(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5730818
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】作業位置判別システム及び作業位置判別方法
(51)【国際特許分類】
G01B 7/00 20060101AFI20150521BHJP
【FI】
G01B7/00 103M
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-125690(P2012-125690)
(22)【出願日】2012年6月1日
(65)【公開番号】特開2013-250176(P2013-250176A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2014年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504409543
【氏名又は名称】国立大学法人秋田大学
(74)【代理人】
【識別番号】100077584
【弁理士】
【氏名又は名称】守谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100106699
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 弘道
(72)【発明者】
【氏名】小林 守
(72)【発明者】
【氏名】中野 英彦
(72)【発明者】
【氏名】水戸部 一孝
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 正親
(72)【発明者】
【氏名】吉村 昇
【審査官】
眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−101273(JP,A)
【文献】
特開2004−258855(JP,A)
【文献】
特開2008−181344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00−7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機具の予め定められた作業部位からそれぞれ異なる距離で当該作業機具に配置された少なくとも2つの磁気センサと、
前記各磁気センサはそれぞれ、当該磁気センサが前記作業部位を揺動中心にして揺動した際に当該揺動中心及び前記磁気センサ間の距離を半径とする仮想球面上で移動することができ、当該仮想球面上における予め定められた正常な作業範囲内において、前記作業部位を前記揺動中心にして揺動させた際の当該各磁気センサそれぞれの前記仮想球面上の3次元座標データ群の各3次元座標データと前記揺動中心とが前記直線状に対応付けされているリファレンスデータが、異なる作業毎にデータベース化されたリファレンスデータベースと、
前記作業機具で所定の作業が開始されると、前記リファレンスデータベースから前記所定の作業に対応する前記リファレンスデータを選択し、前記各磁気センサから出力されてくるそれぞれの3次元座標データと、当該リファレンスデータに含まれる前記各磁気センサそれぞれの前記3次元座標データ群の各3次元座標データとのデータマッチングを行うデータマッチング機能、及び前記データマッチング機能でデータマッチングを行った結果、データマッチングしている場合には、前記作業機具の前記作業部位の作業位置が前記正常な作業位置であると判定する作業位置判定機能を有する作業解析部とから構成されていることを特徴とする作業位置判別システム。
【請求項2】
前記作業解析部の前記作業位置判定機能が、前記作業機具の前記作業部位の前記作業位置が前記正常な作業位置ではないと判定した場合には、警報を報知する報知部を備えていることを特徴とする請求項1記載の作業位置判別システム。
【請求項3】
前記作業解析部は、
前記作業機具による前記所定の作業に対応する前記リファレンスデータベースを作成するために、当該所定の作業に対応する前記各磁気センサそれぞれの前記仮想球面上における前記予め定められた正常な作業範囲内において、リファレンスデータを作成するための作業者が所定の軌跡を描くように前記作業機具を、前記作業部位を前記揺動中心にして揺動させると、前記磁気センサ毎に前記所定の軌跡上で計測される複数の3次元座標の収集用データを収集するデータ収集機能と、
前記磁気センサ毎に、前記データ収集機能で収集された前記各点の前記3次元座標の収集用データに対してキュービック補間を行うことで、前記仮想球面上における前記予め定められた正常な作業範囲内において欠落した3次元座標値が算出された前記仮想球面上の3次元座標データ群の各3次元座標データと、前記揺動中心とを前記直線状に対応付けして前記リファレンスデータを作成するリファレンスデータ作成機能と、
前記リファレンスデータ作成機能で、異なる作業毎に作成された前記リファレンスデータをデータベース化するリファレンスデータベース作成機能とを有していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の作業位置判別システム。
【請求項4】
作業機具には、少なくとも2つの磁気センサが、当該作業機具の予め定められた作業部位からそれぞれ異なる距離で配置され、前記各磁気センサはそれぞれ、当該磁気センサが前記作業部位を揺動中心にして揺動した際に当該揺動中心及び前記磁気センサ間の距離を半径とする仮想球面上で移動することができ、前記各磁気センサから出力されてくるそれぞれの3次元座標データを受信した作業解析部が、前記各3次元座標データに基づき前記作業部位の正常な作業位置を推定するための作業位置判別方法であって、
前記作業解析部は、
前記作業機具で所定の作業を開始すると、前記仮想球面上における予め定められた正常な作業範囲内において、前記作業部位を前記揺動中心にして揺動させた際の当該各磁気センサそれぞれの前記仮想球面上の3次元座標データ群の各3次元座標データと前記揺動中心とが前記直線状に対応付けされているリファレンスデータが、異なる作業毎にデータベース化されたリファレンスデータベースから、前記所定の作業に対応する前記リファレンスデータを選択するリファレンスデータ選択ステップと、
前記所定の作業において前記作業機具の前記各磁気センサから出力されてくるそれぞれの3次元座標データと、前記リファレンスデータに含まれる前記各磁気センサそれぞれの前記3次元座標データ群の各3次元座標データとのデータマッチングを行うデータマッチングステップと、
前記データマッチングステップでデータマッチングを行った結果、データマッチングしている場合には、前記作業機具の前記作業部位の作業位置が前記正常な作業位置であると判定する作業位置判定ステップとを有することを特徴とする作業位置判別方法。
【請求項5】
前記作業位置判定ステップで、前記作業機具の前記作業部位の前記作業位置が前記正常な作業位置ではないと判定した判定した場合には、警報を報知させる判定情報報知ステップを有することを特徴とする請求項4記載の作業位置判別方法。
【請求項6】
前記作業解析部は、
前記作業機具による前記所定の作業に対応する前記リファレンスデータベースを作成するために、当該所定の作業に対応する前記各磁気センサそれぞれの前記仮想球面上における前記予め定められた正常な作業範囲内において、リファレンスデータを作成するための作業者が所定の軌跡を描くように前記作業機具を、前記作業部位を前記揺動中心にして揺動すると、前記磁気センサ毎に前記所定の軌跡上で計測される複数の3次元座標の収集用データを収集するデータ収集ステップと、
前記磁気センサ毎に、前記データ収集ステップで収集された前記各点の前記3次元座標の収集用データに対してキュービック補間を行うことで、前記仮想球面上における前記予め定められた正常な作業範囲内において欠落した3次元座標値が算出された前記仮想球面上の3次元座標データ群の各3次元座標データと、前記揺動中心とを前記直線状に対応付けして前記リファレンスデータを作成するリファレンスデータ作成ステップと、
前記リファレンスデータ作成ステップで、異なる作業毎に作成された前記リファレンスデータをデータベース化するリファレンスデータベース作成ステップとを有することを特徴とする請求項4又は請求項5記載の作業位置判別方法。
【請求項7】
前記データマッチングステップは、前記所定の作業において前記作業機具の前記各磁気センサから出力されてくるそれぞれの3次元座標データと、前記リファレンスデータに含まれる前記各磁気センサそれぞれの前記3次元座標データ群の各3次元座標データとの差分値でデータマッチングすることを特徴とする請求項4乃至請求項6のうち何れか1項に記載の作業位置判別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造工場などの実用現場で、作業を行う位置が正しい位置か否かを判別する作業位置判別システム及び作業位置判別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気製品や自動車の製造メーカの生産技術部門においては、生産性を向上させることを主目的とし、組立作業におけるボルトの締め忘れ等の作業ミスを検出したり、組立作業の状態をリアルタイムに検出しフィードバックすることで作業後の検査工程や検査時間を省略したりするために、光学式や磁気式の位置計測が行われている。
【0003】
光学式の位置計測は、計測対象物に光源から光を照射して反射してくる反射光を光学センサで受光して位置情報を得るので、作業者が作る死角が計測の妨げとなる難点がある。これに対して、磁気式の位置計測では、磁場を発生させるトランスミッタと磁気センサとを用いて位置情報を得るので、作業者が計測の妨げとはならないが、組立作業を行う周囲に金属が存在すると磁場が歪められるので、測定位置における位置座標が変位する難点がある。したがって、製造工場など金属が多数存在する環境下での使用は極力避けられているのが現状である。
【0004】
このような磁気式の位置計測の難点を解消するために、磁場の歪みに起因する位置座標の計測誤差を補正するルックアップテーブルを簡易且つ迅速に作成することができる磁気式位置計測システムの誤差校正方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
この磁気式位置計測システムは、非磁性体部材からなる棒に複数の磁気センサが等間隔で直線状に配置された計測棒と、磁気センサが感知できる磁場を発生させるトランスミッタとを備えている。そして、この磁気式位置計測システムの誤差校正方法は、計測棒を測定範囲内で任意に動かし、計測棒に取り付けられた磁気センサによる実測値から取得した位置座標と、予め計算により求めておいた磁気センサの正確な位置座標との差を比較して、誤差の大きさと誤差の信頼度とを求め、誤差の信頼度が高い場合には一定の条件のもとにルックアップテーブルを更新するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−101273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、背景技術に記載した磁気式位置計測システムの誤差校正方法では、非磁性体部材からなる棒に複数の磁気センサが等間隔で直線状に配置された計測棒を使用して、ルックアップテーブルによる線形補完を行うことにより、遠方で大きくなる位置座標の誤差を補正することを目的としているので、工具箱や部品収納棚等が有する金属体の影響で局所的に磁場が非線形に歪んでいる組立作業場においては、作業を行う位置が正しい位置か否かを正確に判別することができなかった。
【0008】
また、この磁気式位置計測システムの誤差校正方法では、トランスミッタの近傍における空間の磁場が歪まないことを前提として、ルックアップテーブルによる線形補完を行っているので、トランスミッタの近傍で金属の影響により磁場の歪みが生じている場合には、作業を行う位置が正しい位置か否かを正確に判別することができなかった。
【0009】
また、この磁気式位置計測システムの誤差校正方法では、製造工場などの実用現場においては、作業を行う場所に工具箱や部品収納棚等の障害物が多いので、計測棒を振り回す動作が困難であった。
【0010】
したがって、自動車の車両生産工程、例えば、
図6に示すようなシャシーChの下まわり部分にブレーキホース等の部品を、作業者Woが自動ねじ締付機(ナットランナ)1を使用してねじ止めするような作業においては、工具台や部品収納箱等の金属体MBが近傍に複数配置されることになるので、このような磁気式位置計測システムの誤差校正方法を適用させることができない。
【0011】
本発明は、このような従来の難点を解消するためになされたもので、実際に作業を行う位置の近傍に金属体が配置されていても、磁場の歪みに起因する位置座標の計測誤差を補正することなく高精度に当該作業を行う位置が正しい位置か否かを正確に判別できる作業位置判別システム及び作業位置判別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の目的を達成する本発明の第1の態様である作業位置判別システムは、作業機具の予め定められた作業部位からそれぞれ異なる距離で当該作業機具に配置された少なくとも2つの磁気センサと、各磁気センサはそれぞれ、当該磁気センサが作業部位を揺動中心にして揺動した際に当該揺動中心及び磁気センサ間の距離を半径とする仮想球面上で移動することができ、当該仮想球面上における予め定められた正常な作業範囲内において、作業部位を揺動中心にして揺動させた際の当該各磁気センサそれぞれの仮想球面上の3次元座標データ群の各3次元座標データと揺動中心とが直線状に対応付けされているリファレンスデータが、異なる作業毎にデータベース化されたリファレンスデータベースと、作業機具で所定の作業が開始されると、リファレンスデータベースから所定の作業に対応するリファレンスデータを選択し、各磁気センサから出力されてくるそれぞれの3次元座標データと、当該リファレンスデータに含まれる各磁気センサそれぞれの3次元座標データ群の各3次元座標データとのデータマッチングを行うデータマッチング機能、及びデータマッチング機能でデータマッチングを行った結果、データマッチングしている場合には、作業機具の作業部位の作業位置が正常な作業位置であると判定する作業位置判定機能を有する作業解析部とから構成されているものである。
【0013】
本発明の第2の態様は第1の態様である作業位置判別システムにおいて、作業解析部の作業位置判定機能が、作業機具の作業部位の作業位置が正常な作業位置ではないと判定した場合には、警報を報知する報知部を備えているものである。
【0014】
本発明の第3の態様は第1の態様又は第2の態様である作業位置判別システムにおいて、作業解析部は、作業機具による所定の作業に対応するリファレンスデータベースを作成するために、当該所定の作業に対応する各磁気センサそれぞれの仮想球面上における予め定められた正常な作業範囲内において、リファレンスデータを作成するための作業者が所定の軌跡を描くように作業機具を、作業部位を揺動中心にして揺動させると、磁気センサ毎に所定軌跡上で計測される複数の3次元座標の収集用データを収集するデータ収集機能と、磁気センサ毎に、データ収集機能で収集された各点の3次元座標の収集用データに対してキュービック補間を行うことで、仮想球面上における予め定められた正常な作業範囲内において欠落した3次元座標値が算出された仮想球面上の3次元座標データ群の各3次元座標データと、揺動中心とを直線状に対応付けしてリファレンスデータを作成するリファレンスデータ作成機能と、リファレンスデータ作成機能で、異なる作業毎に作成されたリファレンスデータをデータベース化するリファレンスデータベース作成機能とを有しているものである。
【0015】
また、本発明の第4の態様である作業位置判別方法は、作業機具には、少なくとも2つの磁気センサが、当該作業機具の予め定められた作業部位からそれぞれ異なる距離で配置され、各磁気センサはそれぞれ、当該磁気センサが作業部位を揺動中心にして揺動した際に当該揺動中心及び磁気センサ間の距離を半径とする仮想球面上で移動することができ、各磁気センサから出力されてくるそれぞれの3次元座標データを受信した作業解析部が、各3次元座標データに基づき作業部位の正常な作業位置を推定するための作業位置判別方法であって、作業解析部は、作業機具で所定の作業を開始すると、仮想球面上における予め定められた正常な作業範囲内において、作業部位を揺動中心にして揺動させた際の当該各磁気センサそれぞれの仮想球面上の3次元座標データ群の各3次元座標データと揺動中心とが直線状に対応付けされているリファレンスデータが、異なる作業毎にデータベース化されたリファレンスデータベースから、所定の作業に対応するリファレンスデータを選択するリファレンスデータ選択ステップと、所定の作業において作業機具の各磁気センサから出力されてくるそれぞれの3次元座標データと、リファレンスデータに含まれる各磁気センサそれぞれの3次元座標データ群の各3次元座標データとのデータマッチングを行うデータマッチングステップと、データマッチングステップでデータマッチングを行った結果、データマッチングしている場合には、作業機具の作業部位の作業位置が正常な作業位置であると判定する作業位置判定ステップとを有するものである。
【0016】
本発明の第5の態様は第4の態様である作業位置判別方法において、作業位置判定ステップで、作業機具の作業部位の作業位置が正常な作業位置ではないと判定した判定した場合には、警報を報知させる判定情報報知ステップを有するものである。
【0017】
本発明の第6の態様は第4の態様又は第5の態様である作業位置判別方法において、作業解析部は、作業機具による所定の作業に対応するリファレンスデータベースを作成するために、当該所定の作業に対応する各磁気センサそれぞれの仮想球面上における予め定められた正常な作業範囲内において、リファレンスデータを作成するための作業者が所定の軌跡を描くように作業機具を、作業部位を揺動中心にして揺動すると、磁気センサ毎に所定の軌跡上で計測される複数の3次元座標の収集用データを収集するデータ収集ステップと、磁気センサ毎に、データ収集ステップで収集された各点の3次元座標の収集用データに対してキュービック補間を行うことで、仮想球面上における予め定められた正常な作業範囲内において欠落した3次元座標値が算出された仮想球面上の3次元座標データ群の各3次元座標データと、揺動中心とを直線状に対応付けしてリファレンスデータを作成するリファレンスデータ作成ステップと、リファレンスデータ作成ステップで、異なる作業毎に作成されたリファレンスデータをデータベース化するリファレンスデータベース作成ステップとを有するものである。
【0018】
本発明の第7の態様は第4の態様乃至第6の態様のうち何れか1つの態様である作業位置判別方法において、データマッチングステップは、所定の作業において作業機具の各磁気センサから出力されてくるそれぞれの3次元座標データと、リファレンスデータに含まれる各磁気センサそれぞれの3次元座標データ群の各3次元座標データとの差分値でデータマッチングするものである。
【0019】
このような本発明の作業位置判別装置及び作業位置判別方法によれば、作業機具の予め定められた作業部位を揺動中心にして少なくとも2つの磁気センサが、当該作業部位からそれぞれ異なる距離で当該作業機具に配置されていることから、作業機具の作業部位が揺動中心になるような作業においては、各磁気センサが揺動中心及び各磁気センサ間の距離を半径とする仮想球面上で移動することになるので、各磁気センサそれぞれの仮想球面上の3次元座標データ群の各3次元座標データと揺動中心とを直線状に対応付けすることで、作業者が行っている作業が、各磁気センサがそれぞれの仮想球面上における予め定められた正常な作業範囲内で移動している動作になっていれば、各磁気センサから出力されてくるそれぞれの3次元座標データと、当該リファレンスデータに含まれる各磁気センサそれぞれの3次元座標データ群の3次元座標データとがデータマッチングするので、作業機具の作業部位の作業位置が正常な作業位置であることがわかるようになる。
【0020】
なお、データマッチングしていなければ、報知部から作業機具の作業部位の作業位置ではないことを示す警報を報知することで、作業者はその作業が正常でないことを確認できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の作業位置判別システム及び作業位置判別方法によれば、作業機具の予め定められた作業部位を揺動中心にして少なくとも2つの磁気センサが、当該作業部位からそれぞれ異なる距離で当該作業機具に配置され、作業機具の作業部位が揺動中心になるような作業においては、各磁気センサが揺動中心及び各磁気センサ間の距離を半径とする仮想球面上で移動することになるので、各磁気センサそれぞれの仮想球面上の3次元座標データと原点とを直線状に対応付けすることで、実際に作業を行う位置の近傍に金属体が配置されていても、磁場の歪みに起因する位置座標の計測誤差を補正することなく当該作業を行う位置が正しい位置か否かを高精度に判別できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の作業位置判別システムにおける好ましい実施の形態を示すシステム構成のブロック図である。
【
図2】本発明の作業位置判別システムの構成要素である磁気センサが配置された作業機具で、リファレンスデータを作成するために当該作業機具を所定の軌跡を描くように動かした際の磁気センサの軌跡を示す図で、(A)は作業機具と磁気センサの軌跡との関係を示す説明図、(B)は磁気センサの軌跡のみを示す説明図、(C)は磁気センサの軌跡と3次元座標データの分布情報のエリアとの関係を示す説明図である。
【
図3】本発明の作業位置判別システムの構成要素である磁気センサが配置された作業機具で、
図2に示すような軌跡を描くための動作状態を示す説明図である。
【
図4】本発明の作業位置判別方法の好ましい実施の形態例を示すフローチャート図である。
【
図5】本発明の作業位置判別方法の好ましい実施の形態例を示す図で、リファレンスデータベースを作成するためのフローチャート図である。
【
図6】車両の下まわり部分にブレーキホース等の部品を、ナットランナを使用してねじ止めするような作業状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の作業位置判別装置及び作業位置判別方法を実施するための形態例について、図面を参照して説明する。
【0024】
本発明の作業位置判別装置は
図1に示すように、作業機具1の予め定められた作業部位1aから異なる距離で当該作業機具1に配置された2つの磁気センサ2A、2Bを備えている。各磁気センサ2A、2Bはそれぞれ、当該磁気センサが作業部位1aを揺動中心にして揺動した際に、揺動中心1a及び磁気センサ間の距離を半径とする仮想球面上で移動することができるようになっている。ここで、作業器具1の作業部位1aとは、作業器具1が所定の作業を行っているときに、その作業を施すための対象物に接触する部位のことを言う。
【0025】
なお、2つの磁気センサ2A、2Bが感知できる磁界を発生させるトランスミッタ(図示せず。)が作業エリア内に設置されている。また、作業機具1は、トランスミッタから発生された3つの直交する磁界の到達範囲内で使用されようになっているので、2つの磁気センサ2A、2Bは位置情報である3次元座標情報を得ることができ、3次元座標データを出力する。
【0026】
また、本発明の作業位置判別装置は、各磁気センサ2A、2Bが作業部位1aを揺動中心にして揺動するような作業を行った場合には、各磁気センサ2A、2Bから出力されてくるそれぞれの3次元座標データを受信すると、各3次元座標データに基づき作業部位1aの正常な作業位置を推定するための作業解析部31を有するデータ処理装置3を備えている。
【0027】
データ処理装置3は、コンピュータが好ましく、内部にCPU等の演算処理装置を備えると共に、ブラウン管モニタや液晶ディスプレイ等の表示画面を有する表示装置や、キーボード、マウス等の入力デバイス、さらに、ハードディスクドライブ等の記憶装置等で構成されている。
【0028】
このようなデータ処理装置3は、リファレンスデータが異なる作業毎にデータベース化されたリファレンスデータベースがデータ記憶部32に登録されている。このリファレンスデータは、2つの磁気センサ2A、2Bの仮想球面上における予め定められた正常な作業範囲内において、作業機具1の作業部位1aを揺動中心にして揺動させた際の、第1の磁気センサ2Aの仮想球面上の3次元座標データと、第2の磁気センサ2Bの仮想球面上の3次元座標データと、揺動中心1aとが直線状に対応付けされている。なお、ここで言う直線上は、2つの磁気センサ2A、2Bが作業機具1の揺動中心1aから直線上に配置されていることを意味する。以下、「各磁気センサ2A、2Bそれぞれの3次元座標データ群の各3次元座標データと揺動中心1aとが直線状に対応付けされている。」場合には、同じ意味である。
【0029】
また、データ処理装置3の作業解析部31は、作業機具1で所定の作業が開始されると、リファレンスデータベースから所定の作業に対応するリファレンスデータを選択し、各磁気センサ2A、2Bから出力されてくるそれぞれの3次元座標データと、当該リファレンスデータに含まれる各磁気センサ2A、2Bそれぞれの3次元座標データ群の各3次元座標データとのデータマッチングを行うデータマッチング機能31dと、データマッチング機能31dでデータマッチングを行った結果、データマッチングしている場合には、作業機具1の作業部位1aの作業位置が正常な作業位置であると判定する作業位置判定機能31eとを有している。
【0030】
さらに、作業解析部31は、データ記憶部32に登録する作業機具1による所定の作業に対応するリファレンスデータベースを作成するために、当該所定の作業に対応する各磁気センサ2A、2Bそれぞれの仮想球面上における予め定められた正常な作業範囲内において、リファレンスデータを作成するための熟練作業者が所定の軌跡を描くように作業機具1を、作業部位1aを揺動中心にして揺動させると、磁気センサ2A、2B毎に所定の軌跡上で計測される複数の3次元座標の収集用データを収集するデータ収集機能31aと、磁気センサ2A、2B毎に、データ収集機能31aで収集された各点の3次元座標の収集用データに対してキュービック補間を行うことで、仮想球面上における予め定められた正常な作業範囲内において欠落した3次元座標値が算出された仮想球面上の3次元座標データ群の各3次元座標データと、揺動中心1aとを直線状に対応付けしてリファレンスデータを作成するリファレンスデータ作成機能31bと、リファレンスデータ作成機能31bで、異なる作業毎に作成されたリファレンスデータをデータベース化するリファレンスデータベース作成機能31cとを有している。
【0031】
リファレンスデータ作成機能31bは、例えば、MATLAB(登録商標)のコマンドであるgriddata(データのグリッド化)でcubic(キューブ補間)を用いることで、3次元空間に仮想球面を作成することができ、さらに、MATLABのコマンドであるmeshgrid(2次元および3次元の空間の四角形グリッド)を用いることで、任意の分解能で3次元座標データ群を求めることができる。この場合、作業を行う位置の近傍に金属体が配置されていると、その金属体の影響で局所的に磁場が非線形に歪んでいるので、揺動中心1a及び磁気センサ間の距離を半径とする仮想球面は、その磁場の歪みによって非線形に歪んだ球面になるが、その磁場分布は常に安定しているので、仮想球面上の3次元座標データ群の値も常に安定することになる。したがって、リファレンスデータとして利用することができる。
【0032】
ここで、熟練作業者が所定の軌跡を描くように作業機具1を、作業部位1aを揺動中心にして揺動させることについて、作業機具1としてナットランナを使用した場合について説明する。なお、ナットランナ1は、ナットランナ本体から延びる出力軸にソケットを設け、そのソケットをボルトやナット等に着脱自在に嵌合させて、当該ボルトやナット等を締め付けるものである。したがって、ソケットのボルトやナット等に嵌合する部位が作業部位1aとなるので、以下、ソケットのこの部位を作業部位1aと称する。なお、この作業部位1aは揺動中心にもなるので、その位置は点である。
【0033】
このようなナットランナ1で熟練作業者が所定の軌跡を描くように、作業部位1aを揺動中心にして揺動させるには
図2に示すように、ナットランナ1を回転させたり傾けたりすることで行うことができる。
【0034】
したがって、例えば
図3(A)、(C)に示すように、所定の作業に対応する磁気センサ2Aの仮想球面はVS1、磁気センサ2Bの仮想球面はVS2となり、当該所定の作業に対応する磁気センサ2Aの仮想球面VS1上における予め定められた正常な作業範囲はAr1、当該所定の作業に対応する磁気センサ2Bの仮想球面VS2上における予め定められた正常な作業範囲はAr2となる。また、熟練作業者が描く所定の軌跡は、例えば
図3(A)、(B)、(C)は、磁気センサ2AにおいてはTr1となり、磁気センサ2BにおいてはTr2となる。即ち、この所定の軌跡は、渦巻き形状と傘の骨のような形状になっている。
【0035】
また、本発明の作業位置判別装置は、作業解析部31の作業位置判定機能31eが、作業機具1の作業部位1aが正常な作業位置ではないと判定した場合には、警報を報知する報知部4を備えている。この報知部4は、正常な作業位置ではないとの判定情報をスピーカ等の音声発生装置によって作業中の作業者が聴覚によって確認することができる。なお、報知部4は、聴覚確認に限らず、正常な作業位置ではないとの判定情報を表示画面に表示する表示装置で作業中の作業者が視覚で確認できるようにしてもよく、さらには、音声発生装置と表示装置とを用いて正常な作業位置ではないとの判定情報を確認できるようにしてもよい。
【0036】
なお、2つの磁気センサ2A、2Bから受信する3次元座標データが、データ処理装置用の座標データとデータ形式が異なる場合には、データ処理装置3の作業解析部31に2つの磁気センサ2A、2Bから受信する3次元座標データをデータ処理装置3の座標データのデータ形式に変換するデータ形式変換部31gを組み込むとよい。このデータ形式変換部31gは、2つの磁気センサ2A、2Bから受信する3次元座標データがデータ処理装置3の座標データのデータ形式と同じ場合には、データ形式を変換することなく3次元座標データを作業解析部31で処理することになる。なお、このデータ形式変換部31fは
図1においては、作業解析部31の機能として示しているが、2つの磁気センサ2A、2Bと作業解析部31との間に配置してもよい。
【0037】
このように構成された作業位置判別装置におけるデータ処理装置3の各構成は、演算処理装置によって実行されるプログラムによって実現されるものである。このプログラムによるデータ処理手順について
図4のフローチャートに基づき説明する。
【0038】
作業機具1としてナットランナを使用するものとする。また、ナットランナ1による所定の作業は、
図6に示すようなシャシーChの下まわり部分にブレーキホース等の部品を、ナットランナ1を使用してねじ止めするような作業とする。
【0039】
まず、作業者がデータ処理装置3で、これから行う所定の作業、即ち、リフトLiでリフトアップされている自動車のシャシーChの下まわり部分にブレーキホース等の部品をねじ止めする作業を選択する操作を行っておく。そして、作業者がナットランナ1で所定の作業を開始すると(ステップ101)、データ処理装置3の作業解析部31は、所定の作業に対応するリファレンスデータを、記憶部32に登録されているリファレンスデータベースから選択する(ステップ102)。
【0040】
また、作業解析部31がナットランナ1の2つの磁気センサ2A、2Bで検出されたそれぞれの3次元座標データを受信すると(ステップ103)、作業解析部31のデータマッチング機能31dは、2つの磁気センサ2A、2Bから出力されてくるそれぞれの3次元座標データと、選択されたリファレンスデータに含まれる各磁気センサ2A、2Bそれぞれの3次元座標データ群の各3次元座標データとのデータマッチングを行う(ステップ104)。
【0041】
このデータマッチング機能31dは、所定の作業において作業機具の各磁気センサ2A、2Bから出力されてくるそれぞれの3次元座標データと、リファレンスデータに含まれる各磁気センサ2A、2Bそれぞれの3次元座標データ群の各3次元座標データとの差分値でデータマッチングする。この差分値の算出は、次の式(1)、式(2)で求めることができる。
【0043】
ここで、式(1)は磁気センサ2Aの差分値を求めるもので、dは差分値、xn、yn、znは磁気センサ2Aの3次元座標データ群の各3次元座標データ、x1、y1、z1は磁気センサ2Aの計測時の3次元座標データである。
【0045】
ここで、式(2)は磁気センサ2Bの差分値を求めるもので、dは差分値、xn、yn、znは磁気センサ2Bの3次元座標データ群の各3次元座標データ、x2、y2、z2は磁気センサ2Bの計測時の3次元座標データである。
【0046】
データマッチング機能31dでデータマッチングを行うと、作業解析部31の作業位置判定機能31eが作業位置の判定を行う(ステップ105)。作業位置判定機能31eは、データマッチング機能31dでデータマッチングを行った結果、データマッチングしている場合には、ナットランナ1の作業部位1aの作業位置が正常な作業位置であると判定する。したがって、作業者はその作業位置で正常なねじ止め作業を行うことができる。なお、作業解析部31は、作業者がデータ処理装置3で作業終了の操作を行っていない場合には、ステップ103までフィードバックする。
【0047】
また、作業位置判定機能31eは、データマッチング機能31dでデータマッチングを行った結果、ナットランナ1の作業部位1aの作業位置が正常な作業位置ではないと判定した場合には、報知部4から警報を報知させる(ステップ106)。即ち、ねじ止めする作業位置が正常位置でないことを確認できるので、作業者はナットランナ1の位置、傾きや押し込み度合いを変えて、ナットランナ1の作業部位1aの作業位置を正常な作業位置に修正することができる。
なお、作業者がデータ処理装置3で作業終了の操作を行うことで、所定の作業を終了させることができる(ステップ107)。
【0048】
次に、リファレンスデータベースを作成するためのプログラムによるデータ処理手順について
図5のフローチャートに基づき説明する。リファレンスデータベースを作成するには、熟練作業者によって車両の下まわり部分にブレーキホース等の部品を、ナットランナ1を使用してねじ止めするねじ止め作業を行ってもらう。
【0049】
まず、作業者がデータ処理装置3で、これから行う所定の作業、即ち、リフトLiでリフトアップされている自動車のシャシーChの下まわり部分にブレーキホース等の部品をねじ止めする作業を、リファレンスデータベースに登録できるように操作を行っておく。
【0050】
そして、熟練作業者がナットランナ1による所定の作業に対応するリファレンスデータベースを作成するために、当該所定の作業に対応する各磁気センサ2A、2Bそれぞれの仮想球面上における予め定められた正常な作業範囲内において、熟練作業者が所定の軌跡を描くように、ナットランナ1を、作業部位1aを揺動中心にして揺動する(ステップ201)。このように、ナットランナ1を揺動すると、作業解析部31のデータ収集機能31aは、磁気センサ2A、2B毎に所定の軌跡上で計測される複数の3次元座標の収集用データを収集する(ステップ202)。
【0051】
ステップ202で収集用データが収集されると、作業解析部31のリファレンスデータ作成機能31bは、磁気センサ2A、2B毎に、ステップ202で収集された各点の3次元座標の収集用データに対してキュービック補間を行うことで、仮想球面上における予め定められた正常な作業範囲において欠落した3次元座標値が算出された当該仮想球面上の3次元座標データ群の各3次元座標データと、揺動中心1aとを直線状に対応付けしてリファレンスデータを作成する(ステップ203)。
【0052】
最後に、ステップ204で作成されたリファレンスデータをデータベース化することで、リファレンスデータベースを作成する作業が終了する(ステップ204、205)。このステップ204でデータベース化されるリファレンスデータは、異なる作業毎にデータベース化することができる。
【0053】
このように、上述した実施例によれば、ナットランナ1に予め定められた作業部位1aを揺動中心にして2つの磁気センサ2A、2Bが当該作業部位1aからそれぞれ異なる距離で当該ナットランナ1に配置されていることから、ナットランナ1の作業部位1aが揺動中心になるようなねじ止め作業においては、各磁気センサ2A、2Bが揺動中心1a及び各磁気センサ2A、2B間の距離を半径とする仮想球面上で移動することになるので、各磁気センサ2A、2Bそれぞれの仮想球面上の3次元座標データ群の各3次元座標データと揺動中心1aとを直線状に対応付けすることで、ねじ止めする作業位置が正常位置である場合には、各磁気センサ2A、2Bから出力されてくるそれぞれの3次元座標データと、当該リファレンスデータに含まれる各磁気センサそれぞれの3次元座標データ群の3次元座標データとがデータマッチングすることになる。したがって、作業者は自分が移動させたナットランナ1の作業部位(揺動中心)1aの作業位置が正常な作業位置であることがわかるようになる。
【0054】
このように本発明の作業位置判別システム及び作業位置判別方法において、作業者自身が移動させたナットランナ1の作業部位(揺動中心)1aの作業位置が、正常な作業位置であることを高精度に判別できるのは、実際に作業を行う位置の近傍に金属体が配置されることでトランスミッタによる磁場に歪みが生じていても、その磁場分布は常に安定しているからで、各磁気センサ2A、2Bそれぞれの仮想球面上の3次元座標データと揺動中心1aとを直線状に対応付けすることにより、磁場の歪みに起因する位置座標の計測誤差を補正することなく当該作業を行う位置が正しい位置か否かを高精度に判別できるようになる。
【0055】
したがって、作業者がナットランナ1でねじ止めする作業位置が近接した複数個所であっても、それぞれの作業位置においてデータ処理装置3でステップ201〜205の処理を行っておけば、実際に作業を行う位置が正しい位置か否かをデータ処理装置3でステップ101〜105の処理を行った場合に、誤った作業位置にナットランナ1を移動させたか否かを高精度に判別できる。
【0056】
なお、上述した実施例においては、作業機具に2つの磁気センサが当該作業機具の予め定められた作業部位からそれぞれ異なる距離で当該作業機具に配置されていたが、これに限らず、3つ以上の磁気センサが作業機具の予め定められた作業部位からそれぞれ異なる距離で当該作業機具に配置されていてもよい。この場合、揺動中心と対応付けする磁気センサの数が多いほど計測精度を上げることができる。
【0057】
また、上述した実施例においては作業機具としてナットランナを使用したが、これに限らず、作業機具の作業部位が揺動中心になるような作業を行うものならば、どのような作業機具でもよい。例えば、溶接ガンによるスポット溶接や、ねじ打機及び釘打機による資材固定等が挙げられる。
【0058】
これまで本発明について図面に示した特定の実施の形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られたいかなる構成であっても採用することができることはいうまでもないことである。
【符号の説明】
【0059】
1……ナットランナ(作業機具)
2A、2B……磁気センサ
4……報知部
31……作業解析部
31a……データ収集機能
31b……リファレンスデータ作成機能
31c……リファレンスデータベース作成機能
31d……データマッチング機能
31e……作業位置判定機能
VS1、VS2……仮想球面
102……リファレンスデータ選択ステップ
104……データマッチングステップ
105……作業位置判定ステップ
202……データ収集ステップ
203……リファレンスデータ作成ステップ
204……リファレンスデータベース作成ステップ