【文献】
「CRフィーバークィーンZERO」,パチンコ必勝ガイド2006年12月16日号,株式会社白夜書房,2006年12月16日,p.63−65
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
遊技球の始動入賞を契機として抽選を行い、抽選結果が当選の場合に大入賞口の開放制御を実行し、該大入賞口の開放制御が終了した後に、前記抽選にて当選確率を高確率状態に移行可能に制御する遊技制御手段と、前記抽選結果に応じて図柄の変動表示演出の実行を制御する表示演出制御手段と、通常時間状態または時短状態で補助変動表示を行う普図表示手段と、前記補助変動表示の停止表示態様に基づき、前記始動入賞が発生し易い状態を発生可能な普通変動入賞手段と、を備えた遊技機であって、
前記表示演出制御手段は、
通常状態の遊技中においては通常表示演出を実行し、
前記通常表示演出が実行される前記通常状態の遊技中に、前記抽選結果が当選の場合には、その後に移行する前記高確率状態の遊技において、前記変動表示演出の実行時間を前記通常状態の遊技中に行われる通常の変動表示演出のうちリーチ演出を行わない変動表示演出と比較して長くするとともに、前記通常表示演出とは異なる特別表示演出を実行し、
前記特別表示演出が実行される前記高確率状態の遊技中に、前記抽選結果が当選の場合には、その後に再度移行する前記高確率状態の遊技において、前記変動表示演出の実行時間を前記特別表示演出の実行される前記高確率状態の遊技中に行われる前記変動表示演出と比較して短くするとともに、前記特別表示演出とは異なる演出を実行するように制御し、
前記遊技制御手段は、
前記通常表示演出が実行される前記通常状態の遊技中に、前記抽選結果が当選の場合には、その後に移行する前記特別表示演出が実行される前記高確率状態の遊技において、前記時短状態に移行しないように制御するとともに、
前記特別表示演出が実行される前記高確率状態の遊技中に、前記抽選結果が当選の場合には、その後に再度移行する前記通常表示演出および前記特別表示演出とは異なる演出が実行される前記高確率状態の遊技を第1の変動表示演出回数に限って実行するとともに前記時短状態に移行可能とし、前記第1の変動表示演出回数が終了した後には前記高確率状態の遊技を実行しないとともに前記第1の変動表示演出回数よりも多い第2の変動表示演出回数に限って前記時短状態を継続可能なように制御することを特徴とする遊技機。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る遊技機100の外観斜視図である。図示するように、遊技機100は、縦長矩形状をした外枠10と、ヒンジ機構12により外枠10に蝶着された内枠14とを備え、内枠14の正面上部には、開閉自在なガラス枠ユニット16で覆われた遊技盤18が設けられている。
ガラス枠ユニット16の周囲には、電球やLED等からなる表示ランプ40が設けられている。当該表示ランプ40は、遊技中の演出や機器の状態(例えば、機器のエラーやガラス枠ユニット16等の開閉状態)等と連動して点灯又は点滅する。
ガラス枠ユニット16の左右上角部には、効果音を出力するスピーカユニット42が設けられている。また、この遊技盤18の下方に設けられた受皿ユニット28は、図示しない貸玉装置から供給された遊技球や払い出された賞球を一時的に貯留すると共に、貯留した遊技球を発射装置24に供給する。
【0014】
遊技盤18とガラス枠ユニット16の間には、
図2に示すように、案内レール20によって区画された円形状の空間である遊技領域22が形成されている。遊技球が発射装置(発射ハンドル)24から案内レール20を介して遊技領域22内上部に打ち込まれると、その自重によってその遊技領域22内を落下し、その一部がその遊技盤18に形成された各種入賞口に入賞する。入賞しなかった遊技球は、遊技盤18底部に設けられたアウト口26から遊技領域22外(遊技盤18後方)へ排出される。ここで「入賞」とは、遊技球が入賞口の内部に取り込まれることの他に、入賞口が遊技球を内部に取り込む構造ではなく単なる通過ゲートからなる場合は、その通過ゲートを遊技球が通過することをも含む概念である。
【0015】
遊技盤18の中央部には、液晶ディスプレイ等からなる大型の演出図柄表示器30が設けられている。この演出図柄表示器30は、遊技盤18の下部に設けられた入賞装置110に遊技球が入賞したときに行われる大当り抽選の結果に基づいて、所定の変動パターンによって所定の図柄を変動表示し、所定時間経過後に所定の演出図柄の組合せを停止表示する変動表示演出遊技を行う。
遊技盤18の下部には入賞装置110が設けられている。この入賞装置110は、上下に位置する第1始動口60と第2始動口(「普通変動入賞手段」に対応)70とから構成される。
第1始動口60及び第2始動口70は、打ち出された遊技球が入賞すると(「始動入賞」と呼ばれる)、内部の通過センサー等の入賞検出器(不図示)により入賞が検知され、特別図柄表示器52a,52b及び演出図柄表示器30における図柄変動表示の契機を与える。
【0016】
第1始動口60は、いわゆるヘソ等と称される常時上向きに開口した遊技球入口である。また、第2始動口70は、いわゆる電チュー(電動チューリップの略)と称される普通電動役物(以下「電チュー」という)72を備えている。電チュー72は一対の揺動片を備えており、後述する電動ソレノイド73によって開閉される。第2始動口70は、普通図柄表示器50a,50bが特定の普通図柄を停止表示した場合又は時短状態となった時に開閉し、第2始動口70への入賞を容易にする。
【0017】
また、この入賞装置110の下部には、矩形板状の開閉蓋36を備えた大入賞口38が設けられている。大当り抽選の結果が大当りの場合に大入賞口38が開放され、大入賞口38は多数の遊技球の入賞を受け付ける。大入賞口38に遊技球が入賞すると、その入賞に伴う賞球払出しの契機が与えられる。大入賞口38の開放は、所定の時間が経過するか所定数の遊技球が大入賞口38に入賞するまで継続する。この大入賞口38の一回の開放をラウンドと呼ぶ。ラウンドは最大ラウンド(例えば、5ラウンド、又は15ラウンド)まで継続する。このような大入賞口38が開閉する遊技を大当り遊技という。
【0018】
遊技盤18の左部には、普通図柄始動ゲート32が設けられている。普通図柄始動ゲート32は、打ち出された遊技球が通過すると、内部の通過センサー(不図示)によりその通過球が検知され、遊技盤18右下に設けられた普通図柄表示器(「普図表示手段」に対応)55a,55bの普通図柄の変動契機を与える。普通図柄表示器50a,50bは、例えば7セグメントLEDであり、普通図柄を変動表示する。
【0019】
特別図柄メモリ(「始動記憶表示手段」に対応)54a,54b,54c,54dは、特別図柄の変動中に第1始動口60又は第2始動口70への遊技球の入賞を契機として取得された乱数値等の情報が後述する特別図柄用の記憶領域に始動記憶として記憶されるのと連動して点滅し、連続して特別図柄を変動表示可能な回数を報知する。本実施形態においては、記憶可能な始動記憶の数の上限は8つ(第1始動口60、第2始動口70の各々への入賞に基づく始動記憶の上限数は各々4つ)である。始動記憶の数は、特別図柄メモリ54a,54b,54c,54dの点滅の組合せ(第1始動口60への入賞による始動記憶の数は特別図柄メモリ54a,54bの点滅の組合せ、第2始動口70への入賞による始動記憶の数は図柄メモリ54c,54dの点滅の組合せ)により表される。具体的には、例えば、特別図柄メモリ54aが点灯し特別図柄メモリ54bが消灯している場合には、第1始動口60への入賞に基づく始動記憶の数は1つであることを表している。特別図柄メモリ54a,54bが共に点灯している場合には、第1始動口60への入賞に基づく始動記憶の数は2つであることを表している。特別図柄メモリ54aが点滅し特別図柄メモリ54bが消灯している場合には、第1始動口60への入賞に基づく始動記憶の数は3つであることを表している。特別図柄メモリ54a,54bが共に点滅している場合には、第1始動口60への入賞に基づく始動記憶の数は4つであることを表している。第2始動口70への入賞に基づく始動記憶の数と特別図柄メモリ54c,54dの点滅の組合せとの関係は、第1始動口60への入賞による始動記憶の数と特別図柄メモリ54a,54bの点滅の組合せとの関係と同様である。
【0020】
普通図柄メモリ55a,55bは、普通図柄の変動中に遊技球が普通図柄始動ゲート32を通過した時に取得された乱数値等の情報が後述する普通図柄用の記憶領域に記憶されるのと連動して点滅し、連続して普通図柄を変動表示可能な回数(本実施形態では、上限4つ)を報知する。普通図柄始動ゲート32の通過に基づく記憶数と普通図柄メモリ55a,55bの点滅の組合せとの関係は、第1始動口60への入賞による始動記憶の数と特別図柄メモリ54a,54bの点滅の組合せとの関係と同様である。
ラウンド報知器56aは、大当り遊技の5ラウンド目となった場合に点灯し、大当り遊技の5ラウンド目を報知する。ラウンド報知器56bは、大当り遊技の15ラウンド目となった場合に点灯し、大当り遊技の15ラウンド目を報知する。状態報知器57a,57bは、遊技状態を報知する。
【0021】
(制御系の構成)
図3は、遊技機100の制御系の構成を示すブロック図である。
第1入賞検出器62は、第1始動口60への遊技球の入賞を検出し、検出信号を主制御基板200に出力する。第2入賞検出器76は、第2始動口70への遊技球の入賞を検出し、検出信号を主制御基板200に出力する。大入賞口入賞検出器251は、大入賞口38への遊技球の入賞を検出し、検出信号を主制御基板200に出力する。各種入賞口入賞検出器252は、普通図柄始動ゲート32等への入賞を検出し、検出信号を主制御基板200に出力する。各種検出器253は、発射装置24の操作や賞球の不足状態や満タン状態等を検出し、検出信号を主制御基板200に出力する。
【0022】
主制御基板200は、CPU(Central Processing Unit)210、RAM(Random Access Memory)220、ROM(Read Only Memory)230、タイマ240、入力ポート250、出力ポート260、及び、これらを相互に接続するバス270を備えている。
入力ポート250は、第1入賞検出器62、第2入賞検出器76、大入賞口入賞検出器251、各種入賞口入賞検出器252、及び、各種検出器253から出力された検出信号をCPU210に出力する。
出力ポート260は、複合サブ制御基板300、特別図柄表示器52a,52b、普通図柄表示器50a,50b、大入賞口ソレノイド500、電動ソレノイド73及び賞球払出制御基板400に制御コマンドを出力する。また、出力ポート260は、遊技機100の出玉情報や異常信号をホールコンピュータ700に出力し、ホールコンピュータ700において遊技機100の遊技状況等を遠隔監視可能とする。
【0023】
ROM230には、主制御用プログラム、遊技制御用のデータ等のソフトウェアが記憶されている。遊技制御用のデータには、大当り抽選で取得された乱数が大当りか否かを判定するための大当り値や、複合サブ制御基板300等に送信するための制御コマンドが存在する。制御コマンドとしては、変動パターンコマンド、大当り開始コマンド、大当り終了コマンド、停止図柄指定コマンド、大入賞口開放/閉鎖コマンド、賞球払出制御用コマンド等が存在する。変動パターンコマンドは、演出図柄表示器30における図柄の変動表示演出の態様を指定するためのコマンドである。
【0024】
図4には、変動パターンコマンドの一例を示す。変動パターンコマンドは、例えば、コマンドの分類を示す「MODE」及びコマンドの内容を示す「EVENT」から構成される。
図4に示すように、変動パターン番号が「63−A」で変動名が「乙女アタックリーチはずれ」の変動パターンコマンドは、MODE「A0H」、EVENT「3FH」である。また、変動パターン番号が「64−A」で変動名が「乙女アタックリーチあたり」の変動パターンコマンドは、MODE「A0H」、EVENT「40H」である。この2つの変動パターンコマンドは、通常状態中に大当りに当選した場合に、当該当選を契機とする大当り遊技終了後に移行するST8回中にのみ、複合サブ制御基板300に送信される変動パターンコマンドであり、当該変動パターンコマンドが送信されると、演出図柄表示器30では「乙女アタック」のリーチ演出が行われる。
【0025】
また、変動パターン番号が「16−A」で変動名が「リーチなし短変動」の変動パターンコマンドは、MODE「A0H」、EVENT「50H」である。この変動パターンコマンドは、例えば時短時に送信されるコマンドであり、当該変動パターンコマンドが送信されると、演出図柄表示器30ではリーチ演出を行わない場合の比較的演出時間の短い通常表示演出が行われる。変動パターン番号が「17−A」で変動名が「リーチなし長変動」の変動パターンコマンドは、MODE「A0H」、EVENT「51H」である。この変動パターンコマンドは通常状態時に送信されるコマンドであり、当該変動パターンコマンドが送信されると、演出図柄表示器30ではリーチ演出を行わない場合の比較的演出時間の長い通常表示演出が行われる。
【0026】
また、各変動パターンには変動時間が定義されている。
図5には、変動パターン毎の変動時間を定義したテーブルの一例を示す。同図に示すように、変動パターン番号「63−A」(「乙女アタックリーチはずれ」)の変動時間は26.7秒であり、変動パターン番号「64−A」(「乙女アタックリーチあたり」)の変動時間は26.9秒である。これに対して、変動パターン番号「16−A」(「リーチなし短変動」)の変動時間は4.9秒であり、変動パターン番号「17−A」(「リーチなし長変動」)の変動時間は8.2秒である。すなわち、リーチ演出を行わない場合の通常表示演出の実行時間は5〜10秒程度であるため、リーチ演出を行わない場合の通常表示演出に比較して、当りの発生を期待させる「乙女アタック」の長いリーチ演出中、遊技者の期待感を継続させることが可能となる。なお、リーチ演出を行う場合の通常表示演出の実行時間は10秒以上である。
【0027】
RAM220は、入出力データや演算処理のためのデータ、大当り抽選や停止図柄抽選に使用される乱数ループカウンタや割込処理の回数を計数するカウンタ等の各種カウンタ、抽選結果や遊技状態を管理するフラグ等を一時記憶する。また、RAM220は、特別図柄用の記憶領域、普通図柄用の記憶領域、及び、複合サブ制御基板300等に送信すべき制御コマンドを一時記憶しておくためのコマンド記憶領域を有する。
特別図柄用の記憶領域には、始動入賞時に特別図柄が変動表示中であったため当該始動入賞に基づく変動表示演出が保留された場合、始動入賞時に取得された乱数等の情報が始動記憶として所定上限数(本実施形態では8つ)まで記憶される。
【0028】
特別図柄用の記憶領域には8つの記憶領域が設けられている。8つの記憶領域のうちの4つの記憶領域には、第1始動口60に入賞した遊技球についての情報が記憶され、残りの4つの記憶領域には第2始動口70に入賞した遊技球についての情報が記憶される。また、特別図柄用の記憶領域には、当該記憶領域に記憶されている始動記憶の数を記憶する領域も設けられている。始動記憶の消化時には、記憶された乱数値に基づく大当り判定、判定結果に基づく制御コマンドの送信、図柄変動等が行われ、さらに大当り判定が終了した乱数値の記憶領域からの削除、及び始動記憶の数の減算が行われる。
【0029】
普通図柄用の記憶領域には、普通図柄始動ゲート32を遊技球が通過した時に普通図柄が変動表示中であったため当該通過に基づく変動表示が保留された場合、通過時に取得された乱数等の情報が所定上限数(本実施形態では4つ)まで記憶される。
主制御基板200のCPU210がROM230に記憶されている主制御用プログラムに従って処理を実行することにより、大当り抽選手段、遊技制御手段、表示演出制御手段等の各手段を実現する。
大当り抽選手段は、第1始動口60又は第2始動口70への遊技球の入賞を契機として、大当り抽選を行う。本実施形態においては、乱数の値が周期的に更新される大当り乱数ループカウンタから取得した乱数と予め用意された大当り値とを比較することにより、大当り抽選が行われる。
【0030】
遊技制御手段は、遊技の実行や遊技状態を制御する。本実施形態に係る遊技機100は、遊技状態として「高確率状態」及び「時短状態」を有する。高確率状態とは、大当りに当選する確率が通常状態に比較して上昇した状態である。本実施形態においては、例えば、電源投入後の通常状態における大当り当選確率が1/100であるのに対して、高確率状態では1/15である。遊技制御手段は、高確率状態においては大当り値の数を増やすことにより大当りの当選確率を上昇させる。
【0031】
また、遊技機100は時短機能を有する。時短状態とは、普通図柄表示器50a,50bにおける普通図柄の変動時間が通常状態時よりも短くなる状態である。時短中には、普通図柄始動ゲート32への遊技球の通過を契機として行われる普通図柄の当選確率が上昇し、第2始動口70の電チュー72が頻繁に開閉したり開放時間が延長される。本実施形態では、例えば、通常状態においては、普通図柄の変動時間が10秒、当り確率が1/1.2、電チュー72は0.5秒程度の開放を1回のみ行うのに対して、時短状態においては、普通図柄の変動時間は1秒、当り確率が1/1.008、電チュー72は1.8秒程度の開放を3回行う。このため、時短状態中は、遊技者の持ち球を殆ど減少させずに、短時間で効率的に抽選を行うことが可能となる。第2始動口70の電チュー72が頻繁に開閉したり開放時間が延長される。本実施形態では、例えば、通常状態においては、普通図柄の変動時間が10秒、当り確率が1/1.2、電チュー72は0.5秒程度の開放を1回のみ行うのに対して、時短状態においては、普通図柄の変動時間は1秒、当り確率が1/1.008、電チュー72は1.8秒程度の開放を3回行う。このため、時短状態中は、遊技者の持ち球を殆ど減少させずに、短時間で効率的に抽選を行うことが可能となる。なお、この状態は電チュー72の開放が頻繁に行われる(サポートがある)ことから「電サポあり(電チューサポートあり)」と呼ぶこともある。そして、この電チューサポートがない状態のことを「電サポなし」と呼ぶ。時短の終了契機は、(1)何らかの大当りに当選するまで続く場合(2)普通図柄の変動表示回数が所定回数に達する場合(3)特別図柄の変動表示回数が所定回数に達する場合、のいずれかひとつ又は複数の条件を満たしたときである。なお、本実施形態において「時短100回」とある場合は、特別図柄の変動表示回数が100回に達するまで電チューのサポートがあることを指す。また、時短中には、特別図柄表示器52a,52b及び演出図柄表示器30における図柄の変動時間が短縮されることもある。
【0032】
また、本実施形態に係る遊技機100は、大当りに当選した場合、100%の確率で遊技状態は高確率状態(ST)に移行する。当該STは8回転のみ継続する。
なお、通常状態の遊技中に大当りに当選した場合は、当該当選を契機とする大当り遊技の終了後に、時短状態には移行せずに高確率状態(ST)に移行し、8回転の遊技を実行する。初当り後のST8回中に時短状態に移行しないことにより、期待感のあるSTが短時間で終了するのを防ぐことができる。
【0033】
一方、ST8回中に大当りに当選した場合には、時短状態に移行し、時短100回を実行する。ただし、時短100回のうち、初めの8回は高確率状態(ST)であり、次の92回は低確率状態となる。そして、この時短100回中に再度大当りに当選した場合には、再度時短100回のループに突入する。高確率状態時の大当り当選確率は1/15、通常状態時の大当り当選確率は1/100程度であるため、時短100回中には70〜80%の高確率で大当りに当選することとなる。このため、本実施形態に係る遊技機100においては、大当りによる賞球は500個程度と少ないものの、時短のループが継続するため、遊技者は持ち球を増やすことができる。なお、ST8回中や時短100回中に大当りに当選しなかった場合は、通常状態に移行する。
【0034】
表示演出制御手段は、大当りの抽選結果や遊技状態に応じて、変動パターンコマンド等の制御コマンドを複合サブ制御基板300に送信することにより、演出図柄表示器30における図柄の変動表示演出の実行を制御する。
複合サブ制御基板300は、主制御基板200と同様に、CPU、RAM、ROM、入力ポート、及び出力ポート(不図示)を備えている。
複合サブ制御基板300のROMには、演出を制御するための複合サブ制御用プログラム、電飾制御基板310や演出図柄表示基板320に送信するための制御コマンド、スピーカユニット42に送信するための音響データ等が記憶されている。複合サブ制御基板300のRAMには、主制御基板200から受信したデータや演算処理を行うためのデータが一時記憶される。主制御基板200から受信するデータとしては、例えば、変動パターンコマンド等の制御コマンド、抽選結果、遊技状態等が存在する。
【0035】
複合サブ制御基板300のCPUは、電飾制御基板310に制御コマンドを送信して表示ランプ40の点滅を制御する機能、演出図柄表示基板320に制御コマンドを送信して演出図柄表示器30における図柄の変動表示演出を制御する機能(「表示演出制御手段」に対応)、スピーカユニット42に対して音響データを送信することにより音演出を制御する機能を実現する。表示演出制御手段は、主制御基板200から「乙女アタックリーチはずれ」又は「乙女アタックリーチあたり」の変動パターンコマンドを受信した場合に、当該変動パターンコマンド及び現在のST回数に応じた表示演出を実行するための制御コマンドをROMから取得し、当該制御コマンドを演出図柄表示基板320に送信する。
【0036】
電飾制御基板310は、複合サブ制御基板300から送信される制御コマンドに基づいて、表示ランプ40の点灯または点滅、消灯等の表示灯に関する制御を行う。
賞球払出制御基板400は、複合サブ制御基板300から送信される制御コマンドに基づいて、遊技領域22に遊技球を発射する発射装置24及び賞球を払い出す払出装置410を制御する。
【0037】
大入賞口ソレノイド500は、大当りに当選した場合に、主制御基板200から送信される制御コマンドに基づいて、大入賞口38の開閉動を行う。電動ソレノイド73は、入賞装置110の第2始動口70を開閉動する。電動ソレノイド73は、例えば、遊技球が普通図柄始動ゲート32を通過する際に行われる普通図柄の抽選に当選した場合や時短状態となった場合に、主制御基板200から送信される制御コマンドに基づき作動して、第2始動口70への遊技球の入賞確率を高める。
【0038】
演出図柄表示器30は、LCD、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等であり、演出図柄表示基板320から出力された画像データを表示する。
演出図柄表示基板320は、図示せぬ、CPU、ROM、RAM、画像処理用VDP(Video Display Processor)、入力ポート、及び、出力ポートを備えている。演出図柄表示基板320のRAMは、CPUに対する入出力データや演算処理のためのデータを一時記憶し、ワーク・エリアやバッファ・メモリとして機能する。VDPは、CPUからの出力指示に従って出力ポートを介して演出図柄表示器30に画像データを出力する。ROMは、図柄の変動表示演出制御を行うためのプログラム、及び、演出図柄表示器30に出力するための各種画像データを記憶する。
【0039】
演出図柄表示基板320のROMに記憶されている画像データとしては、例えば、
図6〜
図10に示す表示演出を表示するための画像データが存在する。
図6は、通常状態中に表示される通常表示演出の一例である。ここで、通常表示演出とは、変動時間が5〜10秒程度であって、遊技者に特に期待感を抱かせることのない表示演出のことである。
図7は、通常状態中に大当りに当選し、当該当選を契機とした大当り遊技の終了後に移行するST8回中において表示される「乙女アタック」(「特別表示演出」に対応)の表示演出の一例である。この「乙女アタック」の表示演出は、キャラクタ「乙女」が「敵将」と対決する演出であり、「乙女」には
図8に示す8種類のキャラクタが存在する。ST8回中には、大当り遊技中に上限まで記憶された8つの始動記憶が順に消化されて大当り抽選が行われ、抽選結果に応じて主制御基板200から複合サブ制御基板300に「乙女アタックリーチはずれ」又は「乙女アタックリーチあたり」の変動パターンコマンドが送信され、複合サブ制御基板300から演出図柄表示基板320に現在のST回数及び変動パターンコマンドに応じた制御コマンドが送信される。演出図柄表示基板320のCPUは、複合サブ制御基板300から受信した制御コマンドに応じた画像データをROMから読み出して演出図柄表示器30に出力する。これにより、演出図柄表示器30には、キャラクタ「敵将」と、
図8に示すSTの回数に応じた「乙女」とが対決する8種類の表示演出が順次表示される。
図7は、7回目の「乙女」と「敵将」とが対決する表示演出であるため、7回目のST中に表示される。抽選結果が大当りとなった場合には、主制御基板200から「乙女アタックリーチあたり」の変動パターンコマンドが送信され、演出図柄表示器30にはその回の「乙女」が「敵将」に勝つ表示演出が表示される。一方、抽選結果がはずれとなった場合には、主制御基板200から「乙女アタックリーチはずれ」の変動パターンコマンドが送信され、演出図柄表示器30にはその回の「乙女」が「敵将」に負ける表示演出が表示される。
【0040】
また、
図9は、「戦国モード」(「特別表示演出とは異なる演出」に対応)の表示演出の一例である。当該表示演出は、ST8回又は時短92回中に再び大当りした場合に移行するST8回中に表示される。なお、この「戦国モード」の表示演出を、「乙女アタック」の表示演出に比較して変動時間が短い通常表示演出の一種とすることもできる。
図10は、「乙女モード」の表示演出の一例である。当該表示演出は、ST8回又は時短92回中に再び大当りした場合に移行する時短92回中に表示される。
【0041】
図11は、ST8回又は時短92回中に大当りしなかった場合に、時短92回終了後に移行する通常状態での所定回数の遊技中に表示される「ときめきモード」の表示演出の一例である。
演出図柄表示基板320のCPUは、複合サブ制御基板300から制御コマンドを受信すると、ROMに記憶されたプログラムにしたがって、当該制御コマンドに応じた画像データをROMから読み出し、当該制御コマンドで指定された変動時間だけ画像データを演出図柄表示器30に出力することにより、図柄の変動表示演出を制御する。
本実施形態では、主制御基板200が有する機能と複合サブ制御基板300が有する機能と演出図柄表示基板320が有する機能とを合わせて、表示演出制御手段を構成する。
【0042】
図12は、主な遊技状態と演出図柄表示器30における表示演出との関係を示す図である。通常状態の遊技中においては、通常表示演出が実行される(
図12(a)参照)。そして、通常状態の遊技中に大当りに当選した場合は、当該当選を契機とする大当り遊技中に大当り演出が実行される(
図12(b)参照)。
また、通常状態の遊技中に大当りに当選し、当該当選を契機とする大当り遊技の終了後に移行するST8回において、通常表示演出よりも変動時間が長い「乙女アタック」のリーチ演出が実行される(
図12(c)参照)。
【0043】
また、ST8回中に大当りに当選した場合は、ST8回が終了した後に再度移行するST8回中において、「戦国モード」の表示演出が実行される(
図12(d)参照)。そして、ST8回が終了した後の時短92回中において、「乙女モード」の表示演出が実行される(
図12(e)参照)。
さらに、時短100回中に大当りに再度当選した場合には、時短100回が終了した後に再度移行するST8回中において、「戦国モード」の表示演出が実行される(
図12(f)参照)。また、当該ST8回が終了した後に再度移行する時短92回中において、「乙女モード」の表示演出が実行される(
図12(g)参照)。
【0044】
(動作)
次に、上記のように構成された遊技機100において行われる遊技処理の流れについて説明する。まず、遊技機100に電源が投入されると各種初期設定が行われ、遊技機100の遊技状態は通常状態となる。そして、主制御基板200のCPU210は、所定周期毎に、乱数を更新する乱数更新処理、特別図柄に関する遊技を管理する特別遊技管理処理、普通図柄に関する遊技を管理する普通遊技管理処理、制御コマンド等を複合サブ制御基板300等に送信するコマンド出力処理、及び、賞球の払出しを管理する払出管理処理を行う。
【0045】
(始動入賞関連処理)
上記処理のうち、
図13に示すフローチャートを参照して、主制御基板200のCPU210が始動入賞に基づいて行う処理について説明する。この処理は、例えば、4ミリ秒周期で実行される。
主制御基板200のCPU210は、始動入賞があったか否かを判定する(ステップS101)。第1入賞検出器62又は第2入賞検出器76から検出信号を受信しなかった場合、始動入賞がないと判定し(ステップS101;No)、始動記憶の消化を進めるためステップS105に進む。
【0046】
一方、第1入賞検出器62又は第2入賞検出器76から検出信号を受信することにより始動入賞があったと判定した場合は(ステップS101;Yes)、CPU210は、第1入賞検出器62からの検出信号を受信した場合は第1始動口60用の記憶領域について、第2入賞検出器76からの検出信号を受信した場合は第2始動口70用の記憶領域について、始動記憶が上限の4つまで記憶されているか否かを判定する(ステップS102)。既に上限の4つまで記憶されている場合は(ステップS102;Yes)、記憶することができないため、始動記憶の消化を進めるためにステップS105に進む。
上限まで記憶されていない場合は(ステップS102;No)、CPU210は当り乱数ループカウンタから乱数を取得し(ステップS103)、当該取得した乱数を空いている記憶領域に記憶し、始動記憶数を1加算する(ステップS104)。
【0047】
ステップS105においては、CPU210は、現在特別図柄が変動中か否かを判断する。図柄変動中でない場合は(ステップS105;No)、CPU210は始動記憶があるか否かを判定する(ステップS106)。RAM220の特別図柄用の記憶領域に乱数値が記憶されており、始動記憶があると判定した場合には(ステップS106;Yes)、CPU210は、特別図柄用の記憶領域に最も過去に記憶された乱数値と大当り値とを比較することにより、大当り判定を行う(ステップS107)。そして、CPU210は大当り判定が終了した乱数値を記憶領域から削除し、始動記憶数を1減算する。
【0048】
次に、CPU210は、大当り判定結果に基づいて、演出図柄の変動パターンを決定する(ステップS108)。
次に、CPU210は各種制御コマンドを送信する(ステップS109)。具体的には、CPU210は、決定した変動パターンに対応する変動パターンコマンドを複合サブ制御基板300に送信する。さらに、CPU210は、大当り判定結果に基づいて特別図柄変動後の停止図柄を決定し、決定した停止図柄に対応する停止図柄指定コマンドを特別図柄表示器52a,52bに送信することにより、決定した停止図柄で特別図柄を停止させる。
【0049】
(通常状態において大当りに当選した場合の遊技処理)
次に、
図14に示すフローチャートを参照して、通常状態において大当りに当選した場合の遊技処理の流れについて説明する。
主制御基板200のCPU210は、通常状態において大当りに当選した場合、大当り遊技を実行する(ステップS201)。具体的には、CPU210は、大入賞口ソレノイド500に大入賞口開放/閉鎖コマンドを送信して大入賞口38を開閉動させるとともに、ラウンド毎に複合サブ制御基板300に制御コマンドを送信することにより、大当り演出を行う。
【0050】
大当り遊技終了後に遊技状態を高確率状態(ST)に移行させ、ST8回を実行する(ステップS202)。ここで、ST8回中の抽選で大当りに当選した場合は、CPU210は、「乙女アタックリーチあたり(コマンド:MODE「A0H」、EVENT「40H」)」の変動パターンコマンドを複合サブ制御基板300に送信する。また、大当りに当選しなかった場合は、CPU210は、「乙女アタックリーチはずれ(コマンド:MODE「A0H」、EVENT「3FH」)」の変動パターンコマンドを複合サブ制御基板300に送信する。これにより、演出図柄表示器30には、キャラクタ「敵将」とSTの回転数に応じた8人の「乙女」とが対決する図柄演出が、8つの始動記憶の消化毎に順次表示されることとなる。
【0051】
ST8回中に大当りに当選しなかった場合は(ステップS203;No)、CPU201は、ST8回終了後に通常状態に移行する(ステップS206)。このときに、CPU201は、「ときめきモード」の表示演出を表示するための変動パターンコマンドを複合サブ制御基板300に送信する。
一方、ST8回中に大当りに当選した場合は(ステップS203;Yes)、時短100回を実行する(ステップS204)。なお、CPU201は、時短100回のうち、初めの8回は高確率状態(ST)に移行し、続く92回は通常状態に移行する。また、CPU201は、初めのST8回中には「戦国モード」の表示演出を実行するための変動パターンコマンドを送信し、続く92回中には「乙女モード」の表示演出を実行するための変動パターンコマンドを送信する。
時短100回中に大当りに当選した場合は(ステップS205;Yes)、CPU201は再度時短100回を実行する(ステップS204)。一方、時短100回中に大当りに当選しなかった場合は(ステップS205;No)、通常状態に移行する(ステップS206)。
【0052】
(演出制御処理)
次に、
図15に示すフローチャートを参照して、複合サブ制御基板300のCPUが行う演出制御処理について説明する。
複合サブ制御基板300のCPUは、主制御基板200から制御コマンドを受信すると(ステップS301)、制御コマンドを解析する(ステップS302)。制御コマンドが変動パターンコマンドの場合は、複合サブ制御基板300のCPUは、変動パターンコマンドや遊技状態等に基づき、演出図柄表示基板320、電飾制御基板31及びスピーカユニット42各々に送信すべき制御コマンドを判定して送信する(ステップS303)。
【0053】
これにより、演出図柄表示基板320は、複合サブ制御基板300から受信した制御コマンドで指示された画像データをROMから読み出して、当該画像データを演出図柄表示器30に逐次出力する。演出図柄表示器30は出力された画像データに基づいて演出図柄を変動表示する。これにより、例えば
図12に示す表示演出が行われる。
また、電飾制御基板310のCPUは、複合サブ制御基板300から受信した制御コマンドに基づいて、表示ランプ40による演出を行う。スピーカユニット42は、複合サブ制御基板300から受信した音響データに基づいて、音による演出を行う。
【0054】
(ST8回中の表示演出処理)
次に、
図16に示すフローチャートを参照して、通常状態中に大当り当選を契機に移行したST8回中に、複合サブ制御基板300のCPUが行う表示演出処理について説明する。
まず、複合サブ制御基板300のCPUは、主制御基板200から変動パターンコマンド「乙女アタックリーチあたり」又は「乙女アタックリーチはずれ」を受信すると(ステップS401)、現在のST回数を判定する(ステップS402)。判定方法としては、主制御基板200から受信したST回数の情報に基づいて判定してもよいし、今までに「乙女アタックリーチあたり」又は「乙女アタックリーチはずれ」のコマンドを受信した回数で判定してもよい。
【0055】
複合サブ制御基板300のCPUは、ST回数に応じた「乙女」と「敵将」が戦う表示演出を実行するための制御コマンドをROMから読み出し(ステップS403)、読み出した制御コマンドを演出図柄表示基板320に送信する(ステップS404)。
以上の処理により、ST8回中においては、STの回転数が変わる毎に、ST回転に応じた「乙女」と「敵将」が対決する表示演出が演出図柄表示器30に順次表示される。
【0056】
以上説明したように、遊技機100は、通常状態の遊技中に大当りに当選した場合、当該当選を契機とする大当り遊技の終了後に、時短状態に移行することなく高確率状態に移行して、当りの発生を期待させる「乙女アタック」のリーチ演出を長時間実行するため、ST8回中において「乙女アタック」の演出実行時間が短くなるのを防ぐことができる。また、ST8回中又は時短92回中に大当りに当選した場合は、当該遊技の終了後に移行するST8回において、「乙女アタック」の表示演出とは異なる「戦国モード」の表示演出を実行するため、遊技者にとって有利な状態が連続する場合に「乙女アタック」のリーチ演出を何度も繰り返して実行することがなくなり、演出にメリハリを持たせることができる。したがって、遊技者の飽きを防止することができ、稼働率向上に寄与することができる。また、遊技者は、ST中に「乙女アタック」の表示演出中に表示されるキャラクタ「乙女」の種類や、特別図柄メモリ54a,54b,54c,54dによって表示される始動記憶の数によって、残りのST回数を把握することが可能となる。
【0057】
なお、上述した実施形態では、第1始動口60、第2始動口70各々への入賞に基づく始動記憶の上限数は各々4つであるとして説明したが、第1始動口60と第2始動口70を区別せずに、両方を合計した始動記憶の上限数を設けてもよい。また、ST回数、始動記憶の上限数、及び、「乙女アタック」の表示演出(キャラクタ「乙女」)の種類の数は8に限定されることはなく、同一の数であれば任意の数でよい。