特許第5730987号(P5730987)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5730987広帯域無線接続システムにおいて効率的なセカンダリキャリア情報の更新方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5730987
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】広帯域無線接続システムにおいて効率的なセカンダリキャリア情報の更新方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/20 20090101AFI20150521BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20150521BHJP
【FI】
   H04W36/20
   H04W72/04 111
【請求項の数】14
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-504822(P2013-504822)
(86)(22)【出願日】2011年4月12日
(65)【公表番号】特表2013-528028(P2013-528028A)
(43)【公表日】2013年7月4日
(86)【国際出願番号】KR2011002589
(87)【国際公開番号】WO2011129598
(87)【国際公開日】20111020
【審査請求日】2014年4月11日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0031617
(32)【優先日】2011年4月6日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】61/393,952
(32)【優先日】2010年10月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/333,217
(32)【優先日】2010年5月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/323,344
(32)【優先日】2010年4月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502032105
【氏名又は名称】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】リ, ウン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】リュー, キ ソン
(72)【発明者】
【氏名】ユク, ヨン ソー
【審査官】 桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/149665(WO,A1)
【文献】 Reply comments on MC DG Handover Section(C802.16m-09/1283),IEEEC802.16m-09/1629rl,2009年 7月13日,1-9 pages,URL,http://www.ieee802.org/16/tgm/index_older.html#contrib/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/26
H04W 4/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重キャリアを支援する広帯域無線接続システムにおいて端末がハンドオーバーを行う方法であって、
サービング基地局から、ターゲット基地局が前記端末にあらかじめ割り当てた少なくとも一つのセカンダリキャリアに関するキャリア割当情報を含む第1メッセージを受信し、
前記サービング基地局と前記ターゲット基地局のマルチキャリア設定(MC configuration)が同一であるか否かを判断し、
前記ターゲット基地局へ網再進入を行い、
前記判断の結果、同一でないと、前記ターゲット基地局にマルチキャリア能力の交渉を要請する第2メッセージを伝送すること、
を含む、ハンドオーバー方法。
【請求項2】
前記サービング基地局から隣接基地局のシステム情報を含む隣公示(AAI−NBR−ADV)メッセージを受信することをさらに含み、
前記同一であるか否かの判断は、
前記隣公示メッセージに含まれた前記ターゲット基地局のシステム情報のうち、マルチキャリア設定情報と、前記サービング基地局のマルチキャリア設定情報とを比較して行うことを特徴とする、請求項1に記載のハンドオーバー方法。
【請求項3】
前記ターゲット基地局の可用キャリアのうち、端末のセカンダリキャリアとして割り当てられるキャリアリストを含むマルチキャリア応答メッセージを、前記第2メッセージに対する応答として前記ターゲット基地局から受信することをさらに含む請求項1に記載のハンドオーバー方法。
【請求項4】
前記少なくとも一つのセカンダリキャリアをあらかじめ割り当てることを要請するための情報を含むハンドオーバー要請メッセージを、前記サービング基地局に伝送することをさらに含む、請求項1に記載のハンドオーバー方法。
【請求項5】
前記第1メッセージは、ハンドオーバー命令(AAI−HO−CMD)メッセージであり、
前記第2メッセージは、マルチキャリア要請(AAI−MC−REQ)メッセージであることを特徴とする、請求項1に記載のハンドオーバー方法。
【請求項6】
多重キャリアを支援する広帯域無線接続システムにおいてサービング基地局が端末のハンドオーバーを支援する方法であって、
前記端末のマルチキャリア能力情報、及び少なくとも一つのセカンダリキャリアを前記端末にあらかじめ割り当てることを要請する要請情報を、ターゲット基地局に伝送し、
前記端末に前記ターゲット基地局があらかじめ割り当てる少なくとも一つのセカンダリキャリアに関するキャリア割当情報を、前記ターゲット基地局から受信し、
前記端末に、前記キャリア割当情報を含むハンドオーバー命令メッセージを伝送すること、
を含み、
前記ハンドオーバー命令メッセージは、
前記端末に前記ターゲット基地局とマルチキャリア能力の交渉を行うか否かを指示するフィールドをさらに含む、ハンドオーバー支援方法。
【請求項7】
少なくとも一つのセカンダリキャリアを前記端末にあらかじめ割り当てることを要請する指示子を含むハンドオーバー要請メッセージを、前記端末から受信することをさらに含む、請求項6に記載のハンドオーバー支援方法。
【請求項8】
前記ターゲット基地局のマルチキャリア設定情報がサービング基地局のマルチキャリア設定情報と同一であるか否かを比較することをさらに含み、
前記フィールドは、
前記比較結果が同一でないと、前記マルチキャリア能力の交渉を行うことを指示する値に設定され、前記比較結果が同一であると、前記マルチキャリア能力の交渉を行わないことを指示する値に設定される、請求項に記載のハンドオーバー支援方法。
【請求項9】
前記ターゲット基地局への伝送及び前記ターゲット基地局からの受信は、バックボーン網を通じて行われ、
前記端末への伝送は、プライマリキャリアを通じて行われる、請求項6に記載のハンドオーバー支援方法。
【請求項10】
多重キャリアを支援する広帯域無線接続システムにおいて動作する端末装置であって、
プロセッサと、
前記プロセッサの制御によって外部と無線信号を送受信する無線通信(RF)モジュールと、
を備え、
前記プロセッサは、
ターゲット基地局があらかじめ割り当てた少なくとも一つのセカンダリキャリアに関するキャリア割当情報が、サービング基地局から伝送された第1メッセージから獲得されると、前記ターゲット基地局へ網再進入を行い、前記サービング基地局と前記ターゲット基地局のマルチキャリア設定(MC configuration)が同一であるか否か判断し、同一でないと、前記ターゲット基地局にマルチキャリア能力の交渉を要請する第2メッセージが伝送されるように制御することを特徴とする、端末装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、
前記サービング基地局から伝送された隣公示(AAI−NBR−ADV)メッセージから隣接基地局のシステム情報を獲得し、前記隣接基地局のシステム情報に含まれた前記ターゲット基地局のシステム情報のうち、マルチキャリア設定情報と、前記サービング基地局のマルチキャリア設定情報とを比較することで、前記同一であるか否かの判断を行うことを特徴とする、請求項10に記載の端末装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、
前記ターゲット基地局の可用キャリアのうち、端末のセカンダリキャリアとして割り当てられるキャリアリストを、前記第2メッセージに対する応答として前記ターゲット基地局から受信されるマルチキャリア応答(AAI−MC−RSP)メッセージから獲得するように制御することを特徴とする、請求項10に記載の端末装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、
前記少なくとも一つのセカンダリキャリアをあらかじめ割り当てることを要請するための情報を含むハンドオーバー要請メッセージが前記サービング基地局に伝送されるように制御することを特徴とする、請求項10に記載の端末装置。
【請求項14】
前記第1メッセージは、ハンドオーバー命令(AAI−HO−CMD)メッセージであり、
前記第2メッセージは、マルチキャリア要請(AAI−MC−REQ)メッセージであることを特徴とする、請求項10に記載の端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広帯域無線接続システムに係り、特に、あらかじめセカンダリキャリアを割り当てるハンドオーバーを行う際に、サービング基地局とターゲット基地局のマルチキャリア設定が異なる場合にセカンダリキャリア情報を更新する方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以下では、キャリア(Carrier)について簡略に説明する。
【0003】
ユーザーは、正弦波または周期的なパルス波の振幅、周波数及び/または位相などに変調を行うことで、伝送しようとする情報を含めることができる。ここで、情報を搬送する役割を担う正弦波またはパルス波をキャリアと呼ぶ。
【0004】
キャリアを変調する方式には、シングルキャリア変調方式(SCM:Single−Carrier Modulartion scheme)またはマルチキャリア(MCM:Multi−Carrier Modulation scheme)変調方式がある。特に、シングルキャリア変調方式は、一つのキャリアに全ての情報を載せて変調する方式のことをいう。
【0005】
マルチキャリア変調方式は、一つのキャリアの全体帯域幅チャネル(Channel)を、複数個の小さい帯域幅を有する副チャネル(Sub−channel)に分け、 各副チャネルを通じて、複数の狭帯域のサブキャリア(Sub−Carrier)を多重に伝送する技術のことをいう。
【0006】
このマルチキャリア変調方式(MCM)を用いると、各副チャネルは、小さい帯域幅によって平坦な特性(Flat Channel)に近似化できる。また、ユーザーは、簡単な等化器を用いてチャネルの歪を補償することができる。また、マルチキャリア変調方式は、高速フーリエ変換(FFT)を用いて高速具現が可能である。すなわち、シングルキャリア変調方式(SCM)に比べて、高速のデータ伝送に有利である。
【0007】
基地局及び/または端末機の性能が進展するに伴って、基地局及び/または端末機で提供したり使用したりできる周波数帯域幅は拡大しつつある。そこで、本発明の実施例では、一つ以上のキャリアを組み合わせて用いること(Carrier aggregation)によって広帯域を支援するマルチキャリアシステムを開示している。
【0008】
すなわち、以下に説明するマルチキャリアシステムは、上述した一つのキャリアを分けて用いるマルチキャリア変調方式とは違い、一つ以上のキャリアを組み合わせて用いる場合に相当する。
【0009】
多重帯域(Multi−Band)(または、マルチキャリア(Multi−Carrier))を效率的に用いるべく、複数のキャリア(例えば、複数の周波数キャリア(FC:Frequency Carrier))を一つの媒体接続制御(MAC)エンティティが管理する技術が提案されてきている。
【0010】
図1の(a)及び(b)は、多重帯域無線周波数(RF:Radio Frequency)ベースの信号送受信方法を説明するための図である。
【0011】
図1に示すように、送信端及び受信端において一つの媒体接続制御層は、マルチキャリアを效率的に用いるために複数個のキャリアを管理することができる。ここで、マルチキャリアを效果的に送受信するために、送信端及び受信端両方ともマルチキャリアを送受信できると仮定する。この場合、一つの媒体接続制御層で管理される周波数キャリア(FC)は互いに隣接する必要はないから、リソース管理の側面で柔軟である。すなわち、隣接キャリア組み合わせ(Contiguous Aggregation)も、非隣接キャリア組み合わせ(Non−contiguous Aggregation)も可能である。
【0012】
図1の(a)及び(b)において、物理層(PHY)0、物理層1、…、物理層n−2、物理層n−1は、本技術に係る多重帯域を示し、それぞれの帯域は、あらかじめ定められた周波数政策に従って特定サービスのために割り当てる周波数キャリア(FC)サイズを有することができる。例えば、物理層0(RF carrier 0)は、一般FMラジオ放送のために割り当てる周波数帯域のサイズを有することができ、物理層1(RF carrier 1)は、携帯電話通信のために割り当てる周波数帯域のサイズを有することができる。
【0013】
このように、それぞれの周波数帯域は、それぞれの周波数帯域の特性によって異なる周波数帯域サイズを有することができるが、以下の説明では、説明の便宜上、各周波数キャリア(FC)がA[MHz]サイズを有すると仮定する。また、それぞれの周波数割当帯域は、基底帯域信号を各周波数帯域で用いるためのキャリア周波数に代表されうるので、以下では、各周波数割当帯域を「キャリア周波数帯域」、または、混同がない限り、各キャリア周波数帯域を代表する単に「キャリア」と呼ぶものとする。また、最近の3GPP LTE−A)でのように、上述のキャリアを、マルチキャリア方式で用いられるサブキャリア(sub carrier)と区別するために、「コンポーネントキャリア(component carrier)」と呼ぶこともできる。
【0014】
このことから、上述した「多重帯域」方式を、「多重キャリア(Multi Carrier)」方式または「キャリア組み合わせ(carrier aggregation)」方式と呼ぶこともできる。
【0015】
図2には、一般の無線通信システムで多重搬送波が用いられる形態の一例を示す。
【0016】
一般の技術における多重搬送波は、図2の(a)に示すように、連続する搬送波の組み合わせ(contiguous carrier aggregation)でもよく、図2の(b)に示すように、不連続する搬送波の組み合わせ(non−contiguous carrier aggregation)でもよい。このように搬送波を組み合わせる単位は、一般の技術であるレガシーシステム(例えば、LTE(Long Term Evolution)−advancedシステムの場合はLTE、IEEE 802.16mシステムの場合はIEEE 802.16e)の基本帯域幅単位である。一般の技術の多重搬送波環境では、下記のような2タイプの搬送波を定義する。
【0017】
まず、第1搬送波(または、プライマリキャリア(primary carrier))は、端末と基地局のトラフィック、完全な物理層及び媒体接続制御層制御情報(full PHY/MAC control information)の交換が行われる搬送波のことを指す。また、プライマリキャリアは、網進入のような端末の一般的な動作に用いられてもよい。各端末は、一つのセルで一つのプライマリキャリアを有する。
【0018】
そして、第2搬送波(または、セカンダリキャリア(secondary carrieer))は、通常、第1搬送波から受信される基地局特定の割当命令と法則に基づくトラフィックの交換に用いられうる付加的な搬送波のことを指す。第2搬送波は、マルチキャリア動作を支援するための制御シグナリングを含むことができる。一般に、プライマリキャリアを通じて全ての制御情報の他、セカンダリキャリアに関する情報も受け、セカンダリキャリアを通じてデータの送受信を行うこととなる。
【0019】
一般の技術は、上述したプライマリ及びセカンダリキャリアに基づいて多重搬送波(multi−carrier)システムの搬送波を、下記のように、全体設定搬送波(Fully configured carrier)と部分設定搬送波(Partially configured carrier)とに区別することができる。
【0020】
まず、全体設定搬送波は、同期化、放送、マルチキャスト及びユニキャスト制御チャネルを含む全ての制御シグナリングが設定される搬送波のことを指す。また、これらのチャネルに、多重搬送波運用と他の搬送波に関する情報及びパラメータが含まれてもよい。
【0021】
部分設定搬送波は、時分割二重化ダウンリンク伝送(TDD DL transmission)または周波数分割二重化(FDD)モードにおいて対となるアップリンクキャリアがないダウンリンクキャリアで、ダウンリンク伝送を支援するための全ての制御チャネルが設定されるキャリアのことを指す。ある端末に設定された全体設定搬送波であるセカンダリキャリアは、他の端末のプライマリキャリアとして割り当てられてもよい。
【0022】
一般に、端末は、プライマリキャリアを通じて網初期進入(initial network entry)を行い、基地局との登録要請/応答(AAI_REG−REQ/RSP)メッセージの交換を通じた登録過程で相互間のマルチキャリア能力に関する情報を交換することができる。
【0023】
上述したように、端末、基地局両方ともマルチキャリアを支援するシステムでは、ハンドオーバー(Handover、HO)もマルチキャリアを通じて行うことができる。ハンドオーバーとは、端末が、ある基地局の無線インターフェースから他の基地局の無線インターフェースへと移動することをいう。一般のハンドオーバーでは、一つのキャリアを通じてある基地局から他の基地局へと無線インターフェースを変更するが、マルチキャリア環境におけるハンドオーバーでは、まず、プライマリキャリアを通じてターゲット基地局の網再進入を行い、セカンダリキャリアを活性化させる形態で無線インターフェースが変更される。この時、ターゲット基地局はサービング基地局とバックボーン網を通じて端末に関する情報を交換しながら、あらかじめ、当該端末に割り当てられるセカンダリキャリア(secondary carrierpre−assignment)に関する情報をサービング基地局に伝達することができる。ただし、ターゲット基地局が端末にセカンダリキャリアをあらかじめ割り当てる時には、サービング基地局が保有している端末に関する情報に基づいてセカンダリキャリアを割り当てるので、サービング基地局とターゲット基地局のキャリア設定が異なる場合には、最適のセカンダリキャリアの割当が困難であるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明は上記一般の技術の問題点を解決するために案出されたもので、その目的は、より効率的にマルチキャリア動作を行う方法を提供することにある。
【0025】
本発明の他の目的は、マルチキャリア環境で端末がハンドオーバーを行う時に、效率的にターゲット基地局のキャリア設定情報を更新し、且つセカンダリキャリアを割り当てられるための方法を提供することにある。
【0026】
本発明で達成しようとする技術的課題は、以上に言及している技術的課題に制限されるものではなく、言及していない別の技術的課題は、下の記載から、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者には明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記の技術的課題を達成するために、本発明の一実施例に係る多重キャリアを支援する広帯域無線接続システムにおいて端末がハンドオーバーを行う方法は、サービング基地局から、ターゲット基地局が前記端末にあらかじめ割り当てる少なくとも一つのセカンダリキャリアに関するキャリア割当情報を含む第1メッセージを受信すること、前記ターゲット基地局に網再進入を行うこと、及び前記サービング基地局と前記ターゲット基地局のマルチキャリア設定(MC configuration)が同一であるか否かを判断し、同一でないと、前記ターゲット基地局にマルチキャリア能力の交渉を要請する第2メッセージを伝送すること、を含むことができる。
【0028】
ここで、前記サービング基地局から、隣接基地局のシステム情報を含む隣公示(AAI−NBR−ADV)メッセージを受信することをさらに含み、前記同一であるか否かの判断は、前記隣公示メッセージに含まれた前記ターゲット基地局のシステム情報のうち、マルチキャリア設定情報と、前記サービング基地局のマルチキャリア設定情報とを比較することによって行われると好ましい。
【0029】
また、サービング基地局が前記ターゲット基地局の可用キャリアのうち、端末のセカンダリキャリアとして割り当てられるサブセットを示すキャリアリストを含むマルチキャリア応答メッセージを、前記第1メッセージに対する応答として前記ターゲット基地局から受信することをさらに含むことができる。
【0030】
また、前記少なくとも一つのセカンダリキャリアをあらかじめ割り当てることを要請するための情報を含むハンドオーバー要請メッセージを、前記サービング基地局に伝送することをさらに含むことができる。
【0031】
なお、前記第1メッセージは、ハンドオーバー命令(AAI−HO−CMD)メッセージであり、前記第2メッセージは、マルチキャリア要請(AAI−MC−REQ)メッセージであると好ましい。
【0032】
上記の技術的課題を達成するために、本発明の一実施例に係る、多重キャリアを支援する広帯域無線接続システムにおいてサービング基地局が端末のハンドオーバーを支援する方法は、前記端末のマルチキャリア能力情報、及び少なくとも一つのセカンダリキャリアを前記端末にあらかじめ割り当てることを要請する要請情報を、ターゲット基地局に伝送すること、前記端末に前記ターゲット基地局があらかじめ割り当てる少なくとも一つのセカンダリキャリアに関するキャリア割当情報を、前記ターゲット基地局から受信すること、及び前記端末に、前記キャリア割当情報を含むハンドオーバー命令(AAI−HO−CMD)メッセージを伝送すること、を含むことができる。
【0033】
ここで、少なくとも一つのセカンダリキャリアを前記端末にあらかじめ割り当てることを要請する指示子を含むハンドオーバー要請(AAI−HO−CMD)メッセージを、前記端末から受信することをさらに含むことができる。
【0034】
また、前記ハンドオーバー命令メッセージは、前記端末に前記ターゲット基地局とマルチキャリア能力の交渉を行うか否かを指示するフィールドをさらに含むことができる。
【0035】
また、前記ターゲット基地局のマルチキャリア設定情報がサービング基地局のマルチキャリア設定情報と同一であるか否かを比較することをさらに含み、前記フィールドは、前記比較の結果、同一でないと、前記マルチキャリア能力の交渉を行うことを指示する値に設定され、同一であると、前記マルチキャリア能力の交渉を行わないことを指示する値に設定されるとよい。
【0036】
なお、前記ターゲット基地局への伝送及び前記ターゲット基地局からの受信は、バックボーン網を通じて行われ、前記端末への伝送は、プライマリキャリアを通じて行われると好ましい。
【0037】
上記の技術的課題を達成するために、本発明の一実施例に係る、多重キャリアを支援する広帯域無線接続システムにおいて動作する端末装置は、プロセッサと、前記プロセッサの制御によって外部と無線信号を送受信するための無線通信(RF)モジュールと、を備えることができる。ここで、前記プロセッサは、ターゲット基地局があらかじめ割り当てる少なくとも一つのセカンダリキャリアに関するキャリア割当情報が、サービング基地局から伝送される第1メッセージから獲得されると、前記サービング基地局と前記ターゲット基地局のマルチキャリア設定が同一であるか否かを判断し、前記ターゲット基地局へ網再進入を行う。もし、前記サービング基地局と前記ターゲット基地局のマルチキャリア設定が同一でないと、前記ターゲット基地局にマルチキャリア能力の交渉を要請する第2メッセージが伝送されるように制御することができる。
【0038】
ここで、前記プロセッサは、前記サービング基地局から伝送される隣公示(AAI−NBR−ADV)メッセージから隣接基地局のシステム情報を獲得し、前記隣接基地局のシステム情報に含まれた前記ターゲット基地局のシステム情報のうちマルチキャリア設定情報と前記サービング基地局のマルチキャリア設定情報とを比較し、前記同一であるか否かの判断を行うことができる。
【0039】
また、前記プロセッサは、前記ターゲット基地局の可用キャリアのうち、端末のセカンダリキャリアとして割り当てられるサブセットを示すキャリアリストを、前記第2メッセージに対する応答として前記ターゲット基地局から受信するマルチキャリア応答(AAI−MC−RSP)メッセージから獲得するように制御できる。
【0040】
また、前記プロセッサは、前記少なくとも一つのセカンダリキャリアをあらかじめ割り当てることを要請するための情報を含むハンドオーバー要請メッセージが、前記サービング基地局に伝送されるように制御することができる。
【0041】
なお、前記第1メッセージは、ハンドオーバー命令(AAI−HO−CMD)メッセージであり、前記第2メッセージは、マルチキャリア要請(AAI−MC−REQ)メッセージであると好ましい。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
多重キャリアを支援する広帯域無線接続システムにおいて端末がハンドオーバーを行う方法であって、
サービング基地局から、ターゲット基地局が前記端末にあらかじめ割り当てた少なくとも一つのセカンダリキャリアに関するキャリア割当情報を含む第1メッセージを受信し、
前記サービング基地局と前記ターゲット基地局のマルチキャリア設定(MC configuration)が同一であるか否かを判断し、
前記ターゲット基地局へ網再進入を行い、
前記判断の結果、同一でないと、前記ターゲット基地局にマルチキャリア能力の交渉を要請する第2メッセージを伝送すること、
を含む、ハンドオーバー方法。
(項目2)
前記サービング基地局から隣接基地局のシステム情報を含む隣公示(AAI−NBR−ADV)メッセージを受信することをさらに含み、
前記同一であるか否かの判断は、
前記隣公示メッセージに含まれた前記ターゲット基地局のシステム情報のうち、マルチキャリア設定情報と、前記サービング基地局のマルチキャリア設定情報とを比較して行うことを特徴とする、項目1に記載のハンドオーバー方法。
(項目3)
前記ターゲット基地局の可用キャリアのうち、端末のセカンダリキャリアとして割り当てられるキャリアリストを含むマルチキャリア応答メッセージを、前記第2メッセージに対する応答として前記ターゲット基地局から受信することをさらに含む、項目1に記載のハンドオーバー方法。
(項目4)
前記少なくとも一つのセカンダリキャリアをあらかじめ割り当てることを要請するための情報を含むハンドオーバー要請メッセージを、前記サービング基地局に伝送することをさらに含む、項目1に記載のハンドオーバー方法。
(項目5)
前記第1メッセージは、ハンドオーバー命令(AAI−HO−CMD)メッセージであり、
前記第2メッセージは、マルチキャリア要請(AAI−MC−REQ)メッセージであることを特徴とする、項目1に記載のハンドオーバー方法。
(項目6)
多重キャリアを支援する広帯域無線接続システムにおいてサービング基地局が端末のハンドオーバーを支援する方法であって、
前記端末のマルチキャリア能力情報、及び少なくとも一つのセカンダリキャリアを前記端末にあらかじめ割り当てることを要請する要請情報を、ターゲット基地局に伝送し、
前記端末に前記ターゲット基地局があらかじめ割り当てる少なくとも一つのセカンダリキャリアに関するキャリア割当情報を、前記ターゲット基地局から受信し、
前記端末に、前記キャリア割当情報を含むハンドオーバー命令(AAI−HO−CMD)メッセージを伝送すること、
を含む、ハンドオーバー支援方法。
(項目7)
少なくとも一つのセカンダリキャリアを前記端末にあらかじめ割り当てることを要請する指示子を含むハンドオーバー要請メッセージを、前記端末から受信することをさらに含む、項目6に記載のハンドオーバー支援方法。
(項目8)
前記ハンドオーバー命令メッセージは、
前記端末に前記ターゲット基地局とマルチキャリア能力の交渉を行うか否かを指示するフィールドをさらに含む、項目6に記載のハンドオーバー支援方法。
(項目9)
前記ターゲット基地局のマルチキャリア設定情報がサービング基地局のマルチキャリア設定情報と同一であるか否かを比較することをさらに含み、
前記フィールドは、
前記比較結果が同一でないと、前記マルチキャリア能力の交渉を行うことを指示する値に設定され、前記比較結果が同一であると、前記マルチキャリア能力の交渉を行わないことを指示する値に設定される、項目8に記載のハンドオーバー支援方法。
(項目10)
前記ターゲット基地局への伝送及び前記ターゲット基地局からの受信は、バックボーン網を通じて行われ、
前記端末への伝送は、プライマリキャリアを通じて行われる、項目6に記載のハンドオーバー支援方法。
(項目11)
多重キャリアを支援する広帯域無線接続システムにおいて動作する端末装置であって、
プロセッサと、
前記プロセッサの制御によって外部と無線信号を送受信する無線通信(RF)モジュールと、
を備え、
前記プロセッサは、
ターゲット基地局があらかじめ割り当てた少なくとも一つのセカンダリキャリアに関するキャリア割当情報が、サービング基地局から伝送された第1メッセージから獲得されると、前記ターゲット基地局へ網再進入を行い、前記サービング基地局と前記ターゲット基地局のマルチキャリア設定(MC configuration)が同一であるか否か判断し、同一でないと、前記ターゲット基地局にマルチキャリア能力の交渉を要請する第2メッセージが伝送されるように制御することを特徴とする、端末装置。
(項目12)
前記プロセッサは、
前記サービング基地局から伝送された隣公示(AAI−NBR−ADV)メッセージから隣接基地局のシステム情報を獲得し、前記隣接基地局のシステム情報に含まれた前記ターゲット基地局のシステム情報のうち、マルチキャリア設定情報と、前記サービング基地局のマルチキャリア設定情報とを比較することで、前記同一であるか否かの判断を行うことを特徴とする、項目11に記載の端末装置。
(項目13)
前記プロセッサは、
前記ターゲット基地局の可用キャリアのうち、端末のセカンダリキャリアとして割り当てられるキャリアリストを、前記第2メッセージに対する応答として前記ターゲット基地局から受信されるマルチキャリア応答(AAI−MC−RSP)メッセージから獲得するように制御することを特徴とする、項目11に記載の端末装置。
(項目14)
前記プロセッサは、
前記少なくとも一つのセカンダリキャリアをあらかじめ割り当てることを要請するための情報を含むハンドオーバー要請メッセージが前記サービング基地局に伝送されるように制御することを特徴とする、項目11に記載の端末装置。
(項目15)
前記第1メッセージは、ハンドオーバー命令(AAI−HO−CMD)メッセージであり、
前記第2メッセージは、マルチキャリア要請(AAI−MC−REQ)メッセージであることを特徴とする、項目11に記載の端末装置。
【発明の効果】
【0042】
本発明の実施例によれば、下記の効果が得られる。
【0043】
第一に、本発明の実施例によれば、より効率的なマルチキャリア動作を端末と基地局間に行うことが可能になる。
【0044】
第二に、本発明の実施例によれば、端末は、ターゲット基地局のキャリア設定がサービング基地局のそれと同一でない場合に、ターゲット基地局とマルチキャリア設定を更新することで、より効率的にキャリア管理を行うことが可能になる。
【0045】
本発明で得られる効果は、以上に言及した効果に制限されず、言及していない他の効果は、下の記載から、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1図1の(a)及び(b)は、多重帯域無線周波数(RF:Radio Frequency)ベースの信号送受信方法を説明するための図である。
図2図2は、一般の無線通信システムにおいて多重搬送波が用いられる形態の一例を示す図である。
図3図3は、本発明の適用される広帯域無線接続システムにおいて、基地局が端末に一つ以上のキャリアを割り当てる手順の一例を説明するための図である。
図4図4は、本発明の適用されるマルチキャリア環境において、ターゲット基地局のセカンダリキャリアがあらかじめ端末に割り当てられるハンドオーバー手順の一例を説明するための図である。
図5図5は、本発明の一実施例に係るマルチキャリア環境におけるハンドオーバー手順の一例を示す図である。
図6図6は、本発明の他の実施例でって、送信端及び受信端構造の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明は、無線接続システムに関する。以下、本発明の実施例は、ターゲット基地局のセカンダリキャリアがあらかじめ端末に割り当てられるハンドオーバー手順において効率的なマルチキャリア情報の更新方法について開示する。
【0048】
以下の実施例は、本発明の構成要素及び特徴を所定の形態で結合したものである。各構成要素または特徴は、別に明示しない限り、選択的なものと考慮しなければならない。各構成要素または特徴が他の構成要素や特徴と結合しない形態で実施してもよく、一部の構成要素及び/または特徴を結合させて本発明の実施例を構成してもよい。本発明の実施例で説明される動作の順序は変更してもよい。ある実施例の一部構成や特徴は、他の実施例に含まれてもよく、他の実施例の対応する構成または特徴に代えてもよい。
【0049】
図面に関する説明において、本発明の要旨を曖昧にさせるような手順または段階などは省き、さらに当業者のレベルで理解できるような手順または段階も省いた。
【0050】
本明細書では、本発明の実施例を、基地局と端末との間におけるデータ送受信の関係を中心に説明した。ここで、基地局は、端末と通信を直接行うネットワークの終端ノード(terminal node)としての意味を有する。本文書で、基地局により行われるとした特定動作は、場合によっては、基地局の上位ノード(upper node)により行われることもある。
【0051】
すなわち、基地局を含む多数のネットワークノード(network nodes)からなるネットワークにおいて、端末との通信のために行われる種々の動作を、基地局または基地局以外の他のネットワークノードで行うことができる。ここで、「基地局」は、固定局(fixed station)、Node B、eNode B(eNB)、アクセスポイント(AP:Access Point)またはABS(Advanced Base Station)などの用語に代えてもよい。また、「移動端末(MS:Mobile Station)」は、UE(User Equipment)、SS(Subscriber Station)、MSS(Mobile Subscriber Station)、AMS(Advanced Mobile Station)または端末(Mobile Terminal)などの用語に代えてもよい。
【0052】
また、送信端は、データまたは音声サービスを伝送するノードのことを指し、受信端は、データまたは音声サービスを受信するノードのことを指す。そのため、アップリンクでは、端末が送信端になり、基地局が受信端になりうる。同様に、ダウンリンクでは、端末が受信端になり、基地局が送信端になりうる。
【0053】
一方、本発明の移動端末には、PDA(Personal Digital Assistant)、セルラーフォン、PCS(Personal Communication Service)フォン、GSM(登録商標)(Global System for Mobile)フォン、WCDMA(Wideband CDMA)フォン、MBS(Mobile Broadband System)フォンなどを用いることができる。
【0054】
本発明の実施例は、様々な手段により具現することができる。例えば、本発明の実施例は、ハードウェア、ファームウェア(firmware)、ソフトウェアまたはそれらの結合などにより具現することができる。
【0055】
ハードウェアによる具現の場合に、本発明の実施例に係る方法は、一つまたはそれ以上のASICs(Application Specific Integrated Circuits)、DSPs(Digital Signal Processors)、DSPDs(Digital Signal Processing Devices)、PLDs(Programmable Logic Devices)、FPGAs(Field Programmable Gate Arrays)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどにより具現することができる。
【0056】
ファームウェアやソフトウェアによる具現の場合に、本発明の実施例に係る方法は、以上で説明された機能または動作を行うモジュール、手順または関数などの形態とすることができる。ソフトウェアコードは、メモリーユニットに記憶し、プロセッサで駆動することができる。メモリーユニットは、プロセッサの内部または外部に設けられて、既に公知の様々な手段によりプロセッサとデータを授受することができる。
【0057】
本発明の実施例は、無線接続システムであるIEEE 802システム、3GPPシステム、3GPP LTEシステム及び3GPP2システムの少なくとも一つに開示されている標準文書でサポートできる。すなわち、本発明の実施例において、本発明の技術的思想を明確にするために説明を省略した段階または部分は、上記の文書でサポートできる。また、本文書で開示している用語はいずれも、上記の標準文書により説明することができる。特に、本発明の実施例は、IEEE 802.16システムの標準文書であるP802.16−2004、P802.16e−2005、P802.16Rev2及びP802.16m文書の少なくとも一つでサーボートできる。
【0058】
以下の説明で使われる特定用語は、本発明の理解を助けるために提供されているもので、これらの特定用語の使用は、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で他の形態に変更可能である。
【0059】
本明細書は、IEEE 802.16システムを取り上げて説明する。特に、以下に登場する端末は、IEEE 802.16m標準で定義する規格を満たすAMS(Advanced Mobile Station)であり、基地局は、同標準規格のABS(Advanced Base Station)であるとする。
【0060】
まず、マルチキャリア動作で使われる用語を定義する。
【0061】
1.可用キャリア(Available carrier)は、基地局(ABS)に属する全てのキャリアを意味する。端末は、可用キャリアに関する情報をグローバルキャリア設定(AAI_Global−config)メッセージまたはマルチキャリア公示(AAI_MC−ADV)メッセージを通じて獲得することができる。
【0062】
2.割当キャリア(Assigned carrier)は、端末の能力(capability)に基づいて基地局が端末に割り当てる可用キャリアのサブセット(subset)を意味する。すなわち、基地局は、端末の能力を考慮して自身の可用キャリアの一つ以上を、端末の割当セカンダリキャリア(Assigned secondary carrier)として割り当てることができる。
【0063】
3.活性キャリア(Active carrier)は、端末と基地局間に実際にデータを交換する準備が出来ているキャリアを意味するもので、割当キャリアのサブセットでよい。割当セカンダリキャリアの活性化/非活性化(activation/deactivation)は、サービス品質(QoS)要求に基づく基地局の判断によって決定することができる。基地局は端末に特定セカンダリキャリアに対する活性化/非活性化をキャリア管理命令(AAI_CM−CMD)メッセージを通じて指示することができる。
【0064】
上述の定義に基づき、以下では、基地局が網進入手順から端末にキャリアを割り当てる手順、及びマルチキャリア環境であらかじめ端末にターゲット基地局のセカンダリキャリアが割り当てられるハンドオーバー手順について、図3及び図4をそれぞれ参照して説明する。
【0065】
図3は、本発明の適用される広帯域無線接続システムにおいて基地局が端末に一つ以上のキャリアを割り当てる手順の一例を説明するための図である。
【0066】
図3を参照すると、端末(AMS)は基地局(ABS)とスキャニング、レンジングなどの過程を含む初期接続手順(initial network entry)を行う(S301)。
【0067】
端末と基地局は、登録要請/応答(AAI_REG−REQ/RSP)メッセージを通じて相互間のマルチキャリア能力(Multicarrier Capabilities)に関する情報を交換することができる(S302、S303)。
【0068】
基地局は端末にAAI_REG−RSPメッセージを伝送した後に、グローバルキャリア設定(AAI_Global−CFG)メッセージを伝送することができる(S304)。
【0069】
グローバルキャリア設定メッセージには、ネットワークで支援する全ての可用キャリアに関する情報が含まれる。
【0070】
また、端末は基地局から周期的に放送されるマルチキャリア公示(AAI_MC−ADV)メッセージを受信し、基地局のマルチキャリア設定に関する情報を獲得することができる(S305)。
【0071】
その後、端末は、獲得した情報を用いて基地局の可用キャリアのマルチキャリア設定(multicarrier configurations)によって自身が支援できるキャリア(AMS’s supportable carriers)に関する情報を、マルチキャリア要請(AAI_MC−REQ)メッセージを通じて基地局に知らせる方法で、割当キャリアのリストを基地局に要請することができる(S306)。
【0072】
基地局は、端末から受信した情報に基づき、自身の可用キャリアのうち端末のセカンダリキャリアとして割り当てられるサブセットを決定して割当キャリアリストを決定し、マルチキャリア応答(AAI_MC−RSP)メッセージを通じてそれを端末に知らせることができる(S307)。
【0073】
続いて、基地局は、サービス品質(QoS)要求に基づく判断により、端末に割り当てた割当キャリアの活性化/非活性化をキャリア管理命令(AAI_CM−CMD)メッセージを通じて端末に指示することができる(S308)。
【0074】
図4は、本発明の適用されるマルチキャリア環境においてターゲット基地局のセカンダリキャリアがあらかじめ端末に割り当てられるハンドオーバー手順の一例を説明するための図である。
【0075】
図4では、端末と各基地局のキャリア1(carrier 1)がプライマリキャリアであり、キャリア2以外の残りキャリアがセカンダリキャリアであるとする。
【0076】
まず、端末は、プライマリキャリア(キャリア1)を通じてサービング基地局に網初期/再進入を行い、図3を参照して説明した手順によって一つ以上のセカンダリキャリアを活性化させ、それを用いたデータ交換を行うことができる(S410)。
【0077】
続いて、端末は、所定のハンドオーバートリガー条件を満たすと、プライマリキャリアを通じてサービング基地局にハンドオーバー要請(AAI−HO−REQ)メッセージを伝送することができる。この時、端末は、ハンドオーバー要請メッセージにキャリア先割当指示子(Carrier Preassignment Indication)フィールドを含めることで、セカンダリキャリアをあらかじめ割り当てることをターゲット基地局に要請することができる。これに応じて、サービング基地局は、バックボーン(Backend、BackboneまたはBackhaul)網を通じて、端末のマルチキャリア能力(MC capability)情報、及び端末がセカンダリキャリア先割当を要請したことを知らせる。ターゲット基地局は、端末のマルチキャリア能力を考慮して、あらかじめ割り当てるセカンダリキャリアを決定し、それに関する情報(carrier assignment information)をサービング基地局に伝送する。サービング基地局は、ターゲット基地局から受信したセカンダリキャリア先割当情報をハンドオーバー命令(AAI−HO−CMD)メッセージに含めて端末に伝送する(S420)。
【0078】
ハンドオーバー命令メッセージにおいて、当該端末にあらかじめ割り当てられたターゲット基地局のセカンダリキャリアは、物理キャリアインデックス(Physical carrier index of the secondary carrier index)により端末に指示されうる。
【0079】
次に、端末は、プライマリキャリアを通じてターゲット基地局にレンジングを試み、レンジングに成功すると、残りの網再進入手順を行って網再進入を完了する(S430)。
【0080】
プライマリキャリアを通じた網再進入が完了すると、端末は、あらかじめ割り当てられたセカンダリキャリアの活性化を試みることができる(S440)。特に、端末は、あらかじめ割り当てられたセカンダリキャリアのうち、ハンドオーバー命令メッセージのキャリア状態指示(Carrier Status Indication)フィールドが設定されたセカンダリキャリアを、ハンドオーバーが完了した直後に活性化させる。
【0081】
上記の手順のように、ターゲット基地局のセカンダリキャリアがあらかじめ端末に割り当てられる場合に、一般的には、ターゲット基地局と端末間で端末のマルチキャリア能力(MC capability)に対する再交渉は行われない。これは、ターゲット基地局がサービング基地局から端末のマルチキャリア能力情報をバックボーン網を通じて獲得するからである。しかし、サービング基地局がターゲット基地局に伝達する端末のマルチキャリア能力(MC capability)情報は、サービング基地局のマルチキャリア設定に基づいて作成された情報であるから、ターゲット基地局のマルチキャリア設定(MC configuration)がサービング基地局のそれと異なる場合は、最適のセカンダリキャリアを割り当てることが難しくなる。
【0082】
そこで、本発明では、サービング基地局が端末にターゲット基地局とマルチキャリア能力を交渉することを指示したり、端末がサービング基地局とターゲット基地局のマルチキャリア設定を比較し、両者が異なると、マルチキャリア能力を交渉するようにすることを提案する。
【0083】
(端末の判断によるマルチキャリア能力の交渉)
本発明の一実施例では、端末がターゲット基地局とサービング基地局のマルチキャリア設定が異なっていることを認識した場合に、ハンドオーバーを行った後、ターゲット基地局とマルチキャリア能力について交渉することを提案する。この場合、端末は、ターゲット基地局とサービング基地局のマルチキャリア設定が異なっているか否かを隣公示メッセージ(AAI−NBR−ADV)から判断できる。すなわち、隣公示メッセージには周辺基地局のシステム情報が含まれ、これを用いてターゲット基地局のマルチキャリア設定がサービング基地局と異なっているか否かを判断できる。以下、図5を参照して、本発明の一実施例に係るマルチキャリアハンドオーバー手順及びそれに続くマルチキャリア能力交渉手順について説明する。
【0084】
図5には、本発明の一実施例に係るマルチキャリア環境でのハンドオーバー手順の一例を示す。図5では、プライマリキャリアのみ示すが、セカンダリキャリアの活性化及びそれを用いたデータ交換も行える環境を仮定する。
【0085】
図5を参照すると、マルチキャリア環境で、端末はサービング基地局と一つ以上のキャリアを通じてデータ交換を行うことができる(S501)。
【0086】
また、端末は、サービング基地局から所定周期で伝送される隣公示(AAI−NBR−ADV)メッセージを受信し、隣接基地局のシステム情報を獲得することができる(S502)。
【0087】
その後、端末は、所定のハンドオーバートリガー条件を満たすと、基地局にハンドオーバー要請メッセージを伝送することができる(S503)。ハンドオーバー要請メッセージにはキャリア先割当指示子(Carrier Preassignment Indication)フィールドが設定される。
【0088】
これにより、サービング基地局は、バックボーン(Backend、BackboneまたはBackhaul)網を通じて、端末のマルチキャリア能力(MC capability)情報、及び端末がセカンダリキャリア先割当を要請したことを知らせる(S504)。
【0089】
ターゲット基地局は、端末のマルチキャリア能力を考慮して、あらかじめ割り当てるセカンダリキャリアを決定し、それに関する情報(carrier assignment information)をサービング基地局に伝送する(S505)。
【0090】
サービング基地局は、ターゲット基地局から受信したセカンダリキャリア先割当情報を、ハンドオーバー命令(AAI−HO−CMD)メッセージに含めて端末に伝送する(S506)。
【0091】
端末は、プライマリキャリアを通じてターゲット基地局にレンジングを試み、レンジングに成功すると、残りの網再進入手順を行って網再進入を完了する(S507)。
【0092】
その後、端末は、隣公示メッセージから獲得したターゲット基地局のシステム情報を用いて、ターゲット基地局のマルチキャリア設定がサービング基地局のそれと異なっていると判断した場合は、マルチキャリア要請/応答メッセージをターゲット基地局と交換して、マルチキャリア能力の交渉を新しく行うことができる(S508、S509)。すなわち、端末は、マルチキャリア要請(AAI−MC−REQ)メッセージの伝送を通じて割当キャリア(assigned carrier)の変更をターゲット基地局に要請することができる。
【0093】
もちろん、端末は、ターゲット基地局へと網再進入を終えた後に、キャリア管理指示(AAI−CM−IND)メッセージをターゲット基地局に伝送して、あらかじめ割り当てられたセカンダリキャリアを直ちに活性化させることもでき、交渉を終えた後に新しくセカンダリキャリアを割り当てられて活性化させることもできる。例えば、基地局は、端末から特定時点(例えば、活性化限界点:Activation Deadline)までキャリア管理指示メッセージが受信されないと、キャリア管理命令(AAI−CM−CMD)メッセージを伝送して、他のセカンダリキャリアの活性化を端末に指示することもできる。
【0094】
図5では、端末は、ハンドオーバー要請メッセージを伝送する前に、隣公示メッセージを受信するとしているが、これは例示であり、隣公示メッセージは、端末がサービング基地局と接続を解除するまではいつでも受信することができる。
【0095】
一方、端末は、ターゲット基地局のAAI−MC−ADVメッセージを、前に受信したサービング基地局のAAI−MC−ADVメッセージと比較することによって、両者のマルチキャリア設定情報が異なるか否かを判断することもできる。AAI−MC−ADVメッセージは、ハンドオーバー実行中にスキャニング過程などでターゲット基地局を発見した後に受信することもでき、ターゲット基地局へのハンドオーバーを終えた後に受信することもできる。
【0096】
(サービング基地局の判断によるマルチキャリア能力の交渉)
本発明の他の実施例では、サービング基地局がターゲット基地局から端末にあらかじめ割り当てたセカンダリキャリア情報を受信すると、サービング基地局は、ターゲット基地局のマルチキャリア設定が自身のそれと同一であるか否かを判断し、異なる場合は、端末にターゲット基地局とマルチキャリア能力の交渉を行うように指示することを提案する。
【0097】
そのために、サービング基地局は、端末にターゲット基地局とマルチキャリア能力の交渉を行うように指示する情報を、ハンドオーバー命令メッセージに含めることができる。このような情報を、本明細書では、便宜上、マルチキャリア要請/応答メッセージ交換指示子(AAI−MC−REQ/RSP exchange indicator)と呼ぶ。
【0098】
マルチキャリア要請/応答メッセージ交換指示子情報がフィールドの形態でハンドオーバー命令メッセージに含まれる形態の一例を、下記の表1に示す。
【0099】
【表1】
表1を参照すると、マルチキャリア要請/応答メッセージ交換指示子フィールドが0に設定されると、端末に、先割当セカンダリキャリア情報に基づくセカンダリキャリアの活性化をそのまま行うことを指示することができる。逆に、当該フィールドが1に設定されると、端末に、ハンドオーバーが完了した後にターゲット基地局にマルチキャリア要請メッセージを伝送してマルチキャリア能力の交渉を行うことを指示することができる。
【0100】
上述したように、マルチキャリア要請/応答メッセージ交換指示子フィールドを含むハンドオーバー命令メッセージ及びフィールド値によってマルチキャリア能力の交渉を行うか否かに関する手順を除く残りのマルチキャリアハンドオーバー手順は、図4を参照して説明した手順に従えばよいので、明細書の簡明さのために重複説明を省略する。
【0101】
上述した方法によって端末と基地局はより効率的にセカンダリキャリアを割り当て且つ活性化させることによってマルチキャリア動作を行うことが可能になる。
【0102】
(端末及び基地局構造)
以下、本発明の他の実施例として、上述した本発明の実施例を実行できる端末及び基地局(FBS、MBS)について説明する。
【0103】
端末は、アップリンクでは送信機として動作し、ダウンリンクでは受信機として動作できる。また、基地局は、アップリンクでは受信機として動作し、ダウンリンクでは送信機として動作できる。すなわち、端末及び基地局は、情報またはデータの伝送のために送信機及び受信機を含むことができる。
【0104】
送信機及び受信機は、本発明の実施例を実行するためのプロセッサ、モジュール、部分及び/または手段などを有することができる。特に、送信機及び受信機は、メッセージを暗号化するためのモジュール(手段)、暗号化したメッセージを解析するためのモジュール、メッセージを送受信するためのアンテナなどを有することができる。このような送信端と受信端の一例を、図6を参照して説明する。
【0105】
図6は、本発明の他の実施例であって、送信端及び受信端の構造の一例を示すブロック図である。
【0106】
図6を参照すると、左側は送信端の構造を示し、右側は受信端の構造を示している。送信端及び受信端のそれぞれは、アンテナ5,10、プロセッサ20,30、伝送モジュール(Tx module)40,50、受信モジュール(Rx module)60,70及びメモリー80,90を有することができる。各構成要素は、互いに対応する機能を実行することができる。以下、各構成要素についてより詳細に説明する。
【0107】
アンテナ5,10は、伝送モジュール40,50で生成された信号を外部に伝送したり、外部から無線信号を受信して受信モジュール60,70に伝達する機能を担う。多重アンテナ(MIMO)機能が支援される場合には、2個以上が設けられてもよい。
【0108】
アンテナ、伝送モジュール及び受信モジュールは共に、無線通信(RF)モジュールを構成することができる。
【0109】
プロセッサ20,30は、通常、移動端末機の全般動作を制御する。例えば、上述した本発明の実施例を実行するためのコントローラ機能、サービス特性及び伝播環境に応じたMAC(Medium Access Control)フレーム可変制御機能、ハンドオーバー(HandOver)機能、認証及び暗号化機能などを実行することができる。より具体的に、プロセッサ20、30は、図3乃至図5に示すキャリア設定情報の獲得/更新/ハンドオーバー手順を行うための制御全般を行うことができる。
【0110】
特に、移動端末機のプロセッサは、マルチキャリア環境においてターゲット基地局のセカンダリキャリア先割当をハンドオーバー要請メッセージを通じて要請することができ、ハンドオーバー命令メッセージに、あらかじめ割り当てられたセカンダリキャリアに関する情報が含まれた場合に、ターゲット基地局への網再進入を終えた後に、該当のセカンダリキャリアを活性化させることができる。ただし、サービング基地局から受信した隣公示メッセージを用いて、ターゲット基地局のマルチキャリア設定がサービング基地局のそれと異なると判断した場合は、プロセッサは、ターゲット基地局への網再進入を完了した後にマルチキャリア要請メッセージを伝送してマルチキャリア能力の再交渉を行うことができる。
【0111】
その他にも、端末のプロセッサは、上述した実施例に開示された動作の全般的な制御動作を行うことができる。
【0112】
伝送モジュール40,50は、プロセッサ20,30からスケジューリングされて外部に伝送されるデータに、所定の符号化(coding)及び変調(modulation)を行った後にアンテナ10に伝達することができる。
【0113】
受信モジュール60,70は、外部からアンテナ5,10を介して受信した無線信号に復号(decoding)及び復調(demodulation)を行い、原本データの形態に復元してプロセッサ20,30に伝達することができる。
【0114】
メモリー80,90は、プロセッサ20,30の処理及び制御のためのプログラムを格納することもでき、入/出力されるデータを臨時記憶する機能を担うこともできる。また、メモリー80,90は、フラッシュメモリータイプ(flash memory type)、ハードディスクタイプ(hard disk type)、マルチメディアカードマイクロタイプ(multimedia card micro type)、カードタイプのメモリー(例えば、SDまたはXDメモリーなど)、RAM(Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、ROM(Read−Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、PROM(Programmable Read−Only Memory)、磁気メモリー、磁気ディスク、光ディスクの少なくとも一タイプの記憶媒体を含むことができる。
【0115】
一方、基地局は、上述した本発明の実施例を実行するためのコントローラ機能、直交周波数分割多重接続(OFDMA:Orthogonal Frequency Division Multiple Access)パケットスケジューリング、時分割デュプレックス(TDD:Time Division Duplex)パケットスケジューリング及びチャネル多重化機能、サービス特性及び伝播環境に応じたMACフレーム可変制御機能、高速トラフィック実時間制御機能、ハンドオーバー(Handover)機能、認証及び暗号化機能、データ伝送のためのパケット変復調機能、高速パケットチャネルコーディング機能、及び実時間モデム制御機能などを、上述したモジュールの少なくとも一つにより行ってもよく、これらの機能を実行するための別の手段、モジュールまたは部分などをさらに備えてもよい。
【0116】
本発明は、本発明の精神及び必須特徴から逸脱することなく、他の特定の形態に具体化できる。そのため、上記の詳細な説明はいずれの面においても制約的に解釈してはならず、例示的なものとして考慮しなければならない。本発明の範囲は、添付した請求項の合理的解釈により定めなければならず、本発明の等価的範囲内における変更はいずれも本発明の範囲に含まれる。また、特許請求の範囲で明示的な引用関係を有しない請求項を結合して実施例を構成したり、出願後の補正により新しい請求項として含めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0117】
上述のような広帯域無線接続システムにおいてより効率的にマルチキャリアハンドオーバーを行う手順及びそのための端末構造は、IEEE 802.16mシステムに適用される例を中心に説明したが、IEEE 802.xxシステムの他、3GPP/3GPP2のような様々な移動通信システムにも適用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6