(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5730991
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】金属薄膜を用いたタッチパネル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20150521BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
G06F3/041 422
G06F3/041 490
G06F3/041 660
G06F3/044 122
G06F3/044 128
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-512521(P2013-512521)
(86)(22)【出願日】2011年5月3日
(65)【公表番号】特表2013-526755(P2013-526755A)
(43)【公表日】2013年6月24日
(86)【国際出願番号】KR2011003282
(87)【国際公開番号】WO2011149199
(87)【国際公開日】20111201
【審査請求日】2013年11月12日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0048417
(32)【優先日】2010年5月25日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】599028364
【氏名又は名称】電子部品研究院
【氏名又は名称原語表記】KOREA ELECTRONICS TECHNOLOGY INSTITUTE
(74)【代理人】
【識別番号】100095669
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 登
(72)【発明者】
【氏名】カク・ミンギ
【審査官】
桜井 茂行
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/154812(WO,A1)
【文献】
特表2011−513846(JP,A)
【文献】
特開2004−192093(JP,A)
【文献】
特開2008−098169(JP,A)
【文献】
特開2008−305036(JP,A)
【文献】
特開2010−39537(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/014683(WO,A1)
【文献】
特開2010−262529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明性基板100と、
前記透明性基板100の下部に形成され、少なくとも一つの第1のパターン電極220及び前記第1のパターン電極220と連結される第1の配線電極240が設けられた金属パターン部200と、
前記金属パターン部200が形成された前記透明性基板100と貼り付けられ、少なくとも一つの第2のパターン電極320及び前記第2のパターン電極320と連結される第2の配線電極340が設けられたフィルム基板300と、を備え、
前記第2のパターン電極320は、長方形状または正方形状であり、
前記第1のパターン電極220は、前記第2のパターン電極320の2方向の辺に交差する角度の細線からなる格子型の網目状であるタッチパネル。
【請求項2】
前記金属パターン部200は、Ag、Al、Cu、Cr、Niのいずれか1種またはこれらの合金から製造された請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記フィルム基板300は、ITO(Indium Tin Oxide)または導電性ポリマからなる請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記透明性基板100は、ガラス基板、透明シリコン基板、または透明プラスチック基板である請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項5】
前記第1のパターン電極220は、前記第1のパターン電極220及び前記第2のパターン電極320の互いに重なる領域に存在する前記細線を断線させた請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項6】
前記第1のパターン電極220は、1〜10μmの線幅を有する細線からなる網目状である請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項7】
前記第1のパターン電極220は、線間の間隔が200μm以上である細線からなる網目状である請求項6に記載のタッチパネル。
【請求項8】
タッチパネルの製造方法において、
透明性基板の片面に金属薄膜をコートする段階と、
前記透明性基板上に設けられた金属薄膜に細線からなる網目状を有する少なくとも一つの第1のパターン電極及び前記第1のパターン電極と連結された第1の配線電極を同時に形成する段階と、
フィルム基板に長方形状または正方形状の第2のパターン電極を形成し、前記第2のパターン電極と連結される第2の配線電極を形成する段階と、
前記透明性基板及び前記フィルム基板を貼り付ける段階と、を含み、
前記第1のパターン電極は、前記第2のパターン電極の2方向の辺に交差する角度の細線からなる格子型の網目状に形成されることを特徴とするタッチパネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル及びその製造方法に関し、より詳しくは、金属薄膜を用いたタッチパネル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルは、ディスプレイの表面に装着され、使用者の指等の物理的接触を電気的信号に変換して製品を作動させる入力装置であって、各種のディスプレイ装置に幅広く応用され、最近になって、その需要が飛躍的に増加している。
【0003】
このようなタッチパネルは、動作原理によって、抵抗膜方式(Resistive)、静電容量方式(Capacitive)、超音波方式(SAW)、赤外線方式(IR)等に分けられる。
【0004】
従来、タッチパネルは、基本的に基板、金属配線層、パターン層を有する。前記パターン層は、複数のパターン電極(タッチパターン)から構成されており、前記パターン電極は、外部の物理的接触に対応して電気的信号を発生させる。
【0005】
一方、発生した電気的信号は、前記パターン電極と連結された金属配線を介して製品の制御部に伝達され、製品を作動させる。
【0006】
しかしながら、従来は、前記パターン電極を構成する伝道性物質である透明伝道膜の表面抵抗が、金属薄膜に比べて大きいため、大面積及び優れた性能を有するタッチパネルの製造の際に、パターン電極間の抵抗が大きくなり、信号感度、検出感度が多少劣るという問題点があった。
【0007】
また、パターン電極が存在する領域と存在しない領域との間の透過率の差のため、パターン電極が存在する領域ではパターン跡が残るという問題点があった。
【0008】
したがって、パターン電極間の抵抗を減少させ、伝導性及び検出感度の面において向上した性能を有するだけでなく、透過性も高めることができるタッチパネルについての技術開発が望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、パターン電極間またはパターン電極及び配線電極間の抵抗を減少させ、伝導性、検出感度、及び透過性の面において向上した性能を有するとともに、パターン電極と配線電極を同時に形成し、作業工程が単純なタッチパネル及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の一側面によると、透明性基板と、前記透明性基板の下部に形成され、少なくとも一つの第1のパターン電極及び前記第1のパターン電極と連結される第1の配線電極が設けられた金属パターン部と、前記金属
パターン部が形成された透明性基板と貼り付けられ、少なくとも一つの第2のパターン電極及び前記第2のパターン電極と連結される第2の配線電極が設けられたフィルム基板と、を備え、第1のパターン電極は、細線からなる網目状であるタッチパネルが提供される。
【0011】
また、前記金属パターン部は、Ag、Al、Cu、Cr、Niのいずれか1種またはこれらの合金から製造されてもよい。
【0012】
また、前記フィルム基板は、ITO(Indium Tin Oxide)または導電性ポリマからなってもよい。
【0013】
また、前記透明性基板は、ガラス基板、透明シリコン基板、または透明プラスチック基板であってもよい。
【0014】
また、前記第1のパターン電極は、前記第1のパターン電極及び第2のパターン電極の互いに重なる領域に存在する細線を断線させてもよい。
【0015】
また、第1のパターン電極は、1〜10μmの線幅を有し、線間の間隔が200μm以上である細線からなる網目状であってもよい。
【0016】
本発明の他の側面によると、透明性基板の片面に金属薄膜をコートする段階と、前記透明性基板上に設けられた金属薄膜に細線からなる網目状を有する少なくとも一つの第1のパターン電極及び前記第1のパターン電極と連結された第1の配線電極を同時に形成する段階と、フィルム基板に第2のパターン電極を形成し、前記第2のパターン電極と連結される第2の配線電極を形成する段階と、前記透明性基板及び前記フィルム基板を貼り付ける段階と、を含むタッチパネルの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、金属薄膜を用いたパターン電極を網目状に形成し、パターン電極間またはパターン電極及び配線電極間の抵抗を減少させることにより、タッチパネルの伝道性及び検出強度を向上させることができる。
【0018】
また、網目状のパターン電極を形成することにより、タッチパネルの透過性を向上させることができる。
【0019】
また、パターン電極と配線電極を同時に形成することにより、タッチパネルの製造工程を単純化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施例によるタッチパネルを示す断面図である。
【
図2】
図1に示したタッチパネルの分離斜視図である。
【
図4】
図3に示したタッチパネルにおけるA部分を拡大した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付した図面に基づき、本発明の好適な実施例について詳述する。
【0022】
図1は、本発明の一実施例によるタッチパネルを示す断面図である。
【0023】
本発明の一実施例によるタッチパネルは、透明性基板100と、前記透明性基板100の下部に形成され、少なくとも一つの第1のパターン電極220及び前記第1のパターン電極220と連結される第1の配線電極240が設けられた金属パターン部200と、前記金属パターン部200が形成された前記透明性基板100が貼り付けられ、少なくとも一つの第2のパターン電極320及び前記第2のパターン電極320と連結される第2の配線電極340が設けられたフィルム基板300と、を備える。
【0024】
以下、本発明の一実施例によるタッチパネルについて順次に詳述する。
【0025】
図2は、
図1に示したタッチパネルの分離斜視図であり、
図3は、正面図である。
【0026】
図2及び
図3を参照すると、透明性基板100は、金属パターン部200及びフィルム基板300を支持する。透明性基板100は、SiO
2を主成分とするガラス基板が主に用いられるが、シリコン基板またはプラスチック基板でも具現可能である。すなわち、透明性基板100は、金属パターン部200及びフィルム基板300を支持可能であれば、いずれも使用可能である。
【0027】
特に、透明性基板100がプラスチック基板である場合、柔軟性があり、フレキシブルディスプレイの具現が可能である。
【0028】
前記プラスチック基板は、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトンのいずれか一つであってもよい。但し、透明性を有するプラスチック基板でなければならない。
【0029】
透明性基板100の下部には、金属パターン部200が形成される。金属パターン部200は、少なくとも一つの第1のパターン電極220及び前記第1のパターン電極220と連結された第1の配線電極240を有する。
【0030】
第1のパターン電極220及び第1の配線電極240は、互いに電気的に連結される。第1の配線電極240は、使用者による外部からの物理的接触があったとき、第1のパターン電極220で発生した電気的信号を制御部(図示せず)または軟性回路基板(図示せず)に伝達する役割を行う。
【0031】
前記制御部または前記軟性回路基板は、第1の配線電極240と別途の接続部(図示せず)を介して連結されてもよい。
【0032】
第1のパターン電極220及び第1の配線電極240が設けられた金属パターン部200は、Ag、Al、Cu、Cr、Niのいずれか1種またはこれらの合金で製造されてもよい。
【0033】
金属パターン部200が金属で製造されることにより、金属パターン部200に設けられる第1のパターン電極220間または第1のパターン電極220及び第1の配線電極240間の抵抗を減少させる役割を行うことができる。これは、タッチパネルの伝道性及び検出感度を向上させる。
【0034】
一方、金属パターン部200に設けられる第1のパターン電極220及び第1の配線電極240が同一の金属物質からなることにより、タッチパネルの製造工程を単純化することができる。
【0035】
フィルム基板300は、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ZnO(Zinc Oxide)、In
2O
3(Indium Oxide)等の透明伝道膜形成用物資で製造されてもよい。
【0036】
フィルム基板300は、少なくとも一つの第2のパターン電極320及び第2のパターン電極320と連結された第2の配線電極340を有する。第2のパターン電極320は、フィルム基板300上にパターニングされて形成され、第2の配線電極340は、銀ペーストで形成される。
【0037】
第2のパターン電極320及び第2の配線電極340は、互いに電気的にに連結される。第2の配線電極340は、使用者による外部からの物理的接触があったとき、前記第2のパターン電極320で発生した電気的信号を制御部(図示せず)または軟性回路基板(図示せず)に伝達する役割を行う。
【0038】
前記制御部または軟性回路基板は、第2の配線電極340とは別途の接続部(図示せず)を介して連結されてもよい。第2のパターン電極320及び第2の配線電極340が設けられたフィルム基板300は、金属パターン部200が形成された透明性基板100と相互に貼り付けられる。
【0039】
透明性基板100及びフィルム基板300が貼り付けられるときは、光学用透明接着剤400が用いられてもよい。光学用透明接着剤400の例としては、OCA(Optical Clear Adhesive)がある。
【0040】
本発明の一実施例によるタッチパネルは、第1のパターン電極220が細線からなる網目状で形成されてもよい。
【0041】
第1のパターン電極220が細線からなる網目状に形成されることにより、従来、センサ電極が存在する領域においてパターン跡が残る現象を減少させる役割を行い、タッチパネルの透過性を向上させることができる。
【0042】
図4は、
図3に示したタッチパネルにおけるA部分を拡大した拡大図である。
【0043】
図4を参照すると、第1のパターン電極220は、細線からなる網目状に形成され、第1のパターン電極220は、第2のパターン電極320と互いに重なる領域に存在する構成細線を断線させることができる。
【0044】
すなわち、第1のパターン電極220及び第2のパターン電極320は、互いに重なる部分がないように配置されてもよい。そうでなければ、外部の物理的接触があったとき、電気的信号の発生の混乱が生じ、タッチパネルの不良率が高くなることがある。
【0045】
より具体的に、金属パターン部200に形成された第1のパターン電極220は、フィルム基板300に形成される第2のパターン電極320の模様に応じて、第1のパターン電極220及び第2のパターン電極320が互いに重なる領域に存在する細線を断線させてもよい(
図2参照)。
【0046】
その結果、本発明の一実施例によるタッチパネルを正面からみると(
図3及び
図4参照)、第1のパターン電極220は、第2のパターン電極320と重なる領域の細線が断線されていることが確認される。
【0047】
すなわち、第1のパターン電極220及び第2のパターン電極320は、電気的に重なる領域が存在しないので、上述した電気的信号の発生の混乱が生じない。
【0048】
第1のパターン電極220及び第2のパターン電極320は、
図2、
図3、及び
図4において、第2のパターン電極320が長方形状に形成されており、第1のパターン電極220は、前記第2のパターン電極320と重なる領域が断線された形態を示しているが、本発明は、これに限定されない。
【0049】
第2のパターン電極320は、菱形、正方形、長方形、円、または定形化していない模様(例えば、デンドライト構造のように葉が絡んでいる模様)のように、多様に形成されることが可能である。
【0050】
第1のパターン電極220は、第2のパターン電極320と重なる領域において、前記細線が断線されるように配置されるだけである。言い換えれば、第1のパターン電極220及び第2のパターン電極320は、互いに電気的に重なる領域がないという前提の下で、多様な模様に形成される。
【0051】
また、第1のパターン電極220及び第2のパターン電極320は、複数形成され、前記透明性基板100上に形成または貼付される。
【0052】
この場合、パターン電極220、320のそれぞれが配線電極240、340と連結され、またはパターン電極220、320同士で連結され、パターン電極220、320の一部のみが配線電極と連結されてもよい。
【0053】
第1のパターン電極220の線幅は、1〜10μmであってもよい。前記線幅が1μmよりも狭いと、タッチパネルの不良率が増加し、線幅が10μmよりも広いと、タッチパネルの透過性の向上を期待し難いからである。
【0054】
また、第1のパターン電極220は、線間の間隔が200μm以上であってもよい。
線間の間隔が200μm未満である場合は、タッチパネルの透過率が減少することがあるからである。
【0055】
以下、本発明の一実施例によるタッチパネルの製造方法について説明する。
【0056】
先ず、透明性基板100の片面にスパッタ装置、電子ビーム装置、またはサーマル装置等を用いて金属薄膜をコートする。この際、前記過程を省略するために、金属薄膜が形成された透明性基板を用いてもよい。
【0057】
次に、透明性基板100上に設けられた金属薄膜に、PR(Photoresist)コート等の工程を通じたウェット工程技術により、細線からなる網目状を有する少なくとも一つの第1のパターン電極220及び第1のパターン電極220と連結された第1の配線電極240を同時に形成する。
【0058】
第1のパターン電極220及び第1の配線電極240を同時に形成することにより、追加工程無しでも、タッチパネルを製造することが可能となり、製造工程を単純化することができる。
【0059】
例えば、第1のパターン電極220は、細線からなる網目状に形成し、第1の配線電極240は、一般にストリップ状に形成する。
【0060】
次に、フィルム基板300に第2のパターン電極320を形成し、第2のパターン電極320と連結される第2の配線電極320を形成する。
【0061】
具体的に、フィルム基板300に、PR(Photoresist)コート等の工程を通じたウェット工程技術によって、第2のパターン電極320を形成する。また、第2のパターン電極320と連結されるように、フィルム基板300の周縁部に第2の配線電極320を銀ペーストで形成する。
【0062】
次に、透明性基板100及びフィルム基板300をOCA(Optical Clear Adhesive)を用いて貼り付ける。
【0063】
次に、前記配線電極240、340の端部に制御部または軟性回路基板(FPCB)を連結してタッチパネルを作製する。
【0064】
以上、本発明の好適な実施例について図示して説明しているが、本発明は、上述した特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲において請求する本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、当該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者によって、様々な変形実施が可能であることはもとより、このような変形実施は、本発明の技術的思想や見通しから個別的に理解されなければならないものである。
【符号の説明】
【0065】
100 透明性基板
200 金属パターン部
220 第1のパターン電極
240 第1の配線電極
300 フィルム基板
320 第2のパターン電極
340 第2の配線電極
400 光学用透明接着剤