【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明は、炭酸ジアルキルおよびアリールアルコールから炭酸ジアリールを調製する方法であって、
(a)炭酸ジアルキルおよびアリールアルコールを第1の反応蒸留塔に導入するステップ、
(b)炭酸ジアルキルおよびアルキルアルコールを含む上流ならびに炭酸アルキルアリール、アリールアルコールおよび炭酸ジアルキルを含む底流を、第1の反応蒸留塔から回収するステップ、
ok(c)第1の反応蒸留塔からの底流を、第2の反応蒸留塔に導入するステップ、
(d)炭酸ジアルキルを含む上流ならびに炭酸アルキルアリール、炭酸ジアリールおよびアリールアルコールを含む底流を、第2の反応蒸留塔から回収するステップ、
(e)第2の反応蒸留塔からの底流を第3の反応蒸留塔に導入するステップ、ならびに
(f)アリールアルコールを含む上流および炭酸ジアリールを含む底流を、第3の反応蒸留塔から回収するステップ
を含み、
第3の反応蒸留塔からの上流を第2の反応蒸留塔に再利用する方法に関する。
【0008】
以下の実施例に示すように、本発明は、炭酸ジアルキルおよびアリールアルコールから炭酸ジアリールを調製するためのエネルギー必要量が、有利にもあまり厳しくない。
【0009】
本明細書において「反応蒸留塔」は、蒸留塔において化学反応をもたらす触媒を含有する蒸留塔として定義される。
【0010】
好ましくは、第1の反応蒸留塔からの上流は、アルキルアルコールを含む上流および炭酸ジアルキルを含む底流が回収される第1の蒸留塔に導入され、第1の蒸留塔からの底流が第1の反応蒸留塔に再利用される。
【0011】
さらに、好ましくは、第2の反応蒸留塔からの、炭酸ジアルキルを含む上流はアリールアルコールをさらに含み、炭酸ジアルキルを含む上流およびアリールアルコールを含む底流が回収される第2の蒸留塔に導入され、第2の蒸留塔からの上流が第1の蒸留塔に再利用される。
【0012】
その上さらに好ましくは、第1の反応蒸留塔からの底流、第2の反応蒸留塔からの上流および第2の蒸留塔からのアリールアルコールを含む底流が、アルキルアリールエーテルをさらに含み、第2の蒸留塔からのアリールアルコールおよびアルキルアリールエーテルを含む底流が、アルキルアリールエーテルを含む上流およびアリールアルコールを含む底流が回収される第3の蒸留塔に導入され、第3の蒸留塔からの底流が、第1の反応蒸留塔に再利用される。
【0013】
第3の反応蒸留塔からの底流は、所望の炭酸ジアリールを含む。前記流れをさらなる蒸留に供し、純粋な炭酸ジアリールを得ることができる。第3の反応蒸留塔からの炭酸ジアリールを含む流れが、触媒をさらに含む場合、前記流れは、炭酸ジアリールを含む上流ならびに触媒および炭酸ジアリールを含む底流が回収される第4の蒸留塔に導入される。第4の蒸留塔からの底流は、第1、第2または第3の反応蒸留塔に、部分的または完全に再利用できる。
【0014】
本発明に使用される炭酸ジアルキルは、炭酸ジ(C
1−C
5)アルキルであってよく、アルキル基(直鎖、分枝型および/または環状)は、メチル、エチルおよびプロピルなどのように同一であっても、または異なっていてもよい。適切な炭酸ジアルキルは、炭酸ジメチルおよび炭酸ジエチルである。好ましくは、炭酸ジアルキルは炭酸ジエチルである。
【0015】
本発明に使用されるアリールアルコールは、非置換フェノールまたはモノ−、ジ−もしくはトリ−置換フェノールから選択される。フェノール部分の置換基は、広範囲な有機基から選択できる。適切な置換基は、C
1−C
4のアルキル基、C
1−C
4のアルコキシ基およびハロゲン化物を含む。例としては、メチル、エチル、メトキシおよびエトキシの各基である。置換基は、環の任意の場所に存在してよい。従って、適切な置換フェノール化合物は、o−、m−またはp−クレゾール、o−、m−またはp−エチルフェノール、o−、m−またはp−クロロフェノール、o−、m−またはp−メトキシフェノール、2,3−、2,4−または3,4−ジメチルフェノールを含む。好ましくは、アリールアルコールは非置換フェノールである。
【0016】
上記のように、第1、第2および第3の反応蒸留塔は、蒸留塔において化学反応をもたらす触媒を含有する。前記触媒は、均一であっても、または不均一であってもよい。
【0017】
本方法の第1、第2および第3の反応蒸留塔において使用される触媒の選択は重要ではない。第1、第2および第3の反応蒸留塔において使用される触媒が同じである必要はない。炭酸ジアリール、おそらく炭酸アルキルアリールと、アリールアルコールとのエステル転移反応ならびに炭酸アルキルアリールの不均化のための多数の触媒が、先行技術において公知である。適切な触媒は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、アルコラート、アミドおよび水酸化物を含む。アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩は、アルカリ金属のカルボン酸塩、炭酸塩および重炭酸塩を含む。該金属は、好ましくは、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムから選択され、ナトリウムおよびカリウムが特に好ましい。好ましい触媒は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物およびナトリウムメタノラートまたはカリウムメタノラートまたはカリウムエタノラートなどのアルコラートである。
【0018】
さらなる触媒は、AlX
3、TiX
3、TiX
4、VX
5、ZnX
2、FeX
3およびSnX
4などの、ルイス酸の金属化合物であり得る。前述の式の1つを有する特定の化合物に関して、Xは同一であっても、または異なっていてもよい。さらに、前記Xは、水素、アセトキシ、アルコキシ、アリールアルコキシおよびアリールオキシの各基からなる群から選択され得る。好ましくは、触媒は、式TiX
4の均一触媒であり、Xは同一であっても、または異なっていてもよく、アルコキシ基、好ましくは1個から6個の炭素原子を含有するアルコキシ基、より好ましくはエトキシ基およびアリールオキシ基、好ましくはフェノキシ基から選択される。他の適切な例は、テトラメトキシチタン、ジメトキシチタン、ジエトキシチタン、テトラプロポキシチタンおよびテトラブトキシチタンである。アルコキシド基は、直鎖であっても、または分岐型であってもよいが、直鎖アルコキシド基が好ましい。
【0019】
従って、具体的には、エステル転移反応触媒は、触媒を含有するチタンである。好ましくは、前記触媒を含有するチタンにおけるチタンは、IVの酸化状態を有する。さらに、前記チタンは、1つまたは複数の、好ましくは4つの、エトキシド基などのアルコキシド基および/またはフェノキシド基などのアリールオキシド基と結合できる。
【0020】
さらに、上述の触媒を含有するチタンは、2個または複数個のチタン原子を含有する二量体またはポリマーであってよく、チタン原子は、式−O(C=O)O−の炭酸塩橋を介して、または式−O−の酸素橋を介して相互に結合され得る。その上さらに、前記触媒を含有するチタンは、1個または複数個のケイ素原子をさらに含有でき、チタンおよびケイ素原子は、式−O−の酸素橋を介して相互に結合される。
【0021】
別の型の適切な触媒は、炭酸塩、カルボン酸塩、水酸化物およびホスフィンの各基を含む、鉛化合物を含む。例としては、酢酸鉛および炭酸鉛である。
【0022】
上記の型の触媒の組み合わせもまた可能である。不均一触媒もまた適切である。適切な不均一触媒の例は、ケイ素およびチタンの混合型酸化物および二酸化チタンを含む。好ましい不均一触媒は、チタンがケイ素に固定化された不均一触媒である。
【0023】
さらにその上、不均一触媒および均一触媒の組み合わせも、第1、第2および第3の蒸留塔の任意の1つに使用できる。
【0024】
触媒は、1種または複数種の反応物質と一緒に第1の蒸留塔に導入できる。このような方法においてアリールアルコール(好ましくはフェノール)が下方に動き、炭酸ジアルキル(好ましくは炭酸ジメチルまたは炭酸ジエチル)が上方に動く対向流が生じ、その結果反応効率が上がるので、好ましくは、アリールアルコールは、炭酸ジアルキルの導入位置より高い位置で第1の反応蒸留塔に導入される。このような場合、触媒は、アリールアルコールと一緒に第1の反応蒸留塔に導入されることが好ましい。代わりに、またはこれに加えて、第1の反応蒸留塔は、塔の内部、例えば、アリールアルコールの導入位置および炭酸ジアルキルの導入位置の間に留まる不均一触媒を備え得る。
【0025】
さらに、第1の反応蒸留塔からの底流が触媒、例えば均一触媒を含む場合、追加の触媒が、第2および/または第3の反応蒸留塔に導入される必要はない。
【0026】
本発明において、少量の触媒を使用することができる。一般に、触媒、例えば均一触媒の濃度は、触媒を含有する混合物の合計重量に基づき0.001から2wt%の間で変動してよい。好ましい濃度は0.005から1wt%を含み、より好ましい濃度は0.01から0.5wt%である。
【0027】
3つの反応蒸留塔中の圧力は広範囲で変動してよい。第1の反応蒸留塔の上部の圧力は2から7bar、好ましくは2.5から5barであってよい。第2の反応蒸留塔の上部の圧力は0.1から3bar、好ましくは0.3から1.5barであってよい。第3の反応蒸留塔の上部の圧力は10から400mbar、好ましくは20から200mbarであってよい。好ましくは、第1の反応蒸留塔の上部の圧力は、第2の反応蒸留塔の上部の圧力より高く、第2の反応蒸留塔の上部の圧力は第3の反応蒸留塔の上部の圧力より高い。
【0028】
3つの反応蒸留塔中の温度は広範囲で変動してよい。第1、第2および第3の反応蒸留塔の底部の温度は、50から350℃、好ましくは120から280℃、より好ましくは150から250℃、最も好ましくは160から240℃であってよい。
【0029】
本発明の方法で生産される炭酸ジアリールは、ジヒドロキシ芳香族化合物、好ましくは4,4’−(プロパン−2−イリデン)ジフェノールであるビスフェノールAと重合することによる、ポリカーボネートの調製に適切に使用される。従って、本発明は、ジヒドロキシ芳香族化合物と、上記の方法に従って調製された炭酸ジアリールとを反応させるステップを含む、ポリカーボネートの作製方法にも関する。さらに本発明は、上記の方法に従って炭酸ジアリールを調製するステップ、およびジヒドロキシ芳香族化合物と、このようにして得られた炭酸ジアリールとを反応させるステップを含む、ポリカーボネートの作製方法にも関する。