【課題を解決するための手段】
【0016】
従って、本発明は、アルカンジオールおよびジアルキルカルボナートの調製方法に関し、この方法は、
(a)エステル交換反応触媒の存在下でアルキレンカルボナートとアルカノールを反応させて、ジアルキルカルボナート、未転化アルカノール、アルカンジオール、未転化アルキレンカルボナートおよびアルコキシアルカノール不純物を含む反応混合物を得る段階;
(b)反応混合物を第一蒸留塔での蒸留に付して、ジアルキルカルボナート、アルカノールおよびアルコキシアルカノール不純物を含む塔頂流ならびにアルカンジオールおよびアルキレンカルボナートを含む塔底流を得る段階;
(c)第一蒸留塔からの塔底流を第二蒸留塔での蒸留に付して、アルカンジオールを含む塔頂流およびアルキレンカルボナートを含む塔底流を得る段階;
(d)第一蒸留塔からの塔頂流を触媒の存在下、第三蒸留塔での蒸留に付して、炭酸エーテル不純物が生成されるアルコキシアルカノール不純物とジアルキルカルボナートの反応を生じさせて、アルカノールを含む塔頂流ならびにジアルキルカルボナートおよび炭酸エーテル不純物を含む塔底流を得る段階;および
(e)第三蒸留塔からの塔底流を第四蒸留塔での蒸留に付して、ジアルキルカルボナートを含む塔頂流ならびにジアルキルカルボナートおよび炭酸エーテル不純物を含む塔底流を得る段階;および
(f)第四蒸留塔からの塔底流を第一蒸留塔に再循環させる段階
を含む。
【0017】
本発明において生成されるジアルキルカルボナートは、ジ(C
1−C
5)アルキルカルボナートであり得、この場合のアルキル基(直線状、分岐および/または環状)は、同じまたは異なっていてもよく、例えばメチル、エチルおよびプロピルであり得る;具体的には、前記ジアルキルカルボナートは、ジエチルカルボナートである。
【0018】
本発明において除去されるアルコキシアルカノール不純物は、上で説明したように、2−エトキシエタノールであり得る。
【0019】
反応混合物中および第一蒸留塔からの塔頂流中にアルコキシアルカノール不純物が0.01から10重量%、具体的には0.02から5重量%、さらに具体的には0.03から1重量%および最も具体的には0.05から0.5重量%の範囲の量で含まれ得る。
【0020】
本発明による触媒の存在下でのアルコキシアルカノール不純物とジアルキルカルボナートの反応は、ジアルキルカルボナートのエステル交換反応を生じさせる結果となる。従って、本発明の方法においてアルコキシアルカノール不純物とジアルキルカルボナートを反応させる際に使用することを要する触媒は、エステル交換反応触媒であるべきである。ジアルキルカルボナート、アルカノールおよびアルコキシアルカノール不純物を含む第一蒸留塔からの塔頂流は、触媒を含有しない。さらに詳細には、前記流れは、第三蒸留塔において触媒と接触するまではエステル交換反応触媒を含有しない。
【0021】
本方法の段階(d)において使用されるエステル交換反応触媒は、先行技術から公知の多くの適する均一系および不均一系エステル交換反応触媒のうちの1つであり得る。
【0022】
例えば、本方法の段階(d)での使用に適する均一系エステル交換反応触媒は、US5359118に記載されており、アルカリ金属、即ちリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムの水和物、酸化物、水酸化物、アルカノラート、アミドまたは塩を含む。好ましい均一系エステル交換反応触媒は、カリウムまたはナトリウムの水酸化物またはアルカノラートである。他の適する均一系エステル交換反応触媒は、アルカリ金属塩、例えば酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩または炭酸塩である。適する触媒は、US5359118、ならびにUS5359118に挙げられている参考文献、例えばEP274953A、US3803201、EP1082AおよびEP180387Aに記載されている。
【0023】
上で述べたように、本方法の段階(d)において不均一系エステル交換反応触媒を用いることも可能である。不均一系エステル交換反応触媒の使用は好ましい。適する不均一系触媒としては、官能基を含有するイオン交換樹脂が挙げられる。適する官能基としては、第三級アミン基および第四級アンモニウム基、ならびにまたスルホン酸およびカルボン酸基が挙げられる。さらに適する触媒としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属ケイ酸塩が挙げられる。適する触媒は、US4062884およびUS4691041に開示されている。不均一系触媒を、ポリスチレンマトリックスと第三級アミン官能基とを含むイオン交換樹脂から選択してもよい。一例は、N,N−ジメチルアミン基が付けられたポリスチレンマトリックスを含むAmberlyst A−21(Rohm & Haasから)である。第三級アミンおよび第四級アンモニウム基を有するイオン交換樹脂をはじめとする、エステル交換反応触媒の8クラスがJ F Knifton et al.,J.Mol.Catal,
67(1991)389ffに開示されている。
【0024】
本方法の段階(d)において使用することができる不均一系エステル交換反応触媒は、元素周期表の第4族からの元素(例えばチタン)、第5族からの元素(例えばバナジウム)、第6族からの元素(例えばクロムもしくはモリブデン)もしくは第12族からの元素(例えば亜鉛)、または錫もしくは鉛、または前述の元素の組み合わせ、例えば、亜鉛とクロムの組み合わせ(例えば亜クロム酸亜鉛)を含む触媒であり得る。前記元素は、触媒中に酸化物、例えば酸化亜鉛として存在していてもよい。好ましくは、本発明の段階(d)において使用されるエステル交換反応触媒は、亜鉛を含む不均一系触媒である。
【0025】
段階(d)についてのさらなるエステル交換反応条件は、当該技術分野において公知であり、適切には、40から200℃の温度および50から5000kPa(0.5から50bar)の圧力を含む。
【0026】
上で説明したエステル交換反応触媒および他のエステル交換反応条件は、本方法の段階(a)にも同等に適用できる。
【0027】
ジアルキルカルボナートが式R
1OC(O)OR
2(この式中のR
1およびR
2は、同じまたは異なるアルキルであり得る。)の化合物であり、およびアルコキシアルカノール不純物が、式R
3OH(この式中のR
3はアルコキシアルキル基である。)の化合物である場合、本方法の段階(d)において以下の反応(1)および/または(2)および/または(3)が起こり得る:
(1)R
1OC(O)OR
2+R
3OH→R
3OC(O)OR
2+R
1OH
(2)R
3OC(O)OR
2+R
3OH→R
3OC(O)OR
3+R
2OH
(3)2R
3OC(O)OR
2→R
3OC(O)OR
3+R
2OC(O)OR
2
【0028】
前記R
1OC(O)OR
2が、ジエチルカルボナート(またはEtOC(O)OEt)であり、および前記R
3OHが、2−エトキシエタノール(またはEtOEtOH)である場合、本方法の段階(d)においてエステル交換反応触媒の存在下で以下の反応(1)および/または(2)および/または(3)が起こり得る:
(1)EtOC(O)OEt+EtOEtOH→EtOC(O)OEtOEt+EtOH
(2)EtOC(O)OEtOEt+EtOEtOH→EtOEtOC(O)OEtOEt+EtOH
(3)2EtOC(O)OEtOEt→EtOEtOC(O)OEtOEt+EtOC(O)OEt
【0029】
前記EtOC(O)OEtOEt(OxEC)は、1つのエーテル基を含有する炭酸エーテルである、即ち、混合カルボナートであるエチル2−エトキシエチルカルボナートである。EtOEtOC(O)OEtOEt(DOxC)は、2つのエーテル基を含有する炭酸エーテル、即ちジ(2−エトキシエチル)カルボナートである。
【0030】
本方法の段階(d)において、未転化アルカノールからのジアルキルカルボナートの分離は、第三蒸留塔における蒸留によって果たされる。このような蒸留は、未転化アルカノール(例えば、エタノール)を含有する塔頂流(該塔頂流を本方法の段階(a)に部分的にまたは完全に再循環させることができる。)とジアルキルカルボナート(例えば、ジエチルカルボナート)を含有する塔底流とを生じさせる結果となる。さらに、本方法の段階(d)において、アルコキシアルカノール不純物とジアルキルカルボナートの反応を生じさせるための触媒を、第三蒸留塔自体に添加することができ、または入口および出口が該第三蒸留塔に接続されている反応器に添加することができる。
【0031】
本方法の段階(d)において第三蒸留塔自体に触媒を添加する場合、好ましくは、前記添加は、ジアルキルカルボナート(例えば、ジエチルカルボナート)とアルコキシアルカノール不純物(例えば、2−エトキシエタノール)の反応が、未転化アルカノールと同じであるアルカノール(例えば、エタノール)を生成させる結果となる場合、この反応に好適であるように、未転化アルカノール(例えば、エタノール)の濃度が比較的低い(例えば、0から0.5重量%)位置で行う。例えば、触媒を第三蒸留塔の回収部におよび/または第三蒸留塔の塔底のリボイラ部に添加することができる。
【0032】
本方法の段階(d)において、入口および出口が前記第三蒸留塔に接続されている反応器に触媒を添加する場合、触媒を第三蒸留塔自体に添加する場合について説明したのと同じ理由のため、好ましくは、前記入口は、前記塔内の未転化アルカノールの濃度が比較的低い位置で前記塔に接続されている。
【0033】
これらの場合のすべてにおいて、ジアルキルカルボナートとアルコキシアルカノール不純物の反応の結果として得られるアルカノールが、未転化アルカノールと同じである場合、新たに形成されるアルカノールは、好適には、第三蒸留塔からの塔頂流の一部として未転化アルカノールと一緒に塔頂に除去される。反応蒸留の問題がある。このアルカノール除去は、ジアルキルカルボナートとアルコキシアルカノール不純物の反応の平衡を望ましい方向にシフトさせる追加の利点を有する。
【0034】
本発明は、有利なことに、ジアルキルカルボナート流中のアルコキシアルカノール不純物を除去する結果となる。このアルコキシアルカノール不純物は、除去されていなければ、前記ジアルキルカルボナートを使用するいずれの後続の工程にも干渉し得る。この除去を行うことにより、前記アルコキシアルカノール不純物とジアルキルカルボナートの一部とが別のカルボナート、即ち炭酸エーテル不純物に転化されることは理解される。
【0035】
しかし、前記炭酸エーテル不純物を、ジアルキルカルボナートおよび炭酸エーテル不純物を含む第三蒸留塔からの塔底流から容易に分離し、この結果、純粋なジアルキルカルボナートを得ることができる。従って、本方法は、第三蒸留塔からの塔底流を第四蒸留塔での蒸留に付して、ジアルキルカルボナートを含む塔頂流ならびにジアルキルカルボナートおよび炭酸エーテル不純物を含む塔底流を得る、追加の段階(e)を含む。
【0036】
前記炭酸エーテル不純物は、アルコキシアルカノール不純物とジアルキルカルボナートの反応の結果として直接得られる生成物であることもあり、または上述のさらなる反応(2)および(3)のいずれかの結果として生ずる生成物であることもある。場合により、本方法の段階(e)は、上述の反応(3)を行うことができるように、および/または上述の反応(3)を完了し、この結果、すでにアルコキシアルカノール不純物と反応したジアルキルカルボナートの一部の回収することができるように、第四蒸留塔においてエステル交換反応触媒の存在下で行う。
【0037】
例えば、ジエチルカルボナートおよび2−エトキシエタノール不純物を含有する流れを本方法の段階(d)においてエステル交換反応触媒と接触させた場合、ジエチルカルボナートと結果として得られる炭酸エーテル生成物との沸点の差の故に、本方法の(e)において蒸留により純粋なジエチルカルボナートを容易に得ることができる。この沸点差を下の表に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
本方法の段階(e)において得られる第四蒸留塔からの塔底流は、ジアルキルカルボナートおよび炭酸エーテル不純物を含む。加えて、前記流れは、多少のアルカンジオールを含み得る。前記流れを工程から除去することにより、実に有利なことに、炭酸エーテル不純物がこの工程から抜き取られる。しかし、この除去を行うことにより、価値のあるジアルキルカルボナートおよび場合により、前記流れに含まれている場合には、価値のあるアルカンジオールも除去され、この結果、前記生成物の総合収量が低減される。従って、本方法は、第四蒸留塔からの塔底流を第一蒸留塔に再循環させる追加の段階(f)を有利なことに含む。このようにして、段階(b)において、段階(a)で得た反応混合物を段階(e)で得た第四蒸留塔からの再循環塔底流と併せて第一蒸留塔での蒸留に付して、ジアルキルカルボナート、アルカノールおよびアルコキシアルカノール不純物を含む塔頂流と、アルカンジオール、アルキレンカルボナートおよび炭酸エーテル不純物を含む塔底流とを得ることによって、追加のジアルキルカルボナート、および場合により追加のアルカンジオールを生じさせる。
【0040】
さらに、アルカンジオール、アルキレンカルボナートおよび炭酸エーテル不純物を含む第一の蒸留塔からの前記塔底流を、段階(c)において、第二蒸留塔での蒸留に付して、アルカンジオールおよび炭酸エーテル不純物を含む塔頂流と、アルキレンカルボナートを含む塔底流とを得る。アルキレンカルボナートを含む前記塔底流は、炭酸エーテル不純物、より具体的には、2つのエーテル基を含有する炭酸エーテルも含み得る。アルキレンカルボナートを含む塔底流を、本方法の段階(a)に、部分的にまたは完全に再循環させることができる。さらに、アルカンジオールおよび炭酸エーテル不純物を含む前記塔頂流は、多少のアルキレンカルボナートを含み得る。アルカンジオールをさらに精製するために、本方法は、好ましくは、
(g)第二蒸留塔からの塔頂流を、好ましくは加水分解触媒の存在下での、加水分解に付す段階
をさらに含む。
【0041】
このような加水分解は、炭酸エーテル不純物が、純粋なアルカンジオールを調製するためにアルカンジオールから容易に分離することができる成分に加水分解される点で、有利である。例えば、炭酸エーテル不純物が、エチル2−エトキシエチルカルボナート(EtOC(O)OEtOEt)を含む場合、加水分解は、2−エトキシエタノール、二酸化炭素およびエタノールを形成する結果となり、これらのすべてを、例えば蒸留によって、モノエチレングリコールから容易に分離することができる。第二蒸留塔からの塔頂流が多少のアルキレンカルボナートも含む場合、このようなアルキレンカルボナートも段階(g)において加水分解され、この結果、二酸化炭素および追加のアルカンジオールが得られる。
【0042】
さらにまた、第二蒸留塔からの塔底流の一部を、好ましくは加水分解触媒の存在下でおよび好ましくは第二蒸留塔からの塔頂流と併せて、加水分解に付すことができるが、前記塔底流の残部は、本方法の段階(a)に再循環させる。前記塔底流が炭酸エーテル不純物を含む場合、こうすることで炭酸エーテル不純物の蓄積が確実に起こり得ないようにする。本方法における第二蒸留塔に類似した蒸留塔からの塔頂および/または塔底流を、加水分解に、部分的にまたは完全に付すことに関しては、より詳細には、用いることができる加水分解触媒、加水分解条件および純粋なアルカンジオールを得るためのさらなる処理手順に関しては、上述のWO2008090108を参照する(この内容は参照により本明細書に組み込まれる。)。