特許第5730799号(P5730799)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5730799
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】放射線測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/20 20060101AFI20150521BHJP
【FI】
   G01T1/20 C
   G01T1/20 B
   G01T1/20 L
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-41042(P2012-41042)
(22)【出願日】2012年2月28日
(65)【公開番号】特開2013-178109(P2013-178109A)
(43)【公開日】2013年9月9日
【審査請求日】2014年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鳥谷部 祐
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 孝雄
【審査官】 関根 裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−080160(JP,A)
【文献】 特開2000−258539(JP,A)
【文献】 特開2006−017994(JP,A)
【文献】 特開2008−256630(JP,A)
【文献】 特開2005−032634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/20
G21C 17/00
G21C 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンチレータからの発光を光電変換装置で電気信号に変換し、放射線情報を取得する放射線測定装置において、
前記シンチレータと、シンチレータと離隔した位置に設置した前記光電変換装置の間を、400℃を超える高温雰囲気下で耐熱性を持つ耐熱材料からなる光伝送系で接続し、該光伝送系の少なくとも一部を格納するとともに該光伝送系の熱的劣化を防止する不活性ガスを充填した金属容器を備え、前記シンチレータの材料をYAlO3、 Y3Al5O12、 LuAlO3、 Lu3Al5O12の少なくとも1つを含むセラミックス系材料から構成したことを特徴とする放射線測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放射線測定装置において、前記光伝送系として複数
の石英ガラス製光学レンズを配列し、シンチレーション光を収束させ光量を低下させずに前記光電変換装置まで伝送することを特徴とする放射線測定装置。
【請求項3】
請求項に記載の放射線測定装置において、前記光伝送系はさらに反射板を有し、該反射板によってシンチレーション光の伝送経路を変更することを特徴とする放射線測定装置。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれかに記載の放射線測定装置において、前記光伝送系を保護する前記金属容器の少なくとも一部にベローズを設けたことを特徴とする放射線測定装置。
【請求項5】
請求項に記載の放射線測定装置において、前記ベローズによって前記石英ガラス製光
学レンズの位置を微調整し、シンチレーション光の収束状態を変更可能とすることを特徴とする放射線測定装置。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれかに記載の放射線測定装置において、前記シンチレータを格納するシンチレータ容器、もしくは前記光伝送系を保護する前記金属容器の内表面を鏡面とし、シンチレーション光を反射させて伝送される光の収率を向上させることを特徴とする放射線測定装置。
【請求項7】
請求項1に記載の放射線測定装置において、前記光伝送系として、石英ガラス製光ファイバーを使用し、前記光電変換装置まで伝送することを特徴とする放射線測定装置。
【請求項8】
請求項1乃至のいずれかに記載の放射線測定装置において、前記光伝送系を保護する前記金属容器に容器内を真空引き及び不活性ガスを加圧する経路を分岐し、該経路に開閉弁を設けたことを特徴とする放射線測定装置。
【請求項9】
請求項に記載の放射線測定装置において、前記金属容器内を真空引き及び不活性ガスで加圧する際に、前記金属容器内の圧力を測定する圧力計を備えたことを特徴とする放射線測定装置。
【請求項10】
請求項1乃至のいずれかに記載の放射線測定装置において、前記光伝送系を保護する前記金属容器は複数に分割され、パッキンを介して一体に組み合わせられることを特徴とする放射線測定装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の放射線測定装置において、前記シンチレータ光量の温度依存性を補正するために、シンチレータ温度を測定する温度計を前記金属容器内に備えたことを特徴とする放射線測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力関連施設や非破壊検査機器、医療用放射線機器を使用するに当たっては、作業員や公衆の安全確保、またはプロセスの状態把握のために、放射線の有無や線量などを測定する必要がある。
【0003】
放射線測定は多種多様な方法が提案されている。多くの場合、放射線測定は放射線が持つ情報を電気信号に変換し、使用者に対して工学値を表示させる機能が要求され、一般にシンチレータ、半導体検出器、電離箱、GM管などが多用される。
【0004】
半導体検出器と電離箱とGM管は、放射線が持つ電離作用を利用して電気信号を取り出す。一方、シンチレータは結晶中に放射線が入射した時に結晶が発光する性質を利用し、光を電気信号に変換する。したがって種々の状況を勘案し、適切な検出器を選ぶことが必要である。
【0005】
上記シンチレータ検出器を使用する際は、通常シンチレータに直結して光電子増倍管、もしくはフォトダイオード等の光電変換装置を設置し、光信号を電気信号に変換する。特定の場所への情報伝達は、主に電気信号を伝送することにより達成される。検出器設置場所の制約から、シンチレータと光電子増倍管を離した場所に設置し、その間をガラスや樹脂パイプからなるライトガイドで接続することがあるが、その光伝達距離は限られる。
【0006】
従来技術において特許文献1には、シンチレータを有する耐熱性容器と、光電子像倍装置と、光ファイバーケーブルを有する放射線測定システムが開示されているが、光伝送系の遮熱、断熱については言及していない。
【0007】
また、特許文献2には、シンチレータと第1ライトガイドと、波長シフトガイドと、第2ライトガイドを備えた放射線測定システムが開示されているが、特許文献1と同じく光伝送系の遮熱、断熱については言及していない。
【0008】
さらに、特許文献3には、音響、振動、回転成分センサとして、光ファイバコイルを収納した不活性ガス封入ケースを有する耐熱性光ファイバコイルセンサが開示されている。ここでは光ファイバコイルセンサの樹脂被膜の酸化分解を防ぐために不活性ガスが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平5−40191号公報
【特許文献2】特開平11−352235号公報
【特許文献3】特開2005−140539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
既存の放射線測定装置では、350℃を超える環境での測定が不可能であり、ケーブル及びコネクタの絶縁材が高温度に耐えられず溶融する。また、半導体検出器やシンチレータに使用する光電子増倍管は、温度上昇と共にノイズが増大するため、高温部を適正な温度に冷却し続ける必要がある。
【0011】
本発明の目的は、例えば400℃以上の高温雰囲気下でも冷却せずに、放射線を連続的に測定可能な測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の放射線測定装置は、シンチレータからの発光を光電変換装置で電気信号に変換し、放射線に関わる情報を取得する放射線測定装置において、シンチレータと、シンチレータと離隔した光電変換装置の間を光伝送させ、光伝送系を金属や石英などの耐熱材料で構成し、かつ光伝送系の少なくとも一部を不活性ガスを充填させた耐熱性の金属容器で保護することにより、耐環境性を向上させ、高温雰囲気下で冷却が不要な、放射線を連続的に測定可能な放射線測定装置を実現するものである。
【0013】
本発明は、シンチレータからの発光を光電変換装置で電気信号に変換し、放射線情報を取得する放射線測定装置において、シンチレータと、シンチレータと離隔した位置に設置した光電変換装置の間を、400℃を超える高温雰囲気下で耐熱性を持つ耐熱材料からなる光伝送系で接続し、光伝送系の少なくとも一部を格納する不活性ガスを充填した金属容器を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、放射線測定装置において、シンチレータの材料をセラミックス系材料から構成したことを特徴とする。
【0015】
また、放射線測定装置において、セラミックス系のシンチレータ(例えばYAlO3、 Y3Al5O12、 LuAlO3、 Lu3Al5O12など)から構成したことを特徴とする。
【0016】
また、放射線測定装置において、光伝送系として複数の石英ガラス製光学レンズを配列し、シンチレーション光を収束させ光量を低下させずに光電変換装置まで伝送することを特徴とする。
【0017】
また、放射線測定装置において、光伝送系はさらに反射板を有し、反射板によってシンチレーション光の伝送経路を変更することを特徴とする。
【0018】
また、放射線測定装置において、光伝送系を保護する金属容器の少なくとも一部にベローズを設けたことを特徴とする。
【0019】
また、放射線測定装置において、ベローズによって石英ガラス製光学レンズの位置を微調整し、シンチレーション光の収束状態を変更可能とすることを特徴とする。
【0020】
また放射線測定装置において、シンチレータを格納するシンチレータ容器、もしくは光伝送系を保護する金属容器の内表面を鏡面とし、シンチレーション光を反射させて伝送される光の収率を向上させることを特徴とする。
【0021】
また、放射線測定装置において、光伝送系として、石英ガラス製光ファイバーを使用し、光電変換装置まで伝送することを特徴とする。
【0022】
さらに、放射線測定装置において、光伝送系を保護する金属容器に容器内を真空引き及び不活性ガスを加圧する経路を分岐し、経路に開閉弁を設けたことを特徴とする。
【0023】
さらに、放射線測定装置において、金属容器内を真空引き及び不活性ガスで加圧する際に、金属容器内の圧力を測定する圧力計を備えたことを特徴とする。
【0024】
さらに、放射線測定装置において、光伝送系を保護する金属容器は複数に分割され、パッキンを介して一体に組み合わせられることを特徴とする。
【0025】
さらに、放射線測定装置において、シンチレータ光量の温度依存性を補正するために、シンチレータ温度を測定する温度計を金属容器内に備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明の放射線測定装置によれば、シンチレータからの発光を光電変換装置で電気信号に変換し、放射線情報を取得する放射線測定装置において、シンチレータと、シンチレータと離隔した位置に設置した光電変換装置の間を、400℃を超える高温雰囲気下で耐熱性を持つ耐熱材料からなる光伝送系で接続し、光伝送系の少なくとも一部を格納する不活性ガスを充填した金属容器を備えたことにより、高温雰囲気下であっても、装置を冷却せずに放射線を連続的に測定可能な放射線測定装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の放射線測定装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施例1の放射線測定装置を示す模式図である。
図3】本発明の実施例2の放射線測定装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の放射線測定装置は、シンチレータ検出器の発光を光伝送系で遠方まで伝送し、光電変換した後、各種信号処理を行う。光伝送は複数配置された光学レンズもしくは光ファイバーで行う。本発明は光伝送系が耐熱材で構成されるため、400℃以上の高温雰囲気下において、放射線を測定装置を冷却せずに連続的に測定することが可能である。
【0029】
以下、図を用いて本発明の実施例を説明する。
【0030】
図1は、本発明の基本的構成を示すブロック図である。シンチレータ1は放射線を観測する場所に設置する。放射線がシンチレータ1に入射すると、シンチレータの材質に特有な波長の光が放射される。光量は放射線のエネルギーや種類にもよるが、シンチレータの種類に依存する。
【0031】
シンチレータ自体の耐熱性を向上するために、シンチレータには高温に強いセラミックス系材料(例えばYAlO3、 Y3Al5O12、 LuAlO3、 Lu3Al5O12など)を用いることが望ましい。シンチレータ1から放射された光を光電変換装置4で電気信号に変換し、電線6を経て、信号処理回路7で工学単位に変換して、測定者に対して表示または指示する。
【0032】
光電変換装置4には光電子増倍管を用いる。シンチレータ1と光電変換装置4は、効率や応答性の面から隣接して設置される。放射線測定場所の制約などから、シンチレータ1と光電変換装置4を離して設置しなければならない時には両者をガラス、樹脂パイプからなるライトガイドで連結していたが、その場合の伝送距離は最大でも数メートルであった。
【0033】
本発明の場合には、さらなる長距離を伝送させるために光伝送部2を設置し、遠方までシンチレーション光を伝送することで、常温雰囲気下での光電変換を可能とする。そのため測定場所と監視場所の距離が離れていても伝送距離の延長が容易である。また、上記の構成は放射線を測定する現場に電気機器を持たないため電源が不要であり、電源による電気的雑音が皆無であるというメリットがある。
【0034】
測定場所が高温の場合には、装置構成部品の焼き付きや、酸化、炭化などの劣化が生じる。これを防ぐため、シンチレータ1と光伝送部2の両方を不活性ガス中に保持する。このようにすれば各構成要素が不活性ガス雰囲気に保持されるため、部品の焼き付きや炭化が発生せず、装置寿命を延ばすことができる。
【0035】
不活性ガスの容器として、金属容器5によってシンチレータ1と光伝送部2を密閉している。伝送した光を容器外に取り出すために、金属容器5には窓3が設置される。光電変換装置4は窓3と直結して設けられる。また、金属容器5には真空引き及び不活性ガスを加圧するための経路が備えられており、開閉弁8により外部と隔離される。
【0036】
本発明は、シンチレータ1周囲の構成が単純であり、検出部を小型化することができ設置場所の制約が小さい。このため、シンチレータ1を測定対象の近傍に設置することが可能である。
【実施例1】
【0037】
図2に、本発明の実施例1において、光伝送部として光学レンズを使用した場合の構成例を示す。シンチレータ容器54内に格納されたシンチレータ1で発生した光は、スリットを有するシンチレータ容器蓋53のスリットを通過し、光伝送部2へ入射する。
【0038】
光伝送部2内では、適切な間隔と数で配置された光学レンズ21により、発散された光が随時収束され遠方へと光伝送される。適切な間隔と数とは、最も光の損失が少ない状態であり、定量的に言い換えれば、シンチレータ1の同一箇所に同一の放射線が入射した時、光電変換装置4の出力が最大となるような間隔と配置とする。
【0039】
光路を曲げる必要がある場合には、反射板22により、所望の方向へ光路が調整される。数度の収束を経て、光は最終的に光電変換装置4へと到達する。
【0040】
耐熱性の観点から、シンチレータ1は望ましくは耐熱性のセラミックス材料(例えばYAlO3、 Y3Al5O12、 LuAlO3、 Lu3Al5O12など)を使用し、光学レンズ2は望ましくは石英ガラスを使用する。ここで、光伝送部2は光学レンズ21と反射板22を含む。また、光伝送系はシンチレータ1、光学レンズ21、反射板22および窓3を含む。
【0041】
測定場所が高温の場合には、測定装置の各構成要素が焼き付いたり酸化もしくは炭化する問題がある。これを回避するため、本発明は、シンチレータ1から窓3までの全部または一部を不活性ガス雰囲気中に保持することを特徴とする。
【0042】
ガスを保持するため、シンチレータ1から窓3までを、SUS等の金属で覆う。シンチレータ1は、シンチレータ容器54で保護される。シンチレータ容器54は、シンチレータ容器蓋53で図示しないボルトにより密封される。シンチレータ容器54とシンチレータ容器蓋53の間はメタルパッキン91でシールし、シンチレータ1が動かないようにスプリング92により押さえつけ、図示しないボルトにより固定密封される。
【0043】
ここで、金属容器5は、図2においてはシンチレータ容器54、シンチレータ容器蓋53、金属管51、ベローズ52、窓容器蓋56、窓3、開閉弁8とメタルパッキン91、Oリング93で封止される領域を示す。窓容器蓋56は光電変換装置4を保持するホルダ機能をもつ。
【0044】
図2には、光伝送系の全てを不活性ガスで保持する例を示したが、本質的には、不活性ガスで保持する範囲は高温部分のみで良く、光伝送系の一部のみを金属容器5で保護し、内部を不活性ガスに保持しても良い。
【0045】
シンチレータ1から放射された光は、シンチレータ容器蓋53を通り抜けて金属管51へ入射する。金属管51は光学レンズ21、反射板22を包含し、窓容器55と接続されている。この間、数箇所にわたりベローズ52が設置される。ベローズ52が伸縮することで、熱膨張による構成部品の破損を防ぐことが可能である。また、ベローズ52により、光学レンズ21の位置を微調整することができ、最適な光の収束条件に調整可能である。ベローズは、金属管51とフランジによりメタルパッキンを使用してシールする。
【0046】
光学レンズ21は、金属管51とベローズ52を接合するフランジ部に設置されるのが望ましい。金属管51を建屋の壁や床面に固定すると、金属容器5が温度上昇により熱膨張してもベローズ52のみが伸縮し光学レンズ21の絶対的位置が変わらないようにすることができる。従って、熱膨張による光収率の変化を補正する必要がなく有利である。
【0047】
窓容器55は、窓3を包含した状態で窓容器蓋56を使用して図示しないボルト締めにより密封される。窓容器蓋56から、緩衝材94を挟んで窓3が押し付けられることで、Oリング93で金属容器内が密封される。緩衝材94は光を遮光する機能も持つ。
【0048】
金属容器内を不活性ガスに置換するため、金属管51には真空引き及び不活性ガス置換用の経路が備えられている。本経路は、不活性ガス加圧後に隔離するために開閉弁8が設けられている。シンチレータ容器54から窓容器蓋56までを組み立てた後、開閉弁8を開として真空ポンプにより金属容器内を排気する。容器内の圧力は圧力計81により監視する。排気後に、Arガス等の不活性ガスを導入する。排気及びガス導入の工程を数回繰り返すことで、金属容器内は完全に不活性ガスに置換される。金属容器内の不活性ガス圧力は、大気圧より若干高めに設定する。
【0049】
測定対象の放射線が強過ぎて、信号処理回路7が飽和してしまう場合には、遮蔽部材9を設置して遮蔽厚さを変化させ、検出器へ入射する放射線量を減少させてから測定を行う。測定雰囲気が高温の場合には、耐熱性の点から遮蔽部材9はタングステンを使用するのがよい。
【0050】
一般にシンチレータの発光量には温度依存性がある。これを補正するため、シンチレータ1の温度を熱電対及び補償銅線からなる温度計95により測定する。温度計95は金属容器5内に設置する。金属容器内外の信号取り出しは、信号取り出し口を常温雰囲気下に置けば、常温用のフィードスルーで十分ある。シンチレータ1の温度を測定することで、あらかじめ測定したシンチレータ1の発光量の温度依存性カーブから、測定値を補正して、正確な値を得ることが可能となる。
【0051】
実用上、シンチレータ容器54とシンチレータ容器蓋53、窓容器55の内面は、光収率を上げるために鏡面加工により磨き面とするのが望ましい。またシンチレータ容器54の内面に曲率を持たせることでさらに集光率を上げることが可能である。
【実施例2】
【0052】
図3に本発明の実施例2の構成を示す。実施例2では、光伝送部2として光ファイバーを使用した場合の例を示す。基本的な構成は図2と同じであり、光学レンズ21と反射板22の代替として光ファイバー23を使用する。光ファイバーは耐熱性の高い石英製とする。光ファイバー23の両端はシンチレータ1と窓3にそれぞれ光学的に接合されている。光ファイバーを用いた場合には、レンズ位置の調整が不要となる。
【0053】
上記した金属容器の各構成要素は、メタルパッキン91やOリング93を使用しボルト締めにより結合する例を記載したが、溶接やその他の接合方法で固定しても構わない。
【符号の説明】
【0054】
1・・・シンチレータ、2・・・光伝送部、3・・・窓、4・・・光電変換装置、5・・・金属容器、6・・・電線、7・・・信号処理回路、8・・・開閉弁、21・・・光学レンズ、22・・・反射板、23・・・光ファイバー、51・・・金属管、52・・・ベローズ、53・・・シンチレータ容器蓋、54・・・シンチレータ容器、55・・・窓容器、56・・・窓容器蓋、81・・・圧力計、9・・・遮蔽部材、91・・・メタルパッキン、92・・・スプリング、93・・・Oリング、
94・・・緩衝材、95・・・温度計
図1
図2
図3