(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5730841
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】コイル部品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 17/00 20060101AFI20150521BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20150521BHJP
H01F 41/04 20060101ALI20150521BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
H01F17/00 B
H01F17/04 A
H01F41/04 C
H01F27/28 K
【請求項の数】20
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-260652(P2012-260652)
(22)【出願日】2012年11月29日
(65)【公開番号】特開2013-120938(P2013-120938A)
(43)【公開日】2013年6月17日
【審査請求日】2013年9月10日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0131055
(32)【優先日】2011年12月8日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(72)【発明者】
【氏名】ユ・ヨン・スク
(72)【発明者】
【氏名】アン・ヨン・ギュ
(72)【発明者】
【氏名】キム・ヨン・スク
(72)【発明者】
【氏名】イ・サン・ムン
(72)【発明者】
【氏名】クァク・ジョン・ボク
(72)【発明者】
【氏名】ホ・カン・ホン
(72)【発明者】
【氏名】ウィ・スン・グォン
【審査官】
五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−89133(JP,A)
【文献】
特開2006−86460(JP,A)
【文献】
特開2005−44952(JP,A)
【文献】
特開平10−203066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00
H01F 17/04
H01F 27/28
H01F 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部磁性体と、
前記下部磁性体上に互いに並んで螺旋形態で設けられる1次及び2次下部パターンと、
前記1次及び2次下部パターンをカバーする下部絶縁層と、
前記1次及び2次下部パターンと各々電気的に接続され、前記下部絶縁層上に前記1次及び2次下部パターンに対応して互いに並んで螺旋形態で設けられる1次及び2次上部パターンと、
前記1次及び2次上部パターン上に設けられる上部磁性体とを含み、
前記1次及び2次上部パターンは、前記1次及び2次下部パターンと平面視で交差する部位を有し、
前記1次下部パターンの上部には、前記2次上部パターンが前記下部絶縁層を挟んで設けられ、
前記2次下部パターンの上部には、前記1次上部パターンが前記下部絶縁層を挟んで設けられるコイル部品。
【請求項2】
前記1次及び2次上部パターンは、前記交差する部位で前記1次及び2次下部パターンのパターン間の空間に位置するように配列される請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記下部絶縁層は、前記1次及び2次下部パターンをカバーする1次コーティング層と、該1次コーティング層の上面を平坦化するための2次コーティング層とを含んで構成される請求項1に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記1次及び2次下部パターンの幅は、前記1次及び2次上部パターンの幅より大きく設けられる請求項1に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記1次及び2次下部パターンの中で最内郭パターン及び最外郭パターンの幅は、前記最内郭パターンと前記最外郭パターンとの間に位置するパターンの幅より大きく設けられる請求項4に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記1次及び2次上部パターンは、前記1次及び2次下部パターンから連続し、同じ巻線数を有する螺旋形態で形成される請求項1に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記1次及び2次上部パターンの中で最外郭パターンの出力側は、前記1次及び2次下部パターンの中で最外郭パターンの内側に隣接するパターン上に位置するように設けられる請求項6に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記1次及び2次下部パターンの中で長さの長いパターンの最外郭パターンの一部分から拡大して設けられる抵抗同調部を、さらに含む請求項1に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記1次及び2次上部パターンと前記1次及び2次下部パターンとは、ビアを通じて電気的に接続される請求項1に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記上部磁性体は、前記1次及び2次上部パターンと前記1次及び2次下部パターンとの中心まで延設される請求項1に記載のコイル部品。
【請求項11】
下部磁性体を形成するステップと、
前記下部磁性体上に互いに並んで螺旋形態で1次及び2次下部パターンを形成するステップと、
前記1次及び2次下部パターンに下部絶縁層を形成するステップと、
前記下部絶縁層上に前記1次及び2次下部パターンに対応して互いに並んで螺旋形態で、前記1次及び2次下部パターンと平面視で交差する部位を有して前記1次及び2次上部パターンを形成するステップであって、前記1次下部パターンの上部には、前記2次上部パターンが前記下部絶縁層を挟んで設けられ、前記2次下部パターンの上部には、前記1次上部パターンが前記下部絶縁層を挟んで設けられる、該ステップと、
前記1次及び2次上部パターン上に上部磁性体を形成するステップと、
を含むコイル部品の製造方法。
【請求項12】
前記1次及び2次上部パターンは、前記交差する部位で前記1次及び2次下部パターンのパターン間の空間に位置するように設けられる請求項11に記載のコイル部品の製造方法。
【請求項13】
前記下部絶縁層を形成するステップは、
前記1次及び2次下部パターン上に1次コーティング層を形成するステップと、
前記1次コーティング層上に2次コーティング層を形成するステップとを含む請求項11に記載のコイル部品の製造方法。
【請求項14】
前記1次及び2次下部パターンの幅は、前記1次及び2次上部パターンの幅より大きく設けられる請求項11に記載のコイル部品の製造方法。
【請求項15】
前記1次及び2次下部パターンの中で最内郭パターン及び最外郭パターンの幅は、前記最内郭パターンと前記最外郭パターンとの間に位置するパターンの幅より大きく設けられる請求項14に記載のコイル部品の製造方法。
【請求項16】
前記1次及び2次上部パターンは、前記1次及び2次下部パターンから連続し、同じ巻線数を有する螺旋形態で形成される請求項11に記載のコイル部品の製造方法。
【請求項17】
前記1次及び2次上部パターンの中で最外郭パターンの出力側は、前記1次及び2次下部パターンの中で最外郭パターンの内側に隣接するパターン上に位置するように設けられる請求項16に記載のコイル部品の製造方法。
【請求項18】
前記1次及び2次下部パターンを形成するステップは、
前記1次及び2次下部パターンの中で長さの長いパターンの最外郭パターンの一部分を拡大して抵抗同調部を形成するステップを、さらに含む請求項11に記載のコイル部品の製造方法。
【請求項19】
前記1次及び2次上部パターンを形成するステップは、ビアを通じて前記1次及び2次下部パターンと電気的に接続するステップを含む請求項11に記載のコイル部品の製造方法。
【請求項20】
前記上部磁性体を形成するステップは、前記上部磁性体を前記1次及び2次上部パターンと前記1次及び2次下部パターンとの中心まで延設するステップを含む請求項11に記載のコイル部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品及びその製造方法に関し、特に、同一周波数で高いコモンモードインピーダンスを具現すると共に、性能及び容量の向上を図り、構造及び工程の単純化によって製造費用を節減して生産性を向上することができる、コイル部品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタルTV、スマートホン、ノートパソコンなどのような電子製品は、高周波帯域でのデータ送受信の機能が広く使われている。今後にも、このようなIT電子製品は、一つの機器だけではなく、相互間のUSB、その他の通信ポートを接続して多機能化・複合化して活用頻度が高くなると予想される。
【0003】
データ送受信を早く行うためには、MHz帯域の周波数帯域からGHz帯域の高周波数帯域へと移動してより多量の内部信号ラインを通じてデータをやりとるようになる。
【0004】
このように多量のデータをやりとるために、メイン機器と周辺機器との間でGHz帯域の高周波数帯域の送受信時、信号の遅延やその他ノイズによってデータを円滑に処理するのに問題が発生している。
【0005】
そのため、ITと周辺機器との接続部寄りにEMI対策部品を設けている。しかしながら、既存EMI対策部品は巻線型/積層型タイプであって、チップ部品のサイズが大きく且つ電気的特性が悪く、特定の部位や大面積回路基板などのように限定領域のみに使用可能であった。そのため、電子製品のスリム化、小型化、複合化、多機能化への転換に応じるEMI対策部品が要求されている。
【0006】
以下、添付の
図1を参照して、従来技術によるEMI対策コイル部品の中でコモンモードフィルタについて詳記する。
【0007】
図1及び
図2を参照して、従来のコモンモードフィルタは、下部磁性基板10と、この下部磁性基板10の上部に設けられ、内部に第1のコイルパターン21と第2のコイルパターン22とが上下対称に設けられる絶縁層20と、この絶縁層20の上部に設けられる上部磁性体30とを含んで構成される。
【0008】
前記絶縁層20は、前記下部磁性基板10の上部に、薄膜工程によって、前記第1のコイルパターン21及び前記第2のコイルパターン22が内部に設けられるように設けられる。前記薄膜工程の一例が、特許文献1に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開8-203737号公報
【特許文献2】特開平6-61072号公報
【特許文献3】特表2010-516056号公報
【0010】
前記絶縁層20には、前記第1のコイルパターン21に対して電気を入出力するための第1の入力リードパターン21a及び第1の出力リードパターン21bが形成され、前記第2のコイルパターン22に対して電気を入出力するための第2の入力リードパターン22a及び第2の出力リードパターン22bが設けられる。
【0011】
詳しくは、前記絶縁層20は、前記第1のコイルパターン21及び前記第1の入力リードパターン21aを有する第1のコイル層と、前記第2のコイルパターン22及び前記第2の入力リードパターン22aを有する第2のコイル層と、前記第1の出力リードパターン21b及び前記第2の出力リードパターン22bを有する第3のコイル層とで構成される。
【0012】
即ち、前記下部磁性基板10の上面に、薄膜工程によって、前記第1のコイルパターン21及び前記第1の入力リードパターン21aを形成してから絶縁材料をコーティングして、前記第1のコイル層を形成する。
【0013】
続いて、前記第1のコイル層の上面に、薄膜工程によって、前記第1のコイルパターン21に対応する前記第2のコイルパターン22及び前記第2の入力リードパターン22aを形成してから絶縁材料をコーティングして、前記第2のコイル層を形成する。
【0014】
続いて、前記第1のコイルパターン21及び前記第2のコイルパターン22の外部出力のために、前記第2のコイル層の上面に、薄膜工程によって前記第1の出力リードパターン21b及び前記第2の出力リードパターン22bを形成してから絶縁材料をコーティングして、第3のコイル層を形成する。
【0015】
前記第1のコイルパターン21及び前記第2のコイルパターン22は、前記第1の出力リードパターン21b及び前記第2の出力リードパターン22bに各々ビア接続構造を通じて電気的に接続される。
【0016】
ここでは示されていないが、前記第1〜第3のコイル層はシート形状で製作され、積層方式で結合されることによって、前述の第1及び第2のコイルパターン、第1及び第2の入力リードパターン、及び第1及び第2の出力リードパターンを含む絶縁層を構成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかし、前述のように構成された従来のコモンモードフィルタは、第1のコイルパターン21と第2のコイルパターン22とを別々のコイル層に形成し、第1及び第2のコイルパターンの外部出力のための第1及び第2の出力リードパターン21b、22bを他のコイル層に形成する。このように、絶縁層20を少なくとも3つのコイル層で形成することによって、これを含む製品の上下サイズを増加させるという問題点がある。
【0018】
特に、ノイズ除去の性能を向上するために容量を増加させる場合、第1のコイル層を付加すると共に第2のコイル層も付加しなければならないため、製品の上下サイズをさらに増加させ、工程の追加によって製造工程に所要される時間や費用を増加させるという問題点がある。
【0019】
本発明は上記の問題点に鑑みて成されたものであって、同一周波数で高いコモンモードインピーダンスを具現することができる、コイル部品及びその製造方法を提供することに、その目的がある。
【0020】
本発明の他の目的は、性能及び容量の増加時に伴う製品のサイズ増加を最小化することができる、コイル部品及びその製造方法を提供することにある。
【0021】
本発明のさらに他の目的は、構造及び工程単純化で製造費用を節減すると共に生産性を向上することができる、コイル部品及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を解決するために、本発明のコイル部品は、下部磁性体と、この下部磁性体上に互いに並んで螺旋形態で設けられる1次及び2次下部パターンと、前記1次及び2次下部パターンをカバーする下部絶縁層と、前記1次及び2次下部パターンと各々電気的に接続され、前記下部絶縁層上に前記1次及び2次下部パターンに対応して互いに並んで螺旋形態で設けられる1次及び2次上部パターンと、前記1次及び2次上部パターン上に設けられる上部磁性体とを含み、前記1次及び2次上部パターンは、前記1次及び2次下部パターンと平面上で交差する部位を有する。
【0023】
前記1次及び2次上部パターンは、前記1次及び2次下部パターンの配列と行き違うように配列される。
【0024】
前記1次及び2次上部パターンは、前記交差する部位で前記1次及び2次下部パターンのパターン間の空間に位置するように配列される。
【0025】
前記下部絶縁層は、前記1次及び2次下部パターンをカバーする1次コーテイング層と、該1次コーティング層の上面を平坦化するための2次コーティング層とを含んで構成される。
【0026】
前記1次及び2次下部パターンの幅は、前記1次及び2次上部パターンの幅より大きく設けられる。
【0027】
前記1次及び2次下部パターンの中で最内郭パターン及び最外郭パターンの幅は、前記最内郭パターンと前記最外郭パターンとの間に位置するパターンの幅より大きく設けられる。
【0028】
前記1次及び2次上部パターシは、前記1次及び2次下部パターンから連続し、同じ巻線数を有する螺旋形態で設けられる。
【0029】
前記1次及び2次上部パターンの中で最外郭パターンの出力側は、前記1次及び2次下部パターンの中で最外郭パターンの内側に隣接するパターン上に位置するように設けられる。
【0030】
本発明によるコイル部品は、前記1次及び2次下部パターンの中で長さの長いパターンの最外郭パターンの一部分から拡大して設けられる抵抗同調部を、さらに含んで構成される。
【0031】
前記1次及び2次上部パターンと前記1次及び2次下部パターンとは、ビアを通じて電気的に接続される。
【0032】
前記上部磁性体は、前記1次及び2次上部パターン及び前記1次及び2次下部パターンの中心まで延設される。
【0033】
また、前記目的を解決するために、本発明によれば、下部磁性体を形成するステップと、この下部磁性体上に互いに並んで螺旋形態で1次及び2次下部パターンを形成するステップと、これらの1次及び2次下部パターンに下部絶縁層を形成するステップと、前記下部絶縁層上に前記1次及び2次下部パターンに対応して互いに並んで螺旋形態で、前記1次及び2次下部パターンと平面上で交差する部位を有するように前記1次及び2次上部パターンを形成するステップと、これらの1次及び2次上部パターン上に上部磁性体を形成するステップと、を含むコイル部品の製造方法が提供される。
【0034】
前記1次及び2次上部パターンは、前記1次及び2次下部パターンの配列と行き違うように配列されて設けられる。
【0035】
前記1次及び2次上部パターンは、前記交差する部位で前記1次及び2次下部パターンのパターン間の空間に位置するように設けられる。
【0036】
前記下部絶縁層を形成するステップは、前記1次及び2次下部パターン上に1次コーティング層を形成するステップと、該1次コーティング層上に2次コーティング層を形成するステップとを含んで構成される。
【0037】
前記1次及び2次下部パターンの幅は、前記1次及び2次上部パターンの幅より大きく設けられる。
【0038】
前記1次及び2次下部パターンの中で最内郭パターンと最外郭パターンとの幅は、前記最内郭パターンと前記最外郭パターンとの間に位置するパターンの幅より大きく設けられる。
【0039】
前記1次及び2次上部パターンは、前記1次及び2次下部パターンから連続し、同じ巻線数を有する螺旋形態で設けられる。
【0040】
前記1次及び2次上部パターンの中で最外郭パターンの出力側は、前記1次及び2次下部パターンの中で最外郭パターンの内側に隣接するパターン上に位置するように設けられる。
【0041】
前記1次及び2次下部パターンを形成するステップは、前記1次及び2次下部パターンの中で長さの長いパターンの最外郭パターンの一部分を拡大して抵抗同調部を形成するステップを、さらに含む。
【0042】
前記1次及び2次上部パターンを形成するステップは、ビアを通じて前記1次及び2次下部パターンと電気的に接続するステップを含む。
【0043】
また、前記上部磁性体を形成するステップは、前記1次及び2次上部パターン及び前記1次及び2次下部パターンの中心まで延設するステップを含む。
【発明の効果】
【0044】
前述のように、本発明によれば、同一周波数で高いコモンモードインピーダンスを具現することができるという効果が奏する。
【0045】
また、本発明によれば、性能及び容量を向上させることができるという効果が奏する。
【0046】
また、本発明によれば、構造及び工程の単純化によって製造費用を節減すると共に、生産性を向上することができるという効果が奏する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】従来技術によるコイル部品の中でコモンモードフィルタを概略的に示す断面図である。
【
図2a】
図1の1次コイルパターンを概略的に示す平面図である。
【
図2b】
図1の2次コイルパターンを概略的に示す平面図である。
【
図2c】
図1の1次コイルパターン及び2次コイルパターンの出力のための出力側リード電極を概略的に示す平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるコイル部品を概略的に示す断面図である。
【
図4a】
図3の下部磁性体上に設けられた1次及び2次下部パターンを概略的に示す平面図である。
【
図4b】
図3の下部絶縁層上に設けられた1次及び2次上部パターンを概略的に示す平面図である。
【
図5a】
図4aの1次下部パターン及び
図4bの1次上部パターンが螺旋形態で連続して形成された状態を同一平面上に概略的に示す平面図である。
【
図5b】
図4aの2次下部パターン及び
図4bの2次上部パターンが螺旋形態で連続して形成された状態を同一平面上に概略的に示す平面図である。
【
図6】本発明の一実施形態によるコイル部品において、1次及び2次下部パターンと1次及び2次上部パターンとが螺旋形態で連続して形成された状態を概略的に示す写真である。
【
図8a】1次及び2次下部パターンに1次コーティング層を形成した状態を示す断面図である。
【
図8b】
図8aの1次コーティング層に2次コーティング層を形成した状態を示す断面図である。
【
図8c】
図8bの2次コーティング層に1次及び2次上部パターンを形成した状態を示す断面図である。
【
図9a】
図8bの2次コーティング層形成時に段差が生じる現象を概略的に説明するための断面図である。
【
図9b】
図9aの現象を克服するために1次及び2次下部パターンの形状を変更した断面図である。
【
図10】本発明の一実施形態によるコイル部品において、1次及び2次下部パターンの長さ差に伴う抵抗差を合わせるために1次及び2次下部パターンの形状を変更した平面図である。
【
図11】本発明の一実施形態によるコイル部品と、従来のコイル部品であるコモンモードフィルタとの間のコモンモードでのインピーダンス特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の好適な実施の形態は図面を参考にして詳細に説明する。次に示される各実施の形態は当業者にとって本発明の思想が十分に伝達されることができるようにするために例として挙げられるものである。従って、本発明は以下示している各実施の形態に限定されることなく他の形態で具体化されることができる。そして、図面において、装置の大きさ及び厚さなどは便宜上誇張して表現されることができる。明細書全体に渡って同一の参照符号は同一の構成要素を示している。
【0049】
本明細書で使われた用語は、実施形態を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は文句で特別に言及しない限り複数形も含む。明細書で使われる「含む」とは、言及された構成要素、ステップ、動作及び/又は素子は、一つ以上の他の構成要素、ステップ、動作及び/又は素子の存在または追加を排除しないことに理解されたい。
【0050】
以下、添付の
図3〜
図10を参照して、本発明によるコイル部品及びその製造方法について詳記する。
【0051】
図3は、本発明の一実施形態によるコイル部品を概略的に示す断面図で、
図4aは、
図3の下部磁性体上に設けられた1次及び2次下部パターンを概略的に示す平面図であり、
図4bは、
図3の下部絶縁層上に設けられた1次及び2次上部パターンを概略的に示す平面図で、
図5aは、
図4aの1次下部パターン及び
図4bの1次上部パターンが螺旋形態で連続して形成された状態を同一平面上に概略的に示す平面図であり、
図5bは、
図4aの2次下部パターン及び
図4bの2次上部パターンが螺旋形態で連続して形成された状態を同一平面上に概略的に示す平面図で、
図6は、本発明の一実施形態によるコイル部品において1次及び2次下部パターンと1次及び2次上部パターンとが螺旋形態で連続して形成された状態を概略的に示す写真であり、
図7は、
図6のI−I線に沿う断面写真である。
【0052】
図8a〜
図8cは、1次及び2次下部パターン、下部絶縁層、及び1次及び2次上部パターンを形成する過程を概略的に示す工程図であって、
図8aは、1次及び2次下部パターンに1次コーティング層を形成した状態を示す断面図で、
図8bは、
図8aの1次コーティング層に2次コーティング層を形成した状態を示す断面図であり、
図8cは、
図8bの2次コーティング層に1次及び2次上部パターンを形成した状態を示す断面図である。
【0053】
また、
図9aは、
図8bの2次コーティング層形成時に段差が生じる現象を概略的に説明するための断面図で、
図9bは、
図9aの現象を克服するために1次及び2次下部パターンの形状を変更した断面図であり、
図10は、本発明の一実施形態によるコイル部品において、1次及び2次下部パターンの長さ差に伴う抵抗差を合わせるために1次及び2次下部パターンの形状を変更した平面図である。
【0054】
図3に示すように、本発明の一実施形態によるコイル部品100は大きく、下部磁性体110と、この下部磁性体110上に設けられる1次及び2次下部パターン121、122と、これらの1次及び2次下部パターン121、122をカバする下部絶縁層130と、この下部絶縁層130上に1次及び2次下部パターン121、122と電気的に接続可能に設けられる1次及び2次上部パターン141、142と、これらの1次及び2次上部パターン141、142上に設けられる上部磁性体150とを含んで構成される。
【0055】
前記下部磁性体110は、フェライト系列の磁性材料からなる基板形態で設けられる。
【0056】
図4aのように、前記1次及び2次下部パターン121、122は、前記下部磁性体110上に薄膜工程によって、互いに並んで螺旋形態で設けられる。また、
図4bのように、前記1次及び2次上部パターン141、142は、前記下部絶縁層130上に薄膜工程によって、前記1次及び2次下部パターン121、122に対応して互いに並んで螺旋形態で設けられる。
【0057】
これによって、本実施形態のコイル部品100では、1次パターン及び2次パターン、即ち二つのコイルパターンが同一層上に設けられることによって、性能の向上を図ることができる。
【0058】
一例として、前記1次及び2次下部パターン121、122と前記1次及び2次上部パターン141、142とのうちの少なくともいずれか一つの1次及び2次パターンを含む単一のコイル層でコイル部品の特性を具現することができる。従来のコモンモードフィルタのように、前記1次及び2次下部パターン121、122と前記1次及び2次上部パターン141、142とからなる複数層のコイル層でコイル部品を具現する場合、コイル部品の電磁気力の発生を極大化することによって、優秀な性能及び特性を有すると共に容量を高めることができるという長所がある。
【0059】
また、本実施形態のコイル部品100では、1次パターン及び2次パターン、即ち二つのコイルパターンが同一層上に設けられることによって、1次及び2次下部パターン121、122の設けられる層上に該1次及び2次下部パターン121、122の入力側リードパターン121a、122aを共に形成することができる。また、1次及び2次上部パターン141、142の設けられる層上に該1次及び2次上部パターン141、142の出力側リードパターン141b、142bを共に形成することができる。そのため、従来のコモンモードフィルタに比べて、出力側リードパターンを形成するための別途の付加層が不要になり、1次及び2次下部パターン121、122と1次及び2次上部パターン141、142とをカバする絶縁層の厚さを減らすことができ、これを含むコイル部品の上下方向の高さの減少に伴う小型化を具現することができる。
【0060】
本実施形態の1次及び2次上部パターン141、142は、前記1次及び2次下部パターン121、122と平面上で交差する部位を有する。
【0061】
詳しくは、
図5aに示すように、前記1次上部パターン141は、前記1次下部パターン121の上部に1次下部パターンと平面上で交差する部位R1を有する。また、
図5bに示すように、前記2次上部パターン142は、前記2次下部パターン122の上部に2次下部パターンと平面上で交差する部位R2を有する。
【0062】
これによって、
図5a〜
図7に示すように、前記1次及び2次上部パターン141、142は、前記交差する部位R1、R2によって交差部分で前記1次及び2次下部パターン121、122のパターン間の空間、即ち1次下部パターン121と2次下部パターン122との間に位置するように配列される。
【0063】
前記1次及び2次上部パターン141、142は、該交差部分を除いて、前記1次及び2次下部パターン121、122の上部に位置するように配列される。
【0064】
前記1次及び2次上部パターン141、142は、前記1次及び2次下部パターン121、122の配列と行き違うように配列される。
【0065】
詳しくは、前記1次下部パターン121の上部には前記2次上部パターン142が位置し、前記2次下部パターン122の上部には前記1次上部パターン141が位置する。
【0066】
一方、
図8a〜
図8bに示すように、前記下部絶縁層130は、前記1次及び2次下部パターン121、122をカバーする1次コーティング層131と、該1次コーティング層131の上面を平坦化するための2次コーティング層132とを含んで構成される。
【0067】
詳しくは、前記下部絶縁層130を一回のコーティングで形成する場合、
図8aのように、上面に凹凸を有する下部絶縁層が形成され、該上面に1次及び2次上部パターンを正確な位置及び形態で形成しにくくなる。そのため、
図8bのように、上面に凹凸を有する1次コーティング層131上に2次コーティング層132を形成することによって、
図8cのように、上面の平坦化された下部絶縁層130を形成して、下部絶縁層上に1次及び2次上部パターンを正確にパターニングして形成することができる。
【0068】
一方、
図9aに示すように、前記下部絶縁層130を二回のコーティング工程によって形成しても、前記1次及び2次下部パターン121、122の形成されない領域ではコーティングされない場合が発生し、該領域に位する前記1次及び2次上部パターン141、142の配列が崩れることになる。そのため、
図9bに示すように、前記1次及び2次下部パターン121、122の幅を前記1次及び2次上部パターン141、142の幅より大きく形成することができる。
【0069】
特に、前記1次及び2次下部パターン141、142中の最内郭パターン及び最外郭パターンの幅を該最内郭パターンと該最外郭パターンとの間に位置するパターンの幅より大きく形成することができる。
【0070】
図6に示すように、前記1次及び2次上部パターン141、142は、前記1次及び2次下部パターン121、122から連続し、同じ巻線数を有する螺旋形態で設けられる。これらの1次及び2次下部パターン121、122に対する前記1次及び2次上部パターン141、142のマッチング性(即ち、整合性)を高めるために、該1次及び2次上部パターン141、142中の最外郭パターンの出力側は、前記1次及び2次下部パターン121、122中の最外郭パターンの内側に隣接するパターン上に位置するように設けられる。
【0071】
これによって、前記1次及び2次上部パターン141、142の最外郭パターンの出力側は、前記1次及び2次下部パターン121、122の最外郭パターンの出力側部位の内側に偶数の巻線数の差分だけ内方へ位置するように配列される。
【0072】
このような構造によってパターン間の不整列を最小化し、パターン間の不整列によって発生する、不要な寄生キャパシティ(capacity)の生成を最小化することができる。
【0073】
また一実施形態によれば、
図10に示すように、本実施形態のコイル部品100は、前記1次及び2次下部パターン121、122中の長さの長いパターンの最外郭パターンの一部分から拡大して設けられる抵抗同調部をさらに含んで構成される。本実施形態において、該長さの長いパターンは、1次下部パターン121であってもよい。これによって、該1次下部パターン121は、最外郭パターンの一部分から拡大して設けられる抵抗同調部121cを有してもよい。
【0074】
一例として、前記1次下部パターン121の巻線数が5の場合、前記2次下部パターン122の巻線数は略4.7である。これによって、1次下部パターン121と2次下部パターン122との間の長さ差によって抵抗差が発生することになる。
【0075】
したがって、本実施形態によるコイル部品100は、前記抵抗同調部121cによって前記1次及び2次下部パターン121、122間の長さ差に伴う抵抗差を合わせ、該抵抗差による性能の低下を防止することができる。
【0076】
一方、
図3に示すように、前記1次及び2次上部パターン141、142と前記1次及び2次下部パターン121、122とはビア161、162を通じて電気的に接続される。
【0077】
詳しくは、前記1次上部パターン141と前記1次下部パターン121とは、ビア161を通じて電気的に接続され、前記2次上部パターン142と前記2次下部パターン122とはビア162を通じて電気的に接続される。
【0078】
前記上部磁性体150は、前記1次及び2次上部パターン141、142の上部にフェライト系列の磁性材料を充填して形成される。この場合、前記上部磁性体150は、中心部が前記1次及び2次下部パターン121、122の中心まで延設されてもよい。
【0079】
したがって、前記上部磁性体150の延設によって、本実施形態のコイル部品100の性能及び特性をより一層高めることができる。
【0080】
図11は、木発明の一実施形態によるコイル部品と従来コイル部品であるコモンモードフィルタとのコモンモードでのインピーダンス特性を示すグラフである。
図11に示すように、同一周波数で本実施形態のコイル部品のコモンモードでのインピーダンス値(実施例)は、従来コイル部品であるコモンモードフィルタのコモンモードでのインピーダンス値(比較例)に比べて著しく増加したことを分かる。
【0081】
以下、前述のように構成された本実施形態のコイル部品の製造過程について詳記する。
【0082】
図3〜
図5bに示すように、まず、フェライト系列の基板からなる下部磁性体130を準備する。
【0083】
この下部磁性体130上に、互いに並んで螺旋形態で1次及び2次下部パターン121、122を形成する。
【0084】
続いて、これらの1次及び2次下部パターン121、122をカバーするように下部絶縁層130を形成する。この下部絶縁層130は、二回のコーティング工程によって設けられることが望ましい。
【0085】
前記下部絶縁層130上に、前記1次及び2次下部パターン121、122に対応して互いに並んで螺旋形態で、1次及び2次上部パターン141、142を形成する。
【0086】
これらの1次及び2次上部パターン141、142は、前記1次及び2次下部パターン121、122と平面上で交差する部位を有する。
【0087】
前記1次及び2次上部パターン141、142は、前記1次及び2次下部パターン121、122の配列と行き違うように配列される。これらの1次及び2次上部パターン141、142は、該交差部位で前記1次及び2次下部パターン121、122のパターン間の空間に位置するように配列される。
【0088】
続いて、前記1次及び2次上部パターン141、142をカバするように前記下部絶縁層130と類似な材料からなる絶縁層を形成する。
【0089】
続いて、前記絶縁層の上部に磁性材料に充填して上部磁性体150を形成する。
【0090】
続いて、前記1次及び2次下部パターン121、122の入力側リードパターン121a、122aと接続された外部端子171aをプレーティングし、前記1次及び2次上部パターン141、142の出力側リードパターン141b、142bと接続された外部端子172bをプレーティングする。
【0091】
その他、本実施形態のコイル部品100の詳細な製造過程に対する技術的特徴は、前述の本実施形態のコイル部品100の構造に対する詳細な説明と同一なので、それに対する詳細は省略することにする。
【0092】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、前記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0093】
100 コイル部品の一実施形態
110 下部磁性体
121 1次下部パターン
122 2次下部パターン
130 下部絶縁層
141 1次上部パターン
142 2次上部パターン
150 上部磁性体
161、162 ビア