【実施例】
【0024】
[実施例1]赤小豆、緑豆、黒豆及び海洋深層水の塩漬け発酵抽出物の製造
洗浄した赤小豆、緑豆及び黒豆の各1kgと海洋深層水1Lとを10重量%濃度の塩溶液に混合した後、陶器に入れて準備し、4℃で約30日間光を遮断させた暗室で低温熟成保管した。その後、これに80%エタノール水溶液5Lを入れ、3回還流抽出した後、15℃で1日間沈積させた。その後、濾過布を用いた濾過と遠心分離により残渣と濾液を分離し、分離した濾液を減圧濃縮して得た抽出物を水に懸濁した後、エーテル1Lで5回抽出して色素を除去し、水層を1−ブタノール500mLで3回抽出した。これにより得られた全体1−ブタノール層を減圧濃縮して1−ブタノール抽出物を得、これを少量のメタノールに溶解した後、大量のエチルアセテートに追加し、生成された沈殿物を乾燥することによって、赤小豆、緑豆、黒豆及び海洋深層水の塩漬け発酵抽出物190gを収得した。
【0025】
[実施例2]赤小豆及び海洋深層水の塩漬け発酵抽出物の製造
乾燥した赤小豆1kgと海洋深層水1Lとを上記実施例1と同一の方法で処理して、赤小豆及び海洋深層水の塩漬け発酵抽出物182gを製造した。
【0026】
[実施例3]緑豆及び海洋深層水の塩漬け発酵抽出物の製造
乾燥した緑豆1kgと海洋深層水1Lとを上記実施例1と同一の方法で処理して、緑豆及び海洋深層水の塩漬け発酵抽出物172gを製造した。
【0027】
[実施例4]黒豆及び海洋深層水の塩漬け発酵抽出物の製造
乾燥した黒豆1kgと海洋深層水1Lとを上記実施例1と同一の方法で処理して、黒豆及び海洋深層水の塩漬け発酵抽出物178gを製造した。
【0028】
[
参考例5]赤小豆の塩漬け発酵抽出物の製造
海洋深層水を添加しないことを除いて、乾燥した赤小豆1kgを上記実施例1と同一の方法で処理して、赤小豆の塩漬け発酵抽出物210gを製造した。
【0029】
[
参考例6]緑豆の塩漬け発酵抽出物の製造
海洋深層水を添加しないことを除いて、乾燥した緑豆1kgを上記実施例1と同一の方法で処理して、緑豆の塩漬け発酵抽出物193gを製造した。
【0030】
[
参考例7]黒豆の塩漬け発酵抽出物の製造
海洋深層水を添加しないことを除いて、乾燥した黒豆1kgを上記実施例1と同一の方法で処理して、黒豆の塩漬け発酵抽出物198gを製造した。
【0031】
[比較例1]赤小豆、緑豆、黒豆及び海洋深層水の発酵抽出物の製造
洗浄した赤小豆、緑豆、黒豆の各1kgと海洋深層水1Lとを混合した後、陶器に入れて準備し、4℃で約30日間光を遮断させた暗室で低温熟成保管した。その後、これに80%エタノール水溶液5Lを入れ、3回還流抽出した後、15℃で1日間沈積させた。その後、濾過布を用いた濾過と遠心分離により残渣と濾液を分離し、分離した濾液を減圧濃縮して得た抽出物を水に懸濁した後、エーテル1Lで5回抽出して色素を除去し、水層を1−ブタノール500mLで3回抽出した。これにより得られた全体1−ブタノール層を減圧濃縮して1−ブタノール抽出物を得、これを少量のメタノールに溶解した後、大量のエチルアセテートに追加し、生成された沈殿物を乾燥することによって、赤小豆、緑豆、黒豆及び海洋深層水の発酵抽出物185gを収得した。
【0032】
[比較例2]赤小豆、緑豆、黒豆及び海洋深層水の抽出物の製造
洗浄した赤小豆、緑豆、黒豆の各1kgと海洋深層水1Lとを混合した後、これに80%エタノール水溶液5Lを入れ、3回還流抽出した後、15℃で1日間沈積させた。その後、濾過布を用いた濾過と遠心分離により残渣と濾液を分離し、分離した濾液を減圧濃縮して得た抽出物を水に懸濁した後、エーテル1Lで5回抽出して色素を除去し、水層を1−ブタノール500mLで3回抽出した。これにより得られた全体1−ブタノール層を減圧濃縮して1−ブタノール抽出物を得、これを少量のメタノールに溶解した後、大量のエチルアセテートに追加し、生成された沈殿物を乾燥することによって、赤小豆、緑豆、黒豆及び海洋深層水の抽出物170gを収得した。
【0033】
[試験例1]抗酸化効果試験(DPPHテスト)
上記比較例1〜2の天然物抽出物
並びに実施例1〜4及び参考例5〜7から得た天然物の塩漬け発酵抽出物のDPPH酸化抑制効能を、広く使用されている合成抗酸化剤であるトロロクス(Trolox)と比較して測定した。
【0034】
有機ラジカルであるDPPH(1
,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル;1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl)の還元によって(抗酸化剤は酸化される)発生する吸光度の変化を通じて、抗酸化能を評価する方法を使用した。上記で収得した抽出物である比較例1〜2
、実施例1〜4及び参考例5〜7に対するDPPHの酸化が抑制され、吸光度が対照群に比べて減少する程度を測定し、対照群の吸光度に比べて50%以下の吸光度を示す濃度を有効抗酸化濃度として評価した。
【0035】
100μMのDPPH溶液(inエタノール)190μLに、上記の比較例
、実施例及び参考例で収得した抽出物と対照試料を各々10μLずつ添加して反応液を製造し、37℃で30分間反応させた後、540nmの吸光度を測定した。対照試料としては、広く使用されている合成抗酸化剤であるトロロクス(Trolox)を使用した。各物質のDPPH分析結果は、下記表1に示し、IC
50は、添加した試料によって吸光度が50%減少した時の試料濃度を意味する。
【0036】
【表1】
【0037】
上記表1から明らかなように、本発明による赤小豆、緑豆または黒豆の塩漬け発酵抽出物である実施例1〜
4及び参考例5〜7は、発酵抽出物である比較例1及び単純抽出物である比較例2より抗酸化能に優れていることが分かる。
【0038】
また、赤小豆、緑豆または黒豆に海洋深層水と塩を添加した塩漬け発酵抽出物である実施例2〜4は、海洋深層水を添加しない赤小豆、緑豆または黒豆の単純塩漬け発酵抽出物である
参考例5〜7と比べて、さらに優れた抗酸化能を示すことが分かる。
【0039】
また、実施例2〜4の場合、合成抗酸化剤であるトロロクスと同様の水準の抗酸化能を示すが、赤小豆、緑豆、黒豆及び海洋深層水の塩漬け発酵抽出物である実施例1の場合は、トロロクスよりも抗酸化能にさらに優れていることが分かる。
【0040】
[試験例2]コラゲナーゼ発現抑制効能測定
上記比較例1〜2の天然物抽出物
並びに実施例1〜4及び参考例5〜7から得た天然物塩漬け発酵抽出物のコラゲナーゼ発現抑制能をトコフェロール(tocopherol)及びEGCGと比較して測定した。コラゲナーゼの発現程度が低いほどコラゲナーゼの発現抑制能が高く、皮膚内のコラーゲンの分解が少なく、したがって、生成されるしわの量が少なくなる。また、トコフェロール及びEGCGは、抗酸化物質であって、皮膚の表皮細胞を再生させて皮膚の老化を防止する機能があるものと知られた物質である。
【0041】
試験は、2.5%の牛胎児血清が含有されたDMEM(Dulbecco's Modified Eagle's Media)培地が入っている96孔平板培養器(96-well microtiter plate)に、ヒトの繊維芽細胞を5,000細胞/孔(well)となるように添加し、90%程度成長するまで培養した。その後、無血清DMEM培地で24時間培養した後、無血清DMEM培地に溶解された上記比較例1〜2
、実施例1〜4及び参考例5〜7、トコフェロール並びにEGCGを10
-4モルの濃度で24時間処理した後、細胞培養液を採取した。
【0042】
採取した細胞培養液を商業的に利用可能なコラゲナーゼ測定器具(米国アマシャムファルマシア社)を利用してコラゲナーゼ生成程度を測定した。まず、1次コラゲナーゼ抗体が均一に塗布された96−孔平板(96-well plate)に採取された細胞培養液を入れ、3時間抗原−抗体反応を恒温槽で実施した。
【0043】
3時間後、発色団(choromophore)が結合された2次コラーゲン抗体を96−孔平板に入れ、さらに15分間反応させた。15分後、発色誘発物質を入れ、室温で15分間発色を誘発させ、さらに1M硫酸を入れ、反応(発色)を中止させれば、反応液の色は、黄色を帯び、反応進行の程度によって黄色の程度が異なって現われた。
【0044】
黄色を帯びる96−孔平板の吸光度を、吸光計を利用して405nmで測定し、下記数式1によってコラゲナーゼの合成の程度を計算した。この時、組成物を処理しない群で採取された細胞培養液の反応吸光度を対照群にした。すなわち、非処理群でのコラゲナーゼの発現程度を100にし、これと対比して組成物を処理した群でのコラゲナーゼ発現程度を求めた。結果を表2に示した。
【0045】
【数1】
【0046】
【表2】
【0047】
上記表2から明らかなように、発酵抽出物である比較例1及び単純抽出物である比較例2は、非処理群よりもコラゲナーゼ発現を抑制せず、コラゲナーゼの発現抑制能がないことを確認することができる。
【0048】
一方、本発明による赤小豆、緑豆または黒豆の塩漬け発酵抽出物である実施例1〜
4及び参考例5〜7の場合は、コラゲナーゼ発現の程度に差異があるが、いずれも試験管内(in vitro)でコラゲナーゼの発現を抑制することを確認することができる。
【0049】
また、赤小豆、緑豆または黒豆に海洋深層水を添加した塩漬け発酵抽出物である実施例1〜4は、単純塩漬け発酵抽出物である
参考例5〜7よりもさらに優れたコラゲナーゼ発現抑制能を有し、抗酸化物質として知られているトコフェロールより優れたコラゲナーゼ発現抑制能を有することを確認することができる。
【0050】
[試験例3]プロコラーゲン生成促進効能実験
上記比較例1〜2の天然物抽出物
並びに実施例1〜4及び参考例5〜7から得た天然物塩漬け発酵抽出物のプロコラーゲン生成能をビタミンCと比較して測定した。プロコラーゲンは、コラーゲン生成誘導物質としてコラーゲン生成と老化防止に必要な物質であって、プロコラーゲンの生成程度が高いほどコラーゲンの生成程度が高くなり、したがって、皮膚しわの生成を防止することができる。また、ビタミンCは、コラーゲンの合成に必須成分であると知られている。
【0051】
試験は、2.5%の牛胎児血清が含有されたDMEM(Dulbecco's Modified Eagle's Media)培地が入っている96孔平板培養器にヒトの繊維芽細胞を5,000細胞/孔となるように添加し、90%程度成長するまで培養した。その後、無血清DMEM培地で24時間培養した後、無血清DMEM培地に溶解された上記比較例1〜2
、実施例1〜4及び参考例5〜7、ビタミンCを10
-4モルの濃度で24時間処理した後、細胞培養液を採取した。24時間後に培地中に遊離されたプロコラーゲンの量をプロコラーゲンタイプ−1 C−ペプチドEIAキット(procollagen type-1 C-peptide EIA kit)(MK101、Takara、Japan)を使用して測定した。
【0052】
測定した結果は、下記数式2によってプロコラーゲンの生成程度を計算し、この時、組成物を処理しない群で採取されたプロコラーゲン生成程度を対照群にした。すなわち、非処理群でのプロコラーゲン生成程度を100にし、これと対比して組成物を処理した群でのプロコラーゲン生成程度を求めた。結果を表3に示した。
【0053】
【数2】
【0054】
【表3】
【0055】
上記表3から明らかなように、発酵抽出物である比較例1及び単純抽出物である比較例2は、非処理群よりもプロコラーゲン生成を促進しないことを確認することができる。
【0056】
一方、本発明による赤小豆、緑豆または黒豆の塩漬け発酵抽出物である実施例1〜
4及び参考例5〜7の場合は、プロコラーゲン生成促進程度に差異があるが、いずれも試験管内(in vitro)でプロコラーゲンの生成を促進することを確認することができる。
【0057】
また、赤小豆、緑豆または黒豆に海洋深層水を添加した塩漬け発酵抽出物である実施例1〜4は、単純塩漬け発酵抽出物である
参考例5〜7より優れたコラゲナーゼ発現抑制能を有し、実施例1〜4のプロコラーゲンの生成促進程度は、コラーゲンの合成に必須成分として知られているビタミンCと同様の水準であることを確認することができる。
【0058】
以下、本発明の赤小豆、緑豆及び黒豆に海洋深層水を添加した塩漬け発酵抽出物を含有する組成物の剤形例を説明するが、本発明の化粧料組成物がこれらの例に限定されるものではない。
【0059】
[剤形例1]栄養化粧水
赤小豆、緑豆及び黒豆に海洋深層水を添加した塩漬け発酵抽出物を含有する栄養化粧水を下記表4に記載された組成で製造した。
【0060】
【表4】
【0061】
[剤形例2]柔軟化粧水
赤小豆、緑豆及び黒豆に海洋深層水を添加した塩漬け発酵抽出物を含有する柔軟化粧水を下記表5に記載された組成で製造した。
【0062】
【表5】
【0063】
[剤形例3]栄養クリーム
赤小豆、緑豆及び黒豆に海洋深層水を添加した塩漬け発酵抽出物を含有する栄養クリームを下記表6に記載された組成で製造した。
【0064】
【表6】
【0065】
[剤形例4]マッサージクリーム
赤小豆、緑豆及び黒豆に海洋深層水を添加した塩漬け発酵抽出物を含有するマッサージクリームを下記表7に記載された組成で製造した。
【0066】
【表7】
【0067】
[剤形例5]パック
赤小豆、緑豆及び黒豆に海洋深層水を添加した塩漬け発酵抽出物を含有するパックを下記表8に記載された組成で製造した。
【0068】
【表8】