(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記エジェクタ装置は、可動金型または固定金型を貫通するエジェクタピンと、可動金型または固定金型に対し、成形品の突き出し方向と反対方向に前記エジェクタピンを付勢する付勢部材とを有し、
前記駆動用モータは、前記エジェクタピンを前記付勢部材の付勢力に抗して突き出し方向に前進させる駆動源であり、
前記検知部は、前記エジェクタピンが前端位置にあるとき、前記モータ部に所定の出力を生じさせ、出力方向は、前記エジェクタピンを突き出し方向と反対方向に移動させるための方向である請求項5に記載の射出成形機。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、各図面において、同一のまたは対応する構成については同一のまたは対応する符号を付して説明を省略する。
【0012】
[第1の実施形態]
本実施形態は、可動金型が上下動可能な竪型の射出成形機に関し、特に、金型装置の型閉じ、型締め、および型開きを行う型締め装置に関する。
【0013】
図1は、本発明の第1の実施形態による射出成形機の型開き後の待機時の模式図である。
図2は、本発明の第1の実施形態による射出成形機の型締め時の模式図である。
【0014】
射出成形機10は、金型装置20内のキャビティ空間に溶融樹脂を射出する射出装置12を備える。溶融樹脂はキャビティ空間内で冷却固化され、成形品が得られる。
【0015】
射出成形機10は、
図1に示すように、固定金型21および可動金型22で構成される金型装置20の型閉じ、型締め、および型開きを行う型締め装置30を有する。
【0016】
型締め装置30は、固定金型21が取り付けられる固定プラテン31、可動金型22が取り付けられる可動プラテン32、可動プラテン32を固定プラテン31に対して移動させる駆動用モータ33を有する。
【0017】
固定プラテン31は、フレーム14に固定されている。可動プラテン32は、固定プラテン31を貫通するタイバー34aの一端部に支持され、タイバー34aと共に、固定プラテン31に対して上下動可能となっている。本実施形態において、可動プラテン32は上プラテン、固定プラテン31は下プラテンであるが、可動プラテン32が下プラテン、固定プラテン31が上プラテンであってもよい。
【0018】
型締め装置30は、駆動用モータ33の回転運動を直線運動に変換して可動プラテン32に伝達する伝達機構34をさらに有する。伝達機構34は、一般的な構成であってよく、例えば、上記のタイバー34a、タイバー34aの他端部に連結されるトグルサポート34b、トグルサポート34bと固定プラテン31の間に配設されるトグル機構34cを備える。さらに、伝達機構34は、ネジ軸部34dおよびナット部34eなどで構成されるボールネジ機構34fを備える。ナット部34eはトグルサポート34bに連結され、ネジ軸部34dはネジ軸部34dを回転可能に支持するクロスヘッド34gを介して、トグル機構34cの一部に連結されている。この伝達機構34は、ネジ軸部34dと共に回転可能なプーリー34hと、駆動用モータ33の出力軸と共に回転可能なプーリー34iとの間に架け渡されるタイミングベルト34jをさらに備える。
【0019】
この伝達機構34では、駆動用モータ33の回転運動は、タイミングベルト34jを介して、ボールネジ機構34fに伝達され、ボールネジ機構34fにおいて直線運動に変換され、トグルサポート34bに伝達される。その結果、トグルサポート34bが昇降し、トグル機構34cが伸縮する共に、タイバー34a、ひいては可動プラテン32が昇降する。
【0020】
駆動用モータ33が正方向に回転すると、可動プラテン32が下降し、固定プラテン31に接近するので、可動金型22が固定金型21に接近し、金型装置20の型閉じ、さらに型締めが行われる。型締め時に、固定金型21と可動金型22との間にキャビティ空間が形成される。
【0021】
一方、駆動用モータ33が逆方向に回転すると、可動プラテン32が上昇し、固定プラテン31から離間するので、可動金型22が固定金型21から離間し、金型装置20の型開きが行われる。
【0022】
図3は、本発明の第1の実施形態による射出成形機に搭載される駆動用モータの断面図である。
【0023】
駆動用モータ33は、例えば、ブレーキ付きのサーボモータであってよく、主に、モータ部35、モータ部35を制動可能なブレーキ部36、およびモータ部35の回転を検出する回転検出部としてのエンコーダ部37で構成される。
【0024】
なお、本実施形態の駆動用モータ33は、サーボモータであるが、サーボモータでなくてもよく、駆動用モータ33の外部に、回転検出部が設けられていてもよい。
【0025】
モータ部35は、回転子(ロータ)351、固定子(ステータ)352、回転子351と共に回転可能な出力軸354、出力軸354を回転自在に支持する軸受け355、ならびに、軸受け355および固定子352を支持するフレーム356を有する。回転子351はコア351aおよび永久磁石351bを備える。固定子352はコア352aおよびモータ用コイル352bを備える。モータ用コイル352bに所定の電流が流れると、モータ用コイル352bに発生する磁界と、永久磁石351bが形成する磁界との相互作用により、永久磁石351bに回転モーメントが作用し、回転子351が回転するので、出力軸354が回転する。
【0026】
なお、本実施形態では、回転子351が永久磁石351bを、固定子352がモータ用コイル352bを備えるが、回転子がモータ用コイルを、固定子が永久磁石を備えてもよい。
【0027】
ブレーキ部36は、選択的に、モータ部35を制動する。例えば、ブレーキ部36は、モータ用コイル352bに電流が流れていないとき、モータ部35の出力軸354の回転を制限する。
【0028】
ブレーキ部36は、出力軸354と共に回転可能な回転部材361、回転部材361に接触、離間可能な摩擦パッド362、363を有する。また、ブレーキ部36は、摩擦パッド363を回転部材361に接近する方向に付勢する付勢部材(例えば、コイルバネ)364、付勢部材364の付勢力に抗して摩擦パッド363を回転部材361から離間させる駆動部365、および、ハウジング366を有する。ハウジング366は、モータ部35のフレーム356に取り外し可能に取り付けられている。
【0029】
回転部材361は、板状に形成され、出力軸354の一端部に形成されるスプライン部354aにスプライン結合され、出力軸354と共に回転可能で、出力軸354に対し出力軸354の軸方向に移動可能となっている。回転部材361の両側(図中、上側および下側)に、摩擦パッド362、363が配置されている。
【0030】
上側の摩擦パッド362は、ハウジング366に固定されている。一方、下側の摩擦パッド363は、出力軸354と共に回転不能に、且つ、出力軸354に対し出力軸354の軸方向に移動可能にハウジング366に支持されている。
【0031】
ブレーキ部36は、例えば、電磁ブレーキであって、駆動部365として、コア365aおよびブレーキ用コイル365bを有する。コア365aおよびブレーキ用コイル365bにより、電磁石が構成される。
【0032】
ブレーキ用コイル365bが通電されていないとき、下側の摩擦パッド363が、付勢部材364の付勢力によって、回転部材361を上側の摩擦パッド362に押し付ける。よって、回転部材361が2つの摩擦パッド362、363によって締め付けられるので、出力軸354の回転が制限される。
【0033】
ブレーキ用コイル365bが通電されるとき、下側の摩擦パッド363が、付勢部材364の付勢力に抗して、駆動部365に吸引される。よって、回転部材361から2つの摩擦パッド362、363が離間され、出力軸354の回転が許容される。
【0034】
なお、ブレーキ部36の構成に制限はない。例えば、上側の摩擦パッド362はなくてもよく、この場合、回転部材361は、出力軸354に固定され、出力軸354に対し、出力軸354の軸方向に移動不能とされる。また、回転部材361は円筒状に形成されてもよく、この場合、摩擦パッド363は円筒状の回転部材361の径方向に移動可能に構成される。さらに、駆動部365は、ブレーキ用コイル365bの代わりに、エアシリンダなどを有してもよく、ブレーキ部36は電磁ブレーキに限定されない。
【0035】
エンコーダ部37は、ブレーキ部36のハウジング366を介して、モータ部35のフレーム356に取り付けられている。エンコーダ部37は、モータ部35の出力軸354の回転を検出し、検出結果を制御装置50に送信する。エンコーダ部37が制御装置50に送信する情報は、回転の有無、回転量、回転角、回転速度、回転方向などを含んでよい。
【0036】
なお、本実施形態の回転検出部としてのエンコーダ部37は、回転の有無の他、回転量、回転角などを検出するが、本発明の回転検出部は、回転の有無を検出できるものであればよく、特に限定されない。
【0037】
射出成形機10は、
図1および
図2に示すように、モータ部35およびブレーキ部36を制御する制御装置50を有している。制御装置50は、CPU、記録媒体などを含むコンピュータとして構成されている。
【0038】
制御装置50は、リミットスイッチ61、非常ボタン62に信号ラインを介して接続されている。リミットスイッチ61は、射出成形機10に設置された安全ドアが開けられたとき、オン信号を制御装置50に送信する。非常ボタン62は、非常時にオペレータによって手動で押されたとき、押下信号を制御装置50に送信する。
【0039】
制御装置50は、記録媒体に格納された各種プログラムをCPUに実行させることにより、モータ部35およびブレーキ部36を制御し、型締め装置30の各種動作を実行させる。
【0040】
例えば、制御装置50は、型閉じ、型締め、および型開きを行うとき、ブレーキ用コイル365bを通電することによりブレーキ部36によるモータ部35の制動を解除すると共に、モータ用コイル352bへ電力を供給することによりモータ部35に回転トルクを生じさせる。このとき、制御装置50は、エンコーダ部37から送信される情報に基づいて、出力軸354の回転角、回転速度を算出し、算出値と目標値のずれを縮めるように、モータ用コイル352bに供給する電力を制御し、モータ部35の出力を制御するフィードバック制御を行う。
【0041】
また、制御装置50は、型開きが終了したとき、モータ用コイル352bへの電力供給を停止し、モータ部35の出力を0にする。そのため、モータ部35が外力によって回転可能となるので、可動プラテン32、ひいては可動金型22が重力によって落下しないように、制御装置50は、ブレーキ用コイル365bへの通電を解除し、ブレーキ部36によってモータ部35を制動する。
【0042】
ちなみに、可動プラテン32は、可動金型22、射出装置12と一体化されており、その合計重量は、通常、数百kg程度である。
【0043】
また、制御装置50は、型閉じ、型締め、および型開きを行う場合に、オン信号または押下信号を受信したとき、モータ用コイル352bへの電力供給を停止することにより、モータ部35の出力を0に戻し、モータ部35の作動を中断させる。そのため、モータ部35が外力によって回転可能となるので、制御装置50は、可動プラテン32、ひいては可動金型22が移動しないように、ブレーキ用コイル365bへの通電を解除し、ブレーキ部36によってモータ部35を制動する。
【0044】
なお、モータ部35の作動を中断させる条件は、オン信号または押下信号を受信した場合に限定されない。例えば、エンコーダ部37から送信される情報に基づいて算出されるモータ部35の回転角などと目標値のずれが閾値以上の場合など、何らかの異常を検知した場合に、モータ部35の作動が中断されてよい。
【0045】
制御装置50は、型締め中に、モータ用コイル352bへの電力供給を停止するとき、上述の如く、ブレーキ部36によってモータ部35を制動するので、型締め力を解放しようとする反動を抑制できる。よって、反動による可動金型22と固定金型21の離間が抑えられるので、型締め時に可動金型22(または固定金型21)に対し移動可能な部材(例えば、スライドコア)の損傷が抑制される。
【0046】
ところで、ブレーキ部36の制動力は、ブレーキ部36の状態によって変動する。例えば、摩擦パッド362、363と回転部材361との間への異物の混入、摩擦パッド362、363の摩耗、付勢部材364の劣化などで、ブレーキ部36の制動力が低下する。
【0047】
そこで、本実施形態の制御装置50は、ブレーキ部36によってモータ部35を制動した状態で、モータ部35に所定の出力を生じさせ、エンコーダ部37からの情報に基づいて、ブレーキ部36の状態を検知する検知部51を有する。よって、ブレーキ部36の状態を容易に検知することができる。
【0048】
この制御装置50は、ブレーキ点検スイッチ63と信号ラインを介して接続されている。ブレーキ点検スイッチ63は、ブレーキ点検時にオペレータによって手動で操作されたとき、操作信号を制御装置50に送信する。
【0049】
図4は、本発明の第1の実施形態による射出成形装置の制御装置による処理を示すフローチャートである。
図4に示すステップS101以降の処理は、例えば、制御装置50がブレーキ点検スイッチ63の操作信号を受信したとき、または、定期的に行われる。
【0050】
先ず、ステップS101において、検知部51は、射出成形機10に備えられる表示部に、「点検中」などのメッセージを表示すると共に、点検用のブザーを鳴らす。
【0051】
次いで、ステップS103において、検知部51は、ブレーキ部36によってモータ部35を制動させた状態で、モータ部35の出力を0から所定値(例えば、定格トルクの80%程度)まで徐々に(例えば、5秒かけて)増加させる。モータ部35の出力を0から所定値まで増加させるため、検知部51は、モータ用コイル352bに供給する電流を0から所定値まで増加させる。
【0052】
ステップS103において、検知部51によるモータ部35の出力方向は、可動プラテン32を下降させるための方向であってよい。モータ部35の出力に加えて、可動プラテン32などにかかる重力が、ブレーキ部36の負荷として作用するので、モータ部35の出力が同じ場合、ブレーキ部36に大きな負荷をかけることができる。
【0053】
ステップS103において、検知部51によるモータ部35の出力方向が可動プラテン32を下降させるための方向である場合、可動プラテン32の位置は下限位置(本実施形態では、可動金型22が固定金型21と接触する位置(
図2参照))よりも上方に設定される。例えば、可動プラテン32の位置は、上限位置(本実施形態では、型開き後の待機位置(
図1参照))であってよい。
【0054】
次いで、ステップS105において、検知部51は、エンコーダ部37からの情報に基づいて、所定時間の間における、モータ部35の回転量(≧0)が所定値以下か否かを調べる。
【0055】
「所定時間の間」は、特に限定されないが、例えば、(1)ステップS103においてモータ部35の出力が0から増加し始めた時点から所定時間が経過する間、(2)モータ部35の出力が所定値で保持される所定時間の間、などであってよい。
【0056】
モータ部35の回転量が所定値以下の場合(ステップS105、YES)、モータ部35がほとんど回転しておらず、ブレーキ部36の制動力が良好であるので、検知部51はブレーキ部36の状態が良好であると判定し(ステップS107)、ステップS111以降の処理を行う。
【0057】
一方、モータ部35の回転量が所定値を超える場合(ステップS105、NO)、モータ部35が回転しており、ブレーキ部36の制動力が不足しているので、検知部51はブレーキ部36の状態が異常であると判定し(ステップS109)、ステップS111以降の処理を行う。
【0058】
なお、本実施形態では、所定時間の間における、モータ部35の回転量が所定値以下か否かに基づいて、ブレーキ部36の状態の良否を判定したが、ブレーキ部36の状態を3段階以上で評価してもよく、評価の基準となる基準値を複数設定してもよい。
【0059】
ステップS111において、検知部51は、ブレーキ部36の状態の検査結果をオペレータに通知する。例えば、検知部51は、射出成形機に備えられる表示部に「ブレーキ部の状態:良好」または「ブレーキ部の状態:異常」などのメッセージを表示する。ブレーキ部36の状態が異常の場合、警報用のブザーを鳴らしてもよい。
【0060】
次いで、ステップS113において、検知部51は、モータ用コイル352bへの電流供給を遮断し、モータ部35の出力を0に戻すと共に、「点検中」のメッセージ表示を取り消し、点検用のブザーを止め、今回の処理を終了する。
【0061】
以上、説明したように、本実施形態によれば、検知部51によって、駆動用モータ33に備えられるブレーキ部36の状態を検知するので、ブレーキ部36の状態を容易に検知することができる。
【0062】
なお、本実施形態の射出成形機10は竪型であるが、可動金型が水平に移動可能な横型の射出成形機であってもよい。この場合、可動金型や可動プラテンにかかる重力がブレーキ部に負荷として作用しないので、検知部によるモータの出力方向は、特に限定されず、可動金型(可動プラテン)を固定金型(固定プラテン)に接近させるための方向でも、離間させるための方向でもよい。
【0063】
また、可動プラテンの可動範囲が決まっている場合、検知部によるモータ部の出力方向は、可動プラテンの位置に応じて設定されてよい。例えば、可動プラテンが固定プラテンから最も離れた位置のとき、検知部によるモータの出力方向は、可動プラテンを固定プラテンに接近させるための方向に設定される。また、可動プラテンが固定プラテンに最も近い位置(可動金型が固定金型と接触する位置)のとき、検知部によるモータの出力方向は、可動プラテンを固定プラテンから離間させるための方向に設定される。
【0064】
[第2の実施形態]
本実施形態は、可動金型が水平に移動可能な横型の射出成形機に関し、特に、金型装置から成形品を突き出すエジェクタ装置に関する。
【0065】
図5は、本発明の第2の実施形態による射出成形機の一部断面図である。
図6は、本発明の第2の実施形態による射出成形機に搭載されるエジェクタ装置の動作の説明図であって、一部断面図である。
図6において、エジェクタピンが前端位置にある状態を2点鎖線で、エジェクタピンが後端位置にある状態を実線で、それぞれ示す。
【0066】
射出成形機110は、
図5および
図6に示すように、固定金型121および可動金型122で構成される金型装置120内のキャビティ空間Cに溶融樹脂を射出する射出装置112を備える。
【0067】
また、射出成形機110は、金型装置120の型閉じ、型締め、および型開きを行う型締め装置130、金型装置120から成形品を突き出すエジェクタ装置140を有する。なお、型締め装置130の構成は、第1の実施形態による型締め装置30と同様であるので、説明を省略する。
【0068】
エジェクタ装置140は、可動金型122を貫通するエジェクタピン141、エジェクタピン141を可動金型122に対し、成形品の突き出し方向と反対方向に付勢する付勢部材142、付勢部材142の付勢力に抗してエジェクタピン141を突き出し方向に前進させる駆動用モータ143を有する。
【0069】
なお、本実施形態のエジェクタピン141は、可動金型122を貫通するが、固定金型121を貫通してもよい。
【0070】
エジェクタピン141は、成形品を突き出す前端位置(
図6の2点鎖線参照)と、初期位置である後端位置(
図6の実線参照)との間で移動可能となっている。エジェクタピン141は、エジェクタプレート144aと一体化されており、エジェクタプレート144aと、可動金型122との間に付勢部材142が配設されている。付勢部材142の付勢力によって、エジェクタプレート144a、ひいてはエジェクタピン141が可動金型122に対し後退方向に付勢される。駆動用モータ143は、取付板148を介し、可動プラテン132に固定され、可動金型122と一体化されている。
【0071】
エジェクタ装置140は、駆動用モータ143の回転運動を直線運動に変換してエジェクタピン141に伝達する伝達機構144をさらに有する。伝達機構144は、一般的な構成であってよく、例えば、
図6に示すように、上記のエジェクタプレート144a、エジェクタプレート144aの後方に配置されるエジェクタロッド144b、およびエジェクタロッド144bと、駆動用モータ143との間に配設されるボールネジ機構144cを備えている。
【0072】
ボールネジ機構144cは、駆動用モータ143の出力軸143aと共に回転可能なネジ軸部144d、および、ネジ軸部144dにボールを介して支持されるナット部144eなどで構成される。ナット部144eは取付板148に固定されている。
【0073】
ボールネジ機構144cのネジ軸部144dと、駆動用モータ143の出力軸143aとの間には、出力軸143aに対するネジ軸部144dの軸方向の移動を許容するため、スプラインユニット144fが配設される。スプラインユニット144fは、ネジ軸部144dと同軸的に連結されるスプライン軸部144g、および、スプライン軸部144gにスプライン結合されるナット部144hなどで構成される。ナット部144hは、駆動用モータ143の出力軸143aに固定されている。
【0074】
ボールネジ機構144cのナット部144eと、エジェクタロッド144bとの間には、ナット部144eにボールを介して支持されるネジ軸部144dから同軸的に延びる軸部144jを回転自在に支持するベアリングボックス144iが配設されている。ベアリングボックス144iは、軸部144jと共に軸方向に移動可能であって、軸部144jと共に回転しないようにガイドシャフト144kによって回り止めされる。ガイドシャフト144kは、軸部144jと平行に延びており、可動プラテン132および取付板148に固定される。
【0075】
エジェクタロッド144bの後端は、ベアリングボックス144iに固定される。エジェクタロッド144bの中心軸線は、スプライン軸部144g、ネジ軸部144d、および軸部144jからなる軸ユニット144mの中心軸線と同一直線上に配置される。エジェクタロッド144bの前端は、可動プラテン132の中央に形成された貫通孔に挿入されている。
【0076】
駆動用モータ143の出力軸143aが回転するとき、軸ユニット144mが軸周りに回転しながら軸方向に移動する。このとき、軸ユニット144mの軸部144jと共に、ベアリングボックス144iがガイドシャフト144kに沿って進退するので、エジェクタロッド144dが進退する。
【0077】
なお、本実施形態のボールネジ機構144cは、出力軸143aの回転時に、ナット部144eが固定されており、ネジ軸部144dが回転しながら軸方向に移動する方式であるが、その方式は特に限定されない。例えば、第1の実施形態のように、出力軸の回転時に、ネジ軸部が回転し、ナット部が軸方向に移動する方式でもよい。また、出力軸の回転時に、ナット部が回転し、ネジ軸部が軸方向に移動する方式でもよい。
【0078】
この伝達機構144では、駆動用モータ143の回転運動は、スプラインユニット144fを介して、ボールネジ機構144cに伝達され、ボールネジ機構144cにおいて直線運動に変換され、ベアリングボックス144iに伝達され、エジェクタロッド144bが進退する。エジェクタロッド144bの進退により、エジェクタプレート144a、ひいてはエジェクタピン141が進退する。
【0079】
駆動用モータ143が正方向に回転すると、エジェクタピン141が付勢部材142の付勢力に抗して前進させられ、型開き後の金型装置120から成形品を突き出す。
【0080】
一方、駆動用モータ143が逆方向に回転すると、エジェクタピン141が後退させられ、初期位置に戻る。エジェクタピン141の後退は、付勢部材142の付勢力によって助勢される。
【0081】
駆動用モータ143は、例えば、ブレーキ付きのサーボモータであってよく、主に、モータ部145、モータ部145を制動可能なブレーキ部146、およびモータ部145の回転を検出する回転検出部としてのエンコーダ部147で構成される。
【0082】
なお、モータ部145、ブレーキ部146、およびエンコーダ部147の構成は、それぞれ、第1の実施形態における、モータ部35、ブレーキ部36、およびエンコーダ部37の構成と同様であるので、説明を省略する。
【0083】
射出成形機110は、
図5に示すように、モータ部145およびブレーキ部146を制御する制御装置150を有している。制御装置150は、CPU、記録媒体などを含むコンピュータとして構成されている。
【0084】
制御装置150は、リミットスイッチ161、非常ボタン162に信号ラインを介して接続されている。リミットスイッチ161は、射出成形機110に設置された安全ドアが開けられたとき、オン信号を制御装置150に送信する。非常ボタン162は、非常時にオペレータによって手動で押されたとき、押下信号を制御装置150に送信する。
【0085】
制御装置150は、記録媒体に格納された各種プログラムをCPUに実行させることにより、モータ部145およびブレーキ部146を制御し、エジェクタ装置140の各種動作を実行させる。
【0086】
例えば、制御装置150は、型開後に、成形品を突き出すため、エジェクタピン141を進退させるとき、ブレーキ部146によるモータ部145の制動を解除すると共に、モータ部145を回転させる。このとき、制御装置150は、エンコーダ部147から送信される情報に基づいて、モータ部145の回転角、回転速度を算出し、算出値と目標値のずれを縮めるように、モータ部145の出力を制御するフィードバック制御を行う。
【0087】
また、制御装置50は、エジェクタピン141が前端位置から後端位置に戻ると、モータ部145の出力を0に設定する。そのため、モータ部145が外力によって回転可能となるので、エジェクタピン141などが移動しないように、制御装置50は、ブレーキ部146によってモータ部145を制動する。
【0088】
また、制御装置50は、エジェクタピン141の進退中に、オン信号または押下信号を受信したとき、モータ部145の出力を0に戻し、モータ部145の作動を中止させる。そのため、モータ部145が外力によって回転可能となるので、制御装置150は、エジェクタピン141などが移動しないように、ブレーキ部146によってモータ部145を制動する。
【0089】
なお、モータ部145の作動を中断させる条件は、オン信号または押下信号を受信した場合に限定されない。例えば、エンコーダ部147から送信される情報に基づいて算出されるモータ部145の回転角と目標値のずれが閾値以上の場合など、何らかの異常を検知した場合に、モータ部145の作動が中断されてよい。
【0090】
ところで、ブレーキ部146の制動力は、ブレーキ部146の状態によって変動する。
【0091】
そこで、本実施形態の制御装置150は、ブレーキ部146によってモータ部145を制動した状態で、モータ部145に所定の出力を生じさせ、エンコーダ部147からの情報に基づいて、ブレーキ部146の状態を検知する検知部151を有する。
【0092】
検知部151は、例えば、ブレーキ点検スイッチ163がオペレータによって手動で操作されたとき(または、定期的に)、
図4に示す処理と同様の処理を行う。よって、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、ブレーキ部146の状態を容易に検知することができる。
【0093】
検知部151は、エジェクタピン141が前端位置(
図6の2点鎖線参照)にあるとき、モータ部145に所定の出力を生じさせてよく、その出力方向は、エジェクタピン141を、突き出し方向と反対方向に移動させるための方向であってよい。この場合、モータ部145の出力に加えて、付勢部材142による付勢力が、ブレーキ部146の負荷として作用するので、モータ部145の出力が同じ場合、ブレーキ部146に大きな負荷をかけることができる。また、エジェクタピン141が前端位置にあるので、付勢部材142による付勢力が最も強くなる。
【0094】
なお、本実施形態の射出成形機110は横型であるが、可動金型が上下に移動可能な竪型の射出成形機であってもよい。この場合、エジェクタピン141などにかかる重力がブレーキ部に負荷として作用するが、エジェクタピン141は、第1の実施形態に係る可動プラテン32に比べて著しく軽いので、重力の影響を考慮しなくてもよい。
【0095】
以上、本発明の第1〜第2の実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上記の実施形態に種々の変形や置換を加えることができる。