【課題を解決するための手段】
【0011】
ここで、本発明者らは、下記の新規な式(I)の化合物が、キナーゼインヒビターであり、従って、抗腫瘍剤として治療に有用であることを発見した。
【0012】
従って、本発明の第1の目的は、式(I)で表される三環式化合物および式(I)で表される三環式化合物の医薬的に許容される塩を提供することである:
【0013】
【化1】
式(I)中、
nは、0または1であり;
R1、R2およびR4は、それぞれ互いに独立して、−R
a、−COR
a、−CONHR
a、−SO
2R
aおよび−COOR
aからなる群より選択され;
R3は、−NR
aR
b基または−OR
a基であり;
ここで、同じであるかまたは異なっているR
aおよびR
bは、それぞれ独立して水素であるか、もしくは直鎖状または分枝鎖状のC
1−C
6アルキル、直鎖状または分枝鎖状のC
2−C
6アルケニル、直鎖状または分枝鎖状のC
2−C
6アルキニル、C
3−C
6シクロアルキル、シクロアルキルC
1−C
6アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルC
1−C
6アルキル、アリール、アリールC
1−C
6アルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールC
1−C
6アルキルより選択される場合により置換された基であるか、またはR
aおよびR
bのいずれかが、結合している窒素原子と一緒になって、S、O、NもしくはNHより選択されるさらなる1つのヘテロ原子またはヘテロ原子基を場合により含む、場合により置換された3から8員の複素環を形成し得る。
【0014】
本発明はまた、従来技術ならびに非常に汎用性のある固相の方法および/またはコンビナトリアルな方法に従って実施される周知の反応を含む合成方法を通して調製される、式(I)で表される置換化合物の合成の方法も、提供する。
【0015】
本発明はまた、特に、以下のタンパク質キナーゼ活性調節不全によって発症する疾患および/またはタンパク質キナーゼ活性調節不全を伴う疾患を処置するための方法も、提供し、具体的には:ABL,ACK1,AKT1,ALK,AUR1,AUR2,BRK,BUB1,CDC7/DBF4,CDK2/CYCA,CHK1,CK2,EEF2K,EGFR1,EphA2,EphB4,ERK2,FAK,FGFR1,FLT3,GSK3beta,Haspin,IGFR1,IKK2,IR,JAK1,JAK2,JAK3,KIT,LCK,LYN,MAPKAPK2,MELK,MET,MNK2,MPS1,MST4,NEK6,NIM1,P38alpha,PAK4,PDGFR,PDK1,PERK,PIM1,PIM2,PKAalpha,PKCbeta,PLK1,RET,ROS1,SULU1,Syk,TLK2,TRKA,TYK,VEGFR2,VEGFR3,ZAP70。
【0016】
本発明の好ましい方法は、癌、ウイルス感染、HIVに感染した個体におけるAIDS発症の予防、細胞増殖障害、自己免疫障害および神経変性障害からなる群より選択されるタンパク質キナーゼ活性調節不全によって発症する疾患および/またはタンパク質キナーゼ活性調節不全を伴う疾患を処置するものである。
【0017】
本発明の別の好ましい方法は、以下を含むがこれらに限定されない特定の型の癌を処置するものである:癌腫、例えば膀胱癌腫、乳房癌腫、結腸癌腫、腎臓癌腫、肝臓癌腫、小細胞肺癌を含む肺癌腫、食道癌腫、胆嚢癌腫、卵巣癌腫、膵臓癌腫、胃癌腫、頚部癌腫、甲状腺癌腫、前立腺癌腫、および扁平上皮癌を含む皮膚癌腫;白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛様細胞リンパ腫およびバーキットリンパ腫を含むリンパ系の造血器腫瘍;急性および慢性の骨髄性白血病、骨髄異形成症候群ならびに前骨髄球性白血病を含む骨髄系の造血器腫瘍;繊維肉腫および横紋筋肉腫を含む間充織起源の腫瘍;星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫および神経鞘腫を含む、中枢神経系および末梢神経系の腫瘍;黒色腫、精上皮腫、奇形癌、骨肉腫、色素性乾皮症、角膜黄色腫(keratoxanthoma)、甲状腺濾胞癌およびカポジ肉腫を含む他の腫瘍。
【0018】
本発明の別の好ましい方法は、例えば、良性前立腺肥大、家族性腺腫症ポリポージス、神経繊維腫症、乾癬、アテローム性動脈硬化症に関連した血管平滑細胞増殖、肺線維症、関節炎、糸球体腎炎ならびに手術後の狭窄および再狭窄のような特定の細胞増殖障害を処置するものである。
【0019】
本発明の化合物は、腫瘍の血管形成および転移の阻害ならびに器官移植拒絶および宿主対移植片疾患の処置において有用であり得る。
【0020】
本発明は、抗癌治療において、同時に、別個にまたは連続して組み合わせた使用のための、放射線治療または化学療法レジメンと、式(I)の化合物とを含む処置の方法を、さらに提供する。
【0021】
その上、本発明は、タンパク質キナーゼ活性を阻害するためのインビトロの方法を提供し、この方法は、このタンパク質キナーゼを有効量の式(I)の化合物に接触させることを含む。
【0022】
本発明はまた、1種以上の式(I)の化合物または式(I)の化合物の医薬的に許容される塩および医薬的に許容される賦形剤、キャリアまたは希釈剤を含む医薬的組成物も提供する。
【0023】
本発明はまた、抗癌治療における、同時に、別個にまたは連続して組み合わせた使用のための、公知の細胞増殖抑制性剤または細胞毒性剤、抗生物質型薬剤、DNA損傷剤またはDNA挿入剤、白金ベースの薬剤、アルキル化剤、抗代謝物剤、ホルモン剤、抗エストロゲン剤、抗アンドロゲン剤およびアロマターゼインヒビターなどの抗ホルモン剤、免疫剤、インターフェロン型薬剤、シクロオキシダーゼインヒビター(例えばCOX−2インヒビター)、マトリックスメタロプロテアーゼインヒビター、チロシンキナーゼインヒビター、他のキナーゼインヒビター、抗増殖因子レセプター剤、抗HER剤、抗EGFR剤、抗血管形成剤、(例えば、血管形成インヒビター)、ファルネシルトランスフェラーゼインヒビター、ras−rafシグナルトランスダクション経路インヒビター、細胞周期インヒビター、他のcdkインヒビター、チューブリン結合剤、トポイソメラーゼIインヒビター、トポイソメラーゼIIインヒビター、キネシンのインヒビター、治療用モノクローナル抗体、mTORのインヒビター、ヒストンデアセチラーゼインヒビター、低酸素応答のインヒビターなどと、式(I)の化合物とを含む医薬的組成物も、提供する。
【0024】
さらに、本発明は、抗癌治療における同時の、別個のまたは連続した使用のための組み合わせ調製剤として、上で定義された式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の医薬的に許容される塩または式(I)の化合物の医薬的組成物と、1種以上の化学治療剤とを含む製品またはキットを、提供する。
【0025】
本発明のなお別の局面において、医薬としての使用のための、上で定義された式(I)の化合物または式(I)の化合物の医薬的に許容される塩を、提供する。
【0026】
その上、本発明は、上で定義された式(I)の化合物または式(I)の化合物の医薬的に許容される塩の、抗腫瘍活性を有する医薬の製造における使用を、提供する。
【0027】
最後に、本発明は、癌を処置する方法における使用のための、上で定義された式(I)の化合物または式(I)の化合物の医薬的に許容される塩を、提供する。
【0028】
本書中で使用される場合、nが0でありならびにR1、R2、R3およびR4が上で定義されたとおりである式(I)の化合物、即ち4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−g]インドリジン誘導体は、一般式(I)Aで表され得る:
【0029】
【化2】
ならびに、nが1でありならびにR1、R2、R3およびR4が上で定義されたとおりである式(I)の化合物、即ち1,4,5,6−テトラヒドロピラゾロ[3,4−c]ピロロ[1,2−a]アゼピン誘導体は、一般式(I)Bで表され得る;
【0030】
【化3】
【0031】
他に特定されない限り、式(I)の化合物自体および式(I)の化合物の任意の医薬的組成物または式(I)の化合物を含む処置の任意の治療方法をいう場合、本発明は、本発明の化合物の全ての水和物、溶媒和物、複合体、代謝物、プロドラッグ、キャリア、N−酸化物および医薬的に許容される塩を含む。
【0032】
式(I)の化合物の代謝物は、この同じ式(I)の化合物がインビボで、例えば、この化合物を必要としている哺乳動物への投与の際に変換される任意の化合物である。代表的には、限定された例を示すものではないが、式(I)の化合物の投与の際、この同じ誘導体は、例えば容易に排出されるヒドロキシル化誘導体のようなより可溶性の誘導体を含む種々の化合物に変換され得る。従って、このように起こる代謝経路に依存して、これらの任意のヒドロキシル化誘導体が、式(I)の化合物の代謝物と考えられ得る。
【0033】
プロドラッグは、式(I)に従う活性な親薬物をインビボで放出する、任意の共有結合した化合物である。
【0034】
N−酸化物は、窒素および酸素が供与結合を介して繋留されている式(I)の化合物である。
【0035】
全ての形態のキラル異性体または光学異性体およびジアステレオマーを含む他の形態の異性体が、本書中で対照とされることが企図される。キラル中心を含む化合物は、ラセミ体混合物としてまたは光学異性体的に富化された混合物として使用され得るか、またはラセミ体混合物は、周知の技術を用いて分離され得、それぞれの光学異性体が、単独で使用され得る。
【0036】
化合物が、他の互変異性型、例えばケト−エノール互変異性型で存在し得る場合、それぞれの互変異性型は、均等に存在していようと一方の形態が優勢に存在していようと、本発明の範囲内に含まれることが企図される。
【0037】
このように、他に提示されない限り、式(I)の化合物において、n、R1、R2およびR3が上で定義されたとおりであり、R4が水素でありならびに以下の式(I)aまたは式(I)bの互変異性型の一方のみが示されている場合、残った一方もまた本発明の範囲内に含まれることが意図される:
【0038】
【化4】
【0039】
本記載において、他に示されない限り、用語「直鎖状または分枝鎖状のC
1−C
6アルキル」について、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどの任意の基を意図する。
【0040】
用語「直鎖状または分枝鎖状のC
2−C
6アルケニル」または「直鎖状または分枝鎖状のC
2−C
6アルキニル」について、例えば、ビニル、アリル、1−プロペニル、イソプロペニル、1−、2−または3−ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、エチニル、1−または2−プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキニシルなどを含む任意の2から6個の炭素原子を有する不飽和のアルケニル基またはアルキニル基を意図する。用語「C
3−C
6シクロアルキル」について、他に特定されない限り、1つ以上の二重結合を含み得るが完全に共役したπ電子系を有さない3から6員の全炭素単環式環を意図する。シクロアルキル基の例は、限定しないが、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキセンおよびシクロヘキサジエンである。
【0041】
用語「ヘテロシクリル」について、1つ以上の炭素原子が窒素、酸素および硫黄のようなヘテロ原子によって置き換えられている、3から7員の飽和のまたは部分的に不飽和の炭素環を意図する。ヘテロシクリル基の非限定の例は、例えば、ピラン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピラゾリン、チアゾリン、チアゾリジン、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリンなどである。
【0042】
用語「アリール」について、単結合によって場合により互いにさらに縮合されるかまたは結合している1から4環系の一炭素環式、二炭素環式または多炭素環式炭化水素を意図していて、ここで、炭素環の少なくとも1つは、「芳香族」であり、ここで、用語「芳香族」は、π電子結合系によって完全に共役しているものをいう。このようなアリール基の非限定の例は、フェニル基、α−もしくはβ−ナフチル基またはビフェニル基である。
【0043】
用語「ヘテロアリール」について、N、OまたはSの中から選択される1から3個までのヘテロ原子を有する芳香族複素環、代表的には5から7員の複素環を意図している;ヘテロアリール環は、場合により芳香族および非芳香族の炭素環または複素環とさらに縮合され得るかまたは結合され得る。このようなヘテロアリール基の非限定の例は、例えば、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、フェニル−ピロリル、フリル、フェニル−フリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、チエニル、ベンゾチエニル、イソインドリニル、ベンゾイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、1,2,3−トリアゾリル、1−フェニル−1,2,3−トリアゾリル、2,3−ジヒドロインドリル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、2,3−ジヒドロベンゾチオフェニル;ベンゾピラニル、2,3−ジヒドロベンゾオキサジニル、2,3−ジヒドロキノキサリニルなどである。
【0044】
R
aおよびR
bに与えられた意味に従って、任意の上記の基は、これらの任意の自由位置において、1つ以上の基例えば1から6の基によって場合によりさらに置換され得る:例えば:ハロゲン、ニトロ、オキソ基(=O)、カルボキシ、シアノ、C
1−C
6アルキル、多フッ化アルキル、C
2−C
6アルケニル、C
2−C
6アルキニル、C
3−C
6シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール;例えば、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ウレイド、アルキルウレイドもしくはアリールウレイドのようなアミノ基およびアミノ基の誘導体;例えば、ホルミルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アルケニルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノのようなカルボニルアミノ基およびカルボニルアミノ基の誘導体;例えば、アルコキシ、多フッ化アルコキシ、アリールオキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、シクロアルケニルオキシもしくはアルキリデンアミノオキシのようなヒドロキシ基およびヒドロキシ基の誘導体;例えば、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニルのようなカルボニル基およびカルボニル基の誘導体;例えば、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニルオキシ、アミノスルホニル、アルキルアミノスルホニルもしくはジアルキルアミノスルホニルのような硫化誘導体より選択される基。
【0045】
同様に、適切な場合であれば、上記の置換基のそれぞれは、1つ以上の上記の基によってさらに置換され得る。
【0046】
本記載において、他に特定されない限り、用語「シアノ」について、−CN残基を意図する。
【0047】
用語「ニトロ」について、−NO
2基を意図する。
【0048】
用語「ハロゲン」について、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を意図する。
【0049】
用語「多フッ化アルキルまたはアルコキシ」について、上で定義されたとおり、1つ以上の水素原子がフッ素原子によって置き換えられている直鎖状または分枝鎖状のC
1−C
6アルキルまたはアルコキシ基、例えば、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエトキシ、1,2−ジフルオロエチル、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル−2−イルなどを意図する。
【0050】
上記の全てから、例えば、シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アルキルカルボニルオキシなどのような複合名称である名称で識別されている任意の基は、由来する部分から従来解釈されることが意図されていることが、当業者に明らかである。従来、例として、用語ヘテロシクリル−アルキルおよびシクロアルキル−アルキルは、上で定義されたとおり、複素環式基またはシクロアルキル基によってそれぞれさらに置換されている直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を表す。
【0051】
用語「医薬的に許容される塩」は、アルカリ金属塩を形成するためおよび遊離酸または遊離塩基の付加塩を形成するために一般に使用される塩を含む。塩の性質は、医薬的に許容される限り重要ではない。本発明の化合物の酸付加塩は、無機酸または有機酸から調製され得る。このような無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸およびリン酸である。適切な有機酸は、脂肪族クラス、脂環式クラス、芳香族クラス、芳香脂肪族(araliphatic)クラス、複素環式クラス、カルボン酸クラスおよびスルホン酸クラスの有機酸より選択され得、例は、蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン(パモ)酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸、ステアリン酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、アルギン酸、ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸およびガラクツロン酸である。本発明の化合物の好適な医薬的に許容される塩基付加塩は、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛から作られる金属塩またはN,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチル−グルカミン)およびプロカインから作られる有機塩を含む。これらの塩の全ては、対応する本発明の化合物から従来手段によって、例えば適切な酸または塩基と反応させることによって、調製され得る。
【0052】
好ましいクラスの式(I)の化合物は、R1が−CONHR
a基であって、ここでR
aが水素であるかまたは直鎖状または分枝鎖状のC
1−C
6アルキル、直鎖状または分枝鎖状のC
2−C
6アルケニル、アリールおよびアリールC
1−C
6アルキルより選択される場合により置換された基である化合物である。
【0053】
別の好ましいクラスの式(I)の化合物は、R1が−COR
a基であり、ここでR
aが水素であるか、または直鎖状または分枝鎖状のC
1−C
6アルキル、直鎖状または分枝鎖状のC
2−C
6アルケニル、アリールおよびアリールC
1−C
6アルキルより選択される場合により置換された基である化合物である。
【0054】
別の好ましいクラスの式(I)の化合物は、R1が−SO
2R
a基であり、ここでR
aが水素であるかまたは直鎖状または分枝鎖状のC
1−C
6アルキル、直鎖状または分枝鎖状のC
2−C
6アルケニル、アリールおよびアリールC
1−C
6アルキルより選択される場合により置換された基である化合物である。
【0055】
さらに好ましいクラスの式(I)の化合物は、R2が水素である化合物である。
【0056】
より好ましいクラスの式(I)の化合物は、R3が−NR
aR
b基であり、ここでR
aおよびR
bは、両方とも水素であるか、またはR
aおよびR
bの一方が水素でありならびにR
aまたはR
bの残った一方が直鎖状または分枝鎖状のC
1−C
6アルキル、直鎖状または分枝鎖状のC
2−C
6アルケニル、アリールおよびアリールC
1−C
6アルキルより選択される場合により置換された基である化合物である。
【0057】
最も好ましいクラスの式(I)の化合物は、R4が水素である化合物である。
【0058】
本発明の任意の特定の、場合により医薬的に許容される塩の形態の式(I)の化合物の参照については、実施例の節を参照されたい。
【0059】
本発明はまた、上で定義された式(I)の化合物の調製のための方法を提供し、方法は、以下の工程を含むことを特徴とする:
a)式(II)の化合物と:
【0060】
【化5】
式(III)のアルコールとの反応:
R
a’−OH(III)
式(III)中、R
a’は、直鎖状または分枝鎖状のC
1−C
6アルキル基である;
b)得られた式(IV)の化合物のフリーデル・クラフツ反応によるアシル化:
【0061】
【化6】
式(IV)中、R
a’は、上で定義されたとおりである;
c)得られた式(V)の化合物と好適な上で定義された式(III)のアルコールとの反応:
【0062】
【化7】
式(V)中、R
a’は、上で定義されたとおりである;
d)得られた式(VI)の化合物の好適な式(XXI)のハロ−シアノアルカンによるアルキル化:
【0063】
【化8】
【0064】
【化9】
式(VI)中、両R
a’は、それぞれ互いに独立して、上で定義されたとおりであり、式(XXI)中、nは、0または1である;
e)得られた式(VII)の化合物の分子内縮合:
【0065】
【化10】
式(VII)中、nは、上で定義されたとおりでありならびにR
a’は、それぞれ互いに独立して、上で定義されたとおりである;
f)得られた式(VIII)の化合物のヒドラジンまたはヒドラジンのヒドラジン塩による処理:
【0066】
【化11】
式(VIII)中、nおよびR
a’は、上で定義されたとおりであり、
式(I)の化合物を生じる:
【0067】
【化12】
式(I)中、nは、0または1であり;R1、R2およびR4は、水素でありならびにR3は、−OR
a’であり、ここで、R
a’は、直鎖状または分枝鎖状のC
1−C
6アルキル基である;
場合により、得られた式(I)の化合物の、単一の異性体への分離;および/もしくは−OR
a’基とR3が表す異なる基との置き換えおよび/もしくはR4基の導入および/もしくはアミノ部分の誘導体化および/もしくはR4基の除去による、得られた式(I)の化合物の異なる式(I)の化合物への変換ならびに/または所望される場合、式(I)の化合物の医薬的に許容される塩への変換。
【0068】
式(I)の化合物の上記の必要に応じた変換は、以下のスキームAにまとめられる。
【0069】
スキームA
【0070】
【化13】
ここで、n、R1、R2、R3およびR4は、上で定義されたとおりでありならびにR
a’は、直鎖状または分枝鎖状のC
1−C
6アルキル基である。
【0071】
本発明は、上で定義された式(I)の化合物の調製のための方法をさらに提供し、該方法は、式(I)の化合物が、
式(I)中、nは、式(I)に定義されたとおりであり;R1、R2およびR4は、水素でありおよびR
a’は、直鎖状または分枝鎖状のC
1−C
6アルキル基であり、場合により、−OR
a’基をR3で表される異なる基と置き換えることによって、対応する式(I)の化合物に変換されることを特徴とし、この変換は、工程g)において1つ以上の以下の反応により実施される:
g.1)塩基性条件下で加水分解し、R3がOHである対応する式(I)の化合物を得、場合により、その後、得られた化合物と式(IX)のアミンとをカップリングすることにより、R3が−NR
aR
bでありならびにR
aおよびR
bが請求項1に記載のとおりである対応する式(I)の化合物を得ること:
HNR
aR
b(IX)
式(IX)中、R
aおよびR
bは、請求項1に記載のとおりである、または
g.2)上で定義された式(III)の化合物との反応によるエステル交換反応によって、R3がOR
a’でありならびにR
a’が異なるC
1−C
6アルキルである対応する式(I)の化合物を得ること、または
g.3)式(IX)のアミンとのカップリングにより、R3が−NR
aR
bでありならびにR
aおよびR
bが式(I)で定義されたとおりである対応する式(I)の化合物を得ること:
HNR
aR
b(IX)
式(IX)中、R
aおよびR
bは、式(I)で定義されたとおりである。
【0072】
本発明は、上で定義された式(I)の化合物の調製のための方法をさらに提供し、該方法は、式(I)の化合物が、nおよびR3が式(I)で定義されたとおりでありならびにR1、R2およびR4が水素であり、場合により、R4基を導入することによって対応する式(I)の化合物に変換されることを特徴とし、この変換は、工程h)において1つ以上の以下の反応により実施される:
h.1)等量の式(X)のハライドとのカップリングにより、R4がR
aでありならびにR
aが式(I)で定義されたとおりであるが水素ではない対応する式(I)の化合物を得ること:
R
aZ(X)
式(X)中、R
aは、式(I)で定義されたとおりであるが水素ではなくならびにZは、ハロゲンである、または
h.2)等量の式(XI)のアシルハライドとのカップリングにより、R4が−COR
aでありならびにR
aが上で定義されたとおりである対応する式(I)の化合物を得ること:
R
aCOZ(XI)
式(XI)中、R
aおよびZは、上で定義されたとおりである、または
h.3)等量の式(XII)のアルコキシカルボニルハライドとのカップリングにより、R4が−OCOR
aでありならびにR
aが上で定義されたとおりである対応する式(I)の化合物を得ること:
R
aOCOZ(XII)
式(XII)中、R
aおよびZは、上で定義されたとおりである、または
h.4)等量の式(XIII)のスルホニルハライドとのカップリングにより、R4が−SO
2R
aでありならびにR
aが上で定義されたとおりである対応する式(I)の化合物を得ること:
R
aSO
2Z(XIII)
式(XIII)中、R
aおよびZは、上で定義されたとおりである、または
h.5)等量の式(XIV)のイソシアナートとのカップリングにより、R4が−CONHR
aでありならびにR
aが上で定義されたとおりである対応する式(I)の化合物を得ること:
R
aNCO(XIV)
式(XIV)中、R
aは、上で定義されたとおりである。
【0073】
本発明は、上で定義された式(I)の化合物の調製のための方法をさらに提供し、該方法は、式(I)の化合物が、nおよびR3が式(I)で定義されたとおりであり;R1およびR2が水素でありならびにR4が式(I)で定義されたとおりであるが水素ではなく、場合により、アミノ部分の誘導体化によって対応する式(I)の化合物に変換されることを特徴とし、この変換は、工程i)において1つ以上の以下の反応により実施される:
i.1)等量の式(XI)のアシルハライドとのカップリングにより、R1またはR2の一方が水素でありならびに他方が−COR
aでありならびにR
aが上で定義されたとおりである対応する式(I)の化合物を得ること:
R
aCOZ(XI)
式(XI)中、R
aは、式(I)で定義されたとおりであり、水素ではなく、ならびにZは、ハロゲンである、または
i.2)等量の式(XII)のアルコキシカルボニルハライドとのカップリングにより、R1またはR2の一方が水素でありならびに他方が−OCOR
aでありならびにR
aが上で定義されたとおりである対応する式(I)の化合物を得ること:
R
aOCOZ(XII)
式(XII)中、R
aおよびZは、上で定義されたとおりである、または
i.3)等量の式(XIII)のスルホニルハライドとのカップリングにより、R1またはR2の一方が水素でありならびに他方が−SO
2R
aでありならびにR
aが上で定義されたとおりである対応する式(I)の化合物を得ること:
R
aSO
2Z(XIII)
式(XIII)中、R
aおよびZは、上で定義されたとおりである、または
i.4)等量の式(XIV)のイソシアナートとのカップリングにより、R1またはR2の一方が水素でありならびに他方が−CONHR
aでありならびにR
aが上で定義されたとおりである対応する式(I)の化合物を得ること:
R
aNCO(XIV)
式(XIV)中、R
aは、上で定義されたとおりである、または
i.5)等量の式(XV)のカルボニル化合物とのカップリングにより、R1またはR2の一方が水素でありならびに他方が−COR
aでありならびにR
aが上で定義されたとおりである対応する式(I)の化合物を得ること:
R
aCORb
e(XV)
式(XV)中、R
aおよびR
bは、式(I)で定義されたとおりである。
【0074】
本発明は、上で定義された式(I)の化合物の調製のための方法をさらに提供し、該方法は、式(I)の化合物が、nおよびR3が式(I)で定義されたとおりであり;R1およびR2の一方が水素でありならびに他方が式(I)で定義されたとおりであるが水素ではなくならびにR4が式(I)で定義されたとおりであるが水素ではなく、場合により、アミノ部分のさらなる誘導体化によって対応する式(I)の化合物に変換されることを特徴とし、この変換は、工程j)において、上述の工程i.1)からi.5)において記載された反応の1つ以上により実施される。
【0075】
本発明は、上で定義された式(I)の化合物の調製のための方法をさらに提供し、該方法は、式(I)の化合物が、n、R1、R2およびR3が式(I)で定義されたとおりでありならびにR4が式(I)で定義されたとおりであるが水素ではなく、場合により、塩基性溶液での処理によりR4基を除去してR4が水素である式(I)の化合物を得ることによって対応する式(I)の化合物に変換することを特徴とし、この変換は、工程k)において実施される。
【0076】
上記の方法は、周知の方法に従って実施され得る同様の方法である。
【0077】
本発明の対象である方法の開始材料は、任意の存在し得る改変体および改変体の任意の反応物の全てを含めて、公知の化合物であり、それ自体が市販されていないとしても、周知の方法に従って調製され得る。
【0078】
例えば、式(II)および(XXI)の化合物が、市販されている。
【0079】
式(III)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)、(Xllll)、(XIV)、(XV)および(XXI)の化合物は、市販されているか、または公知であって、公知の方法に従って容易に得られる。一般的参照については、以下を参照されたい:Smith,Michael−March’s Advanced Organic Chemistry:reactions mechanisms and structure−5th Edition,Michael B.Smith and Jerry March,John Wiley & Sons Inc.,New York(NY),2001。
【0080】
方法の工程a)に従って、2,2,2−トリクロロ−1−(1H−ピロール−2−イル)エタノンは、エタノールと反応させられてエチル1H−ピロール−2−カルボキシラートを得る。この反応は、縮合反応について当該分野で周知である種々の方法および実験条件で行われ得る。実践条件についての一般的参照については、以下を参照されたい:Nishiwaki,E.et al,Heterocycles[HTCYAM]1988,27,1945;Freedlander,R.S.et al,J Org Chem[JOCEAH]1981,46,3519;Harbuck,J.W.et al,J Org Chem[JOCEAH]1972,37,3618;およびBooth,C et al,Tetrahedron Lett[TELEAY]1992,33(3),413。好ましくは、この反応は、トリアルキルアミン、炭酸ナトリウムもしくは炭酸カルシウム、アルカリ水酸化物またはアルカリ水素化物のような塩基の存在下で実施される。溶媒は、同じエタノールではない場合、THF、ACN、ジオキサンまたはこれらの混合物のような好適な溶媒であり得、ならびに温度は、室温から還流までの範囲である。
【0081】
方法の工程b)に従って、式(IV)の化合物は、AlC
3、ZnCl
2、ピリジン、FeCl
3またはSm(OTf)
3のような強ルイス酸の存在下で、エーテル、DCM、THFのような脱水溶媒中でトリクロロアセチルクロリドと反応させられる。好ましくは、この反応は、還流温度にて実施される。
【0082】
方法の工程c)に従って、式(V)の化合物は、エタノールと反応させられ、およびこの反応は、工程(a)の下で記載されるように実施される。
【0083】
方法の工程d)に従って、式(VI)の化合物のハロ−シアノアルカンとの反応は、縮合反応について当該分野で周知である種々の方法および実験条件で行われ得る。実践条件についての一般的参照については、以下を参照されたい:Stevens,C.V.et al,Tetrahedron Lett[TELEAY]2007,48(40),7108−7111およびDumas,D.J.,J Org Chem[JOCEAH]1988,53,4650。好ましくは、この反応は、アルカリ炭酸塩、アルカリ水酸化物のような塩基の存在下で、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、アセトニトリル、1,4−ジオキサンまたはジメチルアミドのような好適な溶媒中で実施される。
【0084】
方法の工程e)に従って、式(VII)の化合物の分子内縮合は、当該分野で周知である種々の方法および実験条件で実施され得る。一般的参照については、以下を参照されたい:Crowley,J.I.et al,J Am Chem Soc[JACSAT]1970,92,6363−6365。好ましくは、この反応は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、トルエンまたはアルコール溶媒中のアルコキシドカリウムまたはアルコキシドナトリウムによるディークマン反応の条件に従って実施される。
【0085】
方法の工程f)に従って、式(VIII)の化合物とヒドラジンまたはヒドラジン塩との間の反応は、当該分野で周知である種々の方法および実験条件で実施され得る。好ましくは、この反応は、触媒量の酸、例えば塩酸、酢酸または硫酸の存在下で、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、メタノールまたはエタノールのような好適な溶媒中で、およそ室温から還流までの範囲内の温度で、約30分間から約8時間まで変動する時間の間、実施される。
【0086】
方法の工程g.1)からg.3)のいずれか1つに従って、工程e)で得られた式(I)のアルコキシカルボニル誘導体の、−OR
a’基のR3で表される異なる基での置き換えによる、異なる式(I)の化合物への変換は、従来の方法に従う種々の方法において実施され得る。
【0087】
方法の工程g.1)に従って、対応するカルボン酸誘導体への変換のための、酸性または塩基性条件下でのアルコキシカルボニル誘導体の加水分解は、The Chemistry of Carboxylic Acids and Esters,Saul Patai,Interscience Publisher(John Wiley&Sons 1969)において報告された標準的方法に従って実施される。
【0088】
方法の工程g.2)に従って、アルコキシカルボニル誘導体のエステル交換反応は、The Chemistry of Carboxylic Acids and Esters,Saul Patai,Interscience Publisher(John Wiley&Sons 1969)において報告された標準的方法に従って実施される。
【0089】
方法の工程g.3)に従って、アルコキシカルボニルまたは対応するカルボン酸誘導体のアミンとのカップリングは、The Chemistry of Amides,Saul Patai,Interscience Publisher(John Wiley&Sons 1970)において報告された標準的方法に従って実施される。好ましくは、この反応は、好適な縮合剤、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン(HBTOH)、O−ベンゾトリアゾリルテトラメチルイソウロニウムテトラフルオロボレアート(TBTU)またはベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート(PyBOP)の存在下で、ジクロロメタンまたはジメチルホルムアミドのような適切な溶媒中で、当業者に周知の設定下で実施される。
【0090】
方法の工程h.1)からh.5)のいずれか1つに従って、R4基の導入は、従来の方法に従って種々の方法で実施され得る。
【0091】
1位または2位におけるピラゾール窒素上のR4基の選択的導入は、互変異性平衡ゆえに、化学量論量のアルキル化剤、アシル化剤、カルボニル化剤、スルホリル化剤またはそれぞれ式(X)、(XI)、(XII)、(XIII)、(XIV)のイソシアナートと共に作用させ、この結果、3位におけるアミノ基においてすら、多重誘導体化を防止することにより得られ得る。この反応は、R4置換基が導入されるまさにその位置で開裂する塩基を用いることなく、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランまたはジオキサンのような好適な溶媒中で実施される。
【0092】
方法の工程i.1)からi.5)のいずれか1つに従って、アミノ部分の誘導体化は、従来の方法に従って種々の方法で実施され得る。参照については、以下を参照されたい:The Chemistry of Amino Group,Saul Patai,Interscience Publisher(John Wiley&Sons 1968)またはJ.Am.Chem.or J.Am.Chem.Soc,1971,93,2897またはComprensive Organic Synthesis,Trost B.N.,Fleming L(Eds.Pergamon Press:New York,1991;Vol.8)。
【0093】
好ましくは、方法の工程i.1)からi.4)のいずれか1つに従って、式(I)の化合物は、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのような好適な溶媒中に溶解され、および好適な塩基、例えばピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミンまたは炭酸ナトリウムがこれに添加される。次いで、式(XI)、(XII)、(XIII)の化合物が、それぞれ添加され、混合物は、約20℃から約80℃の範囲内の温度で約2時間から約15時間の時間にわたって撹拌される。式(XIV)のイソシアナートの場合、塩基の使用は、場合による。
【0094】
好ましくは、方法の工程i.5)に従って、式(I)の化合物は、式(XV)のアルデヒド誘導体またはケトン誘導体と、還元条件下で反応させられる。上記から、R
aおよびR
bの一方が水素である式(XV)のアルデヒド誘導体を使用することにより、R1が−CH
2R
aである対応する誘導体が得られることは、当業者に明らかである。同様に、ケトン誘導体を使用することにより、R1が−CHR
aR
bであり、ここで、R
aおよびR
bは上で定義されたとおりであるが水素ではない、対応する誘導体が、得られる。
【0095】
方法の工程j.1)からj.5)のいずれか1つに従って、アミノ部分のさらなる誘導体化は、従来の方法に従って種々の方法で実施され得る。アミノ部分のさらなる誘導体化は、上述の工程i)で報告されたのと同じ条件で実施されて、3位の窒素におけるビス−置換が得られることは、当業者に明らかである。
【0096】
方法の工程k)に従って、R4基の除去は、従来の方法に従って種々の方法で実施され得、好ましくは、この除去は、式(I)の化合物を塩基性溶液、例えばヒドラジン、アンモニア、水酸化金属などと反応させることによって実施され得る。最強の塩基により、最終的に3位に存在するイミドが、加水分解され得る。
【0097】
式(I)の化合物はまた、当業者に公知である標準的方法に従って医薬的に許容される塩に変形され得る。または、塩として得られる式(I)の化合物は、当業者に公知の標準的方法に従って遊離塩基または遊離酸に変形され得る。
【0098】
上記に加えて、式(I)の化合物は、当該分野で周知であるコンビナトリアル化学技術に従い、中間産物間の連続的様式での上述の反応によって、ならびに固相合成(SPS)条件下で作用することによって、有利に調製され得る。
【0099】
本発明はまた、上で定義された式(I)の化合物の調製のための方法も提供し、この方法は、以下の工程を含むことを特徴とする:
l)上述の工程(f)で得られた式(I)のアルコキシカルボニル誘導体のトリフルオロ無水酢酸によるアシル化;
m)得られた化合物のピラゾロ環の1位または2位からのトリフルオロアセチル基の除去;
n)3位においてトリフルオロアセチル化された得られた式(I)の化合物の好適な固体支持体としての樹脂へのローディングであって、この樹脂は、例えばBr−Wang樹脂、トリチル樹脂、Cl−トリチル樹脂、Merriefield樹脂、MAMP樹脂またはイソシアナート樹脂およびこれらの誘導体などの市販のポリスチレン樹脂である;
o)得られた式(XVI)の化合物のアルコキシカルボニル基およびトリフルオロアセチル基の酸性条件下または塩基性条件下での加水分解;
p)得られた式(XVII)の化合物のカルボキシル基と上述の式(IX)のアミンとのカップリング;
q)得られた式(XVIII)化合物の3位におけるアミノ部分の誘導体化;
R)得られた式(XIX)化合物からの樹脂の分割により、所望の式(I)の化合物を得ること、場合により、得られた式(I)の化合物を異なる式(I)の化合物に変換することおよび/または所望される場合、得られた式(I)の化合物を医薬的に許容される塩に変換すること。
【0100】
上記の固相合成(SPS)は、以下のスキームBにまとめられる。
【0101】
スキームB
【0102】
【化14】
ここで、樹脂は、例えば、Br−Wang樹脂、トリチル樹脂、Cl−トリチル樹脂、Merriefield樹脂、MAMP樹脂またはイソシアナート樹脂およびこれらの誘導体などの市販のポリスチレン樹脂であり;n、R1、R2およびR3は、式(I)で定義されたとおりでありならびにR
a’は、直鎖状または分枝鎖状のC
1−C
6アルキル基である。
【0103】
任意の上記の反応は、公知の方法に従って、以前に報告されているように行うことによって実施され、上記の式(I)の化合物を得させる。
【0104】
工程l)は、工程i.1)に記載されるように実施される。
【0105】
工程m)は、工程k)に記載されるように実施される。
【0106】
工程n)に従って、式(I)の化合物は、トリチルクロリド樹脂(コポリスチレン−1%DVB)上にローディングされ、式(XVI)の化合物を得る。ローディング反応は、好適な溶媒、例えばジクロロメタンまたはテトラヒドロフラン中で、塩基、例えばトリエチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルアミンなどの存在下で実施され得る。この反応は、18時間と24時間との間の時間で室温にてゆっくりと進む(shacked)。参照については、以下を参照されたい:M.A.Youngman,et al.Tetrahedron Lett.,1997,38,6347;K.Barlos,et al.Poster P316,24th European Peptide Symposium,Edinburgh,1996。
【0107】
工程o)は、工程g.1)に記載されるように実施される。
【0108】
工程p)は、工程g.3)に記載されるように実施される。
【0109】
工程q)は、工程i)およびj)に記載されるように実施される。
【0110】
工程(r)に従って、樹脂の開裂は、好適な酸、例えば、塩酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸またはp−トルエンスルホン酸の存在下において酸性条件で実施される。好ましくは、この反応は、溶媒としてのジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸を用いて実施される。
【0111】
明らかに、以前に示されたコンビナトリアル化学技術に従う作業により、複数の式(I)の化合物が、得られ得る。
【0112】
従って、本発明の好ましい実施形態に従う、2種以上の式(I)の化合物および式(I)の化合物の医薬的に許容される塩のライブラリーが、本発明のさらなる目的である。
【0113】
【化15】
式(I)中、
nは、0または1であり;
R1、R2およびR4は、それぞれ互いに独立して、−R
a、−COR
a、−CONHR
a、−SO
2R
aおよび−COOR
aからなる群より選択され;
R3は、−NR
aR
b基または−OR
a基であり;
ここで、同じであるかまたは異なっているR
aおよびR
bは、それぞれ独立して水素であるかまたは直鎖状または分枝鎖状のC
1−C
6アルキル、直鎖状または分枝鎖状のC
2−C
6アルケニル、直鎖状または分枝鎖状のC
2−C
6アルキニル、C
3−C
6シクロアルキル、シクロアルキルC
1−C
6アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルC
1−C
6アルキル、アリール、アリールC
1−C
6アルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールC
1−C
6アルキルより選択される場合により置換された基であるかまたは結合している窒素原子と一緒になって、R
aおよびR
bのいずれかは、場合によりS、O、NまたはNHより選択されるさらなる1つのヘテロ原子またはヘテロ原子基を含む場合により置換された3から8員の複素環を形成し得る。
【0114】
式(I)の化合物の上記のライブラリーについての一般的参照については、実施例の節を参照されたい。上記の全てから、このような誘導体のライブラリー、例えば約1000種類の式(I)の化合物を含むライブラリーが一旦調製されたら、このライブラリーは、以前に報告されているように、所定のキナーゼに対するスクリーニングのために非常に有利に使用され得ることが、当業者に明らかである。
【0115】
化合物のライブラリーおよび生物学的活性についてのスクリーニングの道具としてのその使用に対する一般的な参照については、以下を参照されたい:J.Med.Chem.1999,42,2373−2382;およびBioorg.Med.Chem.Lett.10(2000),223−226。