(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
他方、上記したエア打込み工具にあっては、エア打込み工具としての使い易さを更に向上させるために、ハウジング構造の軽量化を図りたいとの要請がある。具体的には、ハウジング構造をなすにあたって、本体ハウジングあるいはトップキャップの少なくともいずれか一方の成形材料に、比重が軽い材料を選択したいとの要請がある。
しかしながら、単純に本体ハウジングあるいはトップキャップの少なくともいずれか一方の成形材料に比重が軽い材料を選択することとなると、上記した本体ハウジングとトップキャップとの結合区間が変形し易くなってしまう恐れがある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、駆動源として圧縮エアを利用して打込み具を打ち込むエア打込み工具において、ハウジング構造の軽量化を図りつつ、本体ハウジングとトップキャップとの結合区間の剛性を高めて両者の変形を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するにあたって、本発明に係るエア打込み工具は次の手段をとる。
すなわち、本発明の第1の発明に係るエア打込み工具は、駆動源として圧縮エアを利用して打込み具を打ち込むエア打込み工具であって、工具本体のハウジング構造は、打込み駆動力を生ずるシリンダ構造を内装する本体ハウジングと、該本体ハウジングの打込み基端側開口部に取り付けられるトップキャップとを具備して構成されており、前記本体ハウジングの前記打込み基端側開口部に対する前記トップキャップの取付け部位は、該本体ハウジングの該打込み基端側開口部の端縁を、該トップキャップの該取付け部位の内周側に配置させるように設定されており、前記トップキャップの前記取付け部位の剛性は、前記本体ハウジングの前記打込み基端側開口部の剛性に比して高い剛性を有していることを特徴とする。
【0008】
この第1の発明に係るエア打込み工具によれば、本体ハウジングの打込み基端側開口部に対するトップキャップの取付け部位は、本体ハウジングの打込み基端側開口部の端縁を、トップキャップの取付け部位の内周側に配置させるように設定されている。このため、本体ハウジングの打込み基端側開口部の端縁が圧縮エアのエア圧による負荷によって変形しそうになっても、この打込み基端側開口部の端縁をトップキャップの取付け部位の内周部分に当接させて、このトップキャップの剛性を利用して打込み基端側開口部の端縁を支持することができる。ここでトップキャップの取付け部位の剛性は、本体ハウジングの打込み基端側開口部の剛性に比して高い剛性を有しているので、打込み基端側開口部の端縁を当接させて支持するにあたり、より確実に支持することができて打込み基端側開口部の端縁の変形を防止することができる。また、このトップキャップ自体の剛性も高いので、このトップキャップの取付け部位の変形も防止することができる。加えて、これらトップキャップと本体ハウジングとは、相対的に体積が小さいトップキャップの方の剛性を高めているので、これらトップキャップと本体ハウジングとの合計重量については体積が小さい方の剛性を小さくするように形成することができ、このような剛性差による重量差を配分できて全体としての重量の軽量化を図ることができる。
したがって、ハウジング構造の軽量化を図ることができつつ、本体ハウジングとトップキャップとの結合区間の剛性を高めて両者の変形を防止することができる。
【0009】
第2の発明に係るエア打込み工具は、前記第1の発明に係るエア打込み工具において、前記トップキャップの前記取付け部位の剛性は、該トップキャップの成形素材に前記本体ハウジングの成形素材よりも高い強度を有する成形素材を選択することにより、該本体ハウジングの前記打込み基端側開口部の剛性に比して高い剛性を有していることを特徴とする。
この第2の発明に係るエア打込み工具によれば、トップキャップの取付け部位の剛性は、トップキャップの成形素材に本体ハウジングの成形素材よりも高い強度を有する成形素材を選択することにより、本体ハウジングの打込み基端側開口部の剛性に比して高い剛性を有するものとなっている。これによって、本体ハウジングの形状を複雑化せずに本体ハウジングの軽量化を図ることができ、本体ハウジングの製造を有利に行うことができる。つまり、この第2の発明に係るエア打込み工具によれば、打込み基端側開口部の端縁の変形を防止することができ、トップキャップの取付け部位の変形も防止することができ、ハウジング構造の軽量化を図ることができ、さらに本体ハウジングの製造を有利に行うことができる。
【0010】
第3の発明に係るエア打込み工具は、前記第2の発明に係るエア打込み工具において、前記本体ハウジングの前記成形素材には、マグネシウムが選択されており、前記トップキャップの前記成形素材には、アルミニウムが選択されていることを特徴とする。
この第3の発明に係るエア打込み工具によれば、本体ハウジングの成形素材には、マグネシウムが選択されているので、本体ハウジングを軽量かつ簡単に成形することができる。また、トップキャップの成形素材には、アルミニウムが選択されているので、トップキャップを軽量かつ簡単に成形することができる。ここで、アルミニウムは、マグネシウムよりも強度が高い成形素材であるので、トップキャップの剛性強度を本体ハウジングよりも高い剛性強度とすることができつつ、トップキャップと本体ハウジングとの全体での軽量化を図りつつ成形の簡単化も図ることができる。したがって、この第3の発明に係るエア打込み工具によれば、トップキャップの剛性強度を本体ハウジングよりも高い剛性強度とすることができつつ、ハウジング構造を軽量かつ簡単に成形することができ、さらに広く利用される材料により製造コストも抑えることができる。
【0011】
第4の発明に係るエア打込み工具は、前記第1から前記第3のいずれかの発明に係るエア打込み工具において、前記本体ハウジングの外周には、該本体ハウジングに支持され且つ前記トップキャップの前記取付け部位の外周面に当接するように延在されるカバー体が設けられていることを特徴とする。
この第4の発明に係るエア打込み工具によれば、本体ハウジングの外周には、本体ハウジングに支持され且つトップキャップの取付け部位の外周面に当接するように延在されるカバー体が設けられている。このため、たとえトップキャップの取付け部位が圧縮エアのエア圧による負荷によって変形しそうになったとしても、このカバー体の剛性を利用してトップキャップの取付け部位を支持することができる。これによって、トップキャップの取付け部位の変形を、より強固に防止することができ、さらに打込み基端側開口部の端縁の変形も、より強固に防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明に係るエア打込み工具によれば、ハウジング構造の軽量化を図ることができつつ、本体ハウジングとトップキャップとの結合区間の剛性を高めて両者の変形を防止することができる。
第2の発明に係るエア打込み工具によれば、打込み基端側開口部の端縁の変形を防止することができ、トップキャップの取付け部位の変形も防止することができ、ハウジング構造の軽量化を図ることができ、さらに本体ハウジングの製造を有利に行うことができる。
第3の発明に係るエア打込み工具によれば、トップキャップの剛性強度を本体ハウジングよりも高い剛性強度とすることができつつ、ハウジング構造を軽量かつ簡単に成形することができ、さらに広く利用される材料により製造コストも抑えることができる。
第4の発明に係るエア打込み工具によれば、トップキャップの取付け部位の変形を強固に防止することができ、さらに打込み基端側開口部の端縁の変形も強固に防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るエア打込み工具を実施するための実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1および
図2では、駆動源として圧縮エアを利用するエア打込み工具10が図示されている。このエア打込み工具10は、打込み具として釘(不図示)を打ち込むエア釘打として構成される打込み工具である。なお、
図1は、エア打込み工具10の全体外観を斜視にて示す工具全体外観図である。
図2は、
図1と相違する角度の斜視にてエア打込み工具10の全体外観を示す工具全体外観図である。
図3は、エア打込み工具10の内部構造を半割り断面にて示す工具全体断面図である。また、
図4〜
図7は、エア打込み工具10の打込み作動状態に関して工具本体15の内部構造を示す断面図である。すなわち、
図4は打込み第1作動状態を示す工具本体の内部構造断面図、
図5は打込み第2作動状態を示す工具本体の内部構造断面図、
図6は打込み第3作動状態を示す工具本体の内部構造断面図、
図7は打込み第4作動状態を示す工具本体の内部構造断面図である。
ここでエア打込み工具10を説明するにあたっては、このエア打込み工具10の釘(不図示)の打込み方向に沿った側を『打込み方向先端側』と称し、このエア打込み工具10の釘の打込み方向とは逆側を『打込み方向基端側』と称する。なお、このエア打込み工具10は、一般的に鉛直下向きの方向で打込み具としての釘を打ち込むため、このように汎用される打込み方法に鑑みて上下等の方向を称することがある。ちなみに、これらの方向は各図に付記されるとおりとなっている。なお、
図1および
図2に示す符号Wは、本発明に係る打込み対象に相当する打込み材である。
【0015】
図1および
図2に示すエア打込み工具10は、概略、工具本体15と、打込み部60と、ハンドル部70と、マガジン75とを備える。先ず、工具本体15を説明する前に、この工具本体15に対して配設される、打込み部60、ハンドル部70、マガジン75、について説明する。
打込み部60は、工具本体15の先端側にて、工具本体15の延在構造と同様に延在されている。この打込み部60は、打込み材Wに釘(不図示)を打ち込むにあたって、マガジン75に装填される釘が送られる部分である。ここで打込み部60に送られた釘は、工具本体15に具備されるドライバ35により打ち込まれる。このため、打込み部60は、釘を打込み材Wに打ち込むにあたって、ドライバ35の打込み移動をガイドする機能を有するとともに、打ち込まれる釘の発射軌道をガイドする機能も有する。具体的には、後に説明するドライバ35を挿通させるための挿通路65が設けられている。この挿通路65には、このドライバ35にて打込み可能にされる釘がマガジン75から送られる。また、この打込み部60には、コンタクトトップ62が設けられている。このコンタクトトップ62は、釘が打ち出される打込み部60の先端が、打込み材Wに圧着されているか否かを検出する機能を有する。なお、コンタクトトップ62が打込み材Wに圧着されている場合に限り、後に説明する操作トリガ732の引き操作によるトリガバルブオン状態とすることができる。
【0016】
ハンドル部70は、工具本体15の側部(後部)にて、工具本体15の延在構造と交差する方向で延在されている。このハンドル部70は、使用者が片手で把持可能な外形の形状にて形成されつつ、内部に圧縮エアを供給可能にされる中空構造にて形成される。このように内部中空のハンドル部70の内部には、圧縮エアが蓄えられる蓄圧室71が設けられている。この蓄圧室71には、ハンドル部70の後端部に設けられたホースジョイント部72から圧縮エアが供給されて蓄えられる。なお、ハンドル部70の後端部に設けられるホースジョイント部72は、圧縮エア供給用のエアホース(図示省略)を接続可能に構成される。このハンドル部70のうち、工具本体15の付け根部分にはトリガバルブ73が設けられている。このトリガバルブ73は、バルブ構造を有するトリガバルブ本体731と、このトリガバルブ本体731に対して操作入力するための操作トリガ732と、を備える。このトリガバルブ本体731は、操作トリガ732の引き操作によりトリガバルブオン状態となり、操作トリガ732の引き操作の解除によりトリガバルブオフ状態となる。なお、後にも詳述するが、トリガバルブオン状態となると、工具本体15に向けた圧縮エアの供給を遮断しつつ、バルブ付勢室56内に蓄えられた圧縮エアを大気開放する。また、トリガバルブオフ状態となると、工具本体15に向けた圧縮エアの供給を再開しつつ、バルブ付勢室56内に圧縮エアが送られて蓄えられる。
マガジン75は、1回ずつの打込みごとに上記した打込み部60に釘(不図示)を送るように構成される。このマガジン75は、複数の釘を巻形にて装填可能にされる。なお、図示符号76は、ハンドル部70とマガジン75とを連結する連結部である。また、図示符号77は、エア打込み工具10を引掛けておくためのフックである。
【0017】
次に、
図3のエア打込み工具10全体の断面図と、
図4〜
図7の工具本体15の断面図とを参照しながら、工具本体15について説明する。
工具本体15は、本体ハウジング21とトップキャップ25とにより形成されるハウジング構造20に、各種の部材が内装されることにより構成され、打込み駆動力を生ずるように機能する。本体ハウジング21は、略円筒形状に形成される。すなわち、本体ハウジング21の先端側には、上記した打込み部60が配設されている。
本体ハウジング21は、打込み駆動力を生ずるシリンダ構造(シリンダ31)を内装する。この本体ハウジング21の打込み基端側開口部23には、トップキャップ25が取り付けられる。後にも詳述するが、本体ハウジング21は略円筒形に形成されており、トップキャップ25は略椀形に形成されており、この本体ハウジング21の打込み基端側開口部23には、この開口形状を塞ぐようにトップキャップ25が取り付けられる。このようにして本体ハウジング21とトップキャップ25とはハウジング構造20をなしている。
また、この本体ハウジング21の外周には、弾性を有するエラストマー(軟質弾性材料)を材料として成形されるプロテクタ90が取り付けられている。このプロテクタ90は、エア打込み工具10の外観意匠性を高めるように外観意匠部91を有して形成される。また、このプロテクタ90は、このようにエア打込み工具10の外観意匠性を高める機能を有するほか、エア打込み工具10を落としてしまった場合等のエア打込み工具10が受ける衝撃を緩衝する機能も有する。このため、このプロテクタ90は、エア打込み工具10の外観意匠を鑑みつつ、エア打込み工具10が受ける衝撃を緩衝させる機能を有するように、本体ハウジング21の外装をなしつつ弾性変形可能なエラストマーを成形することにより形成される。
【0018】
このハウジング構造20は、概略、上記した打込み部60にドライバ35を挿入可能とするピストン構造30と、該ピストン構造30を作動させるためのバルブ構造40と、を内装する。
ピストン構造30は、概略、シリンダ31と、ピストン33と、ドライバ35と、ダンパ部材37とを備える。シリンダ31は、略円筒形に形成され、上記した本体ハウジング21にて支持されている。このシリンダ31には、シリンダ31内部にエアが流出入可能となるように、基端部分に基端側連通孔311、先端部分に先端側連通孔312、中間部分に中間部連通孔313が設けられている。ピストン33は、シリンダ31の内部に往復動可能に装置されている。ピストン33は、後に説明する圧力室50の圧力変化により往復動するようにシリンダ31にて支持されている。このピストン33の先端側(下側)には、このピストン33の移動方向に沿って延在するように一体化されたドライバ35が設けられている。このドライバ35は、ピストン33が先端側に移動に応じて上記した打込み部60の挿通路65内に入り込むようになっている。この際、打込み部60の挿通路65に配置される釘(不図示)は、このドライバ35の先端側への移動により打ち込まれる。つまり、ピストン33の往復動によりドライバ35を打込み作動させる。
【0019】
ダンパ部材37は、ピストン33の移動衝撃を緩衝するとともに、このピストン33の移動範囲限界端位置を決める機能も有している。具体的には、ダンパ部材37は、ピストン33の上側の上死点位置を決める上死点ダンパ371と、ピストン33の下側の下死点位置を決める下死点ダンパ372とを備える。上死点ダンパ371は、ピストン33の最基端側位置を決めているとともに、ピストン33の基端側移動を止めた際の衝撃を緩衝させる機能も果たしている。下死点ダンパ372は、ピストン33の最先端側位置を決めているとともに、ピストン33の先端側移動を止めた際の衝撃を緩衝させる機能も果たしている。
バルブ構造40は、概略、ヘッドバルブ41と、区画壁47と、逆止弁49を具備して構成される。このバルブ構造40は、これらのヘッドバルブ41、区画壁47、逆止弁49、ハウジング構造20、ピストン構造30により区画されることにより、複数の圧力室50が形成されている。このように区画された複数の圧力室50が、エアの流出入が不可となるように隔てた不通状態、あるいはエアの流出入が可となるように通じた連通状態に、切り替わることにより、バルブ構造40としての機能を発揮するようになっている。
なお、このヘッドバルブ41は、本発明に係るメインバルブに相当する。このヘッドバルブ41は、ピストン33に打込み作動させるために、ピストン上室52の圧縮エア流入の開け閉めを行う。このヘッドバルブ41は、後に詳述するが、不図示の釘の打込み方向に沿った移動によりバルブを開ける構成となっており、ピストン上室52に圧縮エアを送るようになっている。
【0020】
具体的には、ヘッドバルブ41は、バルブ本体42と、シート部43と、付勢ばね44とを備える。これらバルブ本体42と、シート部43と、付勢ばね44とは、本体ハウジング21に支持されて配設されている。
バルブ本体42は、概略、第1当接部421と、第2当接部422と、連通孔423とを具備する環状構造にて構成される。このバルブ本体42は、上下方向に移動可能に配設されており、内周面および外周面の適宜箇所には各圧力室50を隔てるためのOリング57が取り付けられている。第1当接部421は、シート部43に対して当接可能な、バルブ本体42の基端(上端)側の端面にて形成される。つまり、この第1当接部421がシート部43に当接した状態となると、ヘッドバルブ41はバルブ閉状態となる。これに対して第1当接部421がシート部43から離間した状態となると、ヘッドバルブ41はバルブ開状態となる。第2当接部422は、区画壁47の外周摺接面471に対して当接可能な摺接部分として形成される。このため、第2当接部422は、区画壁47に向かって突出しつつ、取り付けられるOリング57によりバルブ本体42の上下移動にしたがって区画壁47の外周摺接面471に摺接可能とされている。連通孔423は、バルブ本体42の内外を通じるように貫通された形状にて形成される。バルブ本体42の内周側のエアは、この連通孔423を通じてバルブ本体42の外周側に排気させることができる。
【0021】
シート部43は、バルブ本体42の基端(上端)側にて隣接する位置で、上記したハウジング構造20のトップキャップ25に固定支持されている。このシート部43は、上記したようにバルブ本体42の第1当接部421が当接する部分となっている。このため、このシート部43のうち、バルブ本体42の第1当接部421に対向する面は、この第1当接部421が当接可能な面状に形成される。もって、ヘッドバルブ41の不図示の釘の打込み方向と順方向の移動によってシート部43に第1当接部421が離間した状態となると、ヘッドバルブ41はバルブ開状態となる。また、ヘッドバルブ41の不図示の釘の打込み方向とは逆方向の移動によってシート部43に第1当接部421が当接した状態となるとヘッドバルブ41はバルブ閉状態となる。
付勢ばね44は、バルブ本体42を基端(上端)側に向けて付勢するばねである。具体的には、付勢ばね44は、コイル形スプリングにて形成されており、一端側が区画壁47に当接され、他端側がバルブ本体42に当接される。このようにして、付勢ばね44は、バルブ付勢室56の内部圧力により生ずる付勢力とともに、バルブ本体42を基端(上端)側に向けて付勢することとなる。ここで、バルブ付勢室56の内部圧力が所定以上の圧力となっている場合には、バルブ本体42の第1当接部421はシート部43に当接した状態となり、ヘッドバルブ41はバルブ閉状態となる。なお、このバルブ付勢室56の内部圧力が所定以上の圧力となっていない場合には、バルブ本体42の第1当接部421はシート部43から離間した状態となり、ヘッドバルブ41はバルブ開状態となる。
区画壁47は、シリンダ31に支持されるようにして配設されている。この区画壁47には、上記したようにバルブ本体42の第2当接部422と当接可能な外周摺接面471が形成されている。このため、この区画壁47の外周摺接面471は、バルブ本体42の上下移動にしたがってバルブ本体42の第2当接部422を摺接可能な面形状を有して形成されている。また、この区画壁47には、区画壁47の内外を連通させる連通孔472が設けられている。なお、この連通孔472の外側には、逆止弁49が配設されている。つまり、シリンダ31内の圧力がシリンダ31外の圧力よりも高い場合には、逆止弁49は連通孔472により区画壁47の内外が連通するように機能する。これに対して、シリンダ31外の圧力がシリンダ31内の圧力よりも高い場合には、逆止弁49が機能して連通孔472による連通を遮断させるように機能する。
【0022】
上記したように構成されるヘッドバルブ41、区画壁47、逆止弁49、ハウジング構造20、ピストン構造30は、次のように区画して複数の圧力室50を形成する。すなわち、本体ハウジング21とヘッドバルブ41の間のうちヘッドバルブ41基端側の範囲には、圧力室50としての供給室51が形成されている。また、ピストン33とシリンダ31の間のうちヘッドバルブ41側には、圧力室50としてのピストン上室52が形成されている。また、ピストン33とシリンダ31の間のうちドライバ35側には、圧力室50としてのピストン下室53が形成されている。また、シリンダ31の下部側と本体ハウジング21の間には、圧力室50としてのリターン室54が形成されている。また、区画壁47とバルブ本体42の間には、圧力室50としての排気室55が形成されている。さらに、本体ハウジング21とヘッドバルブ41の間のうちヘッドバルブ41先端側の範囲には、圧力室50としてのバルブ付勢室56が形成されている。
このように構成される各圧力室50は、使用者の操作トリガ732の操作に応じて、上記したハンドル部70に配設される蓄圧室71から圧縮エアを流入させたり、次に説明する排気口構造80を介して工具本体15の外部に排気させたりすることにより、内部のエアの圧力を変化をさせる。このように各圧力室50の内部圧力を変化させることにより、一連の釘の打込み作動がなされるようになっている。
【0023】
上記したようにヘッドバルブ41、区画壁47、逆止弁49、ハウジング構造20、ピストン構造30により区画された各圧力室50は、次のように圧力が変化することにより、釘を打ち込む打込み作動をする。
すなわち、使用者が操作トリガ732を引くことによりトリガバルブ73がオン状態となると、蓄圧室71と供給室51の間の連通状態が遮断されるとともに、蓄圧室71とバルブ付勢室56の間の連通状態が遮断される。つまり、トリガバルブ73がオン状態となると、トリガバルブ73は、蓄圧室71からの、供給室51およびバルブ付勢室56への圧縮エアの供給が中断される。なお、トリガバルブ73がオン状態となるまでは、蓄圧室71と供給室51の間は互いに連通した状態となっており、また蓄圧室71とバルブ付勢室56の間も互いに連通した状態となっており、蓄圧室71から、供給室51およびバルブ付勢室56に圧縮エアが供給されることとなる。このため、供給室51およびバルブ付勢室56には、蓄圧室71と同じ圧力の圧縮エアが充填されている。
【0024】
ここで、トリガバルブ73が上記したようにバルブ付勢室56に対しての圧縮エアの供給を遮断した後には、さらにトリガバルブ73は、このバルブ付勢室56の内部に存する圧縮エアが大気開放される。そうすると、バルブ付勢室56の内部の圧力が下がることとなって、付勢ばね44とともにバルブ本体42を付勢する付勢力は減少して、バルブ本体42は下動する。もって、第1当接部421はシート部43から離間した状態となって、ヘッドバルブ41はバルブ開状態となる。つまり、
図4、
図5、
図6の順で、ヘッドバルブ41はバルブ閉状態からバルブ開状態に変わるように下動する。ここで、ヘッドバルブ41がバルブ開状態となると、
図6に示すように供給室51の内部に存する圧縮エアは基端側連通孔311を通じてシリンダ31内のピストン上室52に流入する。そうすると、このピストン上室52に流入した圧縮エアは、このピストン上室52の内部圧力を高めてピストン33を下動させる。つまり、
図7に示すようにピストン33と一体化したドライバ35は打込み方向に瞬時に移動することとなり、打込み部60の挿通路65に入り込む。この際に、ドライバ35は、マガジン75から送られる釘を打込み材Wに向けて打ち込む。このようにドライバ35が釘を打込み材Wに向けて打ち込んだ後には、ピストン上室52の内部に存する圧縮エアは中間部連通孔313および連通孔472を通じてシリンダ31外のリターン室54に流入させる。なお、このリターン室54への流入口となる連通孔472の外側には、逆止弁49が配設されている。このため、ピストン上室52の内部の圧力が低くなっても、リターン室54からシリンダ31内への逆流を防止して、このリターン室54の内部の圧力は維持される。なお、リターン室54は、先端側連通孔312を通じてシリンダ31内のピストン下室53と連通した状態となっている。
【0025】
これに対して、使用者が操作トリガ732の引き状態を外すことによりトリガバルブ73がオフ状態となると、蓄圧室71と供給室51の間は連通状態に戻されるとともに、蓄圧室71とバルブ付勢室56の間も連通状態に戻される。つまり、トリガバルブ73がオフ状態となると、蓄圧室71からの、供給室51およびバルブ付勢室56への圧縮エアの供給は再開される。このため、供給室51およびバルブ付勢室56には、蓄圧室71と同じ圧力の圧縮エアが充填される。そうすると、バルブ付勢室56の内部の圧力は上がることとなって、付勢ばね44とともにバルブ本体42を付勢する付勢力は増加して、バルブ本体42は上動する。もって、第1当接部421はシート部43に当接した状態となって、ヘッドバルブ41はバルブ閉状態となる。
つまり、ヘッドバルブ41は、バルブ開状態からバルブ閉状態に状態に戻る。このヘッドバルブ41がバルブ閉状態となると、供給室51からのピストン上室52への圧縮エアの流入は止まるとともに、ピストン上室52と排気室55とが連通した状態となる。そうすると、このピストン上室52の内部に存する圧縮エアは、排気室55に向けて流出可能な状態となる。この際、排気室55は、後に説明する排気口構造80に通じているため、ピストン上室52の内部に存する圧縮エアを、排気室55および排気口構造80を介して大気開放することとなる。つまり、ピストン上室52の内部の圧力は大気圧となる。ここで、リターン室54と通じるピストン下室53の内部に存する圧縮エアの圧力は、この大気圧まで下げられたピストン上室52の内部の圧力に勝つこととなり、ピストン33を上動させることとなる。つまり、ドライバ35と一体化したピストン33は
図4に示す初期位置の状態に戻るように上動する。つまり、シリンダ31外のリターン室54に流入させたリターンエアは、ピストン33に打込み作動させるためにピストン上室52に流入させた圧縮エアを再利用するものである。このリターン室54に流入させたリターンエアにより、打込み後のピストン33を上記した打込み前の初期位置に復帰させることができる。
【0026】
次に、上記した排気室55と通じる排気口構造80について説明する。この排気口構造80は、上記したように排気室55に流出した圧縮エアを大気開放するように、この排気室55と工具本体15の外部とを通じた状態とする構造である。なお、この排気室55に流出した圧縮エアは、打込み後に工具本体15の内部に存する不要エアに相当する。
図8は、排気口構造80を見えるように示す一部切欠き断面図である。
図9は、
図8に示す排気口構造80に関して拡大して示す拡大断面図である。
図8に示すように、排気口構造80は、工具本体15の本体ハウジング21の側面のうち、釘の打込み方向となる先端方向に沿った側面に配設されている。この排気口構造80は、上記したピストン上室52の内部に存する圧縮エアを大気開放する際に、工具本体15の外部に通じる外部吹出し口84を具備して構成される。
図9に示すように、排気口構造80は、概略、本体ハウジング21に排気カバー83を螺子止めすることにより形成されている。この排気カバー83には、
図1および
図2に示すように、工具本体15左右両側に6つずつで外部吹出し口84(84a,84b,84c,84d,84e,84f)が形成されている。この左右両側6つずつの外部吹出し口84は、本体ハウジング21の内部に形成された排気室55と通じる開口形状を有して形成される。つまり、排気カバー83が螺子止めされる本体ハウジング21には、この外部吹出し口84に通じるように排気室55と連通する連通孔(不図示)が設けられている。この外部吹出し口84は、工具本体15に対して左右対称構造にて形成されている。この外部吹出し口84から工具本体15の外部に排気されるエア吹出し方向は、釘の打込み方向に沿った方向に傾いて設定されている。つまり、この外部吹出し口84からのエア吹出しは、工具本体15の先端側に傾いたものとなる、打込み材Wに向いた方向に設定されている。
【0027】
ここで、この工具本体15左右両側に6つずつで設けられる外部吹出し口84は、
図2および
図3に示すように、打込み具の打込み方向と交差する方向で段組されるように、前後方向に複数となる2段に並べられて設けられている。具体的には、外部吹出し口84a,84b,84cと、外部吹出し口84d,84e,84fとは、互いに対称となる形状にて前後方向で2段組されて形成されている。また、このように2段組された外部吹出し口84a,84b,84cと、外部吹出し口84d,84e,84fとは、打込み具の打込み方向(図示規定の上下方向)に沿って3つずつ並べられて形成されている。つまり、打込み具の打込み方向(図示規定の上下方向)に沿った3つの外部吹出し口84a,84b,84cと外部吹出し口84d,84e,84fとが、前後方向で互いに対称構造となる2段組に並べられて設けられている。なお、これら外部吹出し口84からのエア吹出しの方向は、上記したように打込み材Wに向いた方向に設定されているので、これら6つの外部吹出し口84a,84b,84c,84d,84e,84fのそれぞれは、エア吹出しの方向が打込み材Wに向いた方向に沿うようなガイド形状を有している。
【0028】
詳しくは、排気口構造80は次のように形成されている。
排気口構造80は、本体ハウジング21の側面のうち、釘の打込み方向に沿った左右の両サイド側面に配設されている。この排気口構造80は、概略、排気フィルタ81と、留め具82と、排気カバー83とを備える。排気フィルタ81は、本体ハウジング21と排気カバー83との間に配設され、外部吹出し口84の開口範囲に亘って配設されている。このため、排気室55から送られ工具本体15の外部に吹き出すエアの吹出しは、排気フィルタ81にて緩衝することとなっている。留め具82は、螺子部材821とワッシャ822とより構成され、本体ハウジング21に対して排気カバー83を螺子止めする。
排気カバー83は、プラスチック樹脂を材料とする成形部品として形成される。この排気カバー83は、上記したように外部吹出し口84が6つ形成されている。この排気カバー83は、本発明に係るカバー体に相当する部材であり、本体ハウジング21との間にプロテクタ90の一部を介装させながら、本体ハウジング21の外周に取り付けられている。この排気カバー83には、工具本体15の外部に圧縮エアを吹き出させるための外部吹出し口84が設けられるほか、留め孔851と突出し孔852とが設けられている。
【0029】
留め孔851は、螺子部材821(留め具82)により排気カバー83を本体ハウジング21に螺子止めできるように設けられる孔である。また、突出し孔852は、本体ハウジング21との間に介装されるプロテクタ90の一部となる突出しバンパー部95を、排気カバー83から外部に露出させるように設けられる孔である。突出し孔852は、本発明に係る貫通孔に相当する孔であり、プロテクタ90の一部となる突出しバンパー部95を外側に突き出させることが可能な形状にて形成される。また、突出し孔852の形状は、
図1および
図2に示すように、ハンドル部70が延在する方向に一致するように延在して形成され、外部吹出し口84の形状に合わせて形成され、エア打込み工具10の外観意匠性を高めている。
また、この排気カバー83は、留め具82にて留められるにあたり、本体ハウジング21とトップキャップ25とから支持を受けるようになっている。すなわち、排気カバー83は、留め具82にて留められるにあたり、プロテクタ90の挟み込み部92が介装された状態で、本体ハウジング21の外周面211から支持を受ける脚部位86が設けられている。また、排気カバー83は、留め具82にて留められるにあたり、トップキャップ25の外周面251に当接して支持を受ける押圧部位87が設けられている。より詳しく言えば、排気カバー83の押圧部位87は、トップキャップ25の取付け部位26の内周面261を本体ハウジング21の結合部位22に向けて(内周側に向けて)押圧している。
なお、プロテクタ90の挟み込み部92は、本体ハウジング21の外周面211と排気カバー83の脚部位86との間の挟み込みにより弾性変形しており、この弾性変形により排気カバー83の本体ハウジング21に対する密着性が確保されている。これに対して、排気カバー83の押圧部位87は、トップキャップ25の外周面251に単純に当接し、このトップキャップ25の外周面251を押圧するようになっている。
【0030】
プロテクタ90は、上記したように、弾性変形可能なエラストマーを成形することにより形成されており、エア打込み工具10の外観意匠性を高めるように外観意匠部91を具備する。このプロテクタ90は、排気カバー83の外観意匠に対応した形状にて形成される。具体的には、排気カバー83の外周面831の面形状に沿って土手部93が形成されている。また、このプロテクタ90のうち、上記した排気カバー83の脚部位86が当接する周囲には、適宜の位置決め凸部94が設けられている。なお、上記したように、本体ハウジング21の外周面211と排気カバー83の脚部位86との間で挟み込まれる、プロテクタ90の挟み込み部92は、これらの挟み込みによって弾性変形される。このようにされた挟み込み部92の弾性復元力により、本体ハウジング21に対しての排気カバー83の密着性能(シール性)を高めることができる。
また、このプロテクタ90は、上記した排気カバー83の突出し孔852を通じて外部に突き出して露出される突出しバンパー部95を具備する。この突出しバンパー部95は、プロテクタ90として成形するにあたって、外観意匠部91、挟み込み部92、土手部93とともに一体成形される。つまり、プロテクタ90は、これら外観意匠部91、挟み込み部92、土手部93、突出しバンパー部95を具備するように、弾性変形可能なエラストマーにて成形される部材となっている。
突出しバンパー部95は、
図9に示すように、排気カバー83の突出し孔852を通じて外部に突き出される。この突出しバンパー部95は、
図1および
図2に示すように、排気カバー83の突出し孔852の孔形状に合わせて形成されている。また、この突出しバンパー部95は、排気カバー83よりも外側に突き出されるように形成されている。すなわち、突出しバンパー部95は、突出しバンパー部95の外周端951の配置位置が、排気カバー83の外周面831の外端位置よりも更に外側に突き出されて突出しバンパー部95は成形されている。
【0031】
次に、本体ハウジング21とトップキャップ25の取付け構造について説明する。
本体ハウジング21は、材料(成形素材)にマグネシウムが選択されて成形されてなる。また、トップキャップ25は、材料(成形素材)にアルミニウムが選択されて成形されてなる。つまり、本体ハウジング21は、トップキャップ25よりも比重が低く弱い強度の材料を成形して形成される。このため、本体ハウジング21は、トップキャップ25よりも剛性が低く形成されるが、本体ハウジング21自体の軽量化を図ることができる。逆に言えば、トップキャップ25は、本体ハウジング21よりも強い強度の材料を成形して形成されるため、本体ハウジング21よりも剛性が高く形成される。
図9に示すように、このように成形された本体ハウジング21の打込み基端側開口部23には、トップキャップ25が取り付けられる。すなわち、本体ハウジング21の打込み基端側開口部23に対するトップキャップ25の取付け部位26は、本体ハウジング21の打込み基端側開口部23の端縁24を、トップキャップ25の取付け部位26の内周面261側に配置させるように設定されている。つまり、本体ハウジング21とトップキャップ25とは、本体ハウジング21の結合部位22とトップキャップ25の取付け部位26とを内外で重ね合わせるようにして、4点を螺子締結(
図1および
図2に示す符号29)することにより一体化される。詳しく言えば、本体ハウジング21の結合部位22の外周径の長さは、トップキャップ25の取付け部位26の内周径の長さよりも短く設定されており、このトップキャップ25の取付け部位26の内周側に入るようにしてある。
【0032】
このため、本体ハウジング21の打込み基端側開口部23の端縁24は、トップキャップ25の取付け部位26の内周面261側に配置されるようになっている。具体的に言えば、本体ハウジング21の打込み基端側開口部23の端縁24を含む結合部位22の外周面221は、トップキャップ25の取付け部位26の内周面261と当接した状態で、これらを結合させている。ここで、上記したように、本体ハウジング21とトップキャップ25とは、成形素材が相違することにより互いの剛性が相違するため、トップキャップ25の取付け部位26の剛性も、本体ハウジング21の打込み基端側開口部23を含む結合部位22の剛性に比して高い剛性を有するものとなっている。
なお、これら本体ハウジング21の結合部位22と、トップキャップ25の取付け部位26との間には、Oリング28が弾性変形されるようにして介装されている。このOリング28は、本体ハウジング21の結合部位22と、トップキャップ25の取付け部位26との、互いの密着状態を高めるように作用する。
トップキャップ25の取付け部位26の外周面262には、排気カバー83の押圧部位87が当接している。すなわち、上記した排気カバー83は、本体ハウジング21に支持され且つトップキャップ25の取付け部位26の外周面262に当接するように延在された押圧部位87を有する。この押圧部位87の当接により、トップキャップ25の取付け部位26の外周側の拡がりは抑えられている。つまり、排気カバー83の押圧部位87は、トップキャップ25の取付け部位26を、本体ハウジング21の結合部位22に向けて(内周側に向けて)支持する。また、本体ハウジング21の結合部位22の変形も、トップキャップ25の取付け部位26を介して排気カバー83の押圧部位87による押えにて抑えることができる。
【0033】
上記したエア打込み工具10によれば、次の作用効果を奏することができる。
すなわち、上記したエア打込み工具10によれば、本体ハウジング21の打込み基端側開口部23に対するトップキャップ25の取付け部位26は、本体ハウジング21の打込み基端側開口部23の端縁を、トップキャップ25の取付け部位26の内周面261側に配置させるように設定されている。このため、本体ハウジング21の打込み基端側開口部23の端縁24が圧縮エアのエア圧による負荷によって変形しそうになっても、この打込み基端側開口部23の端縁24をトップキャップ25の取付け部位26の内周面261部分に当接させて、このトップキャップ25の剛性を利用して打込み基端側開口部23の端縁24を支持することができる。ここでトップキャップ25の取付け部位26の剛性は、本体ハウジング21の打込み基端側開口部23の剛性に比して高い剛性を有しているので、打込み基端側開口部23の端縁24を当接させて支持するにあたり、より確実に支持することができて打込み基端側開口部23の端縁24の変形を防止することができる。また、このトップキャップ25自体の剛性も高いので、このトップキャップ25の取付け部位26の変形も防止することができる。加えて、これらトップキャップ25と本体ハウジング21とは、相対的に体積が小さいトップキャップ25の方の剛性を高めているので、これらトップキャップ25と本体ハウジング21との合計重量については体積が小さい方の剛性を小さくするように形成することができ、このような剛性差による重量差を配分できて全体としての重量の軽量化を図ることができる。したがって、ハウジング構造20の軽量化を図ることができつつ、本体ハウジング21とトップキャップ25との結合区間の剛性を高めて両者の変形を防止することができる。
【0034】
また、上記したエア打込み工具10によれば、トップキャップ25の取付け部位26の剛性は、トップキャップ25の材料(成形素材)に本体ハウジング21の材料(成形素材)よりも高い強度を有する材料を選択することにより、本体ハウジング21の打込み基端側開口部23の剛性に比して高い剛性を有するものとなっている。これによって、本体ハウジング21の形状を複雑化せずに本体ハウジング21の軽量化を図ることができ、本体ハウジング21の製造を有利に行うことができる。つまり、上記したエア打込み工具10によれば、打込み基端側開口部23の端縁24の変形を防止することができ、トップキャップ25の取付け部位26の変形も防止することができ、ハウジング構造20の軽量化を図ることができ、さらに本体ハウジング21の製造を有利に行うことができる。
また、上記したエア打込み工具10によれば、本体ハウジング21の材料には、マグネシウムが選択されているので、本体ハウジング21を軽量かつ簡単に成形することができる。また、トップキャップ25の材料には、アルミニウムが選択されているので、トップキャップ25を軽量かつ簡単に成形することができる。ここで、アルミニウムは、マグネシウムよりも強度が高い材料(成形素材)であるので、トップキャップ25の剛性強度を本体ハウジング21よりも高い剛性強度とすることができつつ、トップキャップ25と本体ハウジング21との全体での軽量化を図りつつ成形の簡単化も図ることができる。したがって、上記したエア打込み工具10によれば、トップキャップ25の剛性強度を本体ハウジング21よりも高い剛性強度とすることができつつ、ハウジング構造20を軽量かつ簡単に成形することができ、さらに広く利用される材料により製造コストも抑えることができる。
また、上記したエア打込み工具10によれば、本体ハウジング21の外周面211には、本体ハウジング21に支持され且つトップキャップ25の取付け部位26の外周面262に当接する押圧部位87を有するように延在される排気カバー83が設けられている。このため、たとえトップキャップ25の取付け部位26が圧縮エアのエア圧による負荷によって変形しそうになったとしても、この排気カバー83の剛性を利用してトップキャップ25の取付け部位26を支持することができる。これによって、トップキャップ25の取付け部位26の変形を、より強固に防止することができ、さらに打込み基端側開口部23の端縁24の変形も、より強固に防止することができる。
【0035】
なお、本発明に係るエア打込み工具にあっては、上記した実施の形態に限定されるものではなく、次のように適宜個所を変更して構成するようにしてもよい。
例えば、上記した実施の形態にあっては、本発明に係るエア打込み工具としてエア釘打を例示して説明するものであった。しかしながら、本発明に係るエア打込み工具としては、これに限定されることなく、駆動源として圧縮エアを利用して、打込み具として仕上釘やタッカ等を打ち込むエア打込み工具として構成されるものであってもよい。
また、上記した実施の形態にあっては、トップキャップ25の成形素材に本体ハウジング21の成形素材よりも高い強度を有する成形素材を選択することにより、トップキャップ25の取付け部位26の剛性を本体ハウジング21の打込み基端側開口部23の剛性に比して高い剛性を有するようにした。しかしながら、本発明に係るトップキャップの取付け部位の剛性を本体ハウジングの打込み基端側開口部の剛性に比して高い剛性とするには、これに限定されることなく、適宜のリブ形状が設けられるようにされるものであってもよい。
また、上記した実施の形態におけるエア打込み工具10の駆動源として利用する圧縮エアのエア圧としては、常圧(約8kg/cm
2)程度で利用されるものから、高圧(約23kg/cm
2)程度で利用されるものの、いずれであってもよい。