特許第5731008号(P5731008)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5731008
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】膨張発泡断熱材による壁空洞の充填方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/14 20060101AFI20150521BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20150521BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20150521BHJP
   B29K 75/00 20060101ALN20150521BHJP
   B29K 105/04 20060101ALN20150521BHJP
【FI】
   C08J9/14CFF
   C08G18/00 H
   B29C67/22
   B29K75:00
   B29K105:04
【請求項の数】28
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2013-540005(P2013-540005)
(86)(22)【出願日】2011年11月17日
(65)【公表番号】特表2014-504308(P2014-504308A)
(43)【公表日】2014年2月20日
(86)【国際出願番号】US2011061153
(87)【国際公開番号】WO2012068351
(87)【国際公開日】20120524
【審査請求日】2013年8月8日
(31)【優先権主張番号】61/572,277
(32)【優先日】2010年11月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/535,162
(32)【優先日】2011年9月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510256584
【氏名又は名称】エフオーエムオー、プロダクツ、インク
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】フィッシュバック トム
(72)【発明者】
【氏名】カッフォエ ダグ
(72)【発明者】
【氏名】テイラー アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】シューメーカ ジュリー
【審査官】 村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−082405(JP,A)
【文献】 特表2000−507636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00−9/42
C08G 18/00−18/87;
71/00−71/04
B29C 44/00;67/20−67/24
B29D 30/00−30/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空洞を寸法安定な発泡性ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡体系で充填する方法であって、前記空洞の内壁を湾曲させたり、発泡前に前記空間の底部の亀裂から滲出することのない方法であり、以下の工程を含む、方法:
前記空洞に寸法安定な二成分のポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡体を加える工程であって、前記発泡体が、有効量の少なくとも1つの発泡剤(その不燃性混和性混合物および不燃性共沸混合物を含む)、前記発泡剤が以下の式(I)を含む:
[CVa]m - A - [CXb]n - B - [CYc]o - D - [CZd]p
式中、
Cは、炭素原子であり;
V、X、YおよびZは、独立して、H、FおよびClよりなる群から選択され;
aおよびdは、独立して、1から3までの範囲の整数値から選択され;
bおよびcは、独立して、0から2までの範囲の整数値から選択され;
o、pおよびnは、1に等しく;
mは、0から1までの範囲の整数値から選択され;
A、BおよびDは、隣接する炭素原子が存在する場合、そのような炭素原子の利用可能な結合部位を満たすに充分な共有結合であり;
前記少なくとも1つの発泡剤は、沸点が約5〜50℃の間であり、オゾン層破壊係数が0.05以下であり;
前記発泡系は、反応プロフィールのゲルおよび粘着時間が約90秒未満であり;
前記発泡剤、前記発泡剤の混和性混合物および前記発泡剤の共沸混合物は、不燃性である
【請求項2】
請求項1の方法であって、前記共有結合A、BおよびDが、独立して、一重、二重および三重共有結合よりなる群から選択される、方法。
【請求項3】
請求項1の方法であって、式(I)が、HFC-245fa、HFC-365mfc、HBA-2、FEA-1100、AFA-L1、AFA-L2、それらの不燃性混和性混合物(但し、前記不燃性混和性混合物は約5〜50℃の間の沸点を有し、かつ0.05以下のオゾン層破壊係数を有する)および不燃性共沸混合物(但し、前記不燃性共沸混合物は約5〜50℃の間の沸点を有し、かつ0.05以下のオゾン層破壊係数を有する)よりなる群から選択され、さらに式(I)が前記発泡剤の主要量である、方法。
【請求項4】
請求項3の方法であって、前記発泡剤の沸点が約10〜40℃の間である、方法。
【請求項5】
請求項4の方法であって、前記反応プロフィールのゲルおよび粘着時間が約60秒未満である、方法。
【請求項6】
請求項5の方法であって、前記反応プロフィールのゲルおよび粘着時間が約45秒未満である、方法。
【請求項7】
請求項6の方法であって、ポリオール成分が、ハロゲン化芳香族ポリオールを含む、方法。
【請求項8】
請求項7の方法であって、前記ポリオール成分が、さらに、少なくとも4つの官能基を有するスクロースポリエーテルポリオールを含む、方法。
【請求項9】
請求項8の方法であって、前記ポリオール成分が、さらに、少なくとも3つの異なる触媒を含む、方法。
【請求項10】
請求項9の方法であって、前記発泡剤の蒸気圧が、75°F(24℃)で約5 psi(34.5 kPa)〜30 psi(206.9 kPa)である、方法。
【請求項11】
空洞を寸法安定な発泡性ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡体系で充填する方法であって、前記空洞の内壁を湾曲させたり、発泡前に前記空間の底部の亀裂から滲出することのない方法であり、以下の工程を含む、方法:
前記空洞に寸法安定な二成分のポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡体を加える工程であって、前記発泡体が、有効量の少なくとも1つの発泡剤(その不燃性混和性混合物および不燃性共沸混合物を含む)み、前記発泡剤が以下の式(II)を含む:
[CUe]q - E - [CWf]r - F - [CVa]m - A - [CXb]n - B - [CYc]o - D - [CZd]p
式中、
Cは、炭素原子であり;
U、W、V、X、YおよびZは、独立して、H、FおよびClよりなる群から選択され;
dおよびeは、独立して、1から3までの範囲の整数値から選択され;
a、b、cおよびfは、独立して、0から2までの範囲の整数値から選択され;
o、pおよびnは、1に等しく;
m、qおよびrは、独立して、0から1までの範囲の整数値から選択され;
A、B、D、EおよびFは、隣接する炭素原子が存在する場合、そのような炭素原子の利用可能な結合部位を満たすに充分な共有結合であり;
前記発泡剤は、沸点が約5〜50℃の間であり、オゾン層破壊係数が0.05以下であり;
前記発泡系は、反応プロフィールのゲルおよび粘着時間が約90秒未満であり;
前記発泡剤、前記発泡剤の混和性混合物および前記発泡剤の共沸混合物は、不燃性である。
【請求項12】
請求項11の方法であって、前記共有結合A、B、D、EおよびFが、独立して、一重、二重および三重共有結合よりなる群から選択される、方法。
【請求項13】
請求項11の方法であって、式(II)が、HFC-245fa、HBA-2、FEA-1100、AFA-L1、AFA-L2、それらの不燃性混和性混合物(但し、前記不燃性混和性混合物は約5〜50℃の間の沸点を有し、かつ0.05以下のオゾン層破壊係数を有する)および不燃性共沸混合物(但し、前記不燃性共沸混合物は約5〜50℃の間の沸点を有し、かつ0.05以下のオゾン層破壊係数を有する)よりなる群から選択され、さらに式(II)が前記発泡剤の主要量である、方法。
【請求項14】
空洞を寸法安定な発泡性ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡体系で充填する方法であって、前記空洞の内壁を湾曲させたり、発泡前に前記空間の底部の亀裂から滲出することのない方法であり、以下の工程を含む、方法:
前記空洞に寸法安定な二成分のポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡体を加える工程であって、前記発泡体が、有効量の少なくとも1つの発泡剤(その不燃性混和性混合物および不燃性共沸混合物を含む)を含み、前記発泡剤が約5〜50℃の間の沸点を有し、0.05以下のオゾン層破壊係数を有し、前記発泡剤が1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンから実質的になる、方法。
【請求項15】
請求項13又は14の方法であって、前記発泡剤の沸点が約10〜40℃の間である、方法。
【請求項16】
請求項15の方法であって、前記反応プロフィールのゲルおよび粘着時間が約60秒未満である、方法。
【請求項17】
請求項16の方法であって、前記反応プロフィールのゲルおよび粘着時間が約45秒未満である、方法。
【請求項18】
請求項17の方法であって、前記ポリオール成分が、ハロゲン化芳香族ポリオールを含む、方法。
【請求項19】
請求項18の方法であって、前記ポリオール成分が、さらに、少なくとも4つの官能基を有するスクロースポリエーテルポリオールを含む、方法。
【請求項20】
請求項19の方法であって、前記ポリオール成分が、さらに、少なくとも3つの異なる触媒を含む、方法。
【請求項21】
請求項20の方法であって、前記発泡剤の蒸気圧が、75°F(24℃)で約5 psi(34.5 kPa)〜30 psi(206.9 kPa)である、方法。
【請求項22】
発泡性の寸法安定な二成分のポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡体系であって:
有効量の少なくとも1つの発泡剤(それらの混和性混合物および共沸混合物を含む)であって、前記発泡剤が以下の式(II)を含み:
[CUe]q - E - [CWf]r - F - [CVa]m - A - [CXb]n - B - [CYc]o - D - [CZd]p
式中、
Cは、炭素原子であり;
U、W、V、X、YおよびZは、独立して、H、FおよびClよりなる群から選択され;
dおよびeは、独立して、1から3までの範囲の整数値から選択され;
a、b、cおよびfは、独立して、0から2までの範囲の整数値から選択され;
o、pおよびnは、1に等しく;
m、qおよびrは、独立して、0から1までの範囲の整数値から選択され;
A、B、D、EおよびFは、隣接する炭素原子が存在する場合、そのような炭素原子の利用可能な結合部位を満たすに充分な共有結合であり;
前記発泡剤は、沸点が約5〜50℃の間であり、オゾン層破壊係数が0.05以下であり;
前記発泡剤、その混和性混合物および共沸混合物は、不燃性である、発泡剤;
イソシアネート;
ハロゲン化芳香族ポリオール;
少なくとも4つの官能基を有するスクロースポリエーテルポリオール;および
少なくとも3つの異なる触媒
を含み、前記発泡体系は寸法安定的である、発泡体系。
【請求項23】
発泡性の二成分のポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡体系であって:
有効量の少なくとも1つの発泡剤(約5〜50℃の間の沸点を有し、かつ0.05以下のオゾン層破壊係数を有する)であって、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンから実質的になる発泡剤:
イソシアネート;
ハロゲン化芳香族ポリオール;
少なくとも4つの官能基を有するスクロースポリエーテルポリオール;および
少なくとも3つの異なる触媒
を含み、前記発泡体系は寸法安定的である、発泡体系。
【請求項24】
請求項22又は23の発泡体系であって、前記少なくとも3つの異なる触媒が、2つのアミン系触媒および1つのスズ系触媒を含む、発泡体系。
【請求項25】
請求項24の発泡体系であって、少なくとも1種の第2の不燃性共発泡剤をさらに含有し、前記少なくとも1種の第2の不燃性共発泡剤は、約5〜50℃の間の沸点を有し、かつ0.05以下のオゾン層破壊係数を有し、前記少なくとも1種の第2の不燃性共発泡剤の混和性混合物および共沸混合物を含有する、発泡体系。
【請求項26】
請求項25の発泡体系であって、前記少なくとも1種の第2の不燃性共発泡剤が、FEA-1100、AFA-L1、AFA-L2、及びHBA-2から成る群から選ばれる少なくとも1種から選ばれ、前記第2の不燃性共発泡剤の前記不燃性混和性混合物および不燃性共沸混合物を含む、発泡体系。
【請求項27】
請求項14の方法であって、
HFC-365mfc、HBA-2、FEA-1100、AFA-L1、AFA-L2、それらの不燃性混和性混合物(但し、前記不燃性混和性混合物は約5〜50℃の間の沸点を有し、かつ0.05以下のオゾン層破壊係数を有する)および不燃性共沸混合物(但し、前記不燃性共沸混合物は約5〜50℃の間の沸点を有し、かつ0.05以下のオゾン層破壊係数を有する)よりなる群から選択される少なくとも1種の第2の不燃性共発泡剤をさらに加える工程を含む方法。
【請求項28】
請求項27の方法であって、前記少なくとも1種の発泡剤の沸点が約10〜40℃の間である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本書に記載された発明は、一般に高分子発泡体の使用方法に関し、特に、先ず第一に、既存の断熱材を補うか、外壁に断熱材を加える、改修適用における使用方法に関し、および、それに関連する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギーを意識する今日の社会では、我々の家屋のより優れた断熱法を見出すことは、大多数の人々の最大の関心事である。このような断熱のため、多数の異なる材料が使用されてきた。例えば、ファイバーグラス断熱材は、家屋の壁、天井等の断熱のため、優れた断熱特性を提供する。しかし、多数の家屋は、過去の壁に充分な断熱材を用いない時代に建築された。家屋の壁にファイバーグラス等の断熱材を組み込むために、壁を取り外し交換することは、明らかに非常に費用がかかる。従って、このような壁の破壊を回避する方法は、非常に有利である。
【0003】
住宅に耐気候構造を組み込む場合に、最大のエネルギー効率達成を阻むものの1つは、1970年代以前に建てられた家屋に見られるタイプの建築である。「バルーン」構法は、住宅建築において一般的であったが、家の外壁には断熱材を詰めず、外壁は中空である。いくつかの例では、壁の空洞は、頂部の屋根裏および下部の基礎の方向に隙間があった。屋根裏および基礎は湿った冷気が満ちているため、この冷たい湿った空気の対流的気流が壁の内部を循環した。
【0004】
米国では、住居用建物および商業ビルのエネルギー効率を重視するようになり、これらの耐気候構造化プログラムに景気刺激予算を組んできた。建物のエネルギーコストのおよそ40%は、構造内外の空気の移動に起因する暖房および冷房損失に関連すると考えられる。従って、このような空気の移動を止めることは、暖冷房に関連するエネルギーコストの削減に最大の影響の一つをもたらし、窓の交換や新しい冷暖房空調設備の導入よりもさらに大きな価値を提供する。発泡断熱材およびシーラントは、配向性ストランドボード(「OSB」)および乾式壁材等の他の構造材料と組み合わせて、建物の空気バリアを作る。連続的な空気バリアは、最大の省エネルギーに必要である。
【0005】
過去には、壁の空洞に断熱材料を組み込むため、種々の発泡材料が使用されていた。例えば、以前は、尿素ホルムアルデヒドおよびフェノールホルムアルデヒドの発泡体が使用され、このような発泡体は壁の穴から壁の空洞中にポンプ注入されていた。尿素ホルムアルデヒド発泡体には多数の欠点があり、例えば、脆いこと、使用が不十分な場合は毒性のあるホルムアルデヒドが放出されること、収縮して、その後断熱有効性が損なわれること、および、温度耐性が劣るため、より暖かい地域および屋根裏では壁での使用が禁じられることが挙げられる。バラ詰め断熱材製品の主たる欠点は、時間の経過により、壁の空洞に断熱されない隙間ができることである。壁部分に組み込むために、より一般的な断熱材料(ウレタンボード材料、ファイバーグラス、ポリスチレン、発泡ガラス、ポリオレフィン発泡体等)を使用することは現実的ではないため禁止され、これは単に、広範囲に及ぶ建物のダメージなく、現場で製造および/または取り付けすることが困難であるためである。
【0006】
ポリウレタンおよびポリイソシアヌレート発泡体は、効果的な断熱材料としてよく知られている。しかし、このような従来のポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡体を用いて壁の空洞の断熱性を改良することには、いくつかの問題がある。第一に、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート断熱発泡体は非常に濃厚であり、壁空洞の断熱材として安価にはならない。例えば、殆どの壁は厚さ3・5/8インチ(9.21 cmと等価)の範囲の空洞を有する。この大きな空洞を満たすのに必要なポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡体の量は、発泡体によって得られる断熱性について経済的に理にかなわず、例えば、充分な断熱特性は、厚さ約2インチ(5.1 cmと等価)の発泡体で経済的に得られるだろう。さらに、壁の空洞の断熱性を改良するために使用される、従来のポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡体には、立ち上り時間がゲル化時間または固定時間をはるかに超えるという、他の問題があった。従って、このような発泡体は、まず第一に、発泡体が膨張を完了した時に空洞内に発生した圧力が損傷を与える程度にまで、壁の空洞内において硬化(set)する。また、壁の空洞内に不注意に入れられた過剰の発泡体は、壁のアクセス穴からの押し出しが継続せず、むしろ膨張が継続して、空洞の壁を押す内部圧力を生み、多数の例では、壁に座屈(buckling)あるいは亀裂が生じる。
【0007】
少なくとも一つの構成要素は、高圧衝突混合装置を用いて分注される、反応が遅く低密度で、オープンセルのポリウレタン発泡体を提供することと考えられる。あらゆる高圧分注装置と同様に、発泡体は初めは液体として分注され、しばらくすると泡になる。液体である間、液体は壁の空洞底部の床板に浸透して滲出し、床面を損傷する。一度膨張を開始すると(少なくとも適用約20秒後)、膨張は激しく、乾式壁を損傷すると考えられる。発泡体は、二酸化炭素を形成する水とMDIの反応によって、水と共に膨れる。この発泡体は、壁空洞の多数の穴を使用し、幅木部分にテープを貼って分注した発泡体の滲出を防ぐことが必要で、慎重に適用されるべきと考えられる。
【0008】
また、アクリル系ラテックス型の発泡体は、アクリル系ラテックス型発泡体が明らかな構造的完全性を殆どまたは全く有しない点で、僅かな成功しか収めなかったが、これは、この発泡体が架橋しないため、導入後に比較的短時間に壁の空洞内で崩れて分解するためである。
【0009】
従って、必要なことは、発泡体を空洞中に分注する方法であって、既存の乾式壁に与える損傷は最低限であるか全く損傷を与えず、さらに壁の空洞内部の障害物(例えば、電気ボックス)の周囲を流れ、構造的完全性を有する発泡体、好ましくは架橋された発泡体を使用し、それにより構造の外壁に連続的空気バリアを形成する方法であることが容易に分かる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明によれば、膨張に際して乾式壁を損傷せず、影響の大きい障害物の周囲を流れ、好ましくは1つの空洞当り1つの穿孔のみを使用する、発泡性発泡体(frothable foam)が提供されるが、独特の形状および/または障害物を有する、いくつかの用途は、さらなる孔を要してもよいことが認められる。
【0011】
本発明のさらに別の側面は、空洞内で頂部から底部まで適度に均一の密度の発泡体であって、壁の空洞底部の亀裂から滲出しない発泡体を提供することである。密度の逸脱、即ちより高密度の領域は、障害物の周囲で膨張し、別々に硬化する2つの発泡体の前面が出会う、ニットライン(knit line)によるところが大きい。
【0012】
本発明の上記および他の側面は、低圧で高沸点の発泡剤を、純粋に、または他の発泡剤との混和性混合物または共沸混合物として使用することによって達成され、本発明は、本書で規定した特徴を有する次世代の発泡剤、特により高沸点の発泡剤を包含することが認められる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
広義には、本発明は、空洞を発泡性ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡体系で充填する方法であって、前記空洞の内壁を湾曲させたり、発泡前に前記空間の底部の亀裂から滲出することのない方法であり、以下の工程を含む、方法を記載する:
前記空洞に二成分のポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡体を加える工程であって、前記発泡体が、有効量の少なくとも1つの発泡剤、およびその混和性混合物および共沸混合物等を含み、前記発泡剤が以下の式(I)を含む:
[CVa]m - A - [CXb]n - B - [CYc]o - D - [CZd]p
式中、
Cは、炭素原子であり;
V、X、YおよびZは、独立して、H、FおよびClよりなる群から選択され、従って、上記で使用した通り、上記のマーカッシュの式の第一の成分として許容される部分、即ち[CVa]は、CF3-、CHF2-、CH2F-、CCl3-、CHCl2-、CH2Cl-、CH3-、CHClF-、CCl2F-、CF2Cl-、CH=、C≡、CF=、CCl=等であってもよく;
aおよびdは、独立して、0から3までの範囲の整数値から選択され;
bおよびcは、独立して、0から2までの範囲の整数値から選択され;
o、pおよびnは、1に等しく;
mは、0から1までの範囲の整数値から選択され;
A、BおよびDは、隣接する炭素原子が存在する場合、そのような炭素原子の利用可能な結合部位を充分に満たす共有結合であり;
前記発泡剤は、沸点が約5〜50℃の間であり、オゾン層破壊係数が0.05以下であり;
前記発泡系は、反応プロフィールのゲルおよび粘着時間(a reation profile gel and tack time)が約90秒未満である。
【0014】
式(I)において、共有結合A、BおよびDは、独立して、一重、二重および三重共有結合よりなる群から選択される。マーカッシュの式で示されている式(I)の発泡剤は、HFC-245fa、HFC-365mfc、HBA-2、FEA-1100、AFA-L1、AFA-L2、それらの混和性混合物および共沸混合物よりなる群から選択され、さらに式(I)は前記発泡剤の主要量(major amount)である。
【0015】
発泡剤は、好ましくは、沸点が約10〜40℃の間である。記載した方法および発泡剤を使用する場合、反応プロフィールのゲルおよび粘着時間は約60秒未満であり、より好ましくは、約45秒未満である。難燃性は、ハロゲン化芳香族ポリオールの使用によって増強され、好ましくは、官能価が少なくとも4であるスクロースポリエーテルポリオールと組み合わせて、最も好ましくは、少なくとも3つの異なる触媒と組み合わせて使用する。少なくとも1つの発泡剤の蒸気圧は、75°F(24℃と同等)で約5〜30 psigである。
【0016】
本発明および本書で適用可能な発泡剤は、3〜4炭素基に限定されず、以下の式(II)に示される通り、4〜6炭素基であり得る;
[CUe]q - E - [CWf]r - F - [CVa]m - A - [CXb]n - B - [CYc]o - D - [CZd]p
式中、
Cは、炭素原子であり;
U、W、V、X、YおよびZは、独立して、H、FおよびClよりなる群から選択され、式(I)に示される通り、マーカッシュの式の要素に類似の構造を配置し;
dおよびeは、独立して、0から3までの範囲の整数値から選択され;
a、b、cおよびfは、独立して、0から2までの範囲の整数値から選択され;
o、pおよびnは、1に等しく;
m、qおよびrは、独立して、0から1までの範囲の整数値から選択され;
A、B、D、EおよびFは、隣接する炭素原子が存在する場合、そのような炭素原子の利用可能な結合部位を充分に満たす共有結合であり;
前記発泡剤は、沸点が約5〜50℃の間であり、オゾン層破壊係数が0.05以下であり;
前記発泡系は、反応プロフィールのゲルおよび粘着時間が約90秒未満であり;
前記発泡剤は、不燃性である。
【0017】
前述と同様に、共有結合A、B、D、EおよびFは、独立して、一重、二重および三重共有結合よりなる群から選択される。式(II)の範囲内の発泡剤の具体例としては、HFC-245fa、HBA-2、FEA-1100、AFA-L1、AFA-L2、それらの混和性混合物および共沸混合物が挙げられ、さらに式(II)は前記発泡剤の主要量である。発泡剤は、沸点が約10〜40℃の間であり、ポリマー系は、反応プロフィールのゲルおよび粘着時間は約90秒未満であり、より好ましくは、約60秒未満であり、最も好ましくは約45秒未満である。この方法では、式のポリオール側鎖としては、ハロゲン化芳香族ポリオールが挙げられ、好ましくは、官能価(functionality)が少なくとも4であるスクロースポリエーテルポリオールと組み合わせたもの、さらに、少なくとも3つの異なる触媒と組み合わせたものが挙げられる。発泡剤の蒸気圧は、好ましくは、75°F(24℃)で約5〜30 psigの範囲内である。
【0018】
本発明のこれらおよび他の目的は、図面、詳細な説明および添付の特許請求の範囲に照らして考えると明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明は、ある部分および部分の配置において物理的な形態をとってもよく、本発明の好ましい態様は、明細書中に詳細に記載され、本発明の一部を形成する添付の図面中に図示されるが、ここで:
【0020】
図1図1は、発泡剤としてHFC-134aを使用して、実施例1のクローズドセル・イソシアヌレートポリマーを空洞中で発泡させた結果の正面図であり;
【0021】
図2図2は、発泡剤としてHFC-245faを使用して、実施例2のクローズドセル・ポリイソシアヌレートポリマーを空洞中で発泡させた結果の、図1と同様の図であり;
【0022】
図3図3は、発泡剤としてHFC-134aを使用して、実施例3のクローズドセル・ポリウレタンポリマーを空洞中で発泡させた結果の正面図であり;
【0023】
図4図4は、発泡剤としてHFC-245faを使用して、実施例4のクローズドセル・ポリウレタンポリマーを空洞中で発泡させた結果の、図3と同様の図であり;
【0024】
図5図5は、発泡剤としてHFC-134aを使用して、実施例5のオープンセル・ポリウレタンポリマーを空洞中で発泡させた結果の正面図であり;
【0025】
図6図6は、発泡剤としてHFC-245faを使用して、実施例6のオープンセル・ポリウレタンポリマーを空洞中で発泡させた結果の、図5と同様の図であり;
【0026】
図7図7は、発泡剤としてFEA-1100を使用して、実施例7のオープンセル・ポリウレタンポリマーを空洞中で発泡させた結果の、図5および6と同様の図であり;
【0027】
図8図8は、発泡剤としてHFC-134aを使用して、実施例8のクローズドセル・ポリイソシアヌレートポリマーを空洞中で発泡させた結果の正面図であり;
【0028】
図9図9は、発泡剤としてHFC-245faを使用して、実施例9のクローズドセル・ポリイソシアヌレートポリマーを空洞中で発泡させた結果の、図8と同様の図であり;
【0029】
図10図10は、HFC-245faまたはFEA-1100以外の発泡剤を使用した場合の、試験ユニットの壁の湾曲を示す、試験空洞の上面斜視図であり、これは、高圧衝突発泡を使用して起こることのシュミレーションであり;
【0030】
図11図11は、試験装置の正面図であり、空洞のおよそ中間に位置する障害および試験装置の下端に向かって位置する一対の接続箱を示し;
【0031】
図12図12は、試験装置の上面図であり、中間の障害に対向する狭い隙間を示し;および
図13図13は、空洞の正面にプレキシガラスを装着した試験装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明を実施するための最良の形態は、本特許出願の出願時に、出願人が知る最良の形態を説明するために、以下に記載される。実施例および図面は、一例にすぎず、本発明を限定することを意図せず、本発明は、特許請求の範囲および精神で判断される。
【0033】
本発明は、改良されたポリウレタンおよびポリイソシアヌレート発泡体に関し、これは少なくとも有効量の低圧高沸点発泡剤やその混和性混合物を用いる。
【0034】
本出願で使用される場合、ポリウレタンの混合物を包含する「ポリウレタン」または「PUR」という用語の、非限定的で典型的な定義は、ウレタン結合が、イソシアネート基-N=C=Oをヒドロキシル(アルコール)基-OHと反応させることによって作られる、反応高分子の一分類を意味する。ポリウレタンは、触媒および他の添加剤の存在下、ポリイソシアネートのポリアルコール(ポリオール)との重付加(polyaddition)反応によって製造される。この場合、ポリイソシアネートは、2以上のイソシアネート官能基R-(N=C=O)n 2を有する分子であり、ポリオールは、2以上のヒドロキシル官能基R'-(OH)n 2を有する分子である。反応産物は、ウレタン結合-RNHCOOR'-を含有するポリマーである。イソシアネート類は、活性水素を含有するあらゆる分子と反応する。重要なことは、イソシアネート類は水と反応して尿素結合および二酸化炭素ガスを形成する。商業的には、ポリウレタン類は、液体イソシアネートを、ポリオール類、触媒、および他の添加剤の液体混合物と反応させることによって製造する。北米では、イソシアネートは普通、「Aサイド」または単に「イソ」と称される。ポリオール類および他の添加剤の混合物は普通、「Bサイド」または「ポリ」と称される。欧州ではこれらの意味は逆である。
【0035】
本出願で使用される場合、イソシアネートの混合物を包含する「イソシアネート」という用語の非限定的で典型的な定義は、化学元素のN-C=O配列を含有する部分を意味する。2つのイソシアネート基を含有する分子はジイソシアネートと呼ばれる。イソシアネート類は、ジフェニルメタンジイソシアネート(「MDI」)またはトルエンジイソシアネート(「TDI」)等の、芳香族;または、ヘキサメチレンジイソシアネート(「HDI」)等の、脂肪族に分類し得る。高分子イソシアネートの一例は、高分子ジフェニルメタンジイソシアネートであり、これは2、3、および4以上のイソシアネート基を有する複数の分子の混合物であり、平均官能価は2.7である。イソシアネート類は、ポリオールと部分的に反応させることによって、さらに修飾することが可能であり、プレポリマーを形成する。イソシアネート類の重要な特徴は、分子骨格、-N-C=O含有量%、官能価、および粘度である。脂肪族および芳香族ポリイソシアネートを含むあらゆる有機ポリイソシアネートは、ポリウレタンまたはポリイソシアネート発泡体合成に使用し得る。好適な有機ポリイソシアネート類としては、脂肪族、脂環式、アリール脂肪族、芳香族、および複素環式イソシアネート類が挙げられ、これらはポリウレタン化学の分野ではよく知られている。代表的な有機ポリイソシアネートは、以下の式に相当する:
R(NCO)z
【0036】
式中、Rは、脂肪族、アリールアルキル、芳香族またはそれらの混合物のいずれかである、多価の有機基であり、zは、Rの価数に相当する整数であり、少なくとも2である。本書で考えられる有機ポリイソシアネート類の代表例としては、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、2,4-および2,6-トルエンジイソシアネートの混合物、粗トルエンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、粗メチレンジフェニルジイソシアネート等の、芳香族ジイソシアネート;4,4',4''-トリフェニルメタントリイソシアネート、2,4,6-トルエントリイソシアネート等の、芳香族トリイソシアネート;4,4'-ジメチルジフェニルメタン-2,2',5,5'-テトライソシアネート等の、芳香族テトライソシアネート;キシリレンジイソシアネート等のアリールアルキルポリイソシアネート;ヘキサメチレン-1,6-ジイソシアネート、リシンジイソシアネートメチルエステル等の、脂肪族ポリイソシアネート;およびそれらの混合物が挙げられる。他の有機ポリイソシアネートとしては、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、水素化メチレンジフェニルイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、1-メトキシフェニレン-2,4-ジイソシアネート、4,4'-ビスフェニレンジイソシアネート、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ビフェニルジイソシアネート、3,3'-ジメチル-4,4'-ビフェニルジイソシアネート、および3,3'-ジメチルジフェニルメタン-4,4'-ジイソシアネートが挙げられる。典型的な脂肪族ポリイソシアネート類は、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、およびヘキサメチレンジイソシアネート等のアルキレンジイソシアネート、イソホレンジイソシアネート、4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)等であり;典型的な芳香族ポリイソシアネートとしては、m-、およびp-フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、2,4-および2,6-トルエンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、ビトリレンイソシアネート、ナフチレン1,4-ジイソシアネート、ビス(4-イソシアナトフェニル)メタン、ビス(2-メチル-4-イソシアナトフェニル)メタン等が挙げられる。
【0037】
本出願で使用される場合、ポリオールの混合物を包含する「ポリオール」という用語の非限定的で典型的な定義は、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡体の調製において、イソシアネートと知られている方法で反応する、あらゆるポリオールであり得る。ある意味で、ポリオールは、1より多いヒドロキシル基を含有する部分を意味する。2つのヒドロキシル基を含有する分子はジオールと呼ばれ、3つのヒドロキシル基を有するものはトリオールと呼ばれ、以下同様である。ポリオール類は、それ自体でポリマー類である。ポリオールは、ヒドロキシルまたはアミン含有開始剤への、プロピレンオキシド(「PO」)、エチレンオキシド(「EO」)の塩基触媒添加によるか、又はアジピン酸等の二酸の、エチレングリコール(「EG」)またはジプロピレングリコール(「DPG」)等のグリコール類とのポリエスエル重縮合によって形成される。POまたはEOで延長されたポリオール類は、ポリエーテルポリオールである。ポリエステル重縮合によって形成されるポリオール類は、ポリエステルポリオールである。開始剤、延長剤、およびポリオールの分子量の選択は、その物理的状態、およびポリウレタンポリマーの物理特性に大きく影響する。ポリオールの重要な特徴は、その分子骨格、開始剤、分子量、第一級ヒドロキシル基%、官能価、および粘度である。有用なポリオール類は、1以上のスクロース含有ポリオール;フェノール、フェノールホルムアルデヒド含有ポリオール;グルコース含有ポリオール;ソルビトール含有ポリオール;メチルグルコシド含有ポリオール;芳香族ポリエステルポリオール;天然物(例えば大豆)由来のポリオール、グリセロール;エチレングリコール;ジエチレングリコール;プロピレングリコール;ポリエーテルポリオール類のビニルポリマーとのグラフト共重合体;ポリエーテルポリオールのポリ尿素との共重合体;1以上の(b)と縮合した1以上の(a)であって、(a)はグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、エチレンジアミン、ペンタエリスリトール、大豆油、レシチン、トールオイル、パーム油、ヒマシ油であり;および(b)はエチレンオキシド、プロピレンオキシド、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの混合物であり;またはそれらの混合物を含む。
【0038】
本出願において使用される場合、ポリオールプレミックスの混合物を包含する「ポリオールプレミックス」という用語の非限定的で典型的な定義は、触媒を含むポリオールプレミックスを意味する。有用な触媒は、一級アミン、二級アミンまたは最も典型的な三級アミンである。有用な三級アミン触媒としては、非排他的に、ジシクロヘキシルメチルアミン;エチルジイソプロピルアミン;ジメチルシクロヘキシルアミン;ジメチルイソプロピルアミン;メチルイソプロピルベンジルアミン;メチルシクロペンチルベンジルアミン;イソプロピル-sec-ブチル-トリフルオロエチルアミン;ジエチル-(α-フェニルエチル)アミン、トリ-n-プロピルアミン、またはそれらの組み合わせが挙げられる。有用な二級アミン触媒としては、非排他的に、ジシクロヘキシルアミン;t-ブチルイソプロピルアミン;ジ-t-ブチルアミン;シクロヘキシル-t-ブチルアミン;ジ-sec-ブチルアミン、ジシクロペンチルアミン;ジ-(α-トリフルオロメチルエチル)アミン;ジ-(α-フェニルエチル)アミン;またはそれらの組み合わせが挙げられる。有用な一級アミン触媒としては、非排他的に、トリフェニルメチルアミンおよび1,1-ジエチル-n-プロピルアミンが挙げられる。他の有用なアミンとしては、モルホリン、イミダゾール、エーテル含有化合物等が挙げられる。これらとしては、ジモルホリノジエチルエーテル;N-エチルモルホリン;N-メチルモルホリン;ビス(ジメチルアミノチル)エーテル;イミダゾール;n-メチルイミダゾール;1,2-ジメチルイミダゾール;ジモルホリノジメチルエーテル;N,N,N',N',N",N"-ペンタメチルジエチレントリアミン;N,N,N',N',N",N"-ペンタエチルジエチレントリアミン;N,N,N',N',N",N"-ペンタメチルジプロピレントリアミン;ビス(ジエチルアミノエチル)エーテル;およびビス(ジメチルアミノプロピル)エーテルが挙げられる。ポリオールプレミックス組成物は、任意にシリコーン界面活性剤を含有してもよい。シリコーン界面活性剤は、混合物から発泡体を形成し、発泡体の気泡のサイズに影響する界面張力を制御するために使用し、その結果、所望のオープンまたはクローズドセル構造の発泡体が得られる。好ましくは、気泡の小さい発泡体か、サイズが均一であるセルが望ましく、これは、圧縮強度や熱伝導性等の物理的特性が最も望ましいためである。また、発泡体の形成前または形成中に崩れず安定したセルを用いた発泡体を有することは、非常に重要である。ポリオールプレミックス組成物は、任意に、非シリコーン非イオン性界面活性剤等の、非シリコーン性界面活性剤を含有してもよい。これらとしては、オキシエチル化アルキルフェノール、オキシエチル化脂肪族アルコール、パラフィン油、ヒマシ油エステル、リシノール酸エステル、ターキーレッドオイル、落花生油、パラフィンおよび脂肪族アルコールが挙げられる。好ましい非シリコーン性界面活性剤は、エア・プロダクツ・コーポレーション(Air Products Corporation)より販売されているLK-443である。
【0039】
本出願で使用される場合、ポリイソシアヌレートの混合物を包含する「ポリイソシアヌレート」または「PIR」という用語の非限定的で典型的な定義は、MDIとポリオールの反応産物を意味し、この反応は、典型的にはPUR製造の反応温度に比べてより高い温度で行われる。操作および合成のあらゆる理論に拘泥しないが、これらの高温で、かつ特定の触媒の存在下で、MDIは最初に自身と反応し、固い環状分子を形成するが、これは反応性中間体(トリイソシアネートイソシアヌレート化合物)である。残余のMDIと、このトリイソシアネートは、ポリオールと反応して複合ポリ(ウレタン−イソシアヌレート)ポリマーを形成するが、これは好適な発泡剤の存在下で発泡される。このイソシアヌレートポリマーは、比較的強い分子構造を有するが、これは、強い化学結合、イソシアヌレートの環構造および高架橋密度の組み合わせによるものであり、それぞれにより、同等のポリウレタンよりも剛性が高くなる。結合強度がより高いことは、これらがより壊れにくいことも意味し、その結果、PIR発泡体は化学的および熱的により安定であって、ウレタンの100〜110℃と比較するとイソシアヌレート結合の破壊は200℃より高温で開始することが報告されている。PIRのMDI/ポリオール比は、その指数(ウレタン単独を製造する、イソシアネート/ポリオール化学量論に基づく)とも呼ばれるが、典型的には200〜500の間である。対照的に、PUR指数は、通常は100程度である。指数が上がるに連れて、物質の剛性と、脆さもまた上昇するが、その相関は直線的ではない。生成物の用途によって、より高い剛性、化学的および/または熱的安定性は望ましいかもしれない。このようなPIR製造者は、最適なエンドユース性能を達成するため、同一の密度であるが指数が異なる多数の製品を提供する。
【0040】
本出願で使用される場合、発泡剤の混和性混合物および共沸混合物を包含する「発泡剤」という用語の非限定的で典型的な定義は、モル気体容積、可燃性移動またはGWP低下による悪影響がなく、断熱性能、圧力性能または溶解性の形で、種々の用途に有用で、有効性を与えるが、本書で規定した通りの、規定した限界内の蒸気圧を有する、噴射剤または溶媒を意味する。例示的かつ非限定的な発泡剤としては、HFC-245fa(ハニーウェル(Honeywell Intl.))、即ち1,1,1,3,3-ペンタフルオロペンタン、またはFEA-1100(デュポン(DuPont))、即ち1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンが挙げられる。
【0041】
発泡剤、エアロゾル、または溶媒組成物の地球温暖化係数(「GWP」)を緩和することは時に必要であり、望ましくもある。本書で使用される場合、GWPは、「オゾン層破壊の科学的評価、2002年、世界気象協会の地球オゾン研究および監視計画のレポート」に規定した通り、二酸化炭素のGWPと比較して、100年の計画対象期間にわたって測定される。好ましい形態では、本発明の組成物もまた、オゾン層破壊係数(「ODP」)が好ましくは0.05以下であり、より好ましくは0.02以下であり、さらにより好ましくはほぼ0である。本書で使用される場合、「ODP」は、「オゾン層破壊の科学的評価、2002年、世界気象協会の地球オゾン研究および監視計画のレポート」において規定された通りである。
【0042】
本書で使用される場合、発泡剤の混合物または混和性混合物および/または共沸混合物を包含する「共発泡剤」という用語の非限定的な定義は、モル気体容積、可燃性移動またはGWP低下による悪影響がなく、断熱性能、圧力性能または溶解性の形で種々の用途に有用で、有効性を与える、1以上の共発泡剤、共噴射剤または共溶媒を意味する。これらの共剤(co-agent)としては、限定されないが、1以上の追加成分である、ヒドロフルオロカーボン類、C1〜C6の炭化水素類、C1〜C8のアルコール類、エーテル類、ジエーテル類、アルデヒド類、ケトン類、ヒドロフルオロエーテル類、C1〜C4の塩化炭素類、ギ酸メチル、水、二酸化炭素、C3〜C4のヒドロフルオロオレフィン類、およびC3〜C4のヒドロクロロフルオロオレフィン類が挙げられる。これらの非排他的な例としては、1以上のジフルオロメタン、トランス-1,2-ジクロロエチレン、ジフルオロエタン、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン、1,1,2,2-テトラフルオロエタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,1-トリフルオロエタン、1,1-ジフルオロエタン、フルオロエタン、HFC-236fa等のヘキサフルオロプロパン異性体類、ペンタフルオロプロパン異性体類のHFC-245fa、HFC-227ea等のヘプタフルオロプロパン異性体類、ヘキサフルオロブタン異性体類、およびHFC-365mfc等のペンタフルオロブタン異性体類、テトラフルオロプロパン異性体類、およびトリフルオロプロペン異性体類(HFO-1243)が挙げられる。特に、1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HFO-1234yf)、およびシス-およびトランス-1,2,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ye)、HFC-1233zd、およびHFC-1225ye等の、HFO-1234の全ての分子および異性体が挙げられる。好ましい共発泡剤としては、非排他的に、炭化水素類、ギ酸メチル、ハロゲン含有化合物類、特に、ハロカーボン類、フッ化炭素類、塩化炭素類、フッ化塩化炭素類等のフッ素含有化合物類および塩素含有化合物類、ヒドロフルオロカーボン類、ヒドロクロロカーボン類、ヒドロフルオロクロロカーボン類、ヒドロフルオロオレフィン類、ヒドロクロロフルオロオレフィン類等のハロゲン化炭化水素類、CO2、水等のCO2産生物質、およびギ酸等のCO2を産生する有機酸類が挙げられる。非排他的な例としては、エタン、プロパン類、即ち、ノルマルペンタン、イソプロパン、イソペンタンおよびシクロペンタン等の低沸点の脂肪族炭化水素類;ブタン、即ちノルマルブタンおよびイソブタン;エーテル類およびハロゲン化エーテル類;トランス-1,2-ジクロロエチレン、ペンタフルオロブタン;ペンタフルオロプロパン;ヘキサフルオロプロパン;およびヘプタフルオロプロパン;1-クロロ-1,2,2,2-テトラフルオロエタン(HCFC-124);および1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン(HCFC-141b)並びに1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134);1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a);1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン(HCFC-142b);1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc);1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HCF-227ea);トリクロロフルオロメタン(CFC-11)、ジクロロジフルオロメタン(CFC-12);1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa);1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236ea);ジフルオロメタン(HFC-32);ジフルオロエタン(HFC-152a);トリフルオロプロペン類、ペンタフルオロプロペン類、クロロトリフルオロプロペン類、1,1,1,2-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)等のテトラフルオロプロペン類、1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye)、および1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFC-1233zd)が挙げられる。上記のもののあらゆる組み合わせが有用である。あらゆる上記の追加的共発泡剤および組成物中に含まれるあらゆる追加成分の相対量は、組成物の特定の用途に従って本発明の一般的に広い範囲内で広範に変化し得るが、全てのこのような相対量は本発明の範囲内であると考えられる。
【0043】
本書で使用される場合、「有効量」という用語の非限定的な定義は、低圧発泡剤を添加しない対照と比較して、発泡操作の結果を向上させる充分量を意味する。
【0044】
本書で使用される場合、「より高沸点の発泡剤」という用語の非限定的な定義は、大気圧での沸点が〜5℃から〜50℃の間、より好ましくは〜10℃から〜40℃の間である、発泡剤を意味する。
【0045】
本書で使用される場合、「より低圧の発泡剤」という用語の非限定的な定義は、およそ室温の〜75°Fでの蒸気圧が〜5 psigから〜30 psig(およそ室温の〜24℃で、〜34.5 kPaから〜206.9 kPaに等しい)の間の発泡剤を意味する。
【0046】
本書で使用される場合、「約」「およそ」という用語の非限定的な定義は、記述した端点から10%の範囲のずれを意味する。
【0047】
本書で使用される場合、「湾曲」の非限定的な定義は、本発明の発泡系で空洞を充填した後に内壁が亀裂を呈さない、規定した隙間全域の平面性からのずれを意味する。内壁は、典型的には乾式壁またはプラスターボードまたは石こうボードで作られ、厚さは約1/4および3/4インチ(0.64と1.91 cmに等しい)の間であり、壁の中の間柱または天井の野縁の間に固定される。
【0048】
本書で使用される場合、「滲出(seep)」の非限定的な定義は、空洞の底の亀裂からにじみ出る、少なくとも半液体状態のプレポリマーの泡が視覚的に見えることを意味する。
【0049】
本発明の一つの側面は、発泡性組成物を提供する。当業者に知られているように、発泡性組成物は、一般に、発泡体を形成する能力のある1以上の発泡体形成剤および発泡剤を含む。
【0050】
このものとしては、発泡体構造、好ましくは一般に多孔性発泡体構造を形成する能力がある、成分、または成分の組み合わせが挙げられる。本発明の発泡性組成物としては、そのような成分、および本発明による上述の発泡剤化合物が挙げられる。いくつかの態様では、発泡体を形成する能力のある1以上の成分は、発泡体を形成する能力のある熱硬化性組成物および/または発泡組成物を含む。熱硬化性組成物の例としては、ポリウレタンおよびポリイソシアヌレート発泡体組成物が挙げられる。これらにはポリウレタンプレポリマーが含まれる。この反応および発泡過程は、形成の間、セルのサイズを制御および調節し、発泡体構造を安定化するために働く、触媒および界面活性物質等の様々な添加剤の使用によって増進される。さらに、本発明の発泡剤組成物に関して上述した、あらゆる1以上の添加成分は、本発明の発泡性組成物に組み込み得ると考えられる。このような熱硬化性発泡体の態様には、1以上の本発明の組成物が、発泡性組成物における発泡剤として、またはその部分として含まれるか、二部分以上の発泡性組成物の一部分として含まれ、この組成物は、好ましくは、発泡体または多孔性構造を形成するための適切な条件下で、反応および/または発泡する能力のある1以上の成分を含む。
【0051】
重合反応は、ジメチルシクロヘキシルアミン等の三級アミン、およびジブチル錫ジラウレートまたはオクタン酸ビスマス等の有機金属化合物によって触媒される。さらには、触媒は、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCOまたはTEDAとも呼ばれる)のようにウレタン(ゲル)反応を好むか、またはビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテルのように尿素(ブロー)反応を好むか、またはオクタン酸カリウムのようにイソシアネート三重化反応を特異的に促進させるかに基づいて選択し得る。
【0052】
端的に言えば、PIRとPURポリマーの違いは大きくない。MDIの比率はPURの場合よりも高く、ポリエーテルポリオールの代わりに、ポリエステル由来ポリオールが反応に使用される。PIR処方において使用される触媒および添加剤も、PURにおいて使用されるものと異なる。
【0053】
発泡体膨張剤の特性、およびそれらの種々の物理的特性を、表Iに示す。
【表1】
【0054】
本書で示される実験データは、HFC-245fa(1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン)またはFEA-1100(1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン)のいずれかによって説明されるもの等の、低蒸気圧発泡剤の使用を中心とするが、これらは単独で使用されるか、他の発泡剤との混和性混合物で使用される。FEA-1100(デュポン(DuPont))およびHFC-245faの両者は室温で低蒸気圧である。両発泡剤は、50℃での蒸気圧が、典型的なドラム圧力定格の22 psigよりもはるかに低い。追加的な第四世代の発泡剤もまた、本発明の範囲内であり、例えば、AFA-L1およびAFA-L2(アルケマ(Arkema))、HBA-2(ハニーウェル(Honeywell))またはトランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンであり、これらも本書で規定した通りのより高沸点およびより低蒸気圧の基準に合致し、オゾン層破壊係数は最低限からゼロである。
【0055】
発泡剤の選択は、主として、米国環境保護庁(「EPA」)のゼロオゾン層破壊係数(「ODP」)、および米国運輸省(「DOT」)の可燃性規則によって決定される。オゾン層破壊に対する環境上の関心から、重度のオゾン層破壊物質の使用が認められなくなり、CFC-1は1995年に禁止され、HCF-141bは2003年に禁止された。本発明は、組成物に不燃性発泡剤を排他的に使用することに制限されないが、好ましい態様では、不燃性発泡剤は可燃性発泡剤より好ましい。DOT規則は、一般的な業界基準の使い捨ておよび詰め替えシリンダーを可燃性発泡剤で充填することを禁止している。上記の表から、この規則により、HFC-134a、HFC-245faおよびFEA-1100のみが発泡剤として認められる。本発明の目的は、低圧の使い捨てかつ詰め替え装置によって適用される、低圧の建物用PUR/PIR断熱系を作ることであり、これは、位置的に安定である(縮まない)といった所望の特性を維持しつつ、優れた流動性を示し、空気バリアを提供し断熱する。図1〜9に示す通り、HFC-134aは、沸点か低いことから、好適な発泡剤から除外される。低圧系からのHFC-134a吹き付け処方の調剤に際して、発泡体が急速に膨張し、発泡体が粘性のある泡状の状態であることによって、系が空洞の障害の周囲を流れて空洞に望まない隙間ができ、気密が減弱し、暖熱が不十分になることを防ぐ。このことから、相対的に高沸点で不燃性の、オゾン層を破壊しない発泡剤のみが、障害を有する空洞の適切な充填を有効に提供し得ることが決定付けられる。発泡剤の溶解性が大きくなるにつれて、得られる泡の流れが大きくなることは直感的に明らかであるが、このファクターは、発泡剤が高沸点あることほどには、性能に影響しない。HFC-245faのKB値は6であり、一方FEA-1100のKB値は7である。ASTM D 1133に概説される通り、カウリ・ブタノール値は、カウリ・ゴムのブチルアルコール標準溶液中における、発泡剤の溶解性の半定性的測定値である。後の段落で論じる通り、広く受け入れられている知識から考案者がクリームの時間が長い反応プロファイルがより有効であると考える場合、本発明の組成物の迅速な反応プロファイルが空洞のある壁を実質的に完全に充填することも、直感に反する。
【0056】
あらゆる理論または操作形態に限定せず、約5℃〜50℃の範囲、より好ましくは約10℃〜40℃の範囲のより高沸点の組み合わせによって、本発明の予期されない流動性の結果が得られる。
【0057】
表IIの通り、以下の実施例の合成および試験を行った。
【表2】
【0058】
本発明の一つの側面では、使い捨ておよび/または詰め替え可能な、加圧二成分発泡処方を説明する。この系は、任意に、しかし好ましくは、携帯用である。推進剤は、保存可能期間に安定であることに加えて、オゾン層破壊係数が最小限からゼロである、高沸点の推進剤である。
【0059】
本発明の別の側面では、ポリウレタン重合反応を終結させない二官能性難燃剤を処方に組み込むことによって、低密度の発泡体を達成する。加えて、連鎖反応を終結させない二官能性界面活性剤を組み込むことによって、さらに増進され、さらに、かなり不適合な水および親水性成分を疎水性難燃剤と乳化する機能を果たす。
【0060】
本発明のさらに別の側面では、難燃剤の量を調節して、分類IIの評価を確保する。この評価は、塩化リン酸塩難燃剤の臭化芳香族ジオールとの相乗的混合物を組み込むことによって、シュタイナートンネル試験の分類I E-84の評価に上げることができる。
実施例10
【0061】
以下の組成物をさらに別の組み合わせに添加して、実験壁充填試験を行い、発泡体の添加値を定量した。
【0062】
上記の「B」側(50〜75%ポリオール)を、平均官能価が2.7の「A」側(90〜95%PMDI)と約50/50の割合で混合し、各側の合計を100%にするのに必要な適当量の推進剤を加えた。
【0063】
上記の発泡剤は個々に挙げるが、より高沸点の範囲内およびその範囲外に両成分とも入る混和性混合物に加えて、上記の薬剤の二成分および三成分の混和性混合物が、本発明の実施に有用であることが認められる。少なくとも1つの薬剤(好ましくは発泡剤の主要量)はより高沸点の範囲内である。
【0064】
より一般的に挙げると、骨格中に4以下の炭素原子を含み、本発明に有用な発泡剤は、以下に示す一般式(I)の範囲内である:
[CVa]m - A - [CXb]n - B - [CYc]o - D - [CZd]p
式中、
Cは、炭素原子であり;
V、X、YおよびZは、独立して、H、FおよびClよりなる群から選択され(前記と同様の定義を適用する);
aおよびdは、独立して、0から3までの範囲の整数値から選択され;
bおよびcは、独立して、0から2までの範囲の整数値から選択され;
o、pおよびnは、1に等しく;
mは、0から1までの範囲の整数値から選択され;
A、BおよびDは、隣接する炭素原子が存在する場合、そのような炭素原子の利用可能な結合部位を満たすに充分な共有結合であり;
前記発泡剤、およびその混和性混合物および共沸混合物は、沸点が約5〜50℃の間であり、オゾン層破壊係数が実質的にゼロであり;
前記発泡系は、反応プロフィールのゲルおよび粘着時間が約90秒未満であり、より好ましくは約60秒未満であり、最も好ましくは約45秒未満であり;および
好ましい態様において、前記発泡剤は不燃性であり、共発泡剤は可燃性であってもよいと認められる。
【0065】
より一般的に挙げると、骨格中に6以下の炭素原子を含み、本発明に有用な発泡剤は、以下に示す一般式(II)の範囲内である:
[CUe]q - E - [CWf]r - F - [CVa]m - A - [CXb]n - B - [CYc]o - D - [CZd]p
式中、
Cは、炭素原子であり;
U、W、V、X、YおよびZは、独立して、H、FおよびClよりなる群から選択され、(前記と同様の定義を適用する);
dおよびeは、独立して、0から3までの範囲の整数値から選択され;
a、b、cおよびfは、独立して、0から2までの範囲の整数値から選択され;
o、pおよびnは、1に等しく;
m、qおよびrは、独立して、0から1までの範囲の整数値から選択され;
A、B、D、EおよびFは、隣接する炭素原子が存在する場合、そのような炭素原子の利用可能な結合部位を満たすに充分な共有結合であり;
前記発泡剤は、沸点が約5〜50℃の間であり、オゾン層破壊係数が0.05以下であり;
前記発泡系は、反応プロフィールのゲルおよび粘着時間が約90秒未満であり、より好ましくは約60秒未満であり、最も好ましくは約45秒未満であり;および
好ましい態様において、前記発泡剤は不燃性であり、共発泡剤は可燃性であってもよいと認められる。
【0066】
好ましい態様において、発泡剤は、炭素骨格に結合した規定のフッ素原子を有する、炭素系部分である。発泡剤の沸点は、前に規定した通りであり、蒸気圧と同様である。
【0067】
上記の「B」側(50〜75%ポリオール)を、平均官能価が2.7の「A」側(90〜95%PMDI)と約50/50の割合で混合し、各側の合計を100%にするのに必要な適当量の推進剤HFC-245faを加えた。
【0068】
実施例#10の処方を用いて、内部に多数の障害物がある中空の外壁を絶縁した際に、フリア(FLIR)赤外線カメラを使用して、生成物の流速約7 Ibs/分で、90°の壁の充填分注ガイド用具を使い、充填をモニターした。以下の結果が得られた:
【0069】
図11は、実施例1〜9で使用した試験装置を説明する。試験空洞は、ファイバーグラス・バッティングが普及していない早期に建築された多くの家屋に見られる、中空壁の間隙をモデル化して設計した。空洞は、その容量のおよそ中央に、2.5インチ(6.35 cm)O.D.の塩化ポリビニルのパイプを有するように設計され、空洞は、深さ3.5インチ×幅16.75インチ×高さ46インチ(深さ8.9 cm×幅42.55 cm×高さ116.8 cmに等しい)であり、PVCパイプの下、4.5および13インチ(11.4および33 cmに等しい)の位置に2つの配電盤(寸法:3.25×8×4インチ、8.26×20.3×10.2 cmに等しい)を有する。典型的には3.5"×14.5"×8'(8.9 cm×36.8 cm×243.8 cmに等しい)の空洞に断熱材を組み込むことは困難であり、充填が不完全になる(例えば、セルロース系溶液)か、乾式壁に亀裂が入ることがある(高圧衝突発泡を用いた場合)。従来の溶液は時により高圧を使用したことから、乾式壁の亀裂の問題がさらに悪化し、また、空洞内部に位置する屋内配線によって作られ得る、狭い空間への浸透がさらに進んだ。図12は、電線用導管または屋内配管の実例である挿入されたPVCパイプおよび電気ボックスに相対して、空洞の内壁と外壁の間の間隔が、いかに狭いかを説明する。図13は、充填のパーセンテージを概算するための方眼線が固定された、プレキシガラスの内壁を示し、図10は、空洞の二面間の平面からの「湾曲」を図示する。
【0070】
この、より広く受け入れられている知識に反して、本出願に記載された技術は、低圧発泡剤および発泡ポリウレタンまたは発泡ポリイソシアヌレート発泡体を使用する。
【0071】
例えばHFC-365mfc、HBA-2、AFA-L1、AFA-L2である類似の物理特性を有する他の発泡剤が本発明において有効であることが予測されるが、図面に示した通り、低圧発泡剤、例えばHFC-245faおよびFEA-1100、およびその混和性混合物および共沸混合物の使用は、試験空洞を完全に充填する場合に、発泡体との組み合わせに成功した。ゆっくり膨張するクローズドセルのポリイソシアヌレート発泡体の直接的比較を図1および2に図示するが、ここで、処方間の唯一の違いは発泡剤組成であり、図1は純HFC-134aであり図2は純HFC-245faである。HFC-245faを発泡剤中に用いた場合、HFC-134aを用いる同一の組成と比較して、発泡ポリイソシアヌレートポリマーに湾曲が見られないことがわかる。同じことが、図3および4に示される、空洞充填処方によって実証される。
【0072】
図3および4は、HFC-245faを発泡剤として使用した場合に、同様に湾曲がない、クローズドセルの空洞充填ポリウレタン発泡体の使用における、同様の差異を示す。オープンセルの防音壁ポリウレタン発泡体について図5〜7に示される通り、全てのポリマーで湾曲の問題は見られなかったが、HFC-134aを使用した場合、狭い空間を通る通路を確保する、発泡体の能力が最も重要であることが明確に示された。しかし、この問題は、発泡剤としてHFC-245faまたはFEA-1100のいずれかを使用した場合には存在しなかった。図8および9は、先に図1〜4を参照して論じたものと同様の、即時重合のクローズド発泡体のポリイソシアヌレート発泡体の、同じ現象を説明する。
【0073】
本発明は、PIRまたはPUR発泡重合体のいずれかに適用可能であり、一つの態様において、外壁空洞に断熱のために調製される、発泡体の適用を目的とするが、本発明は外壁空洞に限定されず、発泡物質で充填されることが求められ、典型的には、好ましくは空洞頂部に充填穴を1つだけ要する、あらゆる空洞を対象とすることを理解するべきである。このことから、多数の穴の使用には労働コストがかかることにとなる。少なくとも1つの低圧発泡剤を適用することによって、発泡体は、障害物(例えば、パイプ、横材、電気ボックス)の周囲に均一に流れ、空洞は最小限または皆無になる。発泡体は、空洞の頂部から底部まで均一の密度であり、緻密化は最低限から皆無である。
【0074】
発泡体の使用により、壁空洞の底部の発泡体プレポリマーの滲出は最小限になるか防止される。発泡体は、典型的にはシリンダーから分注され、低蒸気圧のHFC発泡剤、好ましくは245fa(1,1,1,3,3-ペンタフルオロペンタン)およびFEA-1100、HFC-365mfc、HBA-2、AFA-L1、AFA-L2、およびそれらの混和性混合物および共沸混合物で、予め膨張する。発泡体は静的ミキサーを通して分注されるが、これにより、分注に際し、「A」および「B」側が充分に反応および重合して、充分な分子量の型ひいては「泡」を創出する。
【0075】
本出願は、低圧発泡剤を全く新しい方法で利用する。ポリウレタン発泡体は、従来は、高蒸気圧発泡剤、即ちHFC-134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン)を用いて発泡するが、これは蒸気圧が25℃で82 psigであり、全てのシリンダー内容物を確実に分注する。蒸気圧が20℃で17.8 psigであるHFC-245fa(1,1,1,3,3-ペンタフルオロペンタン)等の低蒸気圧発泡剤を高パーセンテージで使用することで、加圧シリンダーから適切に分注されることは、直観に反することであった。
【0076】
本出願は、発泡剤成分として有効量のHFC-245fa、FEA-1100、HFC-365mfc、HBA-2、AFA-L1、AFA-L2、およびそれらの混和性混合物および共沸混合物を使用するが、これは発泡体シリンダーを窒素で一杯にすることでより完全に分注することができ、従来の高圧衝突発泡用途では経験されない、型穴充填特性を達成する。本出願は、発泡体の密度を減じ、ポリ尿素セグメントの形成による硬化の間、セルを開く(従って圧力を下げる)のを助けるため、例えば水等の共発泡剤を任意に使用してもよい。水とメチレンジフェニルジイソシアネートとの組み合わせにより、ポリ尿素骨格が形成されると考えられ、この骨格形成によりセル形成が阻害され、その結果、オープンセルの高含量の達成を支援する。発泡剤は、発泡剤の混合物またはその共沸混合物であってもよい。混合物として使用する場合、より高沸点およびより低蒸気圧の特徴を有する有効量の発泡剤が必要である。
【0077】
本発明の1つの側面において、より高沸点の発泡剤を1:1の置換値でより低沸点の発泡剤と置換することが可能であったという結論は、非常に驚くべきことである。あらゆる動作理論を支持しないが、窒素加圧シリンダーの使用(他の非反応性ガスも使用し得る)は、本発明の少なくとも1つの側面であると考えられる。同等に直観に反することは、低蒸気圧発泡剤での発泡体系の硬化プロファイルおよびより高蒸気圧の発泡剤での発泡体系の硬化プロファイルが本質的に類似し、なお有効であるという認識である。同一のポリウレタン組成物発泡体を使用する比較試験において、非エージング系を使用する3つの系で、ゲル化および粘着時間について以下の反応プロファイルを得た。以下に示す通り、高蒸気圧の発泡剤HFC-134aの初期反応プロファイル試験は、より低蒸気圧の発泡剤HFC-245faおよびFEA-1100で得られた結果と非常に類似していた。発泡体充填に関して、反応プロファイルが類似しているが、有意に異なる結果が得られるという事実は、完全に直観に反していた。広く受け入れられている知識から、180秒以上の範囲の値を要することが示唆される。しかし、これらの結果は、本発明の処方のゲル化時間が約90秒以下、より好ましくは60秒以下、最も好ましくは45秒以下である場合に、達成可能であることが予想される。
【0078】
本発明の発泡体は、従来技術の高圧分注装置(衝突混合において典型的に使用される>1,000 psi)よりはむしろ、比較的安価な、加圧であるが、低圧とみなされる(130-225 psi)シリンダーから分注される。シリンダーから分注されたポリウレタン発泡体を使用すると、高圧分注ポリウレタン発泡体に必要な装置のための先行投資の資本コストが不要であるが、定量ユニットおよびスプレーガン等の、必要な特別処理装置は30,000〜100,000ドル程度である。
【0079】
本発明を実施するための最良の形態は、その時点で出願人の知る最良の形態を説明する目的で記載された。実施例は説明のためだけであり、本発明を制限することを意図せず、本発明は特許請求の範囲およびその利点によって判断される通りである。本発明は、好ましい変更可能な態様を参照して記載された。明細書の読解および理解に際して、他に修正や変更が起こることは明らかである。添付の特許請求の範囲およびそれに相当する範囲内である限り、このような全ての修正および変更を含むことが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13