(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水温検知センサーが、前記ヒーター管とセンサー管との密着部位から離間した位置において、センサー管の周側壁内面に接触状態に配置されている、或いは前記センサー管の外部に配置されている請求項1に記載の水中用ヒーター。
温度ヒューズが、前記センサー管内又は前記ヒーター管内のいずれかに設けられ、その断線温度が前記異常温度検知センサーによる通電制御温度より高温に設定されている請求項1または2に記載の水中用ヒーター。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に記載の水中用ヒーターは、ヒーター管の周側壁の内面に異常温度検知センサーを接触状態に配置したことにより、異常温度検知センサーがヒーター管の異常温度上昇を検知して発熱体への通電を停止させて、ヒーターの表面温度の過度の上昇を防止することができるという所期目的を達成したものであるが、ヒーター管内に石英砂を充填するものであることから、異常温度検知センサーの所期する位置への取り付け精度が上がらなかった。
【0006】
この発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたものであり、ヒーター管の異常温度上昇を速やかに検知することができると共に、異常温度検知センサーを所期する位置に取り付け易く取り付け精度を高めることができる水中用ヒーターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、水中用ヒーターは、下記[1]〜[6]の構成を有する。
【0008】
[1] 内部に発熱体を有するヒーター管と、内部に異常温度検知センサーを有するセンサー管とを備え、前記ヒーター管と前記センサー管とが平行状に密着して配置されていることを特徴とする水中用ヒーター。
【0009】
[2] 前記異常温度検知センサーが、前記ヒーター管とセンサー管との密着部位において、前記センサー管の周側壁内面に接触状態に配置されている前項1に記載の水中用ヒーター。
【0010】
[3] 前記異常温度検知センサーが、前記発熱体との対向位置に配置されている前項2に記載の水中用ヒーター。
【0011】
[4] 水温検知センサーが、前記ヒーター管と前記センサー管との密着部位から離間した位置において、前記センサー管の周側壁内面に接触状態に配置されている、或いは前記センサー管の外部に配置されている前項1ないし3のいずれかに記載の水中用ヒーター。
【0012】
[5] 温度ヒューズが、前記センサー管内又は前記ヒーター管内のいずれかに設けられ、その断線温度が前記異常温度検知センサーによる通電制御温度より高温に設定されている前項1ないし4のいずれかに記載の水中用ヒーター。
【0013】
[6] 前記温度ヒューズが、前記密着部位においてセンサー管の周側壁内面に接触状態に配置されている前項5に記載の水中用ヒーター。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以下の効果を奏する。
【0015】
[1]の発明では、内部に発熱体を有するヒーター管と、内部に異常温度検知センサーを有するセンサー管とが、平行状に密着して配置されていることにより、水中用ヒーターが何らかの事情により水槽外へ放り出された場合、周囲環境温度の影響に左右されることなく、異常温度検知センサーがヒーター管の表面温度を速やかに検知し、発熱体への通電を停止させて、ヒーターの表面温度の過度の上昇を防止することができる
即ち、このような構成により異常温度検知センサーの感度を飛躍的に向上させる事ができるので、空焚きになった場合でも比較的低い温度での検知が可能となる。
【0016】
その結果、ヒーター管として従来一般的に使用されている耐熱素材(石英ガラス・ネオセラム(結晶化ガラス)・アルミノシリケートガラス等)である耐熱700℃以上の高価な素材に代わり、材料コストの安いガラス材を使用する事ができるので、コストダウンにも寄与することができる。
【0017】
さらに、異常温度検知センサーがヒーター管とは別体のセンサー管に設けられていることにより、従来の水中用ヒーターのような、ヒーター管に石英砂を充填することによる異常温度検知センサーに対する悪影響を蒙ることがないので、異常温度検知センサーの所期する位置への取り付けが行い易く、取り付け精度を高めることができる。
【0018】
[2]の発明では、異常温度検知センサーが、ヒーター管とセンサー管との密着部位において、センサー管の周側壁内面に接触状態に配置されていることにより、ヒーター管の表面温度をヒーター管に密着しているセンサー管を介して検知できるので、異常温度上昇を速やかに検知して、異常温度上昇時の発熱体への通電を速やかに停止させることができ、ヒーターの表面温度の過度の上昇防止、空焚き防止を行え、安全性の向上に寄与できる。
【0019】
[3]の発明では、異常温度検知センサーが、前記発熱体との対向位置に配置されていることにより、ヒーター管の表面温度をより一層速やかに検知することができる。
【0020】
[4]の発明では、水温検知センサーが、ヒーター管とセンサー管との密着部位から離間した位置において、センサー管の周側壁内面に接触状態に配置されている、或いは前記センサー管の外部に配置されていることにより、ヒーター管からの熱影響を受け難くなるため水温の検知精度が向上する。
【0021】
[5]の発明では、温度ヒューズが、センサー管内又はヒーター管内のいずれかに設けられ、その断線温度が異常温度検知センサーによる通電制御温度より高温に設定されていることにより、異常温度検知センサーによる通電制御以前に断線することがなく、異常温度検知センサーあるいは異常温度検知センサーなどが実装された回路基板の一部に故障が起きた場合の安全装置としての機能を十分に発揮する。
【0022】
[6]の発明では、温度ヒューズが、ヒーター管とセンサー管との密着部位においてセンサー管の周側壁内面に接触状態に配置されていることにより、ヒーター管表面温度をセンサー管の周側壁を介して速やかに検知することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る水中用ヒーターの実施形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0025】
図1は第1実施形態の水中用ヒーターAを示すもので、長さ方向の両端部が閉塞され内部に発熱体2を有するヒーター管1と、長さ方向の両端部が閉塞され内部に異常温度検知センサー14を有するセンサー管11とが、平行状に密着して配置され、その密着部位である各々の周側壁どうしはシリコン系接着剤を介して接着されている。
【0026】
前記ヒーター管1と前記センサー管11とは、いずれも石英ガラスからなる有底筒状のものであって、上端が共通するキャップ20によって液密状態に閉塞されている。
【0027】
前記ヒーター管1の内部には、発熱体を構成するコイル状の発熱線2が二つ折り状にしてマイカシートからなる仕切部5に固定配置されている。
【0028】
仕切部5は、二つ折りされた発熱線2の半体2a、2b間で、一方の半体2aに沿って設けられた仕切部5aと、半体2bの一部が後述の異常温度検知センサー14側に突出するように、仕切部5aに直交して設けられた仕切部5bとからなり、両半体2a、2bを絶縁するために設けられている。
【0029】
仕切部5の下端部には貫通孔が形成されており、発熱線2が貫通孔に嵌通されることによって、発熱線2の下端部側が固定される。
【0030】
前記発熱線の半体2a、2bの各々の上端は,接続端子7、7を介して、センサー管11内のサーモ回路基板12に電気的に接続されている。このサーモ回路基板12に電源コード21が接続されている。
【0031】
尚、サーモ回路とは、ヒーター温度や水槽内の水温などの温度制御を行うための温度制御回路を意味し、サーモ回路基板12とは、温度制御回路が実装された基板を意味する。
【0032】
前記ヒーター管1には、図示省略したが従来の水中用ヒーターのヒーター管と同様に石英砂が充填されている。
【0033】
前記サーモ回路基板12には、
図1に示すように、異常温度検知センサー14、水温検知センサー16、温度ヒューズ18及び制御IC(図示省略)などが配置されている。
【0034】
前記異常温度検知センサー14は、平行状に密着して配置されたヒーター管1とセンサー管11との密着部位におけるヒーター管内部の発熱線2との対向位置においてセンサー管11の周側壁内面に接触状態に配置されている。
【0035】
異常温度検知センサー14は、発熱線2の半体2bの異常温度検知センサー14側に最も突出した部分の対向位置に設けられるので、センサー管11に設けられていてもヒーター管1の温度変化を精度高く検知することができる。
【0036】
前記水温検知センサー16は、前記ヒーター管1とセンサー管11との密着部位から離間した位置、すなわちサーモ回路基板12上の一辺側に設けられた前記異常温度検知センサー14とは対称的な位置であるサーモ回路基板12上の他辺側において、前記センサー管11の周側壁内面に接触状態に配置されている。
【0037】
前記温度ヒューズ18の断線温度は、前記異常温度検知センサー14による通電制御温度より高温に設定されている。
【0038】
この温度ヒューズ18は、前記密着部位において前記センサー管11の周側壁内面に接触状態に配置されると共に、前記異常温度検知センサー14の前記発熱体としての発熱線2との対向位置から前記センサー管11の軸方向に離間した位置に設けられている。
【0039】
上記実施形態の水中用ヒーターAは、使用に際しては、ヒーター管1の全部又は略々全部が水槽内の水中に浸漬されて配置されるものである。
【0040】
而して、前記浸漬状態において、電源コード21を商用電源に接続することにより、該商用電源からの電力が電源コード21、サーモ回路基板12、発熱線2を巡る閉回路に供給される。電力が供給されることにより、発熱線2が発熱し、その熱はヒーター管1の周側壁を介して水中に放出されて水が温められ、水温が上昇する。
【0041】
水温は、前記水温検知センサー16によりセンサー管11の周側壁を介して検知され、設定温度を超えると、前記制御ICによって発熱線2への通電が停止されるように図示しない切替回路の切替が行われることにより、設定温度以上に発熱しないように制御される。
【0042】
そして、発熱線2への通電が停止されて水温が低下してくると、水温検知センサー16が水温の低下を検知し,前記制御ICによって発熱線2への通電が再開されることにより、再度水温が上昇する。このような通電停止と通電再開との繰り返しにより、水槽中の水温の設定温度が保たれることになる。
【0043】
水温検知センサー16は、ヒーター管1から温度影響を受け難い位置において、センサー管11の周側壁内面に接触状態に配置されているので、水温を高精度に検知することができる。
【0044】
また、水中用ヒーターAの温度が異常に上昇するような事態が生じた場合、例えば地震等の災害やその他の原因により水中用ヒーターAが水槽外へ放り出された場合には、ヒーター管1の内部温度が急に高くなって、ヒーター管1の周側壁の温度が異常に上昇することになるが、本発明では、センサー管11内部の異常温度検知センサー14が、ヒーター管1とセンサー管11との密着部位において、センサー管11の周側壁内面に対して接触状態に配置されていることにより、ヒーター管1の表面温度をヒーター管1に密着しているセンサー管11を介して検知できるので、異常温度上昇をより速やかに検知することができ、発熱線2への通電を速やかに遮断して発熱線2の発熱を停止させ、ヒーター管1の表面温度の過度の上昇防止、安全性の向上に寄与できる。
【0045】
また、何らかの事情により異常温度検知センサー14あるいは異常温度検知センサー14などが実装されたサーモ回路基板12の一部が故障して、所期する通電制御が行われなくなった場合であっても、前記温度ヒューズが断線することにより、発熱線2への通電を遮断して発熱線2の発熱を停止させることができる。
【0046】
この温度ヒューズ18は、ヒーター管1とセンサー管11との密着部位においてセンサー管11の周側壁内面に接触状態に配置されているので、ヒーター管1の表面温度をセンサー管11の周側壁を介して速やかに検知することができる。
【0047】
このような構成により、異常温度検知センサー14の感度を飛躍的に向上させる事ができるので、空焚きになった場合でも比較的低い温度でセンサー検知が可能となり、電源からの電力供給を遮断することができる。
【0048】
その結果、ヒーター管1として従来一般的に使用されている耐熱素材(石英ガラス・ネオセラム(結晶化ガラス)・アルミノシリケートガラス等)である耐熱700℃以上の高価な素材に代わり、材料コストの安いガラス材を使用する事ができるので、コストダウンにも寄与することができる。
【0049】
しかも、その断線温度が異常温度検知センサー14による通電制御温度より高温に設定されているので、異常温度検知センサー14による通電制御以前に断線することがなく、前記故障が起きた場合の安全装置としての機能を十分に発揮する。
【0050】
また、この実施形態の水中用ヒーターAのヒーター管1は、従来の水中用ヒーターのヒーター管と同様に石英砂が充填されているが、異常温度検知センサー14がヒーター管1とは別体のセンサー管11に設けられていることにより、従来の水中用ヒーターのような、異常温度検知センサーが設けられているヒーター管に石英砂を充填することによる異常温度検知センサー14に対する悪影響を蒙ることがないので、異常温度検知センサー14の所期する位置への取り付けが行い易く、取り付け精度を高めることができる。
【0051】
図2は、第2実施形態の水中用ヒーターA´を示すもので、第1実施形態の水中用ヒーターAに対して、水温検知センサーの配置位置が異なるが、ヒーター管1及びセンサー管11などのその他の構成は共通している。
【0052】
従って、第2実施形態の説明においては、第1実施形態と共通する部分には同符号を付して説明を省略する。
【0053】
第2実施形態における水温検知センサー26は、第1実施形態と同様、ヒーター管1とセンサー管11との密着部位から離間した位置に設けられるが、センサー管11の外部に設けられる点で第1実施形態とは異なる。
【0054】
水温検知センサー26が、例えば、
図2に示すように、発熱体2とより離間した位置であるセンサー管11の外部のキャップ20の内部に、シリコン樹脂などの絶縁性皮膜で被覆されることによって防水保護されて設けられることにより、発熱体2からの熱影響を受け難くなるため水温の検知精度が向上する。
【0055】
水温検知センサー26は、キャップ20の周側壁内面の近傍に配置され、キャップ20の内部温度を検知することによって水温が検知される、或いはキャップ20の周側壁内面と接触状態に配置され、キャップ20の周側壁を介して水温が検知される。
【0056】
図3は、第3実施形態の水中用ヒーターBを示すもので、内部に発熱体52を有するヒーター管51と、内部に異常温度検知センサー64を有するセンサー管61とが、平行状に密着した態様でヒーターカバー70の中に収容されている。
【0057】
平行状に密着した前記ヒーター管51と、内部に異常温度検知センサー64を有するセンサー管61とが、密着部位である各々の周側壁どうしがシリコン系接着剤を介して接着されていることは、第1実施形態の水中用ヒーターA及び第2実施形態の水中用ヒーターA´と同様である。
【0058】
前記ヒーターカバー70は、水槽水が流通してヒーター管51に触れることのできる水槽水流通室70aと、液密状態にシールして水槽水を流入させないシール室70bとに区画されている。
【0059】
前記水槽水流通室70aは、周側壁に多数の水流通用透孔71が配設されることにより水槽水の流通が可能となされているもので、この水槽水流通室70a内に前記ヒーター管51の大半とセンサー管61の大半とが収容され、前記シール室70b内にサーモ回路基板62と、水温検知センサー66とが収容されている。
【0060】
前記ヒーター管51内の発熱体52は、その一端から接続端子57、57を介してサーモ回路基板62に接続されると共に、一方の接続端子57と発熱体52との間に温度ヒューズ68が介在されている。
【0061】
前記温度ヒューズ68は、第1実施形態の水中用ヒーターA及び第2実施形態の水中用ヒーターA´の温度ヒューズ18と同様に、その断線温度が前記異常温度検知センサー64による通電制御温度より高温に設定されている。
【0062】
前記サーモ回路基板62に電源コード21が接続されると共に、コントローラー72が接続され、水温制御温度を上下に設定変更できるものとなされている。また、サーモ回路基板62には制御IC(図示省略)と前記水温検知センサー66とが配置されている。
【0063】
前記センサー管61内の異常温度検知センサー64は、ヒーター管51とセンサー管61との密着部位におけるヒーター管内部の発熱線52との対向位置においてセンサー管61の周側壁内面に接触状態に配置されている。
【0064】
前記水温検知センサー66は、ヒーター管51の表面温度からの影響を受け難いように、ヒーター管51内の発熱体52から離れた前記サーモ回路基板62上に設けられ、シール室70b内の温度を検知することによって水温が検知される。
【0065】
この第3実施形態の水中用ヒーターBは、ヒーターカバー70の全部又は略々全部が水槽内の水中に浸漬されて使用されるものである。
【0066】
而して、前記浸漬状態において、電源コード21を商用電源に接続することにより、発熱体52が発熱して水温が上昇し、その水温が水温検知センサー66によって検知されて温度制御がなされ、水中用ヒーターBが水槽外に放り出された場合には、異常温度検知センサー64が異常温度を検知して通電が遮断され、発熱が停止されることは、第1実施形態の水中用ヒーターA及び第2実施形態の水中用ヒーターA´と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0067】
この実施形態の水中用ヒーターBにおいても、異常温度検知センサー64がヒーター管51とは別体のセンサー管61に設けられていることにより、従来の水中用ヒーターのような、異常温度検知センサーが設けられているヒーター管に石英砂を充填することによる異常温度検知センサーに対する悪影響を蒙ることがないので、異常温度検知センサーの所期する位置への取り付けが行い易く、取り付け精度を高めることができる。
【0068】
この実施形態の水中用ヒーターBは、ヒーター管51がヒーターカバー70内に収容され、ヒーター管51が露出していないので、水槽内の観賞魚等がヒーター管51に直接接触することがなく、観賞魚等にとっても安全である。
【0069】
なお、第1実施形態の水中用ヒーターA及び第2実施形態の水中用ヒーターA´は、ヒーター管1の長さ方向を上下として縦型のように図示され、第3実施形態の水中用ヒーターBは、ヒーター管1の長さ方向を左右として横型ように図示されているが、いずれも縦型、横型として限定されて使用されるものではない。
【0070】
上述では、第1実施形態及び第2実施形態に係る水中用ヒーターの発熱体2の形状が、二つ折り状にされた発熱線2の半体2a,2bの間で、一方の半体2aに沿って仕切部5aが設けられ、且つ半体2bの一部が異常温度検知センサー14側に突出するように仕切部5aに直交する仕切部5bが設けられるように説明したが、この形状に限定されるものではない。
【0071】
例えば、二つ折り状にされた発熱線2の半体2a,2bの間に沿った仕切部5aが一枚だけ設けられた構成であってもよく、少なくとも発熱線2の両半体2a,2bが絶縁されるように構成されていればよい。
【0072】
また、マイカシートからなる発熱線支持部材を設けるのであってもよい。例えば、二つ折り状にした発熱線2を発熱線支持部材上に固定配置し、以上説明したような仕切部5を設けて発熱線2の両半体2a,2bを絶縁するようにしてもよい。