(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、蓋部材の回転中に上側蓋部材(ドア部)がスライド移動可能に構成されると、上側蓋部材(ドア部)が不安定な状態で回転する。このため、蓋部材が回転する際には、上側蓋部材(ドア部)のスライド移動を制限することが好ましい。この場合、上側蓋部材(ドア部)に係合するロック部材を設けることで、上側蓋部材(ドア部)のスライド移動を制限することが可能であるが、例えば、高温環境下にさらされて、このロック部材が熱などにより変形すると、ロック部材が上側蓋部材(ドア部)に係合したまま外れ難くなるといった等の可能性がある。これにより、ロック部材の変形を抑制できる構造にしておくことが望ましい。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、ドア部のスライド移動を制限するロック部材の変形を抑制できるコンソールボックス装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のコンソールボックス装置は、内部に収容部を有するボックス本体と、
前記ボックス本体に回転可能に支持されたヒンジ部と、前記ヒンジ部にスライド移動可能に設けられたドア部と、前記ドア部に設けられ、前記ドア部の特定位置におけるスライド移動を制限するための被係合部と、前記ヒンジ部にロック位置とロック解除位置との間で回転可能に支持され、前記ロック位置において前記被係合部と係合することで前記ドア部の特定位置におけるスライド移動を制限すると共に前記ロック解除位置において前記被係合部から離間されることで前記ドア部の特定位置におけるスライド移動を許容する第1アーム部を有すると共に、前記ドア部が前記収容部の開口部を閉塞する閉位置において前記ボックス本体に当接することで前記ロック解除位置へ回転される第2アーム部を有したロック部材と、前記第2アーム部と前記ヒンジ部との間に設けられ、前記第1アーム部が前記ロック位置に位置されるように前記第2アーム部に付勢力を作用させる付勢部材と、
前記第2アーム部に設けられ、前記付勢部材が組付けられる組付面と、前記ヒンジ部に組付けられ、前記付勢部材を外側から覆うカバーと、前記第2アーム部に設けられ、前記カバーを前記ヒンジ部に組付ける組付方向において前記組付面に沿った前記付勢部材の移動を抑制する抑制部と、を備えている。
【0007】
請求項1に記載のコンソールボックス装置では、内部に収容部を有したボックス本体にヒンジ部が回転可能に支持されており、ヒンジ部には、ドア部がスライド移動可能に設けられている。これにより、ボックス本体にドア部及びヒンジ部が回転可能
に支持されている。
【0008】
また、ヒンジ部には、ロック部材が回転可能に支持されており、ロック部材はロック位置とロック解除位置との間で回転可能に構成されている。そして、ロック部材がロック位置に回転された際に、ロック部材の第1アーム部がドア部の被係合部と係合することで、特定位置におけるドア部のスライド移動が制限される。また、ロック部材がロック解除位置に回転された際に、ロック部材の第1アーム部がドア部の被係合部から離間することで、特定位置におけるドア部のスライド移動が許容される。
【0009】
さらに、ロック部材は、第2アーム部を有している。この第2アーム部は、ドア部が収容部の開口部を閉塞する閉位置において、ボックス本体と当接することで、ロック部材がロック解除位置へ回転される。これにより、ドア部が閉位置に配置された際に、特定位置におけるドア部のスライド移動が許容される。
【0010】
ここで、第2アーム部とヒンジ部との間には付勢部材が設けられており、第1アーム部がロック位置に位置されるように、付勢部材が第2アーム部に付勢力を作用させている。これにより、ドア部が閉位置から回転される際には、付勢部材の付勢力によってロック部材がロック位置へ回転されるため、ロック部材の第1アーム部がドア部の被係合部に係合する。このため、ドア部が閉位置から回転された際には、特定位置におけるドア部のスライド移動が制限される。
【0011】
また、ヒンジ部及びドア部が閉位置に配置された際には、付勢部材から第2アーム部にロック部材をロック位置側へ回転させる付勢力と、ボックス本体から第2アーム部にロック部材をロック解除位置側へ回転させる反力とが作用して、これらの力は第2アーム部に対して互いに反対方向に作用する。このため、これらの力が互いに打ち消し合うように第2アーム部に作用するため、第2アーム部の変形を抑制できる。しかも、ドア部の被係合部に係合する第1アーム部は、第2アーム部と別に設けられているため、付勢部材からの付勢力及びボックス本体からの反力が第1アーム部に作用しない。これにより、第1アーム部の変形を抑制できる。したがって、第1アーム部をドア部の被係合部に良好に係合でき、第1アーム部とドア部の被係合部との係合を良好に解除できる。
【0013】
また、第2アーム部には、組付面が設けられており、組付面に付勢部材が組付けられている。ここで、第2アーム部には、抑制部が設けられており、抑制部は、組付面に沿った付勢部材の移動を抑制する。これにより、付勢部材が第2アーム部に安定して組付けられる。
【0015】
さらに、付勢部材を外側から覆うカバーがヒンジ部に組付けられている。そして、カバーをヒンジ部に組付ける組付方向において、抑制部が付勢部材の移動を抑制しているため、カバーをヒンジ部に組付ける際の付勢部材の第2アーム部からの脱落を防止できる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載のコンソールボックス装置によれば、ドア部のスライド移動を制限するロック部材の変形を抑制できる。
【0017】
また、付勢部材を安定して第2アーム部に組付けできる。
【0018】
さらに、カバーをヒンジ部に組付ける際の組付性を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図2には、本発明の実施の形態に係るコンソールボックス装置10の全体が斜視図にて示されており、
図3には、コンソールボックス装置10に用いられる蓋部40を開位置に配置した状態が斜視図にて示されている。また、
図4には、コンソールボックス装置10を分解した状態が斜視図にて示されている。なお、これらの図面に適宜示される矢印FRは車両前方を示し、矢印Wは車幅方向を示し、矢印UPは上方を示す。
【0021】
これらの図に示すように、コンソールボックス装置10は、ボックス本体12とボックス本体12の上方に配置された蓋部40とを有している。また、コンソールボックス装置10は車両の運転席用シート(図示省略)と助手席用シート(図示省略)との間に配置されている。
【0022】
図3及び
図4に示すように、ボックス本体12は、ボックスサブアッシー14と一対のサイドパネル30とエンドパネルサブアッシー32とを有している。ボックスサブアッシー14は、ボックス本体12の車両後方部に設けられており、上部に開口部16を有した略直方体箱形状に形成されている。また、ボックスサブアッシー14の内部は、収容部18とされている。
【0023】
ボックスサブアッシー14の右側壁及び左側壁の上部には、車幅方向内側の部分において、一対のスライド溝20が設けられている。スライド溝20は、車両前後方向に沿って延設されており、スライド溝20の車両前後方向の両端部には、上方に開放された開放部22が設けられている。また、スライド溝20の車両後側の端部には、後述するロックサブアッシー100のロックピン104と嵌合する断面円形状の第1嵌合凹部24が設けられており、スライド溝20の車両前側の端部には、ロックピン104と嵌合する断面円形状の第2嵌合凹部26が設けられている。
【0024】
ボックスサブアッシー14の後側壁には、上部において、被当接部28が設けられている。この被当接部28は、上下方向に対して直交する方向に配置されて、後述するスライドストッパ66の当接部80と当接可能に構成されている。
【0025】
サイドパネル30は、ボックスサブアッシー14の車幅方向外側にそれぞれ設けられて、ボックス本体12の車幅方向外側の部分を構成している。
【0026】
エンドパネルサブアッシー32は、ボックスサブアッシー14の車両後方に設けられている。このエンドパネルサブアッシー32はサイドパネル30に組付けられて、ボックス本体12の車両後方の部分を構成している。
【0027】
次に、本発明の要部である蓋部40について説明する。蓋部40は、ヒンジアッシー42と、ドア部88と、ロックサブアッシー100とを有している。
【0028】
図5〜
図7に示すように、ヒンジアッシー42は、樹脂により製作されたヒンジ部としてのヒンジ体44を有している。ヒンジ体44には、車幅方向外側の部分において、一対のヒンジアーム46が設けられており、ヒンジアーム46は側面視において略扇形状に形成されている。このヒンジアーム46は、ボックスサブアッシー14の右側壁及び左側壁の車両後方部分とサイドパネル30との間に配置されて、ボックスサブアッシー14に回転可能に支持されている。これにより、蓋部40が、
図10に示す矢印A方向に回転可能に構成されて、ボックスサブアッシー14の開口部16を閉塞する閉位置(
図2参照)と開口部16を開口する開位置(
図3参照)との間で回転移動可能に構成されている。なお、
図10では、便宜上、断面のハッチングを省略している。
【0029】
ヒンジ体44には、一対のヒンジアーム46の間において、ヒンジ本体部48が設けられている。ヒンジ本体部48は、側面視において略クランク状に形成されて、一対のヒンジアーム46と一体に形成されている。ヒンジ本体部48には、右側面及び左側面において、それぞれ一対の円筒状のスライドピン50が設けられており、スライドピン50はヒンジ本体部48から車幅方向外側へ突出されている。
【0030】
ヒンジ本体部48の上部には、車幅方向中間部において、後述するスライドストッパ66の車両前方の部分を収容するための前側収容部52が設けられている。この前側収容部52の車両後方の部分には、一対の支持壁54が車幅方向に対向して設けられており、支持壁54には、後述するスライドストッパ66を支持するための支持部56が設けられている。
【0031】
さらに、ヒンジ本体部48には、一対のヒンジアーム46の間において、後述するスライドストッパ66の車両後方の部分及び圧縮コイルスプリング82を収容するための後側収容部58が設けられている。後側収容部58は下方へ開口されると共に、車両前方へ開口されている。これにより、後側収容部58と前側収容部52とが連通されている。
【0032】
図8に示すように、後側収容部58の上壁58Aには、上部において、後述する圧縮コイルスプリング82の上端部を組付けるための第1組付溝60及び第2組付溝62が形成されている。第1組付溝60は、略円環状に形成されている。また、第2組付溝62は、第1組付溝60の車両前方において、第1組付溝60と接するように車両前後方向に沿って延設されて、第1組付溝60と連通されており、第2組付溝62の車両前方端は車両前方に開放されている。また、後側収容部58の上壁58Aには、第2組付溝62の車幅方向外側において、略直方体状のガイド部64が一体に設けられており、ガイド部64は、車両前後方向に沿って延設されると共に、上壁58Aから上方へ突出されている。
【0033】
図5及び
図6に示すように、ヒンジ体44の前側収容部52内及び後側収容部58内には、ロック部材としてのスライドストッパ66が配置されている。スライドストッパ66は、略板状に形成されて、側面視で略クランク状に形成されている。このスライドストッパ66には、右側面及び左側面において、それぞれ円筒状の支持軸68が形成されており、支持軸68はスライドストッパ66から車幅方向外側へ突出されている。また、支持軸68は、車幅方向に弾性変形可能に構成されており、支持軸68内にヒンジ本体部48の支持部56が挿入されて、支持軸68が回転可能に支持されている。これにより、スライドストッパ66がロック解除位置(
図1において実線にて示される位置)とロック位置(
図1において点線で示される位置)との間で回転可能に支持されている。なお、
図1では、便宜上、断面のハッチングを省略している。
【0034】
スライドストッパ66には、支持軸68の車両前方の部分において、第1アーム部としてのフロントアーム部70が設けられている。フロントアーム部70は、側面視で略L字形状に形成されると共に、車両前後方向に沿って延設されている。フロントアーム部70の先端部には、上部において、一対のフック72(広義には、「係合部」として把握される要素である)が設けられている。フック72は、略直方体状に形成されて、フロントアーム部70から上方に突出されている。
【0035】
また、スライドストッパ66には、支持軸68の車両後方の部分において、第2アーム部としてのリヤアーム部74が設けられており、リヤアーム部74は車両前後方向に沿って延設されている。
図9に示すように(
図9では説明の便宜上、後側収容部58の上壁58Aを図示省略している)、リヤアーム部74の車両後方の部分には、上部において、凹部76が設けられており、凹部76は上方へ開口されると共に、車両後方へ開口されている。これにより、凹部76には、組付面としての底面76Aと抑制部としての内周面76Bとが形成されている。さらに、凹部76の車両後方端には、断面円弧状に形成された曲面部78が設けられており、曲面部78は底面76Aと段差なく接続されている。
【0036】
また、
図1に示すように、リヤアーム部74の車両後方の端部には、当接部80が設けられており、当接部80はリヤアーム部74から下方へ突出されている。この当接部80は、ヒンジ体44(蓋部40)が閉位置に回転された際に、ボックスサブアッシー14の被当接部28と当接可能に構成されており、当接部80が被当接部28に当接された際には、スライドストッパ66がロック解除位置へ回転されるように設定されている。
【0037】
図8及び
図9に示すように、リヤアーム部74の凹部76とヒンジ体44の後側収容部58の上壁58Aとの間には、略螺旋状に形成された付勢部材としての圧縮コイルスプリング82が設けられている。圧縮コイルスプリング82の上端部には、折り返し部84が形成されている。この折り返し部84は圧縮コイルスプリング82の上端から略1巻きされた部分から直線状に車両前方へ延設されると共に、下方へ折り返されて、さらに車両後方へ延設されている。そして、圧縮コイルスプリング82は、この折り返し部84から下方へ螺旋状に形成されている。また、圧縮コイルスプリング82の上端部及び折り返し部84の上側の部分は、ヒンジ体44の第1組付溝60内及び第2組付溝62内にそれぞれ配置されており、折り返し部84の間に後側収容部58の上壁58Aが挟み込まれるように車両前方側から組付けられている。これにより、折り返し部84によって圧縮コイルスプリング82の車両後方への移動が抑制されている。
【0038】
さらに、圧縮コイルスプリング82の下端部は、スライドストッパ66の凹部76内に配置されており、車両後方を除く圧縮コイルスプリング82の軸方向に直交する方向(凹部76の底面76Aに沿った方向)において、圧縮コイルスプリング82の移動が凹部76の内周面76Bによって抑制されている。また、圧縮コイルスプリング82は、リヤアーム部74を下方へ付勢しており、これにより、圧縮コイルスプリング82の付勢力によってスライドストッパ66がロック位置側へ付勢されている。
【0039】
図5に示すように、ヒンジ体44の後側収容部58の上方には、カバー部としてのヒンジカバー86が設けられており、ヒンジカバー86は、圧縮コイルスプリング82を覆う状態で、ヒンジ体44に組付けられている。また、ヒンジカバー86の車両前方の部分には、傾斜部(ガイド部)87が設けられており、傾斜部87は車両前方へ向かうに従い上方へ傾斜している。
【0040】
ここで、ヒンジ体44に圧縮コイルスプリング82、スライドストッパ66、及びヒンジカバー86を組付ける際の手順について、簡単に説明する。
【0041】
まず、ヒンジ体44の後側収容部58の上壁58Aに圧縮コイルスプリング82を組付ける。この際には、圧縮コイルスプリング82の折り返し部84の間に後側収容部58の上壁58Aが挿入されるように、圧縮コイルスプリング82を車両前方側から上壁58Aに挿入する。これにより、圧縮コイルスプリング82の折り返し部84の間に上壁58Aが挟み込まれると共に、圧縮コイルスプリング82の上端部の1巻き部分が、第1組付溝60内に組付けられると共に、折り返し部84の上部が第2組付溝62内に組付けられる(
図5の組付軌跡D参照)。
【0042】
次に、スライドストッパ66を後側収容部58内へ潜りこませるように上方から挿入しつつ、スライドストッパ66の凹部76内に圧縮コイルスプリング82の下端部を配置させる(
図5の組付軌跡E参照)。この状態で、圧縮コイルスプリング82を圧縮させつつ、スライドストッパ66の支持軸68内にヒンジ本体部48の支持部56を挿入する。これにより、スライドストッパ66がヒンジ体44に組付けられる。さらに、ヒンジカバー86を車両後方から車両前方(本発明の組付方向であり、
図5の矢印C方向である)へスライドさせるようにヒンジ体44に組付ける。これにより、圧縮コイルスプリング82がヒンジカバー86によって覆われる。
【0043】
一方、
図4に示すように、蓋部40は、ヒンジアッシー42の上方において、ドア部88を備えており、ドア部88は、ドアインナ90とドアアウタ96とを有している。ドアインナ90は下方へ開口された深さの浅い略箱状に形成されており、ドアインナ90の右側壁及び左側壁には、車幅方向内側の部分において、図示しないレール部が形成されている。このレール部内には、前述したヒンジ体44のスライドピン50が摺動可能に挿入されており、これにより、ドアインナ90がヒンジ体44に対して車両前後方向(
図10の矢印B方向)へスライド移動可能に構成されている。
【0044】
図1にも示すように、ドアインナ90の中央部には、被係合部としての略矩形状の第1ロック孔92が設けられており、第1ロック孔92は、後述するニュートラル位置にドア部88が配置された際に、前述したスライドストッパ66のフック72と係合可能に構成されている。また、ドアインナ90には、第1ロック孔92の車両後方の位置において、被係合部としての略矩形状の第2ロック孔94が設けられており、第2ロック孔94は、後述するフロント位置へドア部88がスライド移動された際に、スライドストッパ66のフック72と係合可能に構成されている。
【0045】
ドアアウタ96は、ドアインナ90の上方に配置されており、ドアインナ90に組付けられている。ドアアウタ96は、下方へ開口された深さの浅い略箱状に形成されて、ドアインナ90の上部を覆うように構成されている。
【0046】
また、
図3及び
図4に示すように、蓋部40の先端の部分には、ドア部88の下方において、ロックサブアッシー100が設けられており、ロックサブアッシー100は、ドアインナ90に組付けられている。
図3に示すように、ロックサブアッシー100の下部には、一対の凸部102が設けられており、一対の凸部102からロックピン104が車幅方向外側へ突出されている。このロックピン104は、ロックサブアッシー100の車両前方の部分に設けられたレバー106と連動機構(図示省略)を介して連結されており、レバー106を操作することで、ロックピン104は車幅方向内側へ移動されるように構成されている。また、ロックピン104は、車幅方向外側へ付勢されており、ロックピン104が車幅方向内側へ押圧された際にも、ロックピン104は車幅方向内側へ移動可能に構成されている。
【0047】
また、蓋部40が閉位置に配置された状態では、ロックピン104は、ボックスサブアッシー14のスライド溝20内に配置されると共に、スライド溝20内を摺動可能に構成されている。そして、ロックピン104がスライド溝20の車両後方の端部に配置された際には、ロックピン104は第1嵌合凹部24内に嵌合される(
図1に示される状態であり、この位置を特定位置としてのニュートラル位置という)。このため、ニュートラル位置におけるこの状態では、蓋部40の回転移動及びドア部88のスライド移動が制限されている。また、この位置では、ドアインナ90の第1ロック孔92の下方にスライドストッパ66のフック72が配置されるように設定されている(
図1参照)。
【0048】
また、ロックピン104がスライド溝20の車両前方の端部に配置された際には、ロックピン104は第2嵌合凹部26に嵌合される(この位置を特定位置としてのフロント位置という)。このため、フロント位置におけるこの状態では、蓋部40の回転移動及びドア部88のスライド移動が制限されている。また、ドア部88はロックサブアッシー100と共にスライド移動されるため、フロント位置では、ドアインナ90の第2ロック孔94の下方にスライドストッパ66のフック72が配置されるように設定されている。
【0049】
さらに、ニュートラル位置及びフロント位置において、ロックピン104と第1嵌合凹部24及び第2嵌合凹部26との嵌合が解除された状態では、蓋部40の閉位置からの回転が許容されて、ロックピン104がスライド溝20の開放部22から上方へ移動可能に構成されている。
【0050】
次に、本実施の形態の作用及び効果について説明する。
【0051】
コンソールボックス装置10において、蓋部40が閉位置に配置されると共にドア部88がニュートラル位置に配置されている状態では、ロックサブアッシー100のロックピン104はボックスサブアッシー14のスライド溝20の第1嵌合凹部24内に配置されている。このため、蓋部40の閉位置から開位置への回転が制限されると共に、ドア部88のニュートラル位置からのスライド移動が制限されている。
【0052】
ただし、この状態では、
図1に示すように、スライドストッパ66のリヤアーム部74の当接部80がボックスサブアッシー14の被当接部28に当接されているため、圧縮コイルスプリング82の付勢力に抗して、スライドストッパ66がロック解除位置へ回転されている。このため、ドアインナ90の第1ロック孔92からスライドストッパ66のフック72が離間されており、第1ロック孔92とフック72との係合は解除されている。
【0053】
次に、蓋部40が閉位置に配置された状態で、ドア部88をニュートラル位置からフロント位置へスライド移動させる場合について説明する。
【0054】
この場合には、ロックサブアッシー100のレバー106を操作することで、ロックサブアッシー100のロックピン104が車幅方向内側へ移動されて、ロックピン104と第1嵌合凹部24との嵌合が解除される。また、上述のように、スライドストッパ66はロック解除位置へ回転されている。これにより、ドア部88のニュートラル位置から車両前方へのスライド移動が許容されるため、ドア部88及びロックサブアッシー100を車両前方へスライド移動することで、ドア部88及びロックサブアッシー100がフロント位置へ移動される。ドア部88及びロックサブアッシー100がフロント位置へ移動された際には、ロックピン104が付勢力によって第2嵌合凹部26内に嵌合されるため、蓋部40の閉位置から開位置への回転が制限されると共に、ドア部88のフロント位置からのスライド移動が制限される。
【0055】
次に、蓋部40がニュートラル位置(又はフロント位置)に配置された状態で、蓋部40を閉位置から開位置へ回転させる場合について説明する。
【0056】
この場合には、ロックサブアッシー100のレバー106を操作することで、ロックサブアッシー100のロックピン104が車幅方向内側へ移動されて、ロックピン104と第1嵌合凹部24(又は第2嵌合部凹部26)との嵌合が解除される。このため、蓋部40の閉位置からの回転が許容されて、蓋部40を車両後方へ回転させることで、ロックピン104がスライド溝20の開放部22から上方へ移動される。これにより、蓋部40が閉位置から開位置へ回転される。
【0057】
ここで、リヤアーム部74の凹部76とヒンジ体44の後側収容部58の上壁58Aとの間には圧縮コイルスプリング82が設けられており、フロントアーム部70(スライドストッパ66)がロック位置へ位置するように、圧縮コイルスプリング82がリヤアーム部74に付勢力を作用させている。これにより、
図10に示すように、ドア部88が閉位置から回転される際には、スライドストッパ66の当接部80がボックスサブアッシー14の被当接部28から離間されるため、圧縮コイルスプリング82の付勢力によって、スライドストッパ66がロック位置へ回転される。このため、ドアインナ90の第1ロック孔92(又は第2ロック孔94)内にスライドストッパ66のフック72が配置されて、フック72が第1ロック孔92(又は第2ロック孔94)と係合する。これにより、ドア部88がヒンジ体44に対して相対移動不能の状態になるため、ドア部88及びロックサブアッシー100のニュートラル位置(又はフロント位置)からのスライド移動が制限される。したがって、蓋部40が閉位置から開位置へ向けて回転された際には、ドア部88及びロックサブアッシー100のスライド移動が制限される。
【0058】
また、蓋部40が閉位置に配置された際には、圧縮コイルスプリング82からリヤアーム部74にスライドストッパ66をロック位置側へ回転させる付勢力と、ボックスサブアッシー14の被当接部28からリヤアーム部74にスライドストッパ66をロック解除位置側へ回転させる反力と、が作用して、これらの力はリヤアーム部74に対して互いに反対方向に作用する。さらに、これらの力はリヤアーム部74の板厚方向に互いに打ち消し合うようにリヤアーム部74に作用するため、リヤアーム部74の変形を抑制できる。しかも、フロントアーム部70は、リヤアーム部74と別に設けられているため、フロントアーム部70に圧縮コイルスプリング82からの付勢力及び被当接部28からの反力が作用しない。これにより、フロントアーム部70の変形を抑制できるため、ドア部88の第1ロック孔92(又は第2ロック孔94)とフック72との間の位置ずれを抑制できる。したがって、フロントアーム部70のフック72を第1ロック孔92(又は第2ロック孔94)に良好に係合でき、フック72と第1ロック孔92(又は第2ロック孔94)の係合を良好に解除できる。
【0059】
また、リヤアーム部74の凹部76には、内周面76Bが設けられており、凹部76内に圧縮コイルスプリング82が配置されている。このため、圧縮コイルスプリング82が凹部76の底面76Aに沿って移動する際には、圧縮コイルスプリング82が内周面76Bに当接されるため、内周面76によって圧縮コイルスプリング82の移動を抑制できる。これにより、圧縮コイルスプリング82をスライドストッパ66のリヤアーム部74に安定して組付けできる。
【0060】
さらに、ヒンジ体44には、圧縮コイルスプリング82を外側から覆うヒンジカバー86が組付けられている。そして、圧縮コイルスプリング82に対するヒンジカバー86をヒンジ体44に組付ける組付方向(車両前方)において、凹部76の内周面76Bが配置されている。このため、ヒンジカバー86をヒンジ体44に組付ける際に、仮にヒンジカバー86に圧縮コイルスプリング82の上端が当たって圧縮コイルスプリング82が車両前方へ移動しても、圧縮コイルスプリング82が内周面76Bに当接されるため、圧縮コイルスプリング82の車両前方への移動を抑制できる。これにより、ヒンジカバー86をヒンジ体44に組付ける際のリヤアーム部74からの圧縮コイルスプリング82の脱落を防止でき、組付性を向上できる。
【0061】
また、ヒンジカバー86には、車両前方の部分において、傾斜部87が設けられており、傾斜部87は車両前方に向かうに従い上方へ傾斜されている。これにより、ヒンジカバー86を車両前方へ向けてヒンジ体44に組付ける際に、圧縮コイルスプリング82の上端とヒンジカバー86との引っ掛かりが抑制されるため、圧縮コイルスプリング82の車両前方への移動を一層抑制できる。
【0062】
さらに、ヒンジ体44の後側収容部58の上壁58Aには、第2組付溝62の車幅方向外側において、略直方体状のガイド部64が設けられており、ガイド部64は、上壁58Aから上方へ突出されている。このため、ヒンジカバー86を車両前方へ向けてヒンジ体44に組付ける際に、ヒンジカバー86がガイド部64に当接することで、ヒンジカバー86の圧縮コイルスプリング82側への移動が制限される。これにより、ヒンジカバー86をヒンジ体44に組付ける際の圧縮コイルスプリング82の上端とヒンジカバー86との引っ掛かりを一層抑制できる。
【0063】
また、圧縮コイルスプリング82には、折り返し部84が形成されており、折り返し部84の間にヒンジ体44の後側収容部58の上壁58Aが挿入されている。このため、上壁58Aとスライドストッパ66の凹部76との間に圧縮コイルスプリング82を組付ける際に、圧縮コイルスプリング82をヒンジ体44に仮組みできる。これにより、スライドストッパ66をヒンジ体44へ組付ける際に、スライドストッパ66をヒンジ体44の後側収容部58内に潜り込ませるように組付けることで、スライドストッパ66によって圧縮コイルスプリング82を圧縮させつつ、スライドストッパ66をヒンジ体44へ組付けできる。また、圧縮コイルスプリング82がヒンジ体44に組み付けられた後では、折り返し部84によって圧縮コイルスプリング82の車両後方への移動を制限できる。
【0064】
さらに、スライドストッパ66の凹部76の車両後方端には、断面円弧状に形成された曲面部78が設けられており、曲面部78は底面76Aと段差なく接続されている。このため、スライドストッパ66をヒンジ体44の後側収容部58内に潜り込ませて凹部76内に圧縮コイルスプリング82を配置させる際に、圧縮コイルスプリング82の下端部と凹部76の車両後方部との引っ掛かりを抑制できる。これにより、圧縮コイルスプリング82を容易に圧縮させることができる。
【0065】
なお、本実施の形態では、当接部80はスライドストッパ66の車両後方の端部に設けられており、当接部80と圧縮コイルスプリング82とが車両前後方向において若干ずれて配置されている。これに替えて、当接部80の真上に圧縮コイルスプリング82が配置されるように、スライドストッパ66を形成してもよい。これにより、圧縮コイルスプリングの付勢力がリヤアーム部74に作用する部位と、被当接部28からの反力がリヤアーム部74に作用する部位とが、車両前後方向においてずれないため、リヤアーム部74に曲げ応力が作用されることが抑制される。したがって、リヤアーム部74の変形を一層抑制できる。
【0066】
また、本実施の形態では、圧縮コイルスプリング82によってスライドストッパ66がロック位置側へ付勢されている。これに替えて、トーションスプリングによって、スライドストッパ66をロック位置側へ付勢してもよい。この場合には、例えば、トーションスプリングをスライドストッパ66の支持軸68に配置する。そして、トーションスプリングの一端をスライドストッパ66のリヤアーム部74に係止させると共に、トーションスプリングの他端をヒンジ体44に係止させる。これにより、トーションスプリングの付勢力がスライドストッパ66のフロントアーム部70に作用しないように構成できる。
【0067】
さらに、本実施の形態では、スライドストッパ66の凹部76の内周面76Bによって圧縮コイルスプリング82の移動を抑制している。これに替えて、スライドストッパ66の凹部76を省略して、平面視で略U字形状のリブを設けることで、このリブの内周面を本発明の抑制部としてもよい。