【実施例】
【0073】
実施例
全ての化合物を、質量指示(mass directed)分画を備える Waters FractionLynx LC-MS system を用いてフラッシュカラムクロマトグラフィーまたは逆相液体クロマトグラフィーのいずれかによって精製した。カラム: Waters XBridge C
18 5 μm、19 x 100 mm; 移動相 A: 水中の 0.15% NH
4OH、移動相 B: アセトニトリル中の 0.15% NH
4OH;流速は 30ml/m とし、分離勾配を、文献[“Preparative LC-MS Purification: Improved Compound Specific Method Optimization”、K. Blom、B. Glass、R. Sparks、A. Combs、J. Combi. Chem.、2004、6、874-883]に記載される化合物特異的方法最適化プロトコールを用いて、各々の化合物について最適化した。
【0074】
次いで、分離された生産物を通常、純度チェックのために、以下の条件において分析的 LC/MS に供した: 機器; Agilent 1100 series、LC/MSD、カラム: Waters Sunfire
(商標) C
18 5 μm、2.1 x 5.0 mm、バッファー: 移動相 A: 水中の 0.025% TFA、および移動相 B: アセトニトリル中の 0.025% TFA; 流速 1.5 mL/分で、3 分間でバッファー B の 2% から 80% までの勾配。
【0075】
実施例 1
5-{3-フルオロ-4-[(5S)-2-(シス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-1-オキソ-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカ-7-イル]フェニル}-N-メチルピリジン-2-カルボキサミド
【化4】
【0076】
工程 1: 1-ベンジル 3-エチル ピペリジン-1,3-ジカルボキシラート
【化5】
ベンジルクロロホルメート (Aldrich、cat #:119938) (191 mL、1.34 mol) を、(0℃に)冷却された塩化メチレン(1000 mL)中におけるエチルピペリジン-3-カルボキシラート(Aldrich、cat #:194360)(200 g、1.27 mol)とトリエチルアミン(266 mL、1.91 mol)との混合物にゆっくりと添加した。反応混合物を、周囲温度(ambient temperature)まで徐々に昇温させ、3 時間撹拌した。1N HCl 水溶液の添加によって反応をクエンチ(quench)し、産物を塩化メチレンで数回抽出した。合わせた(combined)抽出物を、水、飽和 NaHCO
3 水溶液、水、塩水(brine)で洗浄し、MgSO
4 上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、油状物として所望の生成物を得た(359.8 g、97%)。LC/MS 292.2 (M + H)
+。
【0077】
工程 2: 1-ベンジル 3-エチル 3-(3-メチルブト-2-エン-1-イル)ピペリジン-1,3-ジカルボキシラート
【化6】
-78℃に冷却された THF (400 ml) 中の 1-ベンジル 3-エチル ピペリジン-1,3-ジカルボキシラートの溶液(120.0 g、0.412 mol)に、270 mL のナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド溶液 (Aldrich からの、THF 中の 1M 溶液、cat#:245585)を 2 時間にわたって滴下により添加した。混合物を、-78℃においてさらに 1 時間撹拌した。次いで、1-ブロモ-3-メチルブト-2-エン (Aldrich cat #: 249904) (71 mL、0.62 mol) を 1 時間にわたってゆっくりと添加した。混合物を、-78℃で 30 分間撹拌し、室温(r.t.)まで昇温させ、さらに 3 時間撹拌した。反応混合物を、1N HCl 水溶液を用いてクエンチした。減圧下でほとんどの THF を除去した。残留物を、酢酸エチル中を用いて抽出した。合わせた抽出物を、飽和 NaHCO
3 水溶液および塩水で洗浄し、次いで MgSO
4 上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。粗残留物を、ヘキサン中の 10〜20% の酢酸エチルを用いるシリカゲルカラム上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物を得た (140 g、94%)。 LC/MS: m/e = 332.2 (M+H)
+。
【0078】
工程 3: 1-ベンジル 3-エチル 3-(2-オキソエチル)ピペリジン-1,3-ジカルボキシラート
【化7】
塩化メチレン(800 mL)中の 1-ベンジル 3-エチル 3-(3-メチルブト-2-エン-1-イル)ピペリジン-1,3-ジカルボキシラートの溶液 (35.2 g、0.0979 mol)に、-78℃において、溶液の色が青に変わるまで、オゾンを通した。次いで、反応混合物を、青色が消失するまで窒素でフラッシュ(flush)した。ジメチルスルフィド (Aldrich、cat #: 274380) (14 mL、0.19 mol) およびトリエチルアミン (26.5 mL、0.19 mol) を添加し、混合物を周囲温度にて終夜撹拌した。揮発性溶媒を減圧下で除去し、ヘキサン中の 20% 酢酸エチルを用いるシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーにより直接精製し、定量的な収率で所望の生成物を得た。LC/MS 334.2 (M + H)
+。
【0079】
工程 4: ベンジル 2-(シス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-1-オキソ-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカン-7-カルボキシラート
【化8】
1,2-ジクロロエタン(250 mL)中の シス-4-アミノシクロヘキサノール塩酸塩 (Available from Sijia Medchem Lab、China) (13.8 g、0.0910 mol) および 1-ベンジル 3-エチル 3-(2-オキソエチル)ピペリジン-1,3-ジカルボキシラート (31.0 g、0.0930 mol) の懸濁液に、トリエチルアミン (23.3 mL、0.167 mol) を室温にて添加した。混合物を、40℃で終夜撹拌した。ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド (Aldrich、cat #: 316393) (49.3 g、0.232 mol) を上記混合物に添加し、室温で 1 時間撹拌した。LC/MS データは出発物質が消費されたことを示し、m/e: 433.2 (M+H)
+ を有する中間生成物が観察された。
【0080】
次いで、混合物を、4 時間、または中間体アミン(m/e: 433.2)が消費されたことを LC/MS が示すまで、80℃に加熱した。反応混合物を、NaHCO
3 水溶液を用いてクエンチした。有機層を塩水で洗浄し、MgSO
4 上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。粗物質を、減圧下で終夜乾燥させて、無色の粘稠な油状物を得た (26.9 g、66.8%)。LC/MS m/e 387.2 (M+H)
+。
【0081】
工程 5: ベンジル (5S)-2-(シス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-1-オキソ-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカン-7-カルボキシラート
【化9】
上記の工程から得られたラセミ混合物 (26.9 g) を、Agilent 1100 series preparatory system 上で Chiralcel OD-H カラム (3.0 x 25 cm、粒子サイズ 5 ミクロン、Chiral Technologies) を用い、30% エタノール/ヘキサン(一定組成、22 mL/分)で溶出させて精製した。カラムへのロードはおよそ 150 mg/注射であり、ピークの回収は 220 nM における UV 吸光度によって作動させた。ピーク 1 はおよそ 8.5 分で溶出し、ピーク 2 はおよそ 9.8 分で溶出した。ピーク 2 の画分を合わせ、濃縮して、泡沫状の白色固体として所望の生成物を得た (11.9 g)。ピーク 2 からプールされた物質の光学純度を、Chiralcel OD-H カラム (4.6 x 250 mm、粒子サイズ 5 ミクロン、Chiral Technologies) を備える Agilent 1100 series analytical system を用いて、30% エタノール/ヘキサン(一定組成、0.8 mL/分)で溶出させて決定した。LC/MS m/e 387.2 (M+H)
+。ピーク 2 の絶対立体化学を、工程 5a-c に記載される通りに調製された近似の類縁体: ベンジル(5S)-2-(トランス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-1-オキソ-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカン-7-カルボキシラート および (5S)-2-(シス-4-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}シクロヘキシル)-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカン-1-オンの X 線単結晶構造決定に基づいて確立した。
【0082】
工程 5a: ベンジル 2-(シス-4-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}シクロヘキシル)-1-オキソ-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカン-7-カルボキシラート
【化10】
室温における、無水 N,N-ジメチルホルムアミド(160 mL)中のベンジル 2-(シス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-1-オキソ-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカン-7-カルボキシラート (60.00 g、155.2 mmol) の撹拌された溶液に、1H-イミダゾール (32.0 g、466 mmol) および tert-ブチルジメチルシリル クロライド (36.2 g、233 mmol) を添加した。反応混合物を室温にて 4 時間撹拌し、水(150 mL)を用いてクエンチし、EtOAc (3 x 150 mL) で抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た(84 g)。ヘプタンからの粗生成物の再結晶化によって、純粋な生成物 (55.4 g) を得た。母液を濃縮し、AcOEt/ヘキサン(Haxane)を用いて溶出するシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーによる精製に供してさらに 14.4 g の生成物を得、総収率は 89.7% であった。
【0083】
工程 5b: 2-(シス-4-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}シクロヘキシル)-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカン-1-オン
【化11】
メタノール(150 mL)中のベンジル 2-(シス-4-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}シクロヘキシル)-1-オキソ-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカン-7-カルボキシラート (18.0 g、35.9 mmol) の溶液に、窒素雰囲気下で 10% パラジウム炭素(palladium on carbon)(Aldrich、cat #: 520888)(1.8 g、1.5 mmol)を添加した。反応混合物を水素化し、50 psi にて 20 時間振盪した。反応混合物を、セライト(Celite)のパッドを通してろ過し、次いでメタノール(300 mL)で洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮して、所望の生成物を白色固体として定量的収率で得た。
【0084】
工程 5c: (5S)-2-(シス-4-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}シクロヘキシル)-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカン-1-オン
【化12】
2-(シス-4-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}シクロヘキシル)-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカン-1-オン (7.00 g、19.1 mmol) を、室温においてアセトニトリル(50 mL)およびメタノール(7 mL)中に溶解した。出発物質を完全に溶解させた後、該溶液を 70℃まで加熱した。上記の溶液に、アセトニトリル(20 mL)中の (2R)-ヒドロキシ(フェニル)酢酸(1.45 g、9.55 mmol)の溶液を 65-70℃においてゆっくりと添加した。添加後、溶液を 74℃において 10 分間加熱し、終夜室温までゆっくりと冷ました。形成された結晶をろ過により回収し、(2R)-ヒドロキシ(フェニル)酢酸塩として 3.38 g の所望の生成物を得た。得られた塩(3.38 g)を、水(50 mL)に溶解させ、40 mL の K
2CO
3 水溶液(2.0 M)を用いて pH〜12 に調整した。混合物を、ジクロロメタンを用いて抽出した(3 回)。合わせた有機層を、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して、遊離塩基として所望の生成物を得た(無色の結晶性固体)(2.37 g)。この化合物の絶対立体化学を、(5S)-2-(シス-4-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}シクロヘキシル)-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカン-1-オンの (2R)-ヒドロキシ(フェニル)酢酸塩の X 線単結晶構造決定によって確立した。
【0085】
工程 6: (5S)-2-(シス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカン-1-オン
【化13】
工程 5 において調製されたベンジル (5S)-2-(シス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-1-オキソ-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカン-7-カルボキシラート (0.266 g、0.000688 mol) を、メタノール(5.0 mL)中に溶解し、10% パラジウム炭素(Aldrich、cat #: 520888)(20.0 mg)の存在下、水素雰囲気下で、室温にて 2 時間撹拌した。反応混合物をろ過し、揮発性溶媒を減圧下で除去して、所望の生成物を定量的収率で得た。LC/MS m/e 253.2 (M+H)
+。
【0086】
工程 7: (5S)-7-(4-ブロモ-2-フルオロフェニル)-2-(シス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカン-1-オン
【化14】
1-ブタノール(3.90 mL)中における (5S)-2-(シス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカン-1-オン(1.04 g、0.00412 mol)、4-ブロモ-2-フルオロ-1-ヨードベンゼン (Aldrich、cat #: 283304) (1.85 g、0.00615 mol)、ヨウ化銅(I) (Aldrich、cat #: 215554) (0.122 g、0.000640 mol)、リン酸カリウム (2.63 g、0.0124 mol) および 1,2-エタンジオール(0.48 mL、0.0086 mol)の混合物を、窒素下において 100℃で 2 日間(for 2d)加熱した。水を用いて反応をクエンチし、エーテルを用いて抽出した。有機層を合わせ、水、塩水で洗浄し、Na
2SO
4 上で乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧下で蒸発させた。残留物を、DCM 中の 0 から 5% のメタノールを用いて溶出させるシリカゲルカラム上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、所望の生成物を得た(950 mg、54.2%)。LC/MS m/e 425.1/427.0 (M+H)
+。
【0087】
工程 8: 5-3-フルオロ-4-[(5S)-2-(シス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-1-オキソ-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカ-7-イル]フェニル-N-メチルピリジン-2-カルボキサミド
水 (3.00 mL) 中のリン酸カリウム (637 mg、0.00300 mol) を、1,4-ジオキサン(3.00 mL)中における (5S)-7-(4-ブロモ-2-フルオロフェニル)-2-(シス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカン-1-オン (425 mg、0.00100 mol)、N-メチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-カルボキサミド (Frontier Inc.、cat #: M10074) (393 mg、0.00150 mol) およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム (Aldrich、cat #: 216666) (35 mg、0.000030 mol) の混合物に添加した。得られた混合物を、120℃で 24 時間加熱した。混合物を、酢酸エチルで希釈し、水および塩水で洗浄した。有機層を Na
2SO
4 上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物を、DCM 中の 5% メタノールを用いて溶出させるシリカゲルカラム上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、所望の生成物を得た (285 mg、59.3%)。LC/MS m/e 481.2 (M+H)
+。
1H-NMR (400 MHz、DMSO-d
6): 8.89 (1H、dd、J = 2.5、0.6 Hz)、8.76 (1H、q、J = 4.7 Hz)、8.22 (1H、dd、J = 8.4、2.5 Hz)、8.03 (1H、dd、J = 8.4、0.6 Hz)、7.65 (1H、dd、J = 14.2、2.1 Hz)、7.56 (1H、dd、J = 8.5、2.1 Hz)、7.13 (1H、t、J = 8.5 Hz)、4.37 (1 H、d、J = 3.1 Hz)、3.78 (1H、m)、3.71 (1H、m)、3.21-3.38 (3H、m)、3.07 (1H、d、J = 11.4 Hz)、2.81 (3H、d、J = 4.7 Hz)、2.64-2.74 (2H、m)、2.18-2.26 (1H、m)、1.60-1.91 (8H、m)、1.39-1.51 (3H、m)、1.21-1.30 (2H、m)。
【0088】
実施例 2
5-{3-フルオロ-4-[(5S)-2-(シス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-1-オキソ-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカ-7-イル]フェニル}-N,N-ジメチルピリジン-2-カルボキサミド
【化15】
【0089】
工程 1: 5-ブロモ-N,N-ジメチルピリジン-2-カルボキサミド
【化16】
オキサリルクロライド (20.0 mL、0.236 mol) を、室温において塩化メチレン(60 mL)中の 5-ブロモピリジン-2-カルボン酸 (Alfa Aesar、cat #: B25675) (10.1 g、0.0500 mol) の溶液に添加し、その後 DMF を 5 滴添加した。混合物を、室温にて 2 時間撹拌した。揮発性物質を、減圧下で蒸発させた。残留物を、トルエンを用いて2回、共沸蒸発させた(azotropically evaporated)。次いで、残留物を DCM (30 mL) 中に溶解し、その後 30 mL の THF 溶液中のジメチルアミン(2.0 M)(Aldrich、cat #: 391956) およびヒューニッヒ塩基(Hunig's base)(20.0 mL)(Aldrich、cat #: 496219)を添加した。混合物を、室温で 3 時間撹拌した。反応混合物を DCM (100 mL) で希釈し、水、1N HCl および 塩水で洗浄した。有機相を Na
2SO
4 上で乾燥させ、ろ過し、濃縮して、所望の生成物を得た (10.5 g、91.7%)。
【0090】
工程 2: N,N-ジメチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-カルボキサミド
【化17】
1,4-ジオキサン(100 mL)中における、5-ブロモ-N,N-ジメチルピリジン-2-カルボキサミド (5.73 g、0.0250 mol)、4,4,5,5,4',4',5',5'-オクタメチル-[2,2']ビ[[1,3,2]ジオキサボロラニル] (6.98 g、0.0275 mol)(Aldrich、cat #: 473294)、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II) ジクロロメタン錯体(complexed with dichloromethane)(1:1) (0.6 g、0.0007 mol) (Aldrich、cat #: 379670)、1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン (0.4 g、0.8 mmol) (Aldrich、cat #: 177261) および酢酸カリウム (7.36 g、0.0750 mol) の混合物を、120℃で 20 時間加熱した。冷却後、混合物を濃縮し、酢酸エチルで希釈し、飽和 NH
4Cl 溶液、水、塩水で洗浄し; Na
2SO
4 上で乾燥させた。ろ過後、ろ液を濃縮し、粗物質を、酢酸エチル/ヘキサンを用いて溶出させるシリカゲルカラム上でさらに精製して、所望の生成物を得た (4.7 g、68%)。
【0091】
工程 3: 5-{3-フルオロ-4-[(5S)-2-(シス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-1-オキソ-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカ-7-イル]フェニル}-N,N-ジメチルピリジン-2-カルボキサミド
この化合物を、N,N-ジメチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-カルボキサミド および (5S)-7-(4-ブロモ-2-フルオロフェニル)-2-(シス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカン-1-オンから出発し、実施例 1、工程 8 の合成について記載される手順と類似の手順を用いて調製した。LC/MS m/e 495.3 (M+H)
+。
1H-NMR (400 MHz、DMSO-d
6): 8.86 (1H、d、J = 1.7 Hz)、8.15 (1H、dd、J = 8.1、2.3 Hz)、7.51-7.65 (3H、m)、7.12 (1H、t、J = 8.9 Hz)、4.37 (1 H、d、J = 3.1 Hz)、3.78 (1H、m)、3.71 (1H、m)、3.22-3.38 (3H、m)、3.06 (1H、d、J = 11.7 Hz)、3.00 (3H、s)、2.97 (3H、s)、2.64-2.74 (2H、m)、2.18-2.27 (1H、m)、1.60-1.91 (8H、m)、1.39-1.51 (3H、m)、1.22-1.30 (2H、m)。
【0092】
実施例 3
N-エチル-5-{3-フルオロ-4-[(5S)-2-(シス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-1-オキソ-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカ-7-イル]フェニル}ピリジン-2-カルボキサミド
【化18】
【0093】
工程 1: N-エチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-カルボキサミド
【化19】
この化合物を、5-ブロモピリジン-2-カルボン酸から出発し、実施例 2、工程 1 および 2 の合成について記載される手順と類似の手順を用いて調製した。
【0094】
工程 2: N-エチル-5-{3-フルオロ-4-[(5S)-2-(シス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-1-オキソ-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカ-7-イル]フェニル}ピリジン-2-カルボキサミド
この化合物を、N-エチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-カルボキサミド および (5S)-7-(4-ブロモ-2-フルオロフェニル)-2-(シス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカン-1-オンから出発し、実施例 1、工程 8 の合成について記載される手順と類似の手順を用いて調製した。LC/MS m/e 495.3 (M+H)
+。
【0095】
実施例 4
5-{3-クロロ-4-[(5S)-2-(シス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-1-オキソ-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカ-7-イル]フェニル}-N-エチルピリジン-2-カルボキサミド
【化20】
【0096】
工程 1: (5S)-7-(4-ブロモ-2-クロロフェニル)-2-(シス-4-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}シクロヘキシル)-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカン-1-オン
【化21】
1-ブタノール(0.75 mL)中における、(5S)-2-(シス-4-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}シクロヘキシル)-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカン-1-オン (0.282 g、0.000769 mol)、4-ブロモ-2-クロロ-1-ヨードベンゼン (0.293 g、0.000922 mol) (Lancaster、cat #: 19245)、ヨウ化銅(I) (0.015 g、0.000077 mol)、リン酸カリウム (0.490 g、0.00231 mol) および 1,2-エタンジオール (0.0857 mL、0.00154 mol) の混合物を、窒素下において 100℃で 2 日間(for 2d)加熱した。反応混合物をろ過し、減圧下で濃縮し、残留物をシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の 0 から 50% の酢酸エチルを用いて溶出させる)によって精製して、所望の生成物を得た。
【0097】
工程 2: 5-{3-クロロ-4-[(5S)-2-(シス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-1-オキソ-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカ-7-イル]フェニル}-N-エチルピリジン-2-カルボキサミド
無水 N,N-ジメチルホルムアミド (1 mL) 中における、(5S)-7-(4-ブロモ-2-クロロフェニル)-2-(シス-4-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}シクロヘキシル)-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカン-1-オン (20 mg、0.00004 mol)、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II) ジクロロメタン錯体(complex with dichloromethane)(1:1)(2.0 mg)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム (1.0 mg) および 炭酸カリウム (14.9 mg、0.000108 mol) の撹拌された混合物に、N-エチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-カルボキサミド (14.5 mg、0.054 mmol) を添加した。得られた反応混合物を 150℃に加熱し、終夜撹拌し、その後、水(0.10 mL)中における 1.7 M のフルオロケイ酸の添加によって TBS 保護基を除去し、混合物を室温にて終夜撹拌した。次いで、反応混合物を RP-HPLC によって直接的に精製して、所望の生成物を得た。LC/MS m/e 511.2 (M+H)
+。
【0098】
1H-NMR (400 MHz、DMSO-d
6): 8.92 (1H、d、J = 2.3 Hz)、8.84 (1H、t、J = 5.9 Hz)、8.26 (1H、dd、J = 8.2、2.3 Hz)、8.06 (1H、d、J = 8.2 Hz)、7.89 (1H、d、J = 2.2 Hz)、7.74 (1H、dd、J = 8.5、2.2 Hz)、7.30 (1H、t、J = 8.5 Hz)、4.39 (1 H、d、J = 3.1 Hz)、3.80 (1H、m)、3.72 (1H、m)、3.24-3.44 (5H、m)、3.01 (1H、d、J = 11.4 Hz)、2.63-2.74 (2H、m)、2.40-2.53 (1H、m)、1.64-1.91 (8H、m)、1.41-1.53 (3H、m)、1.20-1.32 (2H、m)、1.13 (3H、t、J = 7.2 Hz)。
【0099】
実施例 5
比較データ
本発明の化合物は、類似の化合物 (5S)-7-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-(トランス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカン-1-オン(比較 1) および 3-フルオロ-4-[2-(トランス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-1-オキソ-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカ-7-イル]ベンゾニトリル(比較 2)と比較して、イオンチャネル活性(hERG パッチクランプアッセイによって測定される)の阻害が有利に低いことが予期せず見出された; WO 2006/053024 を参照されたい。表 1 は、効力およびイオンチャネル活性の阻害についての以下のデータを比較する。本発明の化合物(実施例 1 および 2 によって代表される)は比較化合物と同様に強力である一方、本発明の化合物は、驚くべき事にイオンチャネル活性の阻害が比較化合物よりも 3-14 倍少なかった。実施例 3 および 4 の化合物は、同様の特性を示した。
【表1】
【0100】
Hamill O.P. et al. “Improved patch clamp techniques for high resolution current recording from cells and cell free membrane patches,” Pflugers Arch. 1981, v. 391, pp. 85-100 の手順に従って、hERG パッチクランプアッセイを行った。以下の実施例 6 および 7 における手順を実行することによって、効力のデータを得た。
【0101】
以下の表 2 は、実施例 2 の化合物および比較 3 (4-{5-クロロ-6-[(5S)-2-(シス-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-1-オキソ-2,7-ジアザスピロ[4.5]デカ-7-イル]-ピリジン-3-イル}-N,N-ジメチルベンズアミド; WO 2006/053024 を参照) のさらなる比較データを提供する。
【表2】
【0102】
標準的な操作手順にしたがい、平衡透析によって血漿中の遊離の薬物を結合した薬物から分離することにより、遊離画分を決定した。以下の実施例 7 の手順にしたがって、細胞効力データを得た。細胞効力を遊離画分で除算することによって、標的薬物濃度を算出した。hERG パッチクランプのデータを、上記の手順にしたがって得た。5 mg/kg の単回経口用量を与えられたラットにおいて、ありふれた手順にしたがって薬物動態研究を実施した。WinNonlin
(登録商標) version 5.0.1 を用いて標準的な非コンパートメント(non-compartmental)方法によって C
max および AUC 薬物動態パラメーターを決定するために、血漿濃度-時間データを用いた。
【0103】
この実施例は、特許請求の範囲に記載される化合物の特定の性質を例証する。何が近い構造類似性を構成するのか、および何が関連性のある比較データを構成するのかについては、合理的な知見(reasonable mind)が異なり得、実際に異なるため、比較化合物が本発明の化合物に最も近い構造類似体を代表しているかどうかに関しては示しておらず、かつ、可能性のある全ての比較データが提示されているかどうかに関しては示していない。
【0104】
実施例 6
11βHSD1 の酵素アッセイ
全てのインビトロアッセイを、11βHSD1 活性の源として清澄化された(clarified)ライセートを用いて行った。完全長ヒト 11βHSD1 のエピトープ-タグ化されたバージョン(epitope-tagged version)を発現する HEK-293 の一過性トランスフェクタントを、遠心分離によって回収した。およそ 2 x 10
7 の細胞を、40 mL の溶解バッファー(pH 7.5 の 25 mM トリス-HCl、0.1 M NaCl、1 mM MgCl
2 および 250 mM スクロース)中に再懸濁し、マイクロフルイダイザー(microfluidizer)中で溶解した。ライセートを遠心分離によって清澄化し、上清を分注(aliquote)し、凍結させた。
【0105】
被験化合物による 11βHSD1 の阻害を、シンチレーション近接アッセイ(SPA)によってインビトロで評価した。乾燥した被験化合物を、DMSO 中に 5 mM にて溶解した。これらを、DMSO 中において SPA アッセイに適した濃度まで希釈した。3 対数の化合物濃度が含まれるよう、0.8 μL の化合物の 2 倍段階希釈を DMSO 中において 384 ウェルプレート上に点状に添加(dot)した。20 μL の清澄化されたライセートを各ウェルに添加した。アッセイバッファー(pH 7.5 の 25 mM トリス-HCl、0.1 M NaCl、1 mM MgCl
2)中に 20 μL の基質-補因子混合物を、400 μM NADPH、25 nM
3H-コルチゾンおよび 0.007% Triton X-100 の終濃度となるよう添加することによって反応を開始した。プレートを、37℃で1時間インキュベートした。10 μM のカルベノキソロンおよびコルチゾール特異的モノクローナル抗体と共にプレインキュベートされた、抗-マウス被覆された SPA ビーズを 40 μL 添加することによって、反応をクエンチした。Topcount シンチレーションカウンター上での読み取りの前に、クエンチされたプレートを RT にて最低 30 分間インキュベートした。ライセートを含まない対照、阻害されたライセートを含む対照および mAb を含まない対照を、通常通り実行した。これらの条件の下、非阻害の反応において入力コルチゾンのおよそ 30% が 11βHSD1 によって減少した。
【0106】
実施例 7
11βHSD1 活性についての細胞に基づくアッセイ
末梢血単核細胞(PBMC)を、正常なヒトボランティアから Ficoll 密度遠心分離によって単離した。細胞を、96 ウェルプレート中における 200 μL の AIM V (Gibco-BRL) 培地中に 4x10
5 細胞/ウェルにてプレーティングした。細胞を、50 ng/ml の組換えヒト IL-4 (R&D Systems) を用いて終夜刺激した。翌朝、様々な濃度の化合物の存在または非存在下で、200 nM のコルチゾン (Sigma) を添加した。細胞を 48 時間インキュベートし、その後、上清を回収した。コルチゾンからコルチゾールへの変換を、市販の ELISA (Assay Design) によって決定した。
【0107】
本明細書に記載されるものに加えて、本発明の様々な改変が上記の記載から当業者にとって明白であろう。かかる改変も、添付の請求項の範囲内に含まれると意図される。本願において引用する、全ての特許、特許出願および刊行物を含む各々の参考文献はいずれも、引用によりその全体が本明細書に取り込まれる。