(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アノードと前記カソードとの間の電流経路の長さを増加させるために、該アノードと該カソードとの間に非伝導性材料を位置決定することによって、前記固有の電流シグネチャを増強するステップをさらに包含する、請求項7に記載の方法。
前記アノードの材料および前記カソードの材料に対して非平坦表面を提供することによって、該アノードおよび該カソードの表面積を増加させるステップをさらに包含する、請求項7に記載の方法。
前記駆動回路は、前記第1の材料を前記第2の材料に結合させることにより、該第2の材料と前記伝導性流体との間の質量の移動の速度を変える、請求項10に記載のシステム。
前記第1の材料と前記伝導性流体との間の質量の移動は、酸化過程であり、前記第2の材料と該伝導性流体との間の質量の移動は、還元過程である、請求項11に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、臨床医に、その治療装備一式において重要な新しい道具:実際に生体に送達される医薬品の自動検出および識別を提供する。この新しい情報デバイスおよびシステムの用途は、多種多様である。例を挙げると、その他の医療用センサデバイスと併せて使用される場合、薬物送達、バッチ、および用量の間の相関関係は、生理反応と相互に関連付けられ得る。このようにして、臨床医によって最適な医薬品治療規制が策定され得る。例を挙げると、中でも心筋の疲労等の副作用およびリバウンド効果を最小限に抑え、それぞれ個々の患者用の用量およびタイミングの両方を最適化する、最も適切な用量の心臓刺激薬を滴定することができる。
【0011】
本発明によって、治療の明示的臨床結果を待つという策を取ることなく、それらの多くは深刻な害を与え得る代替薬の範囲を評価することが可能になる。例を挙げると、より多くの偶然要因によって分かりにくくなることなく、肯定的効果が直ちに判明すると思われる。血圧の変化等の否定的反応は、薬物に関連する、または単独の、上記生理的背景変動として、明白になるであろう。
【0012】
薬物の摂取またはその他の実際の薬への生体の曝露を文書化する能力は、多くの重要な臨床応用を有する。最も単純な形態では、この技術は、丸薬が服用された正確な日時およびどの丸薬が服用されたかを提供する。これにより、特定の時点でどの丸薬が服用されたかについての正しい判断が可能になる。そのような監視能力は、患者が処方された薬を正しく服用していることを保証するものである。この情報により、実際には服用されていない薬を過剰処方する可能性が回避される。例を挙げると、痛み止めを患者に投与することが目的とされている場合、実際には当該患者がある期間それらの痛み止めを服用していなかったことを検証することが可能である。これは、消費されなかった薬物の、意図せぬ第三者への密売を制限する上で重要な道具である。心臓血管用丸薬の場合、臨床医または介護士は、適当な時刻に適切に服用された薬物の量を検証することができる。したがって、当該薬物の真の効能を正確に評価することができる。適切な投与と患者コンプライアンスは、アルツハイマー病、精神科、およびアルコール嫌悪療法の薬物において、ならびに、療養所居住者の治療において、特に重大である。偶発的な、およびその他の過剰摂取状況の場合、インターベンション臨床医は、摂取がどこまで進行したか、および、いくつの丸薬が関与しているかを認識することができるであろう。
【0013】
一臨床現場において、本発明は、本発明者らの幾人かによって開発されたその他のセンサデバイスと併せて、それらの薬に対する心臓反応の測定および評価を可能にする。共に用いられるこれらのセンサデバイスは、数ある中でも、以下に列挙するものであってよい。本発明者らの幾人かによって開発されたその他のセンシング技術は、心臓の健康および心臓の効率の測定を可能にする。本発明のデバイスと併せてこれらの道具を使用することで、臨床医は、投与された医薬に対する心臓と生体の反応を比較することができるであろう。
【0014】
本発明によって提供されたデータは、任意で経時的に記録され得る。記録システムは、心臓組織を通過した信号の同調または伝導速度、および、ある薬の存在によってそれがどのように媒介されるかを記録する。本発明では、丸薬またはその他の薬が生体内にいつ吸収されたかを電子的に厳密に判断することができるため、本発明によってこの固有のデータが可能になる。
【0015】
この革新的なデータから、本発明は、当該薬に対する反応および丸薬の消化のタイミングを示す正確な用量反応曲線を臨床医に提供する。そのような革新的なデータは、多くの用途を有する。例えば、臨床医は今、どの患者が丸薬中の薬剤に対して反応しないかを判断する能力を有している。研究状況においては、そのような患者は、ある薬の臨床的有用性の研究または検査から除かれる。これによって、ある薬に対して有益な反応を有する人々のみを試験に残すようにする。この特徴は、薬の効能を改善し、人々が服用する有用でない薬の量を低減させるであろう。どの患者が実際に薬剤を消費し、どの患者がしなかったかを判断するための試験において使用してもよい。
【0016】
より標準的な臨床環境において、この固有のデータは、禁忌、効能、および最適用量水準を確かめるためにより明示的な身体症状に頼ることなく、薬物投与の厳選および滴定を可能にする。本発明は、患者が入院した際に患者の現状を正確に確かめることができるように、緊急救命室の技師または医師に記録を提供する。入院前の最近の時間または日の投薬事象、および、最新の薬のIDが、すぐに利用可能となる。
【0017】
臨床医は、埋め込まれた、または携帯デバイスの単純な照会を介してこの情報を得る。このデバイスは、どの丸薬が服用されたのかを不確実性なく臨床医に教えるであろう。本発明の技術がより広く普及するに伴い、このデータはより定期的に利用可能になるであろう。それらが標準生産されれば、ほとんどの、またはすべての医薬にそれらが当然のように備え付けられるような、十分安価なものである。
【0018】
本発明のマイクロチップの他の実施形態において、当該チップには、生体内で溶解することなく照会可能な、コイルを備え付けることができる。これは、丸薬が摂取される前に、その存在およびIDを照会者に知らせるような手法で、RFエネルギーをコイルに送信することによって実現される。
【0019】
本発明のさらなる実施形態において、各丸薬について照会し、そのアドレスを確かめることができる「スマートボックス」が提供される。当該ボックスは、それまでに作製されたすべての丸薬が一意識別子を持って作製されるように、独自の製品番号または製品コードを書き込むことができる。例えばヒューズは、選択的に破壊され得るため、アドレスは電気的または光学的に検出され得る。特に麻薬等の規制物質の場合、これは、以前は合法であった薬剤の不法使用を制限する上で重要となるであろう。本発明は、誰が公認薬局からそのような丸薬を持ち込んだのかを正しく識別することを可能にする。この本発明の使用により、市場における規制物質の違法使用の数を抑制することになる。
【0020】
本発明をさらに詳細に説明するにあたり、最初に組成物の実施形態を検討し、次に、主題組成物を含むシステム、主題組成物およびシステムを使用する方法、ならびに、当該組成物および方法の使用法を見出す様々な例示的応用を考察する。主題組成物を含むキットについても、以下でより詳細に検討する。
【0021】
組成物
本発明の実施形態は、それに安定的に関連付けられた識別子を有する活性剤組成物を含む。ある実施形態において、当該組成物は、被験者への投与時に分離される。そのため、ある実施形態において、当該組成物は、例えば摂取、注射等による生体への送達後、例えば溶解される、分解される、腐食する等、物理的に損傷する。これらの実施形態の組成物は、摂取されて、実質的に胃腸管を経由しての通過を免れ、完全にとはいかないが無傷であるように構成されるデバイスとは区別される。これらの実施形態の組成物は投与時にそれ自体が分離されるが、当該組成物の成分、例えば識別子は、例えば以下でより詳細に説明するように、胃腸管の通過を免れることができる。
【0022】
ある実施形態において、組成物は、活性剤/担体成分および識別子を含む。これらの異なる成分のそれぞれについて別々に、以下で詳細に検討する。
【0023】
活性剤/担体成分
主題組成物は、活性剤/担体成分を含む。「活性剤/担体成分」によって意味されるのは、固体であっても流体(例えば、液体)であってもよく、薬学的に許容可能な担体中に存在する活性剤の量、例えば用量を有し得る組成物である。活性剤/担体成分は、「用量製剤」と称される場合がある。
【0024】
活性剤
「活性剤」は、生命体、例えばヒト等の哺乳類との接触時に、生理的結果、例えば有益な、または有用な結果を産生する、任意の化合物または化合物の混合物を含む。活性剤は、賦形剤、担体、希釈剤、潤滑剤、結合剤、およびその他の製剤補助剤、ならびに、カプセル化または保護成分等の成分から区別することができる。活性剤は、結合部分またはその断片のみならず、生物における生物学的プロセスを調節することができる任意の分子であってよい。ある実施形態において、活性剤は、疾患の診断、治療、または予防において、または、薬の成分として使用される物質であってよい。ある実施形態において、活性剤は、中枢神経系に影響を及ぼして挙動の変化を引き起こす、麻薬または幻覚剤等の化学物質であってよい。
【0025】
活性剤(すなわち、薬物)は、生物内の標的と相互作用することができる。標的は、多数の異なる種類の自然発生する構造体であってよく、関心が持たれている標的は細胞内および細胞外標的の両方を含む。そのような標的は、タンパク質、リン脂質、核酸等であってよく、ここではタンパク質が特に関心を持たれている。関心が持たれている特定のタンパク質性標的は、例えばキナーゼ、ホスファターゼ、レダクターゼ、シクロオキシゲナーゼ、プロテアーゼ等の酵素、SH2、SH3、PTB、およびPDZドメイン等のタンパク質間相互作用に関与するドメインを含む標的、例えばアクチン、チューブリン等の構造タンパク質、膜受容体、例えばIgE等の免疫グロブリン、インテグリン等の細胞接着受容体、イオンチャネル、膜貫通ポンプ、転写因子、シグナル伝達タンパク質等を含むがこれらに限定されない。
【0026】
活性剤(すなわち、薬物)は、特定の薬物およびその対象とする標的に応じて、例えば疎水性、親水性、静電性、またはさらに共有結合性相互作用に必要な基等、標的との構造的相互作用に必要な1つ以上の官能基を含んでよい。標的がタンパク質である場合、薬物部分は、水素結合、疎水間相互作用、静電相互作用等、タンパク質との構造的相互作用に必要な官能基を含んでよく、官能化学基のうち少なくとも2つ等、少なくともアミン、アミド、スルフヒドリル、カルボニル、ヒドロキシル、またはカルボキシル基を含んでよい。
【0027】
関心が持たれている薬物は、上記の官能基の1つ以上と置き換えて、循環炭素もしくは複素環構造および/または芳香族もしくは多環芳香族構造を含み得る。ペプチド、サッカリド、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造アナログ、またはそれらの組み合わせを含む生体分子に見られる構造も、薬物部分として関心を持たれている。そのような化合物は、所望のものを識別するためにスクリーニングされることができ、当該技術分野では、様々な異なるスクリーニング手順が知られている。
【0028】
薬物は、合成または天然化合物のライブラリを含む幅広いソースから得られる、自然発生または合成化合物に由来するものであってよい。例えば、無作為に選ばれたオリゴヌクレオチドおよびオリゴペプチドの調製を含む幅広い有機化合物および生体分子の、無作為および指定された合成に、多数の手段が利用可能である。あるいは、細菌、真菌、植物、および動物抽出物の形態での天然化合物のライブラリが利用可能である、または、容易に産生される。また、天然の、または合成的に産生されたライブラリおよび化合物は、従来の化学的、物理的、および生化学的手段によって容易に修正されることができ、コンビナトリアルライブラリを産生するために使用され得る。構造アナログを産生するために、既知の薬理作用のある物質を、アシル化、アルキル化、エステル化、アミジン化等の、指定された、または無作為の化学修飾に供してもよい。
【0029】
したがって、薬物は、コンビナトリアル手段によって産生された化合物のライブラリ、すなわち化合物多様性コンビナトリアルライブラリを含む、自然発生する、または合成分子のライブラリから得られる。そのようなライブラリから得られた場合、用いられる薬物部分は、活性に適切なスクリーニングアッセイにおいて、いくつかの望ましい活性を実証するものである。当該技術分野では、コンビナトリアルライブラリが、そのようなライブラリを産生しスクリーニングする方法と同様に既知であり、第5,741,713号;第5,734,018号;第5,731,423号;第5,721,099号;第5,708,153号;第5,698,673号;第5,688,997号;第5,688,696号;第5,684,711号;第5,641,862号;第5,639,603号;第5,593,853号;第5,574,656号;第5,571,698号;第5,565,324号;第5,549,974号;第5,545,568号;第5,541,061号;第5,525,735号;第5,463,564号;第5,440,016号;第5,438,119号;第5,223,409号において記載され、それらの開示は参照することにより本書に組み込まれる。
【0030】
関心が持たれている活性剤の広義のカテゴリには、心血管作動薬;疼痛緩和剤、例えば鎮痛薬、麻酔薬、抗炎症剤等;神経賦活剤;化学療法(例えば、抗新生物薬)剤;等を含むがこれらに限定されない。
【0031】
ある実施形態において、活性剤は、心血管作動薬、すなわち、心血管または心臓の病気の治療において用いられる剤である。ある実施形態において、活性剤は、心血管作動薬、すなわち、心血管または心臓の病気の治療において用いられる剤である。関心を持たれている心血管作動薬は、心臓保護剤、例えばザインカード(デクスラゾキサン);抗凝血剤(例えば、クマディン(ワルファリンナトリウム)、フラグミン(ダルテパリンナトリウム)、ヘパリン、イノヘップ(チンザパリンナトリウム)、ロベノックス(エノキサパリンナトリウム)、オルガラン(ダナパロイドナトリウム))、抗血小板薬(例えば、Aggrasta(塩酸チロフィバン)、アグレノックス(アスピリン/持続徐放性ジピリダモール)、アグリリン(塩酸アナグレリド)、エコトリン(アセチルサリチル酸)、フローラン(エポプロステノールナトリウム)、Halfprin(腸溶コーティングされたアスピリン)、インテグリリン(エプチフィバチド)、ペルサンチン(ジピリダモールUSP)、プラビックス(登録商標)(硫酸クロピドグレル)、プレタール(シロスタゾール)、レオプロ(アブシキシマブ)、チクリッド(塩酸チクロピジン))、血栓溶解剤(アクティベース(アルテプラーゼ)、Retavase(レテプラーゼ)、ストレプターゼ(ストレプトキナーゼ))を含む血液調整剤;カルデナリン(メシル酸ドキサゾシン)、ジベンジリン(塩酸フェノキシベンザミン)、ハイトリン(塩酸テラゾシン)、ミニプレス(塩酸プラゾシン)、ミニジン(塩酸プラゾシン/ポリチアジド)等のアドレナリン遮断薬;Aldoclor(メチルドパ‐クロロチアジド)、アルドメット(メチルドパ、メチルドペートHCl)、Aldoril(メチルドパ‐ヒドロクロロチアジド)、カタプレス(塩酸クロニジンUSP、クロニジン)、Clorpres(塩酸クロニジンおよびクロルタリドン)、Combipres(塩酸クロニジン/クロルタリドン)、Tenex(塩酸グアンファシン)等のアドレナリン刺激剤;コレッグ(カルベジロール)、Normodyne(塩酸ラベタロール)等のα/βアドレナリン遮断薬;アキュプリル(塩酸キナプリル)、アセオン(ペリンドプリルエルブミン)、アルテース(ラミプリル)、カプトプリル、ロテンシン(塩酸ベナゼプリル)、Mavik(トランドラプリル)、モノプリル(フォシノプリルナトリウム錠)、プリニビル(リシノプリル)、ユニバスク(塩酸モエキシプリル)、バソテック(エナラプリラート、マレイン酸エナラプリル)、ゼストリル(リシノプリル)等のアンジオテンシン変換酵素(Angiotensin
Converting Enzyme;ACE)阻害剤;Lexxel(マレイン酸エナラプリル‐フェロジピンER)、ロトレル(アムロジピンおよび塩酸ベナゼプリル)、タルカ(トランドラプリル/塩酸ベラパミルER)等の、カルシウムチャネル遮断薬を伴うアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤;アキュレティック(キナプリルHCl/ヒドロクロロチアジド)、ロテンシン(塩酸ベナゼプリルおよびヒドロクロロチアジドUSP)、プリンザイド(リシノプリル‐ヒドロクロロチアジド)、ユニレチック(塩酸モエキシプリル/ヒドロクロロチアジド)、バセレティック(マレイン酸エナラプリル‐ヒドロクロロチアジド)、ゼストレチック(リシノプリルおよびヒドロクロロチアジド)等の、利尿薬を伴うアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤;アタカンド(カンデサルタンシレキセチル)、アバプロ(イルベサルタン)、コザール(ロサルタンカリウム)、ディオバン(バルサルタン)、ミカルディス(テルミサルタン)、テベテン(メシル酸エプロサルタン)等のアンジオテンシンII受容体拮抗薬;アバライド(イルベサルタン‐ヒドロクロロチアジド)、ディオバン(バルサルタンおよびヒドロクロロチアジド)、ハイザール(ロサルタンカリウム‐ヒドロクロロチアジド)等の、利尿薬を伴うアンジオテンシンII受容体拮抗薬;第I群(例えば、メキシチル(塩酸メキシレチン、USP)、ノルペース(リン酸ジソピラミド)、Procanbid(塩酸プロカインアミド)、Quinaglute(グルコン酸キニジン)、Quinidex(硫酸キニジン)、キニジン(グルコン酸キニジン注射、USP)、Rythmol(塩酸プロパフェノン)、タンボコール(酢酸フレカイニド)、Tonocard(トカイニドHCl))、第II群(例えば、Betapace(ソタロールHCl)、ブレビブロック(塩酸エスモロール)、インデラル(塩酸プロプラノロール)、セクトラール(塩酸アセブトロール))、第III群(例えば、Betapace(ソタロールHCl)、コルダロン(塩酸アミオダロン)、Corvert(フマル酸イブチライド注射)、Pacerone(アミオダロンHCl)、タイコシン(ドフェチリド))、第IV群(例えば、アデノカード(アデノシン)、Lanoxicaps(ジゴキシン)、ラノキシン(ジゴキシン)に加えて、カラン(塩酸ベラパミル)、カルジゼム(ジルチアゼムHCl))等の抗不整脈剤;胆汁酸金属イオン封鎖剤(例えば、コレスチド(微粉化塩酸コレスチポール)、ウェルコール(塩酸コレセベラム))、フィブリン酸誘導体(例えば、Atromid(クロフィブラート)、ロピッド(ゲムフィブロジル錠、USP)、トライコア(フェノフィブラートカプセル))、HMG‐CoA還元酵素阻害剤(例えば、バイコール(セリバスタチンナトリウム錠)、レスコール(フルバスタチンナトリウム)、リピトール(アトルバスタチンカルシウム)、メバコール(ロバスタチン)、プラバコール(プラバスタチンナトリウム)、ゾコール(シンバスタチン))、ニコチン酸(例えば、ナイアスパン(ナイアシン持続徐放性錠))を含む抗高脂血症酸;例えば、ベータペース(ソタロールHCl)、ブロカドレン(マレイン酸チモロール)、ブレビブロック(塩酸エスモロール)、Cartrol(塩酸カルテオロール)、インデラル(塩酸プロプラノロール)、ケルロン(塩酸ベタキソロール)、ナドロール、セクトラール(塩酸アセブトロール)、テノーミン(アテノロール)、トプロール(コハク酸メトプロロール)、ゼベタ(フマル酸ビソプロロール)等のβアドレナリン遮断剤;例えば、コルザイド(ナドロールおよびベンドロフルメチアジド錠)、Inderide(塩酸プロプラノロールおよびヒドロクロロチアジド)、Tenoretic(アテノロールおよびクロルタリドン)、Timolide(マレイン酸チモロール‐ヒドロクロロチアジド)、Ziac(フマル酸ビソプロロールおよびヒドロクロロチアジド)等の、利尿薬を伴うβアドレナリン遮断剤;例えば、アダラート(ニフェジピン)、カラン(塩酸ベラパミル)、Cardene(塩酸ニカルジピン)、カルジゼム(ジルチアゼムHCl)、Covera(塩酸ベラパミル)、イソプチン(塩酸ベラパミル)、ニモトップ(ニモジピン)、ノルバスク(ベジル酸アムロジピン)、プレンジル(フェロジピン)、プロカジア(ニフェジピン)、スラール(ニソルジピン)、タイアザック(塩酸ジルチアゼム)、Vascor(塩酸ベプリジル)、Verelan(塩酸ベラパミル)等のカルシウムチャネル遮断薬;炭酸脱水酵素阻害薬(例えば、ダラナイド(ジクロルフェナミド))、利尿薬合剤(例えば、Aldactazide(ヒドロクロロチアジドを伴うスピロノラクトン)、ダイアザイド(トリアムテレンおよびヒドロクロロチアジド)、マックスザイド(トリアムテレンおよびヒドロクロロチアジド)、Moduretic(アミロリドHCl‐ヒドロクロロチアジド))、ループ利尿薬(デマデックス(トルセミド)、エデクリン(エタクリン酸、エタクリン酸ナトリウム)、フロセミド)、カリウム保持性利尿薬(アルダクトン(スピロノラクトン)、Dyrenium(トリアムテレン)、Midamor(アミロリドHCl))、チアジンおよび関連利尿薬(例えば、Diucardin(ヒドロフルメチアジド)、Diuril(クロロチアジド、クロロサイアザイドナトリウム)、エンデュロン(メチクロチアジド)、HydroDiuril(ヒドロクロロチアジド)、インダパミド、Microzide(ヒドロクロロチアジド)、Mykrox(メトラゾン錠)、Renese(ポリチアジド)、Thalitone(クロルタリドン、USP)、Zaroxolyn(メトラゾン))を含む利尿薬;例えば、Digitek(ジゴキシン)、ドブトレックス(ドブタミン)、Lanoxicaps(ジゴキシン)、ラノキシン(ジゴキシン)、プリマコア(乳酸ミルリノン)等の強心薬;アクティベース(アルテプラーゼ(遺伝子組換え));塩化アドレナリン(エピネフリン注射、USP);Demser(メチロシン)、Inversine(メカミラミンHCl)、レオプロ(アブシキシマブ)、Retavase(レテプラーゼ)、ストレプターゼ(ストレプトキナーゼ)、TNKase(テネクテプラーゼ);冠拡張薬(例えば、Imdur(一硝酸イソソルビド)、ISMO(一硝酸イソソルビド)、イソルディル(硝酸イソソルビド)、Nitro‐Dur(ニトログリセリン)、Nitrolingual(ニトログリセリン舌下スプレー)、ニトロスタット(ニトログリセリン錠、USP)、ソルビトレート(硝酸イソソルビド))、末梢血管拡張剤および合剤(例えば、Corlopam(メシル酸フェノルドパム)、フローラン(エポプロステノールナトリウム)、プリマコア(乳酸ミルリノン))、昇圧剤、例えば、Aramine(酒石酸水素メタラミノール)、エピペン(エピネフリン自己注射器の商標EpiPen 0.3mg、エピネフリン自己注射器の商標EpiPen Jr.0.15mg)、ProAmatine(塩酸ミドドリン)を含む血管拡張剤;等を含むがこれらに限定されない。
【0032】
ある実施形態において、関心を持たれている特定の薬物は、(1)中枢神経抑制薬、例えば、全身麻酔薬(バルビツール酸系催眠薬、ベンゾジアゼピン、ステロイド、シクロヘキサノン誘導体、および各種薬剤)、催眠鎮静薬(ベンゾジアゼピン、バルビツール酸系催眠薬、ピペリジンジオンおよびトリオン、キナゾリン誘導体、カルバメート、アルデヒドおよび誘導体、アミド、非環式ウレイド、ベンズアゼピンおよび関連薬物、フェノチアジン等)、中央随意筋整調薬物(ヒダントイン、バルビツール酸系催眠薬、オキサゾリジンジオン、スクシンイミド、アシルウレイド、グルタルイミド、ベンゾジアゼピン、第2級および第3級アルコール、ジベンザゼピン誘導体、バルプロ酸および誘導体、GABAアナログ等の抗けいれん薬)、鎮痛薬(モルヒネおよび誘導体、オリパビン誘導体、モルフィナン誘導体、フェニルピペリジン、2,6‐メタン‐3‐ベンザゾカイン誘導体、ジフェニルプロピルアミンおよび等量式、サリチル酸塩、p‐アミノフェノール誘導体、5‐ピラゾロン誘導体、アリール酢酸誘導体、フェナメートおよび等量式等)、ならびに、制吐剤(抗コリン作用薬、抗ヒスタミン薬、抗ドーパミン薬等)、(2)中枢神経系刺激薬、例えば、蘇生薬(呼吸刺激薬、けいれん刺激薬、精神運動興奮薬)、麻薬拮抗薬(モルヒネ誘導体、オリパビン誘導体、2,6‐メタン‐3‐ベンゾキサシン誘導体、モルフィナン誘導体)、向知性薬、(3)精神薬理に関するもの、例えば、抗不安鎮静薬(ベンゾジアゼピン、カルバミン酸プロパンジオール)、抗精神病薬(フェノチアジン誘導体、チオキサンチン誘導体、その他の三環式化合物、ブチロフェノン誘導体および等量式、ジフェニルブチルアミン誘導体、置換ベンズアミド、アリールピペラジン誘導体、インドール誘導体等)、抗うつ薬(三環式化合物、MAO阻害剤等)、(4)呼吸器薬、例えば、中枢性鎮咳薬(アヘンアルカロイドおよびその誘導体)、等の精神薬理剤;
(1)末梢神経系薬物、例えば、局所麻酔薬(エステル誘導体、アミド誘導体)、(2)シナプスまたは神経効果器接合部位で作用する薬物、例えば、コリン作動薬、抗コリン剤、神経筋遮断薬、アドレナリン作動薬、抗アドレナリン作動薬、(3)平滑筋作用薬、例えば、鎮痙薬(抗コリン作用薬、筋肉屈性鎮痙薬)、血管拡張剤、平滑筋刺激薬、(4)ヒスタミンおよび抗ヒスタミン薬、例えば、ヒスタミンおよびその誘導体(ベタゾール)、抗ヒスタミン薬(H1拮抗薬、H2拮抗薬)、ヒスタミン代謝薬、(5)心血管薬、例えば、強心剤(植物抽出物、ブテノライド、ペンタジエノライド、エリスロフレウム種のアルカロイド、イオノフォア、アドレナリン受容体刺激薬等)、抗不整脈薬、血圧降下薬、抗高脂血剤(クロフィブリン酸誘導体、ニコチン酸誘導体、ホルモンおよびアナログ、抗生物質、サリチル酸および誘導体)、抗静脈瘤薬、止血薬、(6)血液および造血系薬、例えば、抗貧血薬、血液凝固薬(収斂剤、抗凝血剤、抗血栓剤、血栓溶解剤、血中タンパクおよびその画分)、(7)胃腸管薬、例えば、消化薬(健胃薬、胆汁分泌促進薬)、抗潰瘍薬、止痢剤、(8)局所作用薬、等の薬理剤;
(1)抗感染症剤、例えば、外部寄生虫撲滅薬(塩素化炭化水素、ピレトリン、硫黄化合物)、駆虫薬、抗原虫剤、抗マラリア剤、抗アメーバ剤、抗リーシュマニア薬、抗トリコモナス剤、抗トリパノソーマ剤、スルホンアミド、抗抗酸菌薬、抗ウイルス化学療法薬等、および(2)アルキル化剤、例えば、塩酸メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード、マスタージェン、HN2)、シクロホスファミド(Cytovan、Endoxana)、イホスファミド(IFEX)、クロラムブシル(リューケラン)、メルファラン(フェニルアラニンマスタード、L‐サルコリシン、アルケラン、L‐PAM)、ブスルファン(ミレラン)、チオテパ(トリエチレンチオホスホラミド)、カルムスチン(BiCNU、BCNU)、ロムスチン(CeeNU、CCNU)、ストレプトゾシン(ザノサール)等;植物性アルカロイド、例えば、ビンクリスチン(オンコビン)、ビンブラスチン(Velban、Velbe)、パクリタキセル(タキソール)、等;代謝拮抗物質、例えば、メトトレキサート(MTX)、メルカプトプリン(プリネトール、6‐MP)、チオグアニン(6‐TG)、フルオロウラシル(5‐FU)、シタラビン(サイトサール‐U、Ara‐C)、アザシチジン(Mylosar、5‐AZA)等;抗生物質、例えば、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD、コスメゲン)、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ダウノルビシン(ダウノマイシン、Cerubidine)、イダルビシン(イダマイシン)、ブレオマイシン(Blenoxane)、プリカマイシン(ミトラマイシン、ミトラシン)、マイトマイシン(ムタマイシン)等、ならびに、その他の抗細胞増殖剤、例えば、ヒドロキシウレア(ハイドレア)、プロカルバジン(Mutalane)、ダカルバジン(DTIC‐Dome)、シスプラチン(プラチノール)、カルボプラチン(パラプラチン)、アスパラギナーゼ(Elspar)、エトポシド(ベプシド、VP‐16‐213)、アムサクリン(AMSA、m−AMSA)、ミトタン(Lysodren)、ミトキサントロン(ノバントロン)等の、細胞増殖抑制剤、すなわち、抗腫瘍薬または細胞毒性薬等の、化学療法剤;
アミノグリコシド抗生物質、例えば、アミカシン、アプラマイシン、アルベカシン、バンバーマイシン、ブチロシン、ジベカシン、ジヒドロストレプトマイシン、フォーチミシン、ゲンタマイシン、イセパマイシン、カナマイシン、ミクロノミシン、ネオマイシン、ネチルミシン、パロマイシン、リボスタマイシン、シソマイシン、スペクチノマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、トロスペクトマイシン;アンフェニコール、例えば、アジダムフェニコール、クロラムフェニコール、フロルフェニコール、およびテイマフェニコール;アンサマイシン、例えば、リファミド、リファンピン、リファマイシン、リファペンチン、リファキシミン;b‐ラクタム、例えば、カルバセフェム、カルバペネム、セファロスポリン、セファマイシン、モノバクタム、オキサフェム、ペニシリン;リンコマイシン系抗生剤、例えば、クリンダマイシン、リンコマイシン;マクロライド、例えば、クラリスロマイシン、Dirthromycin、エリスロマイシン等;ポリペプチド、例えば、アンホマイシン、バシトラシン、カプレオマイシン等;テトラサイクリン、例えば、アピサイクリン、クロロテトラサイクリン、クロモサイクリン等;2,4‐ジアミノピリミジン、ニトロフラン、キノロン、およびそれらのアナログ等の合成抗菌剤、スルホンアミド、スルホン、等の抗生物質;
ポリエン、例えば、アムホテリシンB、カンジシジン、デルモスタチン、フィリピン、ファンギクロミン、ハチマイシン、ハマイシン、ルセンソマイシン、メパルトリシン、ナタマイシン、ナイスタチン、ペチロシン、ペリマイシン;アリルアミン、例えば、ブテナフィン、ナフチフィン、テルビナフィン等の合成抗真菌剤;イミダゾール、例えば、ビフォナゾール、ブトコナゾール、クロルダントイン、クロルミダゾール等、チオカーバメート、例えば、トルシクラート、トリアゾール、例えば、フルコナゾール、イトラコナゾール、テルコナゾール等の、抗真菌薬;
アレコリン、アスピディン、アスピジノール、ジクロロフェン、エンベリン、コーシン、ナフタレン、ニクロサミド、ペレチエリン、キナクリン、アラントラクトン、アモカルジン、アモスカナート、アスカリドール、ベフェニウム、ビトスカナート、四塩化炭素、カルバクロール、シクロベンダゾール、ジエチルカルバマジン等の駆虫薬;
アセダプソン、アモジアキン、アーテエーター、アーテメーター、アルテミシニン、アーテスネート、アトバクオン、ベベリン、ベルベリン、チラータ、クロルグアニド、クロロキン、プロロプログアニル、シンチョナ、シンコニジン、シンコニン、シクログアニル、ゲンチオピクリン、ハロファントリン、ヒドロキシクロロキン、塩酸メフロキン、3‐メチルアルサセチン、パマキン、plasmocid、プリマキン、ピリメタミン、キナクリン、キニジン、キニーネ、キノシド、キノリン、第ニヒ酸ナトリウム等の抗マラリア薬;
Acranil、チニダゾール、イプロニダゾール、エチルスチバミン、ペンタミジン、アセタルゾン、アミニトロゾール、アニソマイシン、ニフラテル、チニダゾール、ベンジダゾール、スラミン等の抗原虫剤、等を含むがこれらに限定されない。
【0033】
関心が持たれている商標薬は、レズリン(商標)、ロバスタチン(商標)、エナラプリル(商標)、プロザック(商標)、プリロセック(商標)、リポトール(商標)、クラリチン(商標)、ゾコール(商標)、プロフロキサシン(商標)、バイアグラ(商標)、クリキシバン(商標)、リタリン(商標)等を含むがこれらに限定されない。
【0034】
関心が持たれている薬物化合物は、GoodmanおよびGilmanのThe Pharmacological Basis of Therapeutics(第9版)(Goodmanら編)(McGraw‐Hill社)(1996年);ならびに、2001 Physician’s Desk Referenceにも記載されている。
【0035】
関心を持たれている特定の化合物は、
米国特許第5880161号、第5877206号、第5786344号、第5760041号、第5753668号、第5698529号、第5684004号、第5665715号、第5654484号、第5624924号、第5618813号、第5610292号、第5597831号、第5530026号、第5525633号、第5525606号、第5512678号、第5508277号、第5463181号、第5409893号、第5358952号、第5318965号、第5223503号、第5214068号、第5196424号、第5109024号、第5106996号、第5101072号、第5077404号、第5071848号、第5066493号、第5019390号、第4996229号、第4996206号、第4970318号、第4968800号、第4962114号、第4927828号、第4892887号、第4889859号、第4886790号、第4882334号、第4882333号、第4871746号、第4863955号、第4849563号、第4845216号、第4833145号、第4824955号、第4785085号、第476925号、第4684747号、第4618685号、第4611066号、第4550187号、第4550186号、第4544501号、第4541956号、第4532327号、第4490540号、第4399283号、第4391982号、第4383994号、第4294763号、第4283394号、第4246411号、第4214089号、第4150231号、第4147798号、第4056673号、第4029661号、第4012448号に記載されているような抗腫瘍薬;
米国特許第5192799号、第5036070号、第4778800号、第4753951号、第4590180号、第4690930号、第4645773号、第4427694号、第4424202号、第4440781号、第5686482号、第5478828号、第5461062号、第5387593号、第5387586号、第5256664号、第5192799号、第5120733号、第5036070号、第4977167号、第4904663号、第4788188号、第4778800号、第4753951号、第4690930号、第4645773号、第4631285号、第4617314号、第4613600号、第4590180号、第4560684号、第4548938号、第4529727号、第4459306号、第4443451号、第4440781号、第4427694号、第4424202号、第4397853号、第4358451号、第4324787号、第4314081号、第4313896号、第4294828号、第4277476号、第4267328号、第4264499号、第4231930号、第4194009号、第4188388号、第4148796号、第4128717号、第4062858号、第4031226号、第4020072号、第4018895号、第4018779号、第4013672号、第3994898号、第3968125号、第3939152号、第3928356号、第3880834号、第3668210号に記載されているような精神薬理/向精神剤;
米国特許第4966967号、第5661129号、第5552411号、第5332737号、第5389675号、第5198449号、第5079247号、第4966967号、第4874760号、第4954526号、第5051423号、第4888335号、第4853391号、第4906634号、第4775757号、第4727072号、第4542160号、第4522949号、第4524151号、第4525479号、第4474804号、第4520026号、第4520026号、第5869478号、第5859239号、第5837702号、第5807889号、第5731322号、第5726171号、第5723457号、第5705523号、第5696111号、第5691332号、第5679672号、第5661129号、第5654294号、第5646276号、第5637586号、第5631251号、第5612370号、第5612323号、第5574037号、第5563170号、第5552411号、第5552397号、第5547966号、第5482925号、第5457118号、第5414017号、第5414013号、第5401758号、第5393771号、第5362902号、第5332737号、第5310731号、第5260444号、第5223516号、第5217958号、第5208245号、第5202330号、第5198449号、第5189036号、第5185362号、第5140031号、第5128349号、第5116861号、第5079247号、第5070099号、第5061813号、第5055466号、第5051423号、第5036065号、第5026712号、第5011931号、第5006542号、第4981843号、第4977144号、第4971984号、第4966967号、第4959383号、第4954526号、第4952692号、第4939137号、第4906634号、第4889866号、第4888335号、第4883872号、第4883811号、第4847379号、第4835157号、第4824831号、第4780538号、第4775757号、第4774239号、第4771047号、第4769371号、第4767756号、第4762837号、第4753946号、第4752616号、第4749715号、第4738978号、第4735962号、第4734426号、第4734425号、第4734424号、第4730052号、第4727072号、第4721796号、第4707550号、第4704382号、第4703120号、第4681970号、第4681882号、第4670560号、第4670453号、第4668787号、第4663337号、第4663336号、第4661506号、第4656267号、第4656185号、第4654357号、第4654356号、第4654355号、第4654335号、第4652578号、第4652576号、第4650874号、第4650797号、第4649139号、第4647585号、第4647573号、第4647565号、第4647561号、第4645836号、第4639461号、第4638012号、第4638011号、第4632931号、第4631283号、第4628095号、第4626548号、第4614825号、第4611007号、第4611006号、第4611005号、第4609671号、第4608386号、第4607049号、第4607048号、第4595692号、第4593042号、第4593029号、第4591603号、第4588743号、第4588742号、第4588741号、第4582854号、第4575512号、第4568762号、第4560698号、第4556739号、第4556675号、第4555571号、第4555570号、第4555523号、第4550120号、第4542160号、第4542157号、第4542156号、第4542155号、第4542151号、第4537981号、第4537904号、第4536514号、第4536513号、第4533673号、第4526901号、第4526900号、第4525479号、第4524151号、第4522949号、第4521539号、第4520026号、第4517188号、第4482562号、第4474804号、第4474803号、第4472411号、第4466979号、第4463015号、第4456617号、第4456616号、第4456615号、第4418076号、第4416896号、第4252815号、第4220594号、第4190587号、第4177280号、第4164586号、第4151297号、第4145443号、第4143054号、第4123550号、第4083968号、第4076834号、第4064259号、第4064258号、第4064257号、第4058620号、第4001421号、第3993639号、第3991057号、第3982010号、第3980652号、第3968117号、第3959296号、第3951950号、第3933834号、第3925369号、第3923818号、第3898210号、第3897442号、第3897441号、第3886157号、第3883540号、第3873715号、第3867383号、第3873715号、第3867383号、第3691216号、第3624126号に記載されているような心血管作動薬;
米国特許第5902594号、第5874476号、第5874436号、第5859027号、第5856320号、第5854242号、第5811091号、第5786350号、第5783177号、第5773469号、第5762919号、第5753715号、第5741526号、第5709870号、第5707990号、第5696117号、第5684042号、第5683709号、第5656591号、第5643971号、第5643950号、第5610196号、第5608056号、第5604262号、第5595742号、第5576341号、第5554373号、第5541233号、第5534546号、第5534508号、第5514715号、第5508417号、第5464832号、第5428073号、第5428016号、第5424396号、第5399553号、第5391544号、第5385902号、第5359066号、第5356803号、第5354862号、第5346913号、第5302592号、第5288693号、第5266567号、第5254685号、第5252745号、第5209930号、第5196441号、第5190961号、第5175160号、第5157051号、第5096700号、第5093342号、第5089251号、第5073570号、第5061702号、第5037809号、第5036077号、第5010109号、第4970226号、第4916156号、第4888434号、第4870093号、第4855318号、第4784991号、第4746504号、第4686221号、第4599228号、第4552882号、第4492700号、第4489098号、第4489085号、第4487776号、第4479953号、第4477448号、第4474807号、第4470994号、第4370484号、第4337199号、第4311709号、第4308283号、第4304910号、第4260634号、第4233311号、第4215131号、第4166122号、第4141981号、第4130664号、第4089977号、第4089900号、第4069341号、第4055655号、第4049665号、第4044139号、第4002775号、第3991201号、第3966968号、第3954868号、第3936393号、第3917476号、第3915889号、第3867548号、第3865748号、第3867548号、第3865748号、第3783160号、第3764676号、第3764677号に記載されているような抗菌剤;
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【0036】
上記の化合物のアナログにも関心が持たれている。
【0037】
上記の活性剤のすべてについて、当該活性剤は、薬学的に許容可能な塩として存在し得る。
【0038】
前述のとおり、一般に組成物の活性剤は、以下に示すような薬学的に許容可能な賦形剤または担体中に存在する。ある実施形態において、活性剤は、活性化合物の約0.1重量%から約90重量%、例えば、約1重量%から約30重量%の量で存在する。
【0039】
薬学的に許容可能な担体
上記でまとめたように、本発明の組成物は、薬学的に許容可能な賦形剤(すなわち、担体)をさらに含む。コーンスターチまたはゼラチン、乳糖、デキストロース、スクロース、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、第二リン酸カルシウム、塩化ナトリウム、およびアルギン酸等の一般的な担体および補形薬が関心を持たれている。本発明の製剤中に一般に使用される崩壊剤は、クロスカルメロース、微結晶性セルロース、コーンスターチ、デンプングリコール酸ナトリウム、およびアルギン酸を含む。
【0040】
液体組成物は、例えば、エタノール、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール等の非水溶媒、油、または水等の適切な液体担体中に、化合物または薬学的に許容可能な塩の懸濁液または溶液を、懸濁化剤、防腐剤、界面活性剤、湿潤剤、香料または着色剤と共に含んでよい。あるいは、再構築可能な粉末から液剤を調製することもできる。例えば、活性化合物、懸濁化剤、スクロース、および甘味料を含有する粉末は、水で再構築して懸濁液を形成することができ、活性原料、スクロース、および甘味料を含有する粉末からシロップを調製することができる。
【0041】
錠剤または丸薬の形態の組成物は、固体組成物を調製するために日常的に使用される、任意の適切な医薬担体を使用して調製され得る。そのような担体の例として、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、乳糖、スクロース、微結晶性セルロース、および結合剤、例えばポリビニルピロリドンが挙げられる。錠剤には、色被膜、または担体の一部として含まれる色を施してよい。また、活性化合物は、放出制御の形態で、親水性または疎水性基質を含む錠剤として製剤され得る。
【0042】
「放出制御」「持続放出」および同様の用語は、投与または注射時に直ちに分散されるのではなく、確かめられる制御可能な速度で一定期間、活性剤が送達賦形剤から放出された際に発生する、活性剤送達のモードを意味するために使用される。放出制御または持続放出は、数時間、数日、または数ヶ月延長することが可能であり、多数の要因の機能に伴って可変し得る。本発明の医薬組成物では、放出の速度は、選択される補形薬の種類および当該組成物中の補形薬の濃度によって決まることになる。放出の速度に関する別の決定要因は、ポリオルトエステルの単位の間、およびその中でのリンケージの加水分解の速度である。さらに、加水分解の速度は、ポリオルトエステルの組成および当該ポリオルトエステル中の加水分解性結合の数によっても制御され得る。本医薬組成物からの活性剤の放出の速度を決定するその他の要因としては、粒子サイズ、媒体の酸性度(基質内または基質外)、ならびに、基質中にある活性剤の物理的および化学的特性が挙げられる。
【0043】
カプセルの形態の組成物は、例えば、硬ゼラチンカプセルへの活性化合物および補形薬の組み込みによる、日常的なカプセル化手順を使用して調製され得る。あるいは、活性化合物と高分子ポリエチレングリコールの半固体基質を調製して硬ゼラチンカプセルに充填することもできるし、または、ポリエチレングリコール中の活性化合物の溶液、もしくは、食用油、例えば流動パラフィンもしくはヤシ油中の懸濁液を調製して軟ゼラチンカプセルに充填することもできる。
【0044】
含まれ得る錠剤の結合剤は、アカシア、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクロース、デンプン、およびエチルセルロースである。使用され得る潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウムまたはその他のステアリン酸金属塩、ステアリン酸、シリコーン溶液、タルク、蝋、油、およびコロイド状シリカを含む。
【0045】
ペパーミント、ウィンターグリーン油、チェリー香料等の香料添加剤を使用してもよい。また、剤形を外観上さらに魅力的なものにするため、または、製品の識別を支援するために、着色剤を添加することが望ましい場合がある。
【0046】
非経口で与えられた際に活性である本発明の組成物およびそれらの薬学的に許容可能な塩は、筋肉内、髄腔内、または静脈内投与用に製剤され得る。
【0047】
筋肉内または髄腔内投与用の一般的な組成物は、油、例えばラッカセイ油またはゴマ油中の、活性原料の懸濁液または溶液のものとなる。静脈内または髄腔内投与用の一般的な組成物は、例えば活性原料およびデキストロースもしくは塩化ナトリウムを含有する無菌等張水溶液、または、デキストロースおよび塩化ナトリウムの混合物となる。その他の例は、乳酸加リンゲル液、ブドウ糖加乳酸リンゲル液、Normosol‐Mとデキストロース、Isolyte E、アシル化リンゲル液等である。任意で、共溶媒、例えばポリエチレングリコール、キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸、および、酸化防止剤、例えばメタ重亜硫酸ナトリウムが製剤中に含まれ得る。あるいは、当該溶液は、凍結乾燥され、投与直前に適切な溶媒によって再構築されることができる。
【0048】
直腸投与において活性である本発明の組成物およびその薬学的に許容可能な塩は、坐薬として製剤され得る。一般的な坐薬製剤は、概して、ゼラチンもしくはココアバター、または、その他の低融点植物もしくは合成蝋もしくは油脂等の、結合剤および/または潤滑剤を伴う活性原料から成るであろう。
【0049】
局所投与において活性である本発明の組成物およびその薬学的に許容可能な塩は、経皮用組成物または経皮送達装置(「パッチ」)として製剤され得る。そのような組成物は、例えば、補助の活性化合物容器、制御膜、ライナーおよび接触接着剤を含む。そのような経皮パッチは、本発明の化合物の連続的または不連続な輸液を、制御された量で提供するために使用され得る。医薬品を送達するための経皮パッチの構築および使用法は、当該技術分野において既知である。例えば、参照することによりその全体が本書に組み込まれる、米国特許第5,023,252号を参照されたい。そのようなパッチは、医薬品の、連続的な、拍動性の、または需要に応じた送達用に構築され得る。
【0050】
任意で、医薬組成物は、緩衝剤、界面活性剤、酸化防止剤、粘度変性剤、防腐剤等、その他の薬学的に許容可能な成分を含有してよい。これらの成分のそれぞれは、当該技術分野において既知である。例えば、参照することによりその開示が本書に組み込まれる、米国特許第5,985,310号を参照されたい。
【0051】
本発明の製剤において使用するのに適したその他の成分は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mace Publishing Company、ペンシルバニア州フィラデルフィア、第17版、1985年)にも記載されている。
【0052】
識別子
主題組成物中には、識別子も存在する。当該識別子は、当該組成物の特定の実施形態および対象とする用途に応じて可変し得る。ある実施形態において、識別子は、生理的標的位置との接触時等、刺激、例えば照会によって活性化された際に信号を発するコンポーネントである。そのため、識別子は、標的生体(すなわち、生理的)部位と接触した際に、信号を発する識別子であってよい。追加で、または代替的に、識別子は、照会された際に信号を発する識別子であってよい。
【0053】
さらに別の実施形態において、識別子は、不活性であるが識別可能なマーカー、例えば刻み込み識別子(消化されずに残る材料から作られるもの等)である。このマーカーは、例えば病理解剖または法医学的検査の後に識別され得る。その表面が部分的に消化に供されただけでなく、内部の丸薬材料も消化されたことを判断するために、より内面的な装置を丸薬内に設けることが可能である。この応用は、実験薬理学的設定において特に有用である。これらの実施形態の識別子は、必ずしも信号を発しないものであるが、投与前に関連付けられた組成物についての情報を得るために、当該信号を光学的に調べる、例えば、視覚的にまたは機械で読み込むことができる。
【0054】
識別子は、信号を発しない識別子であってもよいが、ある実施形態において、(上記にまとめたように、)識別子は信号を発するものである。特定用途の必要性に応じて、信号は、例えば組成物が標的部位と接触したことを単に識別するだけの信号等、一般的信号であってもよいし、例えばある群の特定の組成物またはバッチ内の異なる複数の組成物が、生理的標的部位と接触したことを何らかの手法で一意に識別する信号等、一意信号であってもよい。そのため、識別子は、単位用量のバッチ、例えば錠剤のバッチにおいて用いられる場合に、当該バッチのその他任意の単位用量構成要素の識別子によって発せられた信号と区別されることができない信号を発するものであってよい。さらに別の実施形態において、識別子は、所与のバッチ内にある他の同一の単位用量からであっても、所与の単位用量を一意に識別する信号を発する。したがって、ある実施形態において、識別子は、所与の種類の単位用量をその他の種類の単位用量から、例えば、所与の薬をその他の種類の薬から区別する、一意信号を発する。ある実施形態において、識別子は、所与の単位用量を、単位用量の定義された母集団、例えば、用量製剤の処方、バッチ、または寿命推定のその他の単位用量から識別する、一意信号を発する。ある実施形態において、識別子は、固有の、すなわち、それまでに産生されたその他任意の用量製剤から発せられた信号と識別可能な信号を発し、そのような信号は、汎用一意信号(例えば、その他任意の個人のその他任意の指紋と異なり、それによって普遍的レベルで個人を一意に識別する、ヒトの指紋に類似している)として見なされ得る。一実施形態において、信号は、組成物についての情報を直接的に搬送してもよいし、識別コードを提供してもよく、当該コードは、データベース、すなわち、識別コードと組成物を紐付けしているデータベースから、組成物についての情報を検索するために使用され得る。
【0055】
識別子は、刺激を受けて活性化した後に、検出可能な信号を生成することができる任意のコンポーネントまたは装置であってよい。ある実施形態において、刺激は、例えば上記にまとめたように、組成物が生理的標的部位と接触すると信号を発するように、識別子を活性化させる。例えば、患者は、胃液と接触すると検出可能な信号を生成する丸薬を摂取することができる。当該実施形態によると、生理的標的部位または位置は可変し得るものであり、ここで、関心を持たれている代表的な生理的標的部位は、胃腸管内の位置(口、食道、胃、小腸、大腸等);親位置、血管の位置等、生体内の別の位置;または、局所的位置;等を含むがこれらに限定されない。
【0056】
ある実施形態において、識別子を活性化する刺激は、走査またはその他の種類の照会等、照会信号である。これらの実施形態において、刺激は識別子を活性化し、それによって、例えば何らかの様式で組成物を識別するために受信され処理される信号を発する。
【0057】
これらの実施形態のいくつかにおいて、識別子は、ブロードキャスト電力を変換する電源と、変換された電力を調節する信号生成要素と、を含むことができ、その結果、識別子からは信号が放出されず、その代わりに、識別子によって変換されたブロードキャスト電力の量が検出されて「信号」として用いられる。そのような実施形態は、例えば以下で詳細に検討するように、所与の組成物の履歴に関心が持たれている用途等、様々な用途において有用である。
【0058】
ある実施形態において、識別子は、それを必要としている被験者に容易に投与され得る組成物を提供するよう、組成物の活性剤/薬学的に許容可能な担体と複合体を形成するように寸法決定される。したがって、ある実施形態において、識別子要素は、約0.05mmから約1mm、例えば約0.1mmから約0.2mmの範囲の幅と、約0.05mmから約1mm、例えば約0.1mmから約0.2mmの範囲の長さと、約0.1mmから約1mm、例えば、約0.1mmから約0.2mmを含む、約0.05mmから約0.3mmの範囲の高さと、を有するように寸法決定される。ある実施形態において、識別子は、1mm
3以下、例えば、0.2mm
3以下を含む0.1mm
3以下である。識別子要素は、チップ構成、シリンダ構成、球構成、ディスク構成等であるがこれらに限定されない様々な異なる構成をとることができ、対象とする用途、製造方法等に基づいて特定の構成が選択され得る。
【0059】
識別子は、RF、磁気、伝導性(近接場)、音響等を含むがこれらに限定されない、様々な異なる種類の信号を生成することができる。
【0060】
当該技術分野において既知であるように(例えば、J.D.Jackson、Classical Electrodynamics、第2版、394〜396ページ(1975年)を参照)、角周波数ωおよび対応する波数k(ここで、k=ω/c、cは関連媒体中の光の速度である)を持つ、振動電気双極子アンテナの放射のための電場(E)および磁場(B)が以下の方程式により求められる。
【0061】
【数1】
ここで、nは、双極子源の中心から、当該源から距離rのところにある位置xへの方向における単位ベクトルであり、pは、
【0062】
【数2】
によって求められる電荷の密度を空間積分したものである。
【0063】
方程式(1)および(2)から分かるように、r>>λ(ここで、波長λ=2π/k)である「非近接場」領域において、電場および磁場は、距離1/rと共に減少する項によって支配される。この領域において、互いに直交する電場と磁場は、空間を通って信号を伝播するために、互いに送り込む。λ〜rである場合、方程式(1)および(2)中の項1/r
2(「誘導」)が重要になり、λ>>rである場合、1/r
3に伴って可変する追加の準静電項も重要になる。
【0064】
従来のRF通信は、r〜λからr>>λの距離で行われる。例えば、ペースメーカー等の埋め込み型医療装置は、一般に、人体のスケールより幾分小さい、0.75メートルの波長に対応して、405MHzの周波数帯で通信を行う。当該技術分野において既知であるように、高い周波数は、生体内の構造体が放射線を吸収し始め、望ましくない信号損失をもたらすことから、有利には使用されず、実質的に低い周波数(より長い波長)は、エネルギーの大部分が、従来のアンテナを使用して感知できる非近接場コンポーネントではなく、誘導場および/または準静的場コンポーネントへと方向を変えられるため、概して望ましくないと見なされる。中継器およびベースユニットを伴うRFIDアプリケーションは、一般にr〜λのような波長を使用し、概して、中継器からベースユニットへ電力を送信するために、磁気誘導に依存していることにも留意すべきである。ある実施形態において、これらのRF信号が用いられる。
【0065】
これらのアプローチとは対照的に、本発明のいくつかの実施形態は、例えば、参照することによりその開示が本書に組み込まれる、米国仮出願第60,713,680号に記載されているように、患者の体内において情報の通信を行うために、人体(λ>>1メートル)よりはるかに大きい波長において有利に動作する。例えば、いくつかの実施形態において、約3km(空中)の波長に対応して、約100kHzの周波数が、有利に使用される。波長λと比較して短い距離rでは、方程式(1)および(2)における準静電場項が優位を占めるため、伝播信号は、その大部分が電磁気的ではなく電気的である。そのような信号は、人体等の伝導的媒体において容易に伝播する。例えば、100kHzの周波数および約1〜2メートルの距離のとき、方程式(2)の準静的(1/r
3)コンポーネントは、非近接場(1/r)コンポーネントの約10
6倍強いと推定される。したがって、近接場結合を使用する長波長信号伝達が効率的である。さらに、信号は比較的短い距離(一般に、2メートル以下)を移動する必要があるため、非常に小型のアンテナを使用して、検出可能な信号を送信することができる。
【0066】
信号の送信には、広範な周波数が使用され得る。いくつかの実施形態において、送信周波数は、RFスペクトルの「LF」帯域(30〜300kHzと定義された低周波)内であり、AMラジオの周波数範囲(約500から1700kHz)を下回っている。LF帯域内では、160〜190kHzの範囲が実験的な使用のためにFCCによって指定されており、外部信号強度における特定の上限がある。以下で説明するように、信号の大半が患者の体内に留められる本発明の実施形態において、この実験的帯域を使用することができる。
【0067】
しかしながら、本発明は、160〜190kHz帯域にもLF(30〜300kHz帯域)にも限定されない。より低い帯域を使用することもでき、例えば、VLF帯域(3〜30kHz、空中10〜100kmの波長)において、信号は、10〜40メートルの距離まで水を貫通することができる。人体の電気的特性は塩水のそれと同様であるため、この帯域内の信号は、生体全体に容易に伝播できるであろうことが期待される。したがって、人体より少なくとも1桁大きい波長―例えば、λ〜10m以上の長さ、または、約30MHz以下の波長―に対応する、いかなる周波数帯域を使用してもよい。
【0068】
使用される信号の周波数に必ずしも下限はないが、いくつかの実用上の配慮点が、周波数の選定に影響を及ぼし得る。例えば、人体は、近くのAC電源装置によって誘発された低レベルの発振信号を担持していることがよく知られており、当該装置は、60Hz(米国)または世界の他の地域における同様の周波数で動作するものである。AC電力システムによって引き起こされる干渉を回避するために、60Hz付近の周波数は有利には使用されない。また、当該技術分野において既知であるように、より長い波長はより低い情報転送速度と相関しており、長い波長(例えば、3kHz〜30kHzのVLF帯域を下回るもの)での情報転送容量は、特定のシステム内で転送される情報の量には小さすぎる場合がある。さらに、検出可能な信号を産生するために、概して、より長い波長はより長い双極子アンテナを必要とし、ある時点で、アンテナサイズは周波数選択における制限要因となり得る。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態によると、周波数の適切な選定をしたとすると、極めて小型のアンテナを使用して、生体内の受信機へ移動するのに十分な強度の信号を生成することができる。例えば、長さがわずか数ミリメートルの双極子アンテナによって生成された100kHzの信号は、1〜2メートル離して置かれた受信アンテナへ伝播されることができる。この準静電送信は、埋め込まれたアンテナが、伝導性媒体、例えば患者の組織に直接接触しているという事実によって、補助されると考えられている。電気的特性を分析する目的で、塩水のそれと同程度の電気的特性を持つ電解質溶液を、ヒト組織に見立ててよい。そのようにして、電解質浴中に入れると、振動双極子アンテナによって作成された準静電場が、生体内において振動電流を誘発する。生体が持つ(塩水の同程度の)固有の電気抵抗の結果として、振動電流は、適切な受信機を使用して感知できる振動電位の変動を、生体内に作成する。(例えば、L.D.Landauら、Electrodynamics of Continuous Media、第3章(1960年)を参照)。適切な受信機の例としてペースメーカーのリードが挙げられ、当該リードは、約20cmの軸または長さ10〜100cmのその他任意の埋め込まれた電線を持つ、双極子を作成する。
【0070】
これらの電流は、近接場における電流フローが非近接場における電力損失につながる従来のRF通信の関連においては、望ましくないものであることに留意すべきである。実際に、多くのRF送信機が、近接場漏電電流を最小限に抑えるように設計された装置を含む。本発明のこれらの実施形態における近接場送信機では、そのような電流を最大にすることが望ましい。
【0071】
さらに、準静電信号について、患者の皮膚は、信号を患者の体内に留める伝導障壁として、有利に作用する。これは、信号を体内に留め、さらに、浮遊外部信号が生体を貫通して、送信された信号中にノイズまたは干渉を作成することを困難にする。信号の閉じ込めは、近接場信号の1/r
3減退をある程度まで緩和し、所要電力をさらに低減することができる。実験室、例えば水/空気界面が伝導障壁として作用する塩水浴中において、そのような効果が観察された。ELF(3〜30Hz)およびSLF(30〜300Hz)帯域でのRF送信を介した潜水艦との通信においても、同様の効果が観察された。ソナーは、情報を送信するために電場または電磁場よりも音響を使用し、水面が音響エネルギー用の伝導障壁として作用し、距離による信号強度の減退を緩和するにもかかわらず、ソナー通信においてもこれらの効果が観察された。
【0072】
これらの現象の結果として、極めて小型のアンテナおよび小型電源を持つ送信機は、患者の体内に検出可能な近接場信号を作成するのに十分である。例えば、アンテナは、振動電気双極子を作成するために印加される逆位相の振動電圧を持つ、長さ数ミリメートル以下の、互いに数ミリメートル隔てられた一対の電極によって形成され得る。そのようなアンテナは、生体内のほぼどこにでも配備され得る。
【0073】
さらに、いくつかの実施形態において、周波数、送信機アンテナ長さ、および受信機アンテナ長さは、検出可能な信号を産生するために必要なのはマイクロワットの電力のみとなるように選択され、従来のRF通信(例えば、約405MHzのもの)では少なくともミリワットが必要となるであろう。したがって、少量の電力しか産生しない極めてコンパクトな電源供給装置を使用することができ、以下の第IV節に例を記載する。
【0074】
そのように、関心を持たれている特定の実施形態に応じて、周波数は、約1Hz以下から約100mHz以上、例えば、約5kHzから約200kHzを含む、約1kHzから約70mHzの範囲であってよい。
【0075】
ある実施形態において、識別子によって発せられる信号は音響信号である。これらの実施形態において、識別子内に、例えば圧電素子等、都合のよいいかなる音響信号生成要素が存在してもよい。
【0076】
識別子の送信時間は可変してよく、ある実施形態において、送信時間は、約1秒から約4時間等、約0.1μ秒から約4時間以上の範囲であってよい。所与の実施形態に応じて、識別子は、信号を1回送信することも信号を2回以上送信することもできるため、当該信号は冗長信号と見なされ得る。
【0077】
ある実施形態において、識別子によって生成された信号は識別子が産生された後に決定される場合があり、当該識別子は、フィールドプログラマブル、大容量プログラマブル、ヒューズプログラマブル、および、再プログラム可能ですらであってよい、という意味で、識別子は、製造後にプログラム可能なものであってよい。符号化されていない識別子が最初に産生され、続いて、組成物への次の組み込みが符号化されて、当該組成物を表す識別信号を発する、そのような実施形態に関心が持たれている。都合のよいいかなるプログラミング技術を用いてもよい。ある実施形態において、用いられるプログラミング技術は、RFID技術である。主題識別子において用いられ得る、関心が持たれているRFIDスマートタグ技術は、米国特許第7,035,877号;第7,035,818号;第7,032,822号;第7,031,946号、ならびに出願第20050131281号公報等に記載されているものを含むがこれらに限定されず、これらの開示は参照することにより本書に組み込まれる。RFIDまたはその他のスマートタグ技術を使用して、製造業者/製造供給元は、識別子が組成物に組み込まれた後であっても、一意のIDコードを所与の識別子に関連付けることができる。ある実施形態において、使用前に組成物の取り扱いに関与する個人または事業体は、例えば、参照することによりその開示が本書に組み込まれる米国特許第7,031,946号に記載されているように、例えば識別子によって発せられた信号に対してプログラムするという形態で、識別子に情報を導入することができる。
【0078】
ある実施形態の識別子は記憶素子を含み、当該記憶素子は、その容量について可変であってよい。ある実施形態において、記憶素子は、約1ビットから約128ビットを含む、1ビットから1メガバイト等、約1ビットから1ギガバイト以上範囲の容量を有する。用いられる特定の容量は、例えば、信号が一般的信号であるか符号化された信号であるか、および、何らかの追加情報、例えば活性剤の名称等の注釈を付けられることができるかできないか等、用途に応じて可変し得る。
【0079】
本発明の実施形態の識別子コンポーネントは、(a)活性化コンポーネントと(b)信号生成コンポーネントとを有し、当該信号生成コンポーネントは、活性化コンポーネントによって活性化されて、例えば上述したように、識別信号を産生する。
【0080】
活性化コンポーネント
活性化コンポーネントは、刺激、例えば胃等、所望の生理的標的部位との組成物の接触を受けて信号を発するように、信号発生要素を活性化するコンポーネントである。活性化コンポーネントは、多数の異なる手法で活性化されるように構成されてよい。次の節では、識別子が活性化され得るいくつかの異なる手法について、詳細に説明する。以下の検討から分かるように、活性化コンポーネントは、電源、例えば電池と一体化されてもよいし、されなくてもよい。例示的な活性化アプローチは、電池完成、例えば、電解質添加によって活性化された電池およびカソードまたはアノード追加によって活性化された電池;電池接続、例えば、導体追加によって活性化された電池;トランジスタ媒介電池接続、例えば、トランジスタゲートによって活性化された電池、ジオメトリ修正、共鳴構造によるジオメトリ修正の検出、圧力検出、共鳴構造修正;等を含むがこれらに限定されない。ここで、これらの例示的な活性化アプローチのそれぞれについて、さらに詳細に検討する。
【0081】
電池完成
電解質添加によって活性化された電池
これらの実施形態において、電池は、完成時には、カソードと、アノードと、電解質とを含む。組成物(例えば、丸薬)が投与、例えば摂取され、食道を通って移動すると、次に胃に入る。組成物内に設けられたカソードとアノードは、電池全体を成すものではない。しかしながら、組成物が溶解してカソードとアノードを露出するにつれて、胃液は電池の電解質成分として作用する。このようにして、胃液の添加された成分が電池を完成させる。したがって、例えば胃に入ってカソードおよびアノードが露出するまで溶解することによって、組成物が標的部位に接触すると、識別子を活性化する電源が、例えばチップ構成で提供される。続いて、データ信号が送信される。この構成については、例えば
図4に関連して、以下で詳細に説明する。
【0082】
カソードまたはアノード追加によって活性化された電池
このアプローチの延長で、システムは、トリガイベントにカソードまたはアノードコンポーネントを追加させることによって活性化され、その部分的なプレ電池構成に電解質が内在する。電池が完成すると、必ずしも同一時点とは限らないが、電力を産生し、組成物を活性化する。
【0083】
電池接続
導体追加によって活性化された電池
本発明の別の実施形態において、電池は、胃に入る際に回路に接続される。電池が接続され、続いて、導体追加によって識別子を活性化する。この場合、物理的に完全な電池と完全なチップがある。これらの2つのコンポーネントが、胃の中にある等、生理液に浸かっている場合、当該コンポーネントは電子的に接続される。このトリガイベントは、電池を信号伝達マイクロチップに電気的に接続し、それによってスマートピルを活性化する。
【0084】
トランジスタ媒介電池接続
トランジスタゲートによって活性化された電池
電池とチップが共にスマートピルを活性化することを可能にする別の設計は、電池とレポートチップとの間にトランジスタゲートの特徴を有する。胃で活性化される等によってトランジスタゲートのスイッチが入れられると、レポート信号が送信される。
【0085】
当業者には、トランジスタゲートをオンにするための多数の方法が知られている。それらのほとんどは、スイッチを閉じることによってゲートを活性化させることを伴い、当該スイッチは、トランジスタスイッチまたはその他の種類のスイッチを含み得る。
【0086】
小さいゲート電流を印加することにより、ゲートを活性化することができる。例えば一般的にこのようにして、トランジスタは活性化される。ゲート電流は、当業者に既知である多数の手法で生成され得る。胃等の所望の環境において丸薬の存在を検出する任意の回路が、ゲート電流を生成し、システムをオンにする。
【0087】
伝導度変動を検出することにより、ゲート電流をオンにすることができる。例えば、胃の伝導度の小さい変化を検出する回路を設けてよい。胃が伝導性であるが、丸薬はそうでないかもしれない。結果として、伝導度変動が検出されると、トランジスタゲートが活性化され、スマートピルをオンにしてレポート信号を生成する。
【0088】
伝導度は、溶液濃度の変化によって調節され得る。例を挙げると、システムは、胃の外のエリアと対比して、胃の中の異なる溶液濃度を検出する。伝導性の調節によって溶液pHが検出され、これがゲートをオンにし、丸薬をオンにしてレポート信号を生成する。
【0089】
胃は、イオン伝導性流体を含有する。それらのイオン伝導性流体を用いて、ゲートの伝導度を調節し、スマートピルをオンにし、レポート信号を生成することができる。胃の中で、個々の酵素が検出され得る。例えば、胃の中のペプシン含有量を調べ、丸薬をオンにし、それによって酵素の存在をレポートするchemFETを用いることができる。
【0090】
本発明の技術革新を使用して、温度変化を検出することもできる。胃は、一般に37℃で一定である。胃の外側のエリアは、より一般的には20℃以下である。丸薬が胃に入って加熱されると、丸薬は、これによって伝導度を調整し、識別子をオンにして、レポート信号を生成するように設計されている。
【0091】
トランジスタの伝導度は、キャリア移動度と呼ばれる微視的特性によって調節され得る。この特性を使用する検出アプローチでは、トランジスタ自体を検出器として使用する。キャリア移動度は、温度によって調節される、既知の現象である。このように、トランジスタは、スマートピルをオンにしてレポート信号を生成するために当該トランジスタを使用することにより、温度センサとして使用される。
【0092】
もう1つのアプローチは、MOSFETトランジスタのゲートにおける電荷を変化させることである。ゲート電荷は、検出される要因によって調節され得る。これもやはり、トランジスタを使用して回路をオンにし、レポート信号を生成する構成である。
【0093】
別の構成において、ゲート電荷は溶液中で検出される材料によって調節される。特定のイオンが、ゲート電荷を優先的に変化させるであろう。このシステムは、結晶ポテンシャルによって調節される。結晶ポテンシャルは、結晶がある特定の状況下で電場を生成する場合に発生する。
【0094】
電場はゲートにおける電荷を変化させ、トランジスタをオンにしてレポート信号を生成することができる。この変化は浸透またはイオンプロセスに起因する化学ポテンシャルによって調節され得る。これが電荷をゲートに蓄積させ、それによって、当該ゲートをオンにし、レポート信号を生成する。
【0095】
電気ポテンシャルの変化は、多様なポテンシャルを使用してレポート信号をもたらすこともできる。例えば、重力ポテンシャルは、検出器の高さにおける変化を検出することができる。患者が丸薬を飲み込む場合、丸薬の高さにおける変化は、摂取を示すと考えられる。
【0096】
別の実施形態において、トランジスタゲートは、キャパシタンスと関連付けられている。続いて、当該キャパシタンスは、標的部位、例えば胃に特有の、ある特性によって調節される。
【0097】
ある場合において、キャパシタンスは、胃の中に包まれることによって変化させられる。続いて、このキャパシタンスへの影響が検出される。ゲート電荷は、キャリア濃度の変化によって調節される。キャリア濃度は、温度によって調節される。このアプローチは、わずかに異なるが、概念上、上述の温度センサのようにトランジスタを使用することと同様のアプローチを提供するものである。
【0098】
ジオメトリ修正
変化するジオメトリを有するトランジスタ構造も提供される。胃の中で発生するジオメトリの変化によって、ゲートキャパシタンスが決定され、キャパシタンスの変化を検出する。これらの変化は、例えば以下でさらに説明するように、様々な手法で行われ得る。
【0099】
様々な生理的要因がジオメトリを変化させる。外側の圧力と異なる胃の中の圧力は、その他の時と同様に、糜粥の生産中の自然圧搾によって発生する。これにより、ゲートキャパシタンスが変化する。ゲートに誘電体を有することにより、この変化が検出される。この場合、当がゲートは多数の層から成り、そのうちの1つが誘電体である。
【0100】
さらなる実施形態において、胃の酵素は誘電体を溶解してゲートキャパシタンスを変化させ、続いてそれが検出される。胃の中の様々な物理的および化学的状態が当該ゲート誘電体を溶解し、それによって回路を活性化させる。
共鳴構造によるジオメトリ修正の検出
その他の変形において、ゲート上に共鳴構造が提供される。この場合、特性周波数を有する機械的構造が提供される。この周波数は、トリガイベントによって励起され、測定される。胃との様々な相互作用により、当該共鳴における変化を引き起こすことになる。
【0101】
圧力検出
ゲートキャパシタンス、および変調源との共鳴を、検出に利用することもできる。この場合、変調源から共鳴構造へ、音波等の励起が提供される。当該共鳴構造のゲートキャパシタンスを、圧力波の検出に使用することができる。共鳴構造は胃内に位置し、トランジスタの回路に繋がれる。胃の中で、当該共鳴回路が圧力波を検出する。
【0102】
生体内の圧力音波には、心拍および呼吸等、特徴的な特定の音がある。これらの音が検出され、回路をオンにするために使用される。
【0103】
共鳴Q値変調によって圧力波を検出することもできる。Q値変調は、多数の異なる様式で実現され得る。共鳴構造は、周波数およびQ値という2つの成分を有する。Q値は、何らかの環境の変化を検出することによって調節される。
【0104】
共鳴構造修正
例を挙げると、当該構造は、空中において、胃液内とは非常に異なるQ値を有する。したがって、抑制は流体粘度によって検出され得る。また、当該構造は、酸または胃の中の酵素のいくつかによって浸食され、それによってキューを変化させるように構成され得る。
【0105】
胃酸または酵素による分解は、共鳴周波数も変化させる。そのような構造の周波数偏移を検出することは簡単である。周波数は、胃の中においてこの構造が変化するに伴って偏移する。構造を修正するための2つのアプローチがある。構造が溶解される、容易に検出可能な異化プロセスが発生し得る。また、胃からの酵素がこの構造に結合して大きくなる、同化作用が発生する場合がある。この効果は、共鳴構造も修正することになる。共鳴修正は、周波数変化またはQ値変調として検出される。
【0106】
電池電源
上記で検討したように、ある実施形態において、活性化要素は、電源が標的部位、例えば胃等の生理的標的部位と接触した際にオンになる電源、例えば胃酸である。ある実施形態において、電源は、生理的標的部位との接触時に電力を提供するためにオンになる電池であり、ここで当該電池は、電池がオンになった際に、信号生成コンポーネントが識別信号を発するよう、信号生成コンポーネントと連結されている。
【0107】
ある実施形態において、用いられる電池は、当該電池の2つの電極を成す2つの異種材料を備えるものである。ある実施形態において、これらの2つの材料は、さらなる材料の層によって、周囲の環境から遮蔽される。遮蔽材料(例えば、活性剤/担体基質)が周囲の流体によって溶解または腐食されると、電極材料が露出されて、胃酸等の体液またはその他の種類の電解質液と接触する。2つの電極材料が被った各酸化および還元反応の結果として、電極間に電位差、すなわち電圧が生成される。それによって、ボルタ電池または電池が形成され得る。したがって、本発明の実施形態において、そのような電池は、信号生成要素が中に存在する組成物の物理的および化学的腐食中、例えば胃、消化管等の標的部位に2つの異種材料が露出された際に、電圧が生成されるように構成される。そのような実施形態において、上述した電源は、言葉の一般的意味における「電池」ではなく、むしろ物理分野で定義されるようなものである。電解質中2つの異種材料は、「ジャガイモ電池」の物理モデルと同様に、電位が異なる。一例として、銅と亜鉛は、電池に入れた際、異なる電位を有する。同様に、金とマグネシウムは異なる電位を有する。結果として、2つの材料間の電位差が生成される。
【0108】
様々な電池活性化構成が可能である。代表的な種類の電池活性化アプローチは、電解質の存在による活性化、カソード材料の存在による活性化、伝導性材料の存在による活性化を含むがこれらに限定されない。
【0109】
電池が活性化された後、信号生成コンポーネントを活性化するために、さらなる活性化構成を用いることができる。例えば、信号生成コンポーネントは、CMOSスイッチ等、金属酸化膜半導体(Metal Oxide Semiconductor;MOS)回路のゲートの活性化によって活性化され得る。MOS回路のゲートの活性化は、ゲート電流、ゲート電荷、およびゲートキャパシタンスを含むがこれらに限定されない、1つ以上のパラメータに基づくものであってよい。
【0110】
ゲート電流は、活性化目的で、周囲の体液または組織の伝導度の関数であってよい。そのような伝導度は、さらに、溶液濃度、溶液pH値、溶液のイオン含有量、溶液の酵素含有量、温度、およびキャリア移動度を含むがこれらに限定されない、1つ以上のパラメータの関数であってよい。キャリア移動度は、温度の関数でもあり得る。
【0111】
同様に、ゲート電荷は、溶液組成、結晶ポテンシャル、電気ポテンシャル、重力ポテンシャル、ゲートキャパシタンス、およびキャリア濃度を含むがこれらに限定されない、1つ以上のパラメータの関数であってよい。キャリア濃度は、温度の関数でもあり得る。
【0112】
ゲートキャパシタンスは、ゲートの容量性ジオメトリの関数であってよく、当該関数はさらに、圧力、共鳴入力、または、ゲートに連結された誘電材料の性質の関数であってよい。誘電材料の性質は、消化管の化学物質含有量、生理的位置の化学的性質、および体液中における誘電材料の溶解の量を含むがこれらに限定されない、1つ以上のパラメータによって可変し得る。
【0113】
ある実施形態において、電池は、活性電極材料、電解質、および、電流コレクタ、パッケージング等の不活性材料でできているものである。活性材料は、異なる電気化学ポテンシャルを持つ材料の任意の対である。適切な材料は、金属に制限されるものではなく、ある実施形態において、対になった材料は、金属と非金属から選定され、例えば、金属(Mg等)と塩(CuI等)でできた対である。活性電極材料については、適切に異なる電気化学ポテンシャル(電圧)および低界面抵抗を持つ物質―金属、塩、または層間化合物―のあらゆる対が適切である。
【0114】
様々な異なる材料を電池電極として用いることができる。ある実施形態において、電極材料は、生理的標的部位、例えば胃との接触時に、識別子の信号生成要素を駆動するのに十分な電圧を提供するために選定される。ある実施形態において、電源が生理的標的部位に接触した際に電極材料によって提供される電圧は、0.1V以上等、0.01V以上を含む0.001以上、例えば0.5ボルト以上を含み、1.0ボルト以上を含む0.3V以上であり、ある実施形態において、当該電圧は、約0.01から約10V等、約0.001から約10ボルトの範囲である。
【0115】
関心が持たれている材料および対は、以下の表1に報告されているものを含むが、これらに限定されない。
【0116】
【表1】
+保護されたアノード:Li、Na、およびその他のアルカリ金属等、ある種の高エネルギーアノード材料は、それらの純粋な形態では水または酸素の存在中で不安定である。しかしながら、安定させれば、水性の環境においてこれらを使用することができる。この安定化の一例は、Polyplus Corporation(カリフォルニア州バークレー)によって開発された、いわゆる「保護されたリチウムアノード」であり、ここで高分子膜は、それを迅速酸化から保護するためにリチウム金属の表面に蒸着され、水性の環境または周囲空気中での使用を可能にする(ポリプラスは、これに保留中のIPを有する)。
【0117】
++溶解された酸素は、カソードとしての役割を果たすこともできる。この場合、体液中に溶解された酸素は、プラチナまたは金等の適切な触媒表面において、OH
−に還元され得る。その他の触媒も可能である。
【0118】
ある実施形態において、例えば電池の電圧出力を強化するために、金属の一方または両方に非金属をドープしてよい。ある実施形態においてドープ剤として使用され得る非金属は、硫黄、ヨウ素等を含むがこれらに限定されない。
【0119】
ある実施形態において、電極材料は、アノードとしてのヨウ化銅(CuI)と、カソードとしてのマグネシウム(Mg)である。本発明の実施形態では、人体に有害でない電極材料を使用する。
【0120】
ある実施形態において、電池は、小さいフォームファクタを有する。電池は、0.1mm
3以下、0.02mm
3以下を含む、1.0mm
3以下等、10mm
3以下であってよい。したがって、ある実施形態において、電池要素は、約0.1mmから約0.2mm等、約0.05mmから約1mmの範囲の幅と、約0.1mmから約0.2mm等、約0.05mmから約1mmの範囲の長さと、約0.1mmから約0.2mmを含む、約0.05mmから約0.3mm等、約0.1mmから約1mmの範囲の高さと、を有するように寸法決定される。
【0121】
以下で検討するように、ある実施形態において、電池は、分割またはセグメント化された構成を有する。
【0122】
ある実施形態において、電池は、パッケージがないものである。したがって、電極は露出され、いかなる保護構造または密封構造によっても保護されていない。したがって、電池が関連付けられ得る活性剤/担体基質材料の除去の後、電池自体は保護パッケージを含まないため、生理的標的位置において電極が自由に電解質と接触できる。
【0123】
これらの実施形態のいくつかにおいて、電池電源は、胃液、血液、またはその他の体液または何らかの組織等のイオン溶液中における逆電気分解を活用する電源として見なされ得る。
図4は、逆電気分解によって電力を供給された信号生成要素40を有する識別子30を図示している。信号生成要素40は、2つの異なる材料からできていて互いに電気的に絶縁された、金属電極32および33と電気的に接続されている。金属電極32および33がイオン溶液39中に浸されている場合、それらの間に電位差が生じる;例えば、電極33は高電位V+に上昇し、一方、電極32は低電位V−に下降する。この電位差は、回路40に電力を供給するために使用され得る。
【0124】
電極32および33は、様々な手法で実装され得る;例えば、集積回路チップの向かい合う面上のエリアを異なる2つの金属で被覆し、チップ全体をイオン溶液中に入れてよい。あるいは、電極32および33は、図示するように、要素40から離れて伸長してよい。その他の配置を使用してもよい。
【0125】
上記に示したように、電極32および33は、識別子30が動作する環境に適切な2つの任意の異なる材料でできていてよい。例えば、イオン溶液39が胃酸を含むいくつかの実施形態において、電極32および33は、腐食が遅いような貴金属(例えば、金、銀、プラチナ、パラジウム等)でできていてよい。あるいは、電極は、アルミニウム、または、適応するイオン溶液中での生存可能時間が、識別子30にその意図された機能を実行させるのに十分長い、その他の伝導性材料で作られてよい。
【0126】
電源が電池である場合、当該電池は、多数の異なる手法で作られ得る。ある実施形態において、以下でより詳細に説明するように、「平面」処理プロトコルとして類別され得る加工プロトコルを用いることができる。
【0127】
追加電源
上述したものに加えて、またはその代わりに、遠隔装置内外にあるその他のソースを用いてもよい。例えば、適切なフォームファクタを持つ化学電池または同位体電池を、いくつかの遠隔装置に電源を供給するために使用することができる。血液をエネルギー源として使用する、最近開発された燃料電池は、小型化され、低電力マイクロチップに電気エネルギーを提供するために使用され得る。機械エネルギー(例えば、圧縮)を電気エネルギーに変換する圧電性結晶は、心臓、胃、関節、または、生体のその他の可動部分の中またはその周囲等、適切な機械力が発揮され得る場所に配備された遠隔装置に用いられ得る。さらに他の実施形態において、事実上、血液が識別子に「栄養分を与える」ように、血液中のATPから電力が抽出される、細胞エネルギー工場をモデルにした電源が用いられる。その他の実施形態において、音響エネルギー(例えば、超音波)は、圧電または同様の変換器を介して、遠隔装置に連結され得る。
【0128】
さらに他の実施形態において、活性化要素は、搭載電源ではなく、分離した電源から電力を供給され、信号生成コンポーネントの標的部位との接触時に当該コンポーネントに活性化信号を提供する要素である。例えば、活性化要素は、ブロードキャスト電力を受信し、当該ブロードキャスト電力を、信号生成要素を駆動するのに適切な形態に変換するように構成された電力受信機に連結されることができる。ある実施形態において、電力受信機はコイルであってよい。あるいは、アクティベータコンポーネントは、例えば、密閉型電池、丸薬の機械エネルギーを電力に変換する電力素子、例えば圧電電力素子等、独自の電源によって電力を供給されることができる。したがって、アクティベータは、それ自体が電源であってもなくてもよく、アクティベータが電源でないそれらの実施形態において、識別子は、受信機または発電機等の独自の電源を含んでよい。
【0129】
信号生成コンポーネント
識別子要素の信号生成コンポーネントは、例えば以下でより詳細に説明するように、活性化コンポーネントによる活性化時に、例えば受信機によって受信され得る検出可能な信号を発する構造体である。ある実施形態の信号生成コンポーネントは、活性化コンポーネントによる活性化時に、検出可能な信号を産生することができる、および/または、変換されたブロードキャスト電力を調節することができる、都合のよいいかなる装置であってもよい。所望の検出可能な信号は、伝導信号、音響信号等を含むがこれらに限定されない。上記で検討したように、信号生成器によって発せられた信号は、一般的信号であっても一意信号であってもよく、所望の信号の代表的な種類は、周波数偏移符号化信号、振幅変調信号、周波数振幅信号等を含むがこれらに限定されない。
【0130】
ある実施形態において、信号生成要素は、以下でさらに詳細に表すように、信号を産生するまたは生成する回路を含む。選定される回路の種類は、少なくとも部分的に、識別子の電源によって供給される駆動力に応じて決まり得る。例えば、駆動力が1.2ボルト以上である場合、標準的なCMOS回路が用いられ得る。駆動力が約0.7から約1.2Vの範囲であるその他の実施形態においては、サブスレッショルド回路設計が用いられ得る。約0.7V以下の駆動力には、ゼロスレッショルドトランジスタ設計が用いられ得る。
【0131】
ある実施形態において、信号生成コンポーネントは、活性化コンポーネントによる活性化を受けてデジタルクロック信号を生成することができる、電圧制御発振器(Voltage‐Controlled Oscillator;VCO)を含む。VCOは、アドレスを割り当てられ、制御電圧でVCOを制御することができる、デジタル回路によって制御され得る。このデジタル制御回路は、活性化コンポーネントおよび発振器を含むチップに埋入され得る。アドレスを符号化するために振幅変調または位相偏移キーイングを使用して、識別信号が送信される。
【0132】
信号生成コンポーネントは、以下でさらに詳細に検討するように、生成された信号を、患者の内部にあっても外部にあってもよい遠隔受信機へ送信するのに役立つ独自の送信機コンポーネントを含み得る。送信機コンポーネントは、存在する場合、例えば生成され発せられる信号の種類に応じて、多数の異なる構成を取ってよい。ある実施形態において、送信機コンポーネントは、1つ以上の電極でできている。ある実施形態において、送信機コンポーネントは、例えばアンテナの形態の、1本以上の電線でできている。ある実施形態において、送信機コンポーネントは、1つ以上のコイルでできている。したがって、信号送信機は、例えば電極、アンテナ(例えば電線の形態のもの)、コイル等、様々な異なる送信機を含み得る。ある実施形態において、信号は、1つ以上の電極によって、または、1本以上の電線によって、送信される。電極が2つの送信機は双極子であり、電極が1つの送信機は単極を形成する。ある実施形態において、送信機は、一度だけ電力のダイオード電圧降下を必要とする。
【0133】
いくつかの実施形態において、送信機ユニットは、信号を送信するために、電気双極子または電気単極アンテナを使用する。
図6Aは、双極子アンテナを図示している。発振器504は、電極ドライバ506に駆動信号(Φおよび、本明細書で/Φを意味する反転信号)を提供する。
図6Cは、従来のCMOSドライバ回路を使用して実装される双極子電極ドライバ600の詳細を示す回路図である。電極602は、駆動信号Φを受けてトランジスタ604、606によって電位E
0まで駆動され、一方、電極608は、反転駆動信号/Φを受けて、トランジスタ610、612によって電位E
1まで駆動される。駆動信号Φおよび/Φは逆位相で振動するため、電位E
0およびE
1も逆位相で振動する。ドライバ600および本明細書に記載されているその他すべての電子回路は、当該技術分野において既知であるサブミクロンCMOS処理技術を使用して実装され得るため、回路のサイズは遠隔装置のサイズの制限要因ではないことが十分理解されるであろう。
【0134】
いくつかの実施形態において、
図6Aの双極子アンテナを単極アンテナで置き換えることができる。
図6Dは、従来のCMOS集積回路において実装され得る単極アンテナ用のドライバ回路を図示している。このアンテナドライバは、概して、
図6Cのドライバ回路の片方と同様であり、ドライバトランジスタ702、704は、駆動信号Φを受けて単一の電極706を電位E
mまで駆動する。
【0135】
双極子または単極の場合、ドライバ回路は、端子V+とV−との間の電位差(ΔV)によって電力を供給される。この電位差は、必要に応じて、一定であっても可変であってもよい。
【0136】
図6Aは、本発明の一実施形態による、識別子用の送信機信号生成要素500のブロック図である。この実施形態において、生成要素500は、信号を産生し、発するように信号生成要素を活性化する活性化コンポーネントから、信号Mを受信する。信号生成要素500は、制御論理502と、発振器504と、電極ドライバ506と、アンテナ508とを含む(この例では、電極の対が電気双極子アンテナとして動作した)。動作中、発振器504は、制御論理502からの信号を受けて発振信号(波形)を生成する。制御論理502からの信号は、発振器を起動または停止することができ、いくつかの実施形態においては、振幅、周波数、および/または位相等、振動信号の1つ以上の性状を決定付けることもできる。発振器504は、電極ドライバ506に波形を提供し、当該ドライバはアンテナ508における電流または電圧を駆動して、信号を体組織または体液の伝導性媒体へ送信する。
【0137】
所与の実施形態に応じて、信号は調節されてもよいし、されなくてもよい。例えば、ある実施形態において、信号の周波数は一定に保持されてよい。さらに他の実施形態において、信号は、例えば、キャリアベースの変調スキーム、超広帯域(またはタイムドメインベースの)変調スキームによって等、何らかの様式で調節され得る。
【0138】
図6Aを再度参照すると、いくつかの実施形態において、発振器504は、一定の周波数で動作する。一定周波数信号の受信自体が、例えば遠隔装置が存在し、使用可能であるといった有用な情報を提供し得る。いくつかの実施形態において、発振器504は、追加情報を記号化するようにその信号を調節する。
【0139】
一般に、周波数、振幅、位相、またはそれらの任意の組み合わせ等、送信された信号のいくつかの特性を調節する(可変させる)ことによって、様々な手法で情報を記号化することができる。当該技術分野において既知である変調技術を用いてよい。
【0140】
一般に、アナログまたはデジタル技術を使用して情報を送信することができる。「アナログ技術」は、概して、調節された特性が異なる程度可変し、当該変動度は、送信される情報を表す値と相互に関連付けられているインスタンスをいう。例えば、要素500は信号を送信していると思われる。発振器504は、ある範囲の周波数で動作するように設計され得る。「デジタル技術」は、概して、送信される情報が一連の二進数(ビット)として表され、信号はビットストリームに基づいて調節される、インスタンスをいう。例えば、ここでも、要素500はデジタル技術を使用して信号を送信していると思われる。発振器504は、少なくとも2つの異なる周波数で動作するように設計されてよく、ここで一方の周波数はビット値0に対応し、もう一方の周波数はビット値1に対応する。本発明の実施形態において、情報を送信するために、アナログ技術、デジタル技術、またはそれらの組み合わせを使用してよい。また、様々な種類の変調が実装され得る。
【0141】
例えば、一実施形態において、周波数変調が使用される。発振器504は、電圧制御発振器(Voltage‐Controlled Oscillator;VCO)であってよく、その中の発振回路は、印加された電圧によって発振周波数が決まる。制御論理502は、(例えば、測定データの値Mを反映して)適切な電圧を供給し、信号の周波数はデータの値を示す。別の実施形態において、振幅変調が使用され;例えば、振幅を制御するために、駆動信号Φおよび/Φの振幅が可変してもよいし、駆動回路の正および負のレール(例えば、V+およびV−)が可変してもよい。別の実施形態において、位相変調が使用される。例えば、デジタル信号送信において、一方の位相はビット値0に対応し、逆の位相はビット値1に対応し、位相偏移は遷移を表す。発振器504は、駆動信号Φおよび/Φをドライバ回路の入力に直接的に接続する、または交差接続する、スイッチ回路を含み得る。必要に応じて、周波数振幅、振幅変調、および/または位相変調の組み合わせを使用してもよい。
【0142】
いくつかの実施形態において、送信機は、識別子に、次いで識別子が関連付けられている組成物に、一意識別子を含む「パケット」を送信することができる。一意識別子は、遠隔装置からの情報(例えば、活性剤のID(すなわち、注釈情報))を提供することもできる。異なる周波数帯で異なる送信機を動作すること、その周波数によって各送信機が識別されるようにすること、および/または、異なる送信機が異なる(且つ既知の)時刻に送信するように構成し、送信する際に送信機が識別されるようにすることを含む、異なる信号を区別するためのその他の技術を使用してもよい。
【0143】
追加コンポーネント
特定の実施形態に応じて、識別子は、多数の異なる追加コンポーネントを含んでよい。関心が持たれているいくつかのコンポーネントは、以下で検討するものを含むがこれらに限定されない。
【0144】
電力エンハンサー
アクティベータが、生理的標的部位との接触時にオンになる電源である場合、ある実施形態において、電源、例えば電池の電圧出力を強化する、または高めるための回路、例えば電荷ポンピング回路、電荷ダブラー等が提供される。そのような電圧強化要素は、電圧出力を、約5倍以上等、約2倍以上強化することができる。
【0145】
電力ストレージ
ある実施形態において、活性化コンポーネントは、電力ストレージ要素を含む。例えば、電池からの低速エネルギー生産が、電力ストレージ要素、例えばキャパシタに格納され、続いて当該電力ストレージ要素が、展開されている爆発的な電力を信号生成コンポーネントに提供する、負荷サイクル構成を用いてよい。ある実施形態において、活性化コンポーネントは、例えば、同じ時刻に同時に投与された異なる組成物、例えば丸薬からの信号が、異なる時刻に産生され、それによって区別可能であるように、信号生成要素への電力の送達を調節する、例えば遅延させる、タイミング要素を含む。
【0146】
付加的な特徴
ある実施形態において、組成物は、以下の特徴のうち1つ以上を有することを特徴とする。ある実施形態において、組成物は生体自体が伝導性媒体として用いられる、通信の伝導性近接場モードを用いる識別子を含む。そのような実施形態において、組成物は、(例えば上述したように)組成物の分裂時に組成物から遊離した際、回路が生体と直接的に接触し、同じ様式でカプセル化または保護されたままではない、回路を含む。これらの実施形態において、信号は、磁気信号でも高周波(RF)信号でもない。ある実施形態において、システムは、生体と関連付けられた、例えば、外部位置に埋め込まれたまたは局所的に適用された受信機を含むものであり、そのため、当該システムは、データを収集するために、生体と安定に関連付けられていない外部装置が用いられるものとは区別される。ある実施形態において、組成物は、撮像システム、例えば、カメラもしくはその他の視覚化もしくは撮像素子、またはそのコンポーネント、例えばCCD素子、照明素子等を含まない。ある実施形態において、組成物は、例えば、生理的標的部位との接触を検知するアクティベータ以外に、生理的パラメータを感知するためのセンシング素子を含まない。ある実施形態において、組成物は、推進要素を含まない。ある実施形態において、組成物は、流体回収要素等のサンプリング要素を含まない。ある実施形態において、組成物は、送達要素に活性剤を放出させる信号が受信されるまで、活性剤を当該組成物と共に保つ要素等の、作動可能な活性剤送達要素を含まない。
【0147】
識別子加工
ある所望の実施形態において、識別子要素は、半導体支持コンポーネントを含む。識別子構造体およびそのコンポーネントの製造において、様々な異なるプロトコルのいずれかが用いられ得る。例えば、成形、蒸着、および材料除去、例えば、表面マイクロマシニングおよびバルクマイクロマシニング技術を含む、微小電気機械システム(Micro−Electro‐Mechanical Systems;MEMS)加工技術等の平面処理技術が用いられ得る。当該構造体を作るいくつかの実施形態において用いられ得る蒸着技術は、電気メッキ、カソードアーク蒸着法、プラズマスプレー、スパッタリング、電子ビーム蒸発、物理的気相成長法、化学的気相成長法、プラズマ化学気相成長法等を含むがこれらに限定されない。材料除去技術は、反応性イオンエッチング、異方性化学エッチング、等方性化学エッチング、例えば、化学機械研磨、レーザー切断、電子放電加工(Electronic Discharge Machining;EDM)による平坦化等を含むがこれらに限定されない。リソグラフィプロトコルも関心を持たれている。ある実施形態において関心を持たれているのは、平面処理プロトコルの使用であり、当該プロトコルにおいては、連続して基板に適用される様々な異なる材料除去および蒸着プロトコルを使用して、構造体がまず平面基板の表面に築かれる、および/またはそこから除去される。
【0148】
図11Aから13Bは、本発明の一実施形態による、識別子を作る方法を示す図である。
図11Aは、IBMまたはTaiwan Semiconductor Manufacturing Company等のシリコンファウンドリによって処理された半導体ウエハ121の断面を描写している。ウエハの上面122は、多数の電気接触パッド123と、絶縁誘電体層124とを含有する。接触パッドは、Alであってよいが、Cu、Ti、または同様の金属であってもよく;誘電体は、SiO
2とSi
3N
4の組み合わせであってよいが、その他の絶縁体であってもよい。
図11Bに示す第1の処理ステップにおいて、ウエハ121は、厚さを望ましい厚さまで低減させるために、研削または化学的/機械的研磨によって裏面から薄くされている。最終的な厚さは、約300μmとなるかもしれないが、約50〜約500μm等、約10から約1000μmの範囲であってよい。
【0149】
図12Aは第2の処理ステップを示し、当該ステップにおいて、電気接触123を覆うために、耐食性金属125の層がウエハの正面に追加されている。一般的な金属はプラチナであるが、Au、Ti、Ir、または別の白金族金属等、その他の耐食性金属を使用してもよい。耐食性金属は、例えば物理的気相成長法によって蒸着されてよく、厚さ約0.5から約5μm等、厚さ約0.05から約100μmであってよい。金属125は、標準的な半導体処理技術であるフォトリソグラフィおよびエッチングによって、望ましいパターンに形成される。
【0150】
図12Bは、カソード材料126の蒸着を示す。所望のカソード材料は、例えば上述したように、CuまたはCuIを含むがこれらに限定されない。当該材料は、数あるプロトコルのうち、物理的気相成長法、電着、または、プラズマ蒸着によって蒸着される。カソードは、厚さ約5から約100μm等、厚さ約0.05から約500μmであってよい。カソード形状は、シャドーマスク蒸着、または、フォトリソグラフィおよびエッチングによって制御される。各チップは、必要に応じてカソード材料の2つ以上の領域127および127Aを含有してよい。
【0151】
次のアノード材料128Aは、
図12Cに示すように蒸着される。所望のアノード材料は、Mg、Zn、またはその他の負に帯電した金属を含むがこれらに限定されない。接着層128Bは、アノード材料がシリコンに接着するのを支援することが必要な場合がある。アノード用の一般的な接着層は、Ti、TiW、Crまたは同様の材料である。アノード材料と接着層は、物理的気相成長法、電着、またはプラズマ蒸着によって蒸着されることができる。カソードは、厚さ約5から約100μm等、厚さ約0.05から約500μmであってよい。
【0152】
図13Aは、蒸着されパターン化された任意の保護層129Aを示す。いくつかの用途において、電解質環境へのアノードおよびカソード曝露の速度を制御することが利点となる場合があり、それによって、限られたサイズの開口部129Bを有するような手法で、絶縁層を蒸着しパターン化することができる。このようにして、溶液は、制御された速度でアノードまたはカソード材料に達する。
図13Aは、ウエハの正面(カソード)の保護層を図示しているが、当該層はウエハの裏面(アノード側)に蒸着されてもよい。保護層用の一般的な材料は、ポリイミドまたはその他の感光性ポリマーであり、それらのいずれかがスピンコートまたはスプレーコートされていてもよい。あるいは、SiO
2、SiC、SiNのような誘電体を、物理的気相成長法または化学的気相成長法によって蒸着してよい。
【0153】
続いてウエハは、
図13Bに示すように、個々の金型115、116、117に単一化される。ダイシングは、ダイヤモンド鋸の刃でダイスカットすることによって、または、反応性イオンエッチングによって、実現され得る。これらは、標準的なシリコン半導体処理技術である。上記で検討したように、チップ寸法は可変し得る。したがって、ある実施形態において、チップ(すなわち、識別子)要素は、約0.1mmから約0.2mm等、約0.05mmから約1mmの範囲の幅と、約0.1mmから約0.2mm等、約0.05mmから約1mmの範囲の長さと、約0.1mmから約0.2mmを含む、約0.05mmから約0.3mm等、約0.1mmから約1mmの範囲の高さと、を有するように寸法決定される。
【0154】
特定の丸薬実施形態
本発明の組成物の様々な実施形態をさらに説明する上で、図を考慮し、ここで特定の実施形態をより詳細に説明する。
図1は、本発明の丸薬/カプセル実施形態の図式的な典型的表現を提供しており、当該図において、組成物は、丸薬またはカプセルの形態の、経口摂取可能な医薬製剤として構成されている。組成物14を摂取する患者10の胃12が図示されている。この「スマートピル」は、口16から患者の胃の内部18へ移動した時のものが示されている。胃に達すると、丸薬/カプセルは、胃の機械的作用、ならびに、塩酸およびその他の消化剤等、胃液中の様々な化学材料両方による溶解プロセスを受ける。
【0155】
図2Aおよび2Bは、
図1に示した丸薬組成物の、より詳細な図を提供している。
図2Aは、丸薬14の内部に配備された識別子20を図示している。識別子20は、集積回路(Integrated Circuit;IC)として存在している。回路20の裏面(底部)は、第1の金属21で少なくとも部分的に被覆されており、回路20の前(上端部)の一部は、異なる金属22で被覆されているため、回路20は、例えば
図4に関連して上述したように、逆電気分解によって電力を供給されることが可能である。上面には、2つの送信機電極23、24もある。
【0156】
丸薬14が作られると、集積回路20は、薬理学的に活性および/または不活性な材料を任意の組み合わせで含み得る少なくとも1つの外層によって囲まれる。外層は、胃の機械的作用と、胃液中の様々な化学成分(例えば、塩酸)の作用の組み合わせによって、胃の中で溶解する。
【0157】
丸薬14が溶解されると、集積回路20のエリアが胃内容物に曝露され、当該胃内容物は、本目的のために電解質溶液であると見なされ得る。丸薬の溶解により金属層21および22が露出されると、回路20に電力が供給され、当該回路は動作を開始し、金属層21および22または回路自体が消化プロセスおよび酸によって十分に溶解し、機能しなくなるまで動作し続ける。最終的には、チップの残りが生体から排泄される。
【0158】
代替的な実施形態において、集積回路20は、丸薬14に、カプセル化されるのではなく、付着される。例えば、回路20は、丸薬が調製されているときの当該丸薬の一端、丸薬の表面上の可溶性被膜中等に置かれるかもしれない。回路20が全体的にまたは部分的に露出している実施形態において、集積回路20は、丸薬が溶解した後ではなく、丸薬が胃に入った直後に動作し始める。
【0159】
一実施形態において、回路20は、丸薬14を識別する信号を送信する。識別子は、丸薬14の種類(活性原料、銘柄等)および/または用量を示すことができ、ロット番号、シリアル番号、または、例えば上記で検討したように、特定の丸薬をトレースすることを可能にし得る同様の識別情報を提供することもできる。
【0160】
図2Bは、電子回路20の一実施形態のブロック図である。この実施形態において、回路20は、第1の発振周波数がビット値0に対応し、第2の発振周波数がビット値1に対応する、周波数偏移キーイングを使用して、所定のアドレス(識別子)ビットのシリーズを連続的に送信する送信機ユニットである。上述したように、金属層21および22は、回路20に電力を供給する。電力(
図2Bでは明確に示されていない)は、発振器25、カウンタ26、読み出し回路27、および、信号を送信するために送信機電極29A、29Bを駆動する電極ドライバ28に供給される。発振器25は、概して従来の設計のもの(例えば、リング発振器)であってよく、上述したように準静電周波数領域で動作するよう、有利に構成される。発振器25は、高電圧レベルと低電圧レベルの間で振動する駆動信号Φ、および、駆動信号Φと位相が逆である反転駆動信号/Φを生成する。一実施形態において、発振器25は、信号経路25Aに提供された制御電圧によって決まる発振周波数を持つ電圧制御発振器(Voltage‐Controlled Oscillator;VCO)である。カウンタ26は、駆動信号Φおよび/Φの振動をカウントし、読み出し回路27に現在のカウントを提供する。一実施形態において、カウンタ26は、概して従来の設計の8ビットカウンタであり、その他の種類のカウンタ(異なる幅を持つカウンタを含む)を使用してもよい。読み出し回路27は、例えば時間回路20が作られた際に有利に固定される、アドレス(識別子)ビット27Aのセットで構成される。上述したように、ビットは、丸薬14の特定のインスタンスに固有のものであってもよいし、同じ状況下で作られたたくさんの丸薬に共通していてもよいし、特定の薬理作用のある物質を含有するすべての丸薬に共通していてもよい。アドレスビット14は、概して従来の設計の不揮発性ストレージ回路に格納されてよく、任意の数(例えば、8、16、32、48等)のアドレスビットが提供され得る。読み出し回路27は、VCO25の周波数を制御する発振器制御信号(例えば、電圧)を信号線25A上に生成する。一実施形態において、読み出し回路27は、例えば、カウンタ26によって提供されたアドレスカウントに基づいて現在のアドレスビットを選択し、当該ビットの値に対応する周波数を選択する制御信号を信号線25A上に生成するように構成される。(カウンタ26によって決定されたような)数回のサイクル後、読み出し回路27は、次のアドレスビットを選択し、信号線25A上に対応する制御電圧を生成する。アドレスビット値「1」および「0」を表すために、様々な周波数を使用することができる。一実施形態において、100kHzおよび200kHzの周波数を使用して、それぞれ値「0」および「1」を表すことができる。その他の値(例えば、1MHzと2MHzまたは1kHzと5kHz)を使用してもよい。選定された周波数は、有利なことに、一般に400MHz超であるヒト組織の吸収モードをはるかに下回る。上述したように、VCO25は、信号線25A上の制御信号によって決定された周波数で振動する相補信号Φ、/Φを生成する。信号Φ、/Φは、例えば
図6Dに示すように実装され得る、電極ドライバ28を制御するために使用される。電極21および22は、回路20が動作しているときに胃液と接触しているため、近接場コンポーネントは患者の生体の伝導性媒体に直接的に連結され、例えば後述するように、適切に構成されたデータコレクタによって検出され得ることに留意すべきである。一実施形態において、当該コレクタは、受信したアドレス(識別子)および受信時刻をログするように構成される。データコレクタは、リアルタイムで、または患者が医療施設にいる間に、この情報を外部装置へ再送信するように構成されてもよい。本明細書に記載した送信機は例示的なものであり、変形形態および修正形態が可能であることが十分に理解されるであろう。例えば、データを送信するためにその他の記号化スキームを使用してもよく、そのような一実施形態においては、周波数キーイングではなく位相偏移キーイングが使用される。いくつかの実施形態において、当該技術分野において既知である様々なキーイングスキームを使用して、複数のアドレスビットを、送信される単一の符号に記号化することができる。
【0161】
図3Aは、医薬材料を標識化し、組成物の中心にカプセル化されている、信号生成要素30の一実施形態の詳細な描写を提供している。信号生成要素30は、シリコンチップから構築されたICの形態であり、様々な機能要素が、例えば1つ以上の回路の層の形態で、シリコン基板31上に配備されている。チップは、標準的な集積回路技術を使用して作られ得る。そのような加工アプローチの一例は、AMI Semiconductor社(米国アイダホ州)が利用可能にした0.5μ CMOSプロセスである。基板の裏面に示されている、チップ31の底部は、一方の電池電極として機能する金属1 32であり、当該チップの上側は、もう一方の電池電極として機能する金属2 33である。チップ31の上側には、信号送信電極の対を成す電極1 34および電極2 35もある。
【0162】
ある実施形態において、電極1 34および電極2 35は、胃環境内で容易に腐食しない材料から作られ、例えば、貴金属から作られる。あるいは、いくつかの場合において、電極は、AMI Semiconductor社から市販されているもの等の標準的なアルミニウムで作られ得る。電極材料選択の基準は、当業者であれば容易に確かめられるであろう。すなわち、電極の生存可能時間が検出するのに十分長い場合には、使用するのに適切である。適切な用途において電極1および2(34および35)に使用する場合、標準的なアルミニウム金属またはその他の低費用金属は、装置にかかる費用を引き下げることができる。いくつかの場合において、電極の溶解、したがってレポート信号の消滅により、丸薬および組み込まれた装置の完全な溶解の二次的兆候を提供することができる。
【0163】
金属1および金属2(32および33)は、本発明の装置の電極コンポーネント用の材料選択とは対照的に、2つの異なる金属である。金属1および金属2は、シリコンに印加される電位が、上面において正の電圧となり、底面において負の電圧となるように選択される。このように、基板は本質的にカソードと同じ電位であり、当該電位が回路のグラウンド基準となり得、SiO
2絶縁層を持つ上面は、底側の当該グラウンドを参照して、正の電圧に連結される。
【0164】
図3Bは、本発明の一実施形態による、代替的な信号生成要素の図を提供している。
図3Bに描写されている信号生成要素30は、電極の代わりに、シリコンチップ31に付着された2つのアンテナ36および37を含む。金属1および2(32および33)も示されている。アセンブリ30は、2つまたは4つの金属構造体(32、33、36および37)が付着されたシリコンチップ31上の回路を含む。2つの異なる金属が用いられる実施形態において、当該2つの金属構造体は、電池金属、すなわち金属1および金属2(32および33)としての役割を果たす。これらの金属構造体は、様々な形態で提供され得る。例えば、一実施形態において、金属1および金属2は、チップの表裏の面上にある(例えば、以下で説明する
図3Cに示すような)非常に濃くメッキした要素である。別の実施形態において、金属1および金属2は、例えば
図3Bに示すように、いくつかの地点で単純にチップと結合された比較的長い電線である。いくつかの場合において、金属1と金属2は絶縁されている。この場合、腐食は先端で発生し、その後、チップ31に向かって伝播する。溶液中で溶解する際の腐食は、電線の終端で開始し、徐々にチップ31のほうへ進んでいく。この構成は、電池寿命を改善する。別の構成において、金属がチップの表および裏にメッキされ、その後、表面が見えなくなる。2本の電線をアンテナとして用いることもできる。一構成において、直交するアンテナの対(36および37)が提供される。この実装においては、一般に同じ材料からできたその他2つの金属構造体があるであろう。この材料は、プラチナまたは金等、様々な金属から選択され得る。これらの金属構造体は、チップに付着され、当該チップから若干離れて伸長する。一般に、これらの構造体は、合計長さ約1ミリメートルから1センチメートルである。いくつかの構成において、作成される双極子が最大寸法のものとなるように、金属構造体のかなりの部分が絶縁される。その他の構成において、例えば、
図3Cに関連して以下で説明するような、双極子機能を実行する電池金属、または分離したアンテナのみが提供される。
【0165】
ある実施形態において、信号生成要素は、アンテナを含まず、代わりに、
図3Cに示すような電池コンポーネントをアンテナとして使用する。
図3Cにおいて、信号生成要素30は、金属1層32と金属2層33との間に位置付けられたシリコン支持層31を含む。回路層38も示されている。そのような実施形態において、チップ上の、例えば回路層内のスイッチが閉じられている場合、電池の2つの金属間に電流が産生され、その後、検出される。ある実施形態において、電流が移動するための経路を画定する、チップよりも大きい膜が提供される。
【0166】
生理液との接触時に活性化される電池の、さらに別の実施形態を、
図3Dおよび3Eに示す。これらの図に示す構造において、電池は、それぞれ電極を支持する先端部分および底部分を備え、向かい合う第1および第2の電極によって境界される体積を備える構造体を産生するために当該先端部分と底部分とを接合することができ、当該体積は、活性であるとき、電解質、例えば生理液で充填されていてよい。
図3Dは、材料1 32Aが、基板(例えば、シリコンチップ)34A上の陥凹室33Aに蒸着された、電池の底部分31Aの表現を提供している。陥凹室33Aは、電解質が入るのを可能にするために開いた1つ以上の端部を有する。材料2 35Aは分離した基板36Aに蒸着されて第2の部分37Aを産生し、続いて当該部分は、例えば結合剤38Aおよび38Bによって、「フリップチップ」型プロセスでチップに結合される。すべての処理は、ウエハ規模で為され得る。望ましい場合、陥凹室の開口部は、電池がいかに迅速に活性化されるかを制御するために、分解性材料、例えばポリマーで充填される。材料34Aおよび35A用の基板34Aおよび36Aは、シリコン、金属、またはポリマー/プラスチックであってよい。ある実施形態において、
図3Dおよび3Eに示されている構造体は、第1の電極がチップの先端上にある陥凹室に蒸着された電池である。陥凹した空間は、電解質を流すための1つまたは2つの開放端を有する。第2の電極は、分離した基板(例えば、シリコンウエハ、金属膜、または高分子膜)に蒸着され、続いて、チップが上にあるウエハの上に「フリップチップ」型プロセスで結合される。当該処理は、ウエハ規模で為され、セルは通常どおりダイスカットされる。この構成の利点は、胃の中に存在する成分または胃の内壁自体によって電極表面が遮断されることからの保護;電池上に生成された任意の種(例えば、Cu)と毒性リスクを有し得る胃の内壁との間の接触の防止;3)電極表面全体にわたる電極材料の均一な消費および電極間におけるより均一な電流分布の提供を含む。
【0167】
図4は、丸薬が摂取され、当該丸薬の一部が化学的および/物理的に腐食してなくなってしまう程度まで溶解された際に発生する事象の、図式的な表現を提供している。ここでは、金属1および金属2(32および33)はイオン溶液39中にある。これにより、電子回路40に印加される際に、低電圧(V−)および高電圧(V+)が作成される。当該電子回路40の2つの出力は、上面にある信号送信電極である、E0 41およびE1 42である。信号生成要素30が単一の電極を含む、
図4に示されていない代替の実施形態において、出力はE0 41である。
【0168】
図5は、
図4と同様の配置を示す。しかしながら、出力として2つの電極を有する代わりに、コイルが提供されている。金属1および金属2(32および33)は、信号生成要素30の電子回路40に塗布される。電子回路40の出力は、コイル43に連結される。この構成により、イオン溶液に曝露された際に、金属1および金属2(32および33)によって電池が作成される。この電池が回路40を駆動し、当該回路が発振周波数を作成する。この振動電流がコイルを通過し、RF磁気信号を生成する。体組織によってかなりの減衰に見舞われ得る近接場準静電信号とは異なり、RF磁気信号は、あまり減衰せずに体組織を通って送信され得る。続いて、RF磁気信号は、磁気信号検出機構を有する外部または内部受信機装置によって拾われる。十分に高い周波数でブロードキャストが提供される場合、いつ丸薬が摂取されても、患者が身に着けているポケットベルのような装置が検出するであろう。
【0169】
図6Bは、信号生成要素において用いられ得る電子回路の一実装の詳細を示す。左側にあるのは、2つの電池電極、金属1および金属2(32および33)である。これらの金属は、電解質と接触すると、電池を結成し、発振器61に電力を提供するものであり、この場合は概略図として示されている。金属1 32は、発振器61に低電圧(グラウンド)を提供する。金属2 33は、発振器61に高電圧(V
high)を提供する。発振器61は、動作状態になると、クロック信号62および反転クロック信号63を生成し、これらの信号は互いに逆のものである。これら2つのクロック信号はカウンタ64に入り、当該カウンタは単にクロックサイクルの数をカウントし、そのカウントを多数のレジスタに格納する。本明細書において示す例では、8ビットカウンタを用いている。したがって、カウンタ64の出力は、「00000000」の値から始め、第1のクロックサイクルで「00000001」に変化させ、「11111111」になるまで継続する。カウンタ64の8ビット出力は、アドレスマルチプレクサ(MUX)65の入力に連結される。一実施形態において、MUX65は、回路内で配線接続されていてよいアドレスインタプリタを含有し、発振器61を制御するための制御電圧を生成する。MUX65は、カウンタ64の出力を使用してアドレスをシリアルビットストリームで複製し、当該アドレスはさらに信号送信駆動回路へ送り込まれる。MUX65を、信号送信の負荷サイクルを制御するために使用することもできる。一実施形態において、MUX65は、カウンタ64によって生成されたクロックカウントを使用して、時間の16分の1だけ、信号送信をオンにする。そのような低負荷サイクルは、電力を節約し、それらの信号を妨害することなく、他の装置にも送信させる。所与のチップのアドレスは、8ビット、16ビット、または32ビットとなり得る。一般に、極めて多くの異なる種類の医薬があるという理由により、8ビット超のものが製品において使用されることになる。各医薬は、その独自のアドレスを有するであろう。
【0170】
本発明は、適切な場合には、各医薬バッチにバッチ固有のアドレスを提供することができるという可能性も可能にする。これにより、丸薬がどこで作製されたか、丸薬がいつ作製されたか、および、どのバッチ内で作製されたか、という指示が可能になる。いくつかの場合において、各丸薬は一意識別子を有するであろう。これは、薬剤がその後盗用または違法使用されやすいため追跡しなくてはならない場合に、または汚染の問題が生じ得る場所で、特に有用となり得る。
【0171】
一実施形態によると、MUX65は、制御電圧を産生し、当該電圧はアドレスをシリアルに記号化し、発振器61の出力周波数を可変させるために使用され得る。例を挙げると、制御電圧が低い場合、すなわち、シリアルアドレスビットが0である場合、発振器によって1メガヘルツの信号が生成される。制御電圧が高い場合、すなわち、アドレスビットが1である場合、発振器によって2メガヘルツの信号が生成される。あるいは、これは、10メガヘルツおよび20メガヘルツ、または、装置が位相を調節するように限定されている位相偏移キーイングであってよい。MUX65の目的は、発振器、または、発振の増幅信号のACで代替した実施形態の周波数を制御することである。
【0172】
MUX65の出力は、溶液に差動電位を持たせるために電極を駆動すること、磁気信号を生成するためにコイルによって振動電流を駆動すること、または、溶液に/から電荷を押し込む/引き出すために単一の電極を駆動することができる、電極駆動66に連結される。
【0173】
このようにして、装置は、MUX65に格納されているアドレスを成す0と1のシーケンスをブロードキャストする。当該アドレスは、繰り返しブロードキャストすることができ、電池が動作しなくなった場合には、金属1または金属2(32および33)が溶液中で消費され、溶解されるまでブロードキャストし続けることができる。
【0174】
図7は、本発明の代替の実施形態である。回路70のこの実装は、発振器71とカウンタ72とを示す。MUX73は、カウンタ72からその入力として5ビットを取る。
図7の右上隅にあるのは、信号送信電極ドライバを表す典型的な回路図である。2つのCMOSインバータがそれらの入力としてそれぞれクロックおよび反転クロック信号を取り、電極e0およびe1を駆動する。
【0175】
図8は、発振器80の一実装を提供している。この場合、V
control81は、基本的に、発振器80を駆動する電圧の量を制御する。V
controlが低い場合、20,000ohmレジスタ82は、低電力供給圧力であるV
low83と、発振器制御線V
osc_control84とを分離する。V
controlが高い場合、V
osc_controlはV
lowになり、発振器回路全体にわたって最大電圧を加えて、クロック信号および反転クロック信号(85および86)から、より高い周波数が出てくるようにする。
【0176】
図9は、この場合、最後まで単純にカウントした後、ゼロに戻ってもう一度やり直し、また再度最後までカウントし始める、いくつかの簡易インバータを持つ4つのフリップフロップを有する、簡易トリクルまたは非同期カウンタを示す。一実施形態において、マルチプレクサは、そのアドレス入力としてA0およびA1、A2、A3、を取ることができ、これらの入力を格納されているアドレスと比較して、格納されているアドレス出力を発振器制御信号として出力させることができる。
【0177】
上述したように、ある実施形態において、信号生成要素は、単一の電極を含んでよく、したがって、単極子構成を有してよい。
図10に示すような本発明の一実施形態において、3端子単極子信号生成要素100が提供される。この実施形態において、丸薬の信号生成要素100は、チップ107と容量結合した1つの電極101を有する。2つの金属電極103および102は、電池用の電極を為し、当該電極が信号生成要素100に電力を提供する。電極102および103は、2つのレジスタ104および105、ならびに任意のストレージキャパシタ106を介してチップ107に連結される。一実施形態において、電極102はグラウンドであり、電極103は信号生成要素にV
highを提供する。電極101は、単極子信号生成要素の出力である。動作中、電極101は、高周波で、体液に/から電流を押し込む/出す。受信機は、体液から出た当該電荷が押し込まれたり引き出されたりするのを検出することになる。この構成と上述した構成との間の最も大きな違いは、この構成が単極子を提供することであることに留意されたい。チップ107の出力が変化すると、キャパシタ108は電極101上の電位を瞬時に変化させ、これによって生体内の電位に対応する変化が起こる。したがって、生体と接触している受信機は、大きい過渡電圧変化を検出することができる。
【0178】
この発明の設計は、受信機(図示せず)によって検出される、生体内へ/からの交流を産生する。出力結合キャパシタは任意であってよい。しかしながら、これらのキャパシタの存在は、いかなるDC電流も防止し、AC信号を強制するものである。
【0179】
図14は、
図7の信号生成要素の回路の、マルチプレクサとアドレス指定システム73とを示す。この場合、2つの4ビットMUX(141および142)と1つの1ビットMUX143があり、1ビットMUX143は、その出力として、2つの4ビットMUX141および142の出力を取る。MUX141および142の各入力ポートは、高電圧V
highまたは低電圧V
lowと連結される。本発明のこの構成により、32ビット数の場合、2つのMUXの32入力に配線接続され、多重化シリアル出力144に変換されることが可能になるであろう。カウンタが5ビットのカウントを行うと、MUX144の出力は、MUX141および142の入力を連続的に選択する。5ビットカウンタが「11111」に達すると、シーケンスはまた始めからやり直すことになる。このようにして、16ビットアドレスが繰り返し送られる。代替的なアプローチは、16ビットのゼロと16ビットのアドレスを二者択一的に送ることであり、その結果、受信回路が目を覚まし、同期することができる。
【0180】
図15は、
図14に示したシステムの、4ビットMUX141の詳細を示す。4ビットMUXは、4レベルの1ビットMUXから構築される。
【0181】
図16は、4ビットMUX141を作り上げている、1ビットMUXを詳細に示す。
【0182】
図17は、信号生成要素のさらなる単極子実施形態170である。前述した実施形態との最も大きな違いは、電流源171が、M1 172およびM2 173によって作成された電源供給と直列に置かれることである。これにより、M1 172とM2 173との間にDC電流が作成される。このDC電流は、電極174によって生成されたAC信号に匹敵するものではない。続いて、このDC電流はいずれかのキャパシタ(175および176)へ進み、電極を充電するか、別のキャパシタを充電するかのいずれかであろう。この実施形態の背後にある概念は、M1とM2との間に作成されたDC電流および単一の電極において生成されたAC信号を有することである。結合キャパシタ176は任意である。
【0183】
図18Aは、信号送信駆動回路の典型的な概略図である。この回路は、8ピン555タイマーチップに基づくものである。
図18Aに示すように、555タイマーチップのピン指定は、以下のとおり:ピン1はグラウンド、ピン2はトリガ、ピン3は出力、ピン4はリセット、ピン5は制御電圧、ピン6は閾値、ピン7は放電、ピン8はチップV
ddへの電力供給である。出力ピンおよびグラウンドピンは、2つの送信電極とそれぞれ容量結合している。動作中、この回路は、固定周波数で信号を送信する。
【0184】
図18B1から18B2は、受信回路の典型的な概略図である。図の左上部分に示されているのはフロントエンド増幅ステージであり、当該ステージは、一対の電極を介して信号を受信し、計装用増幅器を使用して当該信号に対する差動振幅を実行する。図の中央部分にあるのは、カスケード式4ステージフィルタである。一実施形態において、最初の2つのステージは、約10KHzのカットオフ周波数等、1KHzよりも高いカットオフ周波数を持つハイパスフィルタである。ハイパスフィルタは、60Hzの電力線ノイズ等、低周波ノイズおよび干渉を除去する。最後の2つのステージは、約200KHzのカットオフ周波数等、500KHzよりも低いカットオフ周波数を持つローパスフィルタである。ローパスフィルタは、高周波ノイズおよび干渉を除去することができる。フィルタ処理および増幅した信号は、図の左下部分に示すように、LEDに送り込まれる。信号が検出されると、LEDは信号の存在を示して点灯する。
【0185】
上述した装置は、一般に2つの回路を含み、一方はアドレスビットシーケンスを生成する論理回路であり、一方は当該アドレスビットシーケンスに基づいて送信電極を駆動する駆動回路である。これら2つの回路の消費電力特性は異なる。一般に、論理回路は、CMOS回路を切り替えるために、高電圧の電力供給、例えば1.2Vの電力供給を必要とする。しかしながら、論理回路を介して取り出された電流は、比較的小さい。例えば、一実施形態において、論理回路を介して取り出された信号は、約5μAである。
【0186】
一方、駆動回路は、十分に検出可能な信号を送信するために必要とする電力を理由として、はるかに大きい電流を取り出すことができる。その結果、電源供給の電圧は、より低レベルに引き下げられ得る。例えば、駆動回路は、100μAを取り出し、電池電圧を0.5Vまで引き下げることができる。
【0187】
電池電極のエリアは、装置のサイズ制限によって限られているため、電源供給に関する2つの回路間の干渉は、重大なものになり得る。結果として、駆動回路は、論理回路を動作不可能にする点まで、電池電圧を引き下げることが可能となる。本発明の一実施形態では、論理回路および駆動回路用の電力供給を分断するために、分割電池構成を使用する。
【0188】
図19は、1つの典型的な分割(すなわち、セグメント化された)電池設計を示す。ヨウ化銅からできている2つの電池電極193および194が、論理回路191および駆動回路192用の電池アノードをそれぞれ成している。事実上、電極193および194は、共通マグネシウムカソード195を持つ2つの分離した電池を形成する。このようにして、駆動回路192は、論理回路191への電源供給を大幅に損なうことなく、送信電極196を駆動するのに十分な電流を取り出すことができる。
【0189】
動作中、駆動回路192は、電極194および195によって形成された電池から電流を取り出し、送信電極196を介してこの電流を生体内へ押し込む。さらなる実施形態において、装置は、送信用の電池電極を使用することにより、分離した送信電極の使用を回避することができる。
図20は、そのような構成を示す。駆動回路206は原則的に、アノード204とカソードとの間に連結されたスイッチを含有する。このスイッチは、論理回路201からのアドレス信号によって、オンまたはオフにされることができる。スイッチがオンになっている場合、駆動回路用の電池はチップ内で効果的に短絡している。その結果、電流207は、生体内を通ってカソードからアノード204へ流れる。したがって、体組織の抵抗は、電圧差を生成することができ、当該電圧差は、例えば差動増幅器によって容易に検出され得る。
【0190】
いくつかの場合において、カソードのサイズは限られていることがあり、それによって、分割アノードがあっても、論理回路と駆動回路との電源供給の間を連結する。
図21に示すような一実施形態によると、2つの電源供給をさらに分断するために、カソードを割することもできる。ここでは、2つの分離したマグネシウム電極211および212が、論理回路および駆動回路のためにそれぞれ役立つ、2つの電池用の分離したカソードとしての役割を果たす。それにより、2つの回路間の連結を最小限に抑えることができる。
【0191】
さらなる実施形態において、駆動回路用の電池電極は、
図22に示すように、チップから取り外され、2本の外部線を介して駆動回路に連結されることができる。一方、論理回路用の電池電極は、論理回路に高圧電源を提供するために、チップに蒸着されたままにできる。外部線221および222は、それぞれ長さ約1cmであってよく、長い双極子を形成し、付随する信号増幅を提供することができる。結果として、送信の有効性は、チップのサイズによって限定されるものではない。一実施形態において、当該電線は、初めは丸薬内に折り畳まれており、丸薬が消化されると広がることができる。
【0192】
組成物の作製方法
本発明による組成物を産生するために、様々な製造プロトコルを用いることができる。主題組成物の製造において、信号生成要素は、何らかの様式で医薬剤形と安定的に関連付けられる。安定的に関連付けられるとは、少なくとも、例えば摂取によってそれを必要とする被験者に投与されるまで、信号生成要素および剤形が互いから分離されていることを意味する。信号生成要素は、多数の異なる手法で、組成物の医薬担体/活性剤成分と安定的に関連付けられ得る。ある実施形態において、担体/活性剤成分が、例えば錠剤または丸薬等の固体構造である場合、当該担体/活性剤成分は、信号生成要素にキャビティを提供する様式で産生される。続いて、信号生成要素をキャビティに入れ、例えば生体適合性材料でキャビティを密封して、最終組成物を産生する。例えば、ある実施形態において、得られた圧縮錠剤中にキャビティを産生する特徴を含む金型によって錠剤が産生される。信号生成要素をキャビティに入れ、キャビティを密封して、最終錠剤を産生する。この実施形態の変形において、錠剤は、取り外し可能な要素と共に、例えば、ロッドの形状またはその他都合のよい形状に圧縮される。続いて、錠剤中にキャビティを形成するために、取り外し可能な要素が除去される。信号生成要素をキャビティに入れ、キャビティを密封して、最終錠剤を産生する。この実施形態の別の変形において、キャビティを持たない錠剤がまず産生され、続いて、例えばレーザードリル加工によって錠剤中にキャビティが産生される。信号生成要素をキャビティに入れ、キャビティを密封して、最終錠剤を産生する。さらに他の実施形態において、信号生成要素を錠剤のサブ部分と組み合わせることによって錠剤が産生され、当該サブ部分は、事前作製されたサブ部分であってもよいし、順次製造されてもよい。例えば、ある実施形態において、まず錠剤の下半分を作製し、その錠剤の下半分の位置に信号生成要素を置き、続いて、下半分と信号生成要素の上に錠剤の上部分を置いて最終的な望ましい組成物を産生することによって、錠剤が産生される。ある実施形態において、産生された錠剤の内部に信号生成要素が位置するような錠剤が、信号生成要素の周囲に産生される。例えば、信号生成要素は、(信号生成要素を保護するために、)生体適合性材料中、例えばゼラチン中にカプセル化されていてもいなくてもよく、担体/活性剤前駆体、例えば粉末と組み合わせられ、信号生成要素が錠剤の内部の場所に位置するような様式で、錠剤に圧縮または成形される。成形または圧縮する代わりに、ある実施形態において、担体/活性剤成分は、錠剤構造を築く様式で、信号生成要素にスプレーされる。さらに別の実施形態において、担体/活性剤成分前駆体は、信号生成要素と組み合わせられ、続いて凝固されて最終組成物を産生する液剤であってよい。さらに他の実施形態において、錠剤に信号生成要素を安定的に付着させることによって、事前作製された錠剤に信号生成要素を取り付けてよい。例えば溶解等、錠剤の特性を改変しないプロトコルにも関心が持たれている。例えば、ある実施形態において、錠剤の一端にスナップ式で取り付け、それと一体化されたチップを有する、ゼラチン要素が用いられる。ゼラチン要素は、信号生成要素が取り付けられた錠剤を容易に識別するために、ある実施形態においては着色されている。組成物が、例えばゼラチンカプセル充填構成等の、活性剤/単体成分充填カプセル構成を有する場合、信号生成要素は、カプセル成分、例えば上部または底部のカプセル、および、活性剤/担体組成物で充填されたカプセルと一体化されて、最終組成物を産生することができる。上記で検討した製造方法は、本発明の組成物が製造され得る様々な異なる手法を例示したものに過ぎない。
【0193】
システム
主題組成物を含むシステムも提供される。主題の発明のシステムは、ある実施形態において、例えば受信機の形態の信号検出コンポーネントに加えて、例えば上記で検討したような組成物を含有する1つ以上の活性剤を含む。信号検出コンポーネントは、例えば上記で検討したように、組成物の信号生成要素によって生成された信号の本質に応じて大幅に可変し得る。
【0194】
ある実施形態において、信号生成コンポーネントは、埋め込み型コンポーネントである。埋め込み型コンポーネントが意味するのは、信号検出コンポーネントが、例えば半永久的または永久的な、被験者への埋め込み用に設計、すなわち構成されていることである。これらの実施形態において、信号検出コンポーネントは、使用中、in‐vivoである。さらに他の実施形態において、信号検出コンポーネントはex‐vivoであり、これは、使用中は検出コンポーネントが生体の外側に存在することを意味する。これらの実施形態のいくつかにおいて、以下でさらに詳細に述べるように、例えば、検出器の信号生成要素から検出された信号に基づいて組成物の用量を投薬するための用量投薬要素が、ex‐vivo検出コンポーネントから分離されて、またはそれと一体化されていてよい。そのような特徴は、例えば、前回の用量の摂取についての入力に基づいて次の用量を投与する閉ループ投与システムを提供するために、埋め込み型検出コンポーネント内にも存在し得る。
【0195】
上記で検討したように、ある実施形態において、組成物の信号生成要素は、標的生体部位との接触時に活性化される。これらの実施形態のいくつかにおいて、信号検出コンポーネントは、信号生成要素からの信号の検出時に活性化される。これらの実施形態のいくつかにおいて、組成物は、間欠的な信号を生成する。これらの実施形態のいくつかにおいて、検出要素は、複数の組成物を同時に検出することができる。
【0196】
信号検出コンポーネントは、様々な異なる種類の信号受信要素を含んでよく、当該受信要素の本質は、信号生成要素によって産生された信号の本質に応じて必然的に可変する。ある実施形態において、信号検出コンポーネントは、信号生成要素によって発せられた信号を検出するための、1つ以上の電極を含んでよい。ある実施形態において、受信装置には、少し離れた距離に分散された2つの電極が設けられる。この距離により、電極が差動電圧を検出することが可能になる。ある実施形態において、第1の電極は、導電性の生体要素、例えば血液と接触しており、第2の電極は、前記伝導性生体要素と相対的な電気的に絶縁された生体要素、例えば、脂肪組織(油脂)と接触している。代替の実施形態において、単一の電極を利用する受信機が用いられる。ある実施形態において、信号検出コンポーネントは、信号生成要素によって発せられた信号を検出するための、1つ以上のコイルを含んでよい。ある実施形態において、信号検出コンポーネントは、信号生成要素によって発せられた信号を検出するための音響検出要素を含む。
【0197】
識別子によって生成された信号が、例えば上記で検討したような近接場伝導信号である実施形態では、本システムの受信機は「データコレクタ」とも見なされ得る。本明細書において使用する場合、「データコレクタ」は、上述したような送信機によって生体内に作成された電位差を検出するために受信アンテナを搭載し、それによって送信された情報を受信する、任意の装置である。データコレクタは、受信したデータを様々な手法で取り扱うことができる。いくつかの実施形態において、コレクタは、単にデータを外部装置に(例えば、従来のRF通信を使用して)再送信する。その他の実施形態において、データコレクタは、その制御下にあるエフェクタを動作させる、可視または可聴警報を活性化する、生体内のどこかに位置するエフェクタに制御信号を送信する等、何らかのアクションを取るか否かを判断するために、受信したデータを処理する。さらに他の実施形態において、データコレクタは、後に外部装置に再送信するため、または、順次データの処理(例えば、あるパラメータの変化を経時的に検出する)において使用するために、受信したデータを格納する。データコレクタは受信したデータを使用して、これらのおよび/またはその他の動作のいかなる組み合わせも実行することができることを理解されたい。
【0198】
受信アンテナは患者の体内にあるか患者の皮膚に接触しているのが有利であるが、データコレクタは、完全に患者の体内にある必要はない。例えば、外部に身に着けられ、適切な受信電極を搭載した時計またはベルトを、本発明の一実施形態によるデータコレクタとして使用してよい。データコレクタは、さらなる通信経路を提供することができ、患者またはヘルスケア従事者は、当該経路を介して、収集されたデータを抽出することができる。例えば、埋め込み型コレクタは、例えば当該技術分野においてペン型スキャナとして知られているもののような、データ検索装置を使用して従事者が通信を行える、従来のRF回路(例えば、405MHzの医療装置用帯域で動作するもの)を含んでよい。データコレクタが外部コンポーネントを含む場合、当該コンポーネントは、例えば、聴覚および/または視覚フィードバックを提供するための出力装置を有してよく、例として、警報音、LED、表示画面等が挙げられる。外部コンポーネントは、中に格納されているデータを読み出すためのコンピュータにそれを介して当該コンポーネントを接続できる、インタフェースポートを含んでもよい。
【0199】
いくつかの実施形態において、データコレクタは埋め込まれている。例えば、上述したように、ペースメーカーリードは適切なサイズの受信アンテナを提供する。一般的なペースメーカーは、様々なデータ収集および処理動作を実行するように構成された論理回路を組み込んだ、制御ユニット(「カン」と称される)を含む。カンは、ペースメーカーと、ヘルスケア従事者によって動作される外部ペン型スキャナと間の通信を可能にするRF送信機/受信機回路にも接続される。したがって、患者がペースメーカーを有する場合、既存のユニットをデータコレクタとして使用することは、効率的選定となり得る。
【0200】
ある実施形態において、システムは、データを格納するための要素、すなわち、データストレージ要素をさらに含む。一般に、データストレージ要素は、コンピュータ可読媒体である。「コンピュータ可読媒体」という用語は、本明細書で使用する場合、実行および/または処理のための命令および/またはデータをコンピュータに提供することに関わる任意のストレージまたは送信媒体をいう。ストレージ媒体の例としては、そのような装置がコンピュータの内部にあるか外部にあるかにかかわらず、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、CD‐ROM、ハードディスクドライブ、ROMもしくは集積回路、光磁気ディスク、または、PCMCIAカード等のコンピュータ可読カードが挙げられる。情報を含有するファイルは、コンピュータ可読媒体に「格納」されることができ、ここで、「格納」は、後日コンピュータによってアクセス可能で検索可能であるような記録情報を意味する。コンピュータ可読媒体に関して、「永久メモリ」は、永久的であるメモリをいう。永久メモリは、コンピュータまたはプロセッサへの電源供給の終了によって消去される。コンピュータハードドライブROM(すなわち、仮想メモリとして使用されないROM)、CD‐ROM、フロッピー(登録商標)ディスク、およびDVDは、すべて永久メモリの例である。ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory;RAM)は非永久メモリの一例である。永久メモリ内のファイルは、編集可能且つ書き換え可能であってよい。
【0201】
ある実施形態において、データストレージ要素に記録されているデータは、患者に投与された時刻、日時、および各組成物の識別子のうち、全部ではないが少なくとも1つを含み、当該識別子は、当該組成物の一般名であってもよいし、その符号化版であってもよい。ある実施形態において、所望のデータは、血行動態測定結果を含む。ある実施形態において、所望のデータは、心臓組織特性を含む。ある実施形態において、所望のデータは、圧力または体積測定結果を含む。
【0202】
本発明は、上記の方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令(すなわち、プログラミング)も提供する。コンピュータ実行可能命令は、コンピュータ可読媒体に存在する。したがって、本発明は、例えば上記で検討したように、本発明の組成物によって生成された信号を検出および処理する上で使用するためのプログラミングを含有する、コンピュータ可読媒体を提供する。
【0203】
したがって、ある実施形態において、システムは、データストレージ要素、データ処理要素、データ表示要素、データ送信要素、通知機構、およびユーザインタフェースのうち、1つ以上を含む。これらの付加的な要素は、受信機に組み込まれてもよいし、および/または、例えば、データを処理して決定を行う、そのような活性を提供するデータを遠隔位置に転送する等のために構成された装置等、外部装置上に存在してもよい。
【0204】
ある実施形態において、信号検出コンポーネントは、
図1のシステムに示すような、心臓監視要素を含む。
図1は、埋め込み型心血管装置「カン」8およびリード6を有するヒト10を示し、当該コンポーネントは、丸薬14から発せられた信号を監視および検出するために用いられる。監視装置は、例えば、皮下、心臓内、または、胃の付近の胴等、その他の位置にも位置付けられ得る。位置決めは、特定の用途によって提案され得る。
【0205】
本発明の監視システムは、外部装置として位置付けられてもよい。例を挙げると、体の外側に身に着けられ、皮膚の異なる位置に付着する1つ以上の電極を有するハーネスによって位置付けられ得る。本発明の構築物は、携帯デバイス、例えば、手首に分散した1つまたは2つの電極を有する時計に連係され得る。ビープ音を出す補聴器、ネックレス、ベルト、靴(PZT圧電)、またはイヤリング等、そのような受信電極システムを置いたり作成したりできる多くの場所がある。
【0206】
上述したように、ある実施形態において、システムは、受信機から離れた外部装置(ある実施形態において、埋め込まれても局所的に適用されてもよい)を含み、この外部装置は、多数の機能性を提供する。そのような器具は、フィードバックおよび適切な臨床規定を患者に提供するための能力を含むことができる。そのような装置は、多数の形態のいずれを取ってもよい。例を挙げると、当該装置は、患者の隣のベッド上にあるように構成され得る。当該装置は、主題特許出願の他の節でさらに詳細に説明するが、ペースメーカー装置または丸薬の検出用の指定インプラントによって内部で産生されるように、医薬摂取レポートおよび心理的センサデバイスの両方からの情報を読み出すことができる。外部器具の目的は、患者からデータを得て、外部装置に入れることである。外部器具の1つの特徴は、電話線等の送信媒体を介して送信され得る形態で、薬理学的および心理的情報を、臨床医等の遠隔位置または中央監視機関に提供する能力である。
【0207】
ある実施形態において、心臓監視要素は、伝導速度測定要素を含む。ある実施形態において、心臓監視要素は、圧力センサを含む。ある実施形態において、心臓監視要素は、寸法センサを含む。
【0208】
本発明者らの幾人かによるさらなる出願に、様々な設計を持つさらなる心理的センサが記載されている。これらのセンサは、本発明のシステムと共同で使用され得る。また、本発明者らの幾人かによるその他の出願では、双方向的な相乗的様式で本発明が非常に有用に用いられ得る、多重化システムについて記載している。
【0209】
本発明者らの幾人かによるこの先行研究は、再同期療法等の適切な治療介入を容易にするために、心臓パラメータを判断するための寸法センサの使用について記載している。心臓治療薬の血流吸収の時間を判断すること、および、それらの装置によって感知された、心臓機能に産生された変化とこれを相互に関連付けることに本発明を使用することにより、薬を滴定し、薬理学的治療と電気生理学的治療との間に相乗効果を提供する上で、極めて価値のある情報が臨床医に提供される。
【0210】
本発明の実施形態は、様々なシステムにおいて使用され得る。そのようなシステムは、様々な種類のセンサを含んでよい。そのようなセンサおよびシステムについては、本発明者らの幾人かによる様々な出願に記載されている。これらの出願も、本発明者らの幾人かによって以前に開発された、本発明と共に用いられ得る多重化システムについて記載したものである。これらの出願は、20040193021として公開された表題「Method And System For Monitoring And Treating Hemodynamic Parameters」の米国特許出願第10/734490号;20060058588として公開された表題「Methods And Apparatus For Tissue Activation And Monitoring」の米国特許出願第11/219,305号;表題「Implantable Addressable Segmented Electrodes」の国際出願PCT/US2005/046815号;表題「Implantable Accelerometer−Based Cardiac Wall Position Detector」の米国特許出願第11/324,196号;表題「Method and Apparatus for Enhancing Cardiac Pacing」の米国特許出願第10/764,429号、表題「Methods and Systems for Measuring Cardiac Parameters」の米国特許出願第10/764,127号、表題「Method and System for Remote Hemodynamic Monitoring」の米国特許出願第10/764,125号;表題「Implantable Hermetically Sealed Structures」の国際出願PCT/ US2005/046815号;表題「Fiberoptic Tissue Motion Sensor」の米国出願第11/368,259号;表題「Implantable Pressure Sensors」の国際出願PCT/US2004/041430号;米国仮特許出願第60/617,618号に基づく優先権を主張する、表題「Implantable Doppler Tomography System」の米国特許出願第11/249,152号;表題「Cardiac Motion Characterization by Strain Gauge」の国際出願番号PCT/USUS05/39535号を含む、これらの出願は、参照することによりその全体が本書に組み込まれる。
【0211】
本発明者らの幾人かが、センサ情報の複数のソースを統合するための、様々な表示ツールおよびソフトウェアツールを開発している。これらの例は、いずれも2005年3月31日に出願された、米国仮特許出願「Automated Timing Combination Selection」および「Automated Timing Combination Selection Using Electromechanical Delay」に基づいて優先権を主張する、2006年3月31日に出願された表題「Automated Optimization of Multi−Electrode Pacing for Cardiac Resynchronization」のPCT出願番号PCT/US2006/12246号に見ることができる。これらの出願は、参照することによりその全体が本書に組み込まれる。
【0212】
上記したシステムを、医薬組成物にある識別子と受信機との間の通信という観点から検討する。しかしながら、システムはそのように限定されるものではない。より広義では、システムは、例えば、上記で検討したような送信機/受信機機能性を使用して、例えば、上述したような単極子送信機(例えば、アンテナ)構造体を使用して、互いに通信を行っている2つ以上の異なるモジュールから構成される。したがって、上記の識別子要素は、例えば、生体内にある2つの電源内蔵装置間に通信システムを提供するために、複数の異なる装置のいずれかに組み込まれてよく、当該電源内蔵装置は、センサ、データ受信機およびストレージ要素、エフェクタ等であってよい。典型的なシステムにおいて、これらの装置の1つはセンサであってよく、その他は外界との通信のための通信ハブであってよい。この発明の実施形態は、多数の形態を取り得る。多くのセンサと、多くの発信機と、受信機があってよい。それらは、トランシーバであってよいため、既知の通信プロトコルにより、これらの両方が交代で送受信することができる。ある実施形態において、2つ以上の個々の装置間での通信の手段は、例えば上述したような単極システムである。これらの実施形態において、これらの発信機のそれぞれは、大型キャパシタおよび導体である、生体内に/から電荷を引き出す単極子を使用して、交代で生体内へ高周波信号を送るように構成され得る。受信機、つまり単極子受信機は、当該周波数で生体に入る/から出る電荷を検出し、振幅が調節された信号または周波数が調節された信号等の暗号化された信号を復号化する。本発明のこの実施形態は、広範な使用法を有する。例えば、位置または加速度を測定する複数のセンサを、生体内の様々な部分に置く、および埋め込むことができる。それらは、中心ハブに接続する電線を有することなく、通信媒体を介して情報の通信を行うことができる。
【0213】
方法
主題発明の方法において、有効量の本発明の組成物が、当該組成物中に存在する活性剤を必要としている被験者に投与され、ここで「有効量」は、望ましい結果、例えば、疾患状態またはそれに関連する症状の改善、望ましい生理的変化の実現等を産生するのに十分な用量等を意味する。投与される量は、治療効果のある量と見なされることもできる。「治療効果のある量」は、疾患を治療するために被験者に投与される場合、当該疾患の治療に効果を発揮するのに十分な量を意味する。
【0214】
組成物は、望ましい結果を産生することができる都合のよい任意の手段を使用して被験者に投与され、投与経路は、少なくとも部分的に、例えば上記で検討したような、組成物の特定の形式に応じて決まる。上記で検討したように、組成物は、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、溶液、坐薬、および注射等の、固体、半固体、または液体を含むがこれらに限定されない、治療のための投与用の様々な製剤の形式を取ることができる。したがって、組成物の投与は、経口投与、口腔投与、直腸投与、非経口投与、腹腔内投与、皮内投与、経皮投与、染色体内投与等を含むがこれらに限定されない様々な手法で達成され得る。医薬剤形で、所与の組成物が、単独またはその他の薬学的に活性な化合物と組み合わせて投与されることができ、例えば、安定的に関連付けられた信号生成要素を有する組成物であってもよい。
【0215】
主題の方法は、疾患状態を含む、様々な異なる状態の治療における使用を見出すものである。主題組成物によって治療可能な特定の疾患状態は、主題組成物中に存在し得る活性剤の種類と同様に可変である。したがって、疾患状態は、心血管疾患、腫瘍性疾患等の細胞増殖性疾患、自己免疫疾患、ホルモン異常疾患、感染性疾患、疼痛管理等を含むがこれらに限定されない。
【0216】
治療は、少なくとも、被験者を苦しめている疾患状態に関連付けられた症状の改善を意味し、ここで、改善は、例えば治療されている病的状態と関連付けられた症状等、少なくともパラメータの大きさの低減をいうように、広義で使用されている。したがって、治療は、病的状態または少なくともそれに関連付けられた症状が完全に阻害される、例えば、起こらないように防止される、または停止される、例えば終結されることによって、被験者がもはや当該病的状態または少なくとも当該病的状態を特徴付ける症状に見舞われていない状況も含む。したがって、疾患の「治療すること」または「治療」は、疾患に罹患しやすいがまだ当該疾患を経験していない、もしくは当該疾患の症状を呈していない動物において疾患が発生するのを防止すること(予防的治療)、疾患を阻害すること(その進行を減速または阻止すること)、疾患の症状または副作用からの寛解をもたらすこと(待機的治療を含む)、および、疾患を軽減させること(疾患の後退を引き起こすこと)を含む。本発明の目的のために、「疾患」は疼痛を含む。
【0217】
本方法により、様々な被験者を治療可能である。概して、そのような被験者は、「哺乳類」または「哺乳動物」であり、これらの用語は、肉食目(例えば、イヌおよびネコ)、齧歯目(例えば、ハツカネズミ、テンジクネズミ、およびネズミ)、ならびに霊長目(例えば、ヒト、チンパンジー、およびサル)を含む、哺乳綱に含まれる有機体を表現するよう、広義で使用される。代表的な実施形態において、被験者はヒトとなる。
【0218】
ある実施形態において、主題の方法は、上述したように、例えば、1週間以上、1ヶ月以上、6ヶ月以上、1年以上、2年以上、5年以上等、連続した期間にわたって、疾患状態を管理する方法である。主題の方法は、例えば、ペーシングプロトコル、心臓再同期プロトコル等の心血管疾患管理における電気刺激ベースのプロトコル;様々な異なる疾患状態のための食事療法および/または運動規制等の生活様式等、1つ以上のさらなる疾患管理プロトコルと併せて用いられ得る。
【0219】
ある実施形態において、当該方法は、組成物から得られたデータに基づいて治療規制を調節するステップを含む。例えば、規定の治療規制に対する患者コンプライアンスについての情報を含むデータを得ることができる。このデータは、例えば、上述したセンサ装置等、1つ以上のセンサを使用して得られた生理的データの有無にかかわらず、所与の治療規制を維持するべきか、何らかの手法で、例えば薬物投与計画および/またはインプラント活性規制の修正によって、修正すべきかの判断を行うために、例えば必要に応じて適切な決定ツールと共に用いられ得る。したがって、本発明の方法は、組成物から得られた信号に基づいて、治療規制が修正される方法を含む。
【0220】
ある実施形態において、本発明の組成物の履歴を判断する方法も提供され、当該組成物は、活性剤と、識別子要素と、薬学的に許容可能な担体とを含む。ある実施形態において、照会を受けて識別子が信号を発する場合、識別子は、信号を得るために、例えばペン型スキャナまたはその他適切な照会装置によって照会される。得られた信号は次に、例えば、出処、流通過程等、組成物についての履歴情報を判断するために用いられる。
【0221】
識別子が消化されずに残るものであるさらに他の実施形態において、当該方法は概して、例えば、組成物を摂取した被験者から検索することによって組成物の信号生成要素を得た後、得られた信号生成要素から、組成物の履歴を判断するステップを含む。例えば、信号生成要素が刻み込み識別子、例えばバーコードまたはその他の種類の識別子を含む場合、刻み込み識別子は、組成物を摂取した被験者から検索され、その後、最新の既知の購入者、組成物の流通過程におけるさらなる購入者、製造業者、取り扱い履歴等、組成物の履歴のうち少なくとも何らかの性状を識別するために、読み出されることができる。ある実施形態において、この判断するステップは、組成物についての格納された履歴のデータベースまたは類似の編集にアクセスするステップを含んでよい。
【0222】
実用性
本発明は、その治療装備一式において重要な新しい道具:実際に生体に送達される医薬品の自動検出および識別を臨床医に提供する。この新しい情報デバイスおよびシステムの用途は、多種多様である。用途は、(1)規定の治療規制に対する患者コンプライアンスを監視すること;(2)患者コンプライアンスに基づいて治療規制を手直しすること;(3)臨床試験における患者コンプライアンスを監視すること;(4)規制物質の使用を監視すること;等を含むがこれらに限定されない。これらの異なる例示的な用途について、以下でさらに詳細に検討する。
【0223】
規定の治療規制に対する患者コンプライアンスの監視
上記でまとめたように、主題組成物およびシステムの使用法が見出される一種の用途は、規定の治療規制に対する患者コンプライアンスを監視することである。患者コンプライアンスを監視するとは、患者が、当該患者に規定された様式で、実際に薬を服用しているか否か追跡することを意味する。したがって、本発明は、丸薬がいつ服用されたか、および、どの丸薬が服用されたかについて正確なデータを提供する。これにより、特定の時点でどの丸薬が服用されたかについての正しい判断が可能になる。そのような監視能力は、患者が処方された薬を正しく服用していることを保証するものである。この情報により、実際には服用されていない薬を過剰処方する可能性が回避される。例を挙げると、痛み止めを患者に投与することが目的とされている場合、実際には当該患者がある期間それらの痛み止めを服用していなかったことを検証することが可能である。この知識は、消費されなかった薬物の、意図せぬ第三者への密売を制限する上で重要な道具である。心臓血管用丸薬の場合、臨床医または介護士は、適当な時刻に適切に服用された薬物の量を検証することができる。したがって、当該薬物の真の効能を正確に評価することができる。適切な投与と患者コンプライアンスは、アルツハイマー病、精神科、およびアルコール嫌悪療法の薬物において、ならびに、療養所居住者の治療において、特に重大である。偶発的な、およびその他の過剰摂取状況の場合、インターベンション臨床医は、摂取がどこまで進行したか、および、いくつの丸薬が関与しているかを認識することができるであろう。
【0224】
本発明のより複雑な実施形態において、正しい、時宜を得た薬物の摂取は、薬局データシステムに転送される処方補充信号を自動的にトリガし、場合によっては、当該補充物は、直接患者の自宅へ自動的に送達されるか、または、ある時間後に患者の自宅にある装置によって放出されるであろう。この特徴は、知的障害および/または身体障害のある患者において特に価値がある。
【0225】
本発明は、複数の医薬が服用されていて混乱が発生しやすい場合等、複雑な投与計画において特に有用である。本発明の丸薬は、医薬成分の溶解および吸収を正しい用量のみ可能にする、複数の外層を有することができる。医薬を受けて、心臓内での電気伝導速度、または血液中での電解レベル等、特定のインジケータを滴定してもよい。
【0226】
ある実施形態において、患者は、当該患者が何らかの手法で所与の治療規制を順守しない場合、警告を受けることがある。例えば、薬理学的規制が正確に追従されていない場合、音、視覚、またはコンピュータリマインダーによって、リマインダーが提供される。当該リマインダーに対し正確な応答がない場合、システムは、治療または過剰処方におけるギャップを修復するため、家族、介護士、または臨床医に警告を提供することができる。当該装置は、以前の標準外の薬注を補正するために、規制の用量およびタイミングを自動的に修正することもできる。
【0227】
患者コンプライアンスに基づく治療規制の手直し
上記でまとめたように、主題組成物およびシステムの使用法が見出される一種の用途は、患者コンプライアンスに基づいて、治療規制を手直しすることである。そのような用途において、特定の用量を患者が服用したかしなかったかについて得られたデータが、未来の用量および/またはそのような用量のタイミングを決定するために用いられる。ある実施形態において、患者コンプライアンスに関するデータは、所与の治療規制にカスタマイズされた変化または修正を加えるために、さらなるデータ、例えば感知された生理的データと組み合わせられる。例を挙げると、本発明によって得られた用量コンプライアンスについてのデータがその他の医療用センサデバイスと併せて使用される場合、薬物送達、バッチ、および用量の間の相関関係は、生理反応と相互に関連付けられ得る。このようにして、臨床医によって最適な医薬品治療規制が策定され得る。例を挙げると、中でも心筋の疲労等の副作用およびリバウンド効果を最小限に抑え、それぞれ個々の患者用の用量およびタイミングの両方を最適化する、最も適切な用量の心臓刺激薬を滴定することができる。
【0228】
本発明によって、治療の明示的臨床結果を待つという策を取ることなく、それらの多くは深刻な害を与え得る代替薬の範囲を評価することが可能になる。例を挙げると、より多くの偶然要因によって分かりにくくなることなく、肯定的効果が直ちに判明すると思われる。血圧の変化等の否定的反応は、薬物に関連する、または単独の、上記生理的背景変動として、明白になるであろう。
【0229】
一臨床現場において、本発明は、本発明者らの幾人かによって開発されたその他のセンサデバイスと併せて、それらの薬に対する心臓反応の測定および評価を可能にする。共に用いられるこれらのセンサデバイスは、数ある中でも、以下に列挙するものであってよい。例えば上述したような、本発明者らの幾人かによって開発されたその他のセンシング技術は、心臓の健康および心臓の効率の測定を可能にする。本発明のデバイスと併せてこれらの道具を使用することで、臨床医は、投与された医薬に対する心臓と生体の反応を比較することができるであろう。本発明によって提供されたデータは、任意で経時的に記録され得る。記録システムは、心臓組織を通過した信号の同調または伝導速度、および、ある薬の存在によってそれがどのように媒介されるかを記録する。本発明では、丸薬またはその他の薬が生体内にいつ吸収されたかを電子的に厳密に判断することができるため、本発明によってこの固有のデータが可能になる。
【0230】
より標準的な臨床環境において、この固有のデータは、禁忌、効能、および最適用量水準を確かめるためにより明示的な身体症状に頼ることなく、薬物投与の厳選および滴定を可能にする。本発明は、患者が入院した際に患者の現状を正確に確かめることができるように、緊急救命室の技師または医師に記録を提供する。入院前の最近の時間または日の投薬事象、および、最新の薬のIDが、すぐに利用可能となる。したがって、患者の薬歴の正確な記録に基づいて、未来の治療規制を作製することができる。
【0231】
ある実施形態において、臨床医は、埋め込まれた、または携帯デバイスの単純な照会を介してこの情報を得る。このデバイスは、どの丸薬が服用されたのかを不確実性なく臨床医に教えるであろう。本発明の技術がより広く普及するに伴い、このデータはより定期的に利用可能になるであろう。本発明のマイクロチップは、それらが標準生産されれば、ほとんどの、またはすべての医薬にそれらが当然のように備え付けられるような、十分安価なものである。
【0232】
外部レポート装置の患者を監視する能力は、本発明の装置が提供し得るインポート機能である。内部または外部の生理的センシングデータに合わせると、装置は、薬の摂取に対する患者の生理反応を読み出した後、この情報を臨床医に送信し返すことができる。続いて、臨床医は、修正された治療法等を受けて新しいデータによって示されるような、最適有効性となるよう治療法を修正することができる。
【0233】
本発明のより高度な実施形態において、器具内の知能回路により、いくつかのパラメータ内で用量調整機能が実行され得る。例を挙げると、血圧薬の場合、患者が血圧丸薬を服用する。20分後、埋め込み型装置内の内部監視回路は、血圧の降下を登録する。当該回路はこの降下を定量化し、それをこのベッドサイド器具に送信する。次に、当該器具は、患者を最適に治療するために丸薬の用量を調整することができる。同様に、患者がIV(点滴)と接続されている場合、用量をIV流体に直接投薬することができる。ある実施形態において、完全な埋め込み型装置として、閉ループシステムが提供される。
【0234】
現在の薬物治療最適化のための臨床診療は、本発明の装置の使用によって利用可能となるものよりもかなり限られている。現在、血圧薬治療は、1日あたりかなり多くの丸薬で設定されている。そのような鈍い用量体制では、フィードバックループが極めて遅いため、適切に最適化するために長い時間がかかる。対照的に、本発明では、医薬用量に対する生理反応のフィードバックループは極めて迅速且つ極めて効率的である。最終的に、本発明は、活性の変化、患者の生理的状態の変化、およびその他の用量パラメータを明らかにするために、毎日、またはさらに微細に、薬物用量を手直しすることを可能にする。
【0235】
本発明のより高度な実施形態において、特定の用量および時間間隔に対する生理反応も継続的に監視することができる。いくつかの実施形態において、血流中の薬物の濃度が監視され、それによって、薬物代謝における個々のおよび時間帯での変動が可能になる。
【0236】
本発明のこの態様は、規制物質の過少摂取または過剰摂取を効果的に最小化し、場合によっては、患者または臨床医に明らかな外部症状を産生する前に、これらの変化に対処する。薬物用量は、例えば、疼痛による不安、疼痛に対するその他の生理反応を鎮めるため、または、安定した、もしくは徐々に減少する薬物の血中濃度を提供するために、適切な最小濃度が投薬されるよう、自動的に滴定され得る。本発明のこの特徴は、自動的且つ適度に段階的に薬物を断ち、深刻な中毒または重度の禁断症状の可能性を少なくすることを提供する。
【0237】
臨床試験応用
本発明の重要な用途は、臨床薬物試験において、医薬品の投与に対する生理的データ応答の即時フィードバックを提供することである。現在の課題は、実験的薬物が、母集団内のどのサブグループが最も治療の利益を享受するかについて包括的な前知識のない母集団に広く投与されていることである。もう1つの課題は、検査対象者が指示されたとおりに薬を服用しているか否かを判断することにより、治療規制に対する患者コンプライアンスを監視することである。2つ目に挙げた課題については、上記の節で扱った。このように、患者のノンコンプライアンスレベルおよび薬物摂取に対する実際の反応の両方を判断することができる。したがって、研究の初期にコンプライアンス介入を扱うことができる。
【0238】
本発明のある実施形態において、臨床研究者には生理的データへの即時アクセスが提供される。臨床研究者は、試験の参加者と考えられる元の検査母集団内から、薬物が最も効果的と思われる小集団を識別することができる。血圧薬を受けてフィードバックを得る患者の上記の例は、新規の薬剤の有効性がいかに迅速に判断され得るかをすぐに実証するものである。
【0239】
最初の検査対象者への第1回分の薬の投与時に、臨床研究者は、母集団のうち幾人かの被験者が当該薬に反応し、その他の被験者は反応しないことを見出すことが多い。この即時フィードバックは、試験の管理者が、薬に対して反応しない患者を除外し、明らかな効能がある小集団のみを対象とすることを可能にする。この選抜プロセスにより、薬物が効果的である群を当該薬物の対象とすることができるので、試験の結果全体でより高い有効パーセンテージを得ることが可能になる。そのようなリスクと釣り合う利益を有さない患者にとっての副作用の課題も回避する。
【0240】
したがって、この革新的なデータから、本発明は、当該薬に対する反応および丸薬の消化のタイミングを示す正確な用量反応曲線を臨床医に提供することができる。そのような革新的なデータは、多くの用途を有する。例えば、臨床医は今、どの患者が丸薬中の薬剤に対して反応しないかを判断する能力を有している。研究状況においては、そのような患者は、ある薬の臨床的有用性の研究または検査から除かれる。この能力によって、ある薬に対する有益な反応を有する患者のみが試験に残される。この特徴は、薬の効能を改善し、人々が服用する有用でない薬の量を低減させるであろう。どの患者が実際に薬剤を消費し、どの患者がしなかったかを判断するための試験において使用してもよい。
【0241】
本発明は、薬物の効能を表す生理学的プロキシの識別を可能にする。例を挙げると、長期投与すると明示的な臨床変化が発現する薬物については、一般に、薬物の摂取直後に現れるいくつか短期の生理的要因がある。例を挙げると、効果を示すまでに何ヶ月も必要とする癌の薬は、1つまたは1群の生理的要因において、その効能のより短期の兆候を有し得る。局所的、または生体全体にわたっての両方において、血圧、体温、内部化学酵素、またはその他の要因の変化が、より長期の望ましい効果を表すプロキシとしての役割を果たすであろう。これらの要因と丸薬摂取の時刻との正しい相互関係が、意味のある兆候を見つけるための能力を強化する。
【0242】
本革新によって初めて提供された、丸薬の摂取に対する極めて近いタイミングの相関反応により、生理反応がその他の考えられる交絡因子のいずれかではなく薬物摂取の結果であることを実証する可能性が高くなる。本発明のこの能力は、臨床試験を表す部分的または完全なプロキシとしての役割を果たすことができる。
【0243】
本発明は、患者がその薬を服用すべきか否か、それが効果的か否かを迅速に判断し、その適切な滴定を可能にするための手法を提供する。薬間での役立つ、および逆に作用する両方の相乗効果も、より容易に明らかになるであろう。
【0244】
規制物質の使用の監視
上記で検討したように、本発明のマイクロチップのその他の実施形態において、当該識別子には、生体内で溶解することなく照会可能な、コイルを備え付けることができる。これは、丸薬が摂取される前に、その存在およびIDを照会者に知らせるような手法で、RFエネルギーをコイルに送信することによって実現される。
【0245】
本発明のさらなる実施形態において、各丸薬について照会し、そのアドレスを確かめることができる「スマートボックス」が提供される。当該ボックスは、それまでに作製されたすべての丸薬が一意識別子を持って作製されるように、独自の製品番号または製品コードを書き込むことができる。例えばヒューズは、選択的に破壊され得るため、アドレスは電気的または光学的に検出され得る。特に麻薬等の規制物質の場合、これは、以前は合法であった薬剤の不法使用を制限する上で重要となるであろう。本発明は、誰が公認薬局からそのような丸薬を持ち込んだのかを正しく識別することを可能にする。この本発明の使用により、市場における規制物質の違法使用の数を抑制することになる。
【0246】
本発明の外部器具の重要な用途は、規制医薬物質の使用を監視し、規制することである。患者が疼痛制御のために重い麻薬を処方されている場合の深刻なリスクは、中毒の可能性である。その最も単純な分析では、中毒は、不注意による過剰摂取、意図的乱用、または不正確な用量処方により、過剰量の規制薬を摂取することで発生する。また、上述したように、そのような薬物が違法配布される前に、薬物の合法配布を追跡するため、そのような医薬に個々のシリアル番号が提供されている。
【0247】
本発明の一用途において、潜在的な常習性薬物の用量を固定および規制するための手段が提供される。本発明のこの能力の例は、患者が麻薬の丸薬を服用した際に、当該薬の摂取が内面的な装置によって登録されるものである。続いて、この情報は、外部器具へ自動的に送信される。
【0248】
本発明の器具は、患者が丸薬を服用した後、および、適切な時間が経過したときにのみ、この付属器具がさらなる丸薬を投薬するように構成される。このように、正しく適切な時間間隔で処方された用量を厳密に投薬して法定薬物アベイラビリティを限定することにより、薬物への常習率は劇的に低下する。
【0249】
外部器具は、必須薬の法医学的応用においても効果的に用いられ得る。例えば、有罪判決を受けた犯罪者の場合、当該犯罪者は、出所の条件として、裁判所命令による薬を服用することを求められる場合がある。本発明を使用して、裁判官または保護観察官は、この情報が付属器具を介して適切な関係者に送り返された際に、この薬物の投与のリアルタイム記録にアクセスすることができる。現在の傾向として、性犯罪者への、裁判所の指示による向精神薬または化学的不妊薬物維持療法があり、本発明のこの態様によって対処され得る。本発明のこの使用法は、物理的場所監視バンドが犯罪者の足首に着けられる自宅軟禁に類似している。
【0250】
キット
主題の方法を実践するためのキットも提供される。キットは、上述したように、本発明の1つ以上の組成物を含んでよい。キット内に提供される1つ以上の医薬品の用量は、1回の使用に十分なものであってもよいし、複数回の使用に十分なものであってもよい。したがって、主題キットのいくつかの実施形態においては、1回分の用量の医薬品が存在し、その他の実施形態においては、複数回分の用量の医薬品がキット内に存在し得る。それらの複数回分の医薬品を有する実施形態において、そのようなものが単一の容器、例えば、単一のチューブ、ボトル、バイアル等に梱包されていてもよいし、いくつかのキットが医薬品の1つを超える容器を有し得るように、1回分以上の用量が個別に梱包されていてもよい。
【0251】
主題キット内において、1つ以上の医薬品を被験者に送達するための適切な手段も提供され得る。キット内に提供される特定の送達手段は、上述したように、例えば、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、溶液、坐薬、注射、吸入、およびエアロゾル等の固体、半固体、液体、または気体形態で医薬品が製剤化されるか等、当該医薬品の特定の形態、ならびに、例えば、経口、口腔、直腸、非経口、腹腔内、皮内、経皮、染色体内等、医薬品の投与の特定のモード等、用いられる特定の医薬品によって指図される。したがって、いくつかのシステムは、坐薬アプリケータ、注射器、点滴用バッグおよびチューブ、電極等を含んでよい。
【0252】
ある実施形態において、キットは、上記で検討したように、信号受信要素を含んでもよい。ある実施形態において、キットは、例えば上述したような外部監視装置を含んでもよく、当該装置は、遠隔位置、例えば、医院、中心施設等との通信を提供することができ、組成物の使用についてのデータを得て、得られたデータを処理する。
【0253】
主題キットは、キットの組成物を使用し、どのように主題の方法を実践するを表す指示を含んでもよい。指示は、適切な記録媒体または基板に記録されていてよい。例えば、指示は、紙またはプラスチック等の基板上に印刷されていてよい。したがって、指示は、添付文書としてキット内に、キットもしくはそのコンポーネントの容器のラベルに(すなわち、パッケージングまたはサブパッケージングと関連付けられて)等で、存在し得る。その他の実施形態において、指示は、適切なコンピュータ可読ストレージ媒体、例えば、CD‐ROM、ディスケット等に存在する電子ストレージデータファイルとして存在する。さらに他の実施形態において、実際の指示はキット内に存在しないが、リモートソースから、例えばインターネットを介して指示を得るための手段が提供される。この実施形態の一例は、指示を見ることができる、および/または指示をダウンロードすることができるウェブアドレスを含むキットである。指示と同様に、この指示を得るための手段も、適切な基板に記録される。
【0254】
主題キットの一部またはすべてを、滅菌性を維持するために適切なパッケージングに梱包してよい。主題キットの多くの実施形態において、キットの組成物は、キット格納要素内に梱包されて単一の取り扱いしやすいユニットを作製し、当該キット格納要素、例えば箱または類似の構造体は、例えばキットのコンポーネントの一部またはすべての滅菌性をさらに保つために、気密容器であってもなくてもよい。
【0255】
以下の実施例は、限定目的ではなく、例示目的で提示するものである。
【実施例】
【0256】
実験
実施例1
以下の実験では、それぞれ電池によって電力を供給され、防水Rubbermaid(登録商標)容器に入れられた、送信機(Tx)および受信機(Rx)を用いる。TxおよびRxは生理食塩水の浴に浮かんでおり、Txが浴中に入れられると、LEDがRxに光を放つ。TxおよびRxはいずれも、外界から完全に隔離されている。
【0257】
本出願の組成物を表すTx、例えば、活性剤および信号生成要素を有する丸薬組成物は、CMOSタイマーチップに基づく発振回路である。当該回路は、リチウム電池から、3V振幅で約80kHzの方形波を産生する。きつくねじられた電線の対が回路から伸長し、容器を出て浴に入る。ねじられた対の一端において、電線の絶縁材を約1mm剥き、分離して双極子アンテナを形成する。信号振幅は、この双極子を特徴付ける分離距離に応じて、直線的に拡大縮小することが分かった。当該信号は、双極子が5mmの範囲である場合、この設定で容易に検出可能であった。
【0258】
Rxは、送信された信号を検出するための出力を持つ、フィルタ付き増幅回路である。一片が10cmの正方形の銅を容器の外側の底部に付着させ、回路の負の差動入力に付着させた。これは、ペーシングカンを表す。長さ約40cmの双極性ペーシングリードを、回路の正の差動入力に付着させ、入力用にリング電極を選択した。0.1uFシリーズのキャパシタを介して、差動信号を利得100の計装用増幅器の入力に連結させた。計装用増幅器の出力を4極ハイパスフィルタに送り込むと、利得100およびカットオフ周波数5kHzであった。この出力を2極ローパスフィルタに送り込むと、利得20およびカットオフ周波数100kHzであった。したがって、回路の総利得は200,000である。この出力信号をLEDおよびレジスタに直列に印加すると、当該出力信号が数ボルトを超えた際に、光を放つ。
【0259】
浴中にない場合、環境から干渉および電力線ノイズを拾う際、Rx LEDを常にオンにしておいた。ペーシングリードをカンの模造品に短絡する際、LEDをオフにした。
【0260】
溶液中に入れて、LEDをオフにした。Txも溶液中に入れ、Rx LEDをオンにして、場所および配向への依存度を調査した。外部オシロスコープを用いて観察すると、LEDの強度は、垂直配向を表す空値と、双極子が逆になっているという意味としての反転符号とにより、RxとTx双極子間の角度の余弦に依存していることが分かった。LEDの強度は、場所と共に直接的に変動し、5cm未満の間隔が空いていることが観察された明るく飽和した光と、浴によって可能になる最大間隔、約50cmが空いていることが観察された暗く分散した光とを持つことが分かった。
【0261】
検出をロバストにするための鍵は、望ましい信号を疑似干渉から区別することである。感度の周波数帯を5乃至100kHzに制限することにより、この実験においてこれを実現した。この帯域を狭めることができる程度まで、システムはよりロバストになるであろう。ここでの課題は、Tx周波数は製造上の変動によって30%可変し得るという事実を踏まえ、TxおよびRx回路の周波数を一致させることである。Rx回路は、狭いバンドパスの使用により、または、無線通信からの復調技術を使用することによって、極めて狭くすることができる。丸薬の存在を検出するために、Rx回路に同調周波数範囲を通り抜けさせることができる。丸薬の存在は、当該丸薬によって送信されたデジタル情報内のありそうにないビットシーケンスを記号化することによって確認できる。
【0262】
このアプローチにおける2つの問題は、周波数を走査する間にRx回路から電力を消費することと、それらのコードの送信を一斉に行い得る複数の丸薬との同期が困難なことである。Txの周波数がab‐intioであることが知られている場合、回路トリミングまたは高度生産プロセスで可能なように、これらの問題両方に対する的確な解決策が提示される。Rx回路への入力時、Tx周波数と一致させた同調LC発振器は、望ましい信号が存在するときに「ベルを鳴らす」ことになる。この電力は、検出回路をオンにするためのトリガとしての役割を果たす単純なダイオード回路によって検出され、電流を取り出さなくてはならない時間を大幅に削減することができる。この同調入力は、帯域幅を狭め、疑似信号を拒絶するためにも役立つ。
【0263】
この上記の実験は、合成生体媒体によって信号を送信および検出する能力を実証するものである。Txには、Pt/Mgシステム等の化学電池から容易に電力を供給することができる。さらに、エラーをなくし、システムの全体的な信頼性を改善するために、様々な記号化技術を使用して、信号内のデジタル情報が容易に記号化される。
【0264】
実施例2
主題発明による送信機を、以下のように設定した。回路は、9V電池で電力を供給し、生理食塩水の浴に浮かべた。当該回路は、TLC551チップに基づく発振器、多く出回っている555タイマーのCMOS版とした。発振器を、負荷サイクルが15%となると思われる、〜7kHzで作動させた。7uFを介して発振器の出力をねじられた対に容量結合させ、生理食塩水浴に曝露された〜1mmと〜2mmの裸線に隔てられたアームを持つ、小さい「Y」形状の双極子で終結させた。
【0265】
それぞれ〜1cm
2が浴に曝露された2つのCu電極を介して、信号を受信した。電池で動作するStanford社製プリアンプの入力にこれを通し、3kHz乃至30kHzの通過帯域を持つ1000の利得に設定した。電池式のオシロスコープで、プリアンプの出力が観察された。
【0266】
〜20cmのRx電極間距離に対し、増幅器入力を参照して〜200uVの最大信号が観察された。受信した信号内に垂直配向を表す空値を持つ、正弦波角度依存を表示する双極子連結強度が観察され、並列および逆並列配向の間には位相反転が見られた。受信した信号強度は、Rx電極の分離距離に応じて、直線的に拡大縮小することが分かった。
【0267】
上記は、適切な増幅およびフィルタリングによって信号を明らかに検出できることを実証するものである。さらに、シグナルチェーンの後半で、ハイパスフィルタによる入力時にDC連結を使用して同じ結果が得られたことから、Rx増幅器の入力時にキャパシタは必ずしも必要ではない。
【0268】
上記の結果により、TxはMg/Ptジャガイモ電池で作動し得ることも検証された。
【0269】
実施例3
周波数偏移キーイングを使用して固定コードをブロードキャストするプロトタイプスマートピルマイクロチップに、まず1.5V単3電池で電力を供給した。1mmの導体と交差してTの各アームに約1cm露出した、ねじられた対のT型双極子で、生理食塩水浴に伝導性信号を印加した。約10cmの間隔を空けられ、電池式の隔離された差動プリアンプに送り込む2つの銅電極により、信号が検出された。オシロスコープで当該信号を観察した。送信されたデータを明らかに代表する、約300kHzの周波数および約10mVの入力参照振幅を持つ振動信号が観察された。さらに、双極子相互作用の性質と同様に、受信信号強度の、送信導体と受信導体との間の角度の余弦への依存度が観察された。
【0270】
各電極が〜1mm
2の露出表面積を有する、Mg‐CuI注水電池を構築した。Mg電極は、商用銘柄Mgリボンを単にエポキシの壷に入れ、端部平面を紙やすりで研磨することによって形成した。CuI電極は、まずエポキシの壷に入れたCu線の端部を研磨することによって産生した。
【0271】
続いて、大きい粗度係数を与えるために選定されたパラメータを持つ標準的な技術を使用して、約100μmのCu線の端部を電気メッキし、電極の有効面積を増加させた。次に、I−イオン溶液中のCu+イオンの電位に対応する電位を印加することにより、このメッキしたCuの表面をCuIに電気化学的に変質させる。約15分で、40mCのCuIが産生された。当該電池は、一般的な胃の酸性度に対応して、pH2の溶液中において〜1.05Vのオープンセル電圧を有することが実証された。
【0272】
CuI‐Mg電池をチップの電力端子に接続し、出力端子を生理食塩水浴中で上述の双極子導体に接続した。電極を浴中に降下させることによって電池を活性化させ、20kHzの周波数で振幅〜2mVの信号を少なくとも1分間観察した。
【0273】
最後に、チップの出力端子を共に短絡し、上述した2端子動作用のチップを効果的に構成した。出力信号を観察したが、その振幅ははるかに弱く、おそらくこの構成における有効送信双極子長さの減少によるものであろうと思われた。すなわち、4端子構成において、有効送信導体サイズは電池と双極子Tとの間隔を空けることによって決定されて数センチメートルとなり、2端子モードにおいて、有効双極子長さはMg電極とCuI電極との間の分離距離まで削減され、1cm未満となった。観察された信号は、おそらく数百μVあり、広帯域受信機によって増幅された干渉信号を克服するために平均化を使用して定量化することができた。より高度な検出スキームであれば、そのような信号信頼性を検出するのに問題はほとんどないであろう。
【0274】
実施例4
摂取前の上述したような丸薬組成物は、アドレス生成論理回路および信号送信回路という2つの主なコンポーネントから構成され得る。アドレス生成回路には、必要なタスクに十分な低電力が供給される。しかしながら、アドレス生成回路に共有される圧力が変化すると、その中にある発振器の周波数も変化することになる。これにより、信号送信における変化を産生し、送信にノイズを導入し、その他の望ましくない効果を引き起こす場合がある。
【0275】
設計上の目的のためには、一定電圧でアドレス生成回路に電力を供給することがより簡単である。しかしながら、ある実施形態において、より複雑な構成が望ましい場合がある。例として、送信が開始すると、送信機はかなりのエネルギーを消費する。多くのエネルギーが消費されるほど電源の電圧は降下するものであるため、結果として電圧が降下することになる。電圧の変化は、アドレス生成回路内の発振器における周波数の変化につながるであろう。
【0276】
工学技術の異なる分野におけるこの課題の例は、遠隔制御装置が受信機およびサーボ機構から作製される場合である。対照的に、受信機は永久的に稼働し、極めて大きい電流を消費するサーボ機構に比例して低電流を消費する。サーボ機構は、信号が遠隔部位に送信される際のみ稼働する。この場合、システム全体は、サーボ機構が稼働を開始する際に比較的大量の電力を消費する。サーボ機構が稼働を開始すると、電圧が降下し、いくらかのノイズを産生する。結果として、信号送信の安定性が犠牲になる。
【0277】
この問題を回避するために、システムの実施形態は、2つの電圧源によって電力を供給されている。受信機は1つの電池によって電力を供給されており、サーボ機構はもう1つの電池によって電力を供給されている。この構成を用いると、サーボ機構内で発生するどのようなことも、受信機に影響を及ぼさない。したがって、より安定な遠隔制御結果となり、それによって完全システムの性能が改善される。
【0278】
一実施形態において、共通カソードが提供される。2つの正の電極、A1およびA2もある。この場合、電池は2つの部分に分けられており、電池の一方の部分はアドレス生成回路に電力を供給し、他方は送信回路に電力を送信することになる。この構成は、アドレス生成回路に安定した電圧を提供する。装置の送信機セクションがオンになっている場合、送信機の電圧のみが変化し、装置のアドレス生成セクションには電圧の変化が発生しない。したがって、当該変化は一般に、周波数ではなく、信号振幅の変化を引き起こすことになる。結果として、送信はより安定なものとなり、RF送信の周波数は影響を受けない、または受ける影響が最小となる。
【0279】
システムの電圧は全体的に変化しないため、上記の現象は、大きい面積の電池電極があるか否かを考慮したものではない。しかしながら、小型電池電極の場合、送信機は電池の電圧を潜在的に低下させることができ、回路全体にわたって電圧の変化があることになる。電池が2つの部分に分けられる場合、一方の電池の電圧は、他方が一定電圧でアドレス生成回路に電力を供給し続けている間に、変化し得る。
【0280】
設計開発において考慮すべき事項は、一方の電池が他方にどのように影響を及ぼすかということである。本発明者らの幾人かによって行った実験は、一方の電池にかかる荷重の変化は他方に影響を及ぼさない、すなわち、電池は独立して稼働したことを示している。この実験においては、
図23に示すように、2つのヨウ化銅アノード電極に、共通カソードとしてマグネシウム電極を設けた。これらをゼロ抵抗電流計に接続し、性能を測定した。一方のヨウ化銅電極は2.5KΩレジスタを介して接続し、他方は200KΩレジスタを介して接続した。すべての電極を、37℃のpH2のHCl溶液中に沈殿させる。この実験に由来するデータを、
図24に示す。2つのヨウ化銅電極は、互いに独立して稼働する。
【0281】
当業者であれば、上記の装置の異なる材料および構成を容易に識別するであろう。このヨウ化銅の化学的性質および様々な調製の様式が理解される、または迅速に開発されるであろう。
【0282】
ヨウ化銅が形成する前の表面調製に関心が持たれている。1つのアプローチは、エポキシ中に埋入された銅線を使用することである。これを、電解銅でメッキすることができる。ヨウ化カリウムの溶液中で銅が分極された後、電極の先端にヨウ化銅が形成される。ヨウ化銅は、化学的蒸着によって形成することもできる。その他の手段も利用可能である。
【0283】
装置の活性を15分間実現するのに十分な量の電気を産生するためのヨウ化銅の厚さとしては、10μmが一般的な範囲である。より薄い厚さを用いた場合、送信が続く時間はより短くなる。したがって、ヨウ化銅の厚さは、特定の用途に必要な結果を提供するために、電気を産生するのに必要な時間によって決定される。数秒の送信には、1μm未満のヨウ化銅で十分であろう。1マイクロ秒の送信には、厚さ約10〜100ナノメートルの範囲、より具体的には約20〜50ナノメートル等、数ナノメートルのヨウ化銅で十分である。
【0284】
本発明は、上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、可変し得るものであることを理解されたい。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものであるので、本明細書において使用されている術語は、特定の実施形態を説明する目的のためだけのものであり、限定を意図したものではないことも理解されたい。
【0285】
値の範囲が提供される場合、文脈により明らかに指図しているのでない限り、下限の単位の10分の1、当該範囲の上限と下限の間、および、既述の範囲内のその他任意の既述の値または媒介値の、各媒介変数が本発明内に包含されることが理解される。これらの小さいほうの範囲の上限および下限は、より小さい範囲に独立して含まれてよく、既述の範囲内の具体的に除外される任意の制限に従属して、本発明内にも包含される。既述の範囲が当該制限の一方または両方を含む場合、それらの含まれる制限のいずれかまたは両方を排除する範囲も本発明に含まれる。
【0286】
別途定義しない限りは、本書で使用している全ての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する業界の当業者に一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。本明細書において記載したそれらと同様のまたは均等のあらゆる方法および材料を、本発明の実践または試験において使用することもできるが、本明細書においては、代表的な例示的方法および材料について記載する。
【0287】
この明細書において引用したすべての出版物および特許は、それぞれ個々の出版物または特許が具体的且つ個別に参照することにより組み込まれるよう指示されているかのように、参照することにより本書に組み込まれ、関連して出版物が引用される方法および/または材料を開示および説明するために、参照することにより組み込まれる。いかなる出版物の引用文も、出願日よりも前のその開示のためであり、先願発明の長所によるそのような出版物に先行する資格が本発明にないことの承認として解釈されるべきではない。さらに、公開日は、独立して確認するために必要となり得る実際の公開日と異なるものである。
【0288】
文脈で別段の指図がない限り、本明細書または添付の特許明細の範囲において使用する場合、単数形は、複数の指示対象を含むことに留意すべきである。さらに、特許請求の範囲はいかなる任意の要素を排除するようにも草稿され得ることに留意すべきである。したがって、本明細書は、請求要素の引用文に関連する「唯一の」「のみ」等の排他的な術語の使用、または、「消極的な」限定の使用の根拠としての役割を果たすことを意図されている。
【0289】
本開示を読んで当業者には明らかとなるように、本明細書に記載し説明した各実施形態のそれぞれは、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、その他いくつかの実施形態の特徴から容易に隔てられることもそれらと組み合わせることもできる、離散的なコンポーネントおよび特徴を有する。引用した方法のいずれも、引用した事象の順序で、または、論理的に可能なその他任意の順序で、実行することができる。
【0290】
前述の発明について、理解を明瞭にする目的で、図示および実施例を用いてある程度詳細に説明したが、当業者には、本発明の教示に照らして、添付の特許請求の範囲の精神または範囲を逸脱することなく、いくつかの変更および修正が為され得ることが容易に明らかになる。
【0291】
したがって、前述のものは、本発明の原理を説明するものに過ぎない。当業者であれば、本明細書において明確に記載または図示されていなくても、本発明の原理を具現化し、その精神と範囲に含まれる様々な配置を考案できることが十分理解されるであろう。さらに、本明細書で引用したすべての例および従来の言葉は、基本的に、本発明の原理および当該技術分野の促進のために本発明者らによって導き出された概念を理解する上で読者を補助することを意図しており、そのような具体的に引用した例および状態に限定しないものとして解釈されるべきである。また、本発明の原理、態様、および実施形態を引用した本明細書のすべての記述は、その具体的な例と共に、その構造的および機能的均等物の両方を包含することを意図している。さらに、そのような均等物は、現在既知の均等物および将来開発される均等物の両方、すなわち、構造にかかわらず同じ機能を実行するように開発された任意の要素を含むことが意図されている。したがって、本発明の範囲は、本明細書に図示および記載した典型的な実施形態に限定されることを意図されるものではない。むしろ、本発明の範囲および精神は、添付の特許請求の範囲によって具現化される。