(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
スロットルバルブの開度を検出するために該スロットルバルブの回転軸の磁気を検出する磁気検出部材を具備してスロットルバルブ装置に組み込まれる回転角度検出装置であって、
前記磁気検出部材に接続されて該磁気検出部材からの検出信号を送信するセンサ配線部材と、前記スロットルバルブの前記回転軸を回転させるモータに電力供給するモータ配線部材とを備え、
前記センサ配線部材および前記モータ配線部材の少なくともいずれか一方を構成する配線部材は、該配線部材の一部に折り返されるように曲げられる曲げ部が設けられて成形されており、
前記曲げ部にて曲げられる配線部材の配線延在方向は、該曲げ部が設けられる前記センサ配線部材もしくは前記モータ配線部材の配線延在方向に対して直交する方向に設定されていることを特徴とする回転角度検出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで上記したセンサターミナルおよびモータターミナルは、スロットルバルブ装置全体のコンパクト化を図るため、外部機器に対して一括で接続することができるように並列配置されている。このため、センサターミナルおよびモータターミナルのそれぞれは、各ターミナルごとで組付けるのを省略するため、予め一体化した状態のワーク基材(フープ材)から各ターミナルを成形しておきたい。
しかしながら、予め一体化した状態となるように帯板状のワーク基材をプレス加工しようとすると、プレス加工する際のワーク基材の加工範囲をむやみに拡げてしまって、このワーク基材に無駄となる部分を多く生じさせてしまう。そうすると、製造コストが高価なものとなってしまう。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、スロットルバルブの開度を検出するためにスロットルバルブ装置に組み込まれる回転角度検出装置において、帯板状のワーク基材(フープ材)の加工範囲の無駄部分を抑えて、製造コストを安価とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するにあたって本発明に係る回転角度検出装置は次の手段をとる。
すなわち、本発明の第1の発明に係る回転角度検出装置は、スロットルバルブの開度を検出するために該スロットルバルブの回転軸の磁気を検出する磁気検出部材を具備してスロットルバルブ装置に組み込まれる回転角度検出装置であって、前記磁気検出部材に接続されて該磁気検出部材からの検出信号を送信するセンサ配線部材と、前記スロットルバルブの前記回転軸を回転させるモータに電力供給するモータ配線部材とを備え、前記センサ配線部材および前記モータ配線部材の少なくともいずれか一方を構成する配線部材は、該配線部材の一部に折り返されるように曲げられる曲げ部が設けられて成形されていることを特徴とする。
【0008】
この第1の発明に係る回転角度検出装置によれば、センサ配線部材およびモータ配線部材の少なくともいずれか一方を構成する配線部材は、配線部材の一部に折り返されるように曲げられる曲げ部が設けられて成形されている。なお、この曲げ部の折返しは、折り曲げることにより配線部材の延在方向を180度で返して配線部材を二重とすることを意味するものである。
ここで、このように折り返すように曲げられるワークは、帯板状のワーク基材(フープ材)を打ち抜くことにより形成される。このため、ワーク基材を打抜き加工する際のワーク基材の打抜き形状の自由度を、この折返し形状となる曲げ部によって向上させることができる。つまり、配線部材を所望形状に形成するにあたって、折り返すように曲げる曲げ加工(曲げ成形)に応じて、打抜き加工(プレス成形)における打抜き形状を適宜に変更することができる。
すなわち、センサ配線部材の配線構成と、モータ配線部材の配線構成(モータ接続端子を含む)との構成とを形成するにあたって、一体のワーク基材からの打抜き形状を所望形状に適宜に調節することができる。これによって、プレス加工時の配線部材同士の間隔を精度高く設定することができるので、配線部材同士の間隔を狭く設定して形成することができる。したがって、ワーク基材の使用量の低減も図ることができる。
これによって、回転角度検出装置を製造するにあたって組付け工程を省略するように配線部材を所望形状に形成することができながら、帯板状のワーク基材(フープ材)の加工範囲の無駄部分を抑えることができ、製造コストを安価とすることができる。
【0009】
第2の発明に係る回転角度検出装置は、前記第1の発明に係る回転角度検出装置において、前記曲げ部にて曲げられる配線部材の配線延在方向は、該曲げ部が設けられる前記センサ配線部材もしくは前記モータ配線部材の配線延在方向に対して直交する方向に設定されていることを特徴とする。
この第2の発明に係る回転角度検出装置によれば、曲げ部にて曲げられる配線部材の配線延在方向は、曲げ部が設けられるセンサ配線部材もしくはモータ配線部材の配線延在方向に対して直交する方向に設定されているので、曲げ部を形成するにあたっての配線部材の折曲箇所を、曲げ部が設けられるセンサ配線部材もしくはモータ配線部材の配線延在方向に沿って設定することができる。これによって、曲げ部を成形するにあたっての寸法精度を高くすることができる。
【0010】
第3の発明に係る回転角度検出装置は、前記第1または前記第2の発明に係る回転角度検出装置において、前記曲げ部は、前記センサ配線部材の一部に設けられていることを特徴とする。
この第3の発明に係る回転角度検出装置によれば、曲げ部はセンサ配線部材の一部に設けられているので、曲げ部の配置位置によってセンサ配線の間隔を狭くすることができる。これによって、センサ配線の間隔が狭いIC(integrated circuit)センサを接続することができて、回転角度検出装置自体の小型化を図ることができる。
【0011】
第4の発明に係る回転角度検出装置は、前記第1から前記第3のいずれかの発明に係る回転角度検出装置において、前記曲げ部は、前記モータ配線部材の一部に設けられていることを特徴とする。
この第4の発明に係る回転角度検出装置によれば、曲げ部はモータ配線部材の一部に設けられているので、モータ配線部材を構成するにあたり、モータ接続端子の構成と単なる配線構成とを区分けして構成することを要しない。これによって、1部品でモータ配線部材を構成することができて、組付け時の工程数削減を図ることができる。さらに、この第4の発明に係る回転角度検出装置によれば、曲げ部はモータ配線部材の一部に設けられているので、モータ接続端子を含むモータ配線部材を形成するにあたり、曲げ部の配置位置によって帯板状のワーク基材(フープ材)の余り部分を少なくすることができる。特にモータ配線部材の配線構成のうち、モータ接続端子に関する配線構成を形成するにあたり、ワーク基材を余り部分を有効利用することができる。これによって、モータ接続端子を一体のワーク基材より形成することができつつ、ワーク基材の使用量の低減も図ることができる。
【0012】
第5の発明に係る回転角度検出装置は、前記第1から前記第4のいずれかの発明に係る回転角度検出装置において、前記曲げ部の折返し形状は、曲率半径を有した環状にて成形されていることを特徴とする。
この第5の発明に係る回転角度検出装置によれば、曲げ部の折返し形状は、曲率半径を有した環状にて成形されているので、この曲げ部に集中する応力を環状方向で分散することができる。これによって、応力集中による曲げ部の割れを防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明に係る回転角度検出装置によれば、回転角度検出装置を製造するにあたって製造作業性を向上させつつ製造コストを安価とすることができる。
第2の発明に係る回転角度検出装置によれば、曲げ部を成形するにあたっての寸法精度を高くすることができる。
第3の発明に係る回転角度検出装置によれば、センサ配線の間隔が狭いICセンサを接続することができて、回転角度検出装置自体の小型化を図ることができる。
第4の発明に係る回転角度検出装置によれば、1部品でモータ配線部材を構成することができて、組付け時の工程数削減を図ることができる。
第5の発明に係る回転角度検出装置によれば、応力集中による曲げ部の割れを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る回転角度検出装置を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、スロットルバルブ装置10の内部構造を示す断面図である。なお、以下の説明では、説明の都合上、
図1の記載に基づいてスロットルバルブ装置10に関しての上下前後左右の方向を規定している。
図1に示すように、スロットルバルブ装置10は、自動車等の車両に搭載されるスロットルバルブ装置である。このスロットルバルブ装置10は電子制御式にて開閉可能に構成されている。このスロットルバルブ装置10は、樹脂の成形品にて形成されるスロットルボデー11を備える。このスロットルボデー11には、中空円筒状に形成されるボア壁部12が設けられている。ボア壁部12内には、吸気通路としてのボア13が形成されている。ボア壁部12には、ボア13の径方向(左右方向)でボア13を横切るように、金属製のスロットルシャフト14が配設されている。このスロットルシャフト14の両端部分は、ボア壁部12に形成された軸受部15にて回転可能に支持されている。このスロットルシャフト14には、円板状をなすバタフライバルブ式のスロットルバルブ16が螺子部材17を介して一体的に締着されている。このように、スロットルバルブ16は、スロットルシャフト14と一体で回転するようになっている。このスロットルバルブ16は、スロットルバルブ16の開度を決めるように、スロットルシャフト14の回転角度によってボア13を開け閉めするようになっている。つまり、スロットルシャフト14は、本発明に係るスロットルバルブの回転軸に相当する。
【0016】
スロットルシャフト14の駆動端側(右側)には、スロットルギヤ26が同軸で回り止めされるように取り付けられている。このスロットルギヤ26は、樹脂の成形品にて形成される。このスロットルギヤ26は、二重円筒状をなす内筒部261および外筒部262を備える。外筒部262の外周部分には、扇形のギヤ部263が形成されている。スロットルギヤ26とスロットルボデー11との間には、コイルスプリングにて形成されるバックスプリング27が介装されている。このバックスプリング27は、スロットルギヤ26を介してスロットルバルブ16が常時全閉する方向に付勢している。つまり、このバックスプリング27は、スロットルシャフト14を常時閉じ方向に回転付勢している。
スロットルボデー11のうち、ボア壁部12のスロットルシャフト14の延在交差側(下側)には、駆動モータ20を収納するモータ収納部18が設けられている。モータ収納部18は、DCモータとなる駆動モータ20を収納することができるように構成される。駆動モータ20は、スロットルシャフト14の駆動端側(右側)と一致する側に駆動スピンドル21を突き出させている。この駆動モータ20の駆動スピンドル21の外周部分にはピニオンギヤ22が設けられている。この駆動モータ20は、不図示のエンジンコントロールユニットから出力される駆動信号に基づいて回転駆動が制御されている。なお、この駆動スピンドル21は、上記したスロットルシャフト14に対して平行方向で延在するように配置されている。
【0017】
また、スロットルボデー11のうち、駆動モータ20の駆動スピンドル21に隣接位置には、カウンタシャフト23が設けられている。このカウンタシャフト23は、カウンタギヤ24を回転可能に支持するものであり、上記したスロットルシャフト14および駆動スピンドル21に対して平行方向で延在するように配置されている。カウンタギヤ24は、一体成形により形成された大径ギヤ部241および小径ギヤ部242を備える。大径ギヤ部241は、上記したピニオンギヤ22と噛合するギヤである。小径ギヤ部242は、大径ギヤ部241に比して小さいギヤ径にて形成され、スロットルギヤ26のギヤ部263と噛合するギヤである。このため、駆動モータ20の回転駆動力は、ピニオンギヤ22、カウンタギヤ24、スロットルギヤ26の順で伝達され、スロットルシャフト14を回転駆動させる。このようにしてスロットルバルブ16は、スロットルシャフト14の回転駆動を受けて開閉して、ボア13内を流れる吸入空気量を調節するようになっている。なお、これら、ピニオンギヤ22、カウンタギヤ24、スロットルギヤ26の各噛合は、減速ギヤ歯車列を構成する。
【0018】
図1に示すように上記したスロットルボデー11には、上記したピニオンギヤ22、カウンタギヤ24、スロットルギヤ26等を覆うように、センサカバー30が取付けられている。
図2は、センサカバー30の内面側を斜視にて示す斜視図である。
図3は、センサカバー30の内面側を正面視にて示す正面図である。
図2および
図3に示すセンサカバー30は、樹脂の成形品にて形成されている。このセンサカバー30は、
図1にも示すように、インサート成形によりカバー本体31に回転角度検出装置32が埋設されている。つまり、センサカバー30は、スロットルボデー11に対してのカバー構造となるカバー本体31を有するとともに、カバー本体31との一体成形(インサート成形)により回転角度検出装置32を含む電装部品を内蔵する。なお、符号311は、スロットルボデー11に対してセンサカバー30を螺子止めする際の螺子孔である。また、符号312は、図示では分かり難いが、後に説明するターミナル部品40の位置決め孔61,65に嵌まり込む突出形状にて形成される位置決め部である。カバー本体31には、後に説明する回転角度検出装置32における、センサコネクタ部45およびモータコネクタ部55と接続可能とするコネクタ接続部300が設けられている。コネクタ接続部300には、4本のセンサコネクタ部45(451,452,453,454)および2本のモータコネクタ部55(551,552)が、不図示の外部コネクタと接続可能に露出されている。また、カバー本体31には、後に説明する回転角度検出装置32における、駆動モータ20と接続可能とするモータ接続端子301が設けられている。
【0019】
図4は、このセンサカバー30に埋設される回転角度検出装置32の一部を示す断面図である。回転角度検出装置32は、樹脂のインサート成形によりカバー本体31に一部埋没するように設置されている。この回転角度検出装置32は、上記したスロットルバルブ16の開度を検出するスロットルポジションセンサとして利用される。なお、このスロットルバルブ16の開度は、この回転角度検出装置32によるスロットルシャフト14の回転角度を検出することにより検出している。また
図4に示すように、スロットルギヤ26の内筒部261には、この内筒部261に埋設されるように円筒状のヨーク33が設けられている。このヨーク33は、磁性材料にて形成されており、内側に一対の永久磁石34がヨーク33と一体化状態で固定されている。この対をなす永久磁石34は、フェライト磁石にて形成されている。このように配設される永久磁石34は、これら相互間に略平行な磁界が発生するように平行着磁されるものとなっている。
【0020】
次に、上記したカバー本体31に埋設される回転角度検出装置32を詳細に説明する。
図5は、回転角度検出装置32を示す斜視図である。
図6は、回転角度検出装置32を示す正面図である。
図5および
図6に示す回転角度検出装置32は、スロットルバルブ16の開度を検出するものであり、
図4に示す2つの磁気検出部材35を具備して構成される。
図4にも示すように、この磁気検出部材35は、スロットルシャフト14の磁気を検出する機能を有する。すなわち、回転角度検出装置32は、
図5および
図6にも示すように、2つの磁気検出部材35と、ターミナル部品40と、第1発泡成形部材71と、第2発泡成形部材75とを備える。なお、この回転角度検出装置32に設けられる磁気検出部材35は、フェイルセーフの観点から2つとなっている。つまり、磁気検出部材35の一方がフェイルダウンしても、他方の磁気検出部材35が機能が保全できるようになっている。また、後に詳述するが、ターミナル部品40は、4本のセンサターミナル41と、2本のモータターミナル51とを備えて構成される。この4本のセンサターミナル41は、磁気検出部材35に接続されて磁気検出部材35からの検出信号を送信するセンサ配線部材に相当する。これに対して、2本のモータターミナル51は、スロットルシャフト14を回転させる駆動モータ20に電力供給するモータ配線部材に相当する。
【0021】
図4に示すように、2つの磁気検出部材35のそれぞれは、磁気抵抗素子を具備するセンサICを備える。つまり、磁気検出部材35は、センシング部36と、信号演算部37と、接続端子部39とを備えて構成される。センシング部36は、磁気抵抗素子を内蔵しており、ブロック形の矩形ピース内部に埋没するようにされている。このセンシング部36は、磁気抵抗素子により周囲の磁気(磁場)の変化を検出する。センシング部36が検出した磁気の変化は、センシング部36から検出信号として信号演算部37に向けて出力される。信号演算部37は、ブロック形の矩形ピース内部に埋没するようにされている。信号演算部37は、半導体集積回路を内蔵しており、センシング部36から入力された磁束の方向に応じた検出信号を処理して回転角度に応じたリニアな回転角度信号(電圧信号)を出力する。この回転角度信号は、接続端子部39に接続されるセンサターミナル41に向けて信号演算部37から出力される。
なお、2つの磁気検出部材35の接続端子部39のそれぞれは、センサターミナル41に電気的に接続されている。つまり、後に説明するが、2つの磁気検出部材35の接続端子部39のそれぞれは、接地用のセンサターミナル414の接地用接続端子43のそれぞれに対しても電気的に接続されている。
【0022】
これらセンシング部36と信号演算部37との間の配線部分は、略L字形に折り曲げられた折曲配線部38として形成されている。つまり、センシング部36は、折曲配線部38により信号演算部37の延在方向に対して略直交する方向にて延在するようになっている。なお、センシング部36のブロック形の矩形ピースは、信号演算部37のブロック形の矩形ピースの大きさに比して小さい。信号演算部37は、センシング部36が配置される側とは反対側の位置に接続端子部39が設けられている。接続端子部39は、後に詳述するセンサターミナル41に接続される。また、これら2つの磁気検出部材35は、互いのセンシング部36同士が平行配置されており、さらに互いの信号演算部37同士も平行配置されている。また、これらそれぞれの磁気抵抗素子は、スロットルシャフト14の回転軸線上に配置されており、スロットルシャフト14の回りでスロットルギヤ26が回転したことにより変化した磁場空間内の磁束の方向を検出する。
【0023】
次に、上記した磁気検出部材35からの検出信号を送信する4本のセンサターミナル41と、駆動モータ20に電力供給する2本のモータターミナル51とを含むターミナル部品40について説明する。
図5〜
図7に示すように、4本のセンサターミナル41は、電源供給用のセンサターミナル411と、第1信号出力用のセンサターミナル412と、第2信号出力用のセンサターミナル413と、接地用のセンサターミナル414とにより構成される。なお、これら4本のセンサターミナル41(411,412,413,414)は、2本のモータターミナル51と一緒に成形される。つまり、2本のモータターミナル51は、例えばプラス接続側となるモータターミナル511と、例えばマイナス接続側となるモータターミナル512とにより構成される。
【0024】
図7は、ターミナル部品40を拡大して示す斜視図である。
図8は、
図7に示すターミナル部品40の結合前状態を示す正面図である。なお、
図7および
図8に示すターミナル部品40は、上記した磁気検出部材35が設けられる前の状態の回転角度検出装置32であり、第1発泡成形部材71および第2発泡成形部材75も形成される前の状態である。これら4本のセンサターミナル41および2本のモータターミナル51は、
図8に示すように、上記した磁気検出部材35もしくは駆動モータ20と接続可能に構成されるターミナル本体42,52と、不図示の外部コネクタに対して接続可能に構成されるコネクタ部45,55とに区分けされて成形される。すなわち、4本のセンサターミナル41(411,412,413,414)のそれぞれは、磁気検出部材35と接続可能に構成されるセンサターミナル本体42(421,422,423,424)のそれぞれと、不図示の外部コネクタに対して接続可能に構成されるセンサコネクタ部45(451,452,453,454)のそれぞれとに区分けされて成形されている。また、2本のモータターミナル51(511,512)のそれぞれは、駆動モータ20と接続可能に構成されるモータターミナル本体52(521,522)のそれぞれと、不図示の外部コネクタに対して接続可能に構成されるモータコネクタ部55(551,552)のそれぞれとに区分けされて成形されている。
【0025】
ターミナル部品40は、磁気検出部材35、第1発泡成形部材71、第2発泡成形部材75が設けられる前の状態であり、金属板材を打抜き加工および折曲加工をしたものである。すなわち、センサターミナル本体42およびモータターミナル本体52は、0.4mmの板厚に設定された金属板材を、適宜の打抜き加工および折曲加工を施すことにより形成されている。また、この金属板材の材質としては、ばね特性を有した銅材が選択されている。ここで、センサターミナル本体42およびモータターミナル本体52には、例えば上記した位置決め部312等の突出形状が嵌まり込む位置決め孔61が設けられている。また、センサターミナル本体42およびモータターミナル本体52は、隣接配置されるターミナル本体42,52同士の間に連結部位63が設けられている。この連結部位63は、隣接配置されるターミナル本体42,52同士を結合するものである。このため、センサターミナル本体42およびモータターミナル本体52は、この連結部位63により互いがばらけ(散け)てしまうことがなくなる。なお、この隣接配置されるターミナル本体42,52同士を結合する連結部位63は、後に説明するモールド成形(第2発泡成形部材75)をした後に、バスバーカットと称される切断により
図6に示すように分断される。このため、第2発泡成形部材75のモールド成形をした後のターミナル本体42,52同士は非結合により電気的に分離することとなる。
【0026】
また、センサコネクタ部45およびモータコネクタ部55は、金属板材として板厚が0.6mmに設定される真鍮が選択されるものであり、適宜の打抜き加工が施されて形成されている。つまり、センサコネクタ部45およびモータコネクタ部55の板厚は、センサターミナル本体42およびモータターミナル本体52の板厚と相違する厚さの板厚に設定されている。ここで、センサコネクタ部45およびモータコネクタ部55には、例えば上記した位置決め部312等の突出形状が嵌まり込む位置決め孔65が設けられている。また、センサコネクタ部45およびモータコネクタ部55は、隣接配置されるコネクタ部45,55同士の間に連結部位67が設けられている。この連結部位67は、隣接配置されるコネクタ部45,55同士を結合するものである。このため、センサコネクタ部45およびモータコネクタ部55は、この連結部位67により互いがばらけ(散け)てしまうことがなくなる。なお、この隣接配置されるコネクタ部45,55同士を結合する連結部位67は、後に説明するモールド成形(第2発泡成形部材75)をした後に、バスバーカットと称される切断により
図6に示すように分断される。このため、第2発泡成形部材75のモールド成形をした後のコネクタ部45,55同士は、非結合により電気的に分離することとなる。なお、これらのコネクタ部45,55のうち、センサコネクタ部45(451,452,453,454)にあっては、モータコネクタ部55(551,552)とは相違し、外部コネクタを接続した際の通電性を高めるために金メッキ処理が施されている。
【0027】
図9は、ターミナル部品40を
図7に示すP視(後側に向いた方向視)側面で視た側面図である。
図10は、ターミナル部品40を
図7に示すQ視(上側に向いた方向視)側面で視た側面図である。
図7および
図8に規定の下側から上側でターミナル部品40を視た側面図である。
図9および
図10に示すように、センサターミナル41およびモータターミナル51のそれぞれには、配線部材の一部に折り返されるように曲げられる曲げ部47,57が設けられている。
すなわち、
図7〜
図9に示すように、センサターミナル41のセンサターミナル本体42には、センサターミナル本体42の一部を折り返すように曲げられる曲げ部47が設けられている。この曲げ部47は、上記した2つの磁気検出部材35の接続端子部39のそれぞれに接続される接地用接続端子43を形成するために設けられるものである。このため、曲げ部47は、接地用のセンサターミナル414に連接された状態で互いに隣接配置されるように2つ設けられている。なお、この曲げ部47にて曲げられた接地用のセンサターミナル414の端部が、磁気検出部材35の接続端子部39のそれぞれに接続される接地用接続端子43として形成される。この接地用のセンサターミナル414に設けられる接地用接続端子43のそれぞれは、上記した磁気検出部材35の接続端子部39のそれぞれに対して接合される。なお、
図7等に示す符号44は、2つの磁気検出部材35の接続端子部39のそれぞれに接続される接地用接続端子43とは別で設けられる信号出力用接続端子である。
【0028】
図11は、帯板状のワーク基材であるフープ材W1に対してワークW2が打ち抜かれているのを示している。なお、
図11に示すワークW2は、フープ材W1をプレス加工(打抜き加工)した後のものである。このため、
図11に示すワークW2は、フープ材W1に対して一部連接された状態となっている。なお、
図11に示すワークW2は、ターミナル部品40に成形する前のものである。このため、
図11では、立上げ変形前状態の、接地用接続端子43、信号出力用接続端子44、モータ接続端子301が図示されている。また、このワークW2は、詳しく図示していないが、フープ材W1に対して並列して複数同時に打ち抜かれて成形される。
図12は、ワークW2の曲げ部47が形成される曲げ箇所を拡大して示す拡大正面図である。
図13は、曲げ部の曲げ形状を拡大して示す拡大側面図である。
これらの曲げ部47の折返しは、折り曲げることによりセンサターミナル本体42の配線の延在方向を180度で返して、センサターミナル本体42同士の配線を二重とするものである。具体的には、
図7〜
図11に示すように、曲げ部47にて曲げられる接地用接続端子43(配線部材)の配線延在方向は図示前後方向に沿っている。これに対して曲げ部47が設けられる接地用のセンサターミナル414(配線部材)の配線延在方向は図示上下方向に沿っている。つまり、接地用接続端子43(配線部材)の配線延在方向は、接地用のセンサターミナル414(配線部材)の配線延在方向に対して直交する方向に設定されている。
【0029】
また、センサターミナル本体42は、折返し形状となる曲げ部47を含む折曲形状を形成するにあたって、折曲箇所46が設けられている。この折曲箇所46は、曲げ部47を形成するにあたっての配線部材の折曲箇所461のほか、接地用接続端子43および信号出力用接続端子44の立上げ形状を形成するにあたっての配線部材の折曲箇所462を含む。この曲げ部47を形成するにあたっての折曲箇所461は、接地用のセンサターミナル414(配線部材)の配線延在方向(図示上下方向)に沿っている。また、この曲げ部47の折曲箇所461は、接地用のセンサターミナル414(配線部材)から図示前側に僅かにずれて設定されている。つまり、曲げ部47の折曲箇所461は、接地用のセンサターミナル414(配線部材)との間に、曲げしろSとなる隔たりが設けられている。この曲げしろSが設けられていると、接地用のセンサターミナル414をプレス加工して曲げ部47を形成するにあたって、接地用のセンサターミナル414に生ずる捩じれ部分の逃がし加工を省略することができる。また、曲げ部47の折返し形状は、
図13に示すように、曲率半径を有した環状にて成形されている。具体的には、曲げ部47の折返し形状は、略楕円の環状をなす環状部471を有して形成されている。なお、信号出力用接続端子44の立上げ形状を形成するにあたっての配線部材の折曲箇所462は、不図示のプレス金型の下型に配設されるガイドに沿って案内されるように、パンチを入れてプレス加工成形される。このため、ガイドによるパンチの案内により、信号出力用接続端子44の立上げ形状の位置精度を高くすることができる。
【0030】
また、
図7〜
図11に示すように、モータターミナル51のモータターミナル本体52にも、上記したセンサターミナル本体42に設けられた曲げ部47と同様の曲げ部57が設けられている。この曲げ部57は、上記した2つのモータ接続端子301を形成するために設けられるものである。このため、曲げ部57は、2つのモータ接続端子301の配置位置に鑑みて適宜の3箇所に設けられている。なお、この曲げ部57にて曲げられたモータターミナル本体52の端部が、モータ接続端子301として形成される。なお、このモータ接続端子301は、バネ性を有した接続にて電気的に接続可能に形成されている。
このモータターミナル51の曲げ部57の折返しも、上記したセンサターミナル41の曲げ部47と同様、折り曲げることによりモータターミナル本体52の配線の延在方向を180度で返して、モータターミナル本体52同士の配線を二重とするものである。具体的には、曲げ部57にて曲げられるモータターミナル本体52は、該モータターミナル本体52(配線部材)の配線延在方向に対して、直交方向および平行方向に沿っている。
また、モータターミナル本体52は、折返し形状となる曲げ部57を含む折曲形状を形成するにあたって、折曲箇所56が設けられている。この折曲箇所56は、曲げ部57を形成するにあたっての配線部材の折曲箇所561のほか、モータ接続端子301の立上げ形状を形成するにあたっての配線部材の折曲箇所562を含む。この曲げ部57を形成するにあたっての折曲箇所561は、図示するとおり、モータターミナル本体52(配線部材)の配線延在方向に沿ったり交差したりする位置に設けられている。なお、この曲げ部57の折曲箇所561には、モータターミナル本体52(配線部材)から僅かにずれて設定されるものであってもよい。つまり、このモータターミナル本体52にあっても、上記したセンサターミナル本体42に設けられる曲げ部47と同様、折曲箇所561にはモータターミナル本体52(配線部材)との間に、曲げしろSとなる隔たりが設けられるものであってもよい。また、曲げ部57の折返し形状も、
図13に示す曲げ部47と同様に、曲率半径を有した環状にて成形されるものであってもよい。
【0031】
上記したように形成されたセンサターミナル41には
図4に示すように磁気検出部材35が設置される。次いで、この状態で
図5および
図6に示すように、第1発泡成形部材71および第2発泡成形部材75が形成される。
すなわち、第1発泡成形部材71は、発泡樹脂(詳しくは化学発泡樹脂)のモールド成形により略円柱状に形成される。この発泡樹脂は、電気的絶縁性を有したモールド成形に用いられる樹脂である。この第1発泡成形部材71は、
図4に示すように、上記したセンシング部36および信号演算部37を上記したように配置させた状態で、さらに上記した接続端子部39のそれぞれをセンサターミナル41と接続させた状態で、これらの状態を保持するように成形されている。つまり、第1発泡成形部材71は、電気的に接続された磁気検出部材35を埋め込み、これにより磁気検出部材35に関する配置および接続を固定保持している。このように成形された第1発泡成形部材71は、先端部分がカバー本体31の内側に突き出し、根元部分がカバー本体31の埋没させるように、カバー本体31のインサート成形時にカバー本体31と一体化成形される。
【0032】
上記したターミナル本体42,52とコネクタ部45,55とを電気的に接合する結合部49,59の外周は、電気的絶縁性を有する樹脂のモールド成形により被覆されている。すなわち、第2発泡成形部材75は、6つで連ならせた上記した結合部49,59同士を束ねるように一体的に被覆している。この第2発泡成形部材75は、発泡樹脂(詳しくは化学発泡樹脂)のモールド成形にて略角柱状に形成される。この発泡樹脂は、上記した第1発泡成形部材71を形成する発泡樹脂と同一の発泡樹脂であるため、電気的絶縁性を有したモールド成形に用いられる樹脂となっている。この第2発泡成形部材75は、合計6つの連ならせた状態の結合部45,55同士を一体的に被覆している。このように一体的に被覆される結合部45,55同士は、この第2発泡成形部材75により束ねられたものとなる。つまり、第2発泡成形部材75は、センサターミナル41およびモータターミナル51を一平面上で相互に絶縁しながら一体的に連結する。このため、4本のセンサターミナル41および2本のモータターミナル51は、ばらけ(散け)てしまわないように、第2発泡成形部材75により束ねられた状態が保持される。
また、第1発泡成形部材71および第2発泡成形部材75を形成する発泡樹脂は、上記したセンサカバー30のカバー本体31を形成する樹脂に発泡剤を加えた樹脂となっている。ここで、カバー本体31を形成する樹脂としては、成形容易の観点からポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂が選択される。なお、このカバー本体31を形成する樹脂としては、発泡樹脂が選択されるものであってもよい。
【0033】
上記したように構成されるセンサカバー30は、
図1に示すように、ピニオンギヤ26、カウンタギヤ24、スロットルギヤ26等を覆うようにしながらスロットルボデー11に取り付けられる。この際、回転角度検出装置32の第1発泡成形部材71の先端部は、
図4に示すように、スロットルギヤ26の内筒部261内に突き出しつつスロットルギヤ26の永久磁石34およびヨーク33に対して非接触の状態で配置される。また、回転角度検出装置32のモータターミナル51は、モータ接続端子301を介して駆動モータ20の各端子(図示省略)と電気的に接続される。
また、コネクタ接続部300から接続可能に露出される上記したセンサコネクタ部45およびモータコネクタ部55には、不図示のエンジンコントロールユニットECUにつながる外部コネクタが接続される。
【0034】
上記した回転角度検出装置32によれば、次の作用効果を奏することができる。
すなわち、上記した回転角度検出装置32によれば、センサターミナル41およびモータターミナル51を構成する配線部材は、配線部材の一部に折り返されるように曲げられる曲げ部47,57が設けられて成形されている。ここで、このように折り返すように曲げられるワークW2は、帯板状のフープ材W1を打ち抜くことにより形成される。このため、フープ材W1を打抜き加工する際のフープ材W1の打抜き形状の自由度を、この折返し形状となる曲げ部47,57によって向上させることができる。つまり、配線部材を所望形状に形成するにあたって、折り返すように曲げる曲げ加工(曲げ成形)に応じて、打抜き加工(プレス成形)における打抜き形状を適宜に変更することができる。すなわち、センサターミナル41の配線構成と、モータターミナル51の配線構成との構成とを形成するにあたって、一体のフープ材W1からの打抜き形状を所望形状に適宜に調節することができる。これによって、プレス加工時の配線部材同士の間隔を精度高く設定することができるので、配線部材同士の間隔を狭く設定して形成することができる。したがって、フープ材W1の使用量の低減も図ることができる。
これによって、回転角度検出装置32を製造するにあたって組付け工程を省略するように配線部材を所望形状に形成することができながら、帯板状のフープ材W1の加工範囲の無駄部分を抑えることができ、回転角度検出装置32を製造するにあたって製造作業性を向上させつつ製造コストを安価とすることができる。
【0035】
また、上記した回転角度検出装置32によれば、曲げ部47にて曲げられる配線部材の配線延在方向は、曲げ部47が設けられるセンサターミナル41の配線延在方向に対して直交する方向に設定されているので、曲げ部47を形成するにあたっての配線部材の折曲個所461を、曲げ部47が設けられるセンサターミナル41の配線延在方向に沿って設定することができる。これによって、曲げ部47を成形するにあたっての寸法精度を高くすることができる。
また、上記した回転角度検出装置32によれば、曲げ部47はセンサターミナル本体42の一部に設けられているので、曲げ部47の配置位置によってセンサターミナル本体42同士の配線間隔を狭くすることができる。これによって、センサターミナル本体42同士の配線間隔が狭い磁気検出部材35を接続することができて、回転角度検出装置32自体の小型化を図ることができる。
また、上記した回転角度検出装置32によれば、曲げ部57はモータターミナル本体51の一部に設けられているので、モータターミナル51を構成するにあたり、モータ接続端子301の構成と単なる配線構成とを区分けして構成することを要しない。これによって、1部品でモータターミナル本体52を構成することができて、組付け時の工程数削減を図ることができる。さらに、上記した回転角度検出装置32によれば、曲げ部57はモータターミナル51の一部に設けられているので、モータ接続端子301を含むモータターミナル51を形成するにあたり、曲げ部57の配置位置によって帯板状のフープ材W1の余り部分を少なくすることができる。特にモータターミナル51の配線構成のうち、モータ接続端子301に関する配線構成を形成するにあたり、フープ材W1を余り部分を有効利用することができる。これによって、モータ接続端子301を一体のフープ材W1より形成することができつつ、フープ材W1の使用量の低減も図ることができる。
また、上記した回転角度検出装置32によれば、曲げ部47は環状部471を有して成形されているので、この曲げ部47に集中する応力を環状方向で分散することができる。これによって、応力集中による曲げ部の割れを防止することができる。
【0036】
なお、本発明に係る回転角度検出装置にあっては、上記した実施の形態に限定されるものではなく、次のように適宜箇所を変更して構成するようにしてもよい。
すなわち、本発明に係る回転角度検出装置にあっては、上記した実施の形態の回転角度検出装置32に限定されることなく、適宜の磁気検出部材が内蔵されれ構成されるものであればよい。すなわち、回転角度検出装置を構成するにあたっての本発明に係る磁気検出部材としては、上記した実施の形態の磁気検出部材35に限定されることなく、磁気の変化を検出するセンシング部の構成を、広く利用される磁電変換ICの構成にて代替するものであってもよい。さらに言えば、ターミナル本体とコネクタ部とを具備するセンサターミナルおよびモータターミナルの数としては、上記した実施の形態のセンサターミナルの4本およびモータターミナルの2本の例示に限定されることなく、適宜の本数を選択することができる。