(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5730962
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】可変ピッチを有する平坦なエキスパンドメタル、その作製方法、エキスパンドメタルを用いて作製されるフィルタ、及びフィルタを作製する方法
(51)【国際特許分類】
B21D 31/04 20060101AFI20150521BHJP
B60R 21/264 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
B21D31/04 A
B60R21/264
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-158794(P2013-158794)
(22)【出願日】2013年7月31日
(62)【分割の表示】特願2011-41731(P2011-41731)の分割
【原出願日】2007年9月20日
(65)【公開番号】特開2014-4630(P2014-4630A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2013年7月31日
(31)【優先権主張番号】60/846,381
(32)【優先日】2006年9月21日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/851,719
(32)【優先日】2006年10月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508307584
【氏名又は名称】エイシーエス インダストリーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ グリーンウッド
【審査官】
石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第02296566(US,A)
【文献】
特開2000−198409(JP,A)
【文献】
特開2000−127888(JP,A)
【文献】
特開昭58−128121(JP,A)
【文献】
特開2006−7021(JP,A)
【文献】
特開平9−300305(JP,A)
【文献】
特開平10−15624(JP,A)
【文献】
特開平5−185900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 31/04
B60R 21/264
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属フィルタが入れ子状になることを低減する方法であって、
エキスパンドメタルを作製する機器を使用して、開口の隣接する列間に異なる間隔を有する可変開口ピッチのエキスパンドメタルシートを作製し、
前記可変開口ピッチのエキスパンドメタルシートを使用して、該シートをロール巻きにすることにより金属フィルタを作製する、
各工程を含み、
前記ピッチは、半径方向に隣接する開口が入れ子状にならないように、ロール巻きにされた前記フィルタの前記シートの所定の部分により画定される外周に応じて異なる、
方法。
【請求項2】
前記エキスパンドメタルを作製する機器が、
(a)パンチを含み、該パンチが横方向に割り出し移動される、および/または
(b)異なる穴開けサイズを有する複数のパンチを含む、
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記金属フィルタが、自動車のエアバッグインフレータ用の金属フィルタであることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記可変開口ピッチのエキスパンドメタルシートが、該シートを前記機器に給送する速度、穴開け速度、伸長量、および/または前記シートを任意選択的に平坦にする量を変えることによって作製されることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
強度を高めるために前記金属フィルタにワイヤを巻き付ける工程をさらに含むことを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口が整合しにくいように可変の開口ピッチを有するエキスパンドメタルシート、緊密に整合された開口が入れ子状にならない平坦なシート、これらのシートを作製する方法、これらのシートから作製されるフィルタ、及びそのようなフィルタを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エキスパンドメタルシートは、火災を抑えるのに使用されるマットから自動車のエアバッグインフレータ用のフィルタまで、様々な用途が見出されている。エキスパンドメタルシートは、金属シートを得て、このシートに穿刺して複数のスリットを作り、且つスリットの方向に対して垂直にシートを引っ張ってスリットを延ばしてシートに開口を設けることによって作製することができる。エキスパンドメタルシートは、隣接するロッドを規則的な点で溶接し、このロッドに対して垂直に引っ張ることによっても作製することができる。エキスパンドメタルシートを作製する別の方法は、開口(それらの最終形状から多くの場合「ダイヤモンド(diamonds)」と呼ばれ、「ストランド(strands)」によって互いに分離している)を開けると共に冷間成形することであり、すなわち、金属シートを平底ダイの面上に前進させ、上部の鋸歯状の抜型を降下させてスリットの一列全て(an entire row of slits)を形成すると同時にハーフダイヤモンドの一列全て(an entire row of half diamonds)を冷間成形し、上部抜型を上昇させてハーフダイヤモンドの左(又は右)に位置合わせし、次いで抜型を降下させてスリットを作り、ハーフダイヤモンドの別の一列全て(another full row of half diamonds)を冷間成形することによって、フルダイヤモンドの一列全て(a full row of full diamonds)を2行程で完成する。孔を伴うシートの最終長さは元の長さよりも長いため拡張されており、形成されている開口も拡張されている。
【0003】
したがって、エキスパンドメタルシートは通常、シートに穿孔を作るためにパンチの一列の歯又はビット(a row of teeth or bits)を使用することによって作製される。パンチに面するシートの側面は、穿孔の周りに窪みを有し、シートの裏面は、対応する隆起部分、すなわちバリを穿孔の周りに有する。穿孔が規則的であることによって、シートを積み重ねるか、丸めるか、ロール巻きにするか、又は他の方法で重なり合う関係に配置するときに穿孔が入れ子状になることが可能であり、バリが存在することによってこの構造を入れ子状になった構成に固定することができる。穿孔をそれぞれ伴うバリは摩擦が大きい領域も形成するため、エキスパンドメタルシートは容易に滑らず、特に丸められたときに自身と接触するか又は同様のシートと接触しても容易に滑らない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
要約すると、本発明は、開口の隣接する列間に異なる間隔を有し、シートを機器に給送する速度、穴開け速度、伸張量、及び/又はシートを任意選択的に平坦にする量を変えることによって作製される、可変の開口ピッチを有するエキスパンドメタルシートを目的とする。エキスパンドメタルシートは、自動車のエアバッグインフレータ用のフィルタを作製するのに有用である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、本発明は、一列の穿孔が、シートの長さに対して垂直に、且つ少なくとも1つの他の列の穿孔に対して位置合わせされるエキスパンドメタルシートを提供する。
【0006】
別の態様では、本発明は、穿孔プロセスによって生じる突起(及び凹部)をなくし、より滑らかな側面を有するシートを製造するように平坦にされているエキスパンドメタルシートを提供する。
【0007】
さらに別の実施の形態では、本発明は、シートの(長手方向)進行方向に対して垂直に穿孔工具を位置合わせすることによって可変に離間した穿孔を有するシート(sheeting)を作製する方法を提供する。
【0008】
一実施の形態では、本発明は、隣接する列間の間隔が一定ではない複数列の開口を有するエキスパンドメタルシートを提供する。シートは平坦であるのが好ましい。
【0009】
別の実施の形態では、本発明は、エキスパンドメタルシートを、(a)一定の長さの金属シートをシートの長さに沿って不連続的な(discrete)ステップで給送すること、(b)一列の穿孔を形成するように穿孔することであって、穿孔シートを製造する、穿孔すること、(c)穿孔シートを長手方向に伸張することであって、穿孔を伸ばして開口にし、エキスパンドメタルシートを製造する、伸張すること、及び任意選択的に(d)エキスパンドメタルシートを平坦にすることによって作製する方法を提供する。
【0010】
本発明はまた、複数列の開口を有する平坦なエキスパンドメタルシートから成る自動車のエアバッグインフレータフィルタを提供し、当該シートはロール巻きにされて円筒体になり、溶接によって固定され、開口の隣接する列間の間隔は、異なる隣接の列間で変わる。
【発明の効果】
【0011】
金属フィルタが入れ子状になることは、開口の隣接する列間に異なる間隔を有する、可変開口ピッチを有するエキスパンドメタルシートを使用することによって低減される。そのようなフィルタは、シートを機器に給送する速度、穴開け速度、伸張量、及び/又はシートを任意選択的に平坦にする量を変えることによって作製される。エキスパンドメタルシートは、自動車のエアバッグインフレータ用のフィルタを作製するのに有用である。入れ子状になることはまた、パンチを横方向に割り出し移動させることによって、複数のパンチの異なる穴開けサイズを使用することによって、又はこれらの技法の組み合わせによって低減することができる。フィルタには、その強度を高めるためにワイヤを巻き付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】エキスパンドメタルシート、及びこのシートからフィルタを作製する一実施形態の概略図である。
【
図3A】一部に開口を有し、別の部分には開口がないシートを示す図である。
【
図3B】
図3Aのシートをロール巻きにすることによって形成される筒を示す図である。
【
図3C】
図3Aのシートをロール巻きにすることによって形成される筒を示す図である。
【
図4A】2つの穿孔バンドを有するロール巻きにされたエキスパンドメタルシートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照すると、本発明によるエキスパンドメタルシートの製造は、金属ストリップ又はシート101(エアバッグインフレータフィルタを作製するには通常約9インチ(約22.89センチメートル)幅であるが、機器に応じていかなる幅も使用することができる)のロールから開始する。エアバッグインフレータ用のフィルタの場合、例えばSS304、SS309、又はSS310等のステンレス鋼が好ましい。エキスパンドメタルが使用される環境に応じて、シート状にできる他の金属組成を使用することができる。
【0014】
シートはまずプレス103に給送され、プレス103において、複数の歯又はビット107を有するパンチ105が、歯がシートを穿孔し、次いでパンチが退く、ちょうどスタンピング動作のようにシートに移動する。互いに同一であることが好ましいビットの幾何学的形状は、スリットがシートに形成されるようなものであることが好ましい。ビットの幾何学的形状に応じて、ビットの貫通深さは、形成されるスリットの長さを決定し、より深く貫通するほどスリットも長くなり、したがって、伸張後に最終構造がより大きく開き得る。エアバッグインフレータフィルタの場合、開口は、シートの開領域、シートの多孔度、又はフィルタに必要とされる他のパラメータ(複数可)に関してエアバッグ製造業者の仕様に基づいたサイズにされる。
【0015】
シートは、サーボモータ(図示せず)又は他の機構によって前進するのが好ましく、それによって、シートの長手方向前進を正確に制御することができる。シートの前進は、穴を開けられるときにシートが静止しているように不連続的なステップで行われるのが好ましい。好ましくはないが、連続的に移動しているシートに歯付きローラを用いることができる。
【0016】
プレスで製造された穿孔シートは次いで伸張機109に給送され、伸張機109において、ディフェレンシャルローラ(differential rollers)が穿孔シートを軸方向(すなわち、進行方向に沿って)に伸張し、スリットが開いてダイヤモンド形状の孔になるようにする。(もちろん、六角ビットを使用して六角形の開口を作るか、又は他のビットの幾何学的形状を使用してもよいが、ダイヤモンド状に形成されるスリットが最も一般的な形状である。)ソフトウエアを実行するコンピュータコントローラ113に接続されるカメラ111と、任意選択的なモニタ115とを含む映像制御システムが、孔又は開領域を検査し、(パラメータがコントローラに入力された後で)穿孔が仕様の範囲内にあるかどうかを確認することができる。図示されていないが、カメラは軌道に移動可能に取り付けられ、シートが前進するにつれてシートを横断するのが好ましい。カメラは好ましくは、(進行方向に対して横方向に)一列全体(an entire row)を捕捉し、より好ましくは、その視野内のいくつかの隣接する列を捕捉する。ソフトウェアは、開口サイズ及び/又は形状(幾何学的形状)をチェックし、個々の開口、すなわち(実際の又は推定又は計算上の)開領域が仕様の範囲内にあるかどうかを判断する。最初の穴開けが仕様の範囲内にあるかどうかを判断する同様のハードウエア及びソフトウエアを有する第2のカメラを、パンチと伸張機との間に配置することができる。製品が仕様の範囲内にあるかどうかを判断する計算は通常、パンチによって作られる開口を通って伝わる光に基づく(好適なソフトウェアは、Media Cybernetics社(メリーランド州、シルバースプリング)からIMAGE PROの商標名で入手可能である。)。
【0017】
1つのパンチの場合を示しているが、異なる穿孔間隔、幾何学的形状及び/又は深さを提供するのに複数のパンチを用いることができる。例えば2つのパンチを、任意の所望の順番で任意の数の行程又はサイクル(例えば、第1のパンチが第2のパンチと交互に、第2のパンチの2倍若しくは半分穴を開けるか、又はこれら2つによって交互に等)反復させることができる。好ましくは、少なくとも1つのプレスによって作られる隣接する列が互いからずれるように、このプレスを横方向に往復させて割り出し移動させる(本明細書で使用する場合、穿孔の「列(row)」は、シートの長さに対して横方向であることが好ましいが、プレスがシートの長手方向に対して角度を付けられていることも可能である。)。
【0018】
映像制御システムは、エキスパンドメタルシート製品の光学的な検査を行い、製品が仕様の範囲内にあるかどうかを判断する。仕様を続行するか、仕様に戻るか又は仕様を変えるためにプロセスを変更するには、シートの前進を、(コンピュータコントローラによって)サーボモータを調整することによって変更し、穿孔の長手方向間隔を変える。代替的には、穿孔シートを伸張する量を増減するように伸張機を調整する。シートが丸められたときに隣接する層が入れ子状になること、及び/又は半径方向に隣接する開口が整合することをさらに回避するように両方を調整してもよい。
【0019】
可変ピッチを提供する好ましい方法は、シートの前進を徐々に変えることである。例えば、列間の間隔を徐々に増やしてから、元の値に戻すことができる(例えば、最初の間隔が500ミルの場合、鋸歯の波形のように1ミル〜15ミルだけ増やしてから最初の間隔に戻すか、又はこの変化は正弦波状若しくは三角波状であってもよく、又は不規則であってもよい。)可変ピッチを有することによって、入れ子状になる可能性が大幅に低減し得る。
【0020】
エキスパンドメタルシートは、1つのローラ又は1対のローラ121によって平坦にすることができる。シートはかなりの程度まで圧縮する必要はなく、平坦にすることによって開口を閉じるようになるまで圧縮しないことが好ましい。映像制御システムのカメラ(又は第2のカメラ又は第3のカメラ)は、平坦化ステップが行なわれる場所よりも後ろに配置することができ、この場合、平坦化の程度を調整すること、及び開口が結果として閉じることは、所望の開領域を達成するように調整することができるさらなるパラメータであることを理解されたい。バリを平坦化することは2つの目的を達成する。バリは摩擦接触が高い領域を提供し、平坦なエキスパンドメタルシートは、ロール巻きにされるか丸められた場合に自身と当接してより容易に滑ることができる。平坦化の結果として表面積が増えることは、接触領域が増えることに起因する溶接電流の増加及びより高い溶接強度を可能にする。
【0021】
自動車のエアバッグインフレータ用のフィルタの製造において、1つのフィルタの幾何学的形状は、多孔質壁を有する円筒形である。そのような装置を作製するために、続けて
図1を参照して、平坦なエキスパンドメタルシートは、切断されて(123)、異なる開領域を有する場合がある別の(平坦な)エキスパンドメタルシート127に重ねて配置することができる個々の片125になり、溶接機129(好ましくは電気溶接によって)互いに取り付けられる。接合した複合シートは次いで、ロール巻きにされて円筒体131になり、メッシュの縁が溶接機133によって円筒体に固定される。適切なID及びOD(内径及び外径)を作り出すために、溶接されたメッシュの円筒体135は、任意選択的に可動内壁を有する雌型137内に配置されて、任意選択的に拡張可能なマンドレル139が円筒体の中心孔に挿入される。最終的なフィルタの所望のID及びODは、円筒体を冷間成形して所望の半径方向形状及び寸法にする、任意選択的に拡張可能なマンドレルと、任意選択的に収縮する金型との組み合わせによって達成される。
【0022】
平坦なエキスパンドメタルシートの複数回の巻き付けから形成されるこれらのフィルタの製造において、穿孔が入れ子状になることは観察されなかった。入れ子状になることを低減すると共にバリをなくすことによって、所与の半径方向距離内により多くのフィルタ層があることが可能となる。したがって、設計によって特定のODが必要とされる場合、より大きいIDを提供することができ、同様に、特定のIDの結果としてより小さいODとなり、よって、全体としてより小さい装置が得られる。半径方向に隣接する開口の入れ子状態に起因するシートの整合のずれは、フィルタ端(円筒体の上部及び/又は底部)の寸法を仕様から外れるものにしないものの、隣接するフィルタ層間に開路(open channel)を提供する可能性があるため、入れ子状態はやはり悪影響を与えるものである。隣接する層の開口がほとんど整合していても、バリがないことによって開口が整合し(1つの開口のバリは隣接する開口に入り込む(settling into))、したがってフィルタリングキャパシティを低下させる傾向がなくなる。
【0023】
平坦なシートの溶接強度は、シートが平坦ではない場合に達成される強度の2倍である。スポット溶接は通常、溶接電流がオペレータによって調整される機械によって自動化されている。平坦ではないエキスパンドメタルシートを溶接する場合、バリ領域が均一ではなく、溶接電流が流れる接触表面積が溶接のたびに変わるため、固定電流を設定することは不均一な(inconsistent)溶接につながる。エキスパンドメタルシートを平坦にする場合、表面積が大きくなることによってより大きい溶接電流を使用することができる。平坦なエキスパンドメタルシートを溶接する溶接電流を2倍にすることによって、バリを有するシートの溶接強度の2倍以上の溶接強度となり、より一貫した溶接強度ももたらされることが分かった。
【0024】
上述のフィルタは、円筒体にロール巻きにされる2つのエキスパンドメタルシートから作製される。ロール巻きにする間、フィルタが複数の反復層(repeating layers)、又はそれぞれ異なる半径方向距離にある異なる中間層を有するように1つ又は複数の中間層を加えることができる。例えば、
図2は、ロール巻きにされた円筒形のフィルタの端(又は断面)を示し、この場合、第1の平坦なエキスパンドメタルシート201が、溶接部205によって第2の平坦なエキスパンドメタルシート203に接合されており、ロール巻きは第1のシートから始まっている。ロール巻きの所定の位置又は量において、織物207が層間に挿入されており、所定位置から半径方向外方の位置において、金属スクリーン209が金属シートの層間に挿入されている。金属シートの最外層は、溶接部211によって自身に取り付けられている。このように形成されたフィルタは、異なる材料の複数のろ過層を有する。
【0025】
図3Aは、穿孔及び拡張されており、且つ穿孔されていない領域305間に配置されている部分303を有するエキスパンドメタルシート301を示す。中実の(穿孔されていない)領域の後で穴開けが再開される場合、中実の領域が穿孔される領域の下流にあるときにパンチがシートを2つに切断する傾向を回避するために、シートを穿孔しないことが好ましい最初のいくつかの穴開けによって徐々に開始することが好ましい。シートは、元のシートによって形成される長縁Lと、(
図1に示すような)大きいシートの一部として切断されている短縁Sとを有する。エアバッグ設計によっては、(爆発若しくは圧縮ガスのいずれかによって、又はそれらの組み合わせによって)膨張したガスが、特定の方向に向かって流れることを必要とする。例えば、カーテン型のエアバッグは、ガスが線形の範囲に沿って方向付けられることを必要とし得る。代替的には、エアバッグアセンブリが設置されている領域は、エアバッグとの流体連通に利用可能な部分しか有しない場合がある。
図3Aのシートは、短い辺を接続する線をその軸として使用してロール巻きにすることができる。この場合、長い辺は、
図3Bに示す幾何学的形状を有するフィルタを形成するように重ねられて溶接され、ここで、フィルタの両端は穿孔されず、中心セクションのみが穿孔される。代替的には、シートは、その長い辺を接続する線を軸として使用してロール巻きにすることができ、これは結果として
図3Cに示す幾何学的形状となる。シート301は、1つの穿孔セクションを有するものとして示されているが、穿孔されていないセクションによって分離されている複数の穿孔セクションを、(これらの領域には穴を開けないことによって)作製し、
図3Bに示すようなフィルタを形成することができるが、図示の1つの穿孔バンドとは対照的に、
図4Aに示すように、穿孔されていない領域によって分離されている2つの穿孔バンドを有するフィルタも形成することができる。前述の例を鑑みて、種々の部分を穿孔するか又は穿孔しないままにしてもよく、シートは、ガス流を所望に応じて方向付けるために所定の領域にのみ穿孔を有する筒状フィルタを提供するように切断してロール巻きにすることができることが明らかである。
【0026】
開口のパターンは、パンチのビットの構成と、シートの直線的な進行に応じた穴開け速度とによって決定される。入れ子状になることを回避することは、この基本的な設計を様々に変更することによって達成され得る。前述したように、複数のパンチは異なるビットの構成(例えば他のパンチ(複数可)から横方向にずれている)を有する。穴開け速度は、上述したように、隣接する開口間の距離(ピッチ)を増やすように変更し、次いで元に戻して繰り返すことができる。例えば、シートの進行は、分離が15ミルになるまで、ピッチが先に穴を開けた列から1ミルだけ増えるように調整することができ、次いで、プロセスを、(それぞれ1ミルづつ減るように)反対にするか、又は再び最初から開始する。特定のフィルタの仕様を考えると、ピッチは、半径方向に隣接する開口が入れ子状にならないように、ロール巻きにされたフィルタのシートの所与の部分によって画定される外周に応じて様々であり得る。入れ子状になることを防止するさらに別の方法は、各列が前の列から横方向にずれるように1つ又は複数のパンチを横方向に割り出し移動させることによるものである。他の方法と同様に、パンチは、定量だけ前後に、すなわち、所望のずれが達成されるまで一方向に所定の量だけ割り出し移動させてから戻すことができる。例えば、所与の列の(開口の)中心間距離を使用して、次の列は、次のパンチを横方向に30%ずらして、それに続くパンチをさらに30%ずらして位置合わせする等して、所定の回数ずらして位置合わせして元の位置に位置合わせすることができる。フィルタのシートのいずれかの部分の位置を知ることは、フィルタの仕様に基づいているため、半径方向に隣接する開口が入れ子状になることを回避するように開口をどのように変える必要があるかを求める計算が簡単になる。以下に記載する方法を含む、これらの技法のいずれか1つ又は組み合わせを使用して、入れ子状になる可能性を低減することができる。
【0027】
入れ子状になることを低減するさらに別の方法は、開口のサイズを変えることである。好ましくは、任意の列の開口のサイズは、穴を開けられる毎に、2回毎に、又は所望の回数、パンチの停止位置を変えること等、穴開け深さを変えることによって変えることができる。2つ以上のパンチが使用される場合、それぞれのパンチは、異なる穴開け深さに設定されるか、且つ/又は別のパンチとは異なるサイズのビットを有するか、且つ/又は異なる幾何学的形状のビットを有し得る。
【0028】
本発明のエキスパンドメタル物品はワイヤ巻線と組み合わせることができる。例えば、所望通りに穿孔されたシートをマンドレルに巻き付けることによって両端部を当接させ、次いでワイヤをこの穿孔された基材の周りに所望のパターンで巻き付ける。この巻線は、中実の(穿孔されていない)領域を強化し、面取りされた(champfered)端を提供し、且つ/又は穿孔を部分的に覆うことができる。ワイヤの巻き付けは、シートの縁を溶接する必要をなくす。
図4Bは、ワイヤが巻き付けられている3つの別個の領域307を有する
図4Aの装置を示す。ワイヤは、ガス装填の爆発力に抵抗する際の装置の強度を増加させる。巻線309が面取りされた端(又は面取りされた端に近似する)の幾何学的形状を提供する一端が示されている。穿孔シートに巻き付けるワイヤは、ワイヤの巻き付けを固定するために焼結するか又は蝋付けすることができる。巻線は、既存の穿孔の上に巻かれると、有効な開口空間(すなわち結果として生じる圧力降下)を所望の程度までさらに増加させるか又は調整するのに使用することができる。
【0029】
本発明は、エアバッグアセンブリ用のフィルタを特に参照して説明したが、電極等、そのような物品は他の用途があり、編みこまれたエアバッグフィルタで使用される畳み織り(Dutch wave)の代わりに用いられる。始めにより薄いシートが使用されるため、より小さい孔が可能であり、「微小」エキスパンドメタルの製造が可能となる。特定の従来技術の穿孔された金属シートフィルタは、さらなるろ過のためにセラミックペーパの中間層を使用している。その代わりに、微小エキスパンドメタルシート(厚さが10ミル未満の箔であると考えられる程十分薄い)を、セラミックペーパの代わりに用いることができる。本発明によって製造された物品はろ過に有用である。
【0030】
上記の説明は、例示として意図されており、限定するものとしては意図されていない。様々な変更、修正、及び追加が、本明細書を読むと当業者には明らかになるであろう。そのような変更、修正、及び追加は、特許請求の範囲によって規定されるような本発明の範囲及び精神内にあるものと意図されている。