特許第5730986号(P5730986)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5730986
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】プラスグレル塩の結晶性形態
(51)【国際特許分類】
   C07D 495/04 20060101AFI20150521BHJP
   A61K 31/4365 20060101ALI20150521BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
   C07D495/04 105A
   C07D495/04CSP
   A61K31/4365
   A61P7/02
【請求項の数】12
【全頁数】45
(21)【出願番号】特願2013-503957(P2013-503957)
(86)(22)【出願日】2011年4月7日
(65)【公表番号】特表2013-523837(P2013-523837A)
(43)【公表日】2013年6月17日
(86)【国際出願番号】US2011031602
(87)【国際公開番号】WO2011127300
(87)【国際公開日】20111013
【審査請求日】2012年12月4日
(31)【優先権主張番号】61/348,914
(32)【優先日】2010年5月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/326,882
(32)【優先日】2010年4月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/355,304
(32)【優先日】2010年6月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/322,165
(32)【優先日】2010年4月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501079705
【氏名又は名称】テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ミハエラ・トゥクサール
(72)【発明者】
【氏名】トミスラフ・ビリャン
(72)【発明者】
【氏名】ミロスラフ・ジェガラック
【審査官】 前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第101255169(CN,A)
【文献】 特表2009−541385(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/057593(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/057592(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/004392(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/114526(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 495/00
A61K 31/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
7.8、14.4、16.9、22.0および25.1度2θ±0.2度2θにピークを有するX線粉末回折パターン7.1、11.2、63.6、123.7および203.4±0.2ppmにてピークを有する固体13C NMRスペクトル、図23に示される固体13C NMRスペクトル、ならびにこれらの組み合わせから選択されるデータによって特徴付けられる、結晶性形態Iのプラスグレル臭化水素酸塩。
【請求項2】
13.5、19.9、23.6、27.0および29.7度2θ±0.2度2θに追加のピークを有する粉末XRDパターンによって更に特徴付けられる、請求項1に記載の結晶性形態Iのプラスグレル臭化水素酸塩。
【請求項3】
無水物である、請求項1又は2に記載の結晶性形態Iのプラスグレル臭化水素酸塩。
【請求項4】
7.9、8.1、13.5、14.6および25.2度2θ±0.2度2θにピークを有するX線粉末回折パターンおよびこれらの組み合わせから選択されるデータによって特徴付けられる、結晶性形態IAのプラスグレル臭化水素酸塩。
【請求項5】
16.8、21.4、23.7、24.9および27.2度2θ±0.2度2θに追加のピークを有する粉末XRDパターンによって更に特徴付けられる、請求項4に記載の結晶性形態IAのプラスグレル臭化水素酸塩。
【請求項6】
無水物である、請求項4又は5に記載の結晶性形態IAのプラスグレル臭化水素酸塩。
【請求項7】
医薬組成物の製造における、請求項1から6のいずれか一項に記載の少なくとも1つの結晶性形態の使用。
【請求項8】
プラスグレル塩酸塩の製造における、請求項1から6のいずれか一項に記載の結晶性形態の使用。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか一項に記載の結晶性形態を含む薬剤。
【請求項10】
血小板の凝集を抑制するための請求項9記載の薬剤。
【請求項11】
請求項1から6のいずれか一項に記載の少なくとも1つの結晶性形態、および少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項12】
請求項1から6のいずれか一項に記載の結晶性形態のいずれか1つを本発明の方法によって調製し、それをプラスグレル塩酸塩に転換することを含む、プラスグレル塩酸塩を調製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2010年4月8日に出願された米国特許仮出願番号第61/322,165号、2010年4月22日に出願された米国特許仮出願番号第61/326,882号、2010年5月27日に出願された米国特許仮出願番号第61/348,914号、および2010年6月16日に出願された米国特許仮出願番号第61/355,304号の優先権を享受し、これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、プラスグレル塩、それらの固体状態の形態、それらの調製およびそれらの医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
プラスグレル(式I)[CAS番号:150322−43−3]は、化学名5−(2−シクロプロピル−1−(2−フルオロフェニル)−2−オキソエチル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]−ピリジン−2−イルアセテートを有する。
【化1】
【0004】
プラスグレルは、ADP(アデノシン二リン酸)受容体抑制剤のチエノピリジンクラスからの血小板凝集抑制剤である。これらの抑制剤は、P2Y12受容体に不可逆的に結合することによって血小板の凝集または集塊を減らす。
【0005】
プラスグレル、およびそれらの塩は、いくつかの固体状態形態において、米国特許第5,288,726号明細書、同第6,693,115号明細書、国際公開第2007/114526号、同第2008/000418号、同第2009/062044号、中国特許第101255169号、国際公開第2010/015144号、同第2009/066326号、同第2009/098142号、同第2009/129983号、同第2009/130289号、中国特許第10/899056号、英国特許第2469883号、国際公開第2010/070677号、同第2010/111951号、同第2010/094471号および同第2011/004392号に記載されている。
【0006】
種々の結晶形態(crystal form)が出現する多形性は、一部の分子および分子錯体の特性である。単一分子または分子錯体、例えばプラスグレル塩酸塩、プラスグレル臭化水素酸塩、プラスグレルリン酸塩、プラスグレル硫酸水素塩またはプラスグレル硝酸塩は、区別可能な結晶構造および物理的特性、例えば融点、熱的挙動(例えば、熱重量分析−「TGA」、または示差走査熱量測定−「DSC」によって測定される)、X線回折パターン、例えば粉末X線回折(PXRD)、赤外線吸収フィンガープリント(IR)、および固体NMRスペクトルを有する多様な多形体を生じる場合がある。1つ以上のこれらの技術は、化合物の種々の多形形態を区別するために使用されてもよい。
【0007】
医薬品の新しい多形形態および溶媒和物を開発することは、所望の処理加工特性、例えば取り扱い容易性、処理加工容易性、貯蔵安定性、精製容易性を有する材料、または他の多形形態への転換を促進する所望の中間結晶形態としての材料を提供できる。医薬的に有用な化合物またはそれらの塩の新しい多形形態および溶媒和物はまた、医薬品の性能特徴を改善する機会を提供できる。これはまた、製剤研究者(formulation scientist)が、例えば製品に種々の特性、例えば良好な処理加工または取り扱い特徴、改善された溶解プロファイル、または改善された貯蔵寿命を提供することによって、製剤の最適化のために利用可能な材料のレパートリーを拡大するように作用する。少なくともこれらの理由に関し、当該技術分野において、プラスグレル塩酸塩、プラスグレル臭化水素酸塩、プラスグレルリン酸塩、プラスグレル硫酸水素塩およびプラスグレル硝酸塩の新しい多形形態が必要とされている。
【0008】
本発明は、プラスグレルリン酸塩、プラスグレル硝酸塩、プラスグレル塩酸塩、プラスグレル臭化水素酸塩、プラスグレルリン酸塩、プラスグレル硫酸水素塩およびプラスグレル硝酸塩の固体状態の物理的特性を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,288,726号明細書
【特許文献2】米国特許第6,693,115号明細書
【特許文献3】国際公開第2007/114526号
【特許文献4】国際公開第2008/000418号
【特許文献5】国際公開第2009/062044号
【特許文献6】中国特許第101255169号
【特許文献7】国際公開第2010/015144号
【特許文献8】国際公開第2009/066326号
【特許文献9】国際公開第2009/098142号
【特許文献10】国際公開第2009/129983号
【特許文献11】国際公開第2009/130289号
【特許文献12】中国特許第10/899056号
【特許文献13】英国特許第2469883号
【特許文献14】国際公開第2010/070677号
【特許文献15】国際公開第2010/111951号
【特許文献16】国際公開第2010/094471号
【特許文献17】国際公開第2011/004392号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
1つの実施形態によれば、本発明は、プラスグレル硝酸塩およびプラスグレルリン酸塩を包含する。
【0011】
別の実施形態において、本発明は、プラスグレル塩酸塩、プラスグレル臭化水素酸塩、プラスグレルリン酸塩、プラスグレル硫酸水素塩およびプラスグレル硝酸塩の結晶形態を包含する。
【0012】
別の実施形態において、本発明は、上記で記載された塩および結晶形態のいずれか、ならびに少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を包含する。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、製剤の調製のために上記で記載された塩および結晶形態のいずれかの使用を提供する。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、上記で記載された塩および結晶形態のいずれかの、プラスグレル塩酸塩の調製のための使用を包含する。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、血小板の凝集(「集塊」)を低減するための上記医薬組成物のいずれかの使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】結晶性プラスグレル塩酸塩ニトロメタン溶媒和物についてのX線粉末回折パターンを示す。
図2】結晶性プラスグレル塩酸塩の形態FについてのX線粉末回折パターンを示す。
図3】結晶性プラスグレル硝酸塩についてのX線粉末回折パターンを示す。
図4】結晶性プラスグレル臭化水素酸塩形態IIについてのX線粉末回折パターンを示す。
図5】結晶性プラスグレル臭化水素酸塩形態IIIについてのX線粉末回折パターンを示す。
図6】結晶性プラスグレル臭化水素酸塩形態IについてのX線粉末回折パターンを示す。
図7】結晶性プラスグレル臭化水素酸塩形態IVについてのX線粉末回折パターンを示す。
図8】結晶性プラスグレル臭化水素酸塩形態VについてのX線粉末回折パターンを示す。
図9】結晶性プラスグレル臭化水素酸塩形態VIについてのX線粉末回折パターンを示す。
図10】結晶性プラスグレル臭化水素酸塩形態VIIについてのX線粉末回折パターンを示す。
図11】結晶性プラスグレル臭化水素酸塩形態IAについてのX線粉末回折パターンを示す。
図12】結晶性プラスグレル臭化水素酸塩形態VIIIについてのX線粉末回折パターンを示す。
図13】結晶性プラスグレル臭化水素酸塩形態IXについてのX線粉末回折パターンを示す。
図14】結晶性プラスグレル臭化水素酸塩形態XについてのX線粉末回折パターンを示す。
図15】結晶性プラスグレル臭化水素酸塩形態XIについてのX線粉末回折パターンを示す。
図16】結晶性プラスグレル臭化水素酸塩形態XIIについてのX線粉末回折パターンを示す。
図17】結晶性プラスグレル臭化水素酸塩形態XIIIについてのX線粉末回折パターンを示す。
図18】結晶性プラスグレルリン酸塩形態P1についてのX線粉末回折パターンを示す。
図19】結晶性プラスグレルリン酸塩形態P2についてのX線粉末回折パターンを示す。
図20】結晶性プラスグレル硫酸水素塩形態S1についてのX線粉末回折パターンを示す。
図21】結晶性プラスグレル硫酸水素塩形態S2についてのX線粉末回折パターンを示す。
図22】結晶性プラスグレル硫酸水素塩形態S3についてのX線粉末回折パターンを示す。
図23】結晶性プラスグレル臭化水素酸塩形態Iについての固体13C NMRスペクトルを示す。
図24】結晶性プラスグレル臭化水素酸塩形態IIIについての固体13C NMRスペクトルを示す。
図25】結晶性プラスグレル臭化水素酸塩形態VIIについての固体13C NMRスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書で使用される場合、「室温」という用語は、約20℃〜約30℃の温度を指す。通常室温は、約20℃〜約25℃の範囲である。
【0018】
本明細書で使用される場合、「一晩」という用語は、約15〜約20時間、通常約16〜約20時間の期間を指す。
【0019】
本明細書で使用される場合、特に指示されない限り、「無水(の)(anhydrous)」という用語は、結晶性プラスグレル臭化水素酸塩形態IおよびIAに関連して、TGAによって測定される場合に1%(w/w)以下の水または有機溶媒のいずれかを含有する結晶性プラスグレル臭化水素酸塩形態IおよびIAに関する。
【0020】
結晶形態は、本明細書において、実質的に図「に示される」図形データによって特徴付けられるものを指す場合がある。こうしたデータは、例えば粉末X線回折図形および固体NMRスペクトルを含む。当業者は、こうしたデータの図形表示は、軽微の変動、例えば当業者にとっては周知である機器応答における変動ならびにサンプル濃度および純度における変動のような種々の要因によるピーク比較強度およびピーク位置における変動を受け易い場合があることを理解する。それにもかかわらず、当業者は、容易に、本明細書の図面における図形データを、未知の結晶形態について得られた図形データと比較することができ、図形データの2つの組が、同じ結晶形態または2つの異なる形態を特徴付けているかどうかを確認する。
【0021】
プラスグレル塩酸塩、プラスグレル臭化水素酸塩、プラスグレルリン酸塩、プラスグレル硫酸水素塩およびプラスグレル硝酸塩の結晶性形態(crystalline form)は、以下の少なくとも1つから選択される有利な特性を有する:化学純度、流動性、溶解性、モルホロジーまたは結晶挙動、安定性−例えば貯蔵安定性、脱水に対する安定性、多形転換に対する安定性、低吸湿性、および低含有量の残留溶媒。
【0022】
本明細書に記載される結晶性形態IおよびIAのプラスグレル臭化水素酸塩は、活性剤またはプラスグレルの他の塩を調製するための出発材料として有利である。特に、結晶性形態IおよびIAは、他のプラスグレル形態と比較して有利な特性を有する。例えば、形態IおよびIAのプラスグレル臭化水素酸塩は、例えばプラスグレル塩酸塩に比べて、例えば化学的分解に関して安定性を示す。
【0023】
本発明のいずれかの実施形態において、「実質的に含まない」とは、本発明の形態が、20%(w/w)以下、10%(w/w)以下、5%(w/w)以下、2%(w/w)以下、特に1%(w/w)以下、より詳細には0.5%(w/w)以下、最も詳細には0.2%(w/w)以下のプラスグレルのいずれかの他の多形体または特定多形体のいずれかを含有することを意味する。他の実施形態において、本発明のプラスグレル塩の多形体は、1%〜20%(w/w)、5%〜20%(w/w)、または5%〜10%(w/w)のプラスグレルのいずれかの他の多形体または特定多形体を含有する。
【0024】
本発明は、流動性、溶解性、モルホロジーまたは結晶挙動、安定性−例えば貯蔵安定性、脱水に対する安定性、多形転換に対する安定性−および低吸湿性の少なくとも1つから選択される有利な特性を有する、プラスグレルの塩および結晶性形態、特にプラスグレル塩酸塩、プラスグレル臭化水素酸塩、プラスグレルリン酸塩、プラスグレル硫酸水素塩およびプラスグレル硝酸塩を提供することによって、当該技術分野における必要性に対処する。
【0025】
1つの実施形態では、本発明は、プラスグレル硝酸塩およびプラスグレルリン酸塩を提供する。
【0026】
1つの実施形態では、本発明は、プラスグレル塩酸塩ニトロメタン溶媒和物を提供する。好ましくは、プラスグレル塩酸塩ニトロメタン溶媒和物は、固体、より好ましくは結晶性の固体である。
【0027】
別の実施形態において、本発明は、8.4、10.2、13.8、21.7および23.8度2θ±0.2度2θにピークを有するX線粉末回折パターン、実質的に図1に示されるようなXRPDパターン、およびこれらの組み合わせから選択されるデータによって特徴付けられる、結晶性形態のプラスグレル塩酸塩ニトロメタン溶媒和物を提供する。結晶性形態のプラスグレル塩酸塩ニトロメタン溶媒和物はさらに、11.7、12.4、16.7、17.7および26.6度2θ±0.2度2θにて追加のピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられ得る。
【0028】
1つの実施形態では、本発明は、形態Fとして指定される、結晶性形態のプラスグレル塩酸塩を提供する。形態Fは、10.3、11.6、12.4、14.0および23.7度2θ±0.2度2θにピークを有するX線粉末回折パターン、図2に実質的に示されるようなXRPDパターン、およびこれらの組み合わせから選択されるデータによって特徴付けられることができる。結晶性プラスグレル塩酸塩酢酸溶媒和物の形態Fはさらに、8.5、16.0、18.6、18.9および23.3度2θ±0.2度2θに追加のピークを有する粉末XRDパターンによって特徴付けられることができる。好ましくは、形態Fのプラスグレル塩酸塩は、酢酸溶媒和物であり得る。
【0029】
本発明は、プラスグレル硝酸塩を提供する。好ましくはプラスグレル硝酸塩は固体であり、より好ましくは結晶性固体である。
【0030】
本発明はさらに、8.3、9.3、12.2、19.2および23.5度2θ±0.2度2θにピークを有するX線粉末回折パターン、図3に実質的に示されるようなXRPDパターン、およびこれらの組み合わせから選択されるデータによって特徴付けられる結晶性形態のプラスグレル硝酸塩を提供する。結晶性形態のプラスグレル硝酸塩はさらに、9.1、18.1、20.2、24.7および25.2度2θ±0.2度2θに追加のピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられることができる。好ましくは、結晶性形態のプラスグレル硝酸塩は、アセトン溶媒和物であることができる。
【0031】
本発明は、形態IIとして指定される結晶性形態のプラスグレル臭化水素酸塩を提供する。形態IIは、7.1、8.3、10.1、13.8および21.7度2θ±0.2度2θにピークを有するX線粉末回折パターン、図4に実質的に示されるようなXRPDパターン、およびこれらの組み合わせから選択されるデータによって特徴付けられることができる。結晶性形態IIはさらに、12.2、17.6、18.4、24.2および25.9度2θ±0.2度2θに追加のピークを有する粉末XRDパターンによって特徴付けられることができる。好ましくは結晶性形態IIのプラスグレル臭化水素酸塩は、アセトン溶媒和物であることができる。
【0032】
本発明は、形態IIIとして指定される結晶性形態のプラスグレル臭化水素酸塩を提供する。形態IIIは、8.0、8.4、12.6、18.2および20.5度2θ±0.2度2θにピークを有するX線粉末回折パターン、図5に実質的に示されるようなXRPDパターン、52.3、70.4、124.2、149.2および199.7±0.2ppmにてピークを有する固体13C NMRスペクトル、図24に実質的に示されるような固体13C NMRスペクトル、ならびにこれらの組み合わせから選択されるデータによって特徴付けられることができる。結晶性形態IIIはさらに、6.5、11.9、15.2、23.4および24.5度2θ±0.2度2θに追加のピークを有する粉末XRDパターンによって特徴付けられることができる。好ましくは、結晶性形態IIIのプラスグレル臭化水素酸塩は、2−プロパノール溶媒和物であることができる。
【0033】
本発明は、形態Iとして指定される結晶性形態のプラスグレル臭化水素酸塩を提供する。形態Iは、7.8、14.4、16.9、22.0および25.1度2θ±0.2度2θに追加のピークを有するX線粉末回折パターン、図6に実質的に示されるようなXRPDパターン、7.1、11.2、63.6、123.7および203.4±0.2ppmにてピークを有する固体13C NMRスペクトル、図23に実質的に示されるような固体13C NMRスペクトル、ならびにこれらの組み合わせから選択されるデータによって特徴付けられることができる。形態Iはさらに、13.5、19.9、23.6、27.0および29.7度2θ±0.2度2θに追加のピークを有する粉末XRDパターンによって特徴付けられることができる。好ましくは、結晶性形態Iのプラスグレル臭化水素酸塩は無水物であることができる。
【0034】
本発明は、形態IVとして指定される結晶性形態のプラスグレル臭化水素酸塩を提供する。形態IVは、8.5、12.8、13.0、20.7および24.7度2θ±0.2度2θにピークを有するX線粉末回折パターン、図7に実質的に示されるようなXRPDパターン、およびこれらの組み合わせから選択されるデータによって特徴付けられることができる。形態IVはさらに、8.0、18.3、22.9、26.1および27.2度2θ±0.2度2θに追加のピークを有する粉末XRDパターンによって特徴付けられることができる。好ましくは、結晶性形態IVのプラスグレル臭化水素酸塩は、エタノール溶媒和物であることができる。
【0035】
本発明は、形態Vとして指定される結晶性形態のプラスグレル臭化水素酸塩を提供する。形態Vは、7.1、8.5、17.2、17.8および23.5度2θ±0.2度2θにピークを有するX線粉末回折パターン、図8に実質的に示されるようなXRPDパターン、およびこれらの組み合わせから選択されるデータによって特徴付けられることができる。形態Vはさらに、10.2、11.5、12.3、18.4および23.1度2θ±0.2度2θに追加のピークを有する粉末XRDパターンによって特徴付けられることができる。好ましくは結晶性形態Vのプラスグレル臭化水素酸塩は、酢酸溶媒和物であることができる。
【0036】
本発明は、形態VIとして指定される結晶形態のプラスグレル臭化水素酸塩を提供する。形態VIは、7.9、8.3、11.8、18.1および20.4度2θ±0.2度2θにピークを有するX線粉末回折パターン、図9に実質的に示されるようなXRPDパターン、およびこれらの組み合わせから選択されるデータによって特徴付けられることができる。形態VIはさらに、16.7、19.6、22.4、25.1および25.9度2θ±0.2度2θに追加のピークを有する粉末XRDパターンによって特徴付けられることができる。好ましくは結晶性形態VIのプラスグレル臭化水素酸塩は、THF溶媒和物であり得る。
【0037】
本発明は、形態VIIとして指定される結晶性形態のプラスグレル臭化水素酸塩を提供する。形態VIIは、8.1、8.4、11.9、20.6および23.6度2θ±0.2度2θにピークを有するX線粉末回折パターン、図10に実質的に示されるようなXRPDパターン、20.8、30.4、36.4、110.2および125.9±0.2ppmにてピークを有する固体13C NMRスペクトル、図25に実質的に示されるような固体13C NMRスペクトル、ならびにこれらの組み合わせから選択されるデータによって特徴付けられることができる。形態VIIはさらに、12.7、13.0、15.4、22.8および26.2度2θ±0.2度2θに追加のピークを有する粉末XRDパターンによって特徴付けられることができる。好ましくは、結晶性形態VIIのプラスグレル臭化水素酸塩は、メチルエチルケトン(「MEK」)溶媒和物であり得る。
【0038】
本発明は、形態IAとして指定される結晶性形態のプラスグレル臭化水素酸塩を提供する。形態IAは、7.9、8.1、13.5、14.6および25.2度2θ±0.2度2θにピークを有するX線粉末回折パターン、図11に実質的に示されるようなXRPDパターン、およびこれらの組み合わせから選択されるデータによって特徴付けられることができる。形態IAはさらに、16.8、21.4、23.7、24.9および27.2度2θ±0.2度2θに追加のピークを有する粉末XRDパターンによって特徴付けられることができる。好ましくは結晶性形態IAのプラスグレル臭化水素酸塩は、無水物であり得る。
【0039】
本発明は、形態VIIIとして指定される結晶性形態のプラスグレル臭化水素酸塩を提供する。形態VIIIは、11.9、12.7、12.9、15.3および24.7度2θ±0.2度2θにピークを有するX線粉末回折パターン、図12に実質的に示されるようなXRPDパターン、およびこれらの組み合わせから選択されるデータによって特徴付けられることができる。形態VIIIはさらに、8.5、20.6、23.4、26.1および27.2度2θ±0.2度2θに追加のピークを有する粉末XRDパターンによって特徴付けられることができる。好ましくは結晶性形態VIIIのプラスグレル臭化水素酸塩は、1−ブタノール溶媒和物であり得る。
【0040】
本発明は、形態IXとして指定される結晶性形態のプラスグレル臭化水素酸塩を提供する。形態IXは、8.5、13.0、15.4、20.8および24.7度2θ±0.2度2θにピークを有するX線粉末回折パターン、図13に実質的に示されるようなXRPDパターン、およびこれらの組み合わせから選択されるデータによって特徴付けられることができる。形態IXはさらに、8.0、11.9、12.8、18.3および22.9度2θ±0.2度2θに追加のピークを有する粉末XRDパターンによって特徴付けられ得る。
【0041】
本発明は、形態Xとして指定される結晶性形態のプラスグレル臭化水素酸塩を提供する。形態Xは、10.3、12.4、14.0、18.0および18.7度2θ±0.2度2θにピークを有するX線粉末回折パターン、図14に実質的に示されるようなXRPDパターン、およびこれらの組み合わせから選択されるデータによって特徴付けられることができる。形態Xはさらに、7.2、14.5、22.1、24.8および26.3度2θ±0.2度2θに追加のピークを有する粉末XRDパターンによって特徴付けられ得る。
【0042】
本発明は、形態XIとして指定される結晶性形態のプラスグレル臭化水素酸塩を提供する。形態XIは、8.6、12.5、14.5、22.2および24.8度2θ±0.2度2θにピークを有するX線粉末回折パターン、図15に実質的に示されるようなXRPDパターン、およびこれらの組み合わせから選択されるデータによって特徴付けられることができる。形態XIはさらに、7.3、7.9、14.1、18.1および18.7度2θ±0.2度2θに追加のピークを有する粉末XRDパターンによって特徴付けられ得る。
【0043】
本発明は、形態XIIとして指定される結晶性形態のプラスグレル臭化水素酸塩を提供する。形態XIIは、8.3、12.6、12.9、20.4および23.5度2θ±0.2度2θにピークを有するX線粉末回折パターン、図16に実質的に示されるようなXRPDパターン、およびこれらの組み合わせから選択されるデータによって特徴付けられることができる。形態XIIはさらに、8.1、13.0、18.3、19.4および24.3度2θ±0.2度2θに追加のピークを有する粉末XRDパターンによって特徴付けられ得る。
【0044】
本発明は、形態XIIIとして指定される結晶性形態のプラスグレル臭化水素酸塩を提供する。形態XIIIは、8.0、8.3、11.9、15.2および20.2度2θ±0.2度2θにピークを有するX線粉末回折パターン、図17に実質的に示されるようなXRPDパターン、およびこれらの組み合わせから選択されるデータによって特徴付けられることができる。形態XIIIはさらに、12.4、13.0、17.5、18.3および23.4度2θ±0.2度2θに追加のピークを有する粉末XRDパターンによって特徴付けられることができる。通常、結晶性形態XIIIのプラスグレル臭化水素酸塩は、n−ブチルアセテート溶媒和物であり得る。
【0045】
本発明はさらに、形態P1として指定される結晶性形態のプラスグレルリン酸塩を提供する。形態P1は、6.7、8.0、15.0、20.3および26.5度2θ±0.2度2θにピークを有するX線粉末回折パターン、図18に実質的に示されるようなXRPDパターン、およびこれらの組み合わせから選択されるデータによって特徴付けられることができる。形態P1はさらに、10.1、10.6、14.2、22.3および25.9度2θ±0.2度2θに追加のピークを有する粉末XRDパターンによって特徴付けられ得る。
【0046】
本発明はさらに、形態P2として指定される結晶性形態のプラスグレルリン酸塩を提供する。形態P2は、6.6、8.1、16.2、20.0および22.9度2θ±0.2度2θにピークを有するX線粉末回折パターン、図19に実質的に示されるようなXRPDパターン、およびこれらの組み合わせから選択されるデータによって特徴付けられることができる。形態P2はさらに、12.3、13.2、17.0、18.3および24.8度2θ±0.2度2θに追加のピークを有する粉末XRDパターンによって特徴付けられ得る。
【0047】
本発明はまた、形態S1として指定される結晶性形態のプラスグレル硫酸水素塩を提供する。形態S1は、8.8、9.3、12.9、22.9および23.2度2θ±0.2度2θにピークを有するX線粉末回折パターン、図20に実質的に示されるようなXRPDパターン、およびこれらの組み合わせから選択されるデータによって特徴付けられることができる。形態S1はさらに、10.1、14.0、21.7、22.6および24.4度2θ±0.2度2θに追加のピークを有する粉末XRDパターンによって特徴付けられ得る。
【0048】
本発明はまた、形態S2として指定される結晶性形態のプラスグレル硫酸水素塩を提供する。形態S2は、8.2、9.5、9.9、18.3および24.5度2θ±0.2度2θにピークを有するX線粉末回折パターン、図21に実質的に示されるようなXRPDパターン、およびこれらの組み合わせから選択されるデータによって特徴付けられることができる。形態S2はさらに、12.2、14.6、16.2、19.8および25.1度2θ±0.2度2θに追加のピークを有する粉末XRDパターンによって特徴付けられ得る。
【0049】
本発明は、形態S3として指定される結晶性形態のプラスグレル硫酸水素塩を提供する。形態S3は、14.5、19.3、21.1、22.5および24.1度2θ±0.2度2θにピークを有するX線粉末回折パターン、図22に実質的に示されるようなXRPDパターン、およびこれらの組み合わせから選択されるデータによって特徴付けられることができる。形態S3はさらに、9.5、9.8、12.2、17.7および24.8度2θ±0.2度2θに追加のピークを有する粉末XRDパターンによって特徴付けられ得る。
【0050】
上記塩および固体状態形態のプラスグレルは、好ましくは血小板の凝集(「集塊」)を低減するための、プラスグレル塩酸塩およびそれらの製剤を調製するために使用できる。上記で記載された塩および結晶性形態は、プラスグレル塩を塩基と反応させ、プラスグレル塩基を得て、さらに塩酸と反応させてプラスグレル塩酸塩を得ることを含む方法によってプラスグレル塩酸塩に転換できる。この方法は、例えば米国特許第6693115B2号明細書の実施例1、3、4および6に従って行われ得る。
【0051】
本発明はさらに、上記で記載される塩および結晶性形態および少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物、2)医薬組成物の製造における、上記で記載される塩および結晶性形態のいずれか1つまたはそれらの組み合わせの使用、3)血小板の凝集(「集塊」)を低減するための上記医薬組成物のいずれか1つの使用、ならびに4)上記で記載される塩および結晶性形態の少なくとも1つの医薬的に有効な量を、処置が必要な被検体に投与することを含む、血小板の凝集(「集塊」)を抑制するための方法を包含する。この医薬組成物は、薬剤を調製するのに有用であり得る。本発明はまた、薬剤として使用するための上記で記載された塩および結晶性形態の少なくとも1つを提供する。
【0052】
特定の好ましい実施形態を参照して本発明を記載したが、他の実施形態もまた、本明細書を考慮することにより当業者に当然明らかとなる。本発明はさらに、本発明の組成物の調製および使用の方法を詳細に記載した以下の実施例を参照することによって明確となる。材料および方法の両方にとって多くの変形が、本発明の範囲から逸脱することなく、実施され得ることが当業者には明らかである。
【0053】
計器装備
X線粉末回折:
X線粉末回折(XRPD)は、X’Celerator検出器(有効長さ2θ=2.022°)を備えたPhilips X’Pert PRO粉末回折装置(CuKα放射線、実験室温度22〜25℃にてλ=1.54184Å)にて行った。分析前に、微粉末を得るためにサンプルをすり鉢とすりこぎとを用いて徐々に挽き、シリコン製ゼロバックグラウンドホルダーに直接適用した。スキャンニングパラメータは:範囲3〜40度2θ、スキャンモード:連続スキャン、ステップサイズ:0.0167°、およびステップあたりの時間:37秒であった。
【0054】
記載されたピーク位置を、測定されたサンプルとの混合物中の内部標準としてケイ素粉末を用いて決定した。ケイ素(Si)ピークの位置をシリコン理論ピーク:28.45度2θに補正し、測定されたピークの位置をそれぞれ補正した。
【0055】
固体13C NMR:
固体13C NMRスペクトルは、125MHzおよび周囲温度(約25℃−制御なし)において操作するBRUKER Avance II+分光器を用いて、可変振幅交差分極、マジック角スピニングおよび高電力プロトンデカップリングで記録した。4mm o.d.のジルコニアローターを用いるプローブを使用した。操作条件は:接触時間2ms、形態Iについてリサイクル遅延:25sの256スキャン、形態IIIおよびVIIについてリサイクル遅延5sの1024スキャン、スピン速度11kHzであった。化学シフトは、グリシンの置換サンプルを介して参照した(テトラメチルシランのシグナルに対して176.03ppmとして割り当てられるカルボキシル炭素化学シフト)。
【実施例】
【0056】
参照実施例:
プラスグレル塩酸塩の形態AおよびBならびにプラスグレル塩基は、参考として本明細書に組み込まれる米国特許第6,693,115号明細書の実施例1、3および参照実施例1(それぞれ)に従って調製されてもよい。
【0057】
実施例1:プラスグレル塩酸塩ニトロメタン溶媒和物の調製
プラスグレル塩酸塩(30mg)を、瓶において60℃に加熱することによって0.5mlのニトロメタン中に溶解させた。この瓶を密封し、25℃に静置して結晶化させた。3日後、白色結晶が得られた。結晶のXRPDパターンを図1に示す。
【0058】
実施例2:結晶性プラスグレル塩酸塩形態F、酢酸溶媒和物の調製
プラスグレル塩酸塩(35mg)を、24℃にて0.5mlの無水酢酸に溶解させた。溶液上方の雰囲気を窒素を用いて不活性化し続け、この瓶を密封し、窒素下24℃にて静置し、結晶化させた。5日後、白色結晶が得られた。
【0059】
実施例3:結晶性プラスグレル塩酸塩形態F、酢酸溶媒和物の調製
プラスグレル塩基(10mg)を、試験管において、24℃にて、150μlのtert−ブチルアセテート中に溶解させた。氷酢酸(0.025ml)およびクロロトリメチルシラン(0.025ml)を溶液に添加した。クロロトリメチルシランを添加直後に、白色沈殿物が得られた。試験管を振とう後、沈殿物が油滴になった。試験管を密封し、24℃にて静置して結晶化させた。2日後、白色結晶が得られた。
【0060】
実施例4:結晶性プラスグレル塩酸塩形態F、酢酸溶媒和物の調製
プラスグレル塩基(10mg)を、試験管において、約60℃に加熱することによって150μlのイソプロピルアセテート中に溶解させた。氷酢酸(0.025ml)およびクロロトリメチルシラン(0.025ml)を24℃にて溶液に添加した。クロロトリメチルシランの添加直後、白色沈殿物が得られた。試験管を振とう後、沈殿物は油滴になった。試験管を密封し、24℃にて静置し、結晶化した。2日後、白色結晶が得られた。
【0061】
実施例5:結晶性プラスグレル塩酸塩形態F、酢酸溶媒和物の調製
プラスグレル塩基(10mg)を、試験管において、約40℃に加熱することによって、150μlのメチルtert−ブチルエーテル中に溶解させた。氷酢酸(0.025ml)およびクロロトリメチルシラン(0.025ml)を、24℃にてこの溶液に添加した。クロロトリメチルシランを添加直後、白色沈殿物が得られた。試験管を振とう後、沈殿物は油滴になった。試験管を密封し、24℃にて静置し、結晶化させた。2日後、白色結晶が得られた。
【0062】
実施例6:結晶性プラスグレル塩酸塩形態F、酢酸溶媒和物の調製
プラスグレル塩基(10mg)を、試験管において、約50℃に加熱することによって、150μlのテトラクロロメタン中に溶解させた。氷酢酸(0.025ml)およびクロロトリメチルシラン(0.025ml)を、24℃にて溶液に添加した。クロロトリメチルシランの添加直後に、白色沈殿物が得られた。試験管を振とう後、沈殿物は油滴になった。試験管を密封し、24℃に静置し、結晶化させた。2日後に、白色結晶が得られた。
【0063】
実施例7:結晶性プラスグレル塩酸塩形態F、酢酸溶媒和物の調製
プラスグレル塩基(10mg)を、試験管において、約70℃に加熱することによって、150μlのp−シモール中に懸濁させた。透明溶液をデカントした。氷酢酸(0.025ml)およびクロロトリメチルシラン(0.025ml)を、24℃にて溶液に添加した。クロロトリメチルシランの添加直後、白色沈殿物が得られた。試験管を振とう後、沈殿物は油滴になった。試験管を密封し、24℃にて静置し、結晶化させた。2日後、白色結晶が得られた。
【0064】
実施例8:結晶性プラスグレル塩酸塩形態F、酢酸溶媒和物の調製
プラスグレル塩基(10mg)、試験管において、約60℃に加熱することによって、150μlのエチルアセテート中に溶解させた。氷酢酸(0.025ml)およびクロロトリメチルシラン(0.025ml)を、24℃にて溶液に添加した。クロロトリメチルシランの添加直後、白色沈殿物が得られた。試験管を振とう後、沈殿物は油滴になった。試験管を密封し、24℃にて静置し、結晶化させた。2日後、白色結晶が得られた。
【0065】
実施例9:結晶性プラスグレル塩酸塩形態F、酢酸溶媒和物の調製
プラスグレル塩基(10mg)を、試験管において、約60℃に加熱することによって、150μlのメシチレン中に溶解させた。氷酢酸(0.025ml)およびクロロトリメチルシラン(0.025ml)を24℃にて溶液中に添加した。クロロトリメチルシランの添加直後、白色沈殿物が得られた。試験管を振とう後、沈殿物は油滴になった。試験管を密封し、24℃にて静置し、結晶化させた。2日後、白色結晶が得られた。
【0066】
実施例10:結晶性プラスグレル塩酸塩形態F、酢酸溶媒和物の調製
プラスグレル塩基(10mg)を、試験管において、約60℃に加熱することによって、150μlのイソブチルアセテート中に溶解させた。氷酢酸(0.025ml)およびクロロトリメチルシラン(0.025ml)を24℃にて溶液中に添加した。クロロトリメチルシランの添加直後、白色沈殿物が得られた。試験管を振とう後、沈殿物は油滴になった。試験管を密封し、24℃に静置し、結晶化させた。2日後、白色結晶が得られた。
【0067】
実施例11:結晶性プラスグレル塩酸塩形態F、酢酸溶媒和物の調製
プラスグレル塩酸塩形態B(199mg)を、70℃にて9mlの酢酸無水物中に溶解させた。溶液を室温(20〜25℃)に冷却させ、6時間撹拌した。次いで、溶液を、プラスグレル塩酸塩形態Fのいくつかの結晶を用いてシード化し、一晩静置して、室温(20〜25℃)で撹拌した。希薄懸濁液を0〜5℃で24時間撹拌した。形成された結晶をろ過により回収した。結晶を室温で一晩乾燥させた。オフホワイト色のプラスグレル塩酸塩形態Fの結晶が得られた。収率:45.2%。
【0068】
実施例12:結晶性プラスグレル塩酸塩形態F、酢酸溶媒和物の調製
プラスグレル塩酸塩形態B(200mg)を、50℃にて1mlの氷酢酸中に溶解させた。次いで溶液を室温(20〜25℃)まで冷却させ、4時間静置し、結晶化させた。得られた懸濁液をろ過し、ろ過された結晶を0.3mlの氷酢酸で洗浄した。結晶を室温(20〜25℃)にて一晩乾燥させた。オフホワイト色のプラスグレル塩酸塩形態Fの結晶が得られた。収率:63.5%。
【0069】
実施例13:結晶性プラスグレル塩酸塩形態F、酢酸溶媒和物の調製
プラスグレル塩酸塩形態B(1.0g)を、40℃にて4mlの氷酢酸中に溶解させ、室温(20〜25℃)まで冷却し、3時間静置し、結晶化させた。得られた懸濁液をろ過し、結晶を2.0mlの氷酢酸で洗浄した。結晶を室温(20〜25℃)で一晩乾燥させた。オフホワイト色のプラスグレル塩酸塩形態Fの結晶が得られた。収率:90.8%。
【0070】
実施例14:結晶性プラスグレル塩酸塩形態F、酢酸溶媒和物の調製
プラスグレル塩酸塩形態B(499mg)を、室温(20〜25℃)にて3mlの氷酢酸中に懸濁させた。希薄懸濁液を室温で3時間撹拌して結晶化させ、次いでろ過した。ろ過された結晶を1mlの氷酢酸で洗浄した。オフホワイト色のプラスグレル塩酸塩形態Fの結晶が得られた。収率:83.8%。
【0071】
実施例15:結晶性プラスグレル塩酸塩形態F、酢酸溶媒和物の調製
プラスグレル塩酸塩形態B(499mg)を室温(20〜25℃)にて3mlの氷酢酸中に懸濁させた。得られた希薄懸濁液を、室温で3時間撹拌して結晶化させ、次いでろ過した。ろ過された結晶を、1mlの氷酢酸で洗浄し、室温(20〜25℃)にて一晩乾燥させた。オフホワイト色のプラスグレル塩酸塩形態Fの結晶が得られた。収率:80.9%。
【0072】
実施例16:結晶性プラスグレル塩酸塩形態F、酢酸溶媒和物の調製
プラスグレル塩酸塩形態B(1.001g)を、40℃にて4mlの氷酢酸中に溶解させ、室温(20〜25℃)まで冷却し、静置して、3時間結晶化させた。ろ過された結晶を2mlの氷酢酸および1mlの蒸留水で洗浄した。結晶を室温(20〜25℃)で一晩乾燥させた。黄色味を帯びたプラスグレル塩酸塩形態Fの結晶が得られた。収率:62.9%。
【0073】
実施例17:結晶性プラスグレル塩酸塩酢酸溶媒和物の調製
プラスグレル塩酸塩形態B(15.005g)を、40℃にて60mlの氷酢酸中に溶解させ、次いで室温(20〜25℃)まで冷却し、静置して、4.5時間結晶化させた。得られた結晶をろ過し、20mlの氷酢酸(5+15mlに分けて)で洗浄し、30℃/10mbarにて30分間乾燥させ、室温(20〜25℃)にて一晩静置した。オフホワイト色のプラスグレル塩酸塩形態Fの結晶が得られた。収率:87.9%。
【0074】
実施例18:結晶性プラスグレル塩酸塩形態F、酢酸溶媒和物の調製
プラスグレル塩酸塩形態A(1.295g)を、60℃にて6.5mlの氷酢酸中に溶解させ、室温(20〜25℃)まで冷却し、静置して5時間結晶化させた。得られた結晶をろ過し、3mlの氷酢酸(2+1mlに分けて)で洗浄し、30℃/10mbarにて30分間乾燥させ、室温(20〜25℃)で一晩静置した。オフホワイト色のプラスグレル塩酸塩形態Fの結晶が得られた。収率:70.3%。
【0075】
実施例19:結晶性形態のプラスグレル硝酸塩の調製
室温(20〜25℃)にて、3.75mlのアセトン中、251mgのプラスグレル塩基形態Iの溶液に、1.25mlのアセトン中、50.6μl(1.1当量)の65%水性硝酸の溶液を分けて添加し、得られた混合物を室温で約15分間撹拌した。0〜5℃(氷浴)にて5mlのヘプタンを添加した後、透明な反応混合物は、エマルションになった(フラスコの底部において透明な油滴)。約−25℃にて17時間貯蔵した後に、白色沈殿物が得られた。沈殿物を含有する混合物を、0〜5℃(氷浴)にて1時間撹拌し、ろ過により取り除き(filter off)、1mlの冷アセトン/ヘプタン(1:1)で洗浄し、40℃/10mbarにて乾燥させ、約2.5時間乾燥させた。白色結晶(269mg)のプラスグレル硝酸塩が得られた。
【0076】
実施例20:結晶性形態のプラスグレル硝酸塩の調製
室温(20〜25℃)にて5mlのアセトン中、504mgのプラスグレル塩基形態Iの溶液に、2mlのアセトン中、101.2μl(1.1当量)の65%水性硝酸溶液を添加した。10分後、得られた透明反応混合物を、少量のプラスグレル硝酸塩(実施例11に従って調製された)でシード化し、得られた混合物を0〜5℃(氷浴)にて4時間撹拌して、結晶化させた。白色沈殿物が形成し、それをろ過により取り除き、1mlのアセトンで洗浄し、40℃/10mbarにて17時間乾燥させた。白色結晶(350mg)のプラスグレル硝酸塩が得られた。
【0077】
実施例21:結晶性形態IIのプラスグレル臭化水素酸塩の調製
プラスグレル塩基(1.00g)を、20〜25℃にてアセトン(15.5ml)中に溶解させた。4.8mlのアセトン中、0.34mlの47%HBrの溶液を塩基溶液中に添加した。透明溶液を5〜0℃に冷却させた。5分後、結晶化が生じた。懸濁液を5〜0℃で2時間撹拌し、ろ過し、結晶をアセトンで洗浄し、40℃/真空にて乾燥させ、形態IIのプラスグレル臭化水素酸塩(1.26g)が得られた。HPLC純度:99.94%。
【0078】
サンプルを、室温(20〜25℃、相対湿度20〜30%)にて1ヶ月間開放ペトリ皿に静置し、次いでHPLCにて再分析し、99.84%の純度を得た。
【0079】
実施例22:結晶性形態IIのプラスグレル臭化水素酸塩の調製
プラスグレル塩基(2.00g)を、20〜25℃にてアセトン(20ml)中に溶解させた。8mlのアセトン中、0.41mlの47%HBrの溶液に10分間かけて添加した。直後に結晶化が生じた。得られた懸濁液を20〜25℃で1.5時間撹拌し、次いで5〜0℃にて2時間撹拌させた。結晶が形成され、それをろ過し、アセトンで洗浄して、40℃/真空にて乾燥させ、形態IIのプラスグレル臭化水素酸塩(1.75g)が得られた。HPLC純度:99.67%。
【0080】
実施例23:結晶性形態IIのプラスグレル臭化水素酸塩の調製
窒素雰囲気下、20〜25℃にてアセトン(30ml)中、プラスグレル塩基(1.506g)の溶液は、撹拌しながら、pH約0.5まで臭化水素ガスでスパージした。約5分後に結晶化が生じた。30分後、得られた懸濁液を5〜0℃に冷却し、2時間撹拌した。結晶を窒素雰囲気下でろ過により取り除き、6mlのアセトン((4+2)mlに分けて)で洗浄し、30℃/10mbarにて約45分間乾燥させた。形態IIのプラスグレル臭化水素酸塩(1.941g)が得られた。
【0081】
実施例24:結晶性形態IIのプラスグレル臭化水素酸塩の調製
窒素雰囲気下、20〜25℃にてアセトン(16ml)中、プラスグレル塩基(0.998g)の溶液に、4mlのアセトン中、0.34mlの47%HBr(水性)の溶液を滴下した。添加中に結晶化が生じた。30分後、得られた懸濁液を5〜0℃に冷却し、2時間撹拌した。結晶を窒素雰囲気下でろ過により取り除き、6mlのアセトン((4+2)mlに分けて)で洗浄し、30℃/10mbarにて約45分間乾燥させた。形態IIのプラスグレル臭化水素酸塩(1.269g)が得られた。
【0082】
実施例25:結晶性形態IIIのプラスグレル臭化水素酸塩の調製
プラスグレル塩基(1.00g)を、40℃にて2−プロパノール(10.0ml)中に懸濁させた。5.0mlの2−プロパノール中、0.34mlの47%HBrの溶液を添加した。得られた透明溶液を20〜25℃に冷却し、プラスグレル臭化水素酸塩結晶でシード化した。直後に結晶化が生じた。得られた懸濁液を、20〜25℃にて1.5時間撹拌した。形成した結晶をろ過し、2−プロパノールで洗浄し、40℃/真空で乾燥し、形態IIIのプラスグレル臭化水素酸塩(1.25g)が得られた。HPLC純度:99.39%。
【0083】
実施例26:結晶性形態Iのプラスグレル臭化水素酸塩の調製
約30mgのプラスグレル臭化水素酸塩形態IIを、約60℃まで加熱することによって、5mlのエチルアセテート中に懸濁させ、次いで懸濁液をろ過した。得られたろ液を20〜25℃で静置し、冷却およびエバポレーションによって結晶化させた。4日後、形成された結晶をろ過により取り除き、60℃/10mbarにて約3時間乾燥した。形態Iのプラスグレル臭化水素酸塩の結晶が得られた。
【0084】
実施例27:結晶性形態Iのプラスグレル臭化水素酸塩の調製
約30mgのプラスグレル臭化水素酸塩形態IIを、約50℃まで加熱することによって3mlのメチルエチルケトン中に溶解させた。得られた溶液を、20〜25℃にて静置し、冷却およびエバポレーションによって結晶化させた。4日後、形成された結晶をろ過により取り除き、約3時間60℃/10mbarにて乾燥させた。形態Iのプラスグレル臭化水素酸塩の結晶が得られた。
【0085】
実施例28:結晶性形態Iのプラスグレル臭化水素酸塩の調製
20〜25℃にて7.31mlのメチルイソブチルケトン/4.2%メタノール中、0.500gのプラスグレル塩基の懸濁液に、3mlのメチルイソ−ブチルケトン中、0.17mlの47%HBr(水性)の溶液を滴下した。得られた透明反応混合物を、少量の結晶性形態Iのプラスグレル臭化水素酸塩を用いてシード化した。直後に結晶化を生じた。30分後、得られた懸濁液を、0〜5℃に冷却し、約2時間撹拌した。結晶をろ過により取り除き、0.5mlのメチルイソ−ブチルケトンで洗浄し、40℃/10mbarにて約3時間乾燥させた。プラスグレル臭化水素酸塩(0.524g)が得られた。
【0086】
実施例29:結晶性形態Iのプラスグレル臭化水素酸塩の調製
20〜25℃において5.29mlのイソプロピルアセテート/5.5%メタノール中、0.499gのプラスグレル塩基の懸濁液に、1.53mlのイソプロピルアセテート/2%メタノール中、0.17mlの47%HBr(水性)の溶液を滴下した。結晶化が生じ、綿毛様結晶が形成された。45分後、得られた懸濁液を0〜5℃まで冷却し、約4時間撹拌した。結晶をろ過により取り除き、1mlのイソプロピルアセテートで洗浄し、40℃/10mbarにて約17時間乾燥させた。プラスグレル臭化水素酸塩(0.553g)が得られた。
【0087】
実施例30:結晶性形態IVのプラスグレル臭化水素酸塩の調製
約30mgのプラスグレル臭化水素酸塩形態IIを、20〜25℃にて1mlの96%エタノール中に溶解させた。得られた溶液を20〜25℃にて静置し、エバポレーションによって結晶化させた。4日後、得られた結晶をろ過により取り除き、60℃/10mbarにて約3時間乾燥させた。形態IVのプラスグレル臭化水素酸塩の結晶が得られた。
【0088】
実施例31:結晶性形態Vのプラスグレル臭化水素酸塩の調製
約30mgのプラスグレル臭化水素酸塩形態IIを、約50℃に加熱することによって酢酸(1ml)中に溶解させた。得られた溶液を20〜25℃にて静置し、冷却およびエバポレーションによって結晶化させた。4日後、結晶をろ過により取り除き、60℃/10mbarにて約3時間乾燥させた。形態Vのプラスグレル臭化水素酸塩の結晶が得られた。
【0089】
実施例32:結晶性形態VIのプラスグレル臭化水素酸塩の調製
約30mgのプラスグレル臭化水素酸塩形態IIを、約55℃に加熱することによって5mlのテトラヒドロフラン(「THF」)中に懸濁させ、次いで懸濁液をろ過した。透明ろ液を20〜25℃にて静置し、冷却およびエバポレーションによって結晶化させた。4日後、そこで形成された結晶をろ過により取り除き、60℃/10mbarにて約3時間乾燥させた。形態VIのプラスグレル臭化水素酸塩の結晶が得られた。
【0090】
実施例33:結晶性形態VIIのプラスグレル臭化水素酸塩の調製
20〜25℃にて5mlのメチルエチルケトン中、0.503gのプラスグレル塩基の溶液に、2mlのメチルエチルケトン中、0.17mlの47%HBr(水性)の溶液を添加した。添加終了時に結晶化が生じた。2時間後、得られた懸濁液を0〜5℃まで冷却し、約30分間撹拌した。形成された結晶をろ過により取り除き、1mlのメチルエチルケトンで洗浄し、40℃/10mbarにて約3時間乾燥させた。プラスグレル臭化水素酸塩(0.595g)が得られた。
【0091】
実施例34:結晶性形態VIIのプラスグレル臭化水素酸塩の調製
プラスグレル塩基(5.00g)を、50.0mlのメチルエチルケトン中に溶解させた。20mlのメチルエチルケトン中、1.7mlの47%HBr(水性)の溶液を添加した。プラスグレル臭化水素酸塩が5分後に結晶化した。得られた懸濁液を室温で1時間撹拌させ、次いで0〜5℃で0.5時間撹拌させた。形成された結晶をろ過し、メチルエチルケトンで洗浄し、50℃/真空にて乾燥させ、6.06gのプラスグレル臭化水素酸塩が得られた。
【0092】
実施例35:結晶性形態IAのプラスグレル臭化水素酸塩の調製
20〜25℃にて5mlのイソペンタノール中、0.403gのプラスグレル塩基の懸濁液に、1mlのイソペンタノール中、0.136mlの47%HBr(水性)の溶液を滴下した。1時間後、得られた透明反応混合物を0〜5℃まで冷却し、少量の結晶性形態Iのプラスグレル臭化水素酸塩を用いてシード化し、0〜5℃にて約3時間撹拌し、次いで8〜10℃にて約17時間撹拌した。形成された結晶をろ過により取り除き、40℃/10mbarにて約3時間乾燥させた。プラスグレル臭化水素酸塩(0.321g)が得られた。
【0093】
実施例36:結晶性形態IAのプラスグレル臭化水素酸塩の調製
20〜25℃にて5mlの1−ペンタノール中、0.500gのプラスグレル塩基の懸濁液に、1mlの1−ペンタノール中、0.17mlの47%HBr(水性)溶液を滴下した。30分後、得られた透明反応混合物を、0〜5℃に冷却させ、少量のプラスグレル臭化水素酸塩結晶性形態IAでシード化し、0〜5℃にて約5時間撹拌し、8〜10℃にて約17時間撹拌した。結晶が形成され、それをろ過により取り除き、2mlの1−ペンタノールで洗浄し、40℃/10mbarにて約5時間乾燥し、プラスグレル臭化水素酸塩(0.342g)が得られた。
【0094】
実施例37:結晶性形態IAのプラスグレル臭化水素酸塩の調製
20〜25℃にて3.3mlのメチルアセテート/9.1%メタノール中、0.503gのプラスグレル塩基の懸濁液に、1mlのメチルアセテート中、0.17mlの47%HBr(水性)の溶液を滴下した。得られた透明反応混合物を、少量のプラスグレル臭化水素酸塩結晶性形態Iでシード化した。直後に結晶化が生じた。45分後、懸濁液を0〜5℃に冷却し、約3時間撹拌した。結晶が形成され、それをろ過により取り除き、3mlのメチルアセテート(2×1.5mlに分けて)で洗浄し、40℃/10mbarにて約17時間乾燥させた。プラスグレル臭化水素酸塩(0.496g)が得られた。
【0095】
実施例38:結晶性形態IAのプラスグレル臭化水素酸塩の調製
20〜25℃にて5.12mlのメチルアセテート/2.4%メタノール中、0.504gのプラスグレル塩基の溶液に、1mlのメチルアセテート中、0.17mlの47%HBr(水性)の溶液を滴下した。得られた透明反応混合物を、少量のプラスグレル臭化水素酸塩結晶性形態Iでシード化した。直後に結晶化が生じた。45分後、懸濁液を0〜5℃まで冷却し、約3時間撹拌した。結晶が形成され、それをろ過により取り除き、3mlのメチルアセテート(2×1.5mlに分けて)で洗浄し、40℃/10mbarにて約17時間乾燥させた。プラスグレル臭化水素酸塩(0.529g)が得られた。
【0096】
実施例39:結晶性形態VIIIのプラスグレル臭化水素酸塩の調製
プラスグレル塩基(0.51g)を5.0mlの1−ブタノール中に懸濁させた。2.5mlの1−ブタノール中、0.17mlの47%HBr(水性)溶液を添加し、透明溶液を形成させた。室温で15分後、結晶化が始まった。得られた懸濁液を0〜5℃に冷却し、1.5時間撹拌させた。結晶が形成され、それをろ過し、1−ブタノールで洗浄し、50℃/真空にて乾燥させ、0.53gのプラスグレル臭化水素酸塩が得られた。
【0097】
実施例40:結晶性形態IXのプラスグレル臭化水素酸塩の調製
20〜25℃にて30mlのメチルアセテート/2%メタノール中、プラスグレル塩基(2.454g)の溶液を、少量のプラスグレル臭化水素酸塩形態Iでシード化した。得られた懸濁液を2.0〜2.5のpHが得られるまで臭化水素ガスでパージした。反応混合物を再び、約3.6のpHにて少量のプラスグレル臭化水素酸塩形態Iでシード化した。次いで懸濁液を20〜25℃にて約45分間撹拌し、次いで5〜0℃に約4時間冷却した。結晶が形成され、それを不活性雰囲気下でろ過し、2mlのメチルアセテートで洗浄し、40℃/10mbarにて約17時間乾燥させた。プラスグレル臭化水素酸塩(2.805g)が得られた。
【0098】
実施例41:結晶性形態Xのプラスグレル臭化水素酸塩の調製
20〜25℃にて7.29mlのトルエン/4%メタノール中、プラスグレル塩基(0.500g)の溶液に、2.0〜2.5のpHが得られるまで臭化水素ガスをパージした。パージング中、透明な反応混合物を少量のプラスグレル臭化水素酸塩形態Iでシード化した。得られた懸濁液を20〜25℃で約45分間撹拌し、次いで0〜5℃まで約3時間冷却させた。結晶が形成され、それをろ過し、1mlのトルエンで洗浄し、40℃/10mbarにて約17時間乾燥させた。プラスグレル臭化水素酸塩形態X(0.149g)が得られた。
【0099】
実施例41:結晶性形態XIのプラスグレル臭化水素酸塩の調製
20〜25℃にて、30mlのイソブチルアセテート/5.5%のMeOH中、プラスグレル塩基(2.357g)の懸濁液に、2.0〜2.5のpHが得られるまで臭化水素をパージした。パージング後、懸濁液を20〜25℃にて約45分間撹拌し、0〜5℃に約3.5時間冷却した。結晶が形成され、それを不活性雰囲気下でろ過し、(2+2)mlのイソブチル−アセテートで洗浄し、40℃/10mbarにて約18時間乾燥させた。プラスグレル臭化水素酸塩形態XIが得られた(2.275g)。
【0100】
実施例42:結晶性形態XIIのプラスグレル臭化水素酸塩の調製
20〜25℃にて30mlのメチルアセテート/2%MeOH中、プラスグレル塩基(2.453g)の溶液に、2.2〜2.7のpHが得られるまで(pH−メーターによって)臭化水素をパージした。パージング後、懸濁液を20〜25℃にて約45分間撹拌し、0〜5℃まで約2時間冷却した。結晶が得られ、それを不活性雰囲気下でろ過し、(2+2)mlのメチルアセテートで洗浄し、40℃/10mbarにて約18時間乾燥させた。プラスグレル臭化水素酸塩形態XIIが得られた(1.039g)。
【0101】
実施例43:結晶性形態XIIのプラスグレル臭化水素酸塩の調製
実施例42に従って得られた母液に、2.5〜3のpHが得られる(指示紙により)まで再び臭化水素をパージした。懸濁液が得られ、20〜25℃にて約20分間撹拌し、次いで0〜5℃に約45分間冷却した。得られた結晶を不活性雰囲気下でろ過し、(2+2)mlのメチルアセテートで洗浄し、40℃/10mbarにて約15.5時間乾燥させた。プラスグレル臭化水素酸塩形態XIIが得られた(1.727g)。
【0102】
実施例44:結晶性形態XIIIのプラスグレル臭化水素酸塩の調製
20〜25℃にて6.0mlのn−ブチルアセテート中、プラスグレル塩基(0.501g)の懸濁液に、1.0mlのn−ブチルアセテート中、0.170mlの47%HBr(水性)の溶液を滴下した。酸溶液の最初の滴下後、0.3mlのメタノールを添加した。添加後、懸濁液を20〜25℃にて約30分間撹拌し、0〜5℃にて約2時間冷却した。得られた結晶をろ過し、1mlのn−ブチルアセテートで洗浄し、40℃/10mbarにて約22時間乾燥させた。プラスグレル臭化水素酸塩形態XIIIが得られた(0.616g)。
【0103】
実施例45:結晶性形態P1のプラスグレルリン酸塩の調製
20〜25℃にて21.67mlのメチルアセテート/7.7%エタノール中、プラスグレル塩基(1.006g)の溶液に、2mlのメチルアセテート中、99%リン酸(329.9mg)を滴下した。30分以内に結晶化が生じた。20〜25℃にて3時間後、懸濁液を0〜5℃に冷却し、その温度で約2時間撹拌した。得られた結晶をろ過し、4mlのメチルアセテートで洗浄し、40℃/真空にて約1.5時間乾燥させた。プラスグレルリン酸塩形態P1(0.883g)が得られた。
【0104】
実施例46:結晶性形態P2のプラスグレルリン酸塩の調製
0〜5℃にて2.0mlのジクロロメタン中、プラスグレル塩基(0.252g)の溶液に、55.0μLの85%HPO(水性)の溶液を滴下した。油状の反応混合物が得られ、それを0〜5℃にて約7時間撹拌し、8〜10℃にてさらに17時間撹拌した。得られた結晶をろ過し、40℃/真空にて約5時間乾燥させた。プラスグレルリン酸塩形態P2が得られた(0.186g)。
【0105】
実施例47:結晶性形態S1のプラスグレル硫酸水素塩の調製
0〜5℃にて6.19mlのメチルアセテート/3%メタノール中、プラスグレル塩基(0.399g)の溶液に、58.6μlの濃硫酸の溶液を滴下した。0〜5℃にて約4時間後、透明反応混合物を撹拌することなく−20℃にて約17時間貯蔵し、次いで0〜5℃に再び加温し、少量のプラスグレル硫酸水素塩形態S1でシード化した。得られた懸濁液を−20℃にて2日間静置した。こうして得られた結晶を0〜5℃にて約30分間再び混合し、ろ過し、1mlのメチルアセテートで洗浄し、40℃/真空にて約3時間乾燥させた。プラスグレル硫酸水素塩形態S1(63mg)が得られた。
【0106】
実施例48:結晶性形態S1のプラスグレル硫酸水素塩の調製
0〜5℃にて2.34mlのメチルアセテート/1.5%エタノール中、プラスグレル塩基(0.204g)の溶液に、29.3μlの濃硫酸の溶液を滴下した。得られた油状反応混合物を20〜25℃に約30分間加温し、次いで0〜5℃まで再び冷却し、少量のプラスグレル硫酸水素塩形態S1でシード化し、約3時間撹拌した。こうして得られた結晶をろ過し、40℃/真空にて約17時間乾燥させた。プラスグレル硫酸水素塩(63mg)が得られた。フラスコを2mlのメチルアセテートで洗浄し、残った結晶を別個にろ過し、40℃/真空にて約17時間乾燥させた。プラスグレル硫酸水素塩(84mg)が得られた。
【0107】
実施例49:結晶性形態S1のプラスグレル硫酸水素塩の調製
−25℃にて3.13mlのアセトン中、0.156mlの濃硫酸の溶液に、約−20℃に冷却された4.63mlのアセトン中、プラスグレル塩基(0.500g)の溶液を添加した。得られた反応混合物を−23℃〜−20℃にて約4時間撹拌した。結晶が形成され、それをろ過し、2mlの氷冷却されたアセトンで洗浄し、60℃/真空にて約1.5時間乾燥させた。プラスグレル硫酸水素塩形態S1(0.379g)が得られた。
【0108】
実施例50:結晶性形態S2のプラスグレル硫酸水素塩の調製
20〜25℃にて2.5mlのエチルホルメート中、プラスグレル塩基(0.204g)の溶液に、29.3μLの濃HSO溶液を滴下した。油状反応混合物が得られ、少量のプラスグレル硫酸水素塩形態S1でシード化したが、シード化結晶が溶解した。0.1mlのエタノールを添加し、透明な反応混合物を得た。数分以内に結晶化が生じた。希薄懸濁液を20〜25℃にて約2時間撹拌し、0〜5℃にて約2時間冷却した。約−20℃にて5日後、懸濁液を8〜10℃にて再び約17時間撹拌した。得られた結晶をろ過し、2mlのエチルホルメートで洗浄し、40℃/真空にて約3時間で乾燥させた。プラスグレル硫酸水素塩形態S2が得られた(0.127g)。
【0109】
実施例51:結晶性形態S3のプラスグレル硫酸水素塩の調製
4mlのエチルアセテートおよび2mlの2−プロパノール中、プラスグレル塩基(0.50g)の懸濁液に、2mlのエチルアセテート中、75μlの96%HSOの溶液を添加して、混合物を得た。この混合物を2〜8℃の冷蔵庫に静置した。約17時間後、結晶が形成された。懸濁液を氷浴にてさらに6時間撹拌し、得られた結晶をろ過して、40℃/真空にて約17時間乾燥させて、プラスグレル硫酸水素塩形態S3(0.19g)が得られた。
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