12個のキャップ93と、を備えている。ヘッド本体90は、短軸円柱状を呈している。ヘッド本体90は、ノズル取付部324bに交換可能に取り付けられている。ヘッド本体90の外周面には、合計12個のレバー部収容孔900が形成されている。レバー部収容孔900は、径方向に延在している。ヘッド本体90の下面には、合計12個のノズル収容孔901が形成されている。ノズル収容孔901は、上下方向に延在している。レバー部収容孔900の径方向内端とノズル収容孔901の上端とは連通している。
【0044】
レバー部92は、レバー本体920と、揺動軸921と、枠体922と、を備えている。枠体922は、レバー部収容孔900に嵌入されている。レバー本体920は、揺動軸921を介して、枠体922に、縦方向に揺動可能に取り付けられている。リボルバヘッド9が上下方向に移動することにより、レバー本体920の径方向外端は、フック326bに、係脱可能である。
【0045】
キャップ93は、下方に開口する有底筒状を呈している。キャップ93は、ノズル収容孔901の径方向内側に配置されている。キャップ93の上端は、レバー本体920の径方向内端に、係合している。レバー本体920が揺動することにより、キャップ93は、ノズル収容孔901の径方向内側を、上下方向に移動可能である。
【0046】
吸着ノズル91は、キャップ93の径方向内側に嵌入されている。吸着ノズル91の下端面は、吸着面910である。吸着面910には、圧力供給孔(図略)を介して、キャップ93の内部から、負圧、正圧が切替可能に供給される。当該負圧により、吸着ノズル91は電子部品を吸着可能である。また、当該正圧により、吸着ノズル91は電子部品を解放可能である。
【0047】
[基板搬送部4]
図1〜
図3に戻って、基板搬送部4は、前後一対の壁部40f、40rと、前後一対のコンベアベルト41f、41rと、を備えている。基板搬送部4は、ベース2の上面に配置されている。基板搬送部4は、前後一対のX方向ガイドレール20f、20r間に配置されている。基板搬送部4は、X方向移動部30の移動部本体301の下方に配置されている。
【0048】
図3に示すように、壁部40fは、壁部本体400fとクランプ部401fとを備えている。クランプ部401fは、壁部本体400fの上端に配置されている。壁部40rの構成は、壁部40fの構成と同様である。壁部40rの配置は、壁部40fの配置と前後対称である。コンベアベルト41fは、壁部40fの後面に配置されている。コンベアベルト41rは、壁部40rの前面に配置されている。基板搬送時において、基板Bは、コンベアベルト41f、41rにより、左右方向に搬送される。
【0049】
[基板バックアップ部5]
基板バックアップ部5は、バックアップテーブル50と、昇降ロッド51と、多数のバックアップピン52と、を備えている。基板バックアップ部5は、前後一対の壁部40f、40r間に配置されている。昇降ロッド51は、ベース2の上面に対して、上下方向に出没可能に配置されている。バックアップテーブル50は、昇降ロッド51の上端に配置されている。多数のバックアップピン52は、バックアップテーブル50の上面に配置されている。
図1〜
図3に示すように、電子部品装着時において、基板Bは、基板搬送部4のクランプ部401fと、基板バックアップ部5のバックアップピン52と、により上下方向から挟持され、固定される。
【0050】
[高度センサ6f、6r]
高度センサ6fは、センサ本体60fとシャフト61fとを備えている。
図3に示すように、センサ本体60fは、壁部40fの前面に配置されている。シャフト61fは、センサ本体60fの上面から上方に延在している。シャフト61fの上端面は、検出面610fである。検出面610fの高度(検出高度h1)は、電子部品装着時における基板Bの上面の高度(基板上面高度h0)と一致している。検出面610fに検出対象物が接触すると、高度センサ6fは後述する制御部に電気信号を送信する。高度センサ6rは、壁部40rの後面に配置されている。高度センサ6rの構成は、高度センサ6fの構成と同様である。
【0051】
[部品供給装置7f、7r]
部品供給装置7f、7rは、いわゆるテープフィーダである。部品供給装置7fは、ベース2の前縁に取り付けられている。部品供給装置7fには、交換可能に、多数の部品供給部材70fが配置されている。部品供給部材70fは、いわゆるテープである。部品供給部材70fには、多数の電子部品が収容されている。多数の電子部品は、
図1にハッチングで示す部品供給位置P0から、吸着ノズル91により取り出される。部品供給装置7rは、ベース2の後縁に取り付けられている。部品供給装置7rの構成は、部品供給装置7fの構成と同様である。
【0052】
[パーツカメラ8f、8r]
パーツカメラ8fは、脚部300fの右面に配置されている。パーツカメラ8fは、部品供給装置7fと基板Bとの間に配置されている。このため、電子部品装着時において、吸着ノズル91は、必ずパーツカメラ8fの上空を通過する。パーツカメラ8rは、脚部300rの右面に配置されている。
【0053】
<電子部品実装機の電気的構成>
次に、本実施形態の電子部品実装機の電気的構成について説明する。
図6に、本実施形態の電子部品実装機のブロック図を示す。
図6に示すように、制御部10は、演算部100と、記憶部101と、入出力部102と、を備えている。入出力部102には、パーツカメラ8f、8rと、画像処理装置103と、高度センサ6f、6rと、X軸モータ104と、Y軸モータ105と、Z軸モータ321と、第一θ軸モータ106と、第二θ軸モータ107と、が電気的に接続されている。
【0054】
画像処理装置103は、
図2に示すパーツカメラ8f、8rにより撮像された画像を処理する。X軸モータ104は、
図2に示す脚部300f、300rを、X方向ガイドレール20f、20rに沿って移動させる。Y軸モータ105は、
図2に示すY方向移動部31を、Y方向ガイドレール302U、302Dに沿って移動させる。Z軸モータ321は、
図5に示すヘッド本体324、リボルバヘッド9を、スプライン筒部325bの内周面に沿って移動させる。第一θ軸モータ106は、
図4に示すノズル回転用ギア部325、ヘッド本体324、リボルバヘッド9を、回転させる。第二θ軸モータ107は、
図4に示すノズル回転用ギア部325、ヘッド本体324、リボルバヘッド9に対して、フック回転用ギア部326を独立して回転させる。
【0055】
<吸着ノズルの動き>
次に、本実施形態の電子部品実装機の吸着ノズルの動きについて説明する。吸着ノズル91を左右方向に移動させる場合は、
図6に示す制御部10が、X軸モータ104を駆動する。すなわち、
図2に示すX方向移動部30ごと、吸着ノズル91を左右方向に移動させる。
【0056】
吸着ノズル91を前後方向に移動させる場合は、
図6に示す制御部10が、Y軸モータ105を駆動する。すなわち、
図2に示すY方向移動部31ごと、吸着ノズル91を前後方向に移動させる。
【0057】
吸着ノズル91を下降させる場合は、以下のように装着ヘッド32を駆動する。
図7に、本実施形態の電子部品実装機の装着ヘッドの、ノズル下降第一段階における左右方向断面図を示す。
図8に、同装着ヘッドの、ノズル下降第二段階における左右方向断面図を示す。
【0058】
図7に示すように、ノズル下降第一段階においては、まず、
図6に示す制御部10が、第一θ軸モータ106を駆動する。そして、所望の吸着ノズル91の水平方向位置を調整する。次に、
図6に示す制御部10が、第二θ軸モータ107を駆動する。そして、所望の吸着ノズル91に連動するレバー本体920上方に、フック326bを移動させる。続いて、
図6に示す制御部10が、Z軸モータ321を駆動する。Z軸モータ321が駆動すると、ボールねじ部322が軸周りに回転し、ナット部323が下降する。このため、ヘッド本体324、リボルバヘッド9が、スプライン筒部325bの内周面に沿って下降する。一方、ノズル回転用ギア部325、フック回転用ギア部326の上下方向位置は不動である。このため、所望の吸着ノズル91に連動するレバー本体920の径方向外端と、フック326bと、が上下方向から当接する。
【0059】
図8に示すように、ノズル下降第二段階においては、制御部10が引き続きZ軸モータ321を駆動する。このため、所望の吸着ノズル91に連動するレバー本体920の径方向外端と、フック326bと、が上下方向から係合する。そして、径方向外端が上昇し、径方向内端が下降するように、レバー本体920が縦方向に揺動する。レバー本体920の径方向内端には、キャップ93を介して、吸着ノズル91が連結されている。このため、レバー本体920が縦方向に揺動することにより、吸着ノズル91は、ヘッド本体90から押し出されるように、下方に突出する。このようにして、吸着ノズル91を下降させる。
【0060】
なお、吸着ノズル91を上昇させる場合は、制御部10が上記
図7、
図8の動作を逆に実行する。
【0061】
<部品高さ測定方法>
次に、本実施形態の部品高さ測定方法について説明する。本実施形態の部品高さ測定方法は、吸着面接触ステップと、第一吸着状態確認ステップと、部品下面接触ステップと、第二吸着状態確認ステップと、部品高さ算出ステップと、を有している。
【0062】
[吸着面接触ステップ]
吸着面接触ステップは、基板Bの生産開始前に実行される。また、12個の吸着ノズルの各々に対して実行される。
図9に、本実施形態の電子部品実装機の吸着面接触ステップにおける拡大右側面図を示す。なお、
図9に示す部分は、
図2の枠III内(つまり
図3)に対応している。
【0063】
図9に示すように、本ステップにおいては、まず、装着ヘッド32を、高度センサ6fの真上に移動させる。次に、所望の吸着ノズル91を下降させる。そして、吸着ノズル91の吸着面910を、高度センサ6fのシャフト61fの検出面610fに、当接させる。
図6に示すように、制御部10には、高度センサ6fからの電気信号が入力される。当該電気信号により、制御部10は、吸着面910と検出面610fとの当接を確認する。制御部10の記憶部101には、吸着ノズル91の下降量が格納される。
【0064】
[第一吸着状態確認ステップ]
図2に示すように、基板Bの生産が進むのに従って、部品供給装置7fの部品供給部材70fの電子部品は、徐々に消費される。部品供給部材70fが空になると、空の部品供給部材70fが、新しい部品供給部材70fに交換される。
【0065】
第一吸着状態確認ステップは、部品供給部材70fの交換後、所定数の電子部品を装着する際に実行される。
図10に、本実施形態の電子部品実装機の電子部品吸着時における拡大右側面図を示す。なお、
図10に示す部分は、
図2の枠III内(つまり
図3)に対応している。
【0066】
電子部品を部品供給部材70fから取り出す場合は、まず、装着ヘッド32を、
図1に示す部品供給位置P0の真上に移動させる。次に、所望の吸着ノズル91を下降させる。そして、
図10に示すように、吸着ノズル91の吸着面910に負圧を供給し、吸着面910により電子部品Pの上面を吸い付ける。それから、吸着ノズル91を上昇させる。吸着ノズル91は、後述するパーツカメラ8f、高度センサ6fを経由し、基板Bにおける電子部品Pの装着座標まで移動する。
【0067】
図11に、本実施形態の電子部品実装機の第一吸着状態確認ステップにおける拡大右側面図を示す。なお、
図11に示す部分は、
図2の枠III内(つまり
図3)に対応している。
【0068】
図11に示すように、本ステップにおいては、まず、電子部品Pを吸着した吸着ノズル91を、パーツカメラ8fの真上に移動させる。次に、
図6に示す制御部10は、パーツカメラ8fを用いて電子部品Pを撮像する。パーツカメラ8fの画像は、画像処理装置103に取り込まれる。画像処理装置103は、吸着ノズル91に対する電子部品Pの吸着状態を確認する。吸着状態が良好である場合は、後述する部品下面接触ステップが実行される。吸着状態が良好でない場合は、吸着状態が補正される。
【0069】
[部品下面接触ステップ]
部品下面接触ステップは、第一吸着状態確認ステップ同様に、部品供給部材70fの交換後、所定数の電子部品を装着する際に実行される。
図12に、本実施形態の電子部品実装機の部品下面接触ステップにおける拡大右側面図を示す。なお、
図12に示す部分は、
図2の枠III内(つまり
図3)に対応している。
【0070】
図12に示すように、本ステップにおいては、吸着面接触ステップ(
図9参照)同様に、まず、装着ヘッド32を、高度センサ6fの真上に移動させる。次に、電子部品Pを吸着した吸着ノズル91を下降させる。そして、電子部品Pの下面を、高度センサ6fのシャフト61fの検出面610fに、当接させる。
図6に示すように、制御部10には、高度センサ6fからの電気信号が入力される。当該電気信号により、制御部10は、電子部品Pの下面と検出面610fとの当接を確認する。制御部10の記憶部101には、吸着ノズル91の下降量が格納される。
【0071】
[第二吸着状態確認ステップ]
第二吸着状態確認ステップは、第一吸着状態確認ステップ同様に、部品供給部材70fの交換後、所定数の電子部品を装着する際に実行される。第二吸着状態確認ステップの実行方法は、第一吸着状態確認ステップの実行方法(
図11参照)と同様である。
図6に示すように、画像処理装置103は、吸着ノズル91に対する電子部品Pの吸着状態を確認する。吸着状態が良好である場合は、後述する部品高さ算出ステップが実行される。吸着状態が良好でない場合(例えば、部品下面接触ステップにより、電子部品Pの吸着状態が悪くなった場合)は、吸着状態が補正される。
【0072】
[部品高さ算出ステップ]
部品高さ算出ステップは、第一吸着状態確認ステップ同様に、部品供給部材70fの交換後、所定数の電子部品を装着する際に実行される。
図13に、本実施形態の電子部品実装機の部品高さ算出ステップの模式図を示す。
図13の左側に示すのが、吸着面接触ステップにおける吸着ノズル91と高度センサ6fである。右側に示すのが、部品下面接触ステップにおける吸着ノズル91と高度センサ6fである。
【0073】
吸着面接触ステップにおける吸着ノズル91の下降量L0(
図6に示す記憶部101に格納済み)と、部品下面接触ステップにおける吸着ノズル91の下降量L1(
図6に示す記憶部101に格納済み)と、を比較すると、下降量L0の方が、電子部品Pの部品高さL2の分だけ、下降量L1よりも大きくなる。すなわち、部品高さL2=下降量L0−下降量L1となる。このように、本ステップにおいては、下降量L0と下降量L1との差分から、部品高さL2を算出する。
【0074】
図6に示す記憶部101には、予め、電子部品Pの種類ごとに、部品高さ(規格値)が格納されている。制御部10は、当該部品高さ(規格値)を、部品高さ(実測値)L2により、補正する。そして、電子部品Pを基板Bに装着する際の吸着ノズル91の下降量(装着ストローク)を決定する。
【0075】
それから、制御部10は、装着ヘッド32を基板Bの装着座標の真上に移動させる。そして、吸着ノズル91を本ステップで決定された下降量だけ下降させ、装着座標に電子部品Pを装着する。
【0076】
<作用効果>
次に、本実施形態の電子部品実装機および部品高さ測定方法の作用効果について説明する。本実施形態の電子部品実装機1および部品高さ測定方法によると、
図13に示すように、単一のセンサ(高度センサ6f、6r)を用いて電子部品Pの部品高さL2を算出することができる。また、算出された部品高さL2を参照して、電子部品Pを基板Bに装着する際の吸着ノズル91の下降量(装着ストローク)を決定することができる。このため、オーバーストロークやアンダーストロークの状態になることを、簡単に抑制することができる。
【0077】
また、
図13に示すように、部品高さ算出ステップにおいては、吸着面接触ステップにおける吸着ノズル91の下降量L0と、部品下面接触ステップにおける吸着ノズル91の下降量L1と、の差分から電子部品Pの部品高さL2を算出している。このため、仮に高度センサ6f、6rが検出誤差を有する場合であっても、差分を算出することにより、当該誤差を相殺することができる。したがって、本実施形態の電子部品実装機1によると、部品高さL2の算出精度が高くなる。
【0078】
また、本実施形態の電子部品実装機1および部品高さ測定方法によると、
図2に示す部品供給部材70fを交換するタイミングで、部品下面接触ステップおよび部品高さ算出ステップを実行している。このため、電子部品Pの部品高さL2が変化しやすいタイミングで、部品高さL2、つまり電子部品Pを基板Bに装着する際の吸着ノズル91の下降量を補正することができる。したがって、生産開始時に限って部品下面接触ステップおよび部品高さ算出ステップを実行する場合と比較して、電子部品Pの装着精度が向上する。また、電子部品Pを装着する度に逐一部品下面接触ステップおよび部品高さ算出ステップを実行する場合と比較して、基板Bの生産性が向上する。
【0079】
また、本実施形態の電子部品実装機1および部品高さ測定方法によると、
図11に示すように、部品下面接触ステップの前に第一吸着状態確認ステップを、部品下面接触ステップの後に第二吸着状態確認ステップを、実行している。第一吸着状態確認ステップにより、
図10に示す電子部品P吸着時に発生する電子部品Pの位置ずれを確認することができる。第二吸着状態確認ステップにより、
図12に示す部品下面接触ステップ時に発生する電子部品Pの位置ずれを確認することができる。
【0080】
また、本実施形態の電子部品実装機1および部品高さ測定方法によると、
図13に示すように、吸着面910および電子部品Pの下面よりも、検出面610fの方が、面積が大きい。このため、吸着面接触ステップにおいて、吸着面910が検出面610fからはみ出さない。同様に、部品下面接触ステップにおいて、電子部品Pの下面が検出面610fからはみ出さない。したがって、下降量L0、L1の測定精度が向上する。
【0081】
また、本実施形態の電子部品実装機1および部品高さ測定方法によると、
図3に示すように、検出面610fの検出高度h1が、電子部品装着時における基板Bの基板上面高度h0と一致している。このため、検出面610fに吸着面910や電子部品Pの下面を接触させることにより、基板Bを用いることなく、下降量L0、L1を測定することができる。
【0082】
また、本実施形態の電子部品実装機1および部品高さ測定方法によると、12個の吸着ノズル91の各々に対して個別に部品高さ測定方法が実行される。このため、吸着ノズル91間における下降量のばらつきを補正することができる。すなわち、
図6に示すように、12個の吸着ノズル91は共通のZ軸モータ321により昇降される。しかしながら、吸着ノズル91の装着状態(がたつきや遊びの量)によっては、微量ながらも、吸着ノズル91間において下降量がばらつく場合がある。本実施形態の電子部品実装機1および部品高さ測定方法によると、当該下降量のばらつきを補正することができる。
【0083】
また、本実施形態の電子部品実装機1および部品高さ測定方法によると、電子部品Pの種類に応じて部品高さ測定方法が実行される。このため、
図13に示すように、基板Bに装着される全ての電子部品Pの部品高さL2を補正することができる。
【0084】
<その他>
以上、本発明の電子部品実装機および部品高さ測定方法の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0085】
例えば、上記実施形態においては、部品供給装置7f、7rとして、いわゆるテープフィーダを用いたが、部品供給装置7f、7rの種類は特に限定しない。トレイフィーダ、ボウルフィーダなどを用いてもよい。
【0086】
また、部品高さ測定方法の実行頻度、実行タイミングは特に限定しない。生産開始時に限って部品高さ測定方法を実行してもよい。また、電子部品Pを装着する度に、部品高さ測定方法を実行してもよい。また、電子部品Pを装着する度に、部品下面接触ステップおよび部品高さ算出ステップを実行してもよい。
【0087】
また、部品高さ測定方法において、第一吸着状態確認ステップおよび第二吸着状態確認ステップのうち少なくとも一方を実行しなくてもよい。こうすると、基板Bの生産性が向上する。
【0088】
また、高度センサ6f、6rの種類は特に限定しない。
図3に示すように、検出対象物が検出面610fに当接し、かつ検出高度h1(=基板上面高度h0)にあることを検出できればよい。例えば、検出対象物が接触していない状態において検出面610fが検出高度h1よりも高い高度に配置されており、検出対象物が検出面610fを押圧することで検出面610fが検出高度h1まで下降し、この時点で電気信号を制御部10に送信するタイプの高度センサ6f、6rであってもよい。こうすると、
図13に示す吸着ノズル91の吸着面910や、電子部品Pの下面が、検出面610fに接触する際に受ける衝撃を、緩和することができる。
【0089】
また、
図2に示す部品供給部材70f交換後に第一吸着状態確認ステップ、部品下面接触ステップ、第二吸着状態確認ステップ、部品高さ算出ステップが行われる電子部品Pの個数は特に限定しない。
【0090】
また、部品供給部材70f交換後、N個(Nは2以上の自然数)の電子部品Pに対して上記ステップを実行する場合、実行後に平均部品高さL2/Nを算出してもよい。そして、当該平均値に基づいて、N+1個目
以降の電子部品Pを基板Bに装着する際の吸着ノズル91の下降量(装着ストローク)を決定してもよい。