(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基地局を介して他の無線通信装置と無線通信を行う基地局通信モードと、他の無線通信装置と無線通信を直接行う直接通信モードとに大別される複数の通信モードを切り替えて使用する無線通信装置であって、
ユーザによって音声による報知のための操作がなされると、
当該無線通信装置が通話中でない場合、前記音声による報知のための操作がなされた際の通信モードに応じて当該無線通信装置の状態の音声による報知を実行し、
当該無線通信装置が通話中の場合、前記音声による報知のための操作がなされた際の通信モードが前記複数の通信モードのうち所定の通信モードであるか否かを判断し、前記所定の通信モードである場合には当該無線通信装置の状態を音声により報知し、前記所定の通信モード以外の通信モードである場合には通話中の当該無線通信装置の状態の音声による報知を抑止する報知部を備えたことを特徴とする、無線通信装置。
基地局と、基地局を介して他の無線通信装置と無線通信を行う基地局通信モードと、他の無線通信装置と無線通信を直接行う直接通信モードとに大別される複数の通信モードを切り替えて使用する無線通信装置とを備えた無線通信システムであって、
前記無線通信装置は、ユーザによって音声による報知のための操作がなされると、当該無線通信装置が通話中でない場合、前記音声による報知のための操作がなされた際の通信モードに応じて当該無線通信装置の状態の音声による報知を実行し、
当該無線通信装置が通話中の場合、前記音声による報知のための操作がなされた際の通信モードが前記複数の通信モードのうち所定の通信モードであるか否かを判断し、前記所定の通信モードである場合には当該無線通信装置の状態を音声により報知し、前記所定の通信モード以外の通信モードである場合には通話中の当該無線通信装置の状態の音声による報知を抑止する報知部を備えたことを特徴とする、無線通信システム。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
〔1〕本発明の一実施形態について
まず、本発明の一実施形態としての無線通信装置(以下、本無線通信装置という)の詳細を説明する前に、本無線通信装置が適用される無線通信システムの一例を、
図1を参照しながら説明する。
【0016】
図1に示す無線通信システム1は、例えばARIB STD-T79に規定された都道府県・市町村デジタル移動通信システムであり、無線通信方式としてTDMA(Time Division Multiple Access)方式を採用している。
無線通信システム1は、統制局2と、複数(ここでは2つ)の基地局3−1,3−2と、複数の移動局4−1〜4−10と、半固定局5と、固定局6とから構成されている。
【0017】
統制局2は都道府県または市町村の機関に設備される局であって、回線接続を制御する回線制御装置2aと、地上回線[例えば、PSTN(Public Switched Telephone Networks)や内線電話網]と移動無線回線との接続制御を行うPBX(Private Branch eXchange)2bと、通信統制を行う統制台2cとを備えている。
基地局3−1,3−2は、統制局2の回線制御装置2aに接続され、当該基地局ゾーン(通信ゾーン又は通信エリアともいう)内の移動局4−1〜4−10,半固定局5,固定局6(以下、これらをまとめて移動局等という)との無線通信、あるいは、移動局等の間の無線中継を行うものであり、無線装置3a及び制御装置3bを備えている。
【0018】
なお、移動局等は、基地局3−1を介さずに無線通信を行う移動局間直接通信を行うことができる。
そして、本発明の無線通信装置は、
図1に示す移動局4−1〜4−10,半固定局5,固定局6であり、携帯型、固定型、半固定型、車載型のいずれであってもよく、後述する
図3に示す構成を備えていればよい。
【0019】
本無線通信システム1において、移動局4−1〜4−10等の無線通信装置の通信モードは、基地局3−1,3−2を介して他の装置と無線通信を行う基地局通信モードと、基地局3−1,3−2を介さずに他の無線通信装置と直接無線通信を行う移動局間直接通信モードとに大別される。
さらに、本無線通信システム1において、無線通信装置は、
図2に示す8つの通信態様を取り得る。つまり、無線通信装置は、一斉通信着呼,統制通信着呼,緊急連絡発呼,専用チャネル(ch)通信,個別通信,グループ通信,非音声通信を行うことができる。なお、これら8つの態様それぞれの詳細は
図2に示す通りである。
【0020】
図3は本発明の一実施形態としての無線通信装置の機能構成を示すブロック図である。この
図3に示すように、本無線通信装置10は、アンテナ11,無線部12,信号処理部13,MPU(Micro Processing Unit;検出部,制御部)14,操作部15,PLD(Programmable Logic Device)16,AIU(Audio Interface Unit)17,スピーカ(出力部)18,マイク19,LCD(Liquid Crystal Display;表示部)20,ドライバ21,電流監視部(検出部)22,記憶部23,及び電池残量検出部24を備えている。
【0021】
無線部12はアンテナ11を介して他の無線通信装置と無線通信を行うものである。なお、上述の通り、無線部12はTDMA方式の無線通信を行う。
信号処理部13は、無線部12とMPU14との間に介装され、例えば、無線部12が受信した信号をMPU14が認識できる信号に変換するとともに、MPU14からの信号を無線部12が送信するための信号に変換する。
【0022】
MPU14は、本無線通信装置10全体を制御するものである。例えば、MPU14はAIU17及びスピーカ18を制御して信号処理部13から入力された信号に基づく音声等をスピーカ18から出力させる。また、MPU14は信号処理部13及び無線部12を制御してマイク19から入力された音声等を、アンテナ11を介して電波として出力させる。
【0023】
さらに、MPU14は、LCD20の表示内容を制御すべく、LCD20を直接制御するドライバ21に対して表示指示を行う。そして、MPU14はドライバ21に対する表示制御に係るリードライトができない場合には、LCD20が故障したと判断して、LCD20の異常を検出する検出部としても機能する。
操作部15は、例えば本無線通信装置10のユーザが操作する操作キーである。
【0024】
ここで、
図4に本無線通信装置10の外観斜視図の一例を示す。
図4に示すように、操作部15は、テンキーやオンフックボタン、オフフックボタン、クリアボタン,十字キー,決定キー、プレスボタン、その他の機能キー等である。
なお、無線通信装置10は、操作スイッチ25やアンテナコネクタ26を備えている。
そして、本無線通信装置10は、当該無線通信装置10の状態を報知させるためだけに使用する専用ボタン(専用の操作部)15aを備えている。後述する
図7のフローチャートの説明部分にて詳細に説明するが、本無線通信装置10は、専用ボタン15aがユーザによって操作されると、MPU14がスピーカ18に本無線通信装置10の状態(無線状態や電池残量等)を音で報知させるように構成されている。
【0025】
また、
図4に示すように、専用ボタン15aは、他のボタンのように本無線通信装置10の表面から突出して設けられておらず、本無線通信装置10の表面(ここでは左側面)に対して凹んで設けられている。つまり、専用ボタン15aは、その表面が本無線通信装置10の表面(ここでは左側面)よりも本無線通信装置10の内側に凹むように設けられている。
【0026】
これにより、ユーザは専用ボタン15a部分を本無線通信装置10の内側に意識して押し込むように操作しなければ専用ボタン15aを操作できず、専用ボタン15aの誤操作を防止できるようになっている。
PLD16は、操作部15の各ボタンや各キー等の操作をMPU14に入力するものであり、例えば、専用ボタン15aが操作されると、専用ボタン15aが操作されたことをMPU14に通知する。
【0027】
AIU17は、MPU14と、スピーカ18及びマイク19との間に介装され、これらスピーカ18やマイク19のインターフェースとして機能するものである。AIU17は、例えばデジタルアナログコンバータ(図示せず)やフィルタ回路(図示せず)やアンプ(図示せず)を備え、スピーカ18から音を出力するためにMPU14からの信号を変換する。
【0028】
スピーカ18は、音を出力するものである。なお、スピーカ18はレシーバとして機能してもよい。
マイク19は、音を本無線通信装置10に入力するものである。
なお、本実施形態において、MPU14,AIU17,及びスピーカ18が、専用ボタン15aを操作されると本無線通信装置10の状態を報知する報知部として機能する。
【0029】
ここで、本発明において無線通信装置10の状態とは、通信モード[後述する
図5(a)参照],圏内/圏外(同期状態),電池残量,常設番号,電話帳の内容等を言うが、本発明はこれらに限定されるものではなく、無線通信装置10の状態に関するものであればよい。
また、スピーカ18からの報知方法は音声であってもビープ音であってもよい。
【0030】
ここで、
図5(a)〜(c)に報知部による報知内容例を示す。即ち、記憶部23には、
図5(a)〜(c)に示す通信モード、同期状態、電池残量の各条件に対応した報知内容が保持されている。
図5(a)に示すように、通信モードについては、報知部は現在の通信モードを報知する。なお、ここでは常設発信に係わるものを対象とする。
【0031】
具体的には、報知部は、基地局通信モードであり、且つ、折返し運用中及び専用ch通信以外の場合には、「基地局通信モード」という音声を報知する。
また、報知部は、直接通信の自動の場合、「直接通信自動モード」という音声を報知し、直接通信の手動の場合、「直接通信手動モード」という音声を報知する。
さらに、報知部は、基地局通信の専用ch通信中の場合、「専用通信モード」という音声を報知し、基地局通信で折返し運用中の場合、「折返し通信モード」という音声を報知する。
【0032】
本無線通信装置10において、これらの通信モードはMPU14の一部機能あるいは専用の制御部(図示せず)が制御しており、MPU14はその制御部分から現在の通信モードを読み出すように構成されている。なお、通信モードの切り替えはユーザが操作部15を操作することによって行われる。
また、
図5(b)に示すように、圏内/圏外に係る基地局同期状態については、報知部は、直接通信モードの場合は何も報知せず、基地局通信モードの場合に圏内又は圏外を報知する。
【0033】
具体的には、報知部は、基地局通信モード(専用ch通信時及び折返し運用時も含む)で圏内の場合、「圏内」という音声を報知し、基地局通信モード(専用ch通信時及び折返し運用時も含む)で圏外の場合、「圏外」という音声を報知する。
一方、報知部は、直接通信モード(自動及び手動)の場合には何も報知しない。
なお、本無線通信装置10において、圏内/圏外の電波状態(基地局同期状態)は、MPU14が無線部12から取得する。
【0034】
また、
図5(c)に示すように、電池残量については、電池残量検出部24によって検出された電池レベルに応じた内容を報知する。
具体的には、報知部は、電池残量検出部24によって電池レベル4と検出された場合には、「電池残量3」という音声を報知し、電池残量検出部24によって電池レベル3と検出された場合には、「電池残量2」という音声を報知し、電池残量検出部24によって電池レベル2と検出された場合には、「電池残量1」という音声を報知し、電池残量検出部24によって電池レベル1と検出された場合には、「電池残量0」という音声を報知する。
【0035】
また、報知部は、本無線通信装置1が車載型や固定型等であって電池ではなく電源で駆動するものである場合には、電池レベルについて報知しない。
なお、報知部による報知内容の常設番号とは、例えばオフフックボタンを操作すると発呼される番号をいう。報知部が常設番号を発呼する場合はその番号とその番号の相手先名称とを音声として報知する。
【0036】
また、報知部が電話帳の内容を報知する場合は、相手先名称とその相手先の番号とを順次報知する。本無線通信装置1が用いる番号は4,5桁程度であるため、ユーザは音声で番号を報知されても、その番号を比較的容易に記憶できる。従って、ユーザは音声で番号をガイダンスされることにより所望の相手に発呼することができる。
LCD20は、表示画面であり、ドライバ21に制御され、上記
図8に示したアイコン100〜103や、電話番号や電話帳の内容等の各種情報を表示するものである。
【0037】
ドライバ21は、MPU14からの指示に応じてLCD20の表示制御を行うものである。なお、ドライバ21はLCD20のモジュールに内臓であってもよいし、外付けであってもよい。
電流監視部22は、LCD20内の電流を監視してLCD20の異常を検出するものである。電流監視部22には、基準値(図中“Reg.”と表記;例えば基準電流や基準電圧)が入力されており、電流監視部22は基準値とLCD20内の電流値とを比較することによりLCD20の異常を検出し、異常を検出するとMPU14へ通知する。なお、電流監視部22には複数の基準値が入力されていてもよいし、電流値ではなく電圧値に基づいてLCD20の異常を検出してもよい。
【0038】
ここで、
図6に示すフローチャート(ステップS1〜S6)を参照しながら、本無線通信装置10のLCD20の異常検出手順について説明する。
まず、電流監視部22が電流監視を行い(ステップS1)、LCD20内の電流値が正常であるか否かを判断する(ステップS2)。
つまり、電流監視部22は基準値に基づいてLCD20に電流が流れ過ぎていないか、あるいは、電流が流れていないかを判定する。
【0039】
ここで、LCD20内の電流値が異常であった場合(ステップS2のNoルート)、電流監視部22はLCD20の異常検出をMPU14に通知し、MPU14はLCD20が故障していると判断する(ステップS3)。
一方、LCD20内の電流値が正常であった場合(ステップS2のYesルート)、MPU14は、通常通りドライバ21にアクセスして表示指示等を行うとともに(ステップS4)、ドライバ21が正常に動作しているか否かを判定する(ステップS5)。
【0040】
ここで、MPU14がリードライトできない等、ドライバ21が異常であると判断すると(ステップS5のNoルート)、MPU14はLCD20が故障していると判断する(ステップS3)。
一方、MPU14はドライバ21が正常であると判断すると(ステップS5のYesルート)、そのまま表示処理を行ない(ステップS6)、処理を終了する。
【0041】
このように、本無線通信装置10において、MPU14及び電流監視部22はそれぞれLCD20の異常を検出する検出部として機能する。
また、
図3に示すように、記憶部23は、各種情報を保持するものであり、電話帳の情報や、本無線通信装置10の情報を報知するための音声データ[PCM(Pulse Code Modulation)データやリニアデータ]や、ビープ音に関する情報等を保持している。
【0042】
具体的には、記憶部23は、音声データやビープ音を、無線通信装置10の状態に対応させて予め保持している。
電池残量検出部24は、本無線通信装置10の電池(バッテリ)の残量を検出するものである。ここでは、上記
図5(c)の説明部分で詳述したように、電池残量検出部24は電池残量を4段階のレベル(ここでは電池レベル4〜1)で検出する。
【0043】
なお、電池残量検出部24は周期的に電池残量を検出してもよいし、MPU14からの指示に応じて電池残量を検出してもよい。
また、電池残量検出部24によって検出された電池レベルはMPU14の内臓メモリ(図示せず)や記憶部23等に保持される。
【0044】
図7は本無線通信装置10における状態報知の動作手順の一例を示すフローチャート(ステップS10〜S15)である。
図7に示すように、本無線通信装置10の起動中、MPU14はPLD16からの専用ボタン15aが操作された旨の通知を待ち受けるキー監視を行っている(ステップS10)。つまり、専用ボタン15aが押されたという操作通知がなければ、状態報知に係る次の処理には進まない(ステップS11のNoルート)。
【0045】
そして、PLD16から専用ボタン15aの操作通知があると(ステップS11のYesルート)、MPU14はLCD20の異常が検出されているか否かを判断する(ステップ12)。なお、MPU14は上述した
図6に示す手順でLCD20の異常を検出した場合にはLCD20が異常状態(故障状態)であることを自身のメモリまたは外部メモリに保持している。
【0046】
ここで、MPU14は、LCD20が正常であると判断すると(ステップS12のNoルート)、状態報知に係る以降の処理は行なわず、即ち、音声による本無線通信装置10の状態の報知処理を行なわずに、キー監視状態に戻る。
一方、MPU14は、LCD20が異常であると判断すると(ステップS12のYesルート)、音声による本無線通信装置10の状態報知を実行すべく、無線状態(通信モードや圏外/圏内等)や電池残量を記憶部23あるいは他のメモリ等から読み出す(ステップS13)。
【0047】
このように、MPU14は、LCD20の異常が検出された場合には状態報知を実行し、LCD20の異常が未検出の場合には状態報知の実行を抑止する。即ち、報知部としてのMPU14は、LCD20が異常であるか否かの検出結果に応じて専用ボタン15aの操作の有効及び無効を切り替えるよう構成されており、LCD20が正常であった場合には専用ボタン15aの操作を無効とし、LCD20が異常であった場合には専用ボタン15aの操作を有効とする。
【0048】
続いて、MPU14は、読み出した無線状態や電池残量に対応する音声メッセージ[上記
図5(a)〜(c)参照]を記憶部23から読み出す(ステップS14)。
そして、MPU14は、読み出した音声メッセージをスピーカ18から出力させ(ステップS15)、上記ステップS10の処理にリターンする。
【0049】
このとき、MPU14はAIU17及びスピーカ18を制御して、現在の通信モード、基地局同期状態、電池残量に応じて、これらの内容を連続して通知させる。例えば、MPU14は「基地局通信モード、圏内、電池残量2」という音声をスピーカ18から出力させる。
また、MPU14は、本無線通信装置10がアイドル表示の無い専用ch通信中又は直接手動通信中には、受信音声を一旦停止して、報知内容(音声ガイダンス)をスピーカ18から報知することが好ましい。
【0050】
一方、MPU14は、本無線通信装置10の通信モードが専用ch通信及び直接手動通信以外の場合には、アイドル表示でのみ、音声ガイダンスを流すことが好ましい。
例えばMPU14は、ステップS11,S12の間、あるいは、ステップS12,S13の間に、現在の通信モードが専用ch通信中及び直接手動通信中以外の通信モードか否かを判断する。そして、現在の通信モードが専用ch通信中又は直接手動通信中であれば、受信音声を一旦停止して、報知内容をスピーカ18から出力する(ステップS13〜S15)。
【0051】
また、現在の通信モードが専用ch通信及び直接手動通信以外の場合には、MPU14は現在アイドル表示中であるか否かを判断してアイドル表示中の場合のみ、報知内容をスピーカ18から出力する(即ち、上記ステップS13〜S15を実行する)。
なお、MPU14は現在の通信モードが専用ch通信及び直接手動通信以外の場合であって現在アイドル表示中ではなく通信中であれば、報知内容をスピーカ18から出力しない(即ち、上記ステップS13〜S15を実行しない)。
【0052】
以上のように、本無線通信装置10の報知部は、現在の通信モードに応じて、状態報知の実施条件を変更するように構成されており、これにより、無線通信装置10の状態報知が無線通信の妨げとならないようにしている。
【0053】
このように、本発明の一実施形態としての無線通信装置10によれば、ユーザによって専用ボタン15aが操作されると、MPU14に制御されてスピーカ18が本無線通信装置10の状態を報知するので、ユーザは本無線通信装置10の状態を確実に把握することができる。その結果、ユーザは無線通信装置10の状態を把握した上で、所望の操作を行うことができる。
【0054】
特に、本無線通信装置10は、検出部としてのMPU14及び電流監視部22がLCD20の異常を検出した場合には、MPU14が専用ボタン15aの操作を有効に切り替えて無線通信装置10の状態を報知する。これにより、ユーザはLCD20が故障した場合、即ち、画面表示機能が動作しない場合であっても、専用ボタン15aを押下することにより無線通信装置10の状態を確実に把握することができる。その結果、ユーザはLCD20が故障した場合であっても、無線通信装置10の状態を把握した上で、所望の操作を行うことができる。
【0055】
また、ユーザは無線通信装置10の状態として、現在の通信モード種別を把握することによって、例えば、どのような操作が有効であるかや、どの操作をすれば、どこに繋がるかを把握することができる。
さらに、ユーザは無線通信装置10の状態として、圏内、圏外を知ることにより、基地局を介した基地局通信が可能であるか否かを把握することができる。
【0056】
なお、ユーザは無線通信装置10の状態として、電池残量を把握することによって、当該無線通信装置10があとどれぐらい使用可能であるかを推測できる。
また、ユーザは無線通信装置10の状態として、常設番号や電話帳の内容を把握することによって、所望の相手先に発呼することができる。
【0057】
〔2〕本発明の変形例について
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形又は組み合わせて実施することができる。
〔2−1〕本発明の無線通信装置の適用システム及び無線通信装置の構成について
例えば、上述した実施形態では、無線通信装置10が
図1に示す無線システム1の無線通信装置である場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の無線通信システムの無線通信装置に適用できる。なお、本発明の無線通信装置は上記
図3に示す構成要素以外にも種々の構成要素を備えていてもよく、例えばGPS(Global Positioning System)を用いた位置検出手段を備えていてもよい。
【0058】
さらに、上述した実施形態では、MPU14はドライバ21の動作及び電流監視部22からの通知に基づいて、LCD20の故障を検出するように構成した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばMPU14がLCD20内の温度に応じてLCD20の異常を検出するように構成してもよい。つまり、本無線通信装置10がLCD20内の温度を検知する温度センサを備え、MPU14が温度センサによって検知された温度が所定温度内であるか否かに応じてLCD20の異常を検出するように構成してもよい。これによっても上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0059】
〔2−2〕報知内容について
また、上述した実施形態では、報知部としてのMPU14,AIU17,及びスピーカ18が、無線通信装置10の状態として、通信モード,同期状態,及び電池残量を連続して報知する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明における報知部の報知内容はこれに限定されるものではなく、適宜、選択して組み合わせることができる。例えば、報知部による報知内容は、通信モード,同期状態,及び電池残量のいずれかであってもよいし、他に常設番号や電話帳の内容、あるいは、リダイヤルや着信履歴、もしくは、その他無線通信装置10の設定情報であってもよい。
【0060】
さらに、MPU14が、報知内容を上記の何れかから設定できるように構成し、ユーザが操作部15を操作することによって、専用ボタン15aを操作して報知させる内容を選択できるように構成してもよい。
また、MPU14は、PLD16からの専用ボタン15aの操作通知の内容(種類)に応じて、報知内容を変更するように構成してもよい。つまり、本発明の報知部が、操作ボタン15aの操作態様に応じて無線通信装置10の状態を変更して報知するように構成してもよい。
【0061】
例えば、ユーザが専用ボタン15aを短押しした場合には、PLD16は専用ボタン15aが短押しされた旨をMPU14に通知し、ユーザが専用ボタン15aを所定時間以上長押しした場合には、PLD16は専用ボタン15aが長押しされた旨をMPU14に通知する。
そして、MPU14は、専用ボタン15aが短押しされた場合には、通信モード及び同期状態(通信状態)を連続して報知させる一方、専用ボタン15aが長押しされた場合には、電池残量(電源状態)を報知させる。なお、専用ボタン15aの操作態様に応じた報知内容は上述したものに限定されないことは言うまでもない。
【0062】
〔2−3〕報知方法について
さらに、上述した実施形態では、本発明の報知部がMPU14,AIU17,及びスピーカ18によって実現され、報知方法として音声で無線通信装置10の状態を報知する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、ビープ音によって状態を通知してもよい。つまり、上記
図5(a)〜(c)に示す条件(無線通信装置10の状態)に応じたビープ音の鳴動態様(鳴動パターン)を記憶部23が予め保持しておき、MPU14がその無線通信装置10の状態に応じたビープ音をスピーカ18から鳴動させてもよい。
【0063】
また、本発明の報知部による報知手段は音に限定されるものでもなく、振動や、発光色や、発光態様であってもよい。これらの場合も上記
図5(a)〜(c)に示す条件(無線通信装置10の状態)に応じた報知態様(振動パターンや発光パターンや発光色)を記憶部23が予め保持しておき、MPU14がその無線通信装置10の状態に応じた報知内容を報知させる。
【0064】
なお、本発明の報知部が、振動により無線通信装置10の状態を報知する場合には、無線通信装置10は報知部として複数のパターンで振動する振動部を備え、MPU14は無線通信装置10の状態に対応した振動パターンを記憶部23から読み出し、そのパターンで振動部を振動させる。
さらに、本発明の報知部が、発光パターンにより無線通信装置10の状態を報知する場合には、無線通信装置10は報知部として複数のパターンで発光する発光部を備え、MPU14は無線通信装置10の状態に対応した発光パターンを記憶部23から読み出し、そのパターンで発光部を発光させる。
【0065】
また、本発明の報知部が、発光色により無線通信装置10の状態を報知する場合には、無線通信装置10は報知部として複数の色を発光する発光部を備え、MPU14は無線通信装置10の状態に対応した発光色を記憶部23から読み出し、その発光色で発光部を発光させる。
【0066】
〔2−4〕その他
さらに、上述した実施形態において、MPU14がスピーカ18からの出力音を抑止するマナーモードで無線通信装置10を起動させるように構成してもよく、マナーモード中であっても無線通信装置10の音声報知を実行するように構成してもよい。つまり、MPU14がスピーカ18からの出力音を制御する制御部として機能し、報知部は上記制御部によってスピーカからの出力音が制限されたマナーモード状態であっても、専用ボタン15aの操作に応じて無線通信装置の状態を報知するように構成することが好ましい。
【0067】
これによって、マナーモード中にLCD20が壊れても、ユーザは専用ボタン15aを押下すれば、現在の無線通信装置10の状態を確実に把握することができる。即ち、マナーモード中であるからと言って、状態報知の音声出力までもが制限されることを抑止でき、ユーザはいつでも無線通信装置10の状態を把握することができるようになる。
また、上述した実施形態では、LCD20が異常(故障)であると判断した場合に専用ボタン15aの操作を有効にして、かかる場合にのみ無線通信装置10の状態を報知するように構成した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、報知部が、LCD20の状態(異常か否か)に係わらず、専用ボタン15aを操作されると無線通信装置10の状態を報知するように構成してもよい。
【0068】
これにより、ユーザは専用ボタン15aを押下するだけで、いつでも無線通信装置10の状態を認識することができるようになる。