(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記無機質香料複合物が、ケイ酸塩、炭酸塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される無機材料を含み、前記ケイ酸塩及び炭酸塩が、炭酸塩又はケイ酸塩とアルカリ(IA)金属、アルカリ土類(IIA)金属、及び遷移金属からなる群から選択される金属との反応によって形成される、請求項1に記載のパーソナルケア物品。
前記界面活性剤が、少なくとも1つのグループIの界面活性剤を含み、前記グループIの界面活性剤が、アルキル及びアルキルエーテル硫酸塩、硫酸化モノグリセリド、スルホン化オレフィン、アルキルアリールスルホン酸塩、第1級又は第2級アルカンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、タウリン酸、イセチオン酸、アルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩、スルホン化メチルエステル、スルホン化脂肪酸、アルキルリン酸、アシルグルタミン酸塩、アシルサルコシネート、乳酸アルキル、アニオン性フルオロ界面活性剤、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるアニオン性界面活性剤である、請求項1に記載のパーソナルケア物品。
前記界面活性剤が、グループIIの界面活性剤を更に含み、前記グループIIの界面活性剤が、両性、双極性イオン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載のパーソナルケア物品。
前記界面活性剤が、(i)0.1%〜10%のイオン性界面活性剤、(ii)非イオン性界面活性剤、(iii)高分子界面活性剤、及び(iv)これらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のパーソナルケア物品。
前記無機微粒子香料複合物を含む前記表面常在コーティングが、前記多孔質溶解性固体基材の外面の少なくとも一部分に付着される、請求項1に記載のパーソナルケア物品。
前記溶解性パーソナルケア物品が、2つの多孔質溶解性固体基材を含み、前記無機微粒子香料複合物を含む前記表面常在コーティングが、前記2つの多孔質溶解性固体基材の間に位置する層である、請求項1に記載のパーソナルケア物品。
前記無機微粒子香料複合物を含む前記表面常在コーティングが、20%〜70%の湿度で前記多孔質溶解性固体基材に適用される、請求項16に記載のパーソナルケア物品の製造方法。
前記無機微粒子香料複合物を含む前記表面常在コーティングが、30%〜60%の湿度で前記多孔質溶解性固体基材に適用される、請求項16に記載のパーソナルケア物品の製造方法。
前記無機微粒子香料複合物を含む前記表面常在コーティングが、5%〜20%の湿度で前記多孔質溶解性固体基材に適用される、請求項16に記載のパーソナルケア物品の製造方法。
前記無機微粒子香料複合物を含む前記表面常在コーティングが、7%〜15%の湿度で前記多孔質溶解性固体基材に適用される、請求項16に記載のパーソナルケア物品の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の全ての実施形態では、特に別段の記載がない限り、百分率はいずれも、組成物全体の重量を基準とする。特に別段の記載がない限り、すべての比率は重量比である。全ての範囲は、包括的であり結合可能である。有効数字の数は、表示された量に対する限定を表すものでも、測定値の精度に対する限定を表すものでもない。特に別段の指示がない限り、全ての数量は、「約」という単語によって修飾されるものと理解される。特に指示がない限り、全ての測定は、25℃において周囲条件で実施されるものと理解され、「周囲条件」とは、約1気圧及び相対湿度約50%における条件を意味する。列挙される成分に関するこのような全ての重量は、活性濃度に基づいており、別段の指定がない限り、市販の物質に包含されている可能性のあるキャリア又は副生成物を包含しない。
【0011】
I.定義
本明細書で使用されるとき、用語「パーソナルケア組成物」は、過度の望ましくない影響なしに哺乳動物の毛髪及び皮膚に適用されることがある組成物を意味する。
【0012】
本明細書で使用されるとき、用語「無機微粒子香料複合物」は、微粒子形態の無機材料からなる水放出性マトリックス内に複合化された香料を指す。
【0013】
用語「表面常在無機微粒子香料複合物」は、本明細書で使用されるとき、多孔質溶解性固体基材の固体/空気界面の少なくとも一部分に吸着された無機微粒子香料複合物を含む表面常在コーティングを指す。得られた表面常在コーティングは、製品の有効期間中、及び消費者の使用中にパーソナルケア物品が水と接触する前に、無機微粒子香料複合物と溶解性多孔質固体のバルクとの間の物理的相互作用を最小にする。
【0014】
本明細書で使用されるとき、「パーソナルケア物品」は、界面活性剤、水溶性高分子、及び可塑剤を、無機微粒子香料複合物の表面常在コーティングと共に含む多孔質溶解性固体基材を意味する。パーソナルケア物品は、本明細書で「物品」と呼ばれることがある。
【0015】
本明細書で使用されるとき、「溶解性」は、多孔質溶解性固体基材が、本明細書に記載した手溶解法試験(Hand Dissolution Method Test)に適合する溶解率を有することを意味する。
【0016】
本明細書で使用されるとき、「多孔質溶解性固体基材」は、周囲大気のガス(通常は、空気)を含む空間又は気泡の相互接続網を定義する固体高分子含有マトリックスを意味する。構造の相互接続性は、星形体積、構造モデル指数(SMI)又は連続気泡含有率によって説明されてもよい。
【0017】
II.パーソナルケア物品
本発明のパーソナルケア物品は、香料のより効率的な送達並びに消費者の使用中に香料の水活性化放出を可能にすることによって、泡立ち/洗浄製品からの独特な香料/香料体験を消費者に提供する。水活性化香料は、パーソナルケア製品が、水と組み合わされる前に1つの香料を有し、また水と接触した後でパーソナルケア製品が副香料及び/又は同一の最初の香料の香料放出を有することができるように副香料を包含してもよい。
【0018】
これは、多孔質溶解性固体基材上に無機微粒子香料複合物を含む表面常在コーティングを組み込むことにより達成される。多孔質溶解性固体基材の固体/空気界面の少なくとも一部分に吸着されるこの表面常在コーティングを適用するために、任意の適切な適用方法を使用することができる。一実施形態では、無機微粒子香料複合物を含む表面常在コーティングは、パーソナルケア物品を形成するために多孔質溶解性固体基材の表面に適用される粉体被覆の形である。
【0019】
従来、香料は、水性の液体消費者製品から、安定した両親媒性物質集合体(例えば、ミセル、液体結晶など)内の香料の可溶化又は乳化によって送達されている。この結果、製品の使用中に消費者の鼻孔への香料の効率的な送達が減少し(即ち、香料放出の低下)、また標的ケラチン基質(即ち、皮膚及び毛髪)への香料の効率的な送達が減少することがある。これは、製品の使用中の水性相による水/空気及び水/基材界面への疎水性香料分子の拡散を妨げることがある安定化された水性両親媒性物質集合体中の香料分子の「閉じ込め」によるものである場合があり、それにより、意図された標的(消費者の鼻孔とケラチン基質)への香料分子の効率的な送達が減少し、更に無駄になる香料分子の量が増える(例えば、洗い流される)。これは、本発明のパーソナルケア物品において、毛髪又は皮膚への適用直前に水に溶解されるときに生じることもあるが、そのような物理的「閉じ込め」相互作用は、パーソナルケア物品が本発明に従って製造されかつ/又は使用されるときに最小になる。
【0020】
本発明は、また、水で活性化された香料の送達を可能にし、即ち、使用中に製品に水を加えることによって香料の放出が最大限に開始される。これは、本発明の無機微粒子香料複合物が水放出性であること、即ち、無機微粒子が、パーソナルケア物品が水に溶解されるときに香料が物理的に放出又は遊離した状態で溶解するために起こる。
【0021】
この本発明は、更に、消費者による製品の使用体験中に、主香料と副香料の両方の独特かつ任意の送達を可能にする。例えば、パーソナルケア製品は、水と組み合わされる前に1つの香料を有することができ、また水と接触後に、パーソナルケア製品は、第2の香料及び/又は同じ最初の香料のより強い香料放出を有することができる。これは、無機微粒子香料複合物内の副香料を、主香料と異なる香料と組み合わせることにより達成することができる。あるいは、同じ香料が、無機微粒子香料複合物内に使用されてもよいが、パーソナルケア物品の溶解時により強い香料放出が可能になる。
【0022】
A.多孔質溶解性固体基材
多孔質溶解性固体基材は、界面活性剤、水溶性高分子、及び可塑剤を含む。多孔質溶解性固体基材は、消費者の手のひらで便利かつ素早く溶解して、その結果、液体パーソナルケア組成物が得られるように調製することができる。溶解後、このパーソナルケア組成物は、従来の液体パーソナルケア組成物と同じように使用することができ、即ち、頭皮、毛髪、及び/又は身体に適用することができる。多孔質溶解性固体基材は、最大気泡壁厚さを有する。多孔質溶解性固体基材は、約0.02mm〜約0.15mm、一実施形態では約0.025mm〜約0.12mm、別の実施形態では約0.03mm〜約0.09mm、及び更に別の実施形態では約0.035mm〜約0.06mmの気泡壁厚さを有する。多孔質溶解性固体基材は、気泡間に最低レベルの相互接続性を有し、この相互接続性は、星形体積、構造モデル指数(SMI)及び連続気泡含有率によって定量化される。多孔質溶解性固体基材は、約1mm
3〜約90mm
3、一実施形態では約1.5mm
3〜約60mm
3、別の実施形態では約2mm
3〜約30mm
3、及び更に別の実施形態では約2.5mm
3〜約15mm
3の星形体積を有する。多孔質溶解性固体基材は、約0.0〜約3.0、一実施形態では約0.5〜約2.75、及び別の実施形態では約1.0〜約2.50の負でない構造モデル指数を有する。多孔質溶解性固体基材は、約80%〜100%、一実施形態では約85%〜約97.5%、及び別の実施形態では約90%〜約95%の連続気泡含有率を有する。多孔質溶解性固体基材は、また、最小の比表面積を有する。多孔質溶解性固体基材は、約0.03m
2/g〜約0.25m
2/g、一実施形態では約0.035m
2/g〜約0.22m
2/g、別の実施形態では約0.04m
2/g〜約0.19m
2/g、及び更に別の実施形態では約0.045m
2/g〜約0.16m
2/gの比表面積を有する。多孔質溶解性固体基材は、約125g/m
2〜約3,000g/m
2、一実施形態では約300g/m
2〜約2,500g/m
2、別の実施形態では約400g/m
2〜約2,000g/m
2、別の実施形態では約500g/m
2〜約1,500g/m
2、別の実施形態では約600g/m
2〜約1,200g/m
2、及び別の実施形態では約700〜約1,000g/m
2の基本重量を有する。多孔質溶解性固体基材は、約0.03g/cm
3〜約0.40g/cm
3、一実施形態では約0.05g/cm
3〜約0.35g/cm
3、別の実施形態では約0.08g/cm
3〜約0.30g/cm
3、別の実施形態では約0.10g/cm
3〜約0.25g/cm
3、及び別の実施形態では約0.12g/cm
3〜約0.20g/cm
3の固体密度を有する。
【0023】
一実施形態では、本発明の多孔質溶解性固体基材は、パッド、ストリップ又はテープの形の平らで柔軟な基材であり、また、以下の方法によって測定されるときに、約0.5mm〜約10mm、一実施形態では約1mm〜約9mm、別の実施形態では約2mm〜約8mm、更に別の実施形態では約3mm〜約7mmの厚さを有する。
【0024】
1.界面活性剤
本発明の多孔質溶解性固体基材は、消費者の適切な使用指示の下で泡立ち性でもよく、比非泡立ち性でもよい。多孔質溶解性基材は、乾燥(凝固)前に安定した発泡固体を生成するために加工助剤として少なくとも1つの界面活性剤を含み、泡立ち基材の場合には、界面活性剤は、発泡及び/又は洗浄剤として二重の働きを提供してもよい。
【0025】
a.泡立ち多孔質溶解性固体基材
泡立ち及び/又は清浄用の泡立ち多孔質溶解性固体基材は、パーソナルケア物品に対して、約10重量%〜約75重量%、一実施形態では約30重量%〜約70重量%、及び別の実施形態では約40重量%〜約65重量%の界面活性剤を含み、界面活性剤は、グループIからの1つ以上の界面活性剤を含み、グループIは、ヘアケア又は他のパーソナルケア組成物で使用するのに適したアニオン性界面活性剤と、必要に応じてグループIIからの1つ以上の界面活性剤とを含み、グループIIは、ヘアケア又は他のパーソナルケア組成物で使用するのに適した両性、双極性イオン及びこれらの組み合わせからなる群から選択される界面活性剤を含み、グループIとグループIIとの界面活性剤の比率は、約100:0〜約30:70である。本発明の別の実施形態では、グループIとグループIIとの界面活性剤の比率は、約85:15〜約40:60である。本発明の更に別の実施形態では、グループIとグループIIとの界面活性剤の比率は、約70:30〜約55:45である。
【0026】
アニオン性界面活性剤の非限定的な例は、米国特許第2,486,921号、同第2,486,922号、及び同第2,396,278号に記載されている。アニオン性界面活性剤は、アルキル及びアルキルエーテル硫酸塩、硫酸化モノグリセリド、スルホン化オレフィン、アルキルアリールスルホン酸塩、第1級又は第2級アルカンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、タウリン酸、イセチオン酸、アルキルグリセリルスルホン酸塩、スルホン化メチルエステル、スルホン化脂肪酸、アルキルリン酸、アシルグルタミン酸塩、アシルサルコシネート、乳酸アルキル、アニオン性フルオロ界面活性剤、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されることができる。
【0027】
適切な双極性イオン又は両性界面活性剤の非限定的な例は、米国特許第5,104,646号(Bolich Jr.ら)と同第5,106,609号(Bolich Jr.ら)に記載されている。
【0028】
更なる適切なグループIとグループIIの界面活性剤には、米国特許出願第61/120,765号に開示された界面活性剤と、McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers,North American Edition(1986),Allured Publishing Corp.、McCutcheon’s,Functional Materials,North American Edition(1992),Allured Publishing Corp.、及び米国特許第3,929,678号(Laughlinら)に開示された界面活性剤が挙げられる。適切な界面活性剤の他の非限定的な例は、米国特許出願第61/120,790号に含まれる。
【0029】
b.非泡立ち多孔質溶解性固体基材
非泡立ち多孔質溶解性固体基材は、パーソナルケア物品の約10重量%〜約75重量%、別の実施形態では約15重量%〜約60重量%、及び別の実施形態では約20重量%〜約50重量%の界面活性剤を含み、界面活性剤は、以下に述べる界面活性剤の1つ以上を含む。
【0030】
(i)アニオン性界面活性剤
本発明の多孔質溶解性固体基材が、非泡立ち性の場合、基材は、主に安定した発泡固体を製造する際の加工助剤として使用される最高レベル10%(又は、10%未満)のアニオン性界面活性剤を含んでもよい。乾燥前に安定した発泡固体を生成する界面活性剤レベルに達するように、追加の非イオン性界面活性剤をアニオン性界面活性剤と組み合わせることができる。
【0031】
(ii)非イオン性界面活性剤
一実施形態では、非イオン性界面活性剤は、安定した多孔質溶解性固体基材を製造する際の加工助剤として含まれる。本発明で使用される適切な非イオン性界面活性剤には、McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers,North American edition(1986),Allured Publishing Corp.、及びMcCutcheon’s Functional Materials,North American edition(1992)に記載されているものが挙げられる。本発明のパーソナルケア組成物での使用に好適な非イオン性界面活性剤としては、限定するものではないが、ポリオキシエチレン化アルキルフェノール、ポリオキシエチレン化アルコール、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、アルカン酸のグリセリルエステル、アルカン酸のポリグリセリルエステル、アルカン酸のプロピレングリコールエステル、アルカン酸のソルビトールエステル、アルカン酸のポリオキシエチレン化ソルビトールエステル、アルカン酸のポリオキシエチレングリコールエステル、ポリオキシエチレン化アルカン酸、アルカノールアミド、N−アルキルピロリドン、アルキルグリコシド、アルキルポリグルコシド、アルキルアミンオキシド、及びポリオキシエチレン化シリコーンが挙げられる。
【0032】
(iii)高分子界面活性剤
高分子界面活性剤は、また、本発明の多孔質溶解性固体基材を製造する際の加工助剤として単独又はイオン性及び/又は非イオン性界面活性剤と組み合わせて使用される界面活性剤でもよい。本発明のパーソナルケア組成物での使用に好適な高分子界面活性剤としては、限定するものではないが、エチレンオキシドと脂肪族アルキル残基(fatty alkyl residues)とのブロックコポリマー、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマー、疎水変性ポリアクリレート、疎水変性セルロース、シリコーンポリエーテル、シリコーンコポリオールエステル、ジ四級ポリジメチルシロキサン、及び共修飾されたアミノ/ポリエーテルシリコーンが挙げられる。
【0033】
2.水溶性高分子(「高分子構造化剤」)
多孔質溶解性固体基材は、構造化剤として機能する水溶性高分子を含む。本明細書で使用されるとき、用語「水溶性高分子」は、水溶性高分子と水分散性高分子の両方を包含するのに十分幅広く、25℃において測定される少なくとも約0.1g/リットル(g/L)の水への溶解度を有する高分子として定義される。幾つかの実施形態では、高分子は、25℃において測定される約0.1g/リットル(g/L)〜約500g/リットル(g/L)の水への溶解度を有する。(これは、巨視的等方性又は透明、有色又は無色溶液の作成を示す)。これらの固体物を製造するための高分子は、人工又は天然の起源でもよく、かつ化学反応の手段によって改善されてもよい。それは皮膜形成であってもよく、そうでなくてもよい。高分子は、生理学的に許容できるべきである。つまり皮膚、粘膜、毛髪及び頭皮に適合すべきである。
【0034】
1つ以上の水溶性高分子は、多孔質溶解性固体基材の約10重量%〜約50重量%、一実施形態では、多孔質溶解性固体基材の約15重量%〜約40重量%、及び更に別の実施形態では多孔質溶解性固体基材の約20重量%〜約30重量%存在してもよい。
【0035】
本発明の1つ以上の水溶性高分子は、重量平均分子量が約40,000〜約500,000、一実施形態では約50,000〜約400,000、更に別の実施形態では約60,000〜約300,000、及び更に別の実施形態では約70,000〜約200,000であるように選択される。重量平均分子量は、各高分子原料の平均分子量に多孔質溶解性固体基材内にある高分子の全重量の相対重量パーセントを掛けたものを加算することにより計算される。
【0036】
一実施形態では、1つ以上の水溶性高分子の少なくとも1つは、約2重量%の水溶性高分子溶液が、20℃で約4センチポワズ〜約80センチポワズ、代替実施形態では約5センチポワズ〜約70センチポワズ、及び別の実施形態では約6センチポワズ〜約60センチポワズの粘度を示すように選択される。
【0037】
本発明の水溶性高分子には、米国特許第5,582,786号及び欧州特許第A−397410号に記載されたようなエチレン不飽和カルボン酸単量体とエチレン不飽和単量体等のアクリル単量体から誘導された高分子を含む、米国特許出願第61/120,786号に記載されたような合成高分子が挙げられるが、これらに限定されない。適切な水溶性高分子は、また、米国特許出願第61/120,786号に記載された植物起源の例のものを含む天然原料の高分子から選択されてもよい。また、改質された天然高分子が、本発明の水溶性高分子として有効であり、米国特許出願第61/120,786号に含まれる。一実施形態では、本発明の水溶性高分子には、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、アクリル酸及びメチルアクリレートの共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレンオキシド、デンプン及びデンプン誘導体、プルラン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースが挙げられる。別の実施形態では、本発明の水溶性高分子には、ポリビニルアルコール、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。好適なポリビニルアルコールには、セラニーズ・コーポレーション(Celanese Corporation)(テキサス州ダラス市(Dallas, TX))から商標名CELVOL(登録商標)として入手可能なものが挙げられる。適切なヒドロキシプロピルメチルセルロースには、ダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Company)(ミシガン州ミッドランド市(Midland, MI))から商標名METHOCEL(登録商標)として入手可能なものが挙げられる。
【0038】
特定の実施形態では、前述の水溶性高分子は、本明細書に記載されたような必須の構造と物理的/化学的特性を備えるパーソナルケア物品を提供するのに役立つ限り、必要とされる水溶性高分子の量の全体的レベルを下げるために、充填材として任意の単一のデンプン又はデンプンの組み合わせと混合されてもよい。
【0039】
そのような例では、水溶性高分子とデンプンベースの材料との組み合わせの重量パーセントは、一般に、多孔質溶解性固体基材の全重量に対して約10重量%〜約50重量%、一実施形態では約15重量%〜約40重量%、及び特定の実施形態では約20重量%〜約30重量%の範囲である。水溶性高分子とデンプンベースの材料との重量比は、一般に約1:10〜約10:1、一実施形態では約1:8〜約8:1、更に別の実施形態では約1:7〜約7:1、及び更にまた別の実施形態では約6:1〜約1:6の範囲であることができる。
【0040】
デンプンベースの材料の典型的な供給源としては、穀物、塊茎、根、豆果及び果実を挙げることができる。天然供給源としては、トウモロコシ、豆、ポテト、バナナ、大麦、小麦、米、サゴ、アマランス、タピオカ、アロールート、カンナ、サトウモロコシ、及びそれらのろう質又は高級アミラーゼ類が挙げられる。また、デンプンベースの材料は、米国特許出願第61/120,786号に記載されたものを含む、当該技術分野で既知の任意の改質を使用して改質された天然デンプンを含んでもよい。
【0041】
3.可塑剤
本発明の多孔質溶解性固体基材は、パーソナルケア組成物で使用するのに適した水溶性可塑剤を含む。一実施形態では、1つ以上の可塑剤は、多孔質溶解性固体基材の約1重量%〜約30重量%、別の実施形態では約3重量%〜約25重量%、別の実施形態では約5重量%〜約20重量%、及び更に別の実施形態では約8重量%〜約15重量%存在してもよい。適切な水溶性可塑剤の非限定的な例としては、ポリオール、コポリオール、ポリカルボン酸、ポリエステル及びジメチコーンコポリオールが挙げられる。有用なポリオールの例としては、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール(200〜600)、ソルビトール、マニトール、ラクチトール並びに他のモノ−及び多価低分子量アルコール(例えば、C2〜C8アルコール)のような糖アルコール類;フルクトース、グルコース、スクロース、マルトース、ラクトース、及び高級フルクトースコーンシロップ固形物並びにアスコルビン酸のようなモノ、ジ−及びオリゴ糖が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用されるポリカルボン酸の適切な例は、米国特許出願第61/120,786号に開示されている。
【0042】
一実施形態では、可塑剤は、グリセリン又はプロピレングリコール及びこれらの組み合わせを含む。欧州特許第283165B1号は、プロポキシル化グリセロールなどのグリセロール誘導体が挙げられる、他の好適な可塑剤を開示している。
【0043】
4.任意成分
多孔質溶解性固体基材は、本明細書に記載の特定の必須材料と適合するか又はパーソナルケア組成物の性能を過度に損なわないという条件で、パーソナルケア組成物で使用でき、あるいは有用であることが知られている他の任意成分を更に含んでもよい。
【0044】
そのような任意成分は、最も一般に、CTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition,The Cosmetic,Toiletries,and Perfume Association,Inc.1988,1992等の参考文献に記載された化粧品用に承認された材料である。そのような任意成分の例は、2003年3月18日に出願された米国特許出願第12/361,634号、同第10/392422号と、2003年11月20日付けの米国特許公開第2003/0215522A1号に開示されている。
【0045】
他の任意成分には、高分子構造化剤用の可溶化剤と乾燥促進剤とに有用な有機溶媒、特に水混和性溶媒及び共同溶媒が挙げられる。適切な有機溶媒の例は、米国特許出願第12/361,634号に開示されている。他の任意成分には、ラテックス又はエマルジョン高分子、水溶性高分子等の増粘剤、クレー、シリカ、二ステアリン酸エチレングリコール、コアセルベート形成成分を含む付着補助剤が挙げられる。追加の任意成分には、米国特許公開第2003/0215522A1号に開示されたジンクピリチオン、硫化セレン及びそれらの活物質を含むがこれらに限定されない、ふけ防止活物質がある。
【0046】
B.無機微粒子香料複合物を含む表面常在コーティング
一実施形態では、多孔質溶解性固体基材は、吸着又は分散されて大きな表面積の薄いコーティングが作成される無機微粒子香料複合物を含む表面常在コーティングのための連続的でアクセス可能な大きな表面積の「足場(scaffold)」(「支柱(struts)」の三次元網)を提供する。この位置によって、使用中に水と即時に接触して、封止から香料が放出される位置にコーティングが配置される。
【0047】
一実施形態では、表面常在コーティングは、約10%〜約100%、別の実施形態では約25%〜約100%、及び別の実施形態では約40%〜約100%の1つ以上の無機微粒子香料複合物を含む。一実施形態では、多孔質溶解性固体基材と無機微粒子香料複合物を含む表面常在コーティングとの比率は、約110:1〜約0.5:1、別の実施形態では約20:1〜約1:1、別の実施形態では約10:1〜約1.5:1、及び更に別の実施形態で約7:1〜約3:1である。
【0048】
無機微粒子香料複合物
1つ以上の主香料及び/又は副香料は、微粒子形態の無機材料からなる水放出性マトリックスに複合化されてもよい。無機微粒子と複合物中の香料との比率は、一実施形態では約0.5:1〜約19:1、別の実施形態では約0.7:1〜約6:1、及び更に別の実施形態では約1:1〜約3:1である。
【0049】
本発明の無機微粒子香料複合物は、シリカ(二酸化ケイ素)、ケイ酸塩又は炭酸塩を含む無機材料から作成され、ケイ酸塩と炭酸塩は、炭酸塩又はケイ酸塩とアルカリ(IA)金属、アルカリ土類(IIA)金属、又は遷移金属の反応によって形成される。本明細書での使用に適した無機材料には、ケイ酸カルシウム、非晶質シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、又は亜鉛炭酸塩、及びこれらの混合物が挙げられる。本発明に有用なケイ酸塩と炭酸塩の幾つかの特定の例は、Van Nostrand Reinhold’s Encyclopedia of Chemistry,4th Ed.155、169、556及び849ページ、(1984)により詳しく説明され、この文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
特にシリカとケイ酸塩に関しては、無機材料の合成物が存在する。合成物は、後で更に精製される化合物の天然採掘物を使用するのではなく、製造プロセスにおいて制御された化学反応によって形成される。本発明に有用な合成炭酸塩は、Mallinckrodt又はWhittaker、Clark、及びDanielsなどの様々な供給元から入手することができる。本発明に有用な合成ケイ酸カルシウムの例は、J.M.Huber(Havre de Grace,MD)から入手可能なHubersorb(登録商標)250又はHubersorb(登録商標)600である。本発明に有用な合成二酸化ケイ素の例は、やはりJ.M.Huberから入手可能なZeofree(登録商標)80、Zeosyl(登録商標)110SD、Zeosyl 200、Zeofree 5161、Zeofree 5162、及びZeothix(登録商標)265である。本発明に有用な合成アルミノケイ酸ナトリウムの例には、やはりJ.M.Huberから入手可能なZeolex(登録商標)7、Zeolex 201、Zeolex 23A、及びZeolex 7Aが挙げられる。
【0051】
本発明で使用するのに適した無機材料には、合成ケイ酸カルシウムが挙げられる。一実施形態では、本発明の合成ケイ酸カルシウムは、475cc/100gの吸油量、6マイクロメートルの平均粒径、300平方メートル/gのBET表面積、及び128.1g/L(8lbs/CFT)のかさ密度を有することが報告されているJ.M.Huber製のHubersorb(登録商標)600である。
【0052】
本明細書で使用するのに適した香料には、パーソナルケア製品で使用するのに適した任意の香料が挙げられる。
【0053】
主香料
本発明のパーソナルケア組成物は、使用前(即ち、物品を水と接触させる前)に物品に所望の香料又は無香/中立の香気を提供する主香料を含む。芳香のある主香料には、皮膚への局所適用に適切でかつパーソナルケア組成物で使用するに適切な任意の香料又は香料化学物質が挙げられる。
【0054】
パーソナルケア組成物中の主香料の濃度は、無香性を含むがそれに限定されない、望ましい香気を提供するのに有効でなければならない。一般に、芳香のある主香料の濃度は、固体物品の約0.0重量%〜約30.0重量%、一実施形態では約1重量%〜約20重量%、更に別の実施形態では約2重量%〜約10重量%、及び更に別の実施形態では約3重量%〜約8重量%である。主香料は、本発明のパーソナルケア組成物に自由香料として含まれてもよい。
【0055】
副香料
副香料のシフト(例えば、ある香料から別の香料への変更)を提供するために、本発明の副香料は、香料慣れ効果を克服しかつ副香料を主香料より目立つようにするために、主香料の組成物と実質的に異なりかつ別個でなければならない。あるいは、物品の使用の間中同一の香料が望ましい場合、副香料は、単一で連続した長時間の香料体験を提供するために、主香料の組成物と実質的に同じで区別のつかないものでなければならない。
【0056】
一般に、本発明のパーソナルケア組成物は、固体物の約0.1重量%〜約30.0重量%、特定の実施形態では約1重量%〜約20重量%、他の実施形態では約2重量%〜約10重量%、更に他の実施形態では約3重量%〜約8重量%の副香料を含むことができる。
【0057】
皮膚への局所適用に適切でかつパーソナルケア組成物で使用するに適切な任意の香料又は香料化学物質が副香料として使用されてもよいが、これは、組成物内に自由香料として含まれない。副香料は、界面活性剤を含まない水流出性マトリックスに含まれる。副香料は、香料、約250℃未満の沸点を有する高揮発性香料材料、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。そのような香料は、本明細書に記載されているように、封入材料から形成された水流出性マトリックスに含まれる。
【0058】
一実施形態では、副香料は、約2を超えるClogPと50十億分率(ppb)以下の臭気検出閾値を有する高効果アコード香料成分(high impact accord perfume ingredient)から選択される。
【0059】
本発明による無機微粒子複合物は、無水物である。しかしながら、処理制限の結果として、製造直後でも水レムナント(water remnants)が存在する可能性が高い。一般に、例えば貯蔵中に、水が微粒子複合物に後で再び入ることがある。水相は、水を含むだけではなく、また、アルコール類;多価アルコール類(例えば、グリセリン及びプロピレングリコール)を包含する保湿剤;d−パンテノール、ビタミンB
3及びその誘導体(ナイアシンアミドなど)並びに植物抽出物のような活性剤;増粘剤及び防腐剤のような、追加の水溶性構成成分を含んでいてもよい。水性相は、封入剤の20重量%を超えず、約0.001重量%〜約20重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下、又約2重量%以下の微粒子複合物を含んでもよい。
【0060】
本発明による無機微粒子香料複合物は、約1μm〜約200μm、別の実施形態では約2μm〜約100μm、及び更に別の実施形態では約3μm〜約50μmの粒径を有してもよい。
【0061】
表面常在コーティングは、多孔質溶解性固体基材に適用される。一実施形態では、表面常在コーティングは、微粉の形である。
図1で分かるように、本発明の特定の実施形態では、パーソナルケア物品10は、多孔質溶解性固体基材14の表面の少なくとも一部分に配置された表面常在コーティング12を含む。表面常在コーティング12は、必ずしも多孔質溶解性固体基材14に隣接していなくてもよいことは理解されよう。特定の実施形態では、表面常在コーティング12は、多孔質溶解性固体基材14に全体又は一部分が浸透してもよい。
【0062】
あるいは、表面常在コーティングは、パーソナルケア物品又はその部分内に含まれ(例えば、間に挟まれるか又は封入される)てもよい。そのような表面常在コーティングは、デポジタ(depositor)、シフタ、又は粉体床の使用によるような任意の他の適切な手段によって、噴霧され(sprayed)、散布され(dusted)、散在され(sprinkle)、コーティングされ、表面印刷され(例えば、所望の装飾、化粧又はパターンの形状に)、注がれ(poured on)、内部に注入され、又は浸漬されてもよい。
図3A、
図3B及び
図4によって示された実施形態では、パーソナルケア物品10は、多孔質溶解性固体基材の表面の下にあってもよい表面常在コーティングを含む。パーソナルケア物品10の断面図である
図3Bで分かるように、表面常在コーティング24は、多孔質溶解性固体基材26のくぼみ部22内にある。
【0063】
次に
図2を参照すると、特定の実施形態では、粉末が、後で接合される2つの多孔質溶解性固体基材の間に挟まれる(例えば、多孔質溶解性固体基材を実質的に溶解させないように、隣接面又は縁を水の薄層及び/又は可塑剤と印加圧力で封止して接着することによって)。この実施形態では、パーソナルケア物品10は、2つの多孔質溶解性固体基材16及び18を含み、その間に表面常在コーティング20が配置される。
【0064】
あるいは、特定の実施形態では、粉末は、折り畳まれて粉末を封入するパウチを形成する1つのパーソナルケア物品上にあってもよい。
図4に示したように、パーソナルケア物品10は、折り畳まれた多孔質溶解性固体基材34内に閉じ込められた表面常在コーティング32を含む。
【0065】
また、本発明の表面常在無機微粒子香料複合物コーティングが、パーソナルケア物品に、改善された外観を含むがこれに限定されない、他の望ましい属性を与えてもよい。更に、本発明の表面常在無機微粒子香料複合物コーティングが、製品パッケージに対して、又は物品スタックとして出荷される場合には他の物品に対して物品の粘着を最小限に抑えるために、粘着防止特性を与えるような付加的な利点を提供してもよい。
【0066】
III.パーソナルケア物品の製品形態
パーソナルケア物品は、単独で使用されるか又は他のパーソナルケア成分との組み合わせで使用される無機微粒子香料複合物を含む表面常在コーティングと共に、多孔質溶解性固体基材を含む様々な製品形態のいずれで製造されてもよい。製品形態にかかわらず、本明細書で検討される製品形態の実施形態は、多孔質溶解性固体基材と、無機微粒子香料複合物を含む表面常在コーティングとの組み合わせを含む、選択され定義されたパーソナルケア物品を含む。
【0067】
一実施形態では、パーソナルケア物品は、ユーザが容易に取り扱うことができるようにする適切なサイズの1つ以上の平坦なシート又はパッドの形である。それは、正方形、長方形又は円盤状又はその他のいかなる好適な形状であってよい。パッドは、また、穿孔及び又は切断メカニズムによって1つずつ取り出せる単独の部分を備えるテープ状ロールのディスペンサーで供給されているものを含む、連続的なストリップの形態であることができる。あるいは、パーソナルケア物品は、1つ以上の円筒状物体、球状物体、管状物体、又は任意の他の形状の物体の形である。
【0068】
パーソナルケア物品は、テクスチャ化され、くぼみが付けられ、又は他の方法でパターン形成された、文字、ロゴ又は図を含む1つ以上の面を含んでもよい。テクスチャ化された基材は、その基材の最も外側の表面がその表面の他の領域に対して隆起している部分を含む、基材の形状によって生じ得る。隆起部分は、パーソナルケア物品の形成された形状によるものでもよく、例えば、パーソナルケア物品は、最初にくぼみ付きパターン又は格子パターンで形成されてもよい。隆起部分は、また、クレーピング加工、コーティングの刻印、パターンのエンボス加工、隆起部分を有する他の層への積層、又は多孔質溶解性固体基材自体の物理的形状の結果として得られてもよい。テクスチャ化は、また、1つの多孔質溶解性固体基材を、テクスチャ化された第2の多孔質溶解性固体基材に積層する結果として得られてもよい。特定の実施形態では、穴又はチャネルが多孔質固体の中に入り込む又は中を貫通する状態でパーソナルケア物品に穿孔することができる。
【0069】
IV.製造方法
パーソナルケア物品は、(1)界面活性剤と、溶解高分子構造化剤と、可塑剤とを含む加工混合物を調整すること、(2)ガスを加工混合物に導入することにより加工混合物をエアレーションして、湿潤気泡化混合物を形成すること、(3)湿潤気泡化混合物を1つ以上の所望の形状に形成すること、(4)湿潤気泡化混合物を乾燥させて多孔質溶解性固体基材を形成すること、及び(5)粉末状の無機微粒子香料複合物を含む表面常在コーティングを、多孔質溶解性固体基材に適用することを含むプロセスによって調製することができる。
【0070】
A.加工混合物の調製
加工混合物は、一般に水、可塑剤及び他の任意成分の存在下で高分子構造剤を溶解し、熱し、続いて冷却することにより調製する。このことは、任意の好適な熱せられたバッチ攪拌システムにより、又は単軸押出機若しくは双軸押出機若しくは熱交換器を、高せん断又は静的混合に使用する任意の好適な連続的なシステムにより達成することができる。任意のプロセスは、高分子が水、界面活性剤、可塑剤、及び成分の任意の組み合わせのプレミックス部分による工程的加工を含む他の任意成分の存在下で、最終的に溶解するように想定され得る。
【0071】
本発明の加工混合物は、乾燥前に約15重量%〜約60重量%、一実施形態では約20重量%〜約55重量%、別の実施形態では約25重量%〜約50重量%、更に別の実施形態では約30重量%〜約45重量%の固体の加工混合物を含み、また約2,500cps〜約150,000cps、一実施形態では約5,000cps〜約100,000cps、別の実施形態では約7,500cps〜約75,000cps、及び更に別の実施形態では約10,000cps〜約60,000cpsの粘度を有する。
【0072】
固形分率含有量は、水及び低沸騰アルコールのような明らかに揮発性のいずれの物質も除く、固形分、半固形分及び液体成分の全ての総加工混合物の重量による重量パーセントの合計である。加工混合物の粘度値は、直径4.0cmの平行平板及びギャップが1,200マイクロメートルのTAインスツルメンツ(TA Instruments)AR500レオメーター(Rheomeer)を、せん断速度1.0レシプロカル秒で30秒間、23℃で使用することにより測定される。
【0073】
B.加工混合物のエアレーション
加工混合物のエアレーションは、混合物にガスを導入することによって行われる。一実施形態では、これは、機械的混合エネルギーによって行われる。別の実施形態では、これは、化学的手段により達成されてもよい。エアレーションは、任意の好適な機械的加工手段によって達成されてもよく、その方法には、(i)遊星ミキサー若しくは他の好適な混合容器を含む機械的混合によるバッチタンクエアレーション、(ii)食品業界で使用される(加圧及び非加圧)半連続的若しくは連続的エアレーター、又は(iii)多孔質固体を形成するために熱を伴う金型内であるような圧縮され得る気泡化ビード若しくは粒子を形成するために加工混合物をスプレー乾燥させること、が挙げられるが、それらに限定されない。
【0074】
特定の実施形態において、食品業界でマシュマロの製造で従来利用されていた連続加圧式エアレータ内でパーソナルケア物品を調製できることが分かった。好適な連続的加圧エアレーターには、モートン(Morton)泡たて器(モートン・マシン社(Morton Machine Co.)、スコットランド、マザーウェル市(Motherwell, Scotland))、オークス(Oakes)連続自動ミキサー(E.T.オークス社(Oakes Corporation))、ニューヨーク州ホーポージ市(Hauppauge, New York)、フェドコ(Fedco)連続ミキサー(ザ・ピアレス・グループ(Peerless Group)、オハイオ州シドニー市(Sidney,Ohio))、及びプレスウィップ(Preswhip)(ホソカワ・ミクロン・グループ(Hosokawa Micron Group)、日本、大阪市)が挙げられる。
【0075】
エアレーションは、沸騰システムによる現場ガス発生によって(二酸化炭素(CO
2(g))の発生を含む1つ以上の成分の化学反応によって)化学発泡剤を使用して達成されもよい。更に他の選択肢は、イソペンタン、ペンタン、イソブテン、エタノールなどを含むが、これらに限定されない、低沸点炭化水素やアルコールなどの揮発性発泡剤によるエアレーションである。
【0076】
一実施形態では、予混合物は、エアレーションプロセスの直前に、周囲温度より高いが、成分のいずれかの望ましくない劣化を引き起こす温度より低い温度で予熱される。一実施形態では、予混合物は、約40℃より高く約99℃より低い温度、別の実施形態では約50℃より高く約95℃より低い温度、別の実施形態では約60℃より高く約90℃より低い温度で維持される。一実施形態では、周囲温度での予混合物の粘度は、約20,000cps〜約150,000cpsであり、任意選択の連続加熱は、エアレーション工程前に利用されなければならない。別の実施形態では、エアレーション中に高温を維持しようとするためにエアレーションプロセス中に追加の熱が加えられる。これは、1つ以上の面からの伝導加温、蒸気の注入、周囲湯浴、又は他の加工手段によって行うことができる。
【0077】
一実施形態では、気泡化予混合物の湿潤密度範囲は、約0.12g/cm
3〜約0.50g/cm
3、別の実施形態では約0.15g/cm
3〜約0.45g/cm
3、別の実施形態では約0.20g/cm
3〜約0.40g/cm
3、更に別の実施形態では約0.25g/cm
3〜約0.35g/cm
3である。
【0078】
C.湿潤気泡化加工混合物の形成
湿潤気泡化加工混合物の形成は、(i)気泡化混合物を、アルミニウム、テフロン(登録商標)、金属、HDPE、ポリカーボネート、ネオプレン、ゴム、LDPE、ガラスなどを含む非干渉性かつ非粘着性の表面を含む所望の形状とサイズの型に付着させること、(ii)他の場合にはデンプン成形技術として知られる、気泡化混合物を浅いトレーに収容された乾燥粒状デンプンに刻み込まれたキャビティ内に付着させること、並びに(iii)気泡化混合物を、後で打ち抜き、切断し、エンボス加工し、又はロールで貯蔵できる非干渉性又は非粘着性の材料のテフロン(登録商標)、金属、HDPE、ポリカーボネート、ネオプレン、ゴム、LDPE、ガラスなどを含む連続したベルト又はスクリーン上に付着させることを含むが、これらに限定されない、所望の形状の混合物を形成するのに適した任意の手段によって達成されてもよい。
【0079】
D.多孔質溶解性固体基材内への湿潤気泡化加工混合物の乾燥
形成された湿潤気泡化加工混合物の乾燥は、(i)制御された温度と圧力又は雰囲気条件を有する空間を有する乾燥室、(ii)制御された温度と必要に応じて湿度を有する非対流又は熱対流炉を含む炉、(iii)トラック/箱型乾燥機、(iv)多段直列乾燥機、(v)衝突炉、(vi)回転炉/乾燥機、(vii)直列焙焼炉、(viii)高速伝熱炉及び乾燥機、(ix)デュアルプレナム焙焼炉、及び(x)コンベヤ乾燥機、並びにこれらの組み合わせを限定なしに含む任意の適切な手段によって達成されてもよい。凍結乾燥法を含まない任意の好適な乾燥手段を使用できる。
【0080】
乾燥温度は、約40℃〜約200℃の範囲でよい。一実施形態では、乾燥温度は、100℃〜150℃である。別の実施形態では、乾燥温度は、105℃〜145℃である。別の実施形態では、乾燥温度は、110℃〜140℃である。更なる実施形態では、乾燥温度は、115℃〜135℃である。
【0081】
他の適切な乾燥環境には、マイクロ波乾燥及び高周波(RF)乾燥などの高周波電磁場を使用する「容積加熱」技術が挙げられる。そのような技術の場合、エネルギーが、伝導や対流よりもむしろ、湿潤気泡化予混合物を通って電磁的に伝達される。
【0082】
上述の4種の加工工程のいずれかの間に、又は乾燥プロセスの後でも任意成分を与えることができる。
【0083】
E.無機微粒子香料複合物を含む表面常在コーティングの調製
本発明の無機微粒子香料複合物は、複式非対称遠心ミキサ、Vブレンダ、ダブルコーン・ブレンダ、リボン・ブレンダ、タンブラ・ミキサ、高剪断力ミキサ、マルチ機構ミキサ、パッシブミキサ(スタティックミキサとバッファ型パッシブ・ミキサを含む)、水平回転ドラムミキサ、回転ドラム・ミキサ、流動床式ミキサ、過渡的流動床式ミキサ(Yミキサ、Vミキサ、ジグザグ・ミキサなどを含む)、自由落下タンブルミキサなどを含むが、これらに限定されない、市販のミキサを含む様々な混合手段によって、混合物が均一な混合物になるまで、香料油を無機材料に混合することによって調製することができる。必要に応じて、得られた混合物の粒径は、ハンマミリング、衝撃ミリング、ボールミリング、又は流体エネルギー・ミリングなどの市販の粉砕技術を、所望の粒径分布が達成されるまで使用して、サイズを小さくすることができる。
【0084】
あるいは、本発明の無機微粒子香料複合物は、噴霧乾燥によって調製することができ、香料は、高剪断力(任意選択の乳化剤を含む)下で無機材料を含む水性組成物内で分散又は乳化され、微粉に噴霧乾燥される。任意選択の乳化剤には、アラビアゴム、特別に改質されたデンプン、又は噴霧乾燥技術で教示されているような他の界面活性剤が挙げられる(Flavor Encapsulation,Sara J.Risch及びGary A.Reineccius編集、9ページ、45〜54(1988)を参照されたい。この文献は、引用により本明細書に組み込まれる)。
【0085】
本発明の無機微粒子封入剤を製造する他の既知の方法には、流動床凝塊形成法、押し出し形成法、冷却/結晶化法、及び界面重合を促進する相間移動触媒の使用が挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
あるいは、香料油を、様々な機械的混合手段(噴霧乾燥、粉砕、ミリングなど)によって、あらかじめ作成された無機微粒子粉末に吸収させるか、又は組み合わせることができる。一実施形態では、ペレット又は粒又は他の固体ベースの形態の無機材料(残留溶剤と可塑剤を含む、供給元から供給されるような任意のわずかな不純物を含む)を、例えばグラインダ又はハンマミルなどの様々な機械的手段によって、香料がある状態で微粉末に粉砕又はミリングしてもよい。
【0087】
一実施形態では、本発明の表面常在コーティングは、約1μm〜約200μm、別の実施形態では約2μm〜約100μm、及び更に別の実施形態では約3μm〜約50μmの粒径を有してもよい。
【0088】
幾つかの実施形態では、微粒子複合物形成プロセス又は形成後の微粒子複合物中に、例えば商標名DRY−FLO(登録商標)PCでAkzo Nobelから入手可能なオクテニルコハク酸デンプンアルミニウムなどの不活性充填剤を、粉末の流れ特性を改善しかつ粉末の作成又は取り扱い中の粒子間の固着又は凝集をなくすのに十分なレベルで含めることができる。微粒子複合物の形成プロセス中において、本明細書に記載されたような他の任意選択の賦形剤又は美容活物質を粉末に組み入れることができる。得られた粉末は、また、他の不活性粉末、本明細書に記載されたような不活性材料又は他の粉末活性複合物と混ぜ合わされてもよい。
【0089】
F.無機微粒子香料複合物を含む表面常在コーティングと多孔質溶解性固体基材の組み合わせ
パーソナルケア物品の一部を形成するように、無機微粒子香料複合物を含む表面常在コーティングをパーソナルケア物品に適用させるために、任意の適切な適用方法を使用することができる。例えば、多孔質溶解性固体基材は、無機微粒子香料複合物を含む表面常在コーティングが多孔質固体に付着し易くするために、粉末の適用前に多孔質溶解性固体基材の表面を特定の含水率まで乾燥させることによって、粘着面を有することができる。一実施形態では、多孔質溶解性固体基材は、約0.1%〜約25%、一実施形態で約3%〜約25%、別の実施形態では約5%〜約20%、及び更に別の実施形態では約7%〜約15%の含水率に乾燥される。あるいは、前もって乾燥した溶解性多孔質固体基材の表面を、粉末の適用前に、平衡状態に達するまでの特定の時間期間、制御された湿度環境内で所望レベルの大気水分を可逆的に吸収させることができる。一実施形態では、湿度環境は、相対湿度約20%〜約85%、別の実施形態では相対湿度約30%〜約75%、及び更に別の実施形態では相対湿度約40%〜約60%に制御される。
【0090】
別の実施形態では、多孔質溶解性固体基材は、粉末を収容するバッグ、トレー、ベルト、若しくはドラム内に入れられるか又は別の方法で粉末にさらされ、粉末を適用し分散させるために、バッチ方式又は連続生産方式で攪拌され、回転され、ブラシ掛けされ、振動され、又は揺すられる。他の粉末適用方法には、粉末ふるい、静電塗装、トライボ・チャージング(tribo charging)、流動床式、粉体被覆ガン、コロナ・ガン、タンブラ、静電気流動床、静電磁気ブラシ、及び/又は粉末噴霧室がある。無機微粒子香料複合物を含む表面常在コーティングは、多孔質溶解性固体基材の外側面の一部分又は全領域に適用されてもよく、また例えば修飾し、化粧し、ロゴを形成し、デザインするように適用されてもよい。
【0091】
V.試験方法
A.溶解速度
本発明のパーソナルケア物品は、水と共に使用する際にパーソナルケア物品が素早く崩壊できるようにする溶解速度を有する。パーソナルケア物品の溶解速度は、下記の方法により決定される。
【0092】
手溶解法:0.5〜1.5g(厚さ3〜10mmのシート/パッド形態の場合、約10〜20平方センチメートル)のパーソナルケア物品(本明細書の実施例に記載されたような)を、ニトリル手袋をはめたままの手のひらに置く。パーソナルケア組成物に、7.5cm
3の水道のお湯(約30℃〜約35℃まで)を注射器で素早く加える。円運動を用いて、溶解が発生するまで1度に2ストローク手のひらをこすり合わせる(30ストロークまで)。手溶解値は、完全に溶解するのに要するストロークの回数として、又は最大30回のストロークとして記録する。後者のシナリオの場合、不溶解材料の重さを更に記録する。
【0093】
本発明のパーソナルケア物品は、約1〜約30ストローク、一実施形態では約2〜約25ストローク、別の実施形態では約3〜約20ストローク、及び更に別の実施形態では約4〜約15ストロークの手溶解値を有する。
【0094】
B.厚さ
パーソナルケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材の厚さは、Mitutoyo Corporation Digital Disk Stand Micrometer Model Number IDS−1012E(Mitutoyo Corporation,965 Corporate Blvd,Aurora,IL,USA 60504)等のマイクロメータ又は厚さ計を使用して得られる。マイクロメータは、直径2.54cm(1インチ)、重さ約32グラムのプラテンを有し、約6.32gm/cm
2(40.7phi)の適用圧力において厚みを測定する。
【0095】
パーソナルケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材の厚さは、プラテンを上げ、プラテンの下のスタンド上に試料の一部分を配置し、プラテンを試料と接触するまで注意深く下げ、プラテンを解放し、試料の厚さを数値表示装置上でミリメートル単位で測定することによって測定される。試料は、平坦でない剛性の高い試料の場合を除き、厚さができるだけ低い表面圧力で測定されるように、プラテンの全ての縁まで完全に延在されなければならない。完全には平坦でない剛性の高い試料の場合、試料の平らな部分上で衝突するプラテンの一部分だけを使用して試料の平坦な縁が測定される。パッド又はストリップに対して、第3次元以上を備える円筒状、球状、又は他の物体の場合は、厚みは、最短寸法の最大距離、つまり、例えば球状又は円筒状の直径、として取られ、厚みの範囲は上述と同じである。
【0096】
C.基本重量
パーソナルケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材の基本重量は、特定のパーソナルケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材の単位面積当たりのパーソナルケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材の重量として計算される(グラム/m
2)。面積は、パーソナルケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材の外縁に垂直な平坦面上の投影面積として計算される。平らな物体に対しては、面積は、したがって試料の外側周囲内に取り囲まれている面積に基づいて計算される。球状物体に対しては、面積は、したがって3.14×(直径/2)
2として平均直径に基づいて計算される。円筒状物体に対しては、面積は、したがって直径×長さとして平均直径及び平均長さに基づいて計算される。イレギュラーな形状の3次元物体に対しては、面積は、この側面に直角に方向付けられた平坦表面上に投影される最大の外側寸法を備える側面に基づいて計算される。
【0097】
D.固体密度
本明細書に記載されたパーソナルケア組成物の多孔質溶解性固体基材は、固体密度を決定する観点から特徴付けることができる。
【0098】
多孔質溶解性固体基材の固体密度は、固体の重量を固体の既知の体積で割ることによって決定することができる。固体の既知の体積は、乾燥プロセス中の収縮又は膨張を考慮するために、既知のx−y寸法の型内で固体を作成しかつ得られた厚さを測定することを含む幾つか技法によって決定することができる。また、固体は、円形又は正方形の打抜型の既知の直径を使用し、次に厚さを測定することによって、既知のx−y寸法に切断されてもよい。あるいは、大きな厚さ変化がない場合は、式:計算密度=多孔質固体の基本重量体/(平均多孔質固体厚さ×1,000)によって密度を計算することができる。
【0099】
E.気泡間接続性
本発明のパーソナルケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材は、高度の気泡間接続性を有し、即ち、大部分が独立気泡固形発泡体と反対に大部分が連続気泡固形発泡体である。気泡間接続性は、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡、マイクロコンピュータ断層撮像パラメータ(星形体積とSMI指数)、ガス比重びん法パラメータ(gas pyncnometry parameter)(%連続気泡)、又は他の適切な方法によって評価することができる。
【0100】
気泡間接続性を決定する定性的方法は、光学顕微鏡によるものである。これは、通常のx−y最大面を横切って測定されたパーソナルケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材の幅2〜3mmのスライバ(sliver)を、はさみ又は鋭利な刃物を用いてz方向に切断し、得たスライバを90度回転させて、新しく切断された断面領域の内部気泡構造を明らかにすることによって行われる。この断面領域は接近しての目視観察か、又はより正確にはOlympus Olympus America Inc.,Center Valley,PAから入手可能なSZX12 Stereo microscopeなどの立体顕微鏡での倍率を選択することで評価することができる。本発明の連続気泡パーソナルケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材は、断面の深さを通る第3次元を含んで互いに相互接続される支柱のまわりの空所を有する大部分に支柱の三次元網を含む断面領域の内部を調べることによって容易に識別することができる。対照的に、独立気泡発泡体の内部断面は別個の気泡として現れることがあり、別個の気泡は横切って切断されて、切断プロセスは切断領域の露出を生じさせるという理由から、次いで断面表面でのみ2次元で内部接続されるだろう。
【0101】
気泡相互接続性を決定する別の手段は、星形体積と構造モデル指数によるものである。直径約4cmで高さ3〜7mmの円盤状試料が、マイクロコンピュータ断層撮影システム(μCT80,SN 06071200,Scanco Medical AG)を使用して走査される。各試料を、円筒型の管の底の上に平らに座っている間に撮像する。画像取得のパラメーターは、視野45kVp、177μA、51.2mm、集積時間800ms、1000投影である。スライスの数は、試料の高さをカバーするように調節する。再生されるデータセットは、25μmの等方性解像度を備える各2048×2048ピクセルの画像の積み重ねから成っていた。データ分析には、表面領域を避けて十分に試料以内に入るように関心体積を選択した。典型的な関心体積は1028×772×98ボクセルである。
【0102】
構造モデル指数(SMI)は、スキャンコ・メディカル(Scanco Medical)の骨梁形態計測評価を用いて閾値17で測定する。この指数で、骨梁の構造概観が数量化される。(参照T.Hildebrand,P.Ruegsegger。構造モデル指数を備える骨微細建築の数量化コンプ・メス・バイオメク・バイオメド・エング(Comp Meth Biomech Biomed Eng)1997、1:15〜23)三角表面は極く僅かに正常方向に拡張され、かつ新しい骨表面及び体積が計算される。これにより、骨表面の誘導体(dBS/dr)を決定する。SMIは次に等式によって表される。
【0104】
SMIは、モデルタイプに対する構造物の凸性に関連する。理想的な(平ら)プレートは、0のSMI(プレートの拡張を備える表面変化が全く無い)を有するのに対して、理想的な円筒型棒は3のSMI(棒の拡張を備える表面の線形増加)を有する。丸い球体は4のSMIを有する。凹性構造物は、負のdBS/drを提示し、その結果、負のSMI値をもたらす。関心体積のエッジでの人工的な境界は、計算には含まれず、かつそのため抑制されている。
【0105】
スキャンコ・メディカル(Scanco Medical)分析に加えて、星形体積測定が行われる。星形体積は、二相構造物内の空隙の「開放」の測定である。関心の相(この場合、これはバックグラウンドである)内のランダムに均一分散した1組の点を選択することによって、これらの各点からランダムな方向の線を延ばすことができる。それらの線が最前面相に触れるまで延ばす。それらの各線の長さを次に記録する。それらのランダムな点は、各方向(x/y/z)に10のサンプルを有し、各点で10の角をランダムに選択する。線が関心のROIの境界まで延びる場合、その線は廃棄される(実際に前面相と交差する線だけを受け入れる)。最終的な式は、「骨研究における星形体積。縦断面を使用した柱状骨の組織形態計測的分析」Vesterby,A.;Anat Rec.;1993年2月;235(2):325〜334に公開された研究に基づく。
【0106】
【数2】
「dist」とあるのは単独の距離であり、Nは調べる線の数である。
【0107】
連続気泡含有率は、ガス比重びん法により測定される。ガス比重びん法は、ガス置換法を使用して体積を正確に測定する一般的な分析技法である。ヘリウム、又は窒素のような不活性ガスは、その置換媒体として使われる。試料を既知の体積の計器コンパートメント内に密閉し、適度な不活性ガスを入れ、次に別の精密な内部体積に拡張する。膨張前後の圧力を測定し使用して試料体積を計算する。この体積を試料重量に分割すると、ガス置換密度が分かる。
【0108】
ASTM標準試験法D2856は、より昔のモデルの空気比較比重びんを使用して連続気泡比率を決定する手順を提供する。この装置はもはや製造されていない。しかしながら、マイクロメリティックス(Micromeritics)のアキュピック(AccuPyc)比重びんを用いるテストを実施することにより便利にかつ精密に連続気泡比率を決定することができる。ASTM手順書D2856は、発泡材料の連続気泡比率を決定する5つの方法(A、B、C、D及びE)について述べている。
【0109】
これらの実験のために、ASTM foampycソフトウェアにより窒素ガスを用いるAccupyc 1340を使用して試料を分析することができる。ASTM手順書の方法Cは、連続気泡比率を計算するために使われるべきである。この方法は、カリパスと標準体積計算を使用して決定されたような幾何学的体積を、Accupycによって測定されたような真の体積と単純に比較する。これらの測定は、Micromeretics Analytical Services,Inc.(One Micromeritics Dr,Suite 200,Norcross,GA 30093)によって行われることが推奨される。この技術に関するより多くの情報は、マイクロメレティックス・アナリティカル・サービスズ(Micromeretics Analytical Services)のウェブサイト(www.particletesting.com又はwww.micromeritics.com)上で、又はクライデ・オー(Clyde Orr)及びポール・ウェッブ(Paul Webb)著「微細粒子技術における分析方法(Analytical Methods in Fine particle Technology)」と名付けられた本にて入手できる。
【0110】
F.気泡壁厚さ
パーソナルケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材の気泡壁厚さは、本明細書に記載されたようなマイクロコンピュータ断層撮影システム(μCT80,SN 06071200,Scanco Medical AG)により走査画像から計算される。その気泡壁の厚さは、スキャンコ・メディカル(Scanco Medical)の骨梁形態計測評価を用いて骨梁厚さの測定のために定められている方法に従って決定される。スキャンコ(Scanco)ユーザーマニュアルから引用されるような骨梁厚さの定義。骨梁厚さは、ユークリッドの(Euclidean)距離変換(EDM)を用い、それは最前面相内の任意の点から背景の点までのユークリッド距離を計算する。骨梁厚さは、EDMの極大に関連付けられる中心線の値の2倍を表し、それは物体の中心までの距離(この距離の2倍が厚さを表す)を表す。
【0111】
G.比表面積
パーソナルケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材の比表面積は、気体吸着技術によって測定される。表面積は、分子レベルの極小サイズ規模の固体試料の露出した表面の測定である。BET(ブルノー、エメット、及びテラー(Brunauer, Emmet and Teller))理論は、表面積を決定するのに用いられる最もよく知られているモデルであり、ガス吸着等温線に基づいている。ガス吸着は、物理的な吸着及び毛管凝縮を用いて、ガス吸着等温線を測定する。この技術は、以下の工程によって要約される。試料を試料管に入れ、真空下又は流れるガスの下で熱して試料の表面上の汚染物を除去する。試料重量は、脱ガスした試料と試料管を合わせた重量から空の試料管重量を引くことによって得られる。次に試料管を分析ポート上に置き、分析をスタートする。この分析プロセスの第1の工程は、試料管を排気し、次に液体窒素温度でヘリウムガスを用いて試料管内の自由空間体積を測定する。次に試料は2度目の排気をし、ヘリウムガスを除去する。計器は次に、要求される圧力測定値が達成されるまで、ユーザーが特定する間隔でクリプトンガスを投与することによって吸着等温線を収集し始める。
【0112】
試料調製(脱ガス):吸着汚染物質が十分に除去されていない試料は、分析中にガスを放出し、表面の一部分が測定し難くなる。脱ガスの目的は、分析前に試料の表面から吸着分子を除去することである。真の表面積を明らかにするには、吸着性分子が表面の全ての部分に達しなければならない。試料は、試料管を排気しながら試料を加熱することにより調製される。
【0113】
これらの実験のために、試料は、室温で一晩真空引きで脱ガスされる。試料を次に、クリプトンガス吸着を備えるASAP 2420を用いて分析することができる。クリプトンガスは、液体窒素温度で窒素の約1/300の飽和圧力を有するので窒素ガスより好ましい(クリプトン:333.3Pa(2.5トル);窒素:101.3kPa(760トル))。したがって、窒素と比べると、試料の上の自由空間内に同じ相対圧力で約1/300の数のクリプトン分子がある。単分子層を形成するためにほぼ同数のクリプトン分子と窒素分子が必要なので、この数は、窒素の場合よりもはるかに大きな割合の量が投入されたことを表わす。これらの測定は、Micromeretics Analytical Services,Inc.によって行なうことができる(One Micromeritics Dr,Suite 200,Norcross,GA 30093)。この技術に関するより多くの情報は、マイクロメレティックス・アナリティカル・サービスズ(Micromeretics Analytical Services)のウェブサイト(www.particletesting.com又はwww.micromeritics.com)上で、又はクライデ・オー(Clyde Orr)及びポール・ウェッブ(Paul Webb)著「微細粒子技術における分析方法(Analytical Methods in Fine particle Technology)」と名付けられた本にて入手できる。
【0114】
H.表面常在コーティングの評価
本発明のデンプン香料複合物を含む表面常在コーティングの存在は、幾つか技術によって判定することができる。微粒子又は粉体被覆を検出するために、適用面並びに多孔質溶解性固体基材のより大きい面に垂直な断面を、微視的手法によって調べることができる。そのような微視的手法には、光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡(SEM)が挙げられる。光学顕微鏡法には、明視野、暗視野、又は共焦点顕微鏡法が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。断面上のシリコン等の固有の元素又は四級アンモニウム基などの特殊な官能基をマッピングする他の技術には、飛行時間型二次イオン質量分光法(ToF−SIMS)又は赤外線顕微鏡法が挙げられる。
【0115】
試料を切断せずに多孔質溶解性固体基材の表面から内部までの粒子の分布を調べることができる方法には、マイクロコンピュータ断層撮影法(マイクロCT)、核磁気共鳴映像法(MRI)、音響映像法、共焦点蛍光顕微鏡法、共焦点ラマン分光法、及び共焦点赤外線反射分光法が挙げられる。
【0116】
切断された多孔質溶解性固体基材上の表面常在コーティング粒子の決定は、多孔質固体の切断面全体にわたる粒子の分布を比較することによって行なうことができる。具体的には、表面常在コーティング粒子は、元の固体/空気界面にはあるが、固体の露出した新しく切断された断面内部を分析することによって確認できるように、固体気泡壁の露出した断面内部にはないはずである。多孔質固体の切断プロセスの結果として、新しく切断された断面固体気泡壁内部の汚染が起こることがあることに注意されたい。しかしながら、圧倒多数の表面常在コーティング粒子分布(一実施形態では、約50%〜約100%)が、気泡壁の露出した切断面内部ではなく元の固体/空気界面に生じる。
【0117】
また、本発明の表面常在コーティング粒子が、一般に、全ての露出した固体/空気界面全体に均一に広がらないことに注意されたい。より正確に言うと、本発明の表面常在コーティングが、一般に、重力によってコーティング適用点からキャビテイ内に約0.5〜約3.0mm広がることが分かった。したがって、(前述したような)本発明の美容活物質の表面常在粒子の決定は、多孔質固体の上から下と縁から縁の様々な断面全体に行われなければならない。存在する場合には、表面常在美容活物質粒子は、一般に、コーティングが最初に適用された表面の近傍領域内(表面から約0.5〜約3.0mm以内まで)にある。
【0118】
I.エキスパート香料パネル
後述するように、臭気特性と臭気強度を1〜100段階(無臭から起こり得る最強臭気まで)で評価する3つのエキスパート・パフューマー(expert perfumer)によって、通常のシャンプー・プロトコル・レジメン範囲内で香料性能を定量化するために、エキスパート香料官能パネルが行われる。各パネル内には、小売り液体シャンプー製品が、対照レッグ(Herbal Essences Drama Clean Shampoo,Distributed by Procter & Gamble)として含まれる。
【0119】
エキスパート香料パネルの評価が、5.9g/cm(15g/10インチ)の平坦で艶のある未使用の毛髪かつらに行なわれる。毛髪かつらを、シャワー・ノズルを使って5.7〜7.6L/分(1.5〜2.0ガロン/分)の37.8℃(100°F)の水道水で20秒間すすぐ。液体対照製品を試験するため、最初に、口が開いたガラスびん内の液体の純粋な製品の匂いを嗅ぐ。次に、手で最初の香料放出を評価するために、あらかじめ濡らした手のひらに5cm
3の液体製品を適用する。次に、液体を、手のひらでかつらの中心に適用し、かつらの匂い評価用の泡立てのために両手で下方への動きで40秒間かつらを繰り返し擦り絞って、泡立てる。次に、かつらを、45秒間よくすすぎ、濡れた毛髪の匂いを評価する。更なる評価には、4時間の湿った毛髪の匂い、24時間の乾いた毛髪の匂い、及び24時間の再び濡れた匂いがある。
【0120】
本発明の溶解性多孔質固体を試験するとき、5cm
3の液体の代わりに、パッドの形の1つの基材(約1.0〜1.1g)を使用する。溶解性多孔質固体を試験するために、最初に、新しく開けた包み紙のパッドの純粋な製品の匂いを嗅ぐ。次に、パッドをあらかじめ湿らした手のひらに乗せ、手での最初の香料放出評価のために、固体が完全に溶けるまで手のひらで擦りながら(4〜8ストローク)37.8℃(100°F)の7.5mLの水道水で薄める。次に、得られた液体の混合物を手のひらでかつらの中心に適用し、かつらの臭気評価用の泡立てのために、両手で下方への動きで毛髪からつを繰り返し擦り絞って40秒間泡立てる。次に、かつらを45秒間よくすすぎ、前述のように、濡れた毛髪の匂い、4時間の湿った毛髪の匂い、24時間の乾いた毛髪の匂い、及び24時間の再び濡れた匂いを評価する。
【0121】
IV.使用方法
本発明の組成物は、毛髪及び/又は頭皮などの哺乳類ケラチン組織を処理するために使用され、また迅速なすすぎ性能を提供することがある。毛髪を調製する方法は、a)有効量のパーソナルケア製品を手に適用する工程、b)パーソナルケア製品を水で濡らし擦って固体を溶かす工程、c)溶けた物質を処理する毛髪又は頭皮に適用する工程、及びd)薄めた処理剤を水を使用して毛髪又は頭皮からすすぐ工程を含んでもよい。これらの工程は、所望のトリートメント効果を達成するために所望に応じて何度でも繰り返すことができる。
【実施例】
【0122】
以下の実施例は、本発明の範囲内にある実施形態を更に説明し、かつ、実証する。これら実施例は、例示目的のためにのみ提供され、しかも、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、それらの多くの変更が可能であることから、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。別段の指定がない限り、例示される量は全て、全組成物の重量を基準とした濃度、即ち、重量/重量百分率である。
なお、実施例1、2、8は参考例とする。
【0123】
実施例1:多孔質溶解性固体基材の調製
以下の界面活性剤/高分子液体加工組成物は、下の表1に示したような重量割合で調製される。
【0124】
【表1】
1Sigma−Aldrich Catalog No.363081,MW 85,000〜124,000,87〜89%加水分解
2McIntyre Group Ltd,University Park,IL,Mackam HPL−28ULS
3UCARE(商標)Polymer LR−400、Amerchol Corporation(Plaquemine,Louisiana)から入手可能
【0125】
目標重量300グラムの上記組成物を、従来のオーバーヘッド攪拌機(IKA(登録商標)Works,Inc.,Wilmington,DEから入手可能なIKA(登録商標)RW20DZM攪拌機)とホットプレート(Corning Incorporated Life Sciences,Lowell,MA)の使用により調製する。適切なサイズの清浄した容器に、蒸留水とグリセリンを100〜150rpmで攪拌しながら加える。次に、カチオン高分子(存在するとき)を、均質になるまで一定速度で攪拌しながらゆっくりと加える。ポリビニルアルコールを好適な容器に計量し、目に見える塊が形成されるのを避けてスパチュラを用いて攪拌し続けながら少しずつ主混合物にゆっくりと加える。混合速度は泡が形成されるのを最小限度に抑えるように調整する。混合物を80℃までゆっくり加熱し、その後で界面活性剤を加える。次に、攪拌し続けながら混合物を85℃に加熱し、次に室温まで冷やす。蒸発で失われた水を補うために追加の蒸留水を加える(容器の最初の自重を基本にして)。最終的なpHは5.2〜6.6であり、必要であればクエン酸で調整するか又は水酸化ナトリウムで希薄する。得られた加工混合物の粘度を測定する。
【0126】
下の表2に示したように、上記の液体加工混合物から多孔質溶解性固体基材(本明細書の実施例では「基材」とも呼ばれる)を調製した。
【0127】
【表2】
【0128】
300gの加工混合物(実施例1から)を、70℃の対流式オーブンに2時間以上入れて加工混合物を予熱する。次に、混合物を、平らな回転刃の取り付け物と70〜75℃の水道水を入れた水槽アタッチメントが装着されたKITCHENAID(登録商標)Mixer Model K5SS(Hobart Corporation,Troy,OHから入手可能)の予熱した4.7L(5クオート)ステンレス鋼のボウルに移す(70℃の炉に15分以上に入れる)。混合物を、約0.26g/cm
3の湿潤密度になるまで最大速度設定10で強くエアレーションする(表に記録された時間)。既知の体積を有するカップで充填物を秤量し、カップの上をへらで平らにならすことによって、密度を測定する。次に、得られた気泡化混合物を、深さ6.5mmの正方形160mm×160mmのアルミニウム型内にへらで広げ、余分な濡れた泡を、大きな金属へらの真っ直ぐの縁を45度の角度で保持し型表面全体にわたって均一にゆっくりと引っ張って除去する。次に、アルミニウム型を130℃の対流式オーブンに約35〜45分間入れる。型を室温まで冷やした後、薄いへらとピンセットを利用して、実質的に乾燥した多孔質溶解性固体基材を型から取り出す。
【0129】
得られた160mm×160mmの正方形基材をそれぞれ、打抜型とSamco SB20切断装置を使用して、9個の43mm×43mm正方形(丸い縁を有する)に切断する(各正方形は、約16.9cm
2の表面積である)。次に、得られた小さい基材を、室内雰囲気に開けたままにした大きなジップロック・バッグに入れ、21.1℃(70°F)、相対湿度50%に維持した一定の環境空間内で一晩(14時間)平衡状態にする。次に、各基材を秤量し、元の型面を下向きにした状態で個々の量り皿上に乗せる。平均基材重量を記録し、平均基材重量を0.00169平方メートルで割って基本重量を計算する。得られた基材の厚さをデジタル・カリパスで測定し記録する。バッグを相対湿度50%の環境内で密閉する。
【0130】
実施例2:多孔質溶解性固体基材の構造特徴
下の表3は、実施例1の多孔質溶解性固体基材に関して得られた構造測定値と定性物理完全性定格の一覧である。また、より低密度の物品のSEM及びマイクロCT画像を撮影し、添付図面で参照する。データは本明細書に記載の方法によって収集された。
【0131】
【表3】
【0132】
上記のデータと参考画像は、実施例1の多孔質溶解性固体基材が、大部分連続気泡でありかつ良好な物理完全性を有することを示す。同様に、大部分連続気泡の多孔質溶解性固体基材は、また、本明細書に記載されたような模擬的な手溶解プロトコル内で素早い溶解性能(6〜8ストローク)を示す。
【0133】
比較例3:香料1aと副香料2aの表面被覆β−シクロデキストリン複合物とを含む多孔質溶解性固体基材シャンプー
実施例1からの多孔質溶解性固体基材シャンプー「基材」(及び、対応する量り皿)を、密封したビニール袋から取り出し、4プレース秤量天秤(4 place weigh balance)でゼロ重量にして風袋を差し引く。ドラフト内で、基材を、約60度の角度で乗ったステンレス鋼イーゼルに取り付け、このイーゼルは、基材がずり落ちないように保持するノッチと、イーゼルから押し出すことによって基材を支持具から容易に取り出せるように適所に穴とを有する。基材の上面(乾燥炉内で空気にさらされた側で、乾燥プロセス中にアルミニウム型と直接接触していた側の反対面)が、イーゼルと反対を向いていることが重要である。ポンプ・スプレーを備えた小さなガラスびんを主香料油1aで満たし、次に5.1〜7.6cm(2〜3インチ)の距離から基材の表面に噴霧する。次に、基材をイーゼルから取り外し、上方が上向きの状態で天秤の量り皿に戻す。加えた香料の重量を記録し、目標重量に達しない場合は、別の噴霧量を加えるか、キムワイプで余分な香料を基材から吸収する。この反復プロセスを目標重量範囲になるまで繰り返す。加える香料1aの量が下の表に記録されている。小さな量り皿に乗っている得られた基材を、ジップロック・バッグ内に収納し、大気から密閉する。上記のプロセスを、実施例1からの第2の基材に繰り返す。
【0134】
その後で、量り皿内の第1の基材をジップロック・バッグから取り出し、再び4プレース秤量天秤でゼロ重量にして風袋を差し引く。次に、副香料のβ−シクロデキストリン複合物の高効果香料アコード2a(8.50重量%の包接化合物と複合され、「Oil Encapsulation」と題して2005年5月19日にDecknerらによって出願された出願による噴霧乾燥プロセスにより調製された高効果香料アコード)を、各基材の表面に適用する。過剰な香料包接化合物を含むトレー(又は、他の適切な容器)内での基材を左右に10回ゆっくりと揺すって、基材に香料包接化合物粉末を被覆する(このプロセスを反対側に繰り返す)。次に、得られた粉末コーティング基板をつまみ上げ(手袋をはめた手で)、ゆっくりと揺すり、何度か軽く叩いて、基材にしっかりと付着していない余分な粉末を除去する。副香料の高効果アコード2aのβ−シクロデキストリン複合物の得られた重量が、下の表に記録されている。次に、量り皿内の多孔性基材をジップロック・バッグに戻し、大気から密閉する。この粉末適用プロセスを第2の基材に繰り返す。
【0135】
得られた最終的な重量を下の表に示す。
【0136】
【表4】
【0137】
実施例4:香料1aと副香料2aの表面被覆ケイ酸カルシウム複合物とを含む多孔質溶解性固体基材シャンプー
副香料2aの本発明の無機微粒子香料複合物(ケイ酸カルシウムを含む)は、Flacktek Speemixer(商標)DAC400FV(HAUSCHILD,Waterkamp 1,509075 Hamm,Germanyから)と4プレース秤量天秤を使用して調製される。5gのケイ酸カルシウム(Hubersorb 600がHuber Engineered Materials,Havre de Grace,MDによって供給され、供給元によって、475cc/100gの吸油量、6マイクロメートルの平均粒径、300m
2/gのBET表面積、及び128.1g/L(8lbs/CFT)のかさ密度を有することが報告されている)を、Flacktek Speedmixerの60マックスジャーに入れて秤量する。次に、5gの副香料油2aを秤量してピペットを使用して同じ60マックスジャーに入れる。次に、ジャーを対応する蓋で塞ぎ、2750rpmで約60秒間高速混合する。これにより、高効果香料アコード2aが、約50重量%の複合物と複合され、その結果、流動性微粉末の形態の複合物が得られる。
【0138】
多孔質溶解性固体基材シャンプーは、副香料2aのβ−シクロデキストリン複合物が副香料2aのケイ酸カルシウム複合物と置き換えられていること以外、実施例3で述べたものと同じ配合と手順に従って調製される。得られた最終的な重量を下の表に示す。
【0139】
【表5】
【0140】
実施例5:香料1bと副香料2bの表面被覆ケイ酸カルシウム複合物とを含む多孔質溶解性固体基材シャンプー
副香料2bのケイ酸カルシウム複合物は、副香料2aが副香料2bと置き換えられている以外、ケイ酸カルシウムを含む実施例4と同じ方法で調製される。これにより、高効果香料アコード2bが、約50重量%の複合物と複合され、その結果、流動性微粉末の形の複合物が得られる。
【0141】
多孔質溶解性固体基材は、香料1aが異なる香料1bと置き換えられ、また副香料2aのβ−シクロデキストリン複合物が副香料2bのケイ酸カルシウム複合物と置き換えられていること以外、実施例3で述べたものと同じ配合と手順に従って調製される。得られた最終的な重量を下の表に示す。
【0142】
【表6】
【0143】
実施例6:香料1cと副香料2cの表面被覆ケイ酸カルシウム複合物とを含む多孔質溶解性固体基材シャンプー
副香料2cのケイ酸カルシウム複合物は、副香料2aが副香料2cと置き換えられていること以外、ケイ酸カルシウムを含む実施例4と同じ方法で調製される。これにより、高効果香料2cアコードは、約50重量%の複合物と複合され、その結果、流動性微粉末の形態の複合物が得られる。
【0144】
多孔質溶解性固体基材は、香料1aが異なる香料1cと置き換えられ、また副香料2aのβ−シクロデキストリン複合物が副香料2cのケイ酸カルシウム複合物と置き換えられていること以外、実施例3で述べたものと同じの配合と手順に従って調製される。得られた最終的な重量を下の表に示す。
【0145】
【表7】
【0146】
実施例7:香料1cと副香料2bの表面被覆ケイ酸カルシウム複合物とを含む多孔質溶解性固体基材シャンプー
副香料2bのケイ酸カルシウム複合物は、実施例5で調製された副香料2bのケイ酸カルシウム複合物と同じである。
【0147】
多孔質溶解性固体基材は、香料1bが異なる香料1cと置き換えられていること以外、実施例5で述べたものと同じ配合と手順に従って調製される。得られた最終的な重量を下の表に示す。
【0148】
【表8】
【0149】
実施例8:副香料2dの表面被覆シリカシェル複合物を含む多孔質溶解性固体基材シャンプー
副香料2dのシリカシェル複合物は、コードSS13MでKobo Inc.から得られた(690 Montrose Ave.,South Plainfield NJ07080)。高効果香料アコード2dは、供給元から約75重量%の複合物で複合されていることが報告されており、得られた複合物は、流動性微粉末の形態であった。
【0150】
多孔質溶解性固体基材は、香料1aがなく、また副香料2aのβ−シクロデキストリン複合物が副香料2dのシリカシェル複合物と置き換えられていること以外、実施例3に述べたものと同じ配合と手順に従って調製された。得られた最終的な重量を下の表に示す。
【0151】
【表9】
【0152】
エキスパート香料官能パネル評価
下の表は、香料1aと副香料2aのβ−シクロデキストリン複合物の両方を含む多孔質溶解性固体基材シャンプーを、香料1aと実施例3及び実施例4で述べた副香料2aのケイ酸カルシウム複合物の両方を含む多孔質溶解性固体基材シャンプーと比較するエキスパート香料官能パネル・データの一覧である。データは、本明細書で述べた方法によって収集された。
【0153】
【表10】
【0154】
上記のデータは、シャンプー液体対照と比較して、多孔質溶解性固体基材が水に溶解する際(初期溶解と完全希釈)のβ−シクロデキストリン複合物とケイ酸カルシウム複合物の両方の香料の主なパネル知覚可能な移行を示す。更に、両方の香料複合物で調製された基材から得られた毛髪上の香料の寿命は、湿潤時、6時間及び24時間の時点で液体シャンプー対照に対してより強力なものとして知覚され、ケイ酸カルシウム複合物ではβ−シクロデキストリン複合物に対して方向性の改善が見られる。上記のデータは、本発明の無機微粒子(ケイ酸カルシウム)香料複合物から、分子包接化合物(β−シクロデキストリン)に対して類似の性能を得ることができることを示す。
【0155】
下の表は、実施例5、実施例6及び実施例7で述べたような異なる主香料と異なる副香料のケイ酸カルシウム複合物とを含む多孔質溶解性固体基材シャンプーを比較するエキスパート香料官能パネル・データの一覧である。データは、本明細書で述べた方法によって収集された。
【0156】
【表11】
【0157】
上記のデータは、シャンプー液体対照と比較して、2つの異なる副香料のケイ酸カルシウム複合物と2つの異なる主香料(初期溶解と完全希釈)との組み合わせとで調製された基材の香料の主なパネル知覚可能な移行を示す。更に、ケイ酸カルシウム複合物で調製された基材から得られた毛髪上の香料の寿命は、湿潤時、6時間及び24時間の時点で液体のシャンプー対照に対してより強く知覚される。上記のデータは、本発明の表面常在無機微粒子(ケイ酸カルシウム)香料複合物の汎用性を示す。
【0158】
下の表は、実施例8で述べたような副香料のシリカシェル複合物を含む溶解性多孔質固体のシャンプーに関するエキスパート香料官能パネル・データの一覧である。データは、本明細書で述べた方法によって収集された。
【0159】
【表12】
【0160】
上記のデータは、液体シャンプー対照に対する、4時間及び24時間の時点での副香料の表面被覆シリカ複合物を含む多孔質溶解性固体基材シャンプーからの毛髪上の方向的に改善された香料の寿命を示す。上記のデータは、主香料がない場合の、本発明の様々な無機微粒子(シリカ・シェル)香料複合物の有効性を示す。
【0161】
本明細書に開示された任意の活物質及び/又は組成物は、優先権を主張する任意の出願を含む米国特許出願(米国特許出願第61/229981号、同第61/229986号、同第61/229990号、同第61/229996号、同第61/230000号、及び同第61/230004号)に開示された物品、及び詳細にはハウスホールドケア物品に使用できることに注意されたい。そのような物品は、洗浄剤性界面活性剤、可塑剤、酵素、泡立ち抑制剤、泡立ち促進剤、漂白剤、漂白安定剤、ケラント(chelant)、洗浄溶剤、向水性剤、二価イオン、繊維柔軟剤(例えば、第4級アンモニウム化合物)、非イオン性界面活性剤、香料、及び/又は香料送達システムのうちの1つ以上を含んでもよい。そのような物品は、洗濯機に投入して繊維を洗浄しかつ/又は処理する方法、食器洗い機に投入して食事用器具類を洗浄しかつ/又は処理する方法、水に投入して繊維及び/若しくは硬表面を洗浄しかつ/又は処理する方法を含むが、これらに限定されない方法に利用されてもよい。
【0162】
引用された全ての文書は、関連部分が、引用により本明細書に組み込まれ、文書の引用はいずれも、本発明と関連した先行技術であるという容認として解釈されるべきない。
【0163】
本発明の特定の実施形態について説明し記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正が可能であることが当業者には自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。