特許第5730761号(P5730761)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5730761
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】円錐形状衝撃式ミル
(51)【国際特許分類】
   B02C 13/18 20060101AFI20150521BHJP
   B02C 17/10 20060101ALI20150521BHJP
   B02C 13/28 20060101ALI20150521BHJP
   B02C 13/282 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
   B02C13/18 A
   B02C17/10
   B02C13/28 Z
   B02C13/282
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-516654(P2011-516654)
(86)(22)【出願日】2009年6月25日
(65)【公表番号】特表2011-526204(P2011-526204A)
(43)【公表日】2011年10月6日
(86)【国際出願番号】US2009048631
(87)【国際公開番号】WO2009158482
(87)【国際公開日】20091230
【審査請求日】2012年4月16日
(31)【優先権主張番号】12/146,138
(32)【優先日】2008年6月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510340399
【氏名又は名称】リーハイ テクノロジーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ワズニス, ピーター ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー, ヨセフ
(72)【発明者】
【氏名】チアロン, アンソニー エム.
【審査官】 日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許第00787528(EP,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0134257(US,A1)
【文献】 国際公開第2009/158482(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 1/00 − 7/18
B02C 9/00 − 11/08
B02C 13/00 − 13/31
B02C 18/00 − 18/44
B02C 15/00 − 17/24
B02C 19/00 − 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部を備えている衝撃式ミルであって、軸受筐体内に回転可能に装着されているロータが該ベース部上に配置され、該ロータは、回転軸と同軸の上向きに整合している円錐表面部を有し、該衝撃式ミルには、ミルケーシングが提供され、円錐グラインディングトラックアセンブリは、該ミルケーシング内に位置し、該ロータを包囲することにより、円錐グラインディング経路を形成し、該ミルケーシングは、下向きに整合している円筒形カラーを有し、該円筒形カラーは、軸方向に調節され得ることにより、該ミルケーシングの内側筐体表面上に配置されている複数の衝撃ナイフと相補的な複数の衝撃ナイフが提供されている該ロータの間にグラインディングギャップを設定し、該円錐トラックアセンブリには、鋸歯状の衝撃表面が提供され、該衝撃表面の鋸歯状部は、ロータ軸の平面上の線として投影し、該ロータ軸に対する勾配を形成する、衝撃式ミル。
【請求項2】
前記勾配は、前記ロータの回転の方向において正であり、原料は、前記鋸歯状部が前記ロータ軸と同軸状に突出する場合よりも低い程度に粉砕される、請求項1に記載の衝撃式ミル。
【請求項3】
前記勾配は、前記ロータの回転の方向において負であり、原料は、前記鋸歯状部が前記ロータ軸と同軸状に突出する場合よりも高い程度に粉砕される、請求項1に記載の衝撃式ミル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2008年6月25日出願の米国特許出願第12/146,138号に対する優先権を主張し、上記出願は、本明細書においてその全体内容が援用される。
【0002】
(連邦支援の研究)
該当なし。
【0003】
(マイクロフィッシュアペンディックスへの参照)
該当なし。
【0004】
(発明の背景)
本発明は、固体の粉砕のためのデバイスに向けられる。より具体的には、本発明は、円錐形状衝撃式ミルに関する。
【背景技術】
【0005】
粒子状固体の粉砕を提供するためのデバイスは、当該技術分野において周知である。当該技術分野において知られる多くの異なる製粉デバイスのうち、グラインディングミル、ボールミル、ロッドミル、衝撃式ミル、およびジェットミルが、最もよく利用される。これらのうち、ジェットミルだけが、粒子分解を達成する、粒子状固体と別の表面との相互作用に依存しない。
【0006】
ジェットミルは、流体圧および加速ベンチュリノズルを使用して高速に加速される作動流体の利用により、粉砕を達成する。粒子は、偏向表面等の標的、またはチャンバ内の他の移動粒子と衝突し、サイズ低減がもたらされる。ジェットミル処理された粒子の動作速度は、一般に、毎秒150メートルから300メートルの範囲にある。ジェットミルは、効果的であるが、粉砕の程度を制御することができない。これにより、しばしば、小さすぎる粒子が過剰な割合で生成されることになる。
【0007】
一方で、衝撃式ミルは遠心力に依存し、粒子粉砕は、円形に加速された粒子(これは周縁空間に制限される)と、固定された外側円周方向壁との間の衝撃により達成される。この場合も、ジェットミルと比較して、粒径分布の制御は改善され、操作可能であるが、衝撃式ミルの粉砕生成物の粒径範囲は、デバイスの寸法および他の操作パラメータにより固定される。
【0008】
衝撃式ミル設計における大きな進歩は、特許文献1に開示されている種類の設計により提供される。その衝撃式ミルは、回転軸と同軸の上向きに整合した円筒形壁部分を有する軸受筐体内に装着されるロータと、ロータを包囲して円錐グラインディング経路を規定するミルケーシングとを含む。この設計のミルは、下向きに整合した円筒形カラーを含み、このようなカラーは、ロータとグラインディング経路との間のグラインディングギャップを設定するように、円筒形壁部分において軸方向に移動されてもよく、かつ、軸方向に調節されてもよい。
【0009】
そのような設計の一例は、特許文献2に記載されている。その特許の発明は、ベース部からミルケーシングを単純な様式で取り外すことができる能力にある。
【0010】
グラインディングギャップが調節されてもよいように下向きに整合した円筒形カラーが軸方向に移動され得るようにした、円錐形状を有する衝撃式ミルは、当該技術分野における大きな進歩を表しているが、これらの設計は、これまで対処されていなかったさらなる設計改善により改善することができる。
【0011】
衝撃式ミルは、ゴム等の弾性粒子の粉砕に利用される場合、別様の弾性粒子の実現可能な効果的粉砕を行うために、通常、低温流体を利用して低温で操作される。一般に、液体窒素等の低温流体は、そのような弾性固体粒子を脆化させるために利用される。凍結粒子が到達する低温は、ミルの周辺環境温度よりもはるかに低いことを鑑みると、この温度勾配は、粒子の急速な温度上昇をもたらす。結果として、衝撃式ミルまたは他の任意のミルにおける最大の粉砕は、粒子凍結の直後に開始するはずであることが明らかである。しかしながら、上記の円錐形状設計を含む衝撃式ミルでは、粉砕が開始する前に、まず粒子が周囲に向かって外側に移動する必要がある。その期間中、粒子の温度が上昇し、粉砕効率を低下させる。
【0012】
一般に粉砕ミルに関連した、特に上記の種類の円錐形ミルに関連した別の問題は、種々の材料の特定の粒径要件に合わせて調節するために、衝撃式ミルの物理的構成を変更することができないことである。
【0013】
初期サイズが固定された弾性固体の粒径を変化させるために、一般に3つの策が利用される。
【0014】
生成物の粒径を変化させる第2の策は、ロータの周速度を変更することである。これは通常、衝撃ミル設計の物理的制限を考慮すると、困難または非実用的である。
【0015】
粒径を変更する第3の策は、衝撃要素間のグラインディングギャップを変化させることである。一般に、このステップは、ロータ構成の修正を必要とする。
【0016】
所望の生成物の粒径の変化を達成するためのロータ構成の変更と関連した付随する問題は、衝撃式ミルの磨耗または破損した部分の交換の容易さである。任意の機械的デバイスの部品交換の場合のように、問題は、交換される部品のサイズおよび複雑性に比例して増大する。
【0017】
衝撃式ミルと関連したさらに別の問題は、ロータの回転を達成するための動力伝達にある。現行の設計は、しばしば許容できない騒音レベルを伴う複数のベルトまたは歯車による動力伝達手段を利用している。この問題の必然的帰結として、過度の騒音を和らげるために動力伝達速度が低減されると、ロータ速度が低減されて粉砕結果が許容できないものとなる。したがって、衝撃式ミルの改善された動作には、許容できない大きな騒音が付随しない、改善された動力伝達の方法が不可欠であることが明らかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】独国特許出願公開第2353907号明細書
【特許文献2】欧州特許第0787528号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
(発明の簡単な概要)
そこで、従来技術の円錐形状の衝撃式ギャップ調節可能粉砕ミルに関連した問題に対処する、新たな衝撃式ミルが開発された。
【0020】
本発明の衝撃式ミルは、これまで得られていた温度よりも低い低温でミル内の固体粒子の粉砕を開始するための手段を提供する。すなわち、本発明の衝撃式ミルにおける粉砕は、粒子がロータと固定ミルケーシングとの間に形成されるグラインディング経路に到達する前であっても、最低粒子温度を利用して、衝撃式ミルへの固体粒子の導入の時点で開始される。したがって、粉砕効率が最大化される。
【0021】
本発明によれば、軸受筐体内に回転可能に装着されるロータが配置されるベース部を含む衝撃式ミルが提供される。円錐形状ロータは、回転軸と同軸の上向きに整合した円錐表面部を有する。円錐表面上には複数の衝撃ナイフが装着される。衝撃式ミルには、外側ミルケーシングが提供され、ロータを包囲する円錐トラックアセンブリが外側ミルケーシング内に位置する。ミルケーシングは、ロータとグラインディングトラックアセンブリとの間のグラインディングギャップを設定するために軸方向に調節されてもよい、下向きに整合した円筒形カラーを含む。ロータの頂面には、ミルケーシングの内側頂面上に配置される複数の固定衝撃ナイフと相補的な複数の衝撃ナイフが提供される。
【0022】
本発明の衝撃式ミルはまた、選択された固体の異なるサイズおよびグレードの粉砕の調節機能の問題に対処している。この問題は、可変の衝撃ナイフ構成が提供される分割された内部円錐グラインディングトラックセクションを提供することにより対処されている。この解決策はまた、維持および交換の問題に対処している。
【0023】
本発明のこの実施形態によれば、衝撃式ミルであって、このミル内において、軸受筐体内に回転可能に装着されるロータの下にベース部が配置される、衝撃式ミルが提供される。円錐形状ロータは、回転軸と同軸の上向きに整合した円錐表面部を有する。円錐表面上には複数の衝撃ナイフが装着される。衝撃式ミルには、ロータを包囲する円錐グラインディングトラックアセンブリを支持する外側ミルケーシングが提供される。ミルケーシングは、下向きに整合した円筒形カラーを有し、このカラーは、ロータとグラインディングトラックアセンブリとの間のグラインディングギャップを設定するために軸方向に調節されてもよく、グラインディングトラックアセンブリ内において、ミルケーシングは、別個の円錐セクションで形成される。
【0024】
さらに本発明によれば、内部グラインディングトラックアセンブリは、別個の円錐セクションで構成されてもよい。この実施形態により、一連のインタロック接合錐台コーンによる、代替の歯の構成の選択が可能になる。各コーンアセンブリ構成は、特定の原料特性または所望の粉砕最終生成物に適合するように選択される。この実施形態の人間工学的な特徴により、グラインディングトラックアセンブリ全体の交換を必要とせずに、磨耗または破損した錐台円錐コーンの交換が可能となる。グラインディングトラックアセンブリの各セクションは、回転ナイフの任意の周速度での衝撃の数を増加または減少させることができ、したがって動作パラメータのマトリックスを提供する。
【0025】
別の実施形態において、円錐グラインディングトラックアセンブリの形状および角度を変化させることにより、粒子の方向が変更され、追加的な粒子間衝突が提供される。具体的には、回転軸に対して負の勾配の鋸歯状部を有するグラインディングトラックアセンブリは、粉砕を減少させる一方、正の勾配は粉砕を増加させる。
【0026】
本発明の衝撃式ミルはまた、騒音公害を伴わない効果的な動力伝達の問題に対処している。
【0027】
本発明のさらなる実施形態によれば、衝撃式ミルには、軸受アセンブリ内に回転可能に装着されるロータが配置されるベース部が提供される。円錐形状ロータは、回転軸と同軸の上向きに整合した円錐表面部を有する。円錐表面上には複数の衝撃ナイフが装着される。衝撃式ミルには、ロータを包囲する円錐グラインディングトラックアセンブリを支持する外側ミルケーシングが提供される。ミルケーシングは、下向きに整合した円筒形カラーを有し、円筒形カラーは、ロータとグラインディングトラックアセンブリとの間のグラインディングギャップを設定するために軸方向に調節されてもよい。高速運転時のベルトの滑りおよび過度の騒音を軽減するために、衝撃式ミルのロータシャフトには、スプロケット駆動滑車が提供され、ロータは、スプロケット駆動滑車上に収容された、動力源と連動した、同期スプロケットベルトにより回転される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明は、添付の図面を参照することによって、より理解され得る。
図1図1は、本発明の衝撃式ミルの軸方向断面図である。
図2図2は、衝撃式ミルの一部の軸方向断面図であり、ミル内への原料導入を示す。
図3図3は、衝撃式ミルの上部筐体セクションの頂部上およびロータの頂部上に配置される衝撃ナイフの平面図である。
図4a図4a、図4bおよび図4cは、図3に示される代替構成の回転式および固定の衝撃ナイフの配列の平面図である。
図4b図4a、図4bおよび図4cは、図3に示される代替構成の回転式および固定の衝撃ナイフの配列の平面図である。
図4c図4a、図4bおよび図4cは、図3に示される代替構成の回転式および固定の衝撃ナイフの配列の平面図である。
図5a図5a、図5bおよび図5cは、図4aおよび図4bのA−A面に沿った断面図であり、3つの衝撃ナイフ設計を示す。
図5b図5a、図5bおよび図5cは、図4aおよび図4bのA−A面に沿った断面図であり、3つの衝撃ナイフ設計を示す。
図5c図5a、図5bおよび図5cは、図4aおよび図4bのA−A面に沿った断面図であり、3つの衝撃ナイフ設計を示す。
図6図6は、衝撃式ミルの外側同心円グラインディングトラックのロータの一実施形態の断面図である。
図7図7は、典型的な相互接続されたグラインディングトラックの整合を示す断面図である。
図8図8は、衝撃式ミルのロータを回転させるための伝達手段の概略図表現である。
図9図9は、衝撃式ミルへの動力伝達に利用される、同期ベルトおよび該ベルトと連動したスプロケット駆動滑車の等角投影図である。
図10A図10Aは、多数の垂直鋸歯状部のうちの3つを図示した、内部グラインディングトラックの等角投影による円錐の断面図である。
図10B図10Bは、図10Aに図示された実施形態の、底部から上向きに見た円錐グラインディングトラックアセンブリの平面図である。
図10C図10Cは、勾配付きの多数の垂直鋸歯状部のうちの3つを図示した、内部グラインディングトラックの等角投影による円錐セクションである。
図10D図10Dは、図10Cに図示された別の実施形態の、底部から上向きに見た円錐グラインディングトラックアセンブリの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(発明の実施形態の詳細な説明)
衝撃式ミル100は、下位ベース部セクション1a、中央筐体セクション1bおよび頂部筐体セクション1cの、3つの筐体セクションを含む。下位ベース部セクション1aは、ロータ3が回転可能に装着される軸受筐体2を保持する。中央筐体セクション1bは、下位筐体セクション1a内に同心円状に入れ子状となり(7)、上位筐体セクション1cに対し、同心円状の垂直整合を提供する。2つの筐体セクションの取り外し可能な接続のために、複数のボルト8が提供される。頂部筐体セクション1cは、円錐グラインディングトラックアセンブリ5に同心円状の先細りした入れ子を提供する。円錐グラインディングトラックアセンブリ5は、その下端部6で頂部筐体セクション1cにしっかりと接続される。ロータ3は、ロータシャフトの下端部に提供されたベルト32および滑車4を用いて、モータ34により駆動される
頂部セクション1cは、円錐グラインディングトラックアセンブリ5を含む。グラインディングトラックアセンブリ5は、切頭コーンの形状を有する。グラインディングトラックアセンブリ5は、ロータ3に締結されたグラインディングナイフ3aとグラインディングトラックアセンブリ5との間にグラインディングギャップSが形成されるように、ロータ3を包囲する。頂部セクション1cはまた、中央筐体セクション1b内で軸方向に移動されてもよい、下向きに整合した円筒形カラー11を含む。円筒形カラー11は、頂部セクション1cの一体部品を形成する。円筒形カラー11の上端部には、外向きに整合したフランジ12が提供される。複数のスペーサブロック14が、フランジ12と、中央セクション1bの上端部に配置されるさらなるフランジ13との間に配置される。これにより、スペーサブロック14は、フランジ12とフランジ13との間の軸方向の設置を決める。
【0030】
したがって、スペーサブロック14は、グラインディングギャップSの幅を規定する。したがって、この幅は調節可能である。所望のグラインディングギャップSが設定されたら、頂部セクション1cは、複数のボルト15を用いて、中央セクション1bにしっかりと締結される。上部セクション1cおよびグラインディングトラックアセンブリ5は、ロータ軸Aと同軸に配置される。
【0031】
低温凍結原料18は、原料18を上部セクション1cとロータ3との間の迷走水平空間40に導く、上部筐体セクション1cの頂部16により規定される経路によって、入口20を通して衝撃式ミル100内に進入する。原料18は、上部筐体セクション1cの頂部16の内部筐体表面と、ロータ3の頂部17とにより規定される経路を通して、遠心力を用いて、ギャップSにより規定される周縁空間に移動する。原料18は、水平空間40に進入する時にはその最低温度にある。したがって、ロータ3の頂部17に接続された衝撃ナイフ19、および上部筐体セクション1cの頂部16の内部筐体表面上に配置される固定衝撃ナイフ21は、原料18の即時の粉砕を提供するが、従来技術の実施形態においては、原料は、複数の衝撃ナイフ19および21の欠如で、より遅い初期粉砕に供されていた。
【0032】
図面によって示される好ましい実施形態において、衝撃ナイフ19および21は、ロータ3の頂部17上、および頂部筐体セクション1cの頂部16の内側筐体表面上に、軸方向ロータAから周縁端へ半径方向外向きに配置される。3個から7個のナイフ半径が提供されるのが好ましい。特に好ましい一実施形態において、衝撃ナイフ21は、頂部筐体セクション1cの頂部16の内側筐体表面上に半径方向に位置付けられ、衝撃ナイフ19は、ロータ3の頂部17上に互いに72°離れた5つの等角半径で位置付けられる。しかしながら、60°間隔の6個のナイフ半径または51.43°間隔の7個のナイフ半径等、より多数の衝撃ナイフもまた利用することができる。さらに、120°間隔の3個のナイフ半径等、より少数の衝撃ナイフもまた同様に利用することができる。
【0033】
好ましい実施形態において、それぞれ、上部筐体セクション1cの頂部16の内側筐体表面上、およびロータ3の頂部17上に配置される、衝撃ナイフ21および19は、同一である。それらの形状は、当該技術分野において知られた任意の好都合な形態であってもよい。例えば、T字形21bもしくは19b、湾曲T字形21aもしくは19a、または矩形エッジ21cもしくは19cを利用することができる。衝撃ナイフ21および19はまた、衝撃効率を最大化するために、先細りした先端を有してもよい。先細りは、任意の鋭角23であってもよい。例えば、30°の角度が図面に示されている。衝撃ナイフ19は、ロータ3の頂部17に締結され、衝撃ナイフ21は、上部筐体セクション1cの頂部16の内部筐体表面に締結される。
【0034】
凍結原料18は、上部筐体セクション1cの頂部16の内部筐体表面の中央に提供される固定漏斗24によって、ミル100内に充填される。原料18は、速やかにロータ3の頂部17に接触し、半径方向および接線方向に加速される。この半径方向および接線方向の運動において、原料18は、複数の固定式および回転式の衝撃ナイフ21および19に接触する。回転ナイフにより達成されるこの衝撃は、それが、固定ナイフに向かう半径方向および接線方向の固体粒子の乱流が生じるように流れのパターンを擾乱した際に、半径方向に加速された原料18の一部を粉々にする。参照番号40により示される上述の空間における衝撃後、原料18は、ロータ3の外輪上に装着された一連の回転ナイフ3aに向かうその半径方向および接線方向の乱れた運動を継続する。これらの衝撃は、ギャップSにより容積が制御される円錐グラインディング経路10内において、原料18がその最終的な粒径の低減を受ける時に、接線方向の放出速度を増加させる。
【0035】
円錐形状衝撃式ミル100は、好ましい実施形態において、別個の円錐セクションで形成される円錐グラインディングトラックアセンブリを利用する。この設計上の進歩により、一連の嵌合インタロック接合錐台コーンが、ミル100内でのグラインディングトラックパターンを変更することができる。この実施形態において、各円錐グラインディングトラックアセンブリセクション5は、特定の原料または所望の最終生成物に適合するように選択される。アセンブリ5の各セクションには、原料18が供される衝撃の数を増加または減少させる能力を提供する、代替の衝撃構成が提供される。すなわち、アセンブリ5の各セクションの内側表面上における衝撃ナイフまたは鋸歯状部の数は、異なる数の鋸歯状部の数を有する。明らかに、鋸歯状部または衝撃表面が多いほど、粉砕効果は大きい。さらに、円錐アセンブリセクション5の衝撃表面の形状および角度の調節もまた、原料粒子の方向の変更を可能にする。
【0036】
ミル100のこの好ましい実施形態の別の利点は、経済的であるという点である。円錐アセンブリ全体を交換する必要のない磨耗または破損した円錐セクションの交換により、維持費が削減される。
【0037】
円錐グラインディングトラックアセンブリセクション5の相互接続は、当該技術分野において知られた任意の接続手段により提供されてもよい。1つのそのような好ましい設計は、図7に示されるようなキーインタロックを利用する。この図において、セクション26および27の相補的形状により、インタロック接合アセンブリがもたらされる。具体的には、セクション26および27は、インタロック嵌合錐台コーンである。
【0038】
この好ましい実施形態において、衝撃式ミル100は、複数のセクションに分割される。図面は、典型的な設計である、グラインディングトラックアセンブリがその下端部6で所定の位置に固定された、複数の3セクション:頂部セクション26、中央セクション27および底部セクション28を示している。この構成は、スペーサブロック14を追加または削除することによるグラインディングギャップの外部調節を可能にする。
【0039】
本発明の代替の実施形態において、円錐グラインディングアセンブリの設計は、それが単一ユニットであるか一連の嵌合インタロック接合サブアセンブリであるかに関わらず、円錐グラインディングトラックアセンブリ5の内部表面上に配置される固定衝撃表面の衝撃表面(例えば鋸歯状部)を変更することにより変化する。
【0040】
筐体セクション1cの頂部16上に配置される固定衝撃ナイフ21とは異なり、円錐グラインディングトラックアセンブリ5の衝撃表面は、好ましくは鋸歯状エッジ41である。これらの鋸歯状エッジ41は、通常、それらがロータ軸Aと同軸であるように整合している。すなわち、ロータ軸の平面上への各鋸歯状エッジの投影は、ロータ軸と一致した直線である。
【0041】
粉砕を増加または減少させる手段は、原料18がグラインディング経路10を横断する期間をそれぞれ増加または減少させることである。明らかに、グラインディング経路10が長くなるほど、ロータ3上の衝撃ナイフとアセンブリ5の鋸歯状エッジ41との間の経路を横断する時間が長くなり、また粉砕の程度も大きくなる。経路10を増加または減少させる手段は、鋸歯状エッジ41がロータ軸Aと整合しなくなるようにその配置を変更することによるものである。ロータ軸Aに交差する平面上に投影された直線の勾配が大きいほど、鋸歯状エッジがロータ軸と一致している経路との時間差は大きい。すなわち、回転の方向において、正の勾配における差が大きいほど、経路10を横断する時間が長く、ひいては、粉砕の程度が大きくなり、かつ、逆もまた成り立つ。同一の勾配について回転方向を逆にすると、反対方向において増加したのと同じ程度分だけ経路10の有効長が減少し、しかるに同じ程度分だけ粉砕が減少される。
【0042】
これは、図10A図10Dにより示されている。図10Aおよび図10Bは、多数の垂直鋸歯状部のうちの3つのみを図示した、内部トラックアセンブリ5の等角投影断面図を示す。図10Aに示されるように、鋸歯状部は、より小さい頂部直径とより大きい底部直径との間で、ゼロ位相角である。図10Bは、底部から上向きに見た平面におけるこの実施形態を示す。
【0043】
図10Cは、垂直からの角度Zの勾配付きの鋸歯状部が図10Aの実施形態の0°角に置き換わった、別の実施形態を示す。図10Dは、図10Bと同じ図であるが、ただし、鋸歯状部が勾配付きの構成となっている。
【0044】
このことは、図10A図10Dによって示されている。図10Aおよび図10Bは、正面図および上面図において、グラインディングトラックアセンブリ5の内側表面上の鋸歯状エッジ41の従来型配置を図示している。図10Bは、ロータ軸Aおよび各鋸歯状部41が一致する垂直線を投影することを示している。この図に示されるように、これらの線の間の角度は0°である。図10Cおよび図10Dは、図10Aおよび図10Bと同一であるが、鋸歯状エッジ41がロータ軸Aから角度Z傾いて配置されていることを示している。
【0045】
本発明の別の実施形態において、衝撃式ミル100は、これまで得られていた騒音レベルよりも低い騒音レベルで直接的な動力伝達を提供する動力伝達手段を含む。本発明のミル100への動力伝達手段の典型的な設計において、それに関連する騒音は、最大約20dbA低減される。動力伝達に悪影響を与えずにこの低減されたノイズレベルを提供するために、ロータ3上のスプロケット駆動滑車4上に収容された同期スプロケットベルト32が、ロータ3の回転を実現する。ベルト32は、滑車4と同一の滑車30で終端するシャフト35を回転させる、エンジン34等の動力源と連動する。好ましい実施形態において、ベルト32には、滑車4および30上のらせん状歯31と係合する複数のらせん状溝33が提供されている。山形設計により、らせん状歯31は、歯全体を一度に叩打するのではなく、徐々にスプロケットに係合することができる。さらに、この設計により、駆動ベルトのセルフトラッキングがもたらされ、これによって、フランジ付の滑車は必要ない。
【0046】
動作中、エンジン34であってもよい動力源は、それに接続されたシャフト35を回転させる。シャフト35には、滑車4と同一の滑車30が取り付けられる。ベルト32は、滑車4と滑車30との間を連結し、ロータ3の回転を実現する。ベルト32と滑車4および30との間の実質的にすべての接触は、滑車の歯31とベルト32の溝33との係合により生じ、これによって騒音発生が大幅に低減される。
【0047】
上記の実施形態は、本発明の範囲および趣旨を例示するために提示されている。これらの実施形態により、当業者には、他の実施形態が明らかとなる。これらの他の実施形態は、本発明の意図の範囲内にある。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D