特許第5730692号(P5730692)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5730692
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】浴室建具
(51)【国際特許分類】
   E05C 1/04 20060101AFI20150521BHJP
   E05C 3/04 20060101ALI20150521BHJP
   E05B 1/00 20060101ALI20150521BHJP
   E05B 65/06 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
   E05C1/04 A
   E05C3/04 E
   E05B1/00 311A
   E05B65/06 E
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-149318(P2011-149318)
(22)【出願日】2011年7月5日
(65)【公開番号】特開2013-14971(P2013-14971A)
(43)【公開日】2013年1月24日
【審査請求日】2013年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】芦田 真樹
(72)【発明者】
【氏名】竹長 宰児
【審査官】 神崎 共哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−138615(JP,A)
【文献】 特開2010−084504(JP,A)
【文献】 特開2006−063789(JP,A)
【文献】 特開2007−138386(JP,A)
【文献】 特開2009−002040(JP,A)
【文献】 特開2007−332658(JP,A)
【文献】 特開2008−248606(JP,A)
【文献】 実公昭41−007324(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05C 1/00−21/02
E05B 1/00−85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内外の境界部に設けられた枠体と、前記枠体に回動自在に支持されて、前記室内外を連通する開口を閉止可能な障子と、
を有し、
前記枠体は、前記開口を閉止した前記障子の室外側の面より見込み方向室外側に位置し、前記障子の戸先側にて当該障子と見込み方向に対向する障子対向壁部を有し、
前記障子は、戸先框と、吊元框と、前記戸先框と前記吊元框とにそれぞれ設けられ前記開口を閉止した閉止状態にて、前記障子対向壁部より見込み方向室外側に突出するホルダー間に掛け渡された棒状体を有するタオル掛けと、を有し、
前記戸先框に設けられた前記ホルダーは、前記閉止状態において、前記障子対向壁部の見込み方向室外側と対向する規制位置と対向することなく当該ホルダーに収容される非規制位置とにわたって移動可能な規制部材を備え、
前記規制部材は、前記非規制位置において、外部に露出する外周面が、収容されている前記ホルダーの外周面と繋がった形状をなし、前記規制位置に移動されて当該ホルダーの前記外周面より外側に突出することを特徴とする浴室建具。
【請求項2】
請求項1に記載の浴室建具であって、
前記規制部材を前記非規制位置から前記規制位置に移動する過程において、当該規制部材の移動を抑制する付勢力が作用することを特徴とする浴室建具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の浴室建具であって、
前記規制部材は、前記ホルダーに収容されて見付け方向にスライドすることにより移動することを特徴とする浴室建具。
【請求項4】
請求項3に記載の浴室建具であって、
前記ホルダーは、見付け方向に沿うレールを有し、
前記規制部材は、前記レールが挿入されるガイド溝を有していることを特徴とする浴室建具。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の浴室建具であって、
前記規制部材には、第1ストッパーと第2ストッパーとが見付け方向に並べて設けられており、
前記ホルダーは、前記第1ストッパーが収容される第1収容部と、前記第2ストッパーが収容され見付け方向に並べて設けられた2つの第2収容部とを有し、
前記非規制位置にて前記第1ストッパーが前記第1収容部に収容されるとともに、前記第2ストッパーが前記ホルダーの前記2つの第2収容部のうちの吊元側の前記第2収容部に収容され、前記規制位置にて前記第1ストッパーが前記ホルダーの外に突出するとともに、前記第2ストッパーが前記ホルダーの前記2つの第2収容部のうちの戸先側の前記第2収容部に収容されることを特徴とする浴室建具。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の浴室建具であって、
前記規制部材は、見込み方向に沿う軸に支持されて前記ホルダーに回動自在に設けられており、回動することにより移動することを特徴とする浴室建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室建具に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室建具としては、小さな子供が単独で浴室内に入れないように、障子の、小さな子供の手が届かないような高い位置に、操作部を備えて浴室外側から施錠及び解除可能な、所謂チャイルドロックと呼ばれる施錠機構を備えた浴室建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−184388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、障子の、小さな子供の手が届かないような高い位置にチャイルドロックの操作部が設けられている場合には、操作部が目立つため、障子及び浴室建具の意匠性が損なわれる虞があるという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、室外側から施錠及び解除可能な施錠機構を備えつつも意匠性に優れた浴室建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明の浴室建具は、室内外の境界部に設けられた枠体と、前記枠体に回動自在に支持されて、前記室内外を連通する開口を閉止可能な障子と、 を有し、前記枠体は、前記開口を閉止した前記障子の室外側の面より見込み方向室外側に位置し、前記障子の戸先側にて当該障子と見込み方向に対向する障子対向壁部を有し、 前記障子は、戸先框と、吊元框と、前記戸先框と前記吊元框とにそれぞれ設けられ前記開口を閉止した閉止状態にて、前記障子対向壁部より見込み方向室外側に突出するホルダー間に掛け渡された棒状体を有するタオル掛けと、を有し、前記戸先框に設けられた前記ホルダーは、前記閉止状態において、前記障子対向壁部の見込み方向室外側と対向する規制位置と対向することなく当該ホルダーに収容される非規制位置とにわたって移動可能な規制部材を備え、前記規制部材は、前記非規制位置において、外部に露出する外周面が、収容されている前記ホルダーの外周面と繋がった形状をなし、前記規制位置に移動されて当該ホルダーの前記外周面より外側に突出することを特徴とする浴室建具である。
このような浴室建具によれば、障子を閉止した状態で規制部材を突出させたまま障子を開こうとすると、突出している規制部材が障子対向壁部と干渉して移動が規制されるので、開口は障子により閉止された状態(若干開いた状態も含む)が保たれる。また、規制部材は、障子に設けられたホルダーに設けることにより、視認しにくくなるので、施錠機構を備えつつも障子及び浴室建具の意匠性を損なわない。このため、室外側から施錠及び解除可能な施錠機構を備えつつも意匠性に優れた浴室建具を提供することにある。
【0007】
かかる浴室建具であって、前記規制部材を前記非規制位置から前記規制位置に移動する過程において、当該規制部材の移動を抑制する付勢力が作用することが望ましい。
このような浴室建具によれば、規制部材をホルダーから突出させる際には、規制部材の移動抑制する付勢力が作用するので、規制部材を突出させるためには、付勢力より大きな力にて規制部材を規制位置方向に移動させる必要がある。このため、容易に突出させにくく、たとえば、誤操作による突出や、また、小さな子供などによる突出操作を抑制できる規制部材を備えることが可能である。
【0008】
かかる浴室建具であって、前記規制部材は、前記ホルダーに収容されて見付け方向にスライドすることにより移動することが望ましい。
このような浴室建具によれば、規制部材をスライドさせることによって、規制部材を規制位置方向に突出させ、また、ホルダーに収容することが可能である。
【0009】
かかる浴室建具であって、前記ホルダーは、見付け方向に沿うレールを有し、前記規制部材は、前記レールが挿入されるガイド溝を有していることが望ましい。
【0010】
かかる浴室建具であって、前記規制部材には、第1ストッパーと第2ストッパーとが見付け方向に並べて設けられており、前記ホルダーは、前記第1ストッパーが収容される第1収容部と、前記第2ストッパーが収容され見付け方向に並べて設けられた2つの第2収容部とを有し、前記非規制位置にて前記第1ストッパーが前記第1収容部に収容されるとともに、前記第2ストッパーが前記ホルダーの前記2つの第2収容部のうちの吊元側の前記第2収容部に収容され、前記規制位置にて前記第1ストッパーが前記ホルダーの外に突出するとともに、前記第2ストッパーが前記ホルダーの前記2つの第2収容部のうちの戸先側の前記第2収容部に収容されることが望ましい。
【0011】
かかる浴室建具であって、前記規制部材は、見込み方向に沿う軸に支持されて前記ホルダーに回動自在に設けられており、回動することにより移動することが望ましい。
このような浴室建具によれば、規制部材を見込み方向に沿う軸を中心に回動させることによって、規制部材を戸先方向に突出させ、また、ホルダー側に入り込ませることが可能である
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、室外側から施錠及び解除可能な施錠機構を備えつつも意匠性に優れた浴室建具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る浴室建具を脱衣室側から見た正面図である。
図2】本実施形態に係る浴室建具の水平断面図である。
図3】タオル掛けの戸先側のホルダーの構造を説明するための斜視図である。
図4】スライダーを移動させる操作を説明するための斜視図である。
図5】第1ストッパーと第2ストッパーの作用を説明するための縦断面図である。
図6】戸先側のホルダーに設けられた規制部材の変形例を示す斜視図である。
図7】規制部材の変形例の構造を説明するための斜視図である
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る浴室建具について図を参照して説明する。
【0015】
本実施形態に係る浴室建具10は、浴室内外の境界部に設けられ、図1図2に示すように、浴室内外を連通し浴室の出入口をなす開口10aを形成する枠体11と、枠体11に回動自在に支持されて開口10aを閉止可能な障子20と、を有している。
【0016】
以下の説明においては、建物等に取り付けられた状態の浴室建具10を浴室外としての脱衣側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向または見付け方向、浴室内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。また、浴室建具10が備える各部材は、単体として説明する場合であっても、建物等に取り付けられた状態で上下方向、見付け方向、見込み方向等となる方向にて方向を特定して説明する。また、見込み方向浴室側および見込み方向脱衣室側(見込み方向浴室外側)は、それぞれ単に浴室側、脱衣室側(浴室外側)として説明する。また、本実施形態の障子は、脱衣室側から見たときに右側が吊元側となるため、以下の説明では、脱衣室側から見て右側を吊元側、脱衣室側から見て左側を戸先側とも称する。また、浴室側は室内側に相当し、脱衣室側(浴室外側)は室外側に相当する。
【0017】
枠体11は、開口10aの上縁をなす上枠12と、開口10aの下縁をなす下枠13と、開口10aの左右の縁をなす左右の縦枠14と、を有している。そして、上下に間隔を隔てて対向する上枠12及び下枠13の両端にそれぞれ縦枠14が突き当てられるとともに、縦枠14をそれぞれ見付け方向に貫通するビスが上枠12または下枠13に螺合されて矩形状に枠組みされている。ここで、上枠12、下枠13、縦枠14は、いずれも押出成形部材である。尚、上枠12、下枠13、縦枠14は押出成形部材に限らず、他の成形方法によって成形されたものでもよい。
【0018】
左右の縦枠14は、互いに左右が反転した対称の構造をなしている。このため、ここでは左右の縦枠14の同一部位に同符号を付し、脱衣室側から見て左側に位置する戸先側となる縦枠14を例に挙げて説明する。
【0019】
左の縦枠14は、図2に示すように、上下方向に連通する平断面が矩形状をなす中空部15aを有する縦枠本体15と、縦枠本体15の開口10a側の内壁部15bと同一平面を形成し脱衣室側に延出されている延出壁部15cと、延出壁部15cの見込み方向におけるほぼ中央部分から開口10aの中央側に突出された突出壁部15dとを有している。突出壁部15dには、先端部に浴室側に向かって開放された溝状をなし、シール材(不図示)が嵌入されるシール材嵌入部15eが設けられている。
【0020】
枠体11の上枠12、下枠13には、2本の縦枠14とともに矩形状に枠組みされたときに、縦枠14の突出壁部15dと見込み方向における同位置に、壁部(不図示)とシール材嵌入部(不図示)とが設けられており、上枠12、下枠13、2本の縦枠14の各々のシール材嵌入部15eにシール材が嵌入されると、浴室方向に突出したシール材が矩形状をなすように構成されている。そして、各突出壁部15dより浴室側に設けられている障子20が閉じられたときに、障子20が有する框体25が、矩形状をなすシール材に当接されて止水性が確保される。ここで、突出壁部15dが、開口10aを閉止した障子20の浴室外側の面より脱衣室側(浴室外側)に位置し、障子20の戸先側にて障子20と見込み方向に対向する障子対向壁部に相当する。
【0021】
障子20は、図1図2に示すように、上框21、下框22、戸先框23、吊元框24が矩形状に框組みされた框体25と、框体25の内周側に設けられる透光性を有する板材26と、を有している。図1図2において、左側に設けられた戸先框23には上下方向におけるほぼ中央に、障子20を開閉するための固定ハンドル27が設けられており、また、固定ハンドル27より下側には、戸先框23と吊元框24との間に架け渡されたタオル掛け28が設けられている。
【0022】
タオル掛け28は、障子20が開口10aを閉止した閉止状態にて、縦枠14の突出壁部15dより脱衣室側(浴室外側)に突出している
オル掛け28は、戸先框23及び吊元框24にそれぞれ固定され、平面視ほぼL字状をなす左右のホルダー28a、28bと、2つのホルダー28a、28b間に架け渡された棒状体28cとを有している。
【0023】
戸先框23に設けられたホルダー28aは、戸先框23に固定されて脱衣室側に延びる固定部28dと、固定部28dの脱衣室側先端にて固定部28dとほぼ90度をなして棒状体28cが係止される係止部28eとを有している。吊元框24に設けられたホルダー28bは、吊元框24に固定されて見込み方向脱衣室側に延びる固定部28fと、固定部28fの脱衣室側先端にて固定部28fとほぼ90度をなして棒状体28cが係止される係止部28gとを有している。
【0024】
戸先框23に設けられたホルダー28aの係止部28eには、図3に示すように、見付け方向に移動可能な規制部材としてのスライダー30が収容されるスライダー収容部29が設けられている。スライダー収容部29は、スライダー30が収容されてホルダー28aの外周面とスライダー30の外部に露出する外周面とが繋がった形状をなすように、スライダー30が収容されるように形成されている。より具体的には、スライダー30は、ホルダー28aの外形形状から突出することなく、ホルダー28aの外形形状が繋がって(連続して)スライダー30がホルダー28aの一部をなして見えるようにスライダー収容部29に収容される。
【0025】
スライダー収容部29は、ホルダー28aの上側に位置する上覆部29a、下側に位置する下支持部29b、スライダー収容部29の浴室側にてスライダー30と対向する框側対向壁部29c、スライダー収容部29の見付け方向棒状体28c側にてスライダー30と対向する棒状体側対向壁部29dにて形成されている。
【0026】
上覆部29aの下面と下支持部29bの上面には、それぞれ脱衣室側に偏った位置にて互いに対向する側に突出させて(つまり、互いに接近する方向に突出させて)見付け方向に沿うレール29eが設けられている。また、上覆部29aの下面には、レール29eより浴室側に、後述する第1ストッパー31が収容される第1収容部29f(図5)と、第2ストッパー32が収容される第2収容部29g(図5)とが上方に窪ませて形成されている。
【0027】
スライダー30は、ほぼ直方体状をなす樹脂製の部材であり、上下の面には脱衣室側に偏った位置に、ホルダー28aの上覆部29a及び下支持部29bにそれぞれ設けられたレール29eが挿入されるガイド溝33が設けられている。また、スライダー30において障子20の戸先側であって、スライダー収容部29の浴室側対向壁部29cと対向する側は、戸先側の縦枠14に向かって、漸次見付け方向の幅が狭くなるような傾斜面30bが設けられている。
【0028】
スライダー30における浴室側、すなわちガイド溝33が設けられている部位より浴室側は、下方に向かって開放された中空部が形成されており、中空部の上に位置する上板部34には、上下方向に移動可能な第1ストッパー31と第2ストッパー32とが設けられている。
【0029】
第1ストッパー31と第2ストッパー32とは、見付け方向に並べて設けられており、第1ストッパー31が戸先側に、第2ストッパー32が吊元側に配置されている。第1ストッパー31と第2ストッパー32はいずれも、スライダー30の上方と中空部とを上下方向に連通する、平面視ほぼU字状をなすU字開孔34aが上板部34に設けられることによりU字開孔34aに囲まれるように形成された中央部35の先端側に形成されている。そして、中央部35は、U字開孔34aの繋がっていない側にて片持ち支持された状態となり、中央部35が弾性により撓むことにより先端側に設けられた第1ストッパー31と第2ストッパー32が上下方向に移動するように形成されている。このとき、第1ストッパー31と第2ストッパー32の片持ち支持された側が障子20の吊元側に位置し、先端側が戸先側に位置するように設けられている。
【0030】
第1ストッパー31は、上板部34より上方に突出させて形成されており、戸先側の部位が、戸先側に向かって漸次厚みが薄くなるような傾斜面31aを有しており、吊元側の端部は、ほぼ鉛直な平面でなる規制壁31bを有している。
【0031】
第2ストッパー32も上板部34より上方に突出させて形成されているが、第1ストッパー31より上方への突出量は小さく、戸先側及び吊元側がいずれも傾斜面を有する山形状をなしている。
【0032】
スライダー30の脱衣室に臨む面30cには、スライダー30を戸先側に突出させるためのコイン80が係合される係合部としてのスリット30aが2カ所設けられている。ホルダー28aに収容されたスライダー30は、ホルダー28aより外側に突出する部位を有しないため突出させにくい。そこで、図4に示すように、スライダー30を戸先側に突出させるための操作具としてコイン80を用い、コイン80をスリット30aに挿入させて操作することによりスライダー30を容易に移動させることができるようにスリット30aが設けられている。
【0033】
そして、スライダー30がホルダー28aに収容された状態である非規制位置では、図5(a)に示すように、第1ストッパー31がホルダー28aの上覆部29aに設けられた第1収容部29fに、第2ストッパー32が上覆部29aに設けられた吊元側の第2収容部29gに収容されている。このとき、スライダー30の傾斜面31aは、第1収容部29fに設けられた傾斜対向面29hと対面している。
【0034】
このスライダー30にて障子20を施錠する場合、つまり、スライダー30を図2に示すように規制位置とする場合には、スライダー30の脱衣室側の面に設けられているスリット30aにコイン80を係合させて、戸先方向に移動させる。この操作によりスライダー30がホルダー28aの外側に突出し始める。このとき、第1ストッパー31の傾斜面31aが第1収容部29fの傾斜対向面29hに当接され、更に戸先側に移動されることにより、図5(b)に示すように、中央部35に撓みが生じ第1ストッパー31が下方に移動する。また、第2ストッパー32も第2収容部29gの斜面に当接され、更に戸先側に移動されることにより中央部35に撓みが生じて下方に移動する。このとき、第1ストッパー31及び第2ストッパー32が下方に移動する際に、中央部35に撓みを生じさせる力が、スライダー30の戸先側への移動を抑制する付勢力として作用するので、スライダー30は容易に戸先側に移動しない。特に、スライダー30は、ホルダー28aに収容された状態にて外部に露出している部位がホルダー28aの外径形状と繋がって突出していないので、操作者はスライダー30を把持し難く、力も作用させ難い。このため、コイン80をスリット30aに挿入して操作することにより、スライダー30の移動が可能となる。
【0035】
その後、更にスライダー30を戸先側に移動させると、図5(c)に示すように、第1ストッパー31がホルダー28aの外側に突出し、第1ストッパー31が設けられている中央部35を撓ませている力が解除されるので、第1ストッパー31が上方に移動し、規制壁31bがホルダー28aの戸先側の外面と対向する。このとき、第2ストッパー32は、戸先側に位置する第2収容部29gと対向する位置に移動し、第2ストッパー32が設けられている中央部35を撓ませている力が解除されるので、第2ストッパー32が上方に移動してスライダー30の戸先側への移動が規制されて停止する。すなわち、スライダー30は、見付け方向において、戸先側にも吊元側にも移動が規制される。この状態にて、スライダー30は、戸先側の縦枠14に設けられた突出壁部15dの脱衣室側にて突出壁部15dと対向する位置である規制位置まで突出しているため、障子20を開くことができないようになる。また、スライダー30が突出した状態で、スライダー30をホルダー28aに入り込む方向、すなわち吊元側に単に移動させてホルダー28a内に収容しようとしても、規制壁31bがホルダー28aの外周面に当接されるので、スライダー30を吊元側に移動させることはできない。つまり、突出壁部15dの脱衣室側(浴室外側)と対向する規制位置から、突出壁部15dの脱衣室側(浴室外側)と対向しない非規制位置に移動させることができない。
【0036】
スライダー30を吊元側である非規制位置に移動させるには、図5(d)に示すように、第1ストッパー31を下方に移動させつつスライダー30を吊元側に押圧することにより、スライダー30の吊元側への規制が解除されて移動させることが可能となる。
【0037】
本実施形態の浴室建具10によれば、障子20が閉止した閉止状態において、突出壁部15dより脱衣室側に突出するタオル掛け28のホルダー28aに備えられて、見付け方向において障子20の戸先側に移動可能なスライダー30が突出すると、スライダー30は枠体11が有する突出壁部15dの脱衣室側面と対向する。このため、障子20が閉止した状態でスライダー30を突出させたまま障子20を開こうとすると、突出しているスライダー30が突出壁部15dと干渉してそれ以上の開放が規制されるので、開口10aは障子20により閉止された状態、もしくは、人が通過できない程度に若干開いた状態が保たれる。よって、スライダー30の移動により障子20を施錠及び解除することが可能である。また、スライダー30は、障子20に設けられたタオル掛け28のホルダー28aに入り込む、すなわち収容されることにより、視認しにくくなるので、施錠機構を備えつつも障子20及び浴室建具10の意匠性を損なわない。このため、浴室外側から施錠及び解除可能な施錠機構を備えつつも意匠性に優れた浴室建具10を提供することが可能である。
【0038】
また、スライダー30はホルダー28a側に入り込んで収容され状態では、外部に露出する周面の形状がホルダー28aの外周形状と繋がって連続した表面を形成しているので、ホルダー28a側に入り込んだスライダー30は、把持しにくい。また、スライダー30をホルダー28aから突出させる際には、スライダー30の移動を抑制する付勢力が作用するので、付勢力より大きな力にてスライダー30を突出方向、すなわち戸先側に移動させる必要がある。つまり、スライダー30を非規制位置から規制位置に移動する過程においてスライダー30の移動を抑制する付勢力が作用するため、スライダー30は容易には突出させにくいので、誤って突出させることを防止することが可能である。また、小さな子供などには突出させにくいスライダー30を備えることが可能である。そして、スライダー30に設けられたスリット30aにコイン80を係合させて操作することにより容易にスライダー30を突出させることが可能である。
【0039】
また、タオル掛け28のホルダー28aから突出したスライダー30は、規制壁31bがホルダー28aの外周面に当接することにより収容される方向への移動が規制されているので、スライダー30が突出している状態(規制位置)を維持させることが可能である。また、スライダー30を収容される方向(非規制位置)に移動させる際には、規制壁31bによる規制を解除しなければならないので、スライダー30を誤ってホルダー28a内に入り込ませたり、小さな子供によってホルダー28aに入り込む方向に移動されることを防止することが可能である。このため、チャイルドロック機能を備えた浴室建具10を提供することが可能である。
【0040】
また、スライダー30をスライドさせることによって、スライダー30を戸先方向に突出させ、また、ホルダー28aに収容することが可能なので、簡単な機構にて脱衣室側から施錠する機構を備えることが可能である。
【0041】
また、スライダー30が設けられる部位、すなわち収容される部位は、タオル掛け28のホルダー28aなので、スライダー30が設けられる部位を、別部材として設ける必要はない。このため、浴室建具10の意匠性を損なうことなく、脱衣室側から施錠及び解除可能な施錠機構を備えることが可能である。
【0042】
上記実施形態においては、脱衣室側からの施錠機構を、見付け方向に移動可能なスライダー30により構成する例について説明したが、たとえば、図6図7に示すように、規制部材を、見込み方向に沿う軸に支持されてホルダー50に回動自在に設けられており、回動することにより規制位置や非規制位置に移動する形態であっても構わない。この場合には、図7に示すように、ホルダー50が、ホルダー本体51と、規制部材としての回動体52とを有している。ホルダー本体51と回動体52とは、回動体52が戸先側に突出していない非規制位置の状態では、回動体52の先端がホルダー50側と見込み方向に重なるように構成されている。このとき、ホルダー本体51の最も脱衣室側の面と回動体52の脱衣室側の面とは、ほぼ同一平面を形成し、回動体52の周面と、ホルダー本体51の、回動体52と隣接する周面とが繋がるような外形形状をなしている。
【0043】
ホルダー本体51には、回動体52に設けられた回動軸52aが挿入されて回動体52の回動中心をなす回動軸孔51aと、回動体52を回動させる際に回動体52の移動を抑制する付勢力を付与する付勢力付与部51bと、回動して戸先側に突出した回動体52の吊元側への移動を規制する規制部51cとを有している。
【0044】
付勢力付与部51bは、見込み方向に連通する、ほぼU字状をなすU字開孔51dが設けられることによりU字開孔51dに囲まれるように形成された中央部51eの先端側に、脱衣室側に突出する傾斜面にて形成されている。そして、中央部51eは、U字開孔51dの繋がっていない側にて片持ち支持された状態となり、中央部51eが弾性により撓むことにより先端側に設けられた付勢力付与部51bが見込み方向に移動するように形成されている。
【0045】
規制部51cは、ホルダー本体51に設けられた収容孔51fに収容されて見込み方向に移動可能な円柱状の移動部材51gと、移動部材51gの浴室側に位置するコイルスプリング51hが設けられて構成されている。そして、移動部材51gは、コイルスプリング51hにより脱衣室側に付勢されており、回動体52が取り付けられていない状態では、移動部材51gに設けられた係止部51iが収容孔51fに設けられた係止凹部51jに係止されて脱衣室側に突出している。
【0046】
回動体52は、ホルダー本体51と対面する側の面、すなわち浴室側面に、当該浴室側面から浴室側に突出する回動軸52aと、脱衣室側に窪んで、ホルダー本体51の付勢力付与部51bが収容される凹部52bが設けられている。凹部52bは、ホルダー本体51に設けられた付勢力付与部51bと対面するような傾斜面を有している。
【0047】
そして、回動軸52aが回動軸孔51aに挿入されて、回動体52がホルダー本体51と重なっている状態で、付勢力付与部51bが回動体52に設けられた凹部52bに収容され、移動部材51gはコイルスプリング51hを圧縮しつつ収容孔51fに収容されている。
【0048】
この回動体52にて障子20を施錠する場合には、回動体52の下端側を戸先側に移動させることにより回動体52を回動し、回動体52がホルダー本体51の外側に突出し始める。このとき、回動体52の移動に伴って凹部52bが戸先側に移動することにより中央部51eに撓みが生じ、付勢力付与部51bが浴室側に移動する。このとき、付勢力付与部51bが浴室側へ移動する際に、中央部51eに撓みを生じさせる力が、回動体52の戸先側への移動を抑制する付勢力として作用するので、回動体52は容易に戸先側に移動しない。つまり、回動体52を非規制位置から規制位置に移動する過程において、回動体52の移動を抑制する付勢力が作用するため、回動体52は容易には突出させにくいので、誤って突出させることを防止することが可能である。
【0049】
その後、更に回動体52を戸先側に移動させて、回動体52が移動部材51gを通過すると、移動部材51gがコイルスプリング51hの付勢力により脱衣室側に突出する。突出した移動部材51gにより回動体52の吊元側への移動、つまり、非規制位置への移動が規制される。この状態にて、回動体52は、戸先側の縦枠14に設けられた突出壁部15dの脱衣室側にて突出壁部15dと対向する位置である規制位置まで突出しているため、障子20を開くことができないようになる。また、回動体52が突出した状態で、回動体52を単に入り込む方向、すなわち吊元側である非規制位置に移動させてホルダー本体51と重ねようとしても、移動部材51gにより回動体52が回動できないので、回動体52を吊元側に移動させることはできない。
【0050】
回動体52を吊元側に移動させるには、移動部材51gを浴室側に移動させつつ回動体52を吊元側に回動させることにより、回動体52の吊元側への規制を解除して移動させることが可能となる。
【0051】
このような浴室建具10によれば、回動体52を見込み方向に沿う回動軸52aを中心に回動させることによって、回動体52を戸先方向に突出させ、また、ホルダー50側に入り込んで脱衣室側から施錠する機構を簡単な機構にて備えることが可能である
【0052】
記実施形態においては、障子20が框体25と板材26とを有している例について説明したが、これに限らず、パネル状の1枚の板材や高強度ガラスであっても構わない。
【0053】
また、上記実施形態においては、縦枠14の縦枠本体15が矩形状をなす中空部15aを備えていたが、これに限ることなく、中空部を備えていない形状であってもよい
【0054】
記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0055】
10 浴室建具、10a 開口、11 枠体、15d 突出壁部、20 障子、
28a ホルダー、29 スライダー収容部、29f 第1収容部、29g第2収容部、
30 スライダー、30a スリット、31 第1ストッパー、32 第2ストッパー、
35 中央部、50 ホルダー、51 ホルダー本体、51a 回動軸孔、
51b 付勢力付与部、51c 規制部、51e 中央部、51f 収容孔、
51g 移動部材、51h コイルスプリング、52 回動体、52a 回動軸、
52b 凹部、60 固定ハンドル、61 ホルダー、65 回動ハンドル、
70 操作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7